特許第6207630号(P6207630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207630レゾール含有架橋系を用いたカルボキシル化ニトリルゴムの架橋
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  • 特許6207630-レゾール含有架橋系を用いたカルボキシル化ニトリルゴムの架橋 図000026
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207630
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】レゾール含有架橋系を用いたカルボキシル化ニトリルゴムの架橋
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/02 20060101AFI20170925BHJP
   C08L 61/10 20060101ALI20170925BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20170925BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C08L9/02
   C08L61/10
   C08K3/34
   C08K5/5415
【請求項の数】15
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-553069(P2015-553069)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-503123(P2016-503123A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2014050770
(87)【国際公開番号】WO2014111451
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】13152079.3
(32)【優先日】2013年1月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516112462
【氏名又は名称】アランセオ・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・マグ
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ヴェレ
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−501172(JP,A)
【文献】 特開2010−106113(JP,A)
【文献】 特開2006−052281(JP,A)
【文献】 特開2006−052105(JP,A)
【文献】 特開2009−007442(JP,A)
【文献】 特開2001−164049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫可能な組成物であって、
(1)少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を有する、ニトリルゴム、
(2)少なくとも1種のレゾール、
(3)少なくとも1種のシリカ系充填剤および少なくとも1種の一般式(I)のシラン
【化1】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキルである)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
または、これらに代わるものとして、シランを用いて変性されたシリカ系充填剤、
を含む、加硫可能な組成物。
【請求項2】
使用される前記ニトリルゴムが、少なくとも1種の(C〜C)共役ジエン繰り返し単位、および少なくとも1種の(C〜C)−α,β−不飽和ニトリルの繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の加硫可能な組成物。
【請求項3】
使用される前記ニトリルゴムが、α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸の無水物、およびα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルの群から選択される、少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の加硫可能な組成物。
【請求項4】
前記レゾールが、一般式(II)の1種または複数の化合物
【化2】
[式中、
が、H、−CH、−CHOH、または−CHBrであり、
が、−CHOHまたは−CHBrであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C15−アルキル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜25の範囲の整数である]
を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項5】
前記レゾールが
が、Hまたは−CHOHであり、
が、−CHOHであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜15の範囲の整数である、
一般式(II)の1種または複数の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項6】
使用される前記シリカ系充填剤が、天然シリケート、合成シリケート、シリカ、ガラス繊維、ガラス繊維製品、またはガラスマイクロビーズであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項7】
使用される前記シリカ系充填剤が、沈降シリカまたはヒュームドシリカであって、ISO 9277に従うそのBET比表面積が、5〜1000m/gの範囲である沈降シリカまたはヒュームドシリカであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のシリカ系充填剤および少なくとも1種の一般式(I)のシラン
【化3】
[式中、
、R、およびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C10−アルキル基である)であり、
が、それぞれ飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C10−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
が使用されるか、あるいは、前記シリカ系充填剤および一般式(I)の少なくとも1種の前記シランに代えて、前記一般式(I)のシラン(式中、R、R、R、およびRはそれぞれ上述により定義されたものである)を用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤が使用される、
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項9】
オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、およびビス(トリエトキシシリルプロピル)オリゴスルフィドの群から選択される少なくとも1種のシランが使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物であって、
(1)100重量部の、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を有する、ニトリルゴム、
(2)1〜50重量部の、少なくとも1種のレゾール、
(3)20〜100重量部の少なくとも1種のシリカ系充填剤、および前記シリカ系充填剤の重量を基準にして1〜20重量%の前記一般式(I)を有する少なくとも1種のシラン、
【化4】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基である)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
または、シリカ系充填剤と前記一般式(I)のシランとの組合せに代えて、20〜125重量部の、シランを用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤、
を含む、加硫可能な組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物であって、さらに
(4)ゴム、熱可塑性プラスチック、おびこれらの混合物、からなる群より選択される1種または複数のさらなるポリマー、
を含む、加硫可能な組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物であって、さらに
(5)ハロゲン含有化合物、および
(6)0種、1種、または2種以上のさらなるゴム添加剤、
を含む、加硫可能な組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物を調製するためのプロセスであって、成分(1)、(2)、および(3)、ならびに任意の成分(4)、(5)、および(6)を混合することによる、プロセス。
【請求項14】
加硫物を製造するためのプロセスであって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物を、加硫にかけることによる、プロセス。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物からの加硫物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル化ニトリルゴム、レゾール系架橋剤、鉱物質充填剤、および特定の添加剤をベースとする加硫可能な組成物、それらの加硫可能な組成物を調製するためのプロセス、それらから加硫物を製造するためのプロセス、ならびに、そのようにして得られる加硫物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトリルゴムは、しばしば略して「NBR」とも呼ばれるが、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合可能なモノマーのコポリマーまたはターポリマーであるゴムを意味していると理解されたい。水素化ニトリルゴム(「HNBR」)は、共重合されたジエン単位のC=C二重結合の全部または一部が水素化された、それらに相当するコポリマーまたはターポリマーを意味していると理解されたい。
【0003】
NBRおよびHNBRのいずれもが、長年にわたって、特殊エラストマー分野において確たる地位を占めてきた。それらは、優れた耐油性、良好な熱安定性、優れた耐オゾン性および耐薬品性(後者では、NBRの場合よりもHNBRの場合の方がさらに一段と優れている)の形態において優れた性能プロファイルを有している。NBRおよびHNBRはさらに、極めて良好な機械的および実用性能も有している。この理由から、それらは、広く各種の異なった利用分野において広く使用されており、たとえば、自動車分野におけるガスケット、ホース、ベルトおよび制振要素の製造のため、さらには石油製造分野におけるステーター、油井シールおよびバルブシールのため、さらには電気産業、機械工学および造船における無数の部品のために使用されている。数多くの各種のタイプのものが市場で入手可能であって、それらは、使用分野に応じて、各種のモノマー、分子量、多分散性、ならびに機械的性質および物理的性質を特徴として備えている。標準的なタイプに加えて、特定のターモノマーの内容または特別な官能化を特徴とする特殊タイプへの要望が増大しつつある。
【0004】
工業的なゴム物品の場合における、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のカルボキシル基含有モノマーをベースとするターポリマーである、カルボキシル化ニトリルゴム(略して「XNBR」とも呼ばれることもある)のための市場は、伝統的に、工業的な駆動技術、輸送技術、織物産業、自動車および工業分野におけるシール材、ならびにその他の特殊用途の分野にある。
【0005】
XNBRがたとえば以下のような特殊な性能を有しているために、長年にわたって、いくつかの重要な分野において、XNBRが広く使用されてきた:
・ 極めて低い摩耗および良好な耐摩耗性、
・ 強度および応力値に関する優れた加硫物の物性、
・ 基材とターモノマーのカルボキシル基の反応が可能であることによる、極性基材に対する優れた接着性、および
・ 同様に、カルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位に起因する、親水性。
【0006】
しかしながら、第一には、XNBRの原料コストがNBRに比較して高価であるため、そして第二には、使用可能な性能プロファイルを有する加硫物を得ようとすると、これまでは、金属酸化物および標準的な硫黄系からなる架橋系を使用することが避けられなかったために、より広範囲に用途を多様化させるには限界が存在している。しかしながら、金属酸化物、たとえばより具体的には酸化亜鉛は、環境的には毒性物質であり、そのため、原則としては望ましくない。
【0007】
金属酸化物と硫黄または硫黄供与体とからなる架橋系によって、ターモノマーの繰り返し単位中のカルボキシル基およびポリマー鎖の中の二重結合が関与する加硫が可能とはなるが、ただし、
・ 加工の信頼性が、最近の作業における要求性能に適合しないことも多く、その加硫可能な混合物の取り扱いが困難であり、さらなるコストを伴う可能性があり、そして
・ 使用されている金属酸化物が原因で、特に高温における、特に圧縮永久歪み性能に関連する熱安定性および耐熱老化性が、ニトリルゴムの場合よりも大幅に低い。
【0008】
XNBRのための架橋系として、酸化亜鉛と硫黄との組合せを使用することが好ましいことについては、(非特許文献1)に記載がある。(非特許文献2)において、分散された酸化亜鉛の粒子と、XNBR中の繰り返しターモノマー単位のカルボキシル基との「クラスター状」架橋と呼ばれている反応が、上述の優れた性質の多くをもたらす本質的な理由であると認識されていたが、それらは上述の問題を引き起こす原因ともなっている。
【0009】
(非特許文献3)においては、酸化亜鉛に代えて過酸化亜鉛を使用することによって、加工性に関してある種の改良が可能となると記述されている。しかしながら、この変法は、この製品に付随する取り扱い性および入手性、さらには、その加硫物の性能が相変わらず低いことなどのために、全体として満足のいく解決法にはなっていない。
【0010】
そのため、架橋系の一部として金属酸化物を必要としない、この問題の解決法が検討されてきた。
【0011】
これについては、これまでいくつかのアプローチ方法が存在していた。それらの例に含まれているのは、ジアミン、エポキシ樹脂の製造に使用されているようなジエポキシド(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)、カルボジイミド、ブロックドイソシアネート、ならびに、(非特許文献4)に記載されているチオホスホリルポリスルフィド、などをベースとする架橋系である。しかしながら、これらのプロセスはいずれも、一方では、ターモノマーのカルボキシル基との反応を介するか、または共役ジエンモノマーの二重結合との反応を介するかのいずれかで効果があるものの、各種の欠点も示し、そのため、工業的な実施においては、重大な地位を占めるに至っていない。
【0012】
(非特許文献5)に詳述されているように、「2K技術」における過酸化物の使用が、ある程度の評価を得ている唯一のものである。
【0013】
ずっと昔の1965年に刊行された書籍の(非特許文献6)には、カルボキシル化ニトリルゴムのための樹脂架橋が記載されている。この樹脂架橋を工業的実施に導入することを目的とした、さらなる開発や文献は知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Rubber Chemistry and Technology,30(1957),1347
【非特許文献2】Macromolecules,Vol.3,No.2,147(1970)
【非特許文献3】Kautschuk,Gummi,Kunststoffe,53,415(2000)
【非特許文献4】Journal of Appllied Polymer Science,80,1925(2001)
【非特許文献5】D.Schneegans,R.Gattringer and R.Bauer,GAK 8/2007,volume60,p.494ff
【非特許文献6】Werner Hofmann,“Vulkanisation&Vulkanisationshilfsmittel”[Vulcanization&Vulcanization Aids]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
加工の過程において十分な加工信頼性を有し、したがって、取り扱いが容易であり、さらにそれに加えて、特に圧縮永久歪み性能および耐熱老化性に関して高い熱安定性を有する、カルボキシル基を有するニトリルゴムをベースとする加硫可能な混合物を提供することが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、少なくとも1種のシリカ系充填剤および少なくとも1種の特定のシランの存在下に、架橋剤としてのレゾールを使用することによって達成された。
【0017】
したがって、本発明は以下のものを含む加硫可能な組成物を提供する:
(1)少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を有する、ニトリルゴム、
(2)少なくとも1種のレゾール、
(3)少なくとも1種のシリカ系充填剤および少なくとも1種の一般式(I)のシラン
【化1】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキルである)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または
−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
または、それらに代わるものとして、シランを用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤。
【0018】
本発明はさらに、成分(1)、(2)および(3)を混合することによる、これらの加硫可能な混合物を調製するためのプロセスも提供する。
【0019】
本発明はさらに、それらの加硫可能な混合物を、好ましくは高温での加硫にかけることによる、加硫物を製造するためのプロセスも提供する。
【0020】
本発明はさらに、本発明の混合物を加硫させることによって得ることが可能な加硫物も提供する。
【0021】
利点:
本発明の加硫可能な組成物は、酸化亜鉛/硫黄の架橋剤系をベースとする組成物に比較して、加工特性における明らかな改良を特徴としている。さらに、本発明の加硫可能な組成物から加硫によって得られる加硫物は、一方では、酸化亜鉛/硫黄の架橋によって得られる製品の(有利な方向での)性能プロファイルを示すと共に、他方では、それらに加えて、顕著に良好な圧縮永久歪み性、すなわち、より低い圧縮永久歪みを有している。
【0022】
今日慣用されている酸化亜鉛および硫黄ベースの架橋剤からなる架橋系に比較して、架橋剤としてのレゾールを、シランおよびシリカ系充填剤と組み合わせて使用することによって、加工技術に関して、加工特性に関して、および、それらから広く各種のゴム物品の形態で製造される加硫物の性能に関して、数多くの利点が得られる:
− 使用される粗原料:本発明による加硫可能な組成物は、環境的に有害な架橋剤たとえば酸化亜鉛の使用、さらには、架橋剤系の一部としての硫黄または硫黄供与型化合物の使用をもはや必要としない、ということを特徴としている。レゾールを使用することによって、極めて安定な共有結合的架橋の橋かけが形成される。
− 加工技術:混合粘度が最大で30%低減される。このことによって、混合物の流動性が顕著に改良される。180℃でのRheovulkameter試験の手段により、その流動性が最大で100%まで改良されたことを確認することができた。本発明の組成物の混合物から製造されるシートは、より滑らかであり、ダイスエルさらにはカレンダリング収縮がより低い。したがって、それらの混合物は、射出成形プロセスによって成形物品を製造するのに好適である。たとえばホースのための押出加工、ならびにフィルムおよび織布を被覆するためのカレンダーまたはローラーヘッド系での加工も同様に改良される。これらの利点によって、コスト的に顕著なメリットが得られ、このことは、状況に応じていずれのユーザーでも利用することができる。
− 混合の管理(Mixing logistics):従来技術に従って酸化亜鉛を用いて加硫可能とした混合物は、極めて限定された貯蔵安定性しか有していないことが多い。改良のために過酸化亜鉛を使用すると、特別な注意を払うことがさらに必要となる。本発明の加硫可能な組成物は、それらとは対照的に、貯蔵安定性において明らかな改良を示す。たとえば、室温で約10日の貯蔵寿命に相当する、40℃で3日間の貯蔵をした後で加硫試験をするような条件が、デリケートなコンパウンディングの場合においても、効率的に履行されることができる。その結果、極端なケースにおいては、製造計画を改良し、過度に長期の保存が原因で廃棄される混合物の量を減らすことが可能となる。
− 加硫物の物性:応力−歪み物性:所定の硬度での高い応力値は、カルボキシル基を有するニトリルゴムをベースとするエラストマーの本質的な性質の一つである。従来技術においては、これらの性質は、高いカルボキシル基含量を有するポリマーの場合においてのみ達成されるか、または、酸化亜鉛のカルボキシル基との「クラスター状の」架橋が避けられず、それが応力下での緩和に対する低抵抗性を示すという結果を伴って達成されるかのいずれかである。したがって、酸化亜鉛/硫黄を用いて架橋された、カルボキシル基を有するニトリルゴムをベースとする加硫物は、現時点で工業的に要求されているシーリング材料としては、特殊な場合においてのみにしか慣用されない。
それとは対照的に、本発明の混合物を使用する場合には、そのカルボキシル基含量を、はるかに広い範囲から選択することが可能である。カルボキシル基を含み、シランおよびシリカ系充填剤の存在下にレゾールを用いて架橋されたニトリルゴムは、カルボキシル基含量がわずか1%以下の低い場合であってさえも、優れた性能、特に340時間/100℃という長期間の応力下でも約35%という圧縮永久歪みを有する加硫物を与える。この数値は、酸化亜鉛/硫黄で架橋された加硫物で達成される数値の約半分でしかない。
− 加硫物の物性−低温/膨潤物性:酸化亜鉛/硫黄の組合せを用いた従来技術による架橋では、高いカルボキシル基含量、従って相対的に低いアクリロニトリル含量を有するポリマーの場合にしか、所望の加硫物の物性が達成できない。たとえば、33%のアクリロニトリルを含むコポリマーのような場合において、十分な低温物性を達成するためには、そのアクリロニトリル含量を、たとえば、約28%に調節しなければならない。このことによって、33%のアクリロニトリルを有するタイプのニトリルゴムに比較して、非極性媒体中での膨潤が、より高くなってしまう。先に述べたように、典型的なXNBRの性能プロファイルとの関連において優れた機械的性質を有する加硫物は、極めて低いカルボキシル基含量においてのみ得られるので、その結果、そのアクリロニトリル含量が高いか、または高いままに留まる可能性があり、従って、従来技術の加硫物とは対照的に、十分に留まっているガラス転移温度でも、優れた膨潤性が依然として残っている。
【0023】
上述の利点に加えて、酸化亜鉛/硫黄の架橋系の場合の架橋の有利な「二重(dual)」効果が依然として維持されている。レゾールを使用することによって、カルボキシル化ニトリルゴムのポリマー主鎖中の二重結合からオキサシクロヘキサン誘導体を与えることによる架橋、ならびに、レゾールのヒドロキシル基とのエステル化によるカルボキシル基による架橋、ならびに、α−水素原子がニトリル基と結合してエーテルを与える架橋、がいずれも存在することになる。レゾールは、少なくとも2官能であるので、そのことによって、ZnOクラスターおよび硫黄の橋かけよりも熱的、酸化的に安定な、共有結合的な架橋の橋かけが形成される。ZnO/硫黄系を用いた従来からの架橋に比較して、本発明の混合物の加硫は、たとえば比較的高温における圧縮永久歪みに関するような、より良好な安定性を有する加硫物を与える。熱酸化的安定性は、ポリマー鎖中の二重結合によって実質的に決まってくるので、これは、標準的なニトリルゴム加硫物のレベルにある。
【0024】
架橋剤としてのレゾールに加えてシリカ系充填剤も含んでいる加硫可能な混合物においてこれらの改良を達成することが可能であるという事実は驚くべきことであるが、その理由は、シリカ系充填剤を使用すると、レゾールとカルボン酸との期待されている相互作用だけではなく、レゾールとシリカとが、望ましくないレゾールのグラフト化や、その結果としてのレゾール不活性化の形の望ましくない相互作用を起こしうるために、複雑な条件に導かれる可能性があるからである。さらには、水素結合を介したシリカとXNBRとの間の相互作用もまた、望ましくない結果をもたらす可能性がある。しかしながら、特定のシランを添加することによって、それらの望ましくない副作用を避けることが可能である。
【0025】
カルボキシル基を有するニトリルゴム(成分1):
本発明の加硫可能な組成物において使用されるカルボキシル基を有するニトリルゴムは、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーから誘導される繰り返し単位を有するターポリマーである。本出願の文脈においては、それらもまた「XNBR」と略称する。
【0026】
各種の共役ジエンを使用することができる。(C〜C)共役ジエンを使用するのが好ましい。特に好ましいのは、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物である。特に好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物である。さらにより好ましいのは、1,3−ブタジエンである。
【0027】
使用されるα,β−不飽和ニトリルは、各種公知のα,β−不飽和ニトリルであってよいが、(C〜C)−α,β−不飽和ニトリル、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物が好ましい。特に好ましいのは、アクリロニトリルである。
【0028】
カルボキシル基を有するニトリルゴムが、少なくとも1種の(C〜C)共役ジエン、好ましくは1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレンまたはそれらの混合物から誘導される繰り返し単位、および少なくとも1種の(C〜C)−α,β−不飽和ニトリル、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物の繰り返し単位、を含んでいるのが好ましい。
【0029】
使用されるカルボキシル基を有する共重合性ターモノマーは、α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸の無水物、およびα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルであってよい。
【0030】
使用されるα,β−不飽和モノカルボン酸は、好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸であってよい。
【0031】
好ましいα,β−不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびメサコン酸である。
【0032】
α,β−不飽和ジカルボン酸の無水物、好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、および無水メサコン酸を使用することもさらに可能である。
【0033】
さらに、α,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルを使用することも可能である。
【0034】
これらのα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルは、たとえば、アルキル、好ましくはC〜C10−アルキル、特にはエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル、アルコキシアルキル、好ましくはC〜C12−アルコキシアルキル、より好ましくはC〜C−アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、好ましくはC〜C12−ヒドロキシアルキル、より好ましくはC〜C−ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、好ましくはC〜C12−シクロアルキル、より好ましくはC〜C12−シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、好ましくはC〜C12−アルキルシクロアルキル、より好ましくはC〜C10−アルキルシクロアルキル、アリール、好ましくはC〜C14−アリール、のモノエステルであってよい。
【0035】
α,β−不飽和ジカルボン酸モノエステルの例には、以下のものが挙げられる:
・ マレイン酸モノアルキル、好ましくはマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、およびマレイン酸モノ−n−ブチル;
・ マレイン酸モノシクロアルキル、好ましくはマレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、およびマレイン酸モノシクロヘプチル;
・ マレイン酸モノアルキルシクロアルキル、好ましくはマレイン酸モノメチルシクロペンチル、およびマレイン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ マレイン酸モノアリール、好ましくはマレイン酸モノフェニル;
・ マレイン酸モノベンジル類、好ましくはマレイン酸モノベンジル;
・ フマル酸モノアルキル、好ましくはフマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、およびフマル酸モノ−n−ブチル;
・ フマル酸モノシクロアルキル、好ましくはフマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、およびフマル酸モノシクロヘプチル;
・ フマル酸モノアルキルシクロアルキル、好ましくはフマル酸モノメチルシクロペンチル、およびフマル酸モノエチルシクロヘキシル;
・ フマル酸モノアリール、好ましくはフマル酸モノフェニル;
・ フマル酸モノベンジル類、好ましくはフマル酸モノベンジル;
・ シトラコン酸モノアルキル、好ましくはシトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、およびシトラコン酸モノ−n−ブチル;
・ シトラコン酸モノシクロアルキル、好ましくはシトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、およびシトラコン酸モノシクロヘプチル;
・ シトラコン酸モノアルキルシクロアルキル、好ましくはシトラコン酸モノメチルシクロペンチル、およびシトラコン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ シトラコン酸モノアリール、好ましくはシトラコン酸モノフェニル;
・ シトラコン酸モノベンジル類、好ましくはシトラコン酸モノベンジル;
・ イタコン酸モノアルキル、好ましくはイタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、およびイタコン酸モノ−n−ブチル;
・ イタコン酸モノシクロアルキル、好ましくはイタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、およびイタコン酸モノシクロヘプチル;
・ イタコン酸モノアルキルシクロアルキル、好ましくはイタコン酸モノメチルシクロペンチル、およびイタコン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ イタコン酸モノアリール、好ましくはイタコン酸モノフェニル;
・ イタコン酸モノベンジル、好ましくはイタコン酸モノベンジル;
・ メサコン酸モノアルキル、好ましくはメサコン酸モノエチル。
【0036】
本発明の組成物において使用されるカルボキシル基を有するニトリルゴムには、以下のものが含まれる:
− 40〜89.9重量%、好ましくは45〜84.8重量%、より好ましくは49〜80重量%の量の、少なくとも1種の共役ジエンの繰り返し単位、
− 10〜59.9重量%、好ましくは15〜54.8重量%、より好ましくは19〜50重量%の量の、少なくとも1種の不飽和ニトリルの繰り返し単位、および
− 0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%の量の、少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位
(ここで、すべての繰り返し単位を合計したものが100重量%である)。
【0037】
そのようなカルボキシル基を有するニトリルゴムは、たとえば、Lanxess Deutschland GmbHからKrynac(登録商標)ブランドで市販されている(たとえば、カルボン酸モノマーを7重量%含むKrynac(登録商標)X750およびKrynac(登録商標)X740;カルボン酸モノマーを1重量%含むKrynac(登録商標)X146;カルボン酸モノマーを1重量%含むKrynac(登録商標)X160)。
【0038】
別な方法として、そのようなカルボキシル基を有するニトリルゴムは、当業者には公知の方法により、エマルション中で三元重合させることによって調製することも可能である。
【0039】
レゾール(成分2):
本発明の組成物には、少なくとも1種のレゾールが含まれる。典型的には、使用されるレゾールは、p−アルキルフェノールをベースとする樹脂である。そのようなレゾールは、相当するp−アルキルフェノールをホルムアルデヒドと塩基性の条件下で縮合させることによって得ることができる。
【0040】
典型的には、レゾールとしては、一般式(II)の1種または複数の化合物が挙げられる:
【化2】
[式中、
が、H、−CH、−CHOH、または−CHBrであり、
が、−CHOHまたは−CHBrであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C15−アルキル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜25の範囲の整数である]。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施例1〜3ならびに比較例4および5について、時間の関数としてのトルク依存性を示す
図2】実施例1、3、6および7について、時間の関数としてのトルク依存性を示す
【発明を実施するための形態】
【0042】
一つの好ましい実施態様においては、そのレゾールには、下記条件の一般式(II)の1種または複数の化合物が含まれる:
が、H、−CH、−CHOH、または−CHBrであり、
が、−CHOHまたは−CHBrであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜15の範囲の整数である。
【0043】
特に好ましいのは、下記条件の一般式(II)の1種または複数の化合物を含むレゾールである:
が、H、−CH、−CHOH、または−CHBrであり、
が、−CHOHまたは−CHBrであり、
が、tert−オクチル基またはtert−ブチル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜15の範囲の整数である。
【0044】
特別に好ましいのは、下記条件の一般式(II)の1種または複数の化合物を含むレゾールである:
が、Hまたは−CHOHであり、
が、−CHOHであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基、特にはtert−オクチル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜15の範囲の整数である。
【0045】
市場で入手可能なレゾールには、典型的には、レゾールの全重量を基準にして4〜20重量%のヒドロキシメチル基が含まれている。臭素−変性されたレゾールが使用され、したがってRが−CHBrである一般式(II)の化合物が存在する場合には、そのレゾールの臭素含量は、典型的には、レゾールの全重量を基準にして4〜5重量%の範囲である。一般式(II)のレゾールは、その溶融温度または軟化温度が比較的に低いために、XNBRとの良好な相溶性、および極めて良好な分散の均質性を有している。
【0046】
臭素−変性されたレゾールが使用されない場合には、好ましい実施態様においては、本発明の組成物の中に、活性剤としてハロゲン化添加剤を追加して使用することが有用であることが見いだされたが、それらは多価金属の誘導体であってはならない。式(II)の臭素−変性されたレゾールが使用される場合には、このハロゲン化添加剤の添加は不要である。
【0047】
本発明の組成物において使用することが可能なレゾールは、たとえばSchenectady International,Inc.から、SP1045またはSP1055として商業的に入手することが可能である。
【0048】
シリカ系充填剤およびシラン(成分3):
本発明の組成物において使用されるシリカ系充填剤は、以下のものであってよい:
− 天然シリケート、
− 合成シリケート、
− シリカ、
− ガラス繊維、ガラス繊維製品、またはガラスマイクロビーズ。
【0049】
天然シリケートは、たとえば、カオリン、タルク、またはその他の天然に産出されるシリケートであってよい。
【0050】
合成シリケートは、たとえば、好ましくは20〜400m/gのBET表面積および10〜400nmの一次粒径を有する、ケイ酸アルミニウム、またはアルカリ土類金属のシリケートたとえばケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムなどであってよい。
【0051】
シリカは、たとえば、一ケイ酸(オルトケイ酸)であってもよいし、あるいは、それからさらに水を除いた縮合物、たとえば二ケイ酸(ピロケイ酸)(HO)Si−O−Si(OH)、および三ケイ酸(HO)Si−O−Si(OH)−O−Si(OH)であってもよい。
【0052】
一つの実施態様においては、シリケートの溶液を沈降させることによって得られる沈降シリカ、またはケイ素ハロゲン化物を火炎加水分解させることによって得られるヒュームドシリカが使用されるが、ISO 9277によるそのBET比表面積が、5〜1000m/gの範囲、好ましくは20〜500m/g、特には50〜400m/gの範囲である。それらは典型的には、10〜400nmの一次粒径を有している。シリカは、場合によっては、他の金属酸化物たとえば、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、Tiの酸化物との混合酸化物として存在させてもよい。
【0053】
場合によっては、文献(W.Mischel:Gummi Fasern Kunststoffe,2/2007、p.9)に記載されているか、あるいはたとえばEvonik Industries AGから市販されているような、疎水性のシリカ系充填剤を使用することもまた可能であろう。
【0054】
ガラス繊維製品は、たとえばマットの形態あるいはストランドの形態で使用してもよい。
【0055】
上述のタイプのシリカ系充填剤はいずれも、市場で入手することが可能である。
【0056】
本発明の混合物においては、少なくとも1種のシリカ系充填剤および少なくとも1種の一般式(I)のシラン:
【化3】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基である)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
、または、それらに代わるものとして、シランを用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤が使用される。
【0057】
一つの好ましい実施態様においては、少なくとも1種のシリカ系充填剤および下記条件の少なくとも1種の一般式(I)のシラン:
[式中、R、R、およびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基、特にはC〜C−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C10−アルキル基、特にはC〜C−アルキル基である)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C10−アルキル基、特にはC〜C−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]、
または、別な方法として、R、R、R、およびRがそれぞれ上で定義されたものである一般式(I)のシランを用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤が使用される。
【0058】
一つの特に好ましい実施態様においては、少なくとも1種のシリカ系充填剤および下記条件の少なくとも1種の一般式(I)のシランが使用される:
式中、R、R、およびRが、同一であるかまたは異なっているが、特には同一であって、それぞれ直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基、特にはメチル、エチル、n−プロピル、またはi−プロピルであり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキレン基であり、xは2〜5の数である)である。
【0059】
特に好ましいシランは、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、およびビス(トリエトキシシリルプロピル)オリゴスルフィドであり、特に好ましいのは、ジ−、トリ−もしくはテトラ−スルフィド(x=2、3、もしくは4)である。一般式(II)のシランは、たとえばEvonik Industries AGからのDynasylan(登録商標)製品シリーズとして市場で入手することが可能である。それに代わる実施態様製品、すなわち、シランを用いて変性されたシリカ系充填剤もまた、たとえばEvonik Industries AGからのCoupsil(登録商標)およびAerosil(登録商標)製品シリーズからの個々の製品として市場で入手することが可能である。
【0060】
実験から、官能基としてアミノ基またはグリシドオキシ基を有するシラン、たとえばDynasylan(登録商標)GLYEO(3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン)またはDynasylan(登録商標)AMEO(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)が、それらとレゾールのヒドロキシメチレン基との反応性が理由で、本発明の組成物において使用するには適していないことが明らかになった。一般式(I)のシランが、レゾール成分に対して、まったく反応性を示さないということが本質的に重要である。
【0061】
本発明の組成物における各成分の量:
実証された実施態様においては、本発明の組成物が以下のものを含む:
(1)100重量部の、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を有する、ニトリルゴム、
(2)1〜50重量部、好ましくは2〜20重量部、特には3〜15重量部の、少なくとも1種のレゾール、
(3)20〜100重量部、好ましくは20〜60重量部の少なくとも1種のシリカ系充填剤、およびシリカ系充填剤の重量を基準にして、1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%の一般式(I)を有する少なくとも1種のシラン、
【化4】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基である)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
または、別な方法として、20〜125重量部、好ましくは20〜110重量部の、シラン、好ましくは一般式(II)を用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤。
【0062】
特に好ましい実証された実施態様においては、本発明の組成物が以下のものを含む:
(1)100重量部の、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および少なくとも1種の共重合可能なカルボキシル基を有するターモノマーの繰り返し単位を有する、ニトリルゴム、
(2)1〜50重量部、好ましくは2〜20重量部、特には3〜15重量部の、一般式(II)のレゾール、
【化5】
[式中、
が、H、−CH、−CHOH、または−CHBrであり、
が、−CHOHまたは−CHBrであり、
が、直鎖状もしくは分岐状のC〜C15−アルキル基であり、
nとmが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ0〜25の範囲の整数である]
(3)20〜100重量部、好ましくは20〜60重量部のシリカ系充填剤、およびシリカ系充填剤の重量を基準にして、1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%の一般式(I)を有するシラン、
【化6】
[式中、
、RおよびRが、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基、またはR−C(=O)−(式中、Rは直鎖状もしくは分岐状のC〜C25−アルキル基である)であり、
が、飽和であるか、または1個または複数の不飽和を有し、ビニル、−SH、置換もしくは非置換フェニル、メタクリロイルオキシおよびイソシアナトから選択される置換基を0個、1個、もしくは2個以上有する、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキル基を表すか、または−R−(S)−R−Si(OR)(OR)(OR)(式中、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ式(I)において定義されたものであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C14−アルキレン基であり、xは1〜8の数である)である]
または、別な方法として、20〜125重量部、好ましくは20〜110重量部の、シラン、特には一般式(I)を用いてあらかじめ変性されているシリカ系充填剤。
【0063】
本発明の混合物のさらなる任意選択的な成分:
カルボキシル化ニトリルゴムに加えて、本発明の混合物にはさらに、1種または複数のさらなるゴム、1種または複数のさらなる熱可塑性プラスチック、またはそれらの各種所望の混合物の形態にある、さらなるポリマーを含んでいてもよい。
【0064】
ゴム:
使用されるさらなるゴムは、たとえば、以下のものの1種または複数であってよい:
・ スチレン−ブタジエンゴム(略称:SBR)
・ ニトリルゴム(略称:NBR)
・ 水素化ニトリルゴム(略称:HNBR)
・ エチレン−酢酸ビニルコポリマー(略称:EVM)
・ エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(略称:EPDM)
・ エチレン−アクリレートゴム(略称:AEM)
・ アクリレートゴム(略称:ACM)
・ フルオロゴム(略称:FKM)
・ クロロプレンゴム(略称:CR)
・ 塩素化ポリエチレン(CM)。
【0065】
この文脈においては、ニトリルゴム成分1)の100重量部を基準にして、少なくとも20重量部のさらなるゴムを使用するのが有用であることが見いだされた。
【0066】
熱可塑性プラスチック:
使用される熱可塑性ポリマーはいずれも、標準的な熱可塑性ポリマーであってよい。
【0067】
典型的かつ好適な熱可塑性プラスチックは、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド(PPS)および/またはポリカーボネートである。単一の熱可塑性プラスチックを使用することも可能であるし、あるいは複数の熱可塑性プラスチックを組み合わせて使用することも可能である。ポリ塩化ビニル(PVC)を使用するのが好ましく、100重量部のニトリルゴム成分1)を基準にして、10〜50重量部のポリ塩化ビニルを使用するのが有用であることが見いだされた。
【0068】
本発明の混合物には、ゴム産業で慣用される1種または複数のさらなる添加剤が含まれていてもよい。
【0069】
さらなる成分として、ハロゲン化化合物を添加することも可能である。それらは、加速作用を有している。しかしながら、(たとえば、難燃性可塑剤の形態の)ハロゲン化構成成分の比率の選択においては、早まった加硫がまったく起きないことを確認しておかなければならない。しかしながら、ハロゲンを含まないレゾールに対して、活性剤として、少量を加えるのは一つの選択肢である。適切な例としては、5〜10phrのポリクロロプレンの添加である。
【0070】
さらに、1種または複数の耐老化安定剤を添加することも可能である。耐老化安定剤の選択においては、レゾール成分を不活性化させないものを使用していることを確認しておかなければならない。レゾール成分の不活性化をもたらす可能性のあるアミン、たとえばTMQまたはMMBIをベースとする耐老化安定剤は、好ましくない。性能にほとんど影響しないことが確認できたのなら、ジフェニルアミン誘導体を使用することも可能である。フェノール性の耐老化安定剤を使用するのが好ましい。それらは、良好な効果を有し、架橋を妨げることがない。好適な例は、ビスフェノールである。それらを1〜10phr、好ましくは2〜5phr、より好ましくは3〜4phrを使用するのが有用であることが見いだされた。
【0071】
金属酸化物を使用するのは望ましくない。本発明の組成物には、金属酸化物をまったく含んでいないのが好ましく、たとえば酸化亜鉛は必要ない。さらにはその他の金属塩、たとえば他の場合においては「樹脂架橋」のための活性化剤として使用される塩化スズ(II)が、本発明の組成物における構成成分として存在しているのも好ましくないが、その理由は、酸化亜鉛の場合と同様に、ニトリルゴムのカルボキシル基との反応が起こりうるからである。さらに、たとえば可塑剤としてのエポキシ化ダイズ油の形態、または側鎖にエポキシ基を有するシラン形態の、エポキシド含有化合物を添加するのも好ましくないが、その理由は、フェノールと反応して、フェニルエーテル誘導体が生成する可能性があるからである。
【0072】
加硫可能な組成物の製造:
本発明はさらに、成分(1)、(2)および(3)、ならびに場合によっては存在させるさらなる成分を混合することによる、本発明の組成物の製造も提供する。この混合操作は、ゴム産業において慣用されるあらゆる混合ユニット、たとえばインターナルミキサーやローラーで実施することができる。当業者ならば、適切な試験をすることによって、計量添加の順序を何の問題もなく決めることができる。
【0073】
たとえば、可能な手順における二つの変法を、以下に記載する。
【0074】
プロセスA:インターナルミキサー中での製造
好ましいのは、「かみ合いタイプ(intermeshing)」のローター構造を有するインターナルミキサーである。
【0075】
開始時には、ベールの形態のカルボキシル基を有するニトリルゴムをインターナルミキサーに仕込み、そのベールを微粉砕させる。適切な混合時間(たとえば、45秒)の後、シリカ系充填剤および一般式(I)のシランを添加する。その混合は温度制御下で実施するが、ただし、混合物が、130〜150℃の範囲の温度に適切な時間(たとえば、少なくとも1分)滞留するようにする。さらなる適切な混合時間(たとえば、2分15秒)の後、さらなる混合物の構成成分、たとえば、場合によってはハロゲン化活性化剤、ステアリン酸、抗酸化剤、可塑剤、白色顔料(たとえば、二酸化チタン)、染料、およびその他の加工助剤(processing actives)を添加する。さらなる適切な混合時間(たとえば、1分)の後に、インターナルミキサーのガス抜きをし、シャフトをきれいにする。さらなら適切な時間(たとえば、1分)の後に、インターナルミキサーから排出させて、加硫可能な混合物を得る。
【0076】
レゾール成分2)は、インターナルミキサーから排出させた後に、ロール上においてバッチ操作で添加するのが好ましい。たとえば、その混合物の温度が約120℃未満であるならば、インターナルミキサーにおける約4分の混合時間の後に、仕込むことができる。冷却すると、加硫可能な混合物が得られる。そのようにして製造された混合物は、慣用される方法、たとえばムーニー粘度、ムーニースコーチ、またはレオメーター試験によって評価することができる。
【0077】
プロセスB:ロール上での製造
混合ユニットとしてロールを使用するのならば、同様の方法および順序で、計量仕込みを進行させることが可能である。混合物の温度を130℃よりも高くすることが困難であることが明らかになったら、一般式(I)のシランを用いてあらかじめ変性しておいたシリカ系充填剤を使用することによって本発明の混合物を製造するのが有用であることが見いだされた。
【0078】
本発明の組成物の加硫の実施
本発明はさらに、本発明の組成物を、好ましくは高温での加硫にかけることによる、加硫物を製造するためのプロセスも提供する。
【0079】
この目的のためには、加硫可能な混合物を、カレンダー、ロール、またはエクストルーダーを用いてさらに加工する。次いで、そのよび成形した物質を、プレス、オートクレーブ、加熱空気系、または自動マット加硫系(automatic mat vulcanization system、「Auma」)と呼ばれる系の中で加硫するが、そこでの有用な温度は、120℃〜200℃、好ましくは140℃〜190℃の範囲であることが見いだされた。射出成形プロセスにおける成形物品を得るためのさらなる加工もまた可能である。
【0080】
本発明はさらに、そのようにして得られる加硫物も提供する。それらの加硫物は、なかんずくたとえば、駆動ベルト、ロール、保護シート、靴部品のような、使用することが可能な成形物品の形態をとっていてよい。したがって、本発明は、本発明の加硫物のそれらの使用もまた提供する。
【実施例】
【0081】
I.フィード原料
使用したカルボキシル基を有するニトリルゴムは、以下の表1において特定されるカルボキシル基を有するニトリルゴムであった。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例において使用したレゾールを、表2にまとめた。
【0084】
【表2】
【0085】
実施例において使用したシラン、およびシランを用いて変性したシリカ系充填剤を、表3にまとめた。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例においてその後で使用されたさらなるフィード原料は、以下のとおりである。
【0088】
【表4】
【0089】
II.加硫可能な混合物の製造の概要
混合物は、かみ合いタイプのローター構造を有し、1.5L〜5Lの容量を有するインターナルミキサーの中で製造した。実施例における、混合物の構成成分、それらの量、およびインターナルミキサーの各種設定を、以下の表に列記した。
【0090】
【表5】
【0091】
次いでこれを、ロール上で冷却させ、特定のレゾールを混ぜ込んだ。
【0092】
【表6】
【0093】
III.混合物、加硫プロファイル、さらには得られた加硫物の特性解析
混合物、加硫プロファイル、さらには得られた加硫物の特性解析は、以下の表に引用した標準の方法により実施した。
【0094】
【表7】
【0095】
以下の表において用いた略称は次の意味合いを有する:
Smax:加硫計ディスプレイ上の最大値
:最終転化率の5%に到達した加硫時間
10:最終転化率の10%に到達した加硫時間
90:最終転化率の90%に到達した加硫時間
TS:引張強度
EB:破断時伸び
M50:50%伸びでの応力。
【0096】
IV.実施例
IV.1.本発明実施例1〜3、6、および7、ならびに比較例4および5
実施例1〜3ならびに比較例4および5で使用した混合物を表5にまとめた。
【0097】
【表8】
【0098】
時間の関数としてのトルク依存性を、図1および図2にプロットしている。図1から明らかなように、本発明ではないシラン(Dynasylan(登録商標)AMEOまたはDynasylan(登録商標)GLYEO)を用いて製造した混合物は、極めてゆっくりとしか加硫されなかった。最終トルクも同様に不十分であり、そのため架橋も不十分である。本発明のシラン(Si 69またはDynasylan VTEOまたはOCTEO)を用いると、それとは対照的に、高い最終トルクが得られ、加硫が急速に開始されると同時に、スコーチ安定性も十分である。
【0099】
IV.2.比較例8〜12ならびに本発明実施例13および14
比較例8〜12ならびに本発明実施例13および14で使用された混合物を、表6にまとめた。
【0100】
【表9】
【0101】
加硫可能な混合物は、一般的な手順書に従って製造した。
【0102】
特性解析は、ポイントIで特定された方法により実施した。
【0103】
【表10】
【0104】
表7から明らかなように、本発明の混合物をベースとする加硫物は、従来からの酸化亜鉛/硫黄の架橋系を用いるか、または、シラン処理していないを含まないシリカ充填剤を用いて製造した混合物よりも、はるかに改良された圧縮永久歪みを特徴としている。このことは、比較例9および11の圧縮永久歪みと、本発明実施例13のそれとを比較すれば明らかになる。同じことが、比較例10および12と、本発明実施例14とを比較した場合にもあてはまる。
【0105】
IV.3.本発明実施例15〜19および21、22、25、ならびに比較例20、23および24
表8で特定される組成を有する加硫可能な混合物を、先に挙げた一般的な手順書に従って製造した。特性解析は、ポイントIで特定された方法により実施した。
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
本発明実施例15〜19および21、22、25、ならびに比較例20、23および24による混合物から製造した加硫物について、表9に列記した物性を測定した。
【0109】
【表13】
【表14】
図1
図2