【実施例】
【0062】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0063】
実施例1
様々なBET表面積を有するNaAゼオライト内への白金の選択的混入
アルミン酸ナトリウム(Na
2O42.5%、Al
2O
353%、Aldrich)およびLudox(AS−30、30wt%in H
2O、Aldrich)をそれぞれアルミナソースおよびシリカソースとして使用した。様々なBET表面積を有するゼオライトを合成するために、反応混合物(ゲル組成物)にポリ(エチレングリコール)(PEG、Average Mn;1450、Aldrich)を水に対して0重量%、50重量%および200重量%の割合でそれぞれ添加した。メルカプトプロピルトリメトキシシラン(mercaptopropyltrimethoxysilane)および白金前駆体としての白金酸(platinic acid;H
2PtCl
6)を反応混合物に一緒に投入した。その結果、反応混合物の最終組成は、下記のとおりである(モル基準):
(1.5SiO
2:Al
2O
3:1.8Na
2O:38.12H
2O:0.016Pt:0.064メルカプトシラン:nPEG(nは0〜0.95))。
【0064】
十分に混合された反応混合物を353Kで18時間攪拌した後、固体生成物を濾取し、373Kで24時間乾燥させてゼオライト(NaAゼオライト)を製造した。その後、前記ゼオライトを673Kでそれぞれ2時間ずつ空気およびH
2雰囲気の下で熱処理した。
合成されたNaAゼオライトの内部に白金が担持されたサンプルに対して、77Kで窒素吸着を用いてBET表面積を測定した。窒素吸着はBEL−Sorp−max(BEL Japan)装備を用いて測定した。吸着測定に先立ち、すべてのサンプルは673K、真空中で前処理し、サンプルの表面積は相対圧力(P/P
0)が0.05と0.20の範囲でBrunauer−Emmett−Teller(BET)式を用いて計算した。その結果、それぞれ3m
2g
−1、18m
2g
−1および38m
2g
−1のBET表面積を有する、白金が担持されたNaAゼオライトを合成することができた。
【0065】
合成されたNaA−ゼオライトの内部に担持された白金の量は、iCAP−6500(Thermo elemental)装備を用いて誘導結合プラズマ原子発光分光法(inductively coupled plasma atomic emission spectroscopy;ICP−AES)によって分析した。表面に露出した白金のモル数は、ASAP2000(Micromeretics)装備を用いて323KでのH
2およびCO化学吸着量を測定して分析した(volumetric vacuum method)。H
2(99.999%)およびCO(99.9%)ガスは、追加精製過程を経ることなく使用した。吸着分析に先立ち、すべてのサンプルは、673KでH
2を流しながら(100sccm)1時間還元させ、同じ温度で1時間真空処理した。水素および一酸化炭素の化学吸着は、ASAP2020(Micromeritics)装備を用いて容積法によって測定し、673Kで1時間還元させた後、323K、373K、473Kおよび573Kでそれぞれ化学吸着量を測定した。具体的に、サンプルは下記の手順によって前処理した:
(i)水素を100ml/minで流しながら373Kまで10K/minで昇温して30分間保持する段階と、
(ii)水素を100ml/minで流しながら673Kまで10K/minで昇温して60分間保持する段階と、
(iii)真空状態に673Kで60分間保持する段階と、
(iv)真空状態に吸着温度(323K、373K、473K、573K)まで50K/minで降温して60分間保持する段階と、
(v)吸着温度(323K、373K、473K、573K)で「outgas rate」が10μm/min以下となるようにリークテスト(leak test)する段階。
【0066】
具体的な化学吸着量の測定は、下記の条件で行った。:
平衡間隔(Equilibration interval):20秒
相対目標許容値(Relative target tolerance):5.0%
絶対目標許容値(Absolute target tolerance):5.000mmHg
測定圧力(Measuring pressure):2〜450mmHg。
【0067】
前述した条件で得た吸着等温線の高圧部分(50〜200mmHg)区間で外挿(extrapolation)して該当吸着温度での水素および一酸化炭素の化学吸着量を決定した。このとき、20秒の平衡間隔は、20秒間隔で化学吸着量の平衡か否かを判断することであり、相対目標許容値は、該当平衡間隔の間に吸着量の変化が5%未満の場合に平衡に達したと判断した。また、絶対目標許容値は、吸着絶対量が5mmHg未満の場合に平衡に到達したと判断した。相対許容値および絶対許容値の範囲をすべて満たすとき、吸着と判断した。
合成された物質の特性を
図2にまとめた。NaAゼオライトの合成の際に、添加されたPEGのモル組成に応じてそれぞれPt/NaA−0、Pt/NaA−0.24、およびPt/NaA−0.95で示した。
【0068】
これとは別に、メソ多孔性のシリカゲル(Davisil Grade 636、Sigma−Aldrich)でPt(NH
3)
4(NO
3)
2(Aldrich)水溶液を初期湿潤含浸させた。前記含浸されたシリカゲルを373Kで24時間乾燥させた後、673Kで、2時間乾燥空気中でか焼させ(200mLmin
−1g
−1)、水素雰囲気および773Kの下で2時間還元させることにより(200mLmin
−1g
−1)、Pt/SiO
2触媒サンプルを製造した。前記製造されたPt/SiO
2触媒サンプルに対する特性を
図2に示した。
【0069】
NH4+イオン交換および熱処理によるゼオライト構造の崩壊
上述した手順に従って合成されたNaAゼオライトは、常温で0.5M硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)溶液を用いて6時間にわたってイオン交換させた。合成された白金担持NaAゼオライトのうち、一部は1gあたり14mlの0.5M硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)溶液で1回イオン交換させ、残りは1gあたり140mlの0.5M硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)溶液を用いて3回にわたってイオン交換させた。イオン交換されたサンプルを673Kおよび空気雰囲気の条件下で熱処理し、ゼオライト結晶構造の崩壊程度はXRD分析を用いて確認した。このとき、硝酸アンモニウム溶液で1回イオン交換したサンプルの場合、NaAゼオライト合成過程で添加されたPEGのモル含量に応じて、それぞれPt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24およびPt/NaHA−0.95で表示した(部分的崩壊)。また、3回にわたってイオン交換したサンプルの場合、NaA−ゼオライト合成過程で添加されたPEGのモル含量に応じて、それぞれPt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95で表示した(全体的崩壊)。
【0070】
−XRD分析
ゼオライトの崩壊前/後の結晶構造に対するXRD分析結果を
図3に示した。前記図面によれば、合成された白金含有NaAゼオライトは、典型的なLTA構造に対するXRDパターンを示し、結晶構造の崩壊が進むにつれてピーク強度は益々減少した(Pt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24およびPt/NaHA−0.95)。ゼオライトの構造が全体的に崩壊したサンプルの場合(Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)、ゼオライト結晶特性のほとんどが消えたことが分かる。NaAゼオライトにおける主ピークは2θ=7.20であり、ゼオライト崩壊後の主ピークの面積が崩壊前の主ピークの面積の0.8未満に減少したことを確認した。すなわち、0.8(MainP
zeolite)>(MainP
collapse)の関係を示した。
【0071】
−H
2およびCO化学吸着の分析
白金含有ゼオライト触媒サンプルのそれぞれに対して、温度変化による水素(H
2)および一酸化炭素(CO)の化学吸着量の挙動を
図4に示し、0.7*(H/Pt
373+H/Pt
473+H/Pt
573)/3および(CO/Pt
373+CO/Pt
473+CO/Pt
573)/3を下記表3にまとめた。
【0072】
【表3】
【0073】
前記図面によれば、ゼオライトの構造が崩壊する前のサンプルの場合、吸着温度の上昇に伴ってCOの化学吸着量および水素の化学吸着量はすべて減少する傾向を示した。ところが、ゼオライトの構造が崩壊したサンプルでは、吸着温度が上昇するにつれて、全体的にCOの化学吸着量が減少する一方、水素の化学吸着量は増加する傾向を示した。具体的に、ゼオライの構造が全体的に(完全に)崩壊したサンプル(Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)の場合、323Kでの水素化学吸着量に照らしてみるとき、室温(room temperature)では水素分子がアルミノシリケートマトリックスの内部に分散している金属クラスターの表面まで拡散することができないことが分かった。また、ゼオライトの構造が全体的に崩壊したサンプルでは、昇温の下でもCO吸着量は全体温度にわたって実質的に0に近づいたので(<0.02)、これはCOが水素原子よりも大きい分子サイズ(動的分子径:0.38nm)を持つためであると判断される。
【0074】
一方、部分的に崩壊したサンプル(Pt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24およびPt/NaHA−0.95)の場合、崩壊する前のサンプルと完全に崩壊したサンプルとの間の中間挙動を示しているので、323Kでもある程度の水素化学吸着量特性を示した。但し、一部のサンプル(Pt/NaHA−0およびPt/NaHA−0.95)の場合、温度の上昇に伴って水素吸着量が増加してから渋滞するか或いはやや減少する傾向を示した。
ところが、ゼオライトの構造が部分的または全体的に崩壊したサンプルは0.7*(H/Pt
373+H/Pt
473+H/Pt
573)/3>(CO/Pt
373+CO/Pt
473+CO/Pt
573)/3の関係を満たしているのに対し、ゼオライトの構造が崩壊していないサンプルまたは従来の触媒(Pt/SiO
2)の場合は上述した関係を満たしていない。
上述した化学吸着量分析の結果から、イオン交換および熱処理過程中に脱陽イオンによりゼオライトの構造がより稠密なアルミノシリケートマトリックスに転換されながらも、白金(Pt)クラスターは継続的に囲まれた状態で存在することが分かる。
一方、
図2に記載されているように、全体的に構造が崩壊したサンプルに対する窒素吸着測定の結果、BET表面積がそれぞれ2m
2g
−1、12m
2g
−1および33m
2g
−1であったので、崩壊前のゼオライトの比表面積と比較すると、わずかに減少したことが分かる。
【0075】
−TEMイメージ
金属(Pt)がアルミノシリケートマトリックス内にサイズ変化なしで均一に含有(担持)されているか否かを確認するために、Pt/NaA−0、Pt/HA−0、Pt/NaA−0.24、Pt/HA−0.24、Pt/NaA−0.95およびPt/HA−0.95のサンプルに対するTEMイメージ(image)を分析し、その結果を
図5に示した。図示の如く、ゼオライトの構造が崩壊したサンプルの場合、白金クラスターが非晶質アルミノシリケートの内部によく分散した状態で存在することを確認することができる。このとき、観察される白金クラスターは均一な直径(約1.0nm)を有すると把握された。
【0076】
実施例2
固体MAS核磁気共鳴(solid−state magic angle spinning nuclear magnetic resonance;solid−state MAS NMR)分析
NaAゼオライトの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaA−0)、および構造が部分的または全体的に崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0およびPt/HA−0)に対して
27Al MAS NMRおよび
29Si MAS NMR分析を行った。その結果を
図6に示した。固体核磁気共鳴法(solid−state NMR)は、widebore 9.4Tの磁場強度を持つBruker Avance 400装備を用いて104.3MHz(
27Al)、79.5MHz(
29Si)のラーモア周波数(Larmor frequency)で測定した。マジックアングルスピニング(magic angle spinning)速度は
27Alおよび
29Siでそれぞれ15kHzおよび5kHzと設定し、化学的移動はAl(NO
3)
3およびDSS(2,2−dimethyl−2−silapentane−5−sulfonic acid)を
27Alおよび
29Siの基準にしてppm単位で記録した。
27Al MAS NMR分析の結果、構造が崩壊するにつれて、Pt/HA−0サンプルの場合には、4面体(tetrahedral)構造を有するAl(60ppm)が減少すると同時に、五配位された(penta−coordinated)Al(25ppm)および8面体(octahedral)構造を有するAl(0ppm)が生成された。また、
29Si MAS NMR分析の結果、構造の崩壊に伴い、4つのAlによって囲まれたSi(−89ppm)が減少しながら、非常に不均一な形態のSi構造(−80ppm乃至−120ppm)が生成された。部分的に構造が崩壊したPt/NaHA−0サンプルの場合、中間程度の傾向を示した。
一方、Pt/NaA−0サンプルの場合、
27Alおよび
29Si MAS NMRスペクトルの両方で単一の狭いピークを示したので、これらのそれぞれは、4面体Al(60ppm)および4つのAlによって囲まれたSi(−89ppm)に該当した。
【0077】
実施例3
硫黄による金属表面の非活性化の分析
構造が崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に担持された白金触媒の硫黄に対する被毒か否かを評価するために、XAFS(X−ray absorption fine structure)分析を介して、Pt−S結合が生成されるかを考察した。XAFS分析は、浦項加速器センターの7D−XAFSビームラインで行ったとともに、Pt L3edgeで透過(transmission)モードにて測定した。測定に先立ち、約0.3gのPt/HA−0サンプルおよびPt/SiO
2サンプルをそれぞれ200barで圧縮して直径13mmのペレットを製造した。製造されたペレットは、厚さ0.05mmのアルミニウムウィンドウを有するin−situ XAFSセルに装着した。セルに装着されたサンプルは、573Kで5%H
2S/H
2(200sccm)で1時間前処理した。前記XAFS分析の結果を
図7に示した(1:Pt−Pt coordination、2:Pt−S coordination)。
前記図面によれば、Pt/HA−0の場合、白金箔のような径方向の分布(radial distribution)を示すが、これに対し、白金が外部に露出しているPt/SiO
2触媒サンプルの場合、Pt−S結合が生成されたことを確認した。すなわち、Pt/HA−0サンプルの場合、最も簡単な硫黄化合物であるH
2Sさえ金属(Pt)の表面まで接近することができなかった。
【0078】
実施例4
ベンゼン水素化反応性の測定
ゼオライトの構造が崩壊する前のサンプル(Pt/NaA−0、Pt/NaA−0.24およびPt/NaA−0.95)、および部分的または全体的に構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24、Pt/NaHA−0.95、Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)に対して、ベンゼン水素化反応を行った。
水素化反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、それぞれのサンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、0.1gの触媒と1.9gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器(fixed−bed continuous flow reactor)で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って673K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。ベンゼンの水素化反応は、(WHSV(h
−1)=525.9、523K、P
H2=472.54kPa、P
benzene=27.46kPa)の運転条件で行った。
また、実施例1で製造された従来の商用触媒(Pt/SiO
2)に対しても、同様の方法によってベンゼン水素化反応を行った。
触媒の活性は、触媒に含有された全体白金のmolあたりの転換率(turnover rate;TOR)、または323Kでの水素化学吸着で測定された表面に露出した白金のmolあたりの転換率で表すことができる。但し、ゼオライトの構造が全体的に崩壊したアルミノシリケートマトリックスの内部に白金が担持されたサンプルの場合、323Kで水素化学吸着量が実質的に0であるため、無限大であるTORの値を持つことになる。したがって、室温での水素化学吸着量が実質的に0である該当触媒を商用触媒と比較することは妥当ではないと判断し、本実施例では触媒に含有された全体白金のmolあたりの転換率で評価し、その結果を
図8に示した。
前記図面によれば、BET表面積が増加するほど反応性が増加する傾向を示した。ゼオライトが部分的に崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプルのうち、比表面積が大きいサンプルの場合、従来のPt/SiO
2触媒に比べて特に優れた水素化反応活性を示した。
【0079】
実施例5
シクロヘキサン脱水素化反応性の測定
ゼオライトの構造が崩壊する前のサンプル(Pt/NaA−0、Pt/NaA−0.24およびPt/NaA−0.95)、および部分的または全体的に構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24、Pt/NaHA−0.95、Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)に対して、シクロヘキサン脱水素化反応を行った。
脱水素化反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、各サンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、0.1gの触媒と1.9gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って673K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。シクロヘキサンの脱水素化反応は、(WHSV(h
−1)=467.4、623K、P
H2=92.45kPa、P
cyclohexane=7.55kPa)の運転条件で行った。
また、実施例1で製造された従来の商用触媒(Pt/SiO
2)に対しても、同様の方法によってシクロヘキサン脱水素化反応を行い、その結果を
図9に示した。
前記図面によれば、BET表面積が増加するほど反応性も増加する傾向を示した。ゼオライトが部分的に崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプルのうち、比表面積が大きいサンプルの場合、従来のPt/SiO
2触媒に比べて特に優れた脱水素化反応活性を示した。
【0080】
実施例6
チオフェン水添脱硫反応性の測定
全体的に構造が崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)に対して、チオフェン脱硫反応を行った。反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、それぞれのサンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、0.1gの触媒と1.9gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って673K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。チオフェンの水添脱硫反応は(WHSV(h
−1)=89.87、573K、P
H2=1976kPa、P
thiophene=4kPa、P
heptane=20kPa)の運転条件で行った。
また、実施例1で製造された従来の商用触媒(Pt/SiO
2)に対しても、同様の方法によってチオフェン水添脱硫反応を行い、その結果を
図10に示した。前記図面によれば、BET表面積が増加するにつれて水添脱硫反応性が増加した。
【0081】
実施例7
プロパン水素化分解(hydrogenolysis)反応性の測定
ゼオライトの構造が崩壊する前のサンプル(Pt/NaA−0、Pt/NaA−0.24およびPt/NaA−0.95)、および部分的または全体的に構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0、Pt/NaHA−0.24、Pt/NaHA−0.95、Pt/HA−0、Pt/HA−0.24およびPt/HA−0.95)に対して、プロパン水素化分解反応を行った。
プロパン水素化分解反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、各サンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、2gの触媒および2gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って673K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。プロパン水素化分解反応は、(WHSV(h
−1)=5.41、643K、P
H2=40kPa、P
He=50kPa、P
propane=10kPa)の運転条件で行った。
また、実施例1で製造された従来の商用触媒(Pt/SiO
2)に対しても、同様の方法によってプロパン水素化分解反応を行い、その結果を
図11に示した。
前記図面によれば、構造が崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプルの場合、BET表面積に関係なく、プロパン水素化分解活性が低かった。特に、従来の商用触媒(Pt/SiO
2)と比較して著しく低レベルであったので、Pt/SiO
2触媒の場合、開放されたポア構造を持つため、高いC−C水素化分解活性を有すると判断される。
【0082】
実施例8
プロパン脱水素化反応性の測定
ゼオライトの構造が部分的に崩壊したサンプル(Pt/NaHA−0.95)および実施例1で製造された従来の商用触媒(Pt/SiO
2)に対して、プロパン脱水素化反応を行った。
プロパン脱水素化反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、各サンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。同じプロパン転換率の範囲で選択度を比較するために、Pt/NaHA−0.95の場合には4gの触媒および2gのSiO
2を混合して使用し、Pt/SiO
2の場合には5gの触媒および2gのSiO
2を混合して使用することにより、固定層連続流反応器で反応を行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って823K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。プロパン脱水素化反応は、(823K、P
H2=10kPa、P
He=80kPa、P
propane=10kPa)の運転条件で行った。Pt/NaHA−0.95触媒およびPt/SiO
2触媒のそれぞれに対して、WHSV(h
−1)=2.7およびWHSV(h
−1)=2.16の空間速度で測定した。その結果を
図12に示した。
前記図面によれば、構造が部分的に崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0.95)の場合、従来の商用触媒(Pt/SiO
2)と比較して同じ範囲の転換率で著しく改善されたプロピレン選択度を持つことが確認された。すなわち、構造が部分的に崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaHA−0.95)の場合、従来の商用触媒(Pt/SiO
2)と比較して非常に低いC−C水素化分解活性を持つため、結果としてプロピレン選択度が改善されたと判断される。
【0083】
実施例9
熱処理による金属焼結現象(sintering)の評価
全体的に構造が崩壊した非晶質アルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HA−0.95)を973K、H
2(200sccm)の雰囲気で12時間熱処理した後、白金の焼結(sintering)か否かをTEM(transmission electron microscope)を用いて観察し、熱処理前/後のTEMイメージを
図13に示した。
図示の如く、Pt/HA−0.95サンプルは、12時間の熱処理後にも、白金クラスターのサイズが熱処理前と比較して増加していないことを確認した。
【0084】
実施例10
商用NaXゼオライト内への白金の選択的混入
商用NaXゼオライト(13X molecular sieve、Sigma−Aldrich)のマイクロ気孔内に存在する水分を除去するために、623Kで6時間空気雰囲気の下で熱処理し、白金前駆体としてPt(NH
3)
4(NO
3)
2(Aldrich)を使用した。
商用NaXゼオライトのマイクロ気孔内に白金を選択的に混入するために、0.002M Pt(NH
3)
4(NO
3)
2水溶液を用いて常温でイオン交換した後、583K、空気雰囲気、573K、H
2雰囲気で熱処理した。このとき、NaXゼオライト1gあたり0.002M Pt(NH
3)
4(NO
3)
2水溶液25.9mlを用いて最終Pt含量が1重量%となるようにした。合成されたサンプルをPt/NaXで表示した。
【0085】
NH4+イオン交換と熱処理によるゼオライト構造の崩壊
上述した手順に従って合成されたPt/NaXゼオライトは、常温で0.5M硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)溶液を用いて6時間にわたってイオン交換させた。Pt/NaX1gあたり140mlの0.5M硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)溶液で3回にわたってイオン交換した。イオン交換されたサンプルを573K、水素雰囲気の条件下で2時間熱処理し、ゼオライト結晶構造の崩壊程度はXRD分析を用いて確認した。イオン交換の後に熱処理したサンプルの場合はPt/HXで表示した。
【0086】
−XRD分析
Xゼオライトの崩壊前/後の結晶構造に対するXRD分析結果を
図14に示した。前記図面によれば、Pt含有NaXゼオライト(Pt/NaX)は、典型的なFAU構造に対するXRDパターンを示すのに対し、ゼオライト結晶構造の崩壊後(Pt/HX)には結晶特性のほとんどが消えたことが分かる。NaXゼオライトにおける主ピークは2θ=10であり、ゼオライトの崩壊後の主ピークの面積が崩壊前の主ピークの面積の0.8未満に減少したことを確認した。すなわち、0.8(MainP
zeolite)>(MainP
Collapse)の関係を示した。
【0087】
−H
2およびCO化学吸着の分析
Pt/NaXおよびPt/HXサンプルに対して、温度変化による水素(H
2)および一酸化炭素(CO)の化学吸着量の挙動を
図15に示し、0.7*(H/Pt
373+H/Pt
473+H/Pt
573)/3および(CO/Pt
373+CO/Pt
473+CO/Pt
573)/3を下記の表4にまとめた。
【0088】
【表4】
【0089】
上記の表に記載されているように、Xゼオライトの場合にも、Aゼオライトと同様に、ゼオライトの構造崩壊後にA>Bの関係を示した。
【0090】
固体MAS核磁気共鳴(solid−state magic angle spinning nuclear magnetic resonance;solid−state MAS NMR)分析
NaXゼオライトの内部に白金が担持されたセンプル(Pt/NaX)、および構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HX)に対して、
27Al MAS NMRおよび
29Si MAS NMR分析を行い、その結果を
図16に示した。固体核磁気共鳴法(solid−state NMR)は、widebore 9.4Tの磁場強度を持つBruker Avance 400装備を用いて104.3MHz(
27Al)、79.5MHz(
29Si)のラーモア周波数(Larmor frequency)で測定した。マジックアングルスピニング(magic angle spinning)速度は、
27Alおよび
29Siでそれぞれ15kHzおよび5kHzに設定し、化学的移動はAl(NO
3)
3およびDSS(2,2−dimethyl−2−silapentane−5−sulfonic acid)を
27Alおよび
29Siの基準にしてppm単位で記録した。
【0091】
27Al MAS NMR分析の結果、構造が崩壊するにつれて、Pt/HXサンプルの場合は、4面体(tetrahedral)構造を有するAl(60ppm)が減少するとともに、五配位された(penta−coordinated)Al(25ppm)および8面体(octahedral)構造を有するAl(0ppm)が生成された。一方、
29Si MAS NMR分析の結果、構造の崩壊に伴い、4つのAlによって囲まれたSi(−89ppm)が減少しながら、非常に不均一な形態のSi構造(−80ppm乃至−120ppm)が生成された。
一方、Pt/NaXサンプルの場合、
27Alおよび
29Si MAS NMRスペクトルの両方で単一の狭いピークを示したので、これらのそれぞれは4面体Al(60ppm)および4つのAlによって囲まれたSi(−89ppm)に該当した。
【0092】
以下の実施例11、12及び13は参考例である。
実施例11
Pt/NaXおよびPt/HXに対するベンゼン水素化反応性の測定
NaXゼオライトの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaX)、および構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HX)に対して、ベンゼン水素化反応を行った。
水素化反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、それぞれのサンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、0.2gの触媒および4gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器(fixed−bed continuous flow reactor)で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って573K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。ベンゼンの水素化反応は、(WHSV(h
-1)=263.0、523K、P
H2=472.54kPa、P
benzen=27.46kPa)の運転条件で行い、その結果を
図17に示した。
前記図面によれば、構造が崩壊したPt/HX触媒の場合、すべての反応物が金属の表面に触れることが可能なPt/NaX触媒に比べて高い水素化反応性を示した。
【0093】
実施例12
Pt/NaXおよびPt/HXに対するプロパン水素化分解(hydrogenolysis)反応性の測定
NaXゼオライトの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaX)、および構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HX)に対して、プロパン水素化分解反応を行った。
水素化分解反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、各サンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、1.5gの触媒および4gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って723K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。プロパンの水素化分解反応は、(WHSV(h
−1)=3.60、723K、P
H2=90kPa、P
propane=10kPa)の運転条件で行い、その結果を
図18に示した。
前記図面によれば、構造が崩壊したPt/HX触媒の場合、すべての反応物が金属の表面に触れることが可能なPt/NaX触媒に比べて著しく低い水素化分解反応性を示した。Pt/NaX触媒の場合、開放されたポア構造を持つため、高いC−C水素化分解活性を有すると判断される。
【0094】
実施例13
Pt/NaXおよびPt/HXに対するプロパン脱水素化反応性の測定
NaXゼオライトの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/NaX)、および構造が崩壊したアルミノシリケートの内部に白金が担持されたサンプル(Pt/HX)に対して、プロパン脱水素化反応を行った。
脱水素化反応に先立ち、熱および物質移動に対する影響を最小化するために、各サンプルは、γ−アルミナと1:9の割合で混合した後、75〜100メッシュに成形して最終触媒として反応に使用した。反応は、2gの触媒および4gのSiO
2を混合して固定層連続流反応器で行った。すべてのサンプルに対して、反応に先立って853K、H
2流量100sccmでin−situにて還元させた。プロパンの脱水素化反応は、(WHSV(h
−1)=7.21、853K、P
H2=10kPa、P
He=70kPa、P
propane=20kPa)の運転条件で行い、その結果を
図19に示した。
前記図面によれば、構造が崩壊したPt/HX触媒の場合、すべての反応物が金属の表面に触れることが可能なPt/NaX触媒に比べて著しく高いプロピレン選択性を示した。一方、Pt/NaX触媒の場合、開放されたポア構造を持つため、高いC−C水素化分解活性を有するので、結果的に低いプロピレン選択度を示すと判断される。
本発明の単純な変形乃至変更は当該分野における通常の知識を有する者によって容易に利用でき、それらの変形や変更はいずれも本発明の範囲に含まれるものと理解できる。