(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱変換器の流路が、平行な流れのために構成された複数の前記再生器部分を有し、かつ、前記再生器流れ面積が、前記複数の再生器部分に関連付けられた全体的な面積を有する、請求項1に記載の装置。
前記機械的変換器が、平行に構成された複数の機械的変換器を有し、かつ、前記ダイヤフラム表面積が、前記複数の機械的変換器に関連付けられた全体的なダイヤフラム表面積を有する、請求項1に記載の装置。
前記圧縮チャンバーと前記流路との間の前記伝達ダクトが、第1の断面積を持ち、かつ、前記膨張チャンバーと前記流路との間の前記伝達ダクトが、第2の断面積を持ち、かつ、前記第1の断面積が、前記第2の断面積を下回っている、請求項4に記載の装置。
前記伝達ダクトが、前記圧縮チャンバーにおける圧力振動と、前記膨張チャンバーにおける圧力振動との間で、約360度の位相変化を生じるよう選択された、それぞれの長さを持っている、請求項1に記載の装置。
当該装置が、前記少なくとも1つのダイヤフラムに結合された機械的ばねをさらに有し、前記少なくとも1つのダイヤフラムに作用する全体的な剛性に部分的に依存する共振振動数で弾性変位が起こり、前記全体的な剛性が、少なくともダイヤフラム剛性、前記少なくとも1つのダイヤフラムに影響する作動ガスに起因するガス剛性、および、前記機械的ばねに関連付けられた機械的ばね剛性を含み、かつ、前記機械的ばね剛性に関連付けられた全体的な剛性への寄与が、全体的な剛性の少なくとも半分を有する、請求項1に記載の装置。
前記機械的ばねが、前記少なくとも1つのダイヤフラムと、前記圧縮チャンバーおよび前記膨張チャンバーのうちの一方の1つのチャンバー壁との間に結合された弾性壁部分を有し、該弾性壁部分が、前記少なくとも1つのダイヤフラムの弾性変位を助長しながら前記チャンバー内に前記作動ガスを含むためのシールを提供するように作動可能である、請求項8に記載の装置。
前記弾性壁部分が、前記少なくとも1つのダイヤフラムと前記チャンバー壁との間に延びる円筒管を有し、前記管は、該管の円筒軸と概して一線上に並ぶ方向に弾性的に変形するよう構成されている、請求項12に記載の装置。
前記円筒管が、前記少なくとも1つのダイヤフラムに結合された第1の円筒管部分と、前記チャンバー壁に結合された第2の円筒管部分とを有し、前記第1および第2の円筒管部分が、同軸状に配置され、折り重ねられた円筒管を形成するように共に結合されている、請求項13に記載の装置。
前記圧縮チャンバーおよび前記膨張チャンバーのうち少なくとも1つの広がりが、前記チャンバーと、前記それぞれの伝達ダクトとの間の音響的な結合を助長するための所望の音響インピーダンスを提供するよう選択されている、請求項1に記載の装置。
前記圧縮チャンバーおよび前記膨張チャンバーが、前記少なくとも1つのダイヤフラムの表面に概して平行な方向に前記それぞれのチャンバー内のガス流を向けるように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記少なくとも1つのダイヤフラムが、該ダイヤフラムにおける応力集中を低減させるように選択された、該ダイヤフラムを越えてわたる厚さプロフィールを持っている、請求項1に記載の装置。
前記伝達ダクトのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、複数のダクトを有しており、該複数のダクトは、前記それぞれのチャンバーと前記熱変換器の前記流路との間に平行な流体連通を提供するように配置されている、請求項1に記載の装置。
前記熱変換器が、前記熱変換器と前記機械的変換器との間の伝熱を低減するための熱緩衝部を有し、前記熱緩衝部は、前記流路と、前記膨張チャンバーおよび前記流路の間で延びる前記伝達ダクトとの間で流体連通している、請求項1に記載の装置。
前記伝達ダクトのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、複数のダクトを有しており、該複数のダクトは、前記熱変換器の前記流路と、前記それぞれのチャンバーとの間に、平行な流体連通を提供するよう配置されている、請求項26に記載の装置。
前記伝達ダクトのうちの少なくとも1つが、前記それぞれのチャンバーと前記熱変換器の前記流路との間に流体連通を提供する共通の部分を有する、請求項26に記載の装置。
前記第1の機械的変換器に関連付けられた前記少なくとも1つのダイヤフラムの弾性変位が、第1の軸に沿って方向付けられた周期的な力を生成し、前記第2の機械的変換器に関連する前記少なくとも1つのダイヤフラムの弾性変位が、第2の軸に沿って方向付けられた周期的な力を生じ、前記それぞれの周期的な力が互いを実質的に相殺させるべく、前記第1の軸および第2の軸が概して向けられるよう、前記第1および第2の機械的変換器が配置されている、請求項26に記載の装置。
前記少なくとも1つのダイヤフラムが、圧縮チャンバーダイヤフラムと膨張チャンバーダイヤフラムとを有し、前記それぞれの圧縮チャンバーと膨張チャンバーダイヤフラムが、前記機械的変換器の前記ダイヤフラムとして作動するよう実質的に一致して移動するように、機械的に結合されている、請求項1に記載の装置。
前記伝達ダクトのうちの少なくとも1つが、前記音響パワーループ内の圧力振動に応じて屈曲する内壁を有し、かつさらに、外壁を有し、該外壁は、前記内壁辺りで配置され、前記内および外壁間の絶縁容積を定めており、前記絶縁容積が、作動ガス圧力より低い静的圧力へとチャージされ、かつ、内壁の屈曲によって発生する音/振動を減衰するよう作動可能である、請求項1に記載の装置。
前記熱変換器が、それそれが関連する流路を持つ少なくとも第1の熱変換器および第2の熱変換器を有し、前記第1および第2の熱変換器の前記それぞれの流路間を延びて前記音響パワーループの一部を形成する伝達ダクトをさらに有する、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による熱音響トランスデューサ装置が、概して100で示されている。当該装置100は、音響パワーと機械的パワーとの間のパワー変換を提供するよう作動可能な機械的変換器102を含んでいる。機械的変換器102は、該機械的変換器内に圧縮チャンバー106と膨張チャンバー108とを定めるダイヤフラム104を含んでいる。該ダイヤフラムは、関係付けられたダイヤフラム表面積A
sを持っている。
【0042】
当該装置100はまた、流路116を含む熱変換器114を含んでいる。流路116は、音響パワーと熱的パワーとの間のパワー変換を提供するために熱的に結合された再生器部分(regenerator portion)120を含んでいる。再生器部分120は、再生器流れ面積A
Rを持っている。
【0043】
機械的変換器102は、伝達ダクト110、112を通して、熱変換器114の流路116と流体連通している。伝達ダクト110は、圧縮チャンバー106と流路116との間を延び、伝達ダクト112は、膨張チャンバー108と流路との間を延びる。伝達ダクト110、112は、圧縮チャンバー106と膨張チャンバー108との間の流路を通して、音響パワーループ118を完結させる。音響パワーループ118は、作動ガスを含むための作動容積を持ち、である。したがって、音響パワーループ118における作動容積は、圧縮および膨張チャンバー106、108内の容積、伝達ダクト110、112の容積、ならびに熱変換器114内の流路116の容積で構成される。一実施形態では、作動容積における作動ガスは、約80Barの静的圧力p
mのヘリウムを有する。
【0044】
一実施形態では、伝達ダクト110および/または伝達ダクト112は、円筒壁を有し得るが、他の実施形態では、ダクトは、非円筒壁を持ち得る。伝達ダクト110は、第1の断面積A
1を持ち、伝達ダクト112は、第2の断面積A
2を持つ。示される実施形態では、伝達ダクト110、112は、それぞれのダクトの長さに沿って均一な断面を持つとして示されているが、他の実施形態では、ダクトの断面は、それらのそれぞれの長さに沿って異なり得る。
【0045】
当該装置100の作動中、ダイヤフラム104は、音響パワーループ118内で圧力振動を生じるべく弾性変位するよう作動可能であり、したがって、作動容積内の作動ガス圧力は、p
m±|p|(ここで、|p|は、差圧揺動振幅(differencial pressure swing amplitude)である)の間で振れることになる。ダイヤフラム104が変位して、圧縮チャンバー106の容積を環状に縮小および拡大するとき、作動ガスにおいて生じる圧縮および希薄化は、伝達ダクト110を通って熱変換器114に伝播する音響パワーを発生する。
【0046】
一実施形態では、熱変換器114の再生器部分120は、熱エネルギーを外部源122から受け取り、熱エネルギーを外部シンク124に伝達し、装置を熱機関として作動するために熱エネルギーの一部分を音響エネルギーに変換するように構成されている。その場合、熱変換器114の再生器部分120は、外部源122から供給された熱エネルギーQ
inを音響エネルギーに変換するよう作動し、それによって、熱変換器114の再生器部分120を通して移動する音響パワーを増幅する。熱変換器114を離れる、増幅した音響パワーは、伝達ダクト112に沿って伝播して機械的変換器102に戻り、該機械的変換器において、それは、膨張チャンバー108内で受け取られる。膨張チャンバー108における増幅した音響パワーに起因する圧力振動は、ダイヤフラム104を環状に変位するよう作動可能であり、それによって、音響パワーを圧縮チャンバー106に戻すように伝達する。ダイヤフラム104は、外部システム(
図1には図示せず)に機械的パワーを伝送するために結合され得る。したがって、熱変換器114における音響パワーの増幅は、ダイヤフラム104の周期的な運動を維持するために十分なパワーを提供すると同時に、有用な機械的出力パワーをも提供する。上述のプロセスは、当該装置100に関連付けられた固有振動数で機能する。
【0047】
あるいは、装置をヒートポンプとして作動するためには、機械的パワーは、ダイヤフラムの環状変位を生じるためにダイヤフラム104に伝送される。熱変換器114の再生器部分120は、当該装置100内で発生した音響エネルギーを受け取るように、そして、外部源122の温度よりも高い温度で、音響エネルギーを外部源122から外部シンク124ヘの熱エネルギーの伝達に変換するように構成されている。
【0048】
熱変換器114の再生器部分120は、関連付けられた再生器流れ面積A
Rを持ち、示される実施形態では、ダイヤフラム表面積A
sは、再生器流れ面積よりも大きい。本実施形態では、再生器流れ面積A
Rはまた、それぞれの伝達ダクト110、112の第1および第2の断面積A
1、A
2よりも大きい。
【0049】
他の実施形態では、熱変換器114の流路116は、平行な流れのために構成された複数の再生器部分120を含み得、再生器流れ面積A
Rは、複数の再生器部分に関連付けられた全体的な面積を含み得る。同様に、機械的変換器102は、平行に構成された複数の機械的変換器を含み得、ダイヤフラム表面積A
sは、複数の機械的変換器に関連付けられた全体的なダイヤフラム表面積を含み得る。
【0050】
ループに沿った少なくとも1つの位置が、機械的変換器102における圧力振動と逆位相関係を持つ圧力振動を持つよう、音響パワーループ118はさらに構成される。熱変換器114の再生器部分120において、圧力振動が、機械的変換器102における圧力振動とおよそ逆位相関係を持つように音響パワーループ118が構成され得、それによって、再生器内の粘性損失が低減し得る。
【0051】
伝達ダクト110、112は、圧縮チャンバー106から熱変換器114の再生器部分120へと音響パワーを運び、膨張チャンバー108に戻す伝送ラインとして機能する。概して、ガスで充填されたダクトを通って伝播する音響エネルギー波は、ガスの構成および温度、ならびにダクトの断面積に依存する位相変化を経るであろう。ダクトが異なる断面積のボアを持つ場合、圧相の変化率は、ダクトに沿って異なるであろう。したがって、ダクトを通って伝播する音響エネルギー波は、ダクトの入口と出口の間で振動圧力位相の変化を経ることになる。
【0052】
一実施形態では、伝達ダクト110および伝達ダクト112は、それぞれ、圧縮チャンバー106と膨張チャンバー108との間の音響経路に沿って、約360度の圧力振動の位相変化を生じるように選択されたそれぞれの長さを持つ。
【0053】
上記の位相変化の範囲に対応する伝達ダクトに沿った全体的な位相変化を提供しながらも、さらなる360度の位相変化を含むべく、伝達ダクト110、112のそれぞれの長さはまた、大きくしてもよいことが、容易に理解されるはずである。例として、伝達ダクト110、112の長さは、約720度の位相変化をもたらすべく選択され得るが、該変化が、さらなるダクト損失とは別に、圧縮チャンバー106と膨張チャンバー108とで同じ圧力振動位相変化をもたらすことになる。したがって、伝達ダクト110、112が、圧縮チャンバー106における圧力振動と膨張チャンバー108における圧力振動との間に約360度の初期の位相変化、および、少なくとも1つのさらなる360度の位相変化を起こすべく選択されたそれぞれの長さを持ち得ることによって、音響パワーループ118における全体的な位相変化が、初期の位相変化と同じ効果を持つ。音響パワーループ118に沿って360度の倍数の圧力位相変化を1つ以上含むことによって、伝達ダクト110、112のさらなる長さが、熱変換器114から離れた機械的変換器102の位置付けを助長し得る。
【0054】
音響パワーループ118内の圧力振動は、関係付けられた作動ガス流れ振動を持ち、伝達ダクト110、112は、流れ振動が最少の流れ速度に近い流れ速度を持つ音響パワーループ内の位置近傍で熱変換器114の流路116を配置するよう選択されたそれぞれの長さを持ち得る。一実施形態では、当該装置100は、圧力振動の振動数が約500Hzとなるように構成され得る。約50℃の温度のヘリウム作動ガスについては、500Hzの作動振動数の音の波長は、約2.1メートルであり、これらの条件下では、伝達ダクト110、112それぞれの長さは、約1メートルであり得る。したがって、当該装置100は、機械的変換器102および熱変換器114が離間するよう構成され得、該構成は、炉、または、外部源122および/または外部シンク124を提供する他の機器と併せた作動のために装置が構成される必要があるとき、有利である。
【0055】
機械的変換器
機械的変換器102を実施するための実施形態の概略的な断面図は、概して200で示されている。
図2を参照すると、機械的変換器200は、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206の入ったハウジング202を含んでいる。圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206は、ダイヤフラム208によって分割されている。本実施形態では、ダイヤフラム208は、ハウジング202の周辺部212で支持され、かつ機械的変換器200の中心軸214と一線上に並ぶ(aligned)方向に変位を助長するように構成された弾性壁210を有する。ダイヤフラム208は、下方表面218を持ち、それが、壁の変位中、圧縮チャンバー204の容積を変化させる。同様に、ダイヤフラム208は、上方表面216を持ち、該表面は、壁の変位中、膨張チャンバー206の容積を変化させる。ダイヤフラム208の壁210は、ダイヤフラムにおける応力集中を低減するように選択されたダイヤフラムを越えて渡る厚さプロフィールを持つ。
【0056】
図2の概略図では、機械的変換器200のエレメント同士の間の間隔は、例示的な目的のために大きくしている。実際は、軸214に沿った圧縮および膨張チャンバー204、206の長手方向の広がり(extent)は、約1mmの領域にあり得るだけで、ダイヤフラム208の対応する変位は、例えば、約200μmのピーク振幅を持ち得る。ダイヤフラム208の弾性壁210は、これらの作動条件下、無限の疲労寿命を提供することができる鋼鉄から製造され得る。
【0057】
機械的変換器200は、入力/出力シャフト220をさらに含む。本実施形態では、シャフト220は、ダイヤフラム208と外部エネルギーシステム222との間で結合されている。当該装置100の作動中、ダイヤフラム208は、機械的変換器200と外部エネルギーシステム222との間でエネルギーを結合するために周期的な変位をする。機械的変換器200が、熱機関の一部として作動するように構成されているとき、外部エネルギーシステム222は、機械的エネルギーを電機エネルギーに変換する発電機を有し得る。例えば、示される実施形態では、外部エネルギーシステム222は、交流電流を発生する線状交流発電機を有し得る。あるいは、機械的変換器200が、ヒートポンプとして作動するように構成されているとき、外部エネルギーシステム222は、機械的駆動力をダイヤフラム208へ伝達する電機−機械的作動装置等、原動機を有し得る。
【0058】
機械的変換器200はまた、ダイヤフラム208とハウジング202との間に連結された機械的ばね224を含んでいる。本実施形態では、該機械的ばね224は、弾性外部円筒壁部分226と、弾性内部円筒壁部分228とを含み、これらは、同軸上に配置されており、環状壁部分230によって結合することによって折り重ねられた円筒状のチューブばね(tube spring)を形成する。外部円筒壁部分226は、ハウジング202に接続されており、内部円筒壁部分228は、ダイヤフラム208に接続されており、チューブばねは、中心軸214と概して一線上に並ぶ方向に弾性的に変形するように構成されている。本実施形態では、機械的ばね224の内部、外部、および環状壁部分226、228、230はまた、ダイヤフラム208の変位を助長しながら、作動ガスを圧縮チャンバー204内に含むためのシールを提供するよう作動可能である。
【0059】
機械的変換器200の圧縮チャンバー204は、伝達ダクト110と流体連通しており、膨張チャンバー206は、伝達ダクト112と流体連通している。
図2に示される実施形態では、伝達ダクト112が、同軸上に配置されていることによって、膨張チャンバー206内のガス流が、中心軸214に対して対称に向けられている。対称に向けられた流れが数学的モデルを使って特徴づけることがより簡単であるという利点を持っている一方、他の実施形態では、熱音響トランスデューサ装置100は、非対称な流れを持ち得る。
図2の実施形態では、伝達ダクト110は、中心軸214からオフセットされているとして示されているが、他の実施形態では、伝達ダクトは、圧縮チャンバー204の縁部に向かって、または、該縁部において、さらにいっそうオフセットされ得る。また他の実施形態では、伝達ダクト110は、局所的流れ集中および局所的損失を最小にするべく、複数のオフセット伝達ダクトを含み得る。したがって、伝達ダクト110は、圧縮チャンバー204と連通し、かつ、中心軸214に対して配置された複数のダクト長さを有し得る。例えば、ガス流は、圧縮チャンバー204の周辺部212近傍に配置されたマニホールドを通って、伝達ダクト110に向けられ得る。マニホールドは、周辺部212と伝達ダクト110との間でガス流を対称に向けるための複数の枝部を含み得、したがって、流れに関連付けられた経路長さが概して同様の長さを持つ。同様に、膨張チャンバー206においては、ガス流はまた、チャンバーの周辺部212近傍に配置されたマニホールドを介して、伝達ダクト112に向けられ得、マニホールドは、周辺部212と伝達ダクト112との間でガス流を対称に向けるための複数の枝部を含み得る。
【0060】
図2に示される機械的変換器200は、従来のインラインピストンまたはダイヤフラム熱音響トランスデューサシステムとは、著しく異なる流れとなるように構成されている。そのようなシステムでは、流れは、ピストンまたはダイヤフラム表面に略垂直である。本文で開示される実施形態では、ダイヤフラム208の弾性壁210は、非常に制限された変位を提供し、その結果、圧縮および膨張チャンバー204、206は、略平面であり、100:1の領域内にあり得る半径と高さとの比率を持つ。機械的変換器が、高い音響インピーダンス(すなわち、チャンバー204、206内の流れ振動と比例した、大きい圧力振動)を持つ。したがって、チャンバー204、206内の作動ガス流は、主に、ダイヤフラム208の表面に沿って、ダイヤフラムの上方表面216および下方表面218に略平行である
【0061】
圧縮および膨張チャンバー204、206はまた、チャンバーとそれぞれの伝達ダクト110、112との間の流れに影響する音響パワーループ118における追加の音響コンプライアンスを提供する。事実上、増大したチャンバー容積によって、よりおおきな音響コンプライアンスを提供するようそれぞれのチャンバーを構成することによって、チャンバー204、206のいずれかへのより大きな流れは収容され得る。増大したチャンバー容積については、よりおおきな流れが、所与の圧力にチャンバーを充填するために必要とされる。また、チャンバー内への流れは、ダイヤフラム208の速度と完全に同調している必要はない。したがって、圧縮および膨張チャンバー204、206の構成は、それぞれのチャンバーの高さを変えることによって、チャンバーとそれぞれの伝達ダクト110、112との間の流れの独立した調整を助長する。
【0062】
熱変換器
図3を参照すると、
図1における熱変換器114を実施するための実施形態が、概して300で示されている。本実施形態では、熱変換器300は、第1の熱交換器302、再生器304および第2の熱交換器306を含んでいる。再生器304は、第1の熱交換器302と第2の熱交換器306との間で延び、それらと流体連通している。第1の熱交換器302は、第1のプレナム308を介して伝達ダクト110と流体連通している。第2の熱交換器306は、熱エネルギーQ
inを外部源122から受け取るよう作動可能であり、熱エネルギーQ
outは、第1の熱交換器302から取り出され、外部シンク124へと伝達される。第1の熱交換器302、再生器304、および第2の熱交換器306を構成するための一般的考察は、"Thermoacoustics," G. W. Swift, 2002 Acoustical Society of America, Melville NY」に開示されている。
【0063】
本実施形態では、熱変換器300はまた、第2のプレナム312と伝達ダクト112との間で流体連通している熱緩衝部310を含んでいる。本実施形態では、熱緩衝部310は、当該装置100の作動中、ダクト内における循環ガス流を通る対流伝熱を低減するような形状である輪郭形成された壁(profiled wall)314を持つダクトを含んでいる。
【0064】
熱変換器はまた、従来の鋼鉄から製造され得る壁318を持つハウジング316を含んでいる。ハウジング316は、第1の熱交換器302、再生器304、第2の熱交換器306、および熱緩衝部310を取り囲み、かつ、ハウジングの壁318に延びる絶縁容積320を定める。第1の熱交換器302、再生器304、および第2の熱交換器306は、壁336を持つ再生器ハウジング334内に入っている。再生器ハウジング334は、伝達ダクト110および熱緩衝部310への流体接続を提供し、第1および第2のプレナム(plenum)308、312は、再生器ハウジングの壁336内に定められている。
【0065】
当該装置100の作動中、再生器304の部分、第2の熱交換器306、および熱緩衝部310は、概して、ハウジング316を取り巻く環境322の周囲温度T
aに対する温度差で作動する。例えば、当該装置100を熱機関として作動しているとき、第2の熱交換器306で受け取られた熱エネルギーによって、少なくとも第2の熱交換器306、再生器304の部分、および熱緩衝部310の一部分の温度が、周囲温度T
a超に上昇する。絶縁容積320は、多孔質のセラミック材料等、絶縁材料で充填されてよく、これは、環境322の周囲温度T
aと異なる温度を持つ熱変換器において、構成部品を絶縁するべく作用する。したがって、絶縁容積320および熱緩衝部310が、ハウジング316の壁318への伝熱を低減するべく機能することによって、壁が周囲温度T
aと近い温度を保つ。一実施形態では、絶縁容積320は、作動ガスの静的圧力p
mとだいたい同じ静的圧力まで、絶縁ガスで満たされてよい。有利には、絶縁容積320を作動ガスと概して同じ静的圧力に充填することは、熱緩衝部の輪郭形成された壁314、再生器ハウジング334の壁336、および伝達ダクト110の壁における応力を低減する。さらに、その場合、これらの壁における応力は、純粋に環状であり、高温クリープは、その場合、もはや関心事ではない。これによって、これらの壁は、かなり、より薄くすることができ、それによって、壁に沿った熱伝導を低減する。一実施形態では、絶縁容積320を充填するのに使用されるガスは、ハウジング316の壁318への伝熱をさらに低減することになる作動ガスではなく、アルゴン等の絶縁ガスであり得る。当該装置100の作動中、ハウジング316は、環境322の周囲温度に近い温度を保ち、絶縁容積320における静的圧力が壁318に作用しても、壁の近い周囲温度の作動に起因して、クリープは、関心事ではなくなった。
【0066】
伝達ダクト110は、第1のポート324において、ハウジング316を通る。当該装置100の作動中、圧縮チャンバー204および伝達ダクト110におけるガスの温度は、周囲温度を上回って著しく上昇せず、したがって、第1のポート324は、有意な温度差に耐える必要はない。伝達ダクト112は、第2のポート326において、ハウジング316を通り、該ポートもまた、有意な温度差に耐える必要はなく、というのは、絶縁容積320がハウジング316の壁318への伝熱を低減し、熱緩衝部310が、伝達ダクト112への伝熱を低減するためである。
【0067】
有利には、当該装置100が熱機関として構成されているとき、上昇した温度で作動する熱変換器300の構成部品の大部分は、ハウジング316内で熱的に絶縁されており、ハウジング316の壁318の作動温度は、周囲温度T
a超には著しくは上昇しない。熱緩衝部310もまた、伝達ダクト112に沿った膨張チャンバー108への伝熱を低減する。本実施形態では、熱変換器は、熱エネルギーQ
inを外部源122から受け取るための温度隔離フィードスルー338を含み、これは、熱機関として作動しているときは、環境322の周囲温度よりかなり高い温度にある。一実施形態では、熱エネルギーQ
inは、高温の熱交換流体ループによって、または、例えば、燃料ガス(図示せず)の燃焼によって提供され得る。第2の熱交換器306は、熱エネルギーQ
inを外部エネルギー源から受け取り、第2の熱交換器を通って再生器304の内部または外部へ流れる作動ガスに、熱を伝達する。
【0068】
代替的には、再生器304は、再生器を通過する作動ガスから熱エネルギーを受け取り、熱エネルギーを作動ガスへ送達する。再生器304は、十分に低い流動摩擦損失を提供すると同時に、再生器を流れるガスとマトリクス材との間で効率的な伝熱を提供するように選択された流れチャネル半径を持つマトリクス材からつくられてよい。再生器マトリクス材は、再生器を通る第1の熱交換器302への熱伝導を低減するべく、軸328の方向に低い熱伝導率を持つべきである。再生器304に好適なマトリクス材は、多孔質セラミック等、多孔質材料、もしくは充填球、または、マイクロ毛管アレイ等、個別の流れチャネルを持つ材料を含み得る。あるいは、積層ワイヤスクリーンまたは巻き線型再生器もまた使用してよい。いくつかの好適な再生器マトリクス材については、Martiniの米国特許4,416,114に記載されており、これは、参照することによって、その全体が本文に組み込まれる。
【0069】
第1の熱交換器302は、該第1の熱交換器を通って流れる作動ガスから熱を受け取り、熱は、熱変換器から、該第1の熱交換器と熱的に連通することになる液体冷却ループ(liquid cooling loop)等、外部の熱交換システム(図示せず)によって取り出される。
【0070】
熱緩衝部310を通した作動ガスにおける音響パワーの伝送を可能にすると同時に、第2のプレナム312近傍の熱緩衝部の端部330と、第2のポート326近傍の熱緩衝部の端部332との間の無給電(parasitic)伝熱を最小にする作動ガスの温度成層型カラムを維持するように、熱緩衝部310は構成されている。無給電伝熱は、熱緩衝部310の壁314における熱伝導、重力駆動の対流流れ、音響駆動式ストリーミング、および熱緩衝部の壁に沿った熱音響バケツリレー熱伝達(thermoacoustic bucket brigade heat transfer)を含むことになる。そうした無給電伝熱については、Swift(上記に参照されている)においてさらに記載されている。熱機関については、端部330は、端部332超に上昇した温度になり、端部332は、ハウジング316の壁318と熱的に連通しており、したがって、概して、環境322の周囲温度近くの温度を維持することになる。他の実施形態では、熱緩衝部310は、端部332における作動ガス温度をハウジング温度の近くに熱的に係留(anchoring)するための端部332近傍の第二次(secondary)の熱交換器を含み得る。当該装置100のヒートポンプ実装については、端部330は、端部332より低い温度にあるであろう。
【0071】
熱緩衝部310は、第2のプレナムと熱緩衝部と間の遷移において、熱緩衝部におけるレーリーストリーミング(Rayleigh streaming)を低減するために、第2のプレナム312と端部330との間に整流器(図示せず)を含み得る。示される実施形態については、整流器は、熱緩衝部310と伝達ダクト112との間の遷移において必要とされないはずであり、というのは、熱緩衝部の直径または方向の急激な変化がなく、そのため、この遷移においてガス流の噴出がないためである。
【0072】
当該装置100を熱機関として作動するとき、熱緩衝部310の端部330は、高い作動温度に耐えなければならないことがあり、その場合、熱緩衝部の少なくとも一部分は、概して、セラミック材料、高融点金属、または高いニッケル含有量の超合金等、高温材料から製造されることになる。有利には、熱緩衝部310は、圧力p
mに変化し得るハウジング316内に配置されるため、熱緩衝部は、完全な静的圧力p
mではなく、差圧振幅±|p|を受けるだけであり、したがって、熱緩衝部料における高温クリープ効果を著しく低減する。
【0073】
概して、熱緩衝部の壁314の形状は、音響駆動式ストリーミングを抑制することによって、作動ガスの温度成層型カラムを助長するよう選択される。輪郭形成された壁314の特定の形状の決定は、Swift et al.の米国特許5,953,920に開示されるテーパ状のパルス管について提供される計算にしたがってよく、これは、その全体が、本文において参照することによって組み込まれる。
図3に示される熱緩衝部310の輪郭形成された壁314は、端部330と端部332との間で小さくなる断面寸法を持つ。示される実施形態では、断面寸法は、熱緩衝部310の輪郭形成された壁314に沿って、概して線形比例して変化する。他の実施形態では、断面寸法は、熱変換器300内の特定の流れ条件および温度勾配に応じて、非線形に変化し得、または、増大することさえもあり得る。
【0074】
2つの端部330、332のうち高温の端部が、重力駆動の対流を低減するために上方に方向付けられるように、熱緩衝部は向いていなければならないという点で、熱緩衝部310を含むことは、熱変換器300の向きに制限を課する。そうした重力駆動の対流は、概して、熱緩衝部310の端部330、332間で有意な無給電(parasitic)伝熱を生じることになる。
【0075】
伝達ダクト
機械的変換器200および熱変換器300は、伝達ダクト110、112で接続されるとき、
図1において100で示されるもの等、熱音響トランスデューサ装置を形成する。伝達ダクト110、112は、概して、装置の所望の性能および作動効率を提供するべく構成されている。本文で開示される実施形態では、音響パワーループ118は、定在波成分と進行波成分との両方を確立するように構成されている。定在波成分は、進行波と重なっており、伝達ダクト110、112の長さを制限するが、音響パワーループ118における音響パワーの流れに寄与しない異相圧力および流れ振幅を持つ。同時に、進行波成分は、音響パワーループ118におけるパワーの流れの原因となるが、ダクト内のさらなる粘性および弛緩損失に起因する振幅の僅かな低下を除いて、ダクトを通る経路によって実質的に変化しないままである。伝達ダクト110、112の追加が、定在波成分と進行波成分との比率の調整を助けることによって、機械的変換器200および熱変換器300における音響損失が出力パワーの一部(fraction)として低減する。しかしながら、伝達ダクト110、112自体が、さらなる損失をもたらす。伝達ダクト110、112の長さおよび断面積の選択には、音響パワーループ118内の機械および熱変換器200、300における損失の低減に対する、かつ、装置の全体的な所望の性能を達成するための構造上の制約に対する、ダクト内の損失のバランシングが関与する。
【0076】
ダイヤフラム208の周期的な運動によって、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206の容積のいくつかの部分がダイヤフラムエレメントによって掃過され、その一方で、それぞれのチャンバー、伝達ダクト110、112、および熱変換器300内の作動容積の残っている部分は、作動容積の未掃過容積(unswept volume)部分を占める。従来のスターリングエンジンは、概して未掃過容積の割合を最小にするよう構成することによって装置の全体的な圧縮比を大きくして、それによって、作動効率を上げる熱音響トランスデューサの一例である。従って、従来の構成においては、機械的変換器200と熱変換器300との間の任意のダクト長さが、未掃過容積を小さくするために、最小になるか、または、なくなりさえもするであろう。したがって、伝達ダクト110、112等、ダクトのさらなる長さを含むことは、未掃過容積の割合を著しく大きくする。しかしながら、伝達ダクトのさらなる未掃過容積および作動容積の他の未掃過部分の影響が、伝達ダクト110、112を含むことに関連するさらなる粘性および弛緩損失とは別に、著しくなくなるように、伝達ダクト110、112の全体的な長さは選択され得る。
【0077】
例えば、伝達ダクト110、112が、音響パワーループ118において約360度の位相変化を起こすように選択された長さを持つ場合、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206内の圧力と流れ振動との間の位相関係は、最少化した未掃過容積を持つ従来的に構成された装置と比較して、実質的に変化しないであろう。
【0078】
一実施形態では、伝達ダクト110、112の長さは、伝達ダクトにおける追加の未掃過容積だけでなく、機械的変換器200および熱変換器300内の他の未掃過容積をも補償するべく、僅かに小さくしてよい。例えば、伝達ダクト110、112の全体的な長さは、360度未満の位相変化を起こすべく選択され得るが、それは、作動容積内のこれらの他の未掃過容積をも補償することになる。したがって、本実施形態では、未掃過容積の殆どが、音響パワーループ118から効果的に取り除くことができ、したがって、実際の作動容積に拘わらず、最適な圧縮比を提供することが可能になり、それによって、効率を上げ、装置によって発生する特定のパワーを増大させる。容易に理解され得る通り、物理的に未掃過容積を取り除くことによって圧縮比を大きくすることは、特に困難であり、エンジンの構造を厳しく制限する。有利には、本実施形態では、未掃過容積は、物理的に取り除くのではなく、伝達ダクト110、112の長さの適切な選択によって、効果的に相殺される。
【0079】
図2に示される機械的変換器200の特定の実施形態は、効果的にアルファ−構成スターリングエンジンに対応しており、該スターリングエンジンにおいては、圧縮および膨張チャンバーはそれぞれダイヤフラム(またはピストン)を持ち、二重のダイヤフラムは、通常、それぞれのダイヤフラムの変位間で位相差を生じるよう、機械的に結合されている。機械的変換器200においては、単一のダイヤフラム208が、従来のアルファ構成のスターリングの、結合されたダイヤフラムと置き換わっており、必要な位相差が、伝達ダクト110、112の長さの選択によってもたらされる。例えば、一実施形態では、伝達ダクト110および伝達ダクト112は、圧縮チャンバー204内の圧力振動と、膨張チャンバー206における圧力振動と間の、少なくとも約285度かつ約345度未満の位相差を生じるべく選択されたそれぞれの長さを持つ。好都合には、285度および約345度未満の範囲はまた、実質的に、上述の未掃過容積に対処する位相変化範囲内になる。したがって、有利には、伝達ダクト110、112を含むことが、単一のダイヤフラム208の使用を助長すると同時に、機械的変換器の構造上の構成を簡単にする。
【0080】
音響パワーループ118内の1つの有意な損失は、熱変換器300の再生器304のマトリクス内で起こるが、それは、再生器を通して増大した粘性流れ損失を生じる狭い流れチャネル半径を持つ。音響パワーループ118に沿った任意の位置における音響パワーは、以下の関係で表され得る:
【数1】
【0081】
上記式中:
P
aは、音響パワーであり;
pは、圧力のフェーザー(位相ベクトル)であり;
は、流量フェーザーの複素共役である。
【0082】
音響パワーループ118内の定常波に起因して、圧力振動(p)および流れ振動
の相対振幅は、パワーループを通して異なる。
図2に示される機械的変換器200の実施形態では、ダイヤフラム208は、比較的剛性であり、小さい作動変位のために構成されており、したがって、圧縮および膨張チャンバー204、206における比較的低い流れ振動振幅と、比較的高い圧力振動振幅を生じる。上記に開示したように、音響パワーループ118に沿った少なくとも1つの位置に、機械的変換器200における圧力振動に対する逆位相関係を持つ圧力振動を持たせるよう、音響パワーループは構成されている。したがって、この逆位相関係が起こる位置は、圧力振動振幅が高く、流れ振動振幅が低い位置に対応している。本実施形態では、粘性損失が流れ振動振幅の二乗に比例しているため、熱変換器300の再生器304は、この位置近傍に配置されている。従って、圧力振動が機械的変換器200における圧力振動とだいたい逆位相関係を持つ音響パワーループ118に沿った位置近傍に熱変換器を配置することは、伝達ダクト110、112を含むことによってもたらされた、増大した粘性および弛緩損失を少なくとも部分的に補償し得る。
【0083】
概して、定在波成分と進行波成分との相対的な大きさが、装置における全体的な損失を最小化するよう割り当てられるように、伝達ダクト110の第1の断面積A
1と、伝達ダクト112の第2の断面積A
2とは選択される。
【0084】
ダイヤフラム208の弾性壁210は、熱音響トランスデューサ装置の作動振動数で機械的に共鳴するよう構成された比較的厚くかつ剛性(stiff)のある鋼鉄の湾曲部として形成される。長い作動寿命のためには、曲げ応力が、壁の材料に関連する無限の疲労最大応力を下回ったままとなるよう、弾性壁210は設計される。ダイヤフラム208の振動変位によって生じる流量は、表面積A
sに比例し、概して小さいダイヤフラムの変位振幅が、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206内で概して低い流れ振幅を生じる。従って、所与の音響パワー、振動数、ダイヤフラム面積A
s、およびダイヤフラム変位について、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206において比較的高い圧力振動振幅が必要とされる。圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206のインピーダンスは、圧力振幅と流れ振幅との比率に比例しており、機械的変換器の圧縮および膨張チャンバーに、高い音響インピーダンスを持たせる。
【0085】
機械的変換器200、熱変換器300、および伝達ダクトの間で音響インピーダンス不整合を起こすために、音響パワーの流れの定在波成分は、伝達ダクト110、112の寸法の選択によって確立される。ダクトは:
【数2】
【0086】
上記式中、p
mは、作動ガスの密度であり、c
0は、作動ガス内の音速であり、A
ffは、ダクトのフリーフロー(free flow)断面積である)によって得られる、特徴的なインピーダンスを持つ。ダクト内の粘性および弛緩損失は、増加するダクト面積A
ffにあわせて減少するが、何故なら、その場合、より大きな音響パワーが、より低い圧力振動振幅で伝送でき、それに対応して、より大きい流量振動振幅で伝送できるからである。しかしながら、上記に開示したように、粘性損失は、再生器304で最大になり、したがって、再生器粘性損失を低減するべく圧力振動が機械的変換器200における圧力振動に対する逆位相関係を持つ音響パワーループ118に沿った位置を確立するために、機械的変換器200、熱変換器300および伝達ダクト110、112の間でいくつかの意図的なインピーダンス不整合を起こすことが望ましい。定在波成分の追加は、pを増加させ
を低下させると同時に、音響パワーP
aを概して変化させないでおくことによって(上式1中)、再生器304における損失を低減する。圧力振幅|p|の二乗に比例する弛緩損失は、再生器304においては殆どなく、したがって、定在波成分によって著しくは増加しない。しかしながら、粘性損失は、流量の二乗に比例し、著しく減少する。従って、示される実施形態では、伝達ダクト110の第1の断面積A
1と、伝達ダクト112の第2の断面積A2は、ダイヤフラム208の表面積A
sの少なくとも約10分の1である。伝達ダクト112は、音響パワーループ118において熱変換器300の後に配置され、したがって、伝達ダクト110より高いパワーの流れを収容しなければならないため、伝達ダクト110の第1の断面積A
1はまた、伝達ダクト112の第2の断面積A
2を下回ってよい。
【0087】
一実施形態では、伝達ダクト110の面積A
1は、伝達ダクト112の面積A
2の約半分であってよい。例えば、面積A
2は、約7cm
2であってよく、面積A
1は、約3.5cm
2であってよく、ダイヤフラムの表面積A
sは、約80cm
2であってよい。再生器304は、約70cm
2の再生器流れ面積A
Rを持ち得、それは、面積A
sを下回り、面積A
1、A
2を上回っている。
【0088】
本文で開示される熱音響トランスデューサ装置のための比較的高い作動振動数(すなわち、300Hz超、通常は、500Hz)と組み合わせるとき、機械的変換器200および熱変換器300の面積A
s、A
Rと比較して、ダクト面積A
1、A
2が小さくなることによって、従来のより低い振動数の熱音響トランスデューサに対して、さらなる利点が提供される。高振動数作動によって、圧縮および膨張チャンバー204、206間の所望の位相変化のための伝達ダクト110、112の長さが短くなり、さらに、それに対応するダクト損失およびダクト質量の減少を提供する。小さくなったダクト面積A
1、A
2によって、壁厚を薄くすると同時に、なおも、作動ガス圧力p
mと、ダクト外のより低い圧力との間の圧力差によって起こる周応力に耐えるだけの十分な厚さを提供することが可能になる。円形の断面ダクトの壁厚は、概して、所与の作動圧力p
mのためのダクト半径に合わせた大きさになるが、ダクトの質量は、ダクト半径の二乗に合わせた大きさになる。従って、本文で開示される熱音響トランスデューサ装置実施形態については、伝達ダクト110、112の質量は、低振動数で作動し且つ大きいダクト直径を有する熱音響トランスデューサ構成と比較して、装置の全体的な質量の、かなり小さい割合を占める。
【0089】
伝達ダクト110、112を含むと、いくつかの利点が提供され、熱音響トランスデューサを構成することに関する制約が満たされる。例えば、伝達ダクト110、112によって、未掃過容積問題が対処され、音響パワーループ118に沿った熱変換器300の最適な位置が提供され、熱変換器からの機械的変換器200の分離を助長する。
図2に示されるアルファ型機械的変換器の実施形態については、伝達ダクト110、112はまた、圧縮および膨張チャンバー204、206において、圧力振動間に必要な位相ずれを提供する。加えて、比較的高い振動数で作動するための装置の構成により、伝達ダクト110、112の必要な長さは短くなり、従って、関連する損失が小さくなる。一実施形態では、伝達ダクト110、112における損失が、再生器304における損失を下回るよう、トランスデューサ装置の作動振動数は選択される。例示的な一実施形態では、作動振動数は、少なくとも約300Hzであり、約500Hzであり得、または、500Hzより高くてもよい。
【0090】
作動シミュレーション
熱機関としての熱音響トランスデューサ装置の作動について、
図4をさらに参照して、さらに説明するが、これは、
図1〜3に示されるもの等、熱音響トランスデューサ装置のコンピュータシミュレーションの結果を含んでいる。シミュレーション結果は、一連のグラフ400、402、404、406のように描写されており、x−軸は、圧縮チャンバー204の周辺部212から、圧縮チャンバーを通り、伝達ダクト110と、第1のプレナム308と、第1の熱交換器302と、再生器304と、第2の熱交換器306と、第2のプレナム312と、熱緩衝部310と、伝達ダクト112と、膨張チャンバー206とを通って、周辺部212に、装置を通る音響パワーループ118に沿った位置を表す。音響パワーループ118の端部間の長さは、主に伝達ダクト110、112および熱緩衝部310の長さで占められているため、例示的な目的のため、音響パワーループのこれらの部分は、グラフ400〜406では、1/10倍でx−軸上にプロットされている。再生器304が音響パワーループに沿った位置にあるよう、熱変換器300は配置されており、音響パワーループでは、圧力振動が、機械的変換器200における圧力振動に対しておよそ逆位相関係を持つ。
【0091】
グラフ400では、秒毎リットル単位の流量振幅Uは、音響パワーループ位置に対してプロットされている。グラフ402では、圧力振幅|p|は、音響パワーループ位置に対してプロットされている。圧縮チャンバー204における流れ振動は、主に、圧力振動および最小の流れ振動を有する一方、伝達ダクト110に沿って約4分の1の位置における振動は、主に、流れ振動および最小の圧力振動を有する。これは、グラフ400および402に図解されており、これらのグラフにおいて、流れ振幅Uにおける最大値の位置が、圧力振幅における最小値の位置に概して対応しており、その逆も同様である。流量振幅Uは、流れがハウジング202の壁によって制限される圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206の外部周辺部212においてゼロである。流れ振幅Uは、ダイヤフラム208の運動に起因して、圧縮および膨張チャンバー204、206の中心に向かって大きくなる。圧力振幅|p|が流れ振幅に変換されると(すなわち、流れ速度対交点(anti-node)で)、伝達ダクト110、112のそれぞれにおける流量振幅Uは最大まで大きくなり、次に、流れの惰性が元の通り圧力振幅に変換されると、再度小さくなる。
【0092】
音響パワーP
aは、上記の式1にしたがって流量および圧力振幅から計算され得、グラフ404において音響パワーループ位置に対してプロットされている。音響パワーP
aは、ダイヤフラム208の運動に起因して圧縮チャンバー204を通して増大し、伝達ダクト110、第1のプレナム308、および第1の熱交換器302を通して、概して一定である。次に、音響パワーP
aは、再生器304において増幅され、次に、第2の熱交換器306、第2のプレナム312、熱緩衝部310、および伝達ダクト112を通して概して一定である。次に、音響パワーが膨張チャンバー206において吸収されてダイヤフラム208の運動を生じ、それによって、音響パワーを圧縮チャンバー204に戻すように伝達し、熱音響トランスデューサ装置を通る音響パワーループを完結させる。
【0093】
圧力および流れ振動の位相は、音響パワーループ位置に対してグラフ406にプロットされている。圧力振動の位相Ф
pは、実線として示され、流れ振動の位相Ф
Uは、破線として示されている。本実施形態では、圧縮チャンバー204および膨張チャンバー206のそれぞれと再生器との圧力振動位相Ф
pの差sは、約145度である。加えて、ポイント408における圧力振動は、膨張チャンバー206における圧力振動と逆位相または180度位相を異にしており、ポイント410における圧力振動は、圧縮チャンバー204における圧力振動と逆位相または180度位相を異にしている。
【0094】
温度依存性
上記に開示したように、伝達ダクト110、112は、圧縮チャンバー204と膨張チャンバー206との間の位相変化をもたらすように構成されている。ダクト110、112等、ダクトによってもたらされる位相変化は次式によって与えられるによって得られる波長に依存している。
【数3】
【0095】
上記式中、fは、熱音響装置の作動振動数であり、cは、ダクト内の音速である。音速cは、次式によって与えられる:
【数4】
【0096】
上記式中、γは、ガス等エントロピー定数であり、R
mは、質量ガス定数であり、Tは、ケルビン度での温度である。熱音響トランスデューサ装置の作動において、伝達ダクト110、112は、周囲温度に近くなるが、これは経時的に変化し得るため、ダクト内の作動ガスに、対応する温度変化をもたせる。ダクト110、112内の作動ガスの温度変化が、ダクト110、112内の音速cに変化を生じることになり、これが、今度は、ダクトによって伝達される圧力位相ずれに変化を生じる。圧縮および膨張チャンバー204、206間の特定の作動位相変化のために最適化した熱音響トランスデューサについては、5℃ほどの小さい周囲温度の変化に起因する位相変化が、出力パワーおよび装置の効率の有意な低下をもたらし得る。
【0097】
式4を式3に代入することによって、作動ガス温度Tおよび振動数fの関数としての波長は、次式のように書かれ得る。
【数5】
【0098】
図2に示される機械的変換器200では、ダイヤフラム208は、機械的ばね224を介してハウジング202に結合されている。ダイヤフラム208の弾性変位は、ダイヤフラムに作用する全体的な剛性に依存する共振振動数で起こる。ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性は、弾性壁210に起因する機械的剛性、機械的ばね224の剛性、およびダイヤフラム208の表面216、218に影響する作動ガス圧力振幅に起因するガス剛性を含んでいる。
【0099】
一実施形態では、全体的な剛性におけるガス剛性と機械的ばね剛性との相対的な割合が、それに対応するダイヤフラム共振振動数の変化によって少なくとも部分的にオフセットされる温度と併せて、音速に変化を生じるように、伝達ダクト110、112のそれぞれの長さは構成される。ダイヤフラム共振振動数fが上昇する温度Tとともに増大する場合、波長λにおける温度変化の影響が少なくとも部分的にオフセットされることによって、圧縮チャンバー204における圧力振動と膨張チャンバー206における圧力振動との間の位相変化が、少なくとも部分的に補償されるということが、上記の式5から明白となるはずである。一実施形態では、全体的な剛性の少なくとも半分の機械的剛性寄与率を提供するように機械的ばね224を構成することによって、比較的広範な周囲温度の範囲にわたって温度変化の補償がもたらされる。
【0100】
図5を参照すると、ダイヤフラム208のそれぞれの表面218、216に作用する振動圧力p
cおよびp
eのフェーザー表現を含む複素平面ダイアグラムが、500で示されている。ダイアグラム500はまた、ダイヤフラム変位zおよびダイヤフラム速度vのフェーザー表現を含んでいる。圧力のフェーザーp
cおよびp
eは、ダイヤフラム208の両側に作用するため、ダイヤフラムにおける正味の力は、ダイヤフラム有効面積をp
cおよびp
eのベクトル差で乗じたものに等しく、それは、ダイアグラム500において、力のフェーザーFで示されている。角度ΔФは、音響パワーループ118における圧縮チャンバーおよび膨張チャンバー204、206間の圧力位相変化を表し、それは、ダイアグラム500において、装置の特定の一実施形態における効率的な作動のための最適な作動位相変化として決定されたと推定される。
【0101】
水平な破線502で示される、速度v上の力のフェーザー(force phasor)Fの投影(projection)は、出力パワーを生成するダイヤフラム208における力の成分に対応し、該出力パワーは次式によって与えられる:
【数6】
【0102】
このように、装置が出力パワーを生じるために、フェーザーFは、ダイアグラム500の複素平面の上半分に位置する必要がある。垂直の破線504で示される、垂直のダイヤフラム運動によって示される実軸(Re)上の力のフェーザーFの射影は、負であり、したがって、ダイヤフラムzの運動に反するように作用するガス剛性成分またはガスばね成分に対応している。代わりに、正の力の射影であれば、代替的に追加の有効質量であると理解され得る負のガスばねに対応するだろう。説明される実施形態におけるガス力寄与率は、正、ゼロ近く、または負のガス剛性を生じ得る。ガス剛性は、機械的剛性と並行して作用し、装置の作動振動数を決定する。作動振動数は、次式によって与えられる:
【数7】
【0103】
上記式中、k
mは、ダイヤフラム208に作用する機械的剛性であり、k
gは、ダイヤフラムに作用するガス剛性である。Mは、ダイヤフラム208に関連付けられた全体的な質量であり、これは、ダイヤフラム質量と、外部エネルギーシステム222への結合に関連付けられた外部質量とを含んでいる。
【0104】
圧縮チャンバー204から膨張チャンバー206まで圧フェーザーに従うことは、示される実施形態では、p
cをp
eへと時計回りにおよそ285度回転させることに対応しており、それは、主に、伝達ダクト110、112によって伝達される位相変化に対応している。しかしながら、伝達ダクト110、112における温度Tが上昇すると、波長λもまた上昇し、したがって、p
eは、p
cと比較してより小さい角度で回転することになり、最終的に水平軸により近くなることによって、生じた力のフェーザーFが水平軸により近くに移動する。したがって、ガス剛性寄与率は、増加することになり、上記の式7から、振動数fもまた、増加することになる。式5から、増加した振動数fは、波長λを小さくし、したがって、位相変化を最適な作動位相変化ΔФに戻す傾向にある。逆に、ダクト110、112内の作動ガス温度Tを低下させると、力のフェーザーFが垂直の軸に近づくように回転し、したがって、ガス剛性寄与率を低下させる。低下したガス剛性寄与率は、温度低下に対抗する傾向にある振動数fの減少をもたらす。振動数fを、実振動数に維持し、かつ所望の作動振動数辺りの帯域に維持するためには、機械的剛性k
mは、温度で著しく変化する予測されるガス剛性k
gの範囲より、はるかに大きくなければならない。
【0105】
概して、ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性にへの、より大きなあり得るガス剛性の寄与率のためには、力のフェーザーFのより小さい正味の回転が温度変化の影響に対抗するために必要とされ、作動位相変化が最適な作動位相変化ΔФにより近くあり続けることになる。しかしながら、全体的な剛性のうち、あり得るガス剛性成分は、ダイヤフラム208の面積によって、また、ダイヤフラムのいずれか片側の圧力のフェーザーp
cおよびp
eの大きさによって決定される。ダイヤフラム面積は、概して、装置の所望のパワー出力にしたがって決定され、一方、圧力のフェーザーp
c、p
eは、所望の効率およびパワー出力を生じるための装置の最適化から生じ、そのため、エンジンの作動振動数fを最適な振動数に上昇させるためにはそれ自体では十分ではない範囲まで、ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性のうち、あり得るガス剛性成分を制限する。追加の機械的ばね224によって提供される機械的剛性が、振動数fを最適な作動範囲内に上昇させる。
【0106】
加えて、上記に開示したように、ガス剛性は、主に剛性値の範囲にわたって振動数とともに変化する全体的な剛性のうちの成分を占める。ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性のうちのあり得るガス剛性成分が大きすぎる場合、全体的な剛性はまた、より大きな範囲にわたって変化することもできるであろうし、それが、意図される共振振動数よりずっと低い低共振振動数で、または、意図される共振振動数のより高い高調波で、熱音響トランスデューサ装置の作動を助長し得る。弱い機械的剛性k
mについては、負のガス剛性寄与率k
gは、負の全体的剛性をもたらし得、それは、熱音響装置の作動を妨げることになる。有利には、ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性の少なくとも約半分の機械的剛性成分を提供するための機械的ばね224の構成が、全体的な剛性がダイヤフラム208に作用する値がとり得る範囲を小さくし、したがって、意図しない振動数での作動を防ぐ。したがって、十分な剛性を提供するための機械的ばね224の構成が、単一のよく定義された振動数での作動を確保する。よく定義された振動数はまた、全体的な剛性におけるガス剛性成分の存在に起因した、所望の温度依存性を持つ。
【0107】
ダイヤフラム208の共振振動数は、ダイヤフラムの弾性壁210の質量を少なくとも含むダイヤフラムに関連付けられた全体的な質量と、外部エネルギーシステム222との結合に関連付けられた外部質量とにさらに依存する。有利には、ばねチューブ機械的ばね224を使用することによって、結合が、作動ガスを含むハウジング202の外部に配置されることが可能になる。
【0108】
例として、
図1〜
図3に示されるように構成された装置について、振動数が、伝達ダクト110、112における摂氏1度の温度上昇毎に約1Hz増加する必要があるだろうと計算された。従って、±50℃という広範な温度作動範囲を収容することが所望である場合、作動振動数は、約±10%異なっていなければならないことになり、これは、ダイヤフラム208に作用する全体的な剛性が約±20%異なる場合に達成され得る。機械的剛性成分k
mに対して、0.2k
m≦|k
gmax|<k
mの範囲におよぶ値を持つ温度作動範囲の限度における、最大の大きさのガス剛性成分|k
gmax|では、約±20%という必要な変動範囲をもたらすであろう。
【0109】
有利には、必要なガス剛性成分を提供するための機械的変換器200の構成は、装置の既存の作動容積内で、かつ、ダイヤフラム208を横切る選択された圧力位相差ΔФ内で生じ、したがって、さらなる損失をもたらさない。それとは対照的に、多くの先行技術のガスばねは、追加した容積の壁において関連する弛緩損失が増大した追加のチャンバー容積を使って実施されている。
【0110】
図6を参照すると、伝達ダクト110、112内の作動ガス温度Tの関数としての、装置の計算された出力パワーのグラフは、600で示されている。伝達ダクト110、112内の作動ガス温度Tの関数として計算された作動効率のグラフ(カルノー効率の割合として表される)は、602で示されている。三角形のシンボルは、上記に開示された温度補償を実施していない固定作動振動数(fixed operating frequency)の作動を表し、装置が狭い温度範囲において有用な作動パワーだけを生じていることを示している。円形のシンボルは、上記に開示したような温度補償が実施された様々な作動振動数の作動を表し、著しく広範な温度範囲における有用な作動パワー出力を示している。
【0111】
上記に記したように、力のフェーザーFは、複素平面の上半分内に位置しなければならず、 この特定の実施形態の最適な作動効率のためには、約60℃で約135度のフェーザー角度αを持つことになる。従って、グラフ602では、力のフェーザーFが水平軸に近づいて、速度v上のFの射影がゼロ傾向にあって、作動パワー発生の急激な低下に対応しているとき、作動効率は、60℃超でより急激に低下する。
【0112】
力のフェーザーFがほぼ垂直で、速度v上のFの最大の射影に対応し、したがって、最大パワー出力(maximum power out)(ピーク効率においてではないが)に対応し、非常に小さいガス剛性寄与率か、または、負のガス剛性寄与率さえにも対応しているとき、60℃を下回ると、作動効率は、もっとゆっくりと低下する。これらの条件下、ガス剛性寄与率は、変化する力のフェーザー角度αとともに、非常に迅速に変化するが、該力のフェーザー角度αは、作動ガスの温度変化のための振動数補償がもっとも効果的となる領域に対応している。本実施形態の最も広範な作動温度範囲については、135度未満の位相角度αに対して伝達ダクト110、112を構成することが有利であろう、というのは、該角度が、温度作動範囲の中間点において、僅かに低下した効率をもたらすが、全体的により広範な温度作動範囲をもたらすことになるからである。
【0113】
代替的な機械的変換器
図7を参照すると、機械的変換器102を実施するための代替的な実施形態の概略的な断面図が、概して700で示されている。
図7に示される機械的変換器700の実施形態は、概して、ベータ構成スターリングトランスデューサに対応している。機械的変換器700は、圧縮チャンバー704および膨張チャンバー706が入ったハウジング702を含んでいる。圧縮チャンバー704および膨張チャンバー706はディスプレイサー708によって分かれており、該ディスプレイサーは、チャンバー704、706の容積を変えるために機能している。ディスプレイサー708は、ハウジング702の周辺部710で支持され、機械的変換器700の中心軸712と一線上に並ぶ方向への変位を助長するように構成された弾性壁を有する。
【0114】
機械的変換器700はまた、ダイヤフラム714を含み、圧縮チャンバー704は、ディスプレイサー708とダイヤフラム714との間で延びる。示される実施形態では、ダイヤフラム714はまた、ハウジング702の周辺部710で支持されている弾性壁を有する。
【0115】
図7の概略図では、機械的変換器700のエレメント間の間隔は、例示的な目的のため、大きくしてある。実際には、軸712に沿った膨張および圧縮チャンバー706、704の長手の延びは、例えば、約1mmの面積内だけにあり得る。これに対応して、ディスプレイサー708およびダイヤフラム714の運動は、概して、約200μmのピーク振幅を持つことになる。
【0116】
機械的変換器700は、入力/出力シャフト716をさらに含む。本実施形態では、シャフト716は、ダイヤフラム714と、外部エネルギーシステム718との間で結合されている。作動中、ダイヤフラム714は、機械的変換器700と外部エネルギーシステム718との間で、エネルギーを結合するための周期的な変位を経る。
【0117】
本実施形態では、機械的変換器700はまた、ダイヤフラム714とハウジング702との間で結合された円筒状のチューブばね722として構成された機械的ばねを含んでいる。該チューブばね722は、外部円筒壁724および内部円筒壁726を含み、それらが、環状壁728によって合わさることによって、円筒状のチューブばねが、自身に折り返されている。外部円筒壁724は、ハウジング702に接続され、内部円筒壁726は、ダイヤフラム714に接続されている。チューブばね722は、ダイヤフラム714によってチューブばねに伝達されるされる力に応じて、軸712と概して一線上に並ぶ方向に弾性的に変形するよう作動可能である。
【0118】
機械的変換器700はまた、ダイヤフラム714の外部表面732に影響する加圧されたガス容積を含むためのバウンスチャンバー730を含んでいる。該バウンスチャンバーは、
のガス圧力へとチャージされ、それが、ダイヤフラム714の内部表面734に作用する力に対して少なくとも部分的にバランスをとる。それは、反力をダイヤフラム714の外部表面732に加えることによる、静的圧力p
mに起因するものである。該バウンスチャンバー730は、ハウジング702、ダイヤフラム714の外部表面732、および円筒状のチューブばね722の間に定められる。一実施形態では、バウンスチャンバー730と圧縮チャンバー704との間で、故意の漏洩が、ルビーピンホール(ruby pinhole)等、狭い均等化導管736の形態でもたらされ得る。均等化導管736は、装置における作動ガスと、バウンスチャンバー730におけるガス容積との間の気体伝送を助長する。均等化導管736は、作動ガスとガス容積との間の静的圧力均等化を可能にするようなサイズとなっているが、トランスデューサ装置の作動振動数に対応する期間における有意な気体伝送を防ぐために十分細い。
【0119】
ダイヤフラム714が弾性壁を有している
図7に示される実施形態では、チューブばねの弾性的変形によって提供される復元力が、ダイヤフラムの弾性と、作動ガスによるダイヤフラムのローディングと、バウンスチャンバー730とに起因する復元力と併せて作用するよう、チューブばね722が構成され得、該ローディングが、ダイヤフラムが所望の固有振動数を持つための入力/出力シャフト716に起因するものである。
【0120】
本実施形態では、入力/出力シャフト716は、伝達ダクト110の一部分を受けるための中空のボア720を含み、該伝達ダクトは、本実施形態では、中心軸712と同軸上に位置し、ボアを通って延び、ダイヤフラム714を通して圧縮チャンバー704と伝達ダクト112との間の流体連通を提供する。伝達ダクト110は、中心に位置づけられているとき、圧縮チャンバー704と伝達ダクト112との間で、対称な流れと、対称な音響経路長さとを提供する。
【0121】
示される実施形態では、伝達ダクト110は、ダイヤフラム714に接続されており、その結果、作動中、ダイヤフラムの運動を助長するように構成されていなければならない。一実施形態では、伝達ダクト110は、軸方向の圧縮および膨張をするように構成された柔軟(compliant)な部分を含み得る。したがって、伝達ダクト110の柔軟な部分は、ダイヤフラム714に作用する追加のスプリング力を提供することになるが、これは、ダイヤフラムの所望の固有振動数のために機械的変換器700を構成するにあたって、考慮するべきである。機械的変換器700はまた、伝達ダクト110に沿った位置に配置された機械的アンカー(mechanical anchor、機械的係留具)738を含み得、したがって、ダイヤフラム714と該機械的アンカーとの間で延びる伝達ダクトの一部分が、柔軟な部分として作用することができる。
図2において、機械的アンカーの下に配置された湾曲部740を含む伝達ダクト110の部分は、動くことを制限されており、したがって、早期の疲労破壊を起こす恐れがある周期的なひずみを被らないであろう。
【0122】
他の実施形態(図示せず)では、ガス流は、圧縮チャンバー704の周辺部710近くに配置されたマニホールドを介して、伝達ダクト110に向けられ得る。マニホールドは、周辺部710と伝達ダクト110との間にガス流を対称に向けるための複数の枝部を含み得、従って、流れに関連付けられた音響経路長さに、概して同様の長さを持たせ、装置の作動中、一貫した位相関係をもたらす。同様に、膨張チャンバー706では、ガス流はまた、チャンバーの周辺部710近くに配置されたマニホールドを介して、伝達ダクト112に向けられてよく、マニホールドは、周辺部710と伝達ダクト112との間にガス流を対称に向けるための複数の枝部を含み得る。
【0123】
作動では、ディスプレイサー708およびダイヤフラム714が、圧縮チャンバー704内の圧力振動を生じるべく動くとき、作動ガスにおいて生じる圧縮および希薄化が、音響パワーを生じ、該音響パワーが、伝達ダクト110を通って熱変換器300(
図3に示される)へと流れ、第1のポート324を通って、第1のプレナム308へと流れる。
図3を参照すると、熱変換器300は、外部熱源から提供される熱エネルギーQ
inを音響エネルギーへと変換するように作動し、それによって、第1の熱交換器302、再生器304、および第2の熱交換器306を通って移動する音響パワーを増幅する。熱緩衝部310と第2のポート326とを通って熱変換器300を離れる、増幅した音響パワーは、伝達ダクト112に沿って伝播し、機械的変換器700に戻り、該機械的変換器で、それは、膨張チャンバー706内で受け取られる。膨張チャンバー706における増幅した音響パワーに起因する圧力振動は、ディスプレイサー708の運動を生じるよう作動可能であり、それによって、殆どすべての音響パワーを圧縮チャンバー704に伝達する。圧縮チャンバーにおける圧力振動704はまた、ダイヤフラム714および入力/出力シャフト716を変位させる。圧縮チャンバー704内の圧力振動の位相に対するディスプレイサー708の機械的運動の位相は、音響パワーがディスプレイサー708によって圧縮チャンバーにおける作動ガスへと送達されるようになっていると同時に、ダイヤフラム714の機械的運動の位相は、それが、圧縮チャンバーにおけるガスから音響パワーを取り出すようになっている。上述のプロセスは、当該装置100に関連付けられた固有振動数で機能し、したがって、入力/出力シャフト716の周期的な運動を生じる。入力/出力シャフト716の運動が、機械的エネルギーを装置から抽出するための外部エネルギーシステム718に結合されてよい。したがって、音響パワーの増幅は、ディスプレイサー708およびダイヤフラム714の周期的な運動を維持するための十分なパワーを提供すると同時に、入力/出力シャフト716を駆動するためのダイヤフラム714で有用な出力パワーをも提供する
【0124】
代替的な実施形態
機械的変換器102を実施するためのさらなる実施形態の概略的な断面図が、
図8では、概して800で示される。
図8を参照すると、機械的変換器800は、シャフト810に結合されたダイヤフラム808を持つ圧縮チャンバー806を含んでいる。機械的変換器800はまた、シャフト810に結合されたダイヤフラム814を持つ膨張チャンバー812を含んでいる。圧縮チャンバー806および膨張チャンバー812は、それぞれ、それぞれのバウンスチャンバー816、818を持ち、円筒状のチューブばね820、822は、
図2に示される実施形態と関連して、概して上述の通りに実施されている。機械的変換器800はまた、外部エネルギーシステム824を含んでいる。圧縮チャンバー806および膨張チャンバー812はそれぞれ、それぞれのチャンバー壁826、828を持ち、示される実施形態は、ハウジング830をさらに含む。ハウジング830は、離間関係にある圧縮および膨張チャンバーを支持するためにそれぞれのチャンバー壁間を延び、また、外部エネルギーシステム824を入れている。
【0125】
圧縮チャンバー806は、伝達ダクト110と流体連通しており、膨張チャンバー812は、伝達ダクト112と流体連通している。伝達ダクト110、112は、
図1に示されている。シャフト810は、圧縮チャンバーダイヤフラム808と、膨張チャンバーダイヤフラム814との間を延び、それぞれのダイヤフラム間でエネルギーを結合するための直接的機械的結合を提供する。したがって、シャフト810によって、膨張チャンバーダイヤフラム814の作動変位が、圧縮チャンバーダイヤフラム808を180度の位相角度で導く。
【0126】
熱音響トランスデューサ装置の他の実施形態が、
図9において、900で示されている。
図2に示される実施形態では、伝達ダクト110は、中心位置近くで圧縮チャンバー204と流体連通しており、したがって、圧縮チャンバー内で概して対称なガス流を生じる。
図9を参照すると、装置900は、機械的変換器902および熱変換器904を含んでいる。装置900はまた、伝達ダクト908を含み、機械的変換器902の圧縮チャンバー914と、熱変換器904との間の流体連通をもたらす。伝達ダクト908は、圧縮チャンバー912と熱変換器904との間の平行な流体連通を提供するべく配置された、複数のダクト長さ(そのうち、2つのダクト長さ910および912が示されている)を含んでいる。ダクト長さ910、912は、周辺位置で圧縮チャンバー914に流体結合されることによって、圧縮チャンバー内の概してより対称なガス流を促して、それによって、流れと関係する音響経路長さが、概して同じ長さを持つようにして、それが、作動ガスの周期的な流れの間、一貫した位相関係をもたらす。装置900はまた、機械的変換器と熱変換器との間で延びる伝達ダクト906を含んでいる。
【0127】
伝達ダクトの音響インピーダンスは、断面積と逆比例するが、
図9に示される実施形態では、平行な伝達ダクト910、912間で分裂する。伝達ダクト908を実施するために複数のダクトを使用することによって、ダクト壁面積が大きくなり、したがって、壁における弛緩損失と、壁に沿った粘性剪断損失とが大きくなる。しかしながら、形状的制約によって、単一の中心ポートからだけでなく、圧縮チャンバー914の縁部における機械的変換器902間の流れを結合することがより望ましくなり得、その場合、複数の伝達ダクト910、912が、機械的変換器902においてより対称な流れを生じ、より均一な流れ位相差を維持し、流れの密集(flow crowding)に起因する大きな局所的損失を回避する。
【0128】
図10を参照すると、
図1の装置のさらなる実施形態が、1000で示されている。当該装置1000は、第1の機械的変換器1002、第2の機械的変換器1004、および単一の熱変換器1006を含んでいる。第1の機械的変換器1002は、伝達ダクト1008を通して熱変換器1006と流体連通しており、第2の機械的変換器1004は、伝達ダクト1010を通して熱変換器1006と流体連通している。当該装置1000はまた、熱変換器1006と流体連通した共通の伝達ダクト1012、第1の機械的変換器1002と、共通の伝達ダクト1012との間の伝達ダクト1014、および第2の機械的変換器1004と、共通の伝達ダクトとの間の伝達ダクト1016を含んでいる。伝達ダクト1016および伝達ダクト1014は、局所的損失を最小にする円滑な遷移を提供するワイ継手(wye joint)1018を通して、共通の伝達ダクト1012へと続いていく。加えて、ワイ継手1018は、局所的損失をさらに最小にするために、低流量位置に位置づけてよい。有利には、当該装置1000は、2つの機械的変換器1002、1004と併せた単一の熱変換器1006の使用を促す。他の実施形態では、3つ以上の機械的変換器が、単一の熱変換器1006と流体連通するように構成され得る。熱変換器300は、高い温度で作動する必要があり、従って、この構成部品のコストを上げる高価な材料を含み得る。
【0129】
図9および
図10に示される実施形態では、機械的変換器902、1002、1004は、
図2に示される機械的変換器200か、
図7に示される機械的変換器700か、
図8に示される機械的変換器800のいずれかを使って実施してよい。
【0130】
音響的な作動ノイズ
図2に示される機械的変換器200の、熱機関としての作動中、軸214に沿った一方向のダイヤフラム208の運動が、ハウジング202に反対方向の運動を伝達することになる。同様に、
図7に示される機械的変換器700については、軸712に沿ったディスプレイサー708およびダイヤフラム714の運動は、ハウジング702にアンバランス力を伝達することになる。ハウジング202または702に伝達される力によって、概して、ハウジングが当該装置100の作動振動数で振動することになり、したがって、作動振動数(例えば、約500Hzで)で、単一の振動数トーンという形態で、音響ノイズを発生する。いくつかの実施形態では、発生したノイズに関連付けられた音パワーは、100dBmの領域内にあり得、これは、例えば、住家等、いくつかのノイズ感知環境における作動を妨げ得る。
【0131】
図11を参照すると、本発明の他の実施形態による熱音響装置が、概して1100で示されている。装置1100は、第1の機械的変換器1102および第2の機械的変換器1104を含んでいる。機械的変換器1102、1104は、それぞれ、機械的変換器200に関して、概して上記に開示したように構成される。装置1100はまた、熱変換器1106を含んでいる。第1の機械的変換器1102は、伝達ダクト1110と伝達ダクト1112とを通して熱変換器1106と流体連通した膨張チャンバー1108を含んでいる。第2の機械的変換器1104は、伝達ダクト1116と伝達ダクト1112とを通して熱変換器1106と流体連通した膨張チャンバー1114を含んでいる。したがって、伝達ダクト1112は、それぞれの第1および第2の機械的変換器1102、1104の膨張チャンバー1108、1114の両方と関連するガス流のための共通のダクトを提供する。伝達ダクト1112の断面積は、この共通のダクト長さによって、より大きい音響パワーの流れを収容するために、概して、伝達ダクト1110、1116より大きい。第1の機械的変換器1102はまた、伝達ダクト1120と伝達ダクト1122とを通して熱変換器1106と流体連通する圧縮チャンバー1118を含み、第2の機械的変換器1104は、伝達ダクト1126と伝達ダクト1122とを通して熱変換器と流体連通する圧縮チャンバー1124を含んでいる。
【0132】
図10に示されるように構成された第1の機械的変換器1102および第2の機械的変換器1104の使用によって、音響ノイズを低減するための運動の相殺(cancellation)がもたらされる。両方の機械的変換器1102、1104が同一の熱変換器から駆動されるため、伝達ダクト1110および1116、1120および1126が等しい長さである場合、振動数が一致する作動が保証され、位相が一致する作動が達成される。装置1100の作動において、第1の機械的変換器1102および第2の機械的変換器1104は、製造および組み立てにおけるばらつきに起因する僅かな作動差を持ち得、それによって、機械的変換器が、僅かに異なる運動の振幅または位相を持ち得、力の不完全な相殺をもたらす。一実施形態では、第1および第2の機械的変換器1102、1104の運動は、例えば、伝達ダクト1110、1116、1120および/または1126のうちの1つ以上の長さを調整することによって、そうした軽微な差異を考慮してバランスされ得る。機械的変換器1102、1104のダイヤフラムの運動は、伝達ダクト長さの小さい変化に反応し、したがって、それは、機械的変換器の運動をバランスするために使用され得る。伝達ダクト1110、1116、1120および/または1126の物理的な長さを変えることに加えて、または、その代替方法として、音響経路長さの小さい変化はまた、それぞれのダクトの断面形状を変えることによっても達成され得る。例えば、ダクトの一部分を、外的圧縮工具を使ってより小さい断面ダクトにかしめることによって、音響経路長さに小さい1回限りの調整を行うために断面形状の違いが使用され得る。システムにおける機械的共振器に対する、ダイヤフラム、取り付けられたばね、および質量によって形成される他の小さい調整、または、機械的共振器のそれぞれに取り付けられている電機システムにおける調整が、バランスされた作動を達成するために使用され得る。
【0133】
図11の実施形態に従った、機械的変換器と外部エネルギーシステムとのバランシングが、ハウジング振動を実質的になくし得るが、作動ガス圧力振動を受ける加圧された容積の壁の振動等、音響ノイズ発生の他の源は、依然として有意な可聴レベルを持つノイズを発生し得る。例えば、長さ2mの伝達ダクト(500Hzでのヘリウム中で約1波長)は、圧力振動に応じたダクト壁の膨張および縮小に起因して、約90dBmの音パワーを発することになる。壁厚は、概して、圧力容器用に規定された通り、周応力を安全なレベルまで低減するために十分に厚くなり、したがって、作動圧力および圧力振動に耐える十分な壁強度を提供するが、壁を厚くすることだけでノイズ発生をなくすことが実用的でないであろう。
【0134】
図11において、伝達ダクト1120、1126および伝達ダクト1112は、それぞれの外壁1130、1132、1134によってそれぞれ囲まれた内壁を持ち、該内壁は、それぞれの伝達ダクトを取り囲む絶縁容積1136、1138を定めるべく、伝達ダクトから離間している。伝達ダクト1120、1126、1112は、フル作動圧力p
m±|p|に耐えるように構成されている。容積1136、1138は、周囲の環境の外気圧に対応する圧力p
aまで充填される。作動圧力振動に起因する、伝達ダクト1120、1126、1112の壁の周期的な運動によって生じる音響ノイズが、有意な音レベルを発生することになる。しかしながら、平均圧力p
aで容積1136、1138内で生じる振動圧力は、非常に小さい。さらに、容積1136、1138と環境との間に実質的な圧力差がなく、したがって、外壁1130、1132、1134は、内壁に必要とされるものの規模では、有意な機械的剛性を全く必要とせず、非常に低い外部ノイズレベルを生じる如何なる認識可能な周期的な運動をもしないであろう。一実施形態では、外壁1130、1132、1134は、例えば、プラスチック材料からつくられてよい。
【0135】
図12を参照すると、本発明の他の実施形態による熱音響装置は、概して1200で示されている。装置1200は、第1の機械的変換器1202および第2の機械的変換器1204を含んでいる。装置1100はまた、熱変換器1206を含んでいる。第1および第2の機械的変換器のそれぞれは、それぞれのダイヤフラム1208、1210を含み、該ダイヤフラムが、ダイヤフラム間を延びる共通の膨張チャンバー1212を定める。本実施形態では、装置1200は、共通の膨張チャンバー1212の周辺部に配置され、かつ、1つ以上の伝達ダクトを通して、共通の膨張チャンバーと熱変換器1206との間に流体連通を提供するよう作動可能なマニホールド1214をさらに含む。本実施形態では、2つの伝達ダクト1216、1218が示されているが、概して、装置1200は、マニホールド1214と連通した、対称に配置された複数の伝達ダクトを含み得る。
【0136】
図12に示される実施形態では、装置1200は、共通の膨張チャンバー1212を持つべく構成されているが、他の実施形態では、装置は、共通の圧縮チャンバーを持つように構成され得る。
【0137】
複数の熱変換器
図13を参照すると、本発明の他の実施形態による熱音響装置は、概して、1300で示されている。装置1300は、機械的変換器1302、第1の熱変換器1304、および第2の熱変換器1306を含んでいる。一実施形態では、機械的変換器1302は、
図7に示されるようなベータ−構成を持ち得るが、他の実施形態では、機械的変換器は、
図2に示されるようなアルファ−構成を持ち得る。機械的変換器はまた、
図11のバランスされた実施形態と同様、並列の複数の機械的変換器を有し得る。機械的変換器1302は、伝達ダクト1308を通して第1の熱変換器1304と流体連通しており、伝達ダクト1310を通して第2の熱変換器1306流体連通している。第1の熱変換器1304は、伝達ダクト1312を通して第2の熱変換器1306と流体連通している。
【0138】
第1の熱変換器1304は、第1の外部源1314から熱エネルギーを受け取るように構成されており、第2の熱変換器1306は、第2の外部源1316から熱エネルギーを受け取るように構成されている。一実施形態では、熱エネルギー1314、1316の第1および第2の外部源は、例えば、バイオガス等、燃料ガスの燃焼によって提供され、第1の外部源1314がガス燃焼によって生成された熱の高温部分を有し得るが、第2の外部源1316は、ガス燃焼中に生じた熱の低温部分を有し得る。したがって、第1の熱変換器1304は、高温作動のために構成されることになり、第2の熱変換器1306は、より低い温度作動のために構成されることになる。第1および第2の熱変換器1304、1306の組み合わされた効果によって、ガス燃焼からの利用可能な熱エネルギーのより大きい部分が、装置1300によって使用されることになる。
【0139】
2つ以上の熱変換器が異なる温度で作動する
図13の実施形態は、廃熱用途において、燃焼排出物からの熱の効率的な抽出に有利である。概して、流れの温度を著しく低下させることなく、有意な熱をガス流から抽出することはできない。単一の熱変換器だけを含む実施形態では、高温で、高い熱変換器効率で作動しながら、熱の殆どがカバーされずに出ていくのを許容するのか、または、低温で、より低い熱変換効率で作動しながら、流れ中の利用可能な熱をより多く回収するか、選択しなけらばならない。複数の熱変換器を含む実施形態では、熱のいくつかの部分は、段階的に低下する温度で回収され、より最適に変換され得ると同時に、流れ中の利用可能な熱においてより大きい割合が回収される。
【0140】
図13の実施形態はまた、例えば、熱変換器への熱入力が専用のバーナーであるとき、ガスまたは液体燃料等、燃料の燃焼から、さらに利用可能な熱を回収するための代替方法を提供する。従来、効率の高い熱変換器で、高温で作動するためには、排出流れにおいて残っている熱の大部分を、入ってくる燃焼エアーに伝達する向流のレキュペレータ(recuperator、復熱装置)において、排出された流れを使うことによって燃焼エアーを事前に加熱しなければならない。レキュペレータを省略すると、排出流に実質的な残っている熱(熱変換器の高い作動温度を所与とする)が廃棄されることになるため、概して、非効率的な燃焼システムをもたらすことになる。レキュペレータを実施するにあたっての1つの問題は、大きい面積の高額な高温材料が必要となることであり、それは、酸化および高温腐食を被ることがある。燃焼エアーの事前の加熱はまた、急激に大きくなる酸化窒素(NOx)生成に至る、より高い燃焼温度をもたらす。有利には、
図13の実施形態は、燃焼エアーを高温に事前加熱することなく効率が高いままであるシステムを実施するのに使用され得る、というのは、レキュペレータでなく、第1の高温熱変換器の後に、1つ以上のより低い温度熱変換器が続き、それによって、最高温度段階の効率を妥協することなく、熱をより多く回収するからである。
【0141】
一実施形態では、音響経路長さが作動振動数において波長の整数に対応するよう、伝達ダクト1312の長さは選択され得る。例えば、伝達ダクト1308が、作動振動数においておよそ一波長に対応する長さを持つ場合、作動ガスの流れ速度振幅が熱変換器を通して最小に近くなるように、第1および第2の熱変換器1304、1306は、それぞれ、位置づけられることになる。したがって、伝達ダクト1308、第2の伝達ダクト1310、および伝達ダクト1312で構成される伝達ダクトの全体的な長さは、作動振動数で二波長に近づいていくことになる。
【0142】
他の実施形態では、さらなる熱変換器が追加され得る。例えば、3つの直列の熱変換器が、作動振動数で一波長の最初および最後の熱変換器間の全体的な伝達ダクト長さについて、それぞれ波長の約半分の音響経路をもつ伝達ダクト長さを通して流体連通し得る。それぞれの熱変換器は、作動ガスの最小流れ速度振幅のポイントに位置することになる。
【0143】
上記に開示した実施形態は、伝達ダクトを含むことによって、いくつかの利点をもたらし、また、1100に示される装置の構成においていくつかの柔軟性をもたらす。例えば、伝達ダクトは、熱変換器内で、高い温度で作動するすると同時に機械的変換器が著しく低下した温度で作動する構成部品を設置するよう構成され得る。これは、材料が高い作動温度に耐える必要がないため、機械的変換器のための材料の選択においてさらなる柔軟性を促すという利点を持つ。加えて、伝達ダクトは、枝分かれしていても、平行であってもよく、そうすることによって、伝達ダクトの長さが、単一の共有熱変換器の作動のための複数の機械的変換器の構成を促すために使用され得る。これは、装置によって音響ノイズ発生を低減するための
図11に示される機械的変換器の構成を促す。複数の熱変換器を含む1つ以上の機械的変換器の並列または直列作動(
図13)もまた、示される実施形態によって可能になる。伝達ダクトはまた、伝達ダクトまたはその一部分の音響経路長さを変えることによって、最適な作動のために機械的変換器を調整するための便利な手段を提供する。
【0144】
上記に開示された実施形態は、伝達ダクトを含むことによって、機械的変換器が周囲温度近くで作動することを可能にする。これは、高温または低温で作動する従来のスターリングエンジンまたは冷却装置と同様、熱変換器に緊密に結合した機械的変換器に対して利点をもたらすが、該従来のスターリングエンジンまたは冷却装置は、有意な熱的絶縁を必要とし得る。熱的絶縁は、概して、トランスデューサ装置の全体的なサイズを大きくする。さらに、伝達ダクトは、いくつかのさらなる損失をもたらすが、本文で開示される本発明の実施形態によるトランスデューサ装置の構成は、さらなる損失をオフセットし得、いくつかの実施形態では、高くなったパワー密度が提供される。高くなったパワー密度によって、装置が、同じパワー出力で、低減したサイズを有することができることになる。例えば、約140mmの直径を持つダイヤフラムを含むよう構成された機械的変換器は、約3kWの出力パワーを発生することができ得る。
【0145】
本発明の特定の実施形態について記載し、例証してきたが、そうした実施形態は、添付の請求項にしたがって解釈される通り、本発明を例示するだけで、本発明を限定しないと考えられるべきである。