(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向、第1方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。
【0019】
透明導電性フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)をなし、厚み方向と直交する所定方向(面方向)に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材などの一部品であり、つまり、画像表示装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム1は、画像表示装置などを作製するための部品であり、LCDモジュールなどの画像表示素子を含まず、後述する透明基材2と第2光学調整層3と第1光学調整層4と無機物層5と透明導電層6とからなり、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0020】
具体的には、
図1に示すように、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、第2光学調整層3と、第1光学調整層4と、無機物層5と、透明導電層6とを備える。
【0021】
透明基材2は、例えば、透明性を有する高分子フィルムである。高分子フィルムの材料としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーなどのオレフィン樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。これら高分子フィルムは、単独使用または2種以上併用することができる。透明性、耐熱性、機械特性などの観点から、好ましくは、ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0022】
透明基材2の厚みは、機械的強度、耐擦傷性、タッチパネル用基材とした際の打点特性などの観点から、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0023】
第2光学調整層3は、例えば、透明基材2の上面(厚み方向一方側の表面)に配置されている。具体的には、第2光学調整層3の下面が、透明基材2の上面に接触している。
【0024】
第2光学調整層3は、第2樹脂組成物から形成される樹脂層である。
【0025】
第2樹脂組成物は、例えば、樹脂を含有する。第2樹脂組成物は、好ましくは、樹脂と、粒子とを含有し、さらに好ましくは、樹脂と粒子とからなる。
【0026】
樹脂としては特に限定されないが、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
【0027】
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
【0028】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。そのような官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基および/またはアクリロイル基)などが挙げられる。
【0029】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、官能基含有(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)などが挙げられる。
【0030】
これら樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0031】
樹脂の含有割合は、第2樹脂組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
【0032】
粒子としては、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。
【0033】
粒子としては、好ましくは、無機粒子、より好ましくは、金属酸化物粒子、さらに好ましくは、酸化ジルコニウム粒子(ZnO
2)が挙げられる。
【0034】
粒子の平均粒子径は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、500nm以下、好ましくは、100nm以下である。
【0035】
本発明において、粒子の平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のコールターマルチサイザーを用いて、コールターカウント法にて測定することができる。
【0036】
第2光学調整層3の屈折率は、例えば、1.50以上であり、好ましくは、1.60以上であり、また、例えば、1.80以下、好ましくは、1.75以下である。
【0037】
本発明において、屈折率は、アッベ屈折率計により測定される。
【0038】
第2光学調整層3の厚みは、配線パターンの視認抑制、低抵抗の観点から、例えば、30nm以上、好ましくは、50nm以上であり、また、例えば、1000nm以下、好ましくは、500nm以下である。
【0039】
第2光学調整層3の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により測定される。
【0040】
第1光学調整層4は、例えば、第2光学調整層3の上面に配置されている。具体的には、第1光学調整層4の下面が、第2光学調整層3の上面に接触している。
【0041】
第1光学調整層4は、第1樹脂組成物から形成される樹脂層である。
【0042】
第1樹脂組成物は、樹脂を含有し、好ましくは、実質的に樹脂からなり、より好ましくは、樹脂からなる。
【0043】
樹脂としては、例えば、第2樹脂組成物で例示した樹脂から選択される。樹脂として、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0044】
熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。好ましくは、エポキシ樹脂、メラミン樹脂が挙げられ、より好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0045】
エポキシ樹脂としては、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂などが挙げられ、具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型などのビスフェノール型エポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート型、ヒダントイン型などの含窒素環型エポキシ樹脂、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロ型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂、これらの変性物または水素添加物などが挙げられる。
【0046】
また、エポキシ樹脂には、熱硬化型樹脂用などの硬化剤を配合して、エポキシ樹脂および硬化剤をエポキシ樹脂組成物として調製することができる。
【0047】
硬化剤としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂用硬化剤として、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジヒドラジド系硬化剤、尿素系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、イミダゾリン系硬化剤などが挙げられる。
【0048】
硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1.0質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、9質量部以下である。
【0049】
第1樹脂組成物(ひいては、第1光学調整層4)は、好ましくは、粒子を実質的に含有していない。これにより、第1光学調整層4の上面を平滑にできるため、無機物層5および透明導電層6をより一層平滑にでき、透明導電層6の比抵抗をさらに低減することができる。
【0050】
粒子としては、第2樹脂組成物で上述した粒子と同一のものが挙げられる。
【0051】
第1樹脂組成物において、粒子を実質的に含有していないとは、第1樹脂組成物の全固形分に対して、粒子の含有割合が、例えば、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満、より好ましくは、0.1質量%未満、さらに好ましくは、0質量%であることを意味する。
【0052】
第1光学調整層4の屈折率は、第2光学調整層3の屈折率と異なっている。第1光学調整層4の屈折率と、第2光学調整層3の屈折率との差は、例えば、0.10以上0.60以下である。
【0053】
好ましくは、第1光学調整層4の屈折率は、第2光学調整層3の屈折率よりも低い。すなわち、好ましくは、第2光学調整層3を高屈折率層とし、第1光学調整層4を、高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率を備える低屈折率層とする。これにより、透明導電性フィルム1の透明導電層6をパターニングして配線パターンを形成した際に、配線パターンと配線パターン以外の部分とに生じる反射率差や色相差を低減し、配線パターンの視認を抑制することができる。
【0054】
第1光学調整層4の屈折率は、具体的には、例えば、1.60未満、好ましくは、1.55以下であり、また、例えば、1.20以上、好ましくは、1.30以上である。
【0055】
第1光学調整層4の上面の表面粗さは、例えば、1.5nm以下、好ましくは、1.0nm以下であり、また、例えば、0.1nm以上である。
【0056】
第1光学調整層4の厚みは、例えば、200nm未満、好ましくは、100nm以下、より好ましくは、50nm以下であり、また、例えば、5nm以上、好ましくは、10nm以上である。第1光学調整層4の厚みを上記下限以下とすることにより、第1光学調整層4の上面を平滑にするとともに、第1光学調整層4内部から放出されて透明導電層6に侵入するガスの放出量を低減できる。これにより、透明導電層6の比抵抗をより確実に低減することができる。
【0057】
第1光学調整層4の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により測定される。
【0058】
第2光学調整層3の厚みに対する第1光学調整層4の厚みの比(第1光学調整層4/第2光学調整層3)は、配線パターンの視認抑制の観点から、例えば、0.01以上であり、好ましくは、0.05以上であり、また、例えば、1.50以下、好ましくは、1.00以下である。
【0059】
無機物層5は、第1光学調整層4の上面に配置されている。具体的には、無機物層5の下面が、第1光学調整層4の上面に接触している。
【0060】
無機物層5を構成する無機物としては特に限定されないが、例えば、NaF、Na
3AlF
6、LiF、MgF
2などのフッ化アルカリ金属、例えば、CaF
2、BaF
2などのフッ化アルカリ土類金属、例えば、LaF
3、CeFなどのフッ化希土類、例えば、SiO
2、Al
2O
3などの酸化物などが挙げられる。無機物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0061】
配線パターンの視認抑制、低抵抗の観点から、好ましくは、酸化物が挙げられ、より好ましくは、SiO
2が挙げられる。
【0062】
無機物層5の厚みは、10nm以下である。好ましくは、4nm以下、より好ましくは、3nm以下であり、また、例えば、1nm以上、好ましくは、2nm以上である。
【0063】
厚みが上記範囲である無機物層5を第1光学調整層4の上面に密着して配置することにより、無機物層5の上面の表面粗さを低減し、無機物層5の上面に配置される透明導電層6の下面および上面を平滑にすることができる。その結果、透明導電層6の比抵抗を低減することができる。
【0064】
これは、無機物層5を第1光学調整層4に形成する場合、無機物層5を構成する無機物は、まず第1光学調整層4の凹凸の凹部(隙間)を埋めるように配置(形成)されるため、ごく薄い無機物層5では、その上面では平滑となる(表面粗さが小さくなる)ように、無機物が配置されることに起因するものと推察される。一方、上記上限を上回る厚みとなるように無機物層5を形成し続けると、無機物は、やがて、その上面が第1光学調整層4上面の形(凹凸)に沿うように形成され始め、その結果、無機物層5の上面にも凹凸が生じ始めるものと推察される。
【0065】
無機物層5の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により測定される。
【0066】
光学調整層(第2光学調整層3および第1光学調整層4)の厚みに対する無機物層5の厚みの比(無機物層5/光学調整層)は、配線パターンの視認抑制、低抵抗の観点から、例えば、0.001以上であり、好ましくは、0.005以上であり、また、例えば、0.30以下、好ましくは、0.25以下である。
【0067】
第1光学調整層4の厚みに対する無機物層5の厚みの比(無機物層5/第1光学調整層4)は、配線パターンの視認抑制、低抵抗の観点から、例えば、0.02以上であり、好ましくは、0.05以上であり、また、例えば、2.00以下、好ましくは、1.00以下である。
【0068】
無機物層5の上面の表面粗さは、例えば、0.70nm以下、好ましくは、0.60nm以下、より好ましくは、0.50nm以下であり、また、例えば、0.20nm以上である。無機物層5の上面の表面粗さを上記上限以下とすることにより、透明導電層6をより一層平滑にでき、透明導電層6の比抵抗を低減することができる。一方、無機物層5の表面粗さを上記下限以上とすることにより、加熱または加湿加熱処理時に発生する透明導電層6のクラックを抑制することができる。
【0069】
本発明において、表面粗さは、原子間力顕微鏡により測定される。
【0070】
透明導電層6は、無機物層5の上面に配置される。具体的には、透明導電層6の下面が、無機物層5の上面に接触している。
【0071】
透明導電層6の材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープしていてもよい。
【0072】
透明導電層6の材料は、好ましくは、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などが挙げられ、より好ましくは、ITOが挙げられる。
【0073】
透明導電層6の材料としてITOを用いる場合、酸化スズ(SnO2)含有量は、酸化スズおよび酸化インジウム(In2O3)の合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。酸化スズの含有量を上記下限以上とすることにより、ITO層の耐久性をより一層良好にすることができる。酸化スズの含有量を上記上限以下とすることにより、ITO層の結晶転化を容易にし、透明性や比抵抗の安定性を向上させることができる。
【0074】
本明細書中における「ITO」とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Gaなどが挙げられる。
【0075】
透明導電層6の厚みは、例えば、15nm以上、好ましくは、20nm以上、より好ましくは、25nm以上であり、また、例えば、50nm以下、好ましくは、40nm以下、より好ましくは、35nm以下である。透明導電層6の厚みを上記下限以上とすることにより、加熱処理する際にITO層などの透明導電層6をより均一に結晶転化することができる。一方、透明導電層6の厚みを上記上限以下とすることにより、透明導電層6上面の表面粗さ上昇による比抵抗の増大を抑えることができ、また、室温でのITO層などの透明導電層6の自然結晶化を抑制することができる。
【0076】
透明導電層6の厚みは、例えば、粉末X線回折装置にてX線反射率を測定することにより算出される。
【0077】
無機物層5の厚みに対する透明導電層6の厚みの比(透明導電層6/無機物層5)は、配線パターンの視認抑制、低抵抗の観点から、例えば、2.0以上であり、好ましくは、2.5以上であり、また、例えば、30以下、好ましくは、10以下、より好ましくは、9以下である。
【0078】
透明導電層6は、結晶質および非晶質のいずれであってもよく、また、結晶質および非晶質の混合体であってもよい。透明導電層6は、好ましくは、結晶質からなり、より具体的には、結晶質ITO層である。これにより、透明導電層6の透明性を向上させ、また、透明導電層6の比抵抗をより一層低減させることができる。
【0079】
透明導電層6の上面の表面粗さは、1.40nm以下である。好ましくは、0.90nm以下、より好ましくは、0.70nm以下、さらに好ましくは、0.40nm未満である。透明導電層6の表面粗さが上記上限を上回ると、透明導電層6の上面の凹凸が大きくなるため、透明導電層6の比抵抗が増大する。
【0080】
なお、透明基材2の下面(厚み方向他方側の表面)には、必要に応じて、ハードコート層、ブロッキング防止層、易接着層、接着剤層、セパレータなどが設けられていてもよい。
【0081】
次いで、透明導電性フィルム1を製造する方法を説明する。
【0082】
透明導電性フィルム1を製造するには、例えば、透明基材2の上に、第2光学調整層3、第1光学調整層4、無機物層5および透明導電層6を順に設ける。以下、詳述する。
【0083】
まず、公知または市販の透明基材2を用意する。
【0084】
その後、必要に応じて、透明基材2および第2光学調整層3の密着性の観点から、透明基材2の表面に、例えば、スパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を実施することができる。また、溶剤洗浄、超音波洗浄などにより透明基材2を除塵、清浄化することができる。
【0085】
次いで、透明基材2に第2樹脂組成物を湿式塗工することにより、透明基材2の上面に第2光学調整層3を形成する。
【0086】
具体的には、第2樹脂組成物を溶媒で希釈した第2希釈液を調製し、続いて、第2希釈液を透明基材2の上面に塗布して、第2希釈液を乾燥する。
【0087】
溶媒としては特に限定されないが、例えば、有機溶媒、水系溶媒(具体的には、水)などが挙げられ、好ましくは、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン化合物、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル化合物、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。好ましくは、ケトン化合物が挙げられる。溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0088】
希釈液における固形分濃度は、例えば、0.5質量%以上5.0質量%以下である。
【0089】
塗布方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法などが挙げられる。
【0090】
乾燥温度としては、例えば、60℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。
【0091】
乾燥時間としては、例えば、1.0分以上、好ましくは、2.0分以上であり、例えば、1.0時間以下、好ましくは、0.5時間以下である。
【0092】
上記した塗布および乾燥により、透明基材2の上面に、第2樹脂組成物をフィルム状に形成する。
【0093】
その後、第2樹脂組成物の樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、第2希釈液の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。
【0094】
なお、第2樹脂組成物の樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する場合は、この乾燥工程により、溶媒の乾燥とともに、熱硬化性樹脂を熱硬化することができる。
【0095】
次いで、第2光学調整層3に第1樹脂組成物を例えば湿式塗工することにより、第2光学調整層3の上面に第1光学調整層4を形成する。
【0096】
具体的には、第1樹脂組成物を溶媒で希釈した第1希釈液を調製し、続いて、第1希釈液を第2光学調整層3の上面に塗布して、第1希釈液を乾燥する。
【0097】
溶媒、希釈方法、塗布方法および乾燥方法としては、第2樹脂組成物の第2希釈液で例示した溶媒、塗布方法などと同一のものが挙げられる。
【0098】
なお、第1樹脂組成物の樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する場合は、この乾燥工程により、溶媒の乾燥とともに、熱硬化性樹脂を熱硬化することができる。
【0099】
一方、第1樹脂組成物の樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、第1希釈液の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化することができる。
【0100】
次いで、第1光学調整層4の上面に、無機物層5を乾式方法により形成する。
【0101】
乾式方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。具体的には、マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。この方法により無機物層5を形成することにより、高密度の無機物層5を形成できる。そのため、高分子フィルムなどの透明基材2から放出される水、有機ガスなどの不純物ガスが透明導電層6に侵入することを抑制でき、透明導電層6の比抵抗を低減することができる。
【0102】
スパッタリング法を採用する場合、ターゲット材としては、無機物層5を構成する上述の無機物が挙げられ、好ましくは、Siが挙げられる。
【0103】
スパッタガスとしては、例えば、Arなどの不活性ガスが挙げられる。
【0104】
また、無機物層5が酸化物を含有する場合は、必要に応じて、酸素ガスなどの反応性ガスを併用することができる。反応性ガスを併用する場合において、反応性ガスの流量比は特に限定しないが、スパッタガスおよび反応性ガスの合計流量比に対して、例えば、0.1流量%以上40流量%以下である。
【0105】
スパッタ時の放電気圧は、スパッタリングレートの低下抑制、放電安定性などの観点から、例えば、1Pa以下であり、好ましくは、0.1Pa以上0.7Pa以下である。
【0106】
スパッタリング法に用いる電源は、例えば、DC電源およびRF電源のいずれであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
【0107】
ターゲット材表面の水平磁場の強度は、成膜速度、無機物層に対する不活性ガス(Ar原子など)の取り込み抑制などの観点から、例えば、20mT以上、好ましくは、50mT以上、さらに好ましくは、70mT以上である。
【0108】
なお、無機物層5の形成前に、脱ガス処理を実施してもよい。これにより、高分子フィルムなどの透明基材2から放出される不純物ガスを除去することができる。
【0109】
脱ガス処理としては、例えば、真空下に、第2光学調整層3および第1光学調整層4が形成された透明基材2を放置する。真空時の圧力としては、例えば、1×10
−1Pa以下、好ましくは、1×10
−3Pa以下である。
【0110】
次いで、無機物層5の上面に、透明導電層6を形成する。
【0111】
透明導電層6の形成としては、上述した乾式方法が挙げられ、好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。透明導電層6の形成では、特に好ましくは、マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。
【0112】
スパッタリング法を採用する場合、ターゲット材としては、透明導電層6を構成する上述の金属酸化物が挙げられ、好ましくは、ITOが挙げられる。ITOの酸化スズ濃度は、ITO層の耐久性、結晶化などの観点から、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。
【0113】
スパッタガスとしては、例えば、Arなどの不活性ガスが挙げられる。また、必要に応じて、酸素ガスなどの反応性ガスを併用することができる。反応性ガスを併用する場合において、反応性ガスの流量比は特に限定しないが、スパッタガスおよび反応性ガスの合計流量比に対して、例えば、0.1流量%以上5流量%以下である。
【0114】
スパッタ時の放電気圧は、スパッタリングレートの低下抑制、放電安定性などの観点から、例えば、1Pa以下であり、好ましくは、0.1Pa以上0.7Pa以下である。
【0115】
スパッタリング法に用いる電源は、例えば、DC電源およびRF電源のいずれであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
【0116】
ターゲット材表面の水平磁場の強度は、成膜速度、透明導電層に対する不活性ガス(Ar原子など)の取り込み抑制などの観点から、例えば、20mT以上、好ましくは、50mT以上、さらに好ましくは、70mT以上である。
【0117】
これにより、透明導電性フィルム1が得られる。
【0118】
次いで、必要に応じて、透明導電性フィルム1の透明導電層6に対して、結晶転化処理を実施する。
【0119】
具体的には、透明導電性フィルム1に大気下で加熱処理を実施する。
【0120】
加熱処理は、例えば、赤外線ヒーター、オーブンなどを用いて実施することができる。
【0121】
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。加熱温度を上記範囲内とすることにより、透明基材2の熱損傷および透明基材2から発生する不純物を抑制しつつ、結晶転化を確実にすることができる。
【0122】
加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定されるが、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
【0123】
これにより、結晶化された透明導電層6を備える透明導電性フィルム1が得られる。
【0124】
このようにして得られる透明導電性フィルム1おける透明導電層6の比抵抗は、例えば、1.1×10
−4Ω・cm以上、好ましくは、1.2×10
−4Ω・cm以上であり、また、例えば、2.5×10
−4Ω・cm以下、好ましくは、2.0×10
−4Ω・cm以下、より好ましくは、1.8×10
−4Ω・cm以下である。
【0125】
比抵抗は、透明導電層6の表面抵抗を四端子法により測定し、その測定した表面抵抗および透明導電層6の厚みから算出される。
【0126】
透明導電性フィルム1の総厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0127】
なお、必要に応じて、結晶転化処理の前または後に、公知のエッチングによって透明導電層6をストライプ状などの配線パターンに形成してもよい。
【0128】
また、上記製造方法では、ロールトゥロール方式にて、透明基材2を搬送させながら、その透明基材2の上面に、第2光学調整層3、第1光学調整層4、無機物層5および透明導電層6を順に形成してもよく、また、これらの層の一部または全部をバッチ方式にて形成してもよい。
【0129】
そして、この透明導電性フィルム1は、透明基材2、第2光学調整層3と、第1光学調整層4と、無機物層5と、透明導電層6とをこの順で備えている。そのため、透明基材2から発生される不純物ガス(例えば、結晶転化時に発生)を透明導電層6に到達・侵入することを抑制できる。
【0130】
また、無機物層5の厚みが10nm以下であるため、第1光学調整層4に生じている凹凸を平滑にして、無機物層5の上面ひいては透明導電層6の下面の表面粗さを低減している。
【0131】
さらには、透明導電層6の上面の表面粗さが、1.40nm以下である。
【0132】
これらにより、この透明導電性フィルム1では、透明導電層6の比抵抗が低減されている。よって、この透明導電性フィルム1によれば、大型化や薄膜化した場合でもあっても、良好な導電特性を備えることができるため、大型や薄型タッチパネル用基材として用いても、タッチパネルの感度などの諸機能の低下を抑制することができる。
【0133】
この透明導電性フィルム1は、種々の用途に用いることができるが、特にタッチパネル用基材に好適に用いられる。タッチパネルの形式としては、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種方式が挙げられ、特に静電容量方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【0134】
(変形例)
図1の実施形態では、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、第2光学調整層3と、第1光学調整層4と、無機物層5と、透明導電層6とを備えているが、例えば、
図2に示すように、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、第1光学調整層4と、無機物層5と、透明導電層6とから構成することもできる。
【0135】
すなわち、
図2の透明導電性フィルム1では、透明基材2と、透明基材2の上に配置される第1光学調整層4と、第1光学調整層4の上に配置される無機物層5と、無機物層5の上に配置される透明導電層6とを備えており、第2光学調整層3を備えていない。
【0136】
また、
図1の実施形態において、第1光学調整層4を第2光学調整層3の上面に接触させているが、これに限定されない。例えば、図示しないが、第1光学調整層4を第2光学調整層3の上面に接触させず、それらの間に他の層を介在させることもできる。
【0137】
また、
図1の実施形態において、第2光学調整層3を透明基材2の上面に接触させているが、これに限定されない。例えば、図示しないが、第2光学調整層3を透明基材2の上面に接触させず、それらの間に他の層を介在させることもできる。
【0138】
本発明では、配線パターンの視認抑制などの観点から、好ましくは、
図1の透明導電性フィルム1が挙げられる。
【実施例】
【0139】
以下に実施例
、参考例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例
、参考例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0140】
実施例1
(透明基材)
透明基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイル」、厚み50μm)を用いた。
【0141】
(第2光学調整層の形成)
紫外線硬化型アクリル樹脂と、酸化ジルコニウム(ZnO
2)粒子(平均粒径20nm)とからなる紫外線硬化型樹脂組成物(第2樹脂組成物)を、固形分濃度が5質量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈して、紫外線硬化型樹脂組成物の第2希釈液を調製した。次いで、第2希釈液を、PETフィルムの上面に塗布し、乾燥させて、紫外線硬化型樹脂組成物をフィルム状に形成した。次いで、紫外線硬化型樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させた。これにより、厚み200nmの第2光学調整層をPETフィルムの上面に形成した。
【0142】
(第1光学調整層の形成)
熱硬化型エポキシ樹脂100質量部と熱硬化型樹脂用硬化剤(エポキシ樹脂用硬化剤)1質量部とからなる熱硬化性樹脂組成物(第1樹脂組成物)を、固形分濃度が0.8質量%となるように、メチルイソブチルケトン(MIBK)で熱硬化性樹脂組成物を希釈して、熱硬化性樹脂組成物の第1希釈液を調製した。次いで、第1希釈液を第1光学調整層の上面に塗布し、195℃で1分間、加熱乾燥および硬化させた。これにより、厚み25nmの第1光学調整層を第2光学調整層の上面に形成した。
【0143】
これにより、第1光学調整層と第2光学調整層とPETフィルムとを備える光学調整層形成PETフィルムを得た。
【0144】
(脱ガス処理)
上記で得られた光学調整層形成PETフィルムを真空スパッタ装置へ装着し、加熱した成膜ロールに密着および走行させながら巻き取った。フィルムを走行させながら、クライオコイルとターボ分子ポンプとを備えた排気システムにより、雰囲気の真空度を1×10
−4Paとした。
【0145】
(無機物層の形成)
真空を維持したまま、DCマグネトロンスパッタリング法により、脱ガス処理した光学調整層形成PETフィルムの第1光学調整層の上面に、無機物層としてSiO
2層を形成した。スパッタリング法では、Siをターゲット材として用い、ArおよびO
2(O
2流量比30%)を導入した減圧雰囲気(0.2Pa)に設定し、水平磁場を100mTに調整した。形成されたSiO
2層は、厚みが1nmであった。
【0146】
(ITO層の形成)
真空を維持したまま、DCマグネトロンスパッタリング法により、上記で得られたフィルム(SiO
2層/第1光学調整層/第2光学調整層/PETフィルム)のSiO
2層の上面に、インジウムスズ複合酸化物(ITO)層を形成した。スパッタリング法では、酸化スズ濃度10質量%のITOをターゲット材として用い、ArおよびO
2(O
2流量比0.5%)を導入した減圧雰囲気(0.4Pa)に設定し、水平磁場を100mTに調整した。形成されたITO層は、非晶質であり、厚みが26nmであった。
【0147】
(結晶転化処理)
次いで、上記で得られた非晶質ITO層が形成されたフィルムを、スパッタ装置内から取り出して、150℃のオーブン内で120分加熱処理した。これにより、透明導電層として結晶質ITO層(厚み26nm)が形成された実施例1の透明導電性フィルムを製造した(
図1参照)。
【0148】
実施例2
無機物層(SiO
2層)の厚みを2nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0149】
実施例3
無機物層(SiO
2層)の厚みを3nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0150】
実施例4
無機物層(SiO
2層)の厚みを4nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0151】
実施例5
無機物層(SiO
2層)の厚みを6nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0152】
実施例6
無機物層(SiO
2層)の厚みを9nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0153】
参考例7
第2光学調整層を形成しなかった以外は、実施例3と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0154】
参考例8
第1光学調整層の厚みを100nmとした以外は、
参考例7と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0155】
比較例1
無機物層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0156】
比較例2〜4
無機物層の厚みを、それぞれ、11nm、15nm、20nmとした以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0157】
比較例5
第1光学調整層を以下に記載するように形成した以外は、比較例1と同様にして透明導電性フィルムを得た。
【0158】
中空ナノシリカ粒子含有アクリレート樹脂(シリカの平均粒子径45nm、シリカ含有量80質量%)とメチルイソブチルケトン(MIBK)とを混合して、固形分濃度が1.5質量%である粒子含有樹脂混合液を調製した。この粒子含有樹脂混合液に対して5分間超音波分散を実施し、各成分を均一に分散させた。この分散させた粒子含有樹脂混合液を、第2光学調整層の上面にバーコーターを用いて塗工し、80℃のオーブンで1分間乾燥した後、UV照射(積算光量300mJ)することにより、第1光学調整層(厚み25nm、粒子含有光学調整層)を形成した。
【0159】
比較例6
第1光学調整層を、上記比較例5に記載の第1光学調整層(厚み25nm、粒子含有光学調整層)とした以外は、実施例3と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0160】
比較例7
DCマグネトロンスパッタリング法により、第2光学調整層として、厚み20nmのNb
2O
5層を形成し、第1光学調整層として、厚み25nmのAl
2O
3層を形成した以外は、実施例3と同様にして透明導電性フィルムを製造した。
【0161】
(無機物層、第1光学調整層および第2光学調整層の厚さ)
透明導電性フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することにより、無機物層、第1光学調整層および第2光学調整層の厚さを測定した。
【0162】
(第1光学調整層および第2光学調整層の屈折率)
第1光学調整層および第2光学調整層を形成した後に、それぞれ、アタゴ社製のアッベ屈折率計を用い、25.0℃の条件下、測定面に対して測定光(波長:589.3nm)を入射させるようにして、屈折計に示される規定の測定方法により測定を実施した。結果を表1に示す。
【0163】
(透明導電層の厚みの測定)
透明導電層(ITO層)の厚みは、X線反射率法を測定原理とし、以下の測定条件にて粉末X線回折装置(リガク社製、「RINT−2000」)にてX線反射率を測定し、取得した測定データを解析ソフト(リガク社製、「GXRR3」)で解析することで算出した。解析条件は以下の条件とし、PETフィルムと密度7.1g/cm
3のITO層との2層モデルを採用し、ITO層の厚みと表面粗さを変数として、最小自乗フィッティングを実施し、透明導電層の厚みを解析した。結果を表1に示す。
【0164】
[測定条件]
光源: Cu−Kα線(波長:1,5418Å)、40kV、40mA
光学系: 平行ビーム光学系
発散スリット: 0.05mm
受光スリット: 0.05mm
単色化・平行化: 多層ゲーベルミラー使用
測定モード: θ/2θスキャンモード
測定範囲(2θ): 0.3〜2.0°
[解析条件]
解析手法: 最小自乗フィッティング
解析範囲(2θ): 2θ=0.3〜2.0°
(表面粗さの測定)
第1光学調整層、透明導電層および無機物層の表面粗さ(nm)は、原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製、「Dimension 3100」、以下AFMとする。)を用い、常温下でTapping AFMモードにおける形状像を1μm平方で測定した。そのとき得られた形状像から装置付属のソフトのオフラインモードで自動計算される面内の算術平均粗さRaを求めた。結果を表1に示す。
【0165】
(比抵抗の測定)
透明導電層の表面抵抗(Ω/□)を、JIS K 7194(1994年)に準じて四端子法により測定した。この測定により得られた表面抵抗、および、上記で算出した透明導電層の厚みから、透明導電層の比抵抗を算出した。結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。