特許第6207603号(P6207603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207603
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】弱いチャンネルコンポーネントの推定
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20170925BHJP
   H04W 52/32 20090101ALI20170925BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20170925BHJP
【FI】
   H04W72/04 136
   H04W52/32
   H04W24/10
   H04W72/04 111
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-521017(P2015-521017)
(86)(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公表番号】特表2015-526035(P2015-526035A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2013064814
(87)【国際公開番号】WO2014009539
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】12176412.0
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】314015365
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジルバス ヴォルフガング
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/087252(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/023550(WO,A1)
【文献】 Motorola,"On Serving Cell Muting for OTDOA Measurements"[online],3GPP TSG-RAN WG1#57b R1-092628,2009年 7月 3日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_57b/Docs/R1-092628.zip
【文献】 Huawei,"Inter-cell CSI-RS Analysis"[online],3GPP TSG-RAN WG1#59b R1-100248,2009年 1月22日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_59b/Docs/R1-100248.zip
【文献】 NTT DOCOMO,"Signaling to Support PDSCH Muting"[online],3GPP TSG-RAN WG1#62b R1-105434,2010年10月15日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_62b/Docs/R1-105434.zip
【文献】 Nokia Siemens Networks, Nokia Corportation,"CSI-RS based channel quality measurement"[online],3GPP TSG-RAN WG1#68b R1-121279,2012年 3月30日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121279.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
協働マルチポイント送信のための方法であって、
ユーザ装置での基準信号の受信強度に基づいて異なる時間間隔で基準信号が送信されるように基準信号の送信をコントロールすること、及び
チャンネル状態情報基準信号のアクチベートパターンを適用し、ここで前記アクチベートパターンは強い信号強度を有するチャンネルコンポーネントと弱い信号強度を有するチャンネルコンポーネントを分離させるものであることを含む方法。
【請求項2】
協働マルチポイント送信のための方法であって、
基準信号を測定するための構成情報を受け取ることを含み、その構成情報は、受信強度の異なる基準信号が送信される時間間隔に関する指示を含み、前記構成情報は、チャンネル状態情報基準信号のアクチベートパターンに関する指示を含み、ここで前記アクチベートパターンは強い信号強度を有するチャンネルコンポーネントと弱い信号強度を有するチャンネルコンポーネントを分離させるものである方法。
【請求項3】
協働マルチポイント送信のための装置であって、
移動ネットワークへの接続を与えるように構成された接続ユニットと;
ユーザ装置における基準信号の受信強度に基づいて異なる時間間隔で基準信号が送信されるように、基準信号の送信をコントロールするように構成され、チャンネル状態情報基準信号のアクチベーションパターンを適用するように更に構成され、ここで前記アクチベートパターンは強い信号強度を有するチャンネルコンポーネントと弱い信号強度を有するチャンネルコンポーネントを分離させるものであるプロセッサと;
を備えた装置。
【請求項4】
基準信号の送信をコントロールするためにミュート及び/又は電力上昇スキームが使用される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、時間間隔を定義するように更に構成される、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
時間間隔に関してユーザ装置に通知するように更に構成される、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項7】
ユーザ装置における基準信号の受信強度に関してユーザ装置からレポートを受け取るように更に構成される、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項8】
協働マルチポイント送信のための装置であって、
移動ネットワークへの接続を与えるように構成された接続ユニットと;
基準信号を測定するための構成情報を受信するように構成されたプロセッサと;
を備え、その構成情報は、受信強度の異なる基準信号が送信される時間間隔に関する指示を含み、前記構成情報は、チャンネル状態情報基準信号のアクチベートパターンに関する指示を含み、ここで前記アクチベートパターンは強い信号強度を有するチャンネルコンポーネントと弱い信号強度を有するチャンネルコンポーネントを分離させるものである、装置。
【請求項9】
前記構成情報は、基準信号の送信をコントロールするために使用されるミュート及び/又は電力上昇スキームに関する指示を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、更に、強い又は弱い基準信号を受信するように前記接続ユニットを適応させるために前記時間間隔において前記接続ユニットの入力ダイナミックレンジを調整するように構成される、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記基準信号の受信強度に関するレポートを送信するように構成される、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項12】
処理装置で実行されるときに請求項1又は2に記載のステップを遂行するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弱いチャンネルコンポーネントを推定するための装置、方法及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本書で使用する略語には、次の意味を適用する。
ADC:アナログ/デジタルコンバーター
AGC:自動利得コントロール
AP:アクセスポイント
CA:協働エリア
CC:チャンネルコンポーネント
CDM:コード分割多重化
CoMP:協働マルチポイント送信
CSI:チャンネル状態情報
eNB:改善型ノードB
FDM:周波数分割多重化
IQ:基本帯域表現における信号のコンポーネント
ISD:サイト間距離
JT:共同送信
LTE:長期進化
LTE−A:LTE−アドバンスト
MIMO:多入力多出力
MSE:平均二乗エラー
MU:マルチユーザ
OFDM:直交周波数分割多重化
RE:リソースエレメント
RS:基準信号
RSRP:基準信号受信電力
Rx:受信
SI:調査アイテム
SINR:信号対干渉及び雑音比
TDM:時分割多重化
Tx:送信
UE:ユーザ装置
WB:ワイドバンド
【0003】
本発明の実施形態は、3GPP、LTE、LTE−Aのような移動無線システム概念、特に、CoMPのための将来の最適化に関する。EUファンドプロジェクトArtist4Gでは、アドバンストCoMPがダウンリンク送信に対して試験されており、特に、IFM−Aと称する新規な干渉軽減スキームが共同送信(JT)CoMPに基づいて開発された。この新規な干渉軽減の枠組みは、3GPP CoMP SIからこれまで報告されているものに勝る顕著な性能利得を約束して開発されたものである。例えば、同様のシミュレーション仮定では、4×2 MU MIMOシナリオを基準として比較すると、干渉軽減(IFM−A)枠組みに対して200%を越える利得が可能であると思われる。両方のケースは、理想的なチャンネル推定のためのものであるが、CoMPシステムではより高い感受性が期待される。
【0004】
実際的なJT CoMPシステムでは、正確なチャンネル推定が非常に重要であり、これは、IMF−Aでは、弱いチャンネルコンポーネントについて特に言えることである。チャンネル推定の改善は、システムレベル性能を高める上で役立つことが分かった。
【0005】
それ故、上述した性能利得の顕著な部分をレバレッジするには非常に精巧なCSI推定及びフィードバック概念が要求され、これは、低い移動速度から非常に適度な移動速度に対しても言えることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、特に、弱いチャンネルコンポーネントのチャンネル推定に関してCSI推定クオリティを著しく改善することが望まれる。同時に、基準信号オーバーヘッドを小から中程度に保持しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、この状態に対処するもので、改善されたチャンネル推定クオリティを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ユーザ装置(UE)側での基準信号の受信強度に基づいて異なる時間間隔で基準信号が送信されるように基準信号の送信をコントロールする装置及び方法が提供される。
【0009】
基準信号の送信をコントロールするためにミュート及び/又は電力上昇スキームが使用される。
【0010】
時間間隔は、動的に定義される。
【0011】
ユーザ装置は、時間間隔について通知される。
【0012】
ユーザ装置における基準信号の受信強度についてのユーザ装置からのレポートが受け取られる。
【0013】
協働マルチポイント送信の場合に、チャンネル状態情報基準信号アクチベートパターンが適用される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、基準信号を測定するための構成情報を受け取り、その構成情報は、受信強度の異なる基準信号が送信される時間間隔に関する指示を含むものである装置及び方法が提供される。
【0015】
構成情報は、基準信号の送信をコントロールするために使用されるミュート及び/又は電力上昇スキームに関する指示を含む。
【0016】
受信器の入力ダイナミックレンジは、強い又は弱い基準信号を受信するように受信器を適応させるために各時間間隔に調整される。
【0017】
基準信号の受信強度に関するレポートが送信される。
【0018】
協働マルチポイント送信の場合に、構成情報は、チャンネル状態情報基準信号アクチベートパターンに関する指示を含む。
【0019】
本発明の更に別の態様によれば、処理装置のためのプログラムを備え、処理装置において各プログラムが実行されたとき本発明の方法を遂行するためのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0020】
コンピュータプログラム製品は、各ソフトウェアコード部分が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。
【0021】
コンピュータプログラム製品は、処理装置の内部メモリに直接的にロードすることができる。
【0022】
これら及び他の目的、特徴、細部、及び効果は、添付図面を参照してなされた本発明の実施形態の以下の詳細な説明からより完全に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】単一の協働エリア(CA)が36本のワイドバンド(WB)ビームで27個のUEにサービスする状態を示す。
図2】本発明の一実施形態によるサイトアクチベーションパターンを示す。
図3】LTEリリース10のLTE−Aに対して定義されたCSI RSを示す。
図4】本発明の一実施形態により異なるカバーシフトへのチャンネル推定概念の拡張を示す。
図5A】弱い及び強いチャンネルコンポーネントを測定する問題、及び本発明の実施形態による解決策を示す。
図5B】弱い及び強いチャンネルコンポーネントを測定する問題、及び本発明の実施形態による解決策を示す。
図5C】弱い及び強いチャンネルコンポーネントを測定する問題、及び本発明の実施形態による解決策を示す。
図6A】本発明の実施形態による装置の一例を示す。
図6B】本発明の実施形態による装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を以下に説明する。しかしながら、この説明は、一例としてなされたものに過ぎず、ここに述べる実施形態は、本発明をそれに限定するものであると理解してはならない。
【0025】
しかしながら、本発明の実施形態を詳細に説明する前に、チャンネル推定クオリティを改善する問題に関する幾つかの事柄を以下に述べる。
【0026】
特に、上述した干渉軽減枠組みについては、1つの重要な役割は、ネットワーク全体を舗装するいわゆる協働エリア(CA)を、いわゆるカバーシフト概念と共に新規な干渉フロアシェーピング技術によりデカップルし、主として重畳するCAにすることである。
【0027】
これは、性能分析に関して非常に有益であり、又はここでは、より重要なチャンネル推定に関して、試験を単一のCAに限定することができる。不都合なことに、単一のCAのサイズは、比較的大きくなければならず、例えば、規範的に3つのサイトを含み、サイト当たり3セクタのケースでは9個のセルとなる。セル当たり4個のTxアンテナとの組み合わせでは、各CAは、合計36個のチャンネルコンポーネント(CC)で形成される。
【0028】
CA内の多数のCCは、非常に小さいので、いわゆる部分的CoMP概念は、レポートを、Rx電力がスレッシュホールドTHより高い当該CCに制限する。理想的なCSI推定に比して僅かな質低下しか生じないように選択されたスレッシュホールドでは、幾つかのUEのための当該CCが数個から10個又は20個となる。
【0029】
図1は、UEに対するCCの典型的な分布を示している。CCの異なる強度エリアは、異なるグレーの陰影により指示されている。図1の例は、36本のWBビーム(x軸)で27個のUE(y軸)にサービスする単一のCAを示している。色、又はより正確には、グレースケールは、CCの信号強度|hkm2、従って、量子化ビットの最適な割り当てに関連している。強度が前記スレッシュホールドTHより低いためにレポートされない非レポートCCSは、暗である。右側では、ある電力ウインドウのためのCCの数が与えられ、そして更に、簡単なIQ量子化のための理想的な要求ビット数が与えられる。
【0030】
明らかなように、図1の例では、最も高い強度(1.4から2.0の電力値)を有する13CC;1から1.4の電力値をもつ47CC;0.7から1の電力値をもつ46CC;0.5から0.7の電力値をもつ47CC;及び0.5より低い電力値をもち且つスレッシュホールドTHより高い185CC;がある。Rx電力の低下と共に、要求されるCSI推定精度が高くなることが明らかである。これは、重大な挑戦を招く。というのは、弱いチャンネルは、本来、推定がより困難であると同時に、正確さの要件が著しく厳格なためである。
【0031】
ダイナミックレンジが広い専門の測定装置を仮定すれば、弱いCC及び強いCCの推定を許すために直交CSI RSの受信をほぼ干渉のないものに保証するに充分である。しかしながら、典型的なUEは、コスト上の理由で、今日、例えば、20からおそらく25dBという極めて制約されたダイナミックレンジである。更なる進化で、ダイナミックレンジは、おそらく30dBに改善できるが、これは、上述した要件から依然外れている。
【0032】
本発明の実施形態は、各Txアンテナから各UEへの信号強度を示す図1から得られる幾つかの観察を利用する。弱いCCの場合、正確さの要件が高まり(ここでは、右側において、所与の数の量子化ビットから見られる)、これは、多数の弱いCCによって部分的に説明することができる。
【0033】
ここで、重要なことは、弱いCCの場合に、上位ビットは意味がなく、省略できることである。言い換えると、最も強いCCに対する絶対的なCSI精度は、弱いCCの場合に高くなるが、CC当たりの相対的な精度は、全てのレベルのRx電力に対してほぼ一定である。それ故、この相対的な精度は、非常に低く、且つ25から30dBの範囲であり、即ち将来のUEのダイナミックレンジである。
【0034】
この知識を利用できるが、UEが強いCC及び弱いCCを1つのOFDM記号において同時に推定しなければならないことを回避するために適応CSI RS概念を要求する。そのようなケースでは、CSI RSが異なる周波数ビンにある場合でも、強い信号が弱い信号を無効化する。図1を更に見ると、強いCCは、サービングセルを含むサイトから送信され、そして弱いCCは、典型的に、他のサイトからのものであることが示される。
【0035】
それ故、図2による異なるサイトのためのCSI RS送信のアクチベーションパターンが提案され、即ち各CAにおいて、一度に1つのサイトだけがアクティブであり、そして他の2つのサイトがミュートされる。特に、図2は、最適な相互の直交性を保証する、ここに提案するサイトアクチベーションパターンを示す。同じ色(より正確には、グレースケール)のドットは、CSI−RSの同時送信を指示する。WBビームの異なる色(より正確には、グレースケール)は、相互に直交するCSI−RSを指示する。図2の中の数字は、協働エリアのWBビームへのインデックスを指示する。各セルは、4つのWB(ワイドバンド)ビームを有し、各サイトは、3つのセルを有し、即ち3×4本のWBビームを有する。各共同エリアは、3つのサイトより成る(三角形で示された)。従って、各協働エリアには、全部で3×12=36本のWBビームがある。
【0036】
ここに示す実施形態によれば、他のCAからの相互干渉を最小にするために、隣接サイトにおいて常に直交RS(例えば、FDM又はTDMによる)が使用されるようにサイトアクチベーションが整合される。その結果、同じCSI RSを送信する次のサイトまでの距離は、少なくとも3つのサイト間距離(ISD)であり、それ故、極めて弱い干渉しか発生しない。
【0037】
この概念は、更に、弱いセル及び強いセルからの信号をUEにおいて同時に受信するのを回避するために送信を一度に1つのサイトに制限することを要求する。UEは、強いCC又は弱いCCのいずれかに対してCSI RSを受信し、UEがそのダイナミック入力レンジをRx電力に基づいて最適に適応させるようにすることが重要である。これは、AGCを適応させることにより行われるか、又はより進歩した形態では、更なるUE処理のためにアナログ/デジタルコンバータ(ADC)の上位ビット又は下位ビットを使用することにより行われる。
【0038】
弱い信号と強い信号との間の直交性は、図3に示すように、LTEリリース10に従って典型的なCSI RSサブフレームからOFDM記号9及び10を使用するように示唆する。それらの記号は、CSI RSのみを含み、付加的なデータは含まず、そしてそれらは、12個のアンテナポートを伴うサイト(3つのサイト、4つのTxアンテナ)がAP当たり2つのREをもつことができるように24のREを与える。これは、チャンネル推定の周波数選択性を高めるために使用されねばならない。
【0039】
更なる部分として、図4は、CSI RSの割り当てを、全体的な干渉軽減概念の部分として異なるカバーシフトにどのように適用するかも示している。この例では、上部の行は、番号1から18で示された全部で18本のWBビームを伴う3つのサイトを各々含む2つのCAを示す。下部の行は、カバーシフトの後の2つのCAを示し、即ちCAは、例えば、上部の行において右のCAに属している2つのサイトが、ここで、下部の行の左のCAに属するようにシフトされる。グレーのブロックは、干渉フロアシェーピングによるCAのデカップリングを指示する。このデカップリングは、セルの個々の垂直アンテナの傾斜及び電力割り当てにより達成される。より正確には、インバウンドのWBビームは、低い垂直傾斜と高いTx電力を使用し、一方、アウトバウンドのWBビームは、強い垂直傾斜と組み合わせて低いTx電力を有する。
【0040】
従って、上述した実施形態によれば、次のような測定が実行される。
【0041】
CSI RSサイトアクチベーションパターンを適用して、強いCCと弱いCCを分離させる。上述したサイト当たりのアクチベーションは、一例に過ぎない。
【0042】
更に、隣接するCAにおいて同時にアクティブなものに対して直交CSI RSを使用し、同じCSI RSを送信するアクティブなサイト間の距離が最大となるようにする。
【0043】
UEは、強いCC又は弱いCCに対する入力ダイナミックレンジを個々に調整して、同じ相対的正確さで全てのCCを推定できるようにする。
【0044】
更に、OFDM記号9及び10は、CSI RSの送信だけに使用され、OFDM記号は、CSI RSしか搬送しない。さもなければ、データ信号をミュートしなければならないか、又はUEが強い信号及び弱い信号を同時に受信することになる。
【0045】
同じCSI RSが全てのカバーシフトに適用される。その結果、各カバーシフトにおいて、あるAP範囲をもつCSI RSは、異なるサイトからと考える。従って、サイトの信号強度も変化し、UEに知らされねばならない。
【0046】
上述した実施形態の具現化に関する幾つかの細部を以下に説明する。
【0047】
UE側での典型的な具現化について上述した。UE当たりのAGC値の適応は、全ての当該CCに対して半スタティックなRSRP測定に基づき実行されねばならない。理想的には、それらのRSRP値をeNBに報告して、どのUEがどんな強度をもつどんなCCを見るかについての知識を得るようにしなければならない。これは、送信されるCSI RSのグループ化を更に最適化して、強いCC及び弱いCCを全てのUEに対してできるだけ分離するようにすることができる。
【0048】
各サイトは、4つのAPをもつ3つのセルを有するので、特に弱いチャンネルにとってCSI推定精度を改善するために各電力上昇は更に別の自然のオプションである。各セルにおいてCSI RSの1/3だけがアクティブであるから、4.7dBの上昇電力が考えられる。
【0049】
今までのところ、オーバーヘッドは、非常に低く約4.3%であり(24RS各フレーム10ms24/168/10=0.0043)、従って、AP当たりのREの数を2倍又は3倍にすることも考え、例えば、3又は4.7dBの更なる雑音及び干渉減少を与えると共に、オーバーヘッドを10%以下又はその近辺に依然保持することができる。
【0050】
従って、全体的な概念は、今や、非常にパワフルである。
【0051】
若干改善されただけのUEでも、弱いないし非常に弱いチャンネルコンポーネントを、Rx電力強度に関わりなく、非常に高い精度で且つ同様の性能で推定することができる。ミューティング及び電力上昇概念と全体的な干渉軽減枠組みとの組み合わせで、アクティブなCSI RSにおいて極めて低いセル間干渉を達成する。チャンネル推定は、CAの相互デカップリングからのユーザデータと同様に有益であり、そして従来のセルラーネットワークに比して多数の種類の高いチャンネル推定性能を許す。
【0052】
弱い及び強い基準信号の測定に関する問題と、本発明の実施形態によるその解決策を、図5Aから5Cを参照して以下に詳細に説明する。
【0053】
上述したように、弱いチャンネルコンポーネント(CC)を推定するためには(図5Aを参照)、2つの主たる問題がある。第1に、それらCCに対するSINRが悪い。上述した実施形態に示したように、これは、基本的に希薄なCSI RSに対して充分な直交リソースを保証する適切なシステム設計により解決することができる。
【0054】
より詳細には、図5Aは、非常に強い及び多数の比較的弱いチャンネルコンポーネントを伴う協働エリアにおける典型的な状態を示している。ノイズフロア及びCSI RS間干渉フロア(適切な干渉信号設計により影響される)に基づいて、弱いチャンネルコンポーネントは、高いSINRも有するが、強いチャンネルコンポーネントにより隠されることがある。
【0055】
実世界のシステムのための第2の問題は、UE能力に限度があり、即ちUE受信器のダイナミックレンジに限度があることであり、これは、典型的に、20から、おそらく25dBの範囲である。強いCCに適応させることにより、弱いCCは、この強いCCによりある程度隠される。UEが弱いCCに適応するよう試みられる場合には、受信器は、オーバーフローして、有用なチャンネル推定を不可能にする。図5Bを参照されたい。
【0056】
図5Bは、弱いチャンネルコンポーネントが強いチャンネルコンポーネントによりマスクされ、弱いチャンネルコンポーネントの推定精度を制限することを詳細に示している。
【0057】
弱いCCでは、CSI RSが、最も強いCSI RSのRx電力より低い10から20dBであることを意味していることに注意されたい。例えば、適切なチャンネル予想について、そのようなCSI RSを高い精度で推定するために、30から40dBのダイナミックレンジが必要となる。
【0058】
従って、本発明の実施形態によれば、1つは、強いCCの推定、及び第2は、弱いCCの推定、の2つの測定段階が導入される。eNBは、ある測定及び時間において、弱いCCのみ又は強いCCのみがオンエアされることを保証する。
【0059】
図5Cは、2つの測定段階をもつ、ここに提案するスキームを示す。「弱いCC」段階では、強いCC(CSI RS1)がスイッチオフされて、UEがそのAGC値を適応させられるようにし、UEの全ダイナミックレンジ及び/又は最適なダイナミックレンジを弱いCC(CSI RS2)の推定に使用できるようにする。
【0060】
この提案の有益さは、弱いCC及び強いCCの正確な測定を同様の精度で行えることである。これは、システム全体の設定で、全てのCCの全てのCSI RSに対して良好なSINRを保証するという仮定のもとで言えることに注意されたい。
【0061】
具現化のために、CSI測定を、ここで、eNBとUEとの間で調和させて、UEが、どのタイムスロットにおいて弱い又は強いCSI RSだけが生じるか厳密に知って、それに応じてそのAGC値を適応させられるようにしなければならない。
【0062】
これらの測定段階が直接的に標準化されるか、又はeNBが情報に基づいてPDCCHを経てUEへブロードキャスト又は送信しなければならない。
【0063】
それら実施形態による装置のある例が示された図6A及び6Bを参照して一般的な実施形態を以下に説明する。
【0064】
図6Aは、本発明の一般的な実施形態により、ネットワークコントロール要素、ベースステーション、等の対応装置の一例としてeNB1を示す。eNB1は、接続ユニット12(例えば、トランシーバ)及びプロセッサ11を備えている。接続ユニット12は、ネットワーク(例えば、図6Bに示す少なくとも1つのユーザ装置2)への接続を与えるように構成される。プロセッサ21は、ユーザ装置(UE)側での基準信号の受信強度に基づいて基準信号が異なる時間間隔で送信されるように、基準信号の送信をコントロールするよう構成される。
【0065】
例えば、基準信号は、弱い基準信号及び強い基準信号を含み、弱い基準信号は、第1の時間間隔中に送信され、そして第2の基準信号は、第2の時間間隔中に送信される。弱い基準信号と強い基準信号との間を区別するためにスレッシュホールドが使用される。
【0066】
ある変形例によれば、多数のスレッシュホールドが使用されてもよく、即ち、ある受信強度範囲をもつ基準信号がある時間間隔で送信され、複数の受信強度範囲及びそれに対応する時間間隔が適用される。
【0067】
又、プロセッサ11は、時間間隔を定義するように構成されてもよいし、或いは又ネットワークにおいて時間間隔を事前に構成してもよい。
【0068】
プロセッサ11は、ユーザ装置(例えば、図6Bに示されたUE2)に時間間隔について通知するように構成される。
【0069】
図6Bは、基準信号に対して測定を行うことのできる装置の一例としてユーザ装置(UE)2を示している。UE2は、接続ユニット22(例えば、トランシーバ)及びプロセッサ21を備えている。接続ユニット21は、ネットワーク(例えば、図6Aに示すeNB1)への接続を与えるように構成される。プロセッサ21は、基準信号を測定するための構成情報を受け取るように構成され、その構成情報は、異なる受信強度の基準信号が送られる時間間隔に関する指示を含む。
【0070】
更に、プロセッサ21は、基準信号を測定するための利得調整を遂行するように構成される。
【0071】
例えば、プロセッサ21は、特定の時間間隔中の基準信号の受信強度に基づき基準信号測定のための利得コントロールパラメータを調整するように構成される。
【0072】
利得コントロールパラメータは、例えば、AGCパラメータである。
【0073】
又、eNB1及びUE2は、データ及びプログラムを記憶するためにメモリ13及び23を各々備え、それにより、対応するプロセッサが、対応する機能を実行することができる。
【0074】
基準信号は、例えば、本発明の実施形態に関連して上述したCSI RSである。
【0075】
弱い基準信号及び強い基準信号は、互いに直交している。
【0076】
本発明の更に別の態様によれば、上述したプロセッサにより実行される機能を遂行することを含む方法も提供される。
【0077】
更に、処理手段又はモジュールにおいて実行されたときに前記方法のいずれかを遂行するためのコード手段を含む対応コンピュータプログラムも提供される。
【0078】
従って、より詳細には、本発明の実施形態によれば、ベースステーションにおけるTX信号のコントロールは、強い及び弱いCSI RSを異なる時間間隔においてUEにより測定でき、そしてCSI RS測定のためのAGCパラメータを調整するために各間隔についてUEに通知するように、遂行される。
【0079】
前記実施形態及び本発明は、一般的に、上述した特定の例に限定されないことに注意されたい。
【0080】
前記いずれの変更も、それらが代替物を除外すると明確に指示されない限り、それらが参照する各態様及び/又は実施形態に単一で又は組み合わせて適用できることを理解されたい。
【0081】
上述した本発明の目的に対して、次のことに注意されたい。
−おそらくソフトウェアコード部分として具現化され、そして(デバイス、装置及び/又はそのモジュールの例として、或いは装置及び/又はモジュールを含むエンティティの例として)ネットワーク要素又はターミナルにおいてプロセッサを使用して実行される方法ステップは、ソフトウェアコード独立であり、且つその方法ステップにより定義される機能が保存される限り既知の又は将来開発されるプログラミング言語を使用して明示することができ;
−一般的に、いずれの方法ステップも、具現化される機能に関して本発明の考え方を変更せずにソフトウェアとして又はハードウェアにより具現化するのに適しており、
−上述した装置又はそのモジュールにおいておそらくハードウェアコンポーネントとして具現化される方法ステップ及び/又はデバイス、ユニット又は手段(例えば、上述した実施形態による装置の機能を実施するデバイス、eNodeB、等)は、ハードウェア独立であり、そして既知の又は将来開発されるハードウェア技術或いはそれらのハイブリッド、例えば、MOS(金属酸化物半導体)、CMOS(相補的MOS)、BiMOS(バイポーラMOS)、BiCMOS(バイポーラCMOS)、ECL(エミッタ結合ロジック)、TTL(トランジスタ・トランジスタロジック)、等を使用し、例えば、ASIC(特定用途向けIC(集積回路))コンポーネント、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)コンポーネント、CPLD(コンプレックスプログラマブルロジックデバイス)コンポーネント、又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)コンポーネントを使用して具現化することができ;
−デバイス、ユニット又は手段(例えば、上述した装置、又はそれらの各手段のいずれか)は、個々のデバイス、ユニット又は手段として具現化できるが、これは、デバイス、ユニット又は手段の機能が保存される限り、システム全体にわたって分散された形態で具現化されることを除外するものではなく;
−装置は、半導体チップ、チップセット、又はそのようなチップ又はチップセットより成る(ハードウェア)モジュールによって表わされるが、これは、装置又はモジュールの機能が、ハードウェアで実施されるのではなくて、(ソフトウェア)モジュールにおけるソフトウェア、例えば、プロセッサ上で実行/ランするための実行可能なソフトウェアコード部分より成るコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品として具現化される可能性を除外するものではなく;
−例えば、機能が互いに協働するか、互いに独立であるが、同じデバイスハウジング内にあるかに関わらず、デバイスは、装置、又は2つ以上の装置のアッセンブリとしてみなされる。
【0082】
以上に述べた実施形態及び実施例は、例示のために過ぎず、本発明をそれに限定するものではないことに注意されたい。
【符号の説明】
【0083】
1:eNB
2:UE
11:プロセッサ
12:接続ユニット
13:メモリ
21:プロセッサ
22:接続ユニット
23:メモリ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B