特許第6207623号(P6207623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207623カプセル型内視鏡駆動制御システム及びこれを含むカプセル型内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207623
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】カプセル型内視鏡駆動制御システム及びこれを含むカプセル型内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   A61B1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-543960(P2015-543960)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2015-535461(P2015-535461A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】KR2013010271
(87)【国際公開番号】WO2014081150
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0133515
(32)【優先日】2012年11月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513218905
【氏名又は名称】インダストリー、ファウンデーション、オブ、チョンナム、ナショナル、ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY FOUNDATION OF CHONNAM NATIONAL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソッ ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン オ
(72)【発明者】
【氏名】リ,チョン
(72)【発明者】
【氏名】チョィ,ヒュン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,セ ミン
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−017555(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0301497(US,A1)
【文献】 特表2012−520161(JP,A)
【文献】 特開2007−236962(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118253(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/032815(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0126808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する3つの軸にそれぞれ固定設置され、各直交軸方向に磁場を発生させることが可能なコイル部が各軸に設けられる第1コイルユニットと、
前記第1コイルユニットによって発生する磁場に対して一軸方向に傾斜磁界を生成することができるように設けられる第2コイルユニットと、
前記第2コイルユニットを立体的に駆動可能であって傾斜磁界の方向を調整するためのコイル駆動部と、
カプセル内視鏡から送り出す画像信号を受信する受信部と、前記第1コイルユニットおよび前記第2コイルユニットに供給される電流を制御して発生磁場を調整し、前記コイル駆動部の駆動を制御するための制御部とからなる制御ユニットと、を含んでなり、
前記カプセル内視鏡は、互いに直角に配置される2つの永久磁石を有し、前記2つの永久磁石が前記カプセル内視鏡の長手方向に対して鋭角(0<δ<90°)の範囲内で傾斜した磁化を形成し、
前記カプセル内視鏡は、前記磁化と共に作用して前記第1コイルユニットで発生した回転磁界による歳差運動、および前記第2コイルユニットで発生した傾斜磁界による螺旋運動を管状器官に沿って行うことを特徴とする、カプセル型内視鏡駆動制御システム。
【請求項2】
前記コイル駆動部は、独立駆動の2軸回転によって前記第2コイルユニットを立体的に回転させることを特徴とすることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル型内視鏡駆動制御システム。
【請求項3】
前記第1コイルユニットの各コイル部はヘルムホルツコイルであることを特徴とする、
請求項1に記載のカプセル型内視鏡駆動制御システム。
【請求項4】
前記第2コイルユニットは一つのマクスウェルコイルであることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル型内視鏡駆動制御システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル型内視鏡駆動制御システムと、
前記カプセル内視鏡と、
を含むカプセル型内視鏡システムであって、
前記カプセル内視鏡は、画像を撮影可能なカメラモジュールを有し、撮影された画像を外部へ送り出すことが可能であることを特徴とする、カプセル型内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル型内視鏡駆動制御システム及びこれを含むカプセル型内視鏡システムに係り、特に、カプセル内視鏡が管状器官に沿って螺旋運動によって移動することにより、管壁に対する正確な診断が行われるようにする、カプセル型内視鏡駆動制御システムおよびカプセル型内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
消化器官の内壁の潰瘍性疾患を診断するには有線内視鏡を口または肛門から挿入するが、このような過程で患者に多くの苦痛を与える。これを解決するために開発されたカプセル型内視鏡は、口腔を介して消化管に進入し易い形状を有し、消化器官の内部を消化器官の蠕動運動によって移動し、消化器官の内部を撮影して診断する。
【0003】
しかし、蠕動運動による被動的な移動により正確な診断が難しく、口腔を介して挿入されるサイズの制限によりカプセル型内視鏡自体に駆動機能装置を備え難いという欠点がある。
【0004】
かかる欠点を改善するために、カプセル型内視鏡の運動機能を電磁気駆動システムを用いて運動機能を与える駆動メカニズムに関する研究が行われている。
【0005】
一方、カプセル型内視鏡を駆動するためのコイルシステムが提案されており、例えば、米国公開特許US2008/0272873号(以下、「特許文献1」)は、カプセル型内視鏡を駆動するためのコイルシステムを開示しており、18個からなるコイルを用いてカプセル型内視鏡を任意の方向に整列および移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国公開特許US2008/0272873号
【0007】
ところが、上記の先行文献は、カプセル内視鏡の動きを実現するためのコイルの数が多いため電力消耗が大きく、各コイルの役割が明確でないという問題を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するためのもので、その目的は、管状器官を移動しながら画像情報を得るためのカプセル型内視鏡において、管壁に対するより正確な診断が行われるように管状器官に沿って螺旋状に移動する、カプセル型内視鏡駆動制御システム及びこれを含むカプセル型内視鏡システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、カプセル型内視鏡の螺旋運動を実現するために外部から印加される回転磁界と傾斜磁界を最小限のコイルシステムの構成のみによって生成することができてシステム全体の構成を単純化することができ、カプセル内視鏡の駆動を容易に制御することができる、カプセル型内視鏡駆動制御システム及びこれを含むカプセル型内視鏡システムを提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、外部からの回転磁界と傾斜磁界との相互作用によって管状器官に沿って螺旋状に移動することができる、磁化配置を持つカプセル内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、互いに直交する3つの軸にそれぞれ固定設置され、各直交軸方向に磁場を発生させることが可能なコイル部が各軸に設けられる第1コイルユニットと;前記第1コイルユニットによって発生する磁場に対して一軸方向に傾斜磁界を生成することができるように設けられる第2コイルユニットと;前記第2コイルユニットを立体的に駆動可能であって傾斜磁界の方向を調整するためのコイル駆動部と;カプセル内視鏡から送り出す画像信号を受信する受信部と、前記第1コイルユニットおよび前記第2コイルユニットに供給される電流を制御して発生磁場を調整し、前記コイル駆動部の駆動を制御するための制御部とからなる制御ユニットと;を含んでなる、カプセル型内視鏡駆動制御システムを提供する。
【0012】
好ましくは、本発明において、前記コイル駆動部は、独立駆動の2軸回転によって前記第2コイルユニットを立体的に回転させることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明において、前記第1コイルユニットの各コイル部はヘルムホルツコイルであることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明において、前記第2コイルユニットは一つのマクスウェルコイルであることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の観点によれば、上記のカプセル型内視鏡駆動制御システムを含むカプセル型内視鏡システムであって、ハウジングの長手方向に対して鋭角(0<δ<90°)の範囲内で傾斜した磁化を有し、画像を撮影可能なカメラモジュールが設けられ、撮影された画像を外部へ送り出すことが可能なカプセル内視鏡を含む、カプセル型内視鏡システムを提供する。
【0016】
本発明の別の観点によれば、外部で発生する回転磁界と傾斜磁界によって管状器官の内部に沿って螺旋運動をして移動することが可能なもので、ハウジングの長手方向に対して鋭角(0<δ<90°)の範囲内で傾斜した磁化を有し、画像を撮影して外部へ送り出すことが可能なカプセル内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るカプセル型内視鏡システムは、三つの直交軸上に設けられ、磁界を発生させる第1コイルユニット、および傾斜磁界を発生させるための一つのコイル構造からなる第2コイルユニットで構成された磁場形成部と、第2コイルユニットを立体回転するための機構的なコイル駆動部とを含んで回転磁界と傾斜磁界を発生させることにより、カプセル内視鏡の螺旋運動のための回転磁界と傾斜磁界を最小限のコイルシステムのみで実現してカプセル内視鏡の駆動制御システムを単純化することができるという長所がある。
【0018】
また、本発明に係るカプセル内視鏡は、外部からの回転磁界と傾斜磁界によって管状器官の内部に沿って螺旋状に移動することが可能な磁化特性を持つことにより、管状器官内で螺旋運動に適した構造を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のカプセル型内視鏡システムの構成を示す図である。
図2】本発明のカプセル型内視鏡システムにおける第1コイルユニットの好適な実施例を示す図である。
図3】本発明のカプセル型内視鏡システムにおける第2コイルユニットとコイル駆動部の好適な実施例を示す図である。
図4】本発明のカプセル型内視鏡システムにおけるカプセル内視鏡の好適な実施例を示す構成図である。
図5】本発明のカプセル型内視鏡システムにおけるカプセル内視鏡の磁化構成の好適な実施例を示す図である。
図6】本発明のカプセル型内視鏡システムにおけるカプセル内視鏡の磁化構成の好適な実施例を示す図である。
図7】本発明のカプセル型内視鏡システムにおけるカプセル内視鏡の並進運動を説明するための図である。
図8】本発明のカプセル型内視鏡システムにおけるカプセル内視鏡の歳差運動を説明するための図である。
図9】本発明のカプセル型内視鏡システムの作動例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例で提示される特定の構造ないし機能説明は単に本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の概念による実施例は様々な形態で実施できる。また、本明細書に説明された実施例に限定されるものと解釈されてはならず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物ないし代替物も含むものと理解されるべきである。
【0021】
一方、本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は実施された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0023】
図1を参照すると、本発明のカプセル型内視鏡駆動制御システムは、磁場を発生させるための第1コイルユニット110および第2コイルユニット120と、第2コイルユニット200を立体的に回転駆動するためのコイル駆動部130と、カプセル内視鏡300から送り出される情報を受信し、第1コイルユニット110および第2コイルユニット120に印加される電源を制御して磁場によってカプセル内視鏡300の運動を制御する制御ユニット200とを含んでいる。
【0024】
このような本発明に係る駆動制御システムは、第1コイルユニット110によって発生する回転磁界によるカプセル内視鏡300の歳差運動、および第2コイルユニット120によって発生する傾斜磁界による推進力を用いて、カプセル内視鏡300が管状消化器官に沿って移動するときに管壁に隣接して螺旋運動が行われ得る。以下、各構成について考察する。
【0025】
カプセル内視鏡300は、第1コイルユニット110と第2コイルユニット120からなる磁場生成部100で生成される磁場によって無線制御が行われる。
【0026】
図2に示すように、第1コイルユニット110は、互いに直交する3つの軸にそれぞれ固定設置されるが、各直交軸の方向に磁場を発生させることが可能なコイル部111、112、113が各軸に設けられて提供できる。
【0027】
図示してはいないが、各コイル部を固定設置するために支持用構造物が設けられてもよいことを理解すべきである。
【0028】
各コイル部111、112、113は、それぞれx軸コイル部111、y軸コイル部112、およびz軸コイル部113から構成できる。基本的に、各コイル部111、112、113は、印加される電流の大きさと方向に応じて任意の方向に対する均一磁界または回転磁界または傾斜磁界を発生させることが可能なコイル構造によって提供できる。
【0029】
このような具体的な例として、ヘルムホルツコイル(Helmholtz coil)またはマクスウェルコイル(Maxwell coil)が使用できる。
【0030】
ヘルムホルツコイルは、二つのコイルが一対をなして構成され、中心軸上で二つのコイルが半径だけ離間して配置された構造を有し、二つのコイルに同じ大きさと方向の電流が印加されて均一な磁場を発生させることができる。
【0031】
一方、ヘルムホルツコイルは、二つのコイルに印加される電流の大きさや方向に応じて均一磁界を生成することができ、3対のヘルムホルツコイルを組み合わせて回転磁界を生成することができる。これについては、本出願人の韓国登録特許公報第10−1128034号(登録日:2012年03月12日)に詳細に説明されている。
【0032】
マクスウェルコイルは二つのコイルが一対をなして構成され、二つのコイルが特定の配置を有し、二つのコイルに同じ大きさと相互反対方向の電流が印加されて均一な傾斜磁界を発生させることができる。
【0033】
一方、本発明において、第1コイルユニット110は、互いに直交するように三つの軸上に配置し易いヘルムホルツコイルが使用されることが好ましく、図2では、ヘルムホルツコイルからなる第1コイルユニットを例示している。
【0034】
このように、3つの軸にそれぞれ固定設置されて均一な磁場を発生させることが可能な3つのコイル部111、112、113は、各コイル部に印加される電流の大きさと方向に応じて回転磁界を生成することができ、これを利用してカプセル内視鏡の歳差運動を誘導することができ、これについての具体的な説明は再び述べられる。
【0035】
図3は本発明の傾斜磁界を発生させることが可能な第2コイルユニットの好適な例を示す図であって、一軸方向に傾斜磁界を発生させることが可能なコイルによって提供できる。
【0036】
傾斜磁界を発生させることが可能なコイルユニットとしては、並んで配置された二つのコイルが一対をなして提供できる。二つのコイルに印加される電流の方向が互いに反対となるようにすることにより、傾斜磁界を発生させることができる。本発明において、第2コイルユニットとしてはマクスウェルコイル(Maxwell coil)が使用されることが好ましい。
【0037】
図3には第2コイルユニット120として、一対のコイルからなるマクスウェルコイル121が示されているが、マクスウェルコイル121は、第1コイルユニット110を包むように設けられる。
【0038】
マクスウェルコイル121は、中心軸方向に沿って傾斜磁界が形成され、中央部には近似的に線形(linear)の傾きを持つ傾斜磁界が形成される。
【0039】
第2コイルユニット120が第1コイルユニット110を中心に立体的に駆動できるように、機構的な構造物としてコイル駆動部130が設けられる。
【0040】
コイル駆動部130は、第2コイルユニット120を任意の2方向α、βに回転させることが可能である。よって、第2コイルユニット120で生成された傾斜磁界の方向を任意の方向に調整することが可能である。
【0041】
特に、本発明において、カプセル内視鏡の並進運動のための推進力を提供する第2コイルユニット120として一つのコイル構造のみを使用し、第2コイルユニット120を立体的に回転させることが可能な機構的なコイル駆動部130を用いて、傾斜磁界の方向を調整することにより、全体的にカプセル内視鏡を駆動させるためのコイル駆動システムの構造を単純化させることができることを主要特徴的な構成の一つとするのである。
【0042】
図3に示すように、本実施例において、コイル駆動部130は、地面に垂直に固定される垂直ポスト131と、垂直ポスト131に水平方向に設けられて回転可能な回動アーム132と、第2コイルユニット120を固定支持し、回動アーム132の先端に支持されて上下移動が可能な可動アーム133とから構成できる。
【0043】
垂直ポスト131に対して回転可能な回動アーム132、および回動アーム132の先端に対して上下移動が可能な可動アーム133には、モータなどの周知のアクチュエータが設けられ、外部から印加される電気的または油圧または空圧信号によって正確な駆動制御が行われ得ることを理解すべきである。
【0044】
好ましくは、可動アーム133は、第2コイルユニット120のセンター(第1コイルユニットのセンターと一致)Cを仮想の回転軸として第2コイルユニット120の立体的な回転が行われる適切な曲率半径を持つ円弧形状をする。
【0045】
このように、コイル駆動部130は 2軸回転可能に設けられることにより第2コイルユニット120の立体的な回転が行われ、第2コイルユニット120の傾斜磁界の方向を任意に調整することが可能である。
【0046】
本実施例において、コイル駆動部は、2軸回転が可能なジンバル構造(Gimbal)を例示しているが、これに限定されるものではなく、パラレルメカニズム(スチュワートプラットフォーム:stewart platform)やロボットアームのように第2コイルユニット12を立体的に回転運動させることが可能な範囲内で様々な機構的装置が利用できる。
【0047】
図4はカプセル内視鏡の構成を示す図であって、カプセル内視鏡300は、外観を構成するハウジング301を有し、このハウジング301内には、永久磁石310、カメラモジュール320、データ転送モジュール330および電源供給モジュール340が収納できる。
【0048】
永久磁石310は、任意の方向に磁化を形成し、外部磁場との相互作用によってカプセル内視鏡300の駆動力を提供する。
【0049】
カメラモジュール320は、画像情報を得るためのもので、ハウジング301の前面/背面または側面に固定設置できる。一方、カメラモジュール320を介して生体内で正確な画像情報を得るために、カプセル内視鏡300には照明装置が付加できる。
【0050】
データ転送モジュール330は、カメラモジュール320で得た画像情報を外部へ送り出す機能を行う。
【0051】
電源供給モジュール340は、カメラモジュール320およびデータ転送モジュール330の駆動に必要な作動電源を供給し、その他の照明装置が付加される場合には照明装置などに必要な電源を供給することができる。このような電源供給モジュール340はバッテリーによって提供できる。
【0052】
図5はカプセル内視鏡の外観形状を簡略に例示した図である。図示の如く、カプセル内視鏡は、略長尺円筒状をし、長手方向vと磁化方向Mが一定の角度δの傾斜を持つ。特に、本発明において、カプセル内視鏡300の磁化方向Mは長手方向vに対して鋭角(0<δ<90°)を持つことが好ましい。
【0053】
本発明の作動例において再び具体的に説明されるが、磁化方向が長手方向と一致する場合には、外部からの回転磁界によってカプセル内視鏡の歳差運動が行われず、磁化方向が長手方向と垂直な場合には、カプセル内視鏡は停止した位置で歳差運動のみが可能で、外部からの傾斜磁界による並進運動が不可能であるという問題点がある。
【0054】
図6の(a)、(b)は、カプセル内視鏡が任意の方向に磁化を持つようにするための例示であって、互いに直角に配置される2つの永久磁石311、312が使用できる。
【0055】
図6の(a)に示すように、カプセル内視鏡300は、任意の磁化M1、M2を持ち且つ互いに直角に配置された二つの永久磁石311、312を備えることができる。このような永久磁石の配置は、二つの磁化M1、M2によって決定され、長手方向に対して一定の角度を持つ磁化Mを形成する。
【0056】
再び図1を参照すると、制御ユニット200は、磁場生成部100を構成する第1コイルユニット110、第2コイルユニット120に供給される電流の大きさと方向を制御してカプセル内視鏡300の駆動を制御する制御部220を含み、このとき、制御部220は、コイル駆動部130の駆動を制御して第2コイルユニット120の傾斜磁界の方向を調節することができる。
【0057】
また、制御ユニット200は、カプセル内視鏡300から送り出される画像信号を受信する受信部210を含み、制御ユニット200の作動電源を供給するための電源供給部230を含む。
【0058】
本実施例では、第1コイルユニット110、第2コイルユニット120およびコイル駆動部130は一つの制御部220によって制御されるものと示されているが、各コイルユニットとコイル駆動部は、処理データの速度または属性に応じて別途の専用制御モジュールによって制御できることを理解すべきである。
【0059】
また、本実施例で具体的に言及してはいないが、制御ユニットは、X線を用いてカプセル内視鏡の位置を追跡することが可能なカプセル内視鏡の位置追跡装置や、受信部210で受信した画像情報を出力するためのディスプレイなどの周知の周辺装置が付加できる。
【0060】
このように構成された本発明に係るカプセル型内視鏡システムは、固定設置される第1コイルユニット110で発生した回転磁界によるカプセル内視鏡300が、歳差運動と共に、第2コイルユニット120で発生した傾斜磁界によって管状器官に沿って螺旋運動をして移動し、移動過程で必要な正常情報を得ることができる。以下、その具体的な作動例を説明する。
【0061】
以下の説明では、第1コイルユニット110は直交する3つの軸上にヘルムホルツコイルを備え、第2コイルユニット120としてはマクスウェルコイルを例示する。
【0062】
図7に示すように、カプセル型内視鏡の軸方向をvとし、v軸上に位置するMCを用いて傾斜磁界を発生させると、軸方向vにはgという大きさの傾きを持つ磁界が発生するとともに、半径方向rには−0.5gの傾きを持つ磁界が発生する。
【0063】
このとき、カプセル内視鏡は傾斜磁場によって磁気力が発生し、その磁気力の大きさは次の数式1で表わすことができる。
【数1】

式中、Mはカプセル型内視鏡に含まれている磁石の磁化強度であり、Vは磁石の体積、gはMCによって発生する傾き、δは軸方向のベクトルvと磁化強度Mとの間の角度をそれぞれ示す。
【0064】
図7から分かるように、このような条件で、カプセル内視鏡は、v−r平面でv軸と一定の角度を持つ磁気力Fが発生して対角線方向に並進運動し、力の方向(移動方向)はカプセル内視鏡の磁石配置による磁化方向、すなわちδによって変わる。
【0065】
次に、図8を参照すると、3次元空間上でカプセル内視鏡の中心軸がv軸上に位置してδだけ傾いた磁化方向に対して歳差運動が発生するためには、ヘルムホルツコイルで磁界の方向と大きさを適切に決定して回転磁界を発生させることが必要である。
【0066】
図8において、vは回転中心軸を示し、Pは回転中心軸の法線ベクトル(v−z平面)を表し、φはベクトルvをx−y平面上に投影したときにx−y平面となす角度であり、θはベクトルvをx−y平面上に投影したときにx軸となす角度を示す。
【0067】
図8を参照すると、v軸を中心にカプセル内視鏡の磁化方向が回転し、v軸上に位置したマクスウェルコイルに電流が印加されると、カプセル内視鏡は、v軸方向に発生する磁気力と、r軸方向(図7を参照)に発生する磁気力とが同時に作用する。この二つの磁気力の合力で、カプセル内視鏡は回転と対角方向への並進運動によって螺旋運動が実現できる。
【0068】
一方、カプセル内視鏡が3次元空間内で管状器官に沿って螺旋運動するためには、次の二つの条件が満たされなければならない。
【0069】
まず、図8を参照すると、内視鏡カプセルの歳差運動のために各ヘルムホルツコイルから発生すべき磁界は、次の数式2で表わされる。
【数2】
【0070】
式中、aとbはそれぞれMcosδ、Msinδであり、ωは回転周波数である。
次に、v軸とマクスウェルコイルの方向が一致するようにしなければならない。v軸とマクスウェルコイルの方向が一致することにより、マクスウェルコイルに印加される電流の強さおよび方向の調節のみで容易にカプセル内視鏡の螺旋運動を実現することができる。
【0071】
図9は本発明のカプセル型内視鏡システムの作動例を示す写真であって、3対のヘルムホルツコイルと1対のマクスウェルコイルで発生した回転磁界と傾斜磁界によって永久磁石がガラス管の壁面に密着して上下方向に螺旋運動をすることを示している。
【0072】
以上で説明した本発明は、前述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱することなく様々な置換、変形及び変更を加え得ることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0073】
110 第1コイルユニット
111 x軸コイル部
112 y軸コイル部
113 z軸コイル部
120 第2コイルユニット
130 コイル駆動部
131 垂直ポスト
132 回動アーム
133 可動アーム
200 制御ユニット
210 受信部
220 制御部
300 カプセル内視鏡
301 ハウジング
310 永久磁石
320 カメラモジュール
330 データ転送モジュール
340 電源供給モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9