(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207629
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体チップ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20170925BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20170925BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20170925BHJP
H01L 33/44 20100101ALI20170925BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20170925BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20170925BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20170925BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/32
H01L33/24
H01L33/44
C09K11/06 680
G02B5/20
H05B33/14 A
H05B33/12 E
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-552022(P2015-552022)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-510502(P2016-510502A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】EP2013077199
(87)【国際公開番号】WO2014108289
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】102013100291.9
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(72)【発明者】
【氏名】ブリッタ ゲーツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング メンヒ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シュトラースブルク
【審査官】
吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−511240(JP,A)
【文献】
特表2012−530373(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/092647(WO,A1)
【文献】
特表2008−544567(JP,A)
【文献】
特開2007−246811(JP,A)
【文献】
特開2006−093716(JP,A)
【文献】
特開2006−164938(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/105397(WO,A1)
【文献】
特開2005−228936(JP,A)
【文献】
特開2009−076896(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0132888(US,A1)
【文献】
特開2012−015485(JP,A)
【文献】
特表2006−527918(JP,A)
【文献】
特開2002−090537(JP,A)
【文献】
特開2004−165683(JP,A)
【文献】
特表2009−542560(JP,A)
【文献】
特表2011−527519(JP,A)
【文献】
特開平11−340516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
C09K 11/06
G02B 5/20
H01L 51/50
H05B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体チップにおいて、
− 相互に間隔を空けて配置されている多数の活性エレメント(1)と、
− 前記活性エレメント(1)に対して横断する方向に配置されている支持体(2)とを有し、
− 前記活性エレメント(1)は、それぞれ、前記支持体(2)に対して垂直方向に延びる主軸を有し、
− 前記主軸は相互に平行に配向されていて、
− 前記活性エレメント(1)はそれぞれ中央のコア領域(10)を有し、前記コア領域(10)は少なくとも2層で取り囲まれていて、活性層(11)が前記コア領域(10)を取り囲み、かつカバー層(12)が前記活性層(11)を取り囲み、
− 前記コア領域(10)は、第1の半導体材料で形成されていて、
− 前記活性層(11)は、発光材料を有し、
− 前記カバー層(12)は、p型導電性窒化物化合物半導体材料で形成されていて、かつ
− 少なくとも1種の変換体材料(4)が、前記多数の活性エレメント(1)の周面を取り囲み、
− 前記カバー層(12)は、0.1nm〜100nmの層厚を有し、前記カバー層(12)の層厚は前記変換体材料(4)と前記活性層(11)との距離に相当し、
− 前記変換体材料(4)は、変換物質を有するか又は変換物質及びマトリックス材料を有し、且つ導電性であり、
− 前記活性層(11)の発光材料中で励起子が形成され、前記励起子の一部は、一次電磁放射を発しながら放射崩壊し、かつ一部は、双極子−双極子相互作用を介して前記変換体材料(4)に伝達されることができ、かつ、前記変換体材料(4)に伝達される励起子は二次電磁放射を発しながら崩壊でき、かつ、前記変換体材料(4)は一次電磁放射を少なくとも部分的に二次電磁放射に変換し、かつ、前記二次電磁放射は前記一次電磁放射とは異なる波長領域を有する、
オプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項2】
前記一次電磁放射は、電磁スペクトルのUV領域〜緑色領域、赤外領域又は電磁スペクトルの赤色領域にある、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記発光材料は、第3の半導体材料である、請求項1または2に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記発光材料は、GaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNを基礎とするか又はGaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNからなる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記活性層(11)の発光材料の励起子及び変換体材料(4)は、相互に平行方向に配向した遷移双極子モーメントを有する、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記活性エレメント(1)は、前記活性エレメント(1)の主軸に対して垂直方向で直径を有し、前記活性エレメント(1)の相互の最小の間隔は、前記活性エレメント(1)の最大の直径の二倍である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記変換体材料(4)が、前記活性エレメント(1)の間の空間を完全に埋めている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項8】
前記変換体材料(4)と前記カバー層(12)とは、双極子−双極子相互作用、静電気相互作用、水素架橋結合、ファン・デル・ワールス相互作用、立体的相互作用、エントロピー相互作用又は共有結合によって相互に結合されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項9】
前記マトリックス材料は、シリコーン、エステル含有ポリマー、エポキシド含有ポリマー、アミン含有ポリマー、ポリアセチレン含有ポリマー、ビニル含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、アクリル含有ポリマー、スチレン含有ポリマー及び無機ハイブリッド材料又はこれらの組み合わせを有する群から選択されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項10】
前記変換物質は、発光ポリマー、無機蛍光体、有機分子又は遷移金属錯体である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項11】
前記発光ポリマーは、青色のスペクトル領域で発光する基本骨格と、赤色及び/又は緑色及び/又は黄色及び/又はオレンジ色のスペクトル領域で発光する側鎖とを有する、請求項10に記載の半導体チップ。
【請求項12】
前記発光ポリマーは、フルオレン含有ポリマー又はパラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーを有する、請求項10に記載の半導体チップ。
【請求項13】
前記パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは、次の式
【化1】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同じ又は異なるように選択でき、かつ、H、飽和及び不飽和のアルキル基、完全に又は部分的に置換された飽和及び不飽和のアルキル基、アルコキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族基、完全に又は部分的に置換された芳香族基、縮合された芳香族基、完全に又は部分的に置換された縮合された芳香族基、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択され、かつ
x、y、zは、同じ又は異なるように選択でき、かつ1≦x、y、z≦1000である]を有する請求項
12に記載の半導体チップ。
【請求項14】
前記パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは、次の式
【化2】
[式中、
R1′、R3′、R5′及びR6′は、同じ又は異なるように選択でき、かつ、H、飽和及び不飽和のアルキル基、完全に又は部分的に置換された飽和及び不飽和のアルキル基、芳香族基、完全に又は部分的に置換された芳香族基、縮合された芳香族基、完全に又は部分的に置換された縮合された芳香族基、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択され、かつ
x、y、zは、同じ又は異なるように選択でき、かつ1≦x、y、z≦1000である]を有する請求項
12又は
13に記載の半導体チップ。
【請求項15】
前記カバー層(12)が、0.1nm〜4nmの層厚を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項16】
前記カバー層(12)が、前記活性層(11)を完全に取り囲みかつ完全に覆っている、請求項1から15までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項17】
前記活性エレメント(1)の主軸に対して垂直方向の、前記活性エレメント(1)の直径が、1μm〜2μm又は2μm〜4μmである、請求項1から16までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項18】
前記変換物質が、前記活性エレメント(1)に隣接する領域内では、前記活性エレメント(1)から離れている変換体材料(4)の領域内よりも高い濃度を有する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項19】
前記コア領域(10)が、前記活性エレメント(1)の主軸に対して垂直の直径1nm〜1μmを有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項20】
前記活性層(11)の層厚が、1〜30nmである、請求項1から19までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項21】
前記活性層(11)が、空間を有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【請求項22】
前記活性層(11)の表面が、粗面化されている、請求項1から21までのいずれか1項に記載の半導体チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、ドイツ国特許出願第10 2013 100 291.9号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により取り込まれる。
【0002】
本発明は、オプトエレクトロニクス半導体チップに関する。オプトエレクトロニクス半導体チップ、例えば発光ダイオード(LED)は、頻繁に放射エレメント、例えば変換物質を備えた注型材料を有する。変換物質は、LEDの活性層から発せられる放射を、変更された波長、例えばより長波長を有する放射に変換する。この場合、活性層中に励起子が形成され、この励起子は放射を発しながら崩壊する。しかしながら、この励起子の一部は、光を発光することなく、つまり非放射で崩壊する。活性層内での励起子の非放射崩壊プロセスは、エネルギー損失を高める。この非放射崩壊する励起子は、つまり発光のために利用されない。更に、従来のLEDの場合には、活性層から発せられた放射の変換体表面での反射により及び発せられた放射の変換物質による吸収及び引き続くフォノン発生による損失が生じる。
【0003】
本発明の少なくとも1つの実施態様の課題は、励起子の非放射崩壊による損失を最小化するか又はほぼ完全に抑制することで、オプトエレクトロニクス半導体チップの発光効率が著しく高められたオプトエレクトロニクス半導体チップを提供することである。
【0004】
上記課題は、請求項1の特徴を有するオプトエレクトロニクス半導体チップにより解決される。
【0005】
本発明の有利な態様及び実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
オプトエレクトロニクス半導体チップが記載されている。このオプトエレクトロニクス半導体チップは、複数の活性エレメントを有し、これらの活性エレメントは相互に隣接して配置されていて、かつこれらの活性エレメントに対して横断する方向に支持体が配置されている。これらの活性素子は、それぞれ、この支持体に対して垂直方向に延びる主軸を有する。これらの主軸は、相互に平行方向に配向している。これらの活性エレメントは周面を有し、この場合、少なくとも1種の変換体材料がこの周面に接してこの複数の活性エレメントを取り囲む。この変換体材料は、変換物質を有するか、又は変換物質及びマトリックス材料を有する。この活性エレメントは、それぞれ中央のコア領域を有し、このコア領域は少なくとも2層で取り囲まれている。活性層は、このコア領域を取り囲み、かつカバー層がこの活性層を取り囲む。このコア領域は、第1の半導体材料で形成されていて、かつ活性層は発光材料を有している。カバー層は、第2の半導体材料で形成されていてかつ0.1nm〜100nmの層厚を有する。
【0007】
この活性エレメントの主軸が相互に平行するように配向しているというのは、この活性エレメントの主軸が製造による公差の範囲内で、相互に平行に配向していることを意味する。これらの主軸は、0〜20%、好ましくは0〜10%、特に好ましくは0〜5%の平行度の逸脱を示す。
【0008】
一実施態様の場合には、活性エレメントは、主軸に対して横断する方向よりも、主軸に沿ってより大きく広がっている。つまり、この活性エレメントは、全ての空間方向に向かって等しい幅で延びているのではなく、この活性エレメントの拡がりは、主軸に対して垂直方向よりも主軸に対して平行方向でより大きい。
【0009】
一実施態様の場合には、活性エレメントの主軸に対して平行方向の拡がりは1〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜10μmである。
【0010】
好ましくは、このカバー層は、0.1nm〜50nmの間の層厚、特に好ましくは0.1〜10μmの間の層厚、特に全く好ましくは0.1nm〜4nmの間の層厚を有する。製造による公差の範囲内で、このカバー層は、好ましくは均一な層厚を有する。
【0011】
一実施態様の場合には、活性層及びカバー層は相互に直接接触している。このカバー層の層厚は、この実施態様の場合に、変換体材料からの活性層の距離に相当する。
【0012】
一実施態様の場合には、このカバー層は活性層を部分的に又は完全に取り囲むことができ、かつこの場合、部分的に又は完全に覆うことができる。
【0013】
一実施態様の場合には、変換体材料に対する活性層の距離は、0.1〜100nm、好ましくは0.1〜50nm、特に好ましくは0.1〜10nm、特に全く好ましくは0.1〜4nmである。
【0014】
変換体材料に対する活性層の距離が0.1〜100nmの間にある場合には、この活性エレメント中に及びそこで特に活性層の発光する材料中に生じる励起子は、一部が、一次電磁放射を放出しながら崩壊し、またこの形成された励起子は、一部が、双極子−双極子相互作用によって変換体材料へ伝達される。
【0015】
ここで及びこれ以後、変換体材料の特性は、変換物質、マトリックス材料又はその両方に関することができる。
【0016】
発光材料中での励起子の非放射崩壊は、完全に又はほぼ完全に抑制することができる、というのも、この励起子は、非放射で崩壊する前に、変換体材料の付近のために、この変換体材料に伝達されることになるためである。このように伝達された励起子は、変換体材料中で、次いで二次電磁放射を発しながら放射崩壊することができる。このように伝達された励起子は、一部が例えばマトリックス材料から変換物質に伝達され、かつ次いで初めて二次電磁放射を発しながら崩壊することもできる。従って、エネルギー損失は十分に抑制することができる、というのも慣用のオプトエレクトロニクス部品中で非放射崩壊する励起子は、変換体材料中で二次放射を発するために利用することができるためである。
【0017】
一実施態様の場合には、励起子の変換体材料への伝達が、発光材料中での励起子の非放射崩壊よりも速い。従って、競合的な損失プロセスは十分に抑制することができる。この伝達は、1ps〜10nsの時間内で、例えば1〜20psの時間内で又は1〜10nsの時間内で行うことが可能である。励起子が非放射崩壊するまでの寿命は通常では1μsである。
【0018】
励起子の迅速な伝達により、発光材料中での励起子の滞留時間は短縮できかつそれにより、より迅速に他の励起子を形成することができる。それにより、所定の時間内で、一次電磁放射及び二次電磁放射を発するために利用できるより多くの励起子が供給される。それにより、このオプトエレクトロニクス半導体チップの発光効率及び輝度を著しく向上させることができる。
【0019】
半導体チップの一実施態様の場合に、変換体材料及び発光材料は、励起され占有されたエネルギー準位を有する。励起されたエネルギー準位を占有している電子は、好ましくは、発光材料から変換体材料へ伝達される励起子の構成成分である。発光材料の占有され励起されたエネルギー準位(その電子は伝達されるべき励起子の構成成分である)は、変換体材料の占有され励起されたエネルギー準位(この電子は伝達される励起子の構成成分である)をエネルギー的に越えることができる。発光材料の占有され励起されたエネルギー準位(この電子は伝達されるべき励起子の構成成分である)の状態と占有され励起されたエネルギー準位(この電子は伝達される励起子の構成成分である)の状態とが同じであることも可能である。同じとは、エネルギー準位の状態が最大で2×kT eV異なることを意味する。Tは作動温度であり、kはボルツマン定数である。特に、発光材料と変換体材料とのこのように適合されたエネルギー準位は同じ多重性を示す。励起子及びそれによるエネルギーの伝達についての確率も向上する。
【0020】
こうして、活性層の発光材料から変換体材料への効果的な励起子伝達が可能である。発光材料の占有され励起されたエネルギー準位(この電子は伝達されるべき励起子の構成成分である)が、変換体材料の占有され励起されたエネルギー準位(この電子は伝達される励起子の構成成分である)をエネルギー的に越えているのが好ましい、というのも変換体材料から発光材料への励起子の再伝達は低い確率となるためである。
【0021】
この適合された励起されたエネルギー準位は、最初に励起された一重項状態及び/又は三重項状態であってもよい。しかしながら、エネルギー伝達又は励起子伝達において他のエネルギー準位が関与することも考えられる。
【0022】
一実施態様の場合には、変換体材料は、一次電磁放射を少なくとも部分的に二次電磁放射に変換する。少なくとも部分的にとは、変換体材料が一次電磁放射を少なくとも部分的に吸収し、かつこの一次電磁放射とは異なる波長領域を有する二次電磁放射を発することを意味する。この一次電磁放射及び/又は二次電磁放射は、赤外〜紫外の波長領域内で、特に可視の波長領域で、1つ又は複数の波長及び/又は波長領域を有していてもよい。この場合、一次放射及び/又は二次放射のスペクトルは狭帯域であってもよく、つまり一次放射及び/又は二次放射は、単色の又はほぼ単色の波長領域を有していてもよい。これとは別に、一次放射のスペクトル及び/又は二次放射のスペクトルは広帯域であってもよく、つまり、一次放射及び/又は二次放射は混色の波長領域を有することができ、この場合、混色の波長領域は連続するスペクトルであるか又は異なる波長を有する不連続の複数のスペクトル成分を有していてもよい。
【0023】
一次放射及び二次放射は、重なり合って白色の発光色感覚を生じさせることができる。このため、一次放射は好ましくは青色の発光色感覚を生じさせ、かつ二次放射は黄色の発光色感覚を生じさせ、この発光色感覚は二次放射のスペクトル成分によるか及び/又は緑色及び赤色の波長領域のスペクトル成分によって生じることができる。
【0024】
一次電磁放射を完全に又はほぼ完全に二次電磁放射に変換することも可能である。一次電磁放射は、この場合、完全に又はほぼ完全に変換体材料に吸収され、二次電磁放射の形で発せられる。この実施態様によるオプトエレクトロニクス素子の発する放射は、完全に又はほぼ完全に二次電磁放射に相当する。ほぼ完全な変換とは、90%を越える、特に95%を越える変換であると解釈される。
【0025】
一次放射はUV領域内にあり、二次放射は青色及び黄色の発光色感覚を生じさせ、この発光色感覚は、青色及び黄色の波長領域での二次放射のスペクトル成分により及び/又は青色、緑色及び赤色の波長領域でのスペクトル成分によって生じることができる。ここでは、この二次放射は白色の発光色感覚を生じさせることができる。
【0026】
一実施態様の場合には、二次電磁放射は青色〜赤外の波長領域内にある。
【0027】
一次放射は、一実施態様の場合には、電磁スペクトルの赤外の領域内又は赤色の領域内にあってもよい。二次放射は、電磁スペクトルの赤外の領域にあってもよい。
【0028】
一実施態様の場合には、活性層の発光材料中での励起子の放射崩壊によって、一次電磁放射は、電磁スペクトルのUV領域〜緑色領域で、好ましくはUV領域〜青色領域で発せられる。換言すると、活性層の発光材料は、電磁スペクトルのUV領域〜緑色領域、好ましくはUV領域〜青色領域で一次電磁放射を発する。この活性層の発光材料は、電磁スペクトルの赤外の領域〜赤色領域で一次電磁放射を発することもできる。
【0029】
一次電磁放射の吸収及び引き続く二次電磁放射への変換の他に、変換体材料に伝達される励起子の崩壊によっても、上述に相当する二次電磁放射は発せられる。
【0030】
一実施態様の場合には、発光材料は第3の半導体材料である。この半導体材料中に形成された励起子は、この励起子が放射崩壊する前に短い寿命を有する。それにより、より迅速に更なる励起子を形成することができ、この励起子は、発光のために第3の半導体材料又は変換体材料によって利用することができる。従って、このオプトエレクトロニクス半導体チップの輝度が高められる。
【0031】
一実施態様の場合に、発光材料は、高い振動子強度を有する材料である。これらの材料は、それにより、フェルスター相互作用の比較的長い到達距離を有し、つまりより多くの励起子が発光材料から変換体材料へ伝達される。これらはIIA金属及びIIB金属の群の混合酸化物、混合セレン化物及び混合硫化物であることができる。例えば、(Zn,Mg,Cd)O、(Zn,Cd)Se又は(Zn,Cd,Mg)Sが使用される。
【0032】
発光材料として、InGaAlP又はInGaAsを使用することもできる。
【0033】
例えば、発光材料は、III/V族半導体材料系を基礎とするか又はIII/V族半導体材料系からなることもできる。例えば、この発光材料は、窒化物半導体材料系を基礎とするか又は窒化物半導体材料系からなる。特に、この発光材料は、GaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNを基礎とするか又はこれらからなることができる。好ましくは、発光材料はAlInGaNからなる。
【0034】
一実施態様の場合に、活性層の発光材料の励起子及び変換体材料は、相互に平行方向に配向されている遷移双極子モーメントを有する。従って、励起子の変換体材料への効果的な伝達が可能である。
【0035】
一実施態様の場合に、活性エレメントは、この活性エレメントの主軸に対して垂直方向の直径を有し、この場合、活性エレメントの相互の最小の間隔は、この活性エレメントの最大直径の二倍である。活性エレメントのこの間隔は、20又は10μmであることも可能である。
【0036】
支持体上での活性エレメントの分布は、一実施態様の場合には均質である。これは、少なくとも製造による公差の範囲内で活性エレメントは支持体上に均質に分配されていることを意味する。
【0037】
一実施態様の場合に、活性エレメントは、例えば均質な格子のように配置されていて、つまり、活性エレメントは相互に所定の間隔で配置されていて、例えば、支持体に向かう側から活性エレメントを上から見て、均質な格子構造、例えば長方形格子構造又は三角形格子構造が認識できる。しかしながら、活性エレメントの偶然的な分布も可能である。
【0038】
一実施態様の場合に、この変換体材料は活性エレメントの間の空間を完全に埋めている。
【0039】
一実施態様の場合に、活性エレメントの主軸に対して垂直方向の、活性エレメントの直径は、1μm〜2μm又は2μm〜4μmである。
【0040】
一実施態様の場合に、変換体材料は、カバー層と、双極子−双極子相互作用、静電気相互作用、水素架橋結合、ファン・デル・ワールス相互作用、立体的相互作用、エントロピー相互作用又は共有結合によって相互に結合している。
【0041】
変換体材料、特に変換物質及び/又はマトリックス材料は、UV硬化性ポリマー、温度硬化性ポリマー及び/又は2成分ポリマーを有するか、又はこれらのポリマーの1種又は数種からなることができる。
【0042】
一実施態様の場合に、変換体材料は、変換物質とマトリックス材料とを有し、この場合に、変換物質は、マトリックス材料中に均一に分配されている。変換物質は活性エレメントに隣接する領域内では、活性エレメントから離れている変換体材料の領域内よりも比較的高い濃度を有することも可能である。
【0043】
一実施態様の場合に、このマトリックス材料は、シリコーン、エステル含有ポリマー、エポキシド含有ポリマー、アミン含有ポリマー、ポリアセチレン含有ポリマー、ビニル含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、アクリル含有ポリマー、スチレン含有ポリマー及び無機ハイブリッド材料又はこれらの組合せを有する群から選択される。
【0044】
一実施態様の場合に、この変換物質は、発光ポリマー、無機蛍光体、有機分子又は遷移金属錯体である。
【0045】
有機分子として、レーザー色素及び/又は有機発光ダイオード中で使用される材料が適している。
【0046】
この有機分子は、一実施態様の場合に、ペリレン、クマリン及びキサンテン又はこれらの組合せを有するレーザー色素の群から選択されていてもよい。
【0047】
キサンテンはローダミンであってもよい。
【0048】
一実施態様の場合に、ペリレンは次の構造を有する
【化1】
式中、R″は、H、飽和及び不飽和のアルキル基、完全に又は部分置換された飽和及び不飽和のアルキル基、芳香族基、完全に又は部分的に置換された芳香族基、縮合された芳香族基、完全に又は部分的に置換された縮合された芳香族基、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択される。
【0049】
好ましくは、ペリレンは次のものである。
【化2】
【0050】
有機発光ダイオード中で使用される有機分子の例は次のものである:
【化3】
【0051】
変換体材料は複数の変換物質を有することも可能である。例えば、変換体材料は、発光ポリマーと無機蛍光体とを有することができる。
【0052】
無機蛍光体は、量子ドットであってもよい。量子ドットは、例えば10
4個の原子からなる材料構造である。ここでは、エネルギー準位を材料の選択、量子ドットの形状及びサイズによって調節可能である。量子ドットは小さな寸法を有するため、活性エレメントは僅かな間隔で相互に配置することもできる。
【0053】
一実施態様の場合に、無機蛍光体は、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、リン化インジウム、リン化インジウム銅、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化インジウム銅を有する群から選択される。これらの蛍光体は、硫化亜鉛又はセレン化亜鉛で取り囲まれていてもよい。
【0054】
遷移金属錯体としては、1つの/複数の中心原子として遷移金属を有する単核又は多核の遷移金属錯体を選択することができる。好ましくは、単核のイリジウム錯体又は白金錯体が使用される。好ましい遷移金属錯体はイリジウム錯体である。特にイリジウム錯体が好ましい。イリジウム錯体は、次の構造を有することができる:
【化4】
【0055】
燐光及び/又は蛍光に基づき二次電磁放射を発することができる変換物質が可能である。
【0056】
一実施態様の場合に、発光ポリマーは青色スペクトル領域で発光する基本骨格を有し、かつ赤色及び/又は緑色及び/又は黄色及び/又はオレンジ色のスペクトル領域で発光する側鎖を有する。例えば、発光ポリマーはUV領域又はUV領域〜青色スペクトル領域内の一次電磁放射を吸収し、かつ青色基本骨格によって青色光を発し、この発光ポリマーはまた完全に又は部分的に側鎖により赤色及び/又は緑色及び/又は黄色及び/又はオレンジ色のスペクトル領域内の二次放射を発することができる。活性層の発光材料の励起子も青色の基本骨格に伝達され、この励起子もまたポリマーの側鎖に伝達され、そこで赤色及び/又は緑色及び/又は黄色及び/又はオレンジ色のスペクトル領域内の二次電磁放射を発しながら崩壊する。
【0057】
一実施態様の場合に、発光ポリマーはフルオレン含有ポリマー又はパラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーを有する。
【0058】
一実施態様の場合には、パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは次の式を有する:
【化5】
式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同じ又は異なるように選択でき、H、飽和及び不飽和のアルキル基、完全に又は部分的に置換された飽和及び不飽和のアルキル基、アルコキシ基、アミン、アミド、エステル、芳香族基、完全に又は部分的に置換された芳香族基、縮合された芳香族基、完全に又は部分的に置換された縮合された芳香族基、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択される。x、y、zは、同じ又は異なるように選択でき、かつ1≦x、y、z≦1000である。
【0059】
一実施態様の場合には、パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは次の式を有する:
【化6】
式中、R1′、R3′、R5′及びR6′は、同じ又は異なるように選択でき、H、飽和及び不飽和のアルキル基、完全に又は部分的に置換された飽和及び不飽和のアルキル基、芳香族基、完全に又は部分的に置換された芳香族基、縮合された芳香族基、完全に又は部分的に置換された縮合された芳香族基、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択される。x、y、zは、同じ又は異なるように選択でき、かつ1≦x、y、z≦1000である。
【0060】
一実施態様の場合に、パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは、電磁スペクトルの黄色領域で二次電磁放射を発する。
【0061】
好ましくは、基R1′、R3′、R5′及びR6′は、複素環式基、完全に又は部分的に置換された複素環式基、縮合された複素環式基、完全に又は部分的に置換された縮合された複素環式基を有する群から選択される。特に、硫黄含有の、窒素含有の及び/又は酸素含有の複素環式基が好ましい。更に特に、硫黄含有の又は窒素含有の複素環式基が好ましい。
【0062】
一実施態様の場合には、パラ−フェニレン−ビニレン含有ポリマーは次の式を有する:
【化7】
式中、x、y、zは、同じ又は異なるように選択でき、かつ1≦x、y、z≦1000である。
【0063】
変換体材料、つまり変換物質及び/又はマトリックス材料は導電性であることも可能である。カバー層がp型導電性窒化物化合物半導体で形成されている場合、このカバー層は比較的僅かな横方向導電性(Querleitfaehigkeit)を示す。活性エレメントのp側の接続は、導電性変換体材料によって可能である。導電性変換体材料によって、活性エレメントの活性層の均一な通電が可能である。
【0064】
一実施態様の場合に、支持体は、多数の活性エレメントを機械的に搭載及び支持するオプトエレクトロニクス半導体チップの部材である。従って、支持体は、例えば多数の活性エレメントを相互に結合するオプトエレクトロニクス半導体チップの部材であることもできる。
【0065】
支持体は、例えば活性エレメントの少なくとも一部のための成長基板であってもよい。この支持体は、このために、例えばGaAs、シリコン、ガラス又はサファイアから形成されていてもよい。更に、この支持体は上記の材料の少なくとも1つを有していることも可能である。支持体が成長基板である場合には、半導体チップ中にこの成長基板が残留する。この成長基板の薄膜化、つまり成長基板の厚さの低減は、研磨、エッチング又は化学機械的ポリシングにより可能である。
【0066】
一実施態様の場合に、支持体は少なくとも部分的に放射不透過性、放射透過性、放射反射性又は拡散散乱性に形成されていてもよい。つまり、活性エレメント中で半導体チップの作動時に生じる一次放射及び/又は変換体材料中で生じる二次電磁放射が、支持体を透過することができるか、又は透過しないか、又はこの支持体で反射するか、又は散乱する。
【0067】
一実施態様の場合に、活性エレメントは、円柱、円錐台、規則的な角錐台、六角形底面を有する規則的な角錐、又は特に六角形又は三角形の底面を有する角柱の形で形成されている。この主軸は、円柱、円錐台、規則的な角錐台、六角形の底面を有する規則的な角錐又は角柱の高さを規定する方向である。換言すると、多数の活性エレメントが長く伸びた三次元の成形体により形成され、かつ例えば平行の層の形を有しない。更に、この活性エレメントは、一貫した構造化されていない層ではない。
【0068】
一実施態様の場合に、第1の半導体材料はn型導電性に構成されている。この第1の半導体材料は、例えばn型にドープしたIII/V族半導体材料系を基礎とすることができる。例えば、第1の半導体材料は、n型にドープした窒化物半導体材料系を基礎とする。特に、第1の半導体材料は、n型にドープしたGaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNを基礎とすることができる。第1の半導体材料は、n型のInGaAlP又はInGaAsを基礎とすることができる。
【0069】
この活性エレメントのコア領域は、この活性エレメントと同じタイプの空間形状を有することができる。活性エレメントが例えば円柱又は角柱の形状で形成されている場合、このコア領域も円柱又は角柱の形状を有することができる。このコア領域は、この場合に特に、第1の半導体材料からなる中実成形体として構成されていてもよい。
【0070】
このコア領域は、活性エレメントの主軸に対して垂直の直径1nm〜5μm、好ましくは1nm〜1μm、更に特に好ましくは1nm〜300nmを有することができる。このコア領域は、例えば活性エレメントの主軸に対して垂直の直径40nm〜100nm、40nm〜80nm、又は40nm〜60nmを有することができる。
【0071】
一実施態様の場合に、このコア領域は、活性層によって部分的に又は好ましくは完全に覆われている周面を有する。コア領域の端面も、少なくともところどころ覆われていてもよい。このコア領域は、この場合、活性層に直接隣接していてもよい。製造による公差の範囲内で、活性層は好ましくは均一な層厚を有する。この層厚は、1〜30nm、好ましくは1〜10nmである。
【0072】
この第2の半導体材料は、第1の半導体材料と同じ半導体材料系を基礎とする半導体材料であってもよいが、この場合に他のドーパントを有する。この第2の半導体材料は、p型導電性に形成することができ、例えばこの第2の半導体材料は、GaN、InGaN、AlGaN又はAlInGaNを基礎とするか又はここに記載の材料の2種以上からなる2層以上の層の積層体を基礎とする。
【0073】
多数の活性エレメントは同種に構成することができる。これは、少なくとも製造による公差の範囲内で活性エレメントは同じに構成されることを意味する。しかしながら、オプトエレクトロニクス半導体チップが多数の活性エレメントを有し、これらの活性エレメントは少なくとも部分的に多様に構成されていることも可能でもある。例えば、活性エレメントはその拡がりに関して主軸に対して平行方向と横断方向とが相互に異なっていてもよい。
【0074】
特に窒化ガリウムを基礎とする発光ダイオードの効率は、作動電流条件下で、いわゆる「ドループ効果(DROOP-Effekt)」によって制限される。この効果は、電流密度又は電荷キャリア密度の上昇と共に効率の明らかな低下を特徴とする。典型的な作動電流は、従って明らかに効率曲線の最大値を越えている。電流を変えずにより高い効率に達するために、従って、局所的な電荷キャリア密度の低減が好ましい。これは、例えばオプトエレクトロニクス半導体チップの横断面の拡大により又は活性層の数の増加によって達成することができる。しかしながらこの両方のアプローチは問題を有する。
【0075】
多くの適用にとって例えば横断面の拡大は有効ではない、というのもこの拡大はエタンデュの向上を伴うためである。更に、この解決策は常に、半導体チップの横断面積の増大のために大抵は過大なコストの上昇とも結びつく。
【0076】
ここに記載されたオプトエレクトロニクス半導体チップの場合には、活性エレメントは、例えば「Core Chell Nanorods or Microrods」としても、コア・シェル・ナノロッド又はマイクロロッドとしても構成されている。オプトエレクトロニクス半導体チップの放射を発する領域を多数の活性エレメントに分割することにより、つまり例えば多数のコア・シェル・ロッドに分割することにより、唯一の活性領域、例えば1つの活性層を有しかつ例えば構造化されていないオプトエレクトロニクス半導体チップと比べて、作動時に電磁放射を生じる活性容量が高まる。この方法により半導体チップの効率は高められる。
【0077】
ここに記載されたオプトエレクトロニクス半導体チップが多数の活性エレメントを有する事実に基づいて、この活性面積の明らかな拡大及びそれにより作動電流条件下で低減された電荷キャリア密度で効率の向上が達成される。さらに、相互に間隔が空けられている活性エレメントのエピタキシャル成長の際に、閉じた二次元の層と比べて、活性エレメントの半導体材料中での歪みの低下を達成することができる。
【0078】
特に、2つ、2つより多く、100より多く、好ましくは1000より多く、特に10000より多く又は100000より多くの活性エレメントを備えた、ここに記載されたオプトエレクトロニクス半導体チップを構成させることも可能である。
【0079】
一実施態様の場合に、この活性エレメントの活性層の面積は拡大されている。この活性層は、空間を有していてもよい。この活性層の表面は粗面化されていてもよいか又は三次元的なトポグラフィーを備えていてもよい。活性面積の拡大は、作動電流条件下で低減された電荷キャリア密度で効率の向上を引き起こす。活性層のフラクタルな表面構成及び/又はその中に存在する空間も可能である。この場合、活性層のナノ構造体又はマイクロ構造体から、このナノ構造体又はマイクロ構造体の横側に類似の構造体が成長する。この構造から、次いでまた類似の構造体が成長し、その結果、フラクタルな表面が得られる。
【0080】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施態様の場合に、中央のコア領域は三層に取り囲まれている。カバー層が第1の接触層で取り囲まれていることも可能である。この場合、カバー層は、部分的に又は完全に第1の接触層により覆われている。カバー層と第1の接触層は、特に、相互に直接接触している。この第1の接触層は、作動時に活性層中に生じる一次電磁放射に対して透過性である。カバー層がp型導電性窒化物化合物半導体で形成されている場合、このカバー層は比較的僅かな横方向導電性(Querleitfaehigkeit)を示す。第1の接触層の準備により、活性エレメントの活性層の均質な通電が生じる。第1の接触層は、例えば、製造による公差の範囲内で均一な厚さを有することができる層としてカバー層を覆う。第1の接触層の厚さは、1〜30nm、好ましくは1〜10nmである。この実施態様の場合には、変換体材料は、好ましくは非導電性に構成されている。
【0081】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施態様の場合に、第1の接触層は、大きなバンドギャップEgを有する材料から形成されている。このバンドギャップEgは、活性領域の最も短波長で発せられる一次放射より大きいか又は同じである。例えば、Egは、電磁スペクトルの赤色領域での一次放射については2.2eV又は2.0eVと等しく、又は電磁スペクトルの赤外領域での一次放射については1.5eVに等しい。このバンドギャップEgは、電磁スペクトルの青色領域にある一次放射の場合には、4eV以上であり、好ましくは3eV以上であり、特に好ましくは2.8eV以上である。よって、発光材料から変換体材料への励起子の伝達は妨げられずに行うことを保証することができる。
【0082】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1つの実施態様の場合に、第1の接触層は透明な導電性酸化物で形成されている。例えば、第1の接触層は、ITO及び/又はAl
1-x-yGa
xIn
yN:Mg(ただし、0≦x≦1及び0≦y≦1及びx+y=1)から形成されている。
【0083】
オプトエレクトロニクス半導体チップの一実施態様の場合に、第2の接触層はコア領域と少なくとも大部分が、特にオプトエレクトロニクス半導体チップの全ての活性エレメントが直接接触していて、つまり、全体のコア領域又は全てのコア領域の少なくとも大部分は、唯一の共通の第2の接触層を介して導電性に接続されている。このコア領域がn型に構成されている場合には、導電性の第2の接触層によって活性エレメントのn側の接触が可能である。
【0084】
第2の接触層は、この場合、特に少なくともところどころに、支持体に対して平行に延びるか又はほぼ平行に延びる同一平面上に延在していてもよい。これらの活性エレメントは、この場合に支持体と第2の接触層との間に配置されている。
【0085】
活性エレメントの少なくとも大部分とは、この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップの活性エレメントの少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも95%をいう。ほぼ平行とは、第2の接触層が、少なくともところどころに、製造による公差の範囲内で支持体に対して平行に延びる同一平面上に延在することを意味する。
【0086】
短絡又は漏電路を抑制するために、カバー層及び第1の接触層又はカバー層及び変換体材料は、不動態化部分によって導電性の第2の接触層と隔てられている。この不動態化部分は、この場合、活性エレメントのコア領域と直接接触していてもよく、かつ支持体とは反対側の活性エレメントでこのコア領域の周面に接して存在し、例えばカバー層及び第1の接触層又はカバー層及び変換体材料と直接接触していてもよい。この不動態化部分は、支持体とは反対側のコア領域と面一になっていてもよく、かつ支持体とは反対側の不動態化部分は第2の接触層と直接接触している。
【0087】
この不動態化部分は、例えば、カバー層及び場合により第1の接触層又は変換体材料の電気絶縁性材料による遮蔽によるか、又はカバー層の半導体材料の不動態化により、例えばイオン注入により又は半導体材料中に導入されたドーパント種の電気的失活により、例えば水素プラスマ工程の範囲内で、又はバックスパッタ工程(Ruecksputterschritt)による表面欠陥の作製により行うことができる。
【0088】
オプトエレクトロニクス半導体チップの一実施態様の場合に、第2の接触層は、作動の間に活性層内で生じる一次放射に対して及び/又は変換体材料により生じる二次電磁放射に対して透過性又は反射性に形成されている。つまり、生じた一次放射及び/又は二次放射はこの接触層を通過できるか又はこの接触層で反射される。透過性の第2の接触層は、例えば透明な導電性酸化物で形成されていてもよい。例えば、ITO又はZnOのような材料が適している。反射性の第2の接触層は、金属性に、例えば反射性の金属、例えば銀、金、チタン、白金、パラジウム、タングステン、オスミウム及び/又はアルミニウムで形成されていてもよい。反射性の第2の接触層の場合に、支持体は好ましくは放射透過性に構成されている。作動時にオプトエレクトロニクス半導体チップから発せられる電磁放射の少なくとも大部分は、この場合、支持体を通過して放射される。
【0089】
少なくとも1つの実施態様の場合に、オプトエレクトロニクス半導体チップは反射層を有し、この反射層は、支持体の、多数の活性エレメントと同じ側に配置されている。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップは唯一の反射層を有し、この唯一の反射層は、オプトエレクトロニクス半導体チップの全ての活性エレメントと相互に結合していることも可能である。これらの活性エレメントは、この場合、少なくともところどころで反射層に直接隣接していてもよい。
【0090】
この半導体チップは特に低コストで製造することができる、というのも三次元結晶構造体を有する、例えば三次元コア・シェル構造体を有するオプトエレクトロニクス半導体チップの製造のために必要なプロセス工程及びプロセスが可能であるためである。更に、三次元結晶構造体の接続は標準化されたプロセスにより行うことができる、というのもこの接続自体はナノメーター領域での分解能を必要とせず、全体の活性エレメントにわたって延在している接触層及び/又は変換体材料を用いて可能であるためである。ここに記載されたエレメントの作製のために平坦なエピタキシャル構造は必要でないため、通常ではなくかつ/又は大面積の異種支持体上にエピタキシャル成長させることもできる。特に電気絶縁性の成長基板を使用することができる。更に、半導体材料として窒化ガリウムを基礎とする半導体材料を使用することもでき、この半導体材料はエンドフィールド方向(Endfeldrichtung)に成長する。活性エレメントの主軸方向での長さの相違は、p側に対する接触のために利用されるp型導電性領域の特徴に悪影響を及ぼすことなく、プラナリゼーション工程により相殺することができる。しかしながら、各々の活性エレメントの使用可能な活性面を特に有効に利用するために、プラナリゼーションを省くことも可能である。
【0091】
本発明の他の好ましい態様及び実施形態は、次に図面との関連で記載した実施例から明らかである。
【0092】
これらの実施例及び図面では、同じ又は同様に作用する構成成分はそれぞれ同じ符号を備えている。この図示された部材及び相互の大きさの比率は寸法通りとは見なされず、むしろ個々の部材は、特に理解しやすさからその層厚を課題に大きく示されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】ここに記載されたオプトエレクトロニクス半導体チップの断面図を示す。
【
図2】ここに記載された他のオプトエレクトロニクス半導体チップの断面図を示す。
【0094】
図1は、例えば放射透過性で、電気絶縁性の成長基板、例えばサファイア又はガラスである支持体2を備えたオプトエレクトロニクス半導体チップを示す。この支持体2上に、複数の活性エレメント1が配置されている。この活性エレメント1は、ここでは例えば円柱の形状を有する。この活性エレメント1は、例えば規則的な格子の格子点に、ここでは例えば長方形格子の格子点に配置されている。
【0095】
活性エレメント1のそれぞれは、1つのコア領域10を有する。このコア領域10は、ここではn型にドープしたGaNを基礎とする第1の半導体材料で形成されている。このコア領域10は、同様に円柱の形状を有する。このコア領域10の周面は、全体が活性層11で覆われていて、この活性層中で、オプトエレクトロニクス半導体チップの作動時に一次電磁放射が生じる。
【0096】
この活性層11は中空円柱体の形状を有し、この中空円柱体の内面は全体が、コア領域10の第1の半導体材料で覆われている。この活性層11は、第3の極性半導体材料、例えばGaNからなる。この活性層11は、全体がカバー層12で取り囲まれていて、このカバー層12は、p型にドープしたGaNを基礎とする第2の半導体材料で形成されている。
【0097】
これらの活性エレメント1の間の空間は、導電性変換体材料4で満たされている。この変換体材料4は、例えば、青色のスペクトル領域で発光する基本骨格と黄色のスペクトル領域で発光する側鎖とを有する導電性の発光ポリマーを有する。この変換体材料4に対する活性層11の距離は4nmである。
【0098】
第2の接触層6は、活性エレメント1の、支持体2とは反対側にあり、かつ支持体2と平行に配置されている。この第2の接触層6は、オプトエレクトロニクス半導体チップの全ての活性エレメント1のコア領域10と直接接触しているため、全てのコア領域10は、唯一の共通の第2の接触層6を介して導電性に接続されている。この第2の接触層6は、反射性の金属、例えば銀から形成されている。
【0099】
活性エレメント1の接続は、変換体材料4の導電性ポリマーを介して及び第2の接触層6を介して行われる。
【0100】
不動態化部分3により、変換体材料4、カバー層12及び活性層11は、導電性の第2の接触層6に対して絶縁されている。この不動態化部分3は、活性エレメント1及び変換体材料4の、支持体2とは反対側にある。
【0101】
この不動態化部分3に基づき、第2の接触層6とp型にドープしたカバー層12と変換体材料4との間の接続は妨げられる。
【0102】
図2は、例えば放射反射性に構成されている支持体2を備えたオプトエレクトロニクス半導体チップを示す。この支持体2上に、複数の活性エレメント1が配置されている。この活性エレメント1は、ここでは例えば六角形の底面を有する柱体を有する。この活性エレメント1は、例えば規則的な格子の格子点に、ここでは例えば三角形格子の格子点に配置されている。
【0103】
活性エレメント1のそれぞれは、1つのコア領域10を有する。このコア領域10は、ここではn型にドープしたGaNを基礎とする第1の半導体材料で形成されている。このコア領域10は、同様に円柱の形態を有する。このコア領域10の周面は、全体が活性層11で覆われていて、この活性層中に、オプトエレクトロニクス半導体チップの作動時に一次電磁放射が生じる。
【0104】
この活性層11は中空円柱体の形状を有し、この中空円柱体の内面は全体が、コア領域10の第1の半導体材料で覆われている。この活性層11は、第3の極性半導体材料、例えばGaNからなる。この活性層11は、全体がカバー層12で取り囲まれていて、このカバー層12は、p型にドープしたGaNを基礎とする第2の半導体材料で形成されている。
【0105】
このカバー層12は、第1の接触層13で完全に取り囲まれている。この第1の接触層13は、作動時に活性層11中に生じる一次電磁放射に対して透過性である。
【0106】
これらの活性エレメント1の間の空間は、非導電性変換体材料4で満たされている。この変換体材料4は、例えば、青色のスペクトル領域で発光する基本骨格と、赤色及び緑色のスペクトル領域で発光する側鎖とを有する発光ポリマーを有する。この変換体材料4に対する活性層11の距離は15nmである。
【0107】
第2の接触層6は、活性エレメント1の、支持体2とは反対側にあり、かつ支持体2と平行に配置されている。この第2の接触層6は、オプトエレクトロニクス半導体チップの全ての活性エレメント1のコア領域10と直接接触しているため、全てのコア領域10は、唯一の共通の第2の接触層6を介して導電性に接続されている。この第2の接触層6は、作動時に活性エレメント中に生じる一次放射に対して及び変換体材料4により生じる二次放射に対して透過性に構成されている。例えば、第2の接触層6は、ITOから形成されている。
【0108】
活性エレメント1の接続は、第1の接触層13及び第2の接触層6を介して行われる。
【0109】
不動態化部分3によって、この活性層、カバー層12及び第1の接触層13は、導電性の第2の接触層6から隔てられている。この不動態化部分3は、活性エレメント1の、支持体2とは反対側に存在している。
【0110】
この不動態化部分3に基づき、接触層6の接続、第2の接触層とp型にドープしたカバー層12と第1の接触層13との間の接触は妨げられる。
【0111】
本発明は、実施例に基づくこの記載により制限されない。むしろ、本発明は、全ての新規の特徴並びにこれらの特徴の全ての組合せを有し、これは、特に、これらの特徴又はその組合せが特許請求の範囲又は実施例に明確には記載されていない場合であっても、特許請求の範囲の特徴の全ての組合せを内容とする。