【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一様態によると、本発明は、
(a)ホルミル基が導入されて酸化された酸化グリコサミノグリカンを含む第1成分と、
(b)2以上のアミノ基を有するポリアミンを含み、水溶液状態におけるpHが8.5乃至11.0である第2成分と、
を含む生分解性医療用接着剤又はシーラント(又は医療用接着剤又はシーラント組成物)を提供する。
【0012】
本発明の他の一様態によると、本発明は、
(a)ホルミル基が導入されて酸化された酸化グリコサミノグリカンを含む第1成分と、
(b)2以上のアミノ基を有するポリアミンを含み、水溶液状態におけるpHが8.5乃至11.0である第2成分と、
を含み、前記第1及び第2成分を混合した場合、ホルミル基/アミノ基のモル比は、0.1乃至500である生分解性医療用接着剤又はシーラント(又は医療用接着剤又はシーラント組成物)を提供する。
【0013】
本発明のまた他の一様態によると、本発明は、前記生分解性医療用接着剤又はシーラント(又は医療用接着剤又はシーラント組成物)を接着、充填、塗布、癒着防止、創傷被覆又は止血の必要な生体組織に適用する工程を含む生体組織の接着、充填、塗布、癒着防止、創傷被覆又は止血方法を提供する。
【0014】
本発明者らは、体液及び血液が存在する体内部位においても、十分な接着、被覆及び止血を行うことができ、特に、他の生分解性高分子に比べ、多い量の水分を吸収することができ、体内で自ら分解可能な生分解性医療用接着剤及びシーラントを開発するために鋭意研究した。その結果、ホルミル基が導入されて酸化されたグリコサミノグリカンとポリアミンとを一緒に使用することにより、生体組織の接着、充填、塗布、癒着防止、創傷被覆、及び止血などを効果的に達成することができることを確認した。
【0015】
本明細書において、医療用接着剤又はシーラントと、その組成物とは、相互交換的に使用される。
【0016】
下記実施例で確認したように、本発明の組成物は、既存の医療用2成分型接着剤(LYDEX)より、ゲル形成時間、粘着力及び水分吸収力において改善された効果を示し(表5乃至7参照)、止血効果においても、既存の止血剤(Arista
TM AH)より、さらに優れた効果を示した(
図12参照)。このような結果は、第1成分と第2成分の組合せである本発明の組成物が、生体組織の接着、充填、塗布、癒着防止、創傷被覆及び止血などの医療用途において優れた物性を示し、本発明の組成物をこれら医薬用途に使用できることを示す。
【0017】
本発明の組成物は、酸化グリコサミノグリカンを第1成分として含む。前記用語‘酸化グリコサミノグリカン’は、グリコサミノグリカンにホルミル基(−CHO)が導入されて酸化されたことを意味する。前記グリコサミノグリカンは、ヘキソサミンを含む2糖の反復構造を有する多糖であるという点で、単糖のO−グリコシド結合のグルカンとは区別される。
【0018】
このようなホルミル基の導入は、過ヨウ素酸酸化法で実施できる。例えば、グリコサミノグリカンを過ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩で酸化し、無水ブドウ糖単位(糖残基)当たり、滴定数(例えば、0.01乃至0.95個)のホルミル基が導入された酸化グリコサミノグリカンを得ることができる。
【0019】
本発明の一具現例によると、前記酸化グリコサミノグリカンの酸化度は、下記式によって計算されて、10乃至99.5%の値を有する。このような酸化度を有する酸化グリコサミノグリカンは、第2成分と組み合わせて使用時、体内の血液と体液を迅速に吸収し、速い時間内にゲル化できる。
【0020】
一つの特定例によると、前記酸化グリコサミノグリカンの酸化度は、10〜60%であり、他の特定例では、10〜55%であって、また他の特定例では、10〜50%であり、また他の特定例では、10〜45%であって、また他の特定例では、10〜40%である。一例として、前記第1成分に1種類以上の酸化グリコサミノグリカンが含まれて、この酸化グリコサミノグリカンが酸化ヒアルロン酸である場合、前記酸化ヒアルロン酸の酸化度は、10〜20%であってもよい。
【0021】
前記グリコサミノグリカンの酸化度測定は、NaOH滴定法で実施できる。例えば、17.5gのヒドロキシルアミンヒドロクロライドと0.05%メチルオレンジ6mlを994mlの蒸留水に混合し、0.25mol/lのヒドロキシルアミンヒドロクロライド溶液を作って、pHを4に滴定した後、酸化グリコサミノグリカン0.1gを25mlの前記溶液に溶かして、0.1mol/l水酸化ナトリウムを利用して再びpH4に滴定した後、下記式に代入し、酸化度(%)を計算する。
【0022】
本発明の一具現例によると、前記酸化グリコサミノグリカンは、無水ブドウ糖単位(糖残基)当たり、0.01乃至0.95個のホルミル基を有する。
【0023】
本発明の一具現例によると、前記酸化グリコサミノグリカンは、酸化ヒアルロン酸、酸化コンドロイチン硫酸、酸化コンドロイチン、酸化デルマタン硫酸、酸化ヘパラン硫酸、酸化ヘパリン及び酸化ケラタン硫酸からなる群から選択される。
【0024】
本発明の一具現例によると、特定分子量のグリコサミノグリカンを使用することにより、接着剤/シーラント組成物のゲル化形成能、ゲル化状態維持時間、ゲルの弾性などを適宜調節することができる。
【0025】
本発明の一具現例によると、前記酸化グリコサミノグリカンを得るために使用されるグリコサミノグリカンは、1,000乃至500万の分子量を有する。一例として、前記酸化グリコサミノグリカンを得るために使用されるグリコサミノグリカンは、1万乃至400万、5万乃至350万、10万乃至350万、10万乃至300万、10万乃至250万、10万乃至200万、又は10万乃至160万の分子量を有することができる。
【0026】
本発明の一具現例によると、前記第1成分には、10万乃至200万の分子量を有する酸化ヒアルロン酸が含まれる。一つの特定例によると、前記酸化ヒアルロン酸の分子量は、10万乃至160万である。
【0027】
本発明の一具現例によると、前記第1成分には、2種類以上の酸化グリコサミノグリカンが含まれる。
【0028】
本発明の一具現例によると、これらの酸化グリコサミノグリカンの重量比は、1:0.5〜5である。一つの特定例によると、前記酸化グリコサミノグリカンの重量比は、1:0.5〜4であり、他の特定例では、1:0.5〜3.5であって、また他の特定例では、1:0.5〜3であり、また他の特定例では、1:0.5〜2.5であって、また他の特定例では、1:0.5〜2であり、また他の特定例では、1:0.5〜1.5である。
【0029】
本発明の一具現例によると、前記2種類以上の酸化グリコサミノグリカンは、酸化ヒアルロン酸及び酸化コンドロイチン硫酸である。前記酸化ヒアルロン酸と酸化コンドロイチン硫酸の重量比は、1:0.5〜5、1:0.5〜4、1:0.5〜3.5、1:0.5〜3、1:0.5〜2.5、1:0.5〜2、1:0.5〜1.5又は1:0.8〜1.2である。
【0030】
本発明の一具現例によると、前記酸化ヒアルロン酸の酸化度は、10〜40%である。一つの特定例によると、前記酸化ヒアルロン酸の酸化度は、12〜40%であり、他の特定例では、12〜38%であって、また他の特定例では、13〜37%である。
【0031】
本発明の一具現例によると、前記酸化コンドロイチン硫酸の酸化度は、10〜55%である。一つの特定例によると、前記酸化コンドロイチン硫酸の酸化度は、10〜50%であり、他の特定例では、10〜45%であって、また他の特定例では、10〜40%であり、また他の特定例では、10〜35%である。
【0032】
本発明の一具現例によると、前記第1成分は、粉末状、液状又は固体状(例えば、ペレット形態)である。一例として、粉末状の第1成分は、酸化グリコサミノグリカン含有溶液を乾燥(例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥など)した後、粉砕(例えば、機械的粉砕)して得ることができる。
【0033】
本発明の組成物は、活性成分として第1成分の他に、2以上のアミノ基を有するポリアミンを含む第2成分をさらに含む。前記第2成分は、水溶液状態で8.5〜11.0のpHを示す。下記実施例で確認したように、前記第2成分の水溶液状態におけるpHが8.5〜11.0である場合、数秒内にゲル化がなされる(
図7参照)。
【0034】
一つの特定例によると、前記第2成分は、水溶液状態で9.0〜11.0のpHを示す。
【0035】
本発明の一具現例によると、前記ポリアミンは、第2及び/又は第3アミノ基をさらに有することができる。
【0036】
本発明の一具現例によると、前記ポリアミンを含む第2成分は、粉末状、液状又は固体状(例えば、ペレット形態)である。一例として、粉末状の第2成分は、ポリアミン含有溶液を乾燥した後、粉砕して得られる。この際、前記ポリアミン−含有溶液は、第2成分の水溶液状態におけるpH範囲が8.5〜11.0になるように、pH調節剤をさらに含むことができる。前記pH調節剤の例としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、フマル酸及びマレイン酸のような1価又は多価のカーボン酸化合物又はその無水物などが挙げられる。
【0037】
本発明の一具現例によると、前記ポリアミンは、ポリリジン、キトサン、アルブミン、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、プロタミン及びPEI(Polyethylenimine)からなる群から選択される。
【0038】
本発明の一具現例によると、前記ポリアミンは、100以上の分子量を有する。一例として、前記ポリアミンの分子量は、1,000乃至20万である。
【0039】
本発明の一具現例によると、前記ポリアミンは、ポリ−L−リジンである。前記ポリ−L−リジンは、微生物(例えば、Streptomyces albulus)又は酵素を使用して生産されたε−ポリ−L−リジンである。
【0040】
本発明の一具現例によると、前記第2成分は、ポリアミンの他にpH調節剤をさらに含むことができる。
【0041】
本発明の一具現例によると、本発明の組成物は、薬物をさらに含むことができる。一例として、前記薬物は、第2成分に含まれる。前記薬物は、1個以上のアミン基を有することができ、このような薬物の例としては、アントラサイクリン系薬物、ゲムシタビン、バンコマイシン、ポリミキシン、メトトレキサート、タンパク質薬物及びペプチド薬物などが挙げられる。この場合、第1成分と第2成分のゲル化時、前記薬物のアミン基も第1成分のホルミル基と作用し、三つの成分が共にゲルを形成することができ、形成されたゲルの崩壊によって薬物が徐々に放出されて、薬理活性を示すことができる。
【0042】
本発明の一具現例によると、本発明の組成物は、様々な形態で剤形化でき、例えば、粉末状、液状又は固体状(例えば、ペレット形態)の第1成分と、粉末状、液状又は固体状の第2成分との組合せを含むことができる。
【0043】
本発明の一具現例によると、本発明の組成物は、第1成分と第2成分を0.5〜10:1の重量比で含む。
【0044】
一つの特定例によると、前記第1成分と第2成分は、0.5〜8:1の重量比で含まれ、他の特定例では、0.5〜6:1の重量比、また他の特定例では、0.5〜4:1の重量比、また他の特定例では、0.5〜3:1の重量比、また他の特定例では、0.5〜2:1の重量比、また他の特定例では、0.5〜1.5:1の重量比、また他の特定例では、0.8〜1.5:1の重量比、また他の特定例では、0.8〜1.2:1の重量比で含まれる。
【0045】
本発明によると、前記第1成分のホルミル基と第2成分のアミノ基の比率を調節することにより、ゲルの形成時間、生成ゲルの分解時間などを調節することができる。
【0046】
本発明の一具現例によると、前記第1及び第2成分を混合した場合、ホルミル基/アミノ基のモル比は、0.1〜500である。
【0047】
一つの特定例によると、前記第1及び第2成分を混合した場合、ホルミル基/アミノ基のモル比は、1〜400であり、他の特定例では、1〜350であって、また他の特定例では、1〜300であり、また他の特定例では、10〜300である。
【0048】
前記第1成分と第2成分は、医療効果(医療用途)のために、同時にあるいは順次、被着体(生体内外の皮膚面)に塗布できる。この際、場合によって、前記第1及び第2成分のゲル化のために、食塩水あるいは蒸留水を噴射することができる。
【0049】
本発明の一具現例によると、前記医療用途は、生体組織の接着、充填、塗布、癒着防止、創傷被覆及び止血からなる群から選択される。
【0050】
本発明の組成物は、第1成分と第2成分とを同一な容器に入れて、あるいは、別途の容器に分離した形態で提供する。