特許第6207795号(P6207795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6207795
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ヒータ装置及び作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B60H1/22 611C
   B60H1/22 611A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-505579(P2017-505579)
(86)(22)【出願日】2016年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2016088945
【審査請求日】2017年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸平
(72)【発明者】
【氏名】田上 泰之
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−071945(JP,A)
【文献】 特開2002−029690(JP,A)
【文献】 特開2004−091144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の車体のフロアプレートよりも車幅方向外側のステップに配置され、空気取入口及び温風吹出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部空間に配置される電気ヒータと、
前記電気ヒータに空気を送るファンと、
前記電気ヒータ及び前記ファンを支持する支持部材と、を備え、
前記電気ヒータの後端部は、前記電気ヒータの前端部よりも下方に配置される、
ヒータ装置。
【請求項2】
前記空気取入口、前記ファン、前記電気ヒータ、及び前記温風吹出口の順に配置され、
前記電気ヒータからの温風は、前記温風吹出口から前記フロアプレートの上方空間に供給される、
請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項3】
前記後端部を含む前記電気ヒータの少なくとも一部は、前記フロアプレートの上面よりも下方に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のヒータ装置。
【請求項4】
前記温風吹出口は、前記フロアプレートの上面よりも上方に配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項5】
前記ハウジングの上端部は、前記作業車両の動力源であるバッテリを充電するための充電設備と接続される前記車体のコネクタよりも下方に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項6】
前記支持部材の一部に設けられた排出孔を有する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記ステップに支持され車幅方向外側に開口を有する本体部材と、前記本体部材に着脱可能であり前記開口を塞ぐ蓋部材とを含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項8】
チューブ部材を介して前記ハウジングと接続され、前記作業車両のフロントガラスに前記ハウジングからの温風を供給するデフロスタを備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、車幅方向外側に向かって上方に傾斜する第1傾斜面と、前記第1傾斜面よりも車幅方向外側に配置され、車幅方向外側に向かって下方に傾斜する第2傾斜面とを有し、
前記温風吹出口は、前記第1傾斜面に設けられ、
前記チューブ部材と接続される前記ハウジングの供給口は、前記第2傾斜面に設けられる、
請求項8に記載のヒータ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のヒータ装置を備える作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ装置及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトのような作業車両に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、温風を発生するヒータ装置を有する作業車両が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−071945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両として、ディーゼルエンジンのような内燃機関を動力源とするエンジンフォークリフトと、バッテリを動力源とするバッテリフォークリフトとが知られている。エンジンフォークリフトに搭載されるヒータ装置は、内燃機関で発生した熱を利用して温風を発生する。すなわち、エンジンフォークリフトにおいては、ヒータ装置の熱源として内燃機関が利用される。バッテリフォークリフトにおいても、ヒータ装置の搭載が要望される。
【0005】
本発明の態様は、内燃機関が無くても温風を発生可能なヒータ装置及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、作業車両の車体のフロアプレートよりも車幅方向外側のステップに配置され、空気取入口及び温風吹出口を有するハウジングと、前記ハウジングの内部空間に配置される電気ヒータと、前記電気ヒータに空気を送るファンと、前記電気ヒータ及び前記ファンを支持する支持部材と、を備え、前記電気ヒータの後端部は、前記電気ヒータの前端部よりも下方に配置される、ヒータ装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様のヒータ装置を備える作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、内燃機関が無くても温風を発生可能なヒータ装置及び作業車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る作業車両の一例を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るヒータ装置の一例を右側から見た側面図である。
図3図3は、本実施形態に係るヒータ装置の一例を右後方から見た斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るヒータ装置の一例を上方から見た斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係るヒータ装置の一例を右前方から見た斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係るメインユニットの一例を示す断面図である。
図7図7は、本実施形態に係るメインユニットの一例を示す断面図である。
図8図8は、本実施形態に係る支持部材に支持された電気ヒータ及びファンの外観を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る電気ヒータの一例を示す斜視図である。
図10図10は、本実施形態に係るデフロスタの一例を示す斜視図である。
図11図11は、本実施形態に係るデフロスタの一例を前方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[作業車両]
図1は、本実施形態に係る作業車両100の一例を示す斜視図である。本実施形態においては、作業車両100がフォークリフト100であることとする。本実施形態において、フォークリフト100は、バッテリを動力源とするバッテリフォークリフトである。
【0012】
図1に示すように、フォークリフト100は、車体10と、車体10を支持する走行装置20と、車体10に支持される荷役装置30と、車体10に支持される運転席40と、温風を発生するヒータ装置1とを備える。
【0013】
走行装置20は、前輪21と、後輪22とを有する。前輪21及び後輪22は、回転軸を中心に回転可能である。前輪21にタイヤ21Tが装着される。後輪22にタイヤ22Tが装着される。
【0014】
以下の説明においては、フォークリフト100が直進状態で走行するときの前輪21及び後輪22の回転軸と平行な方向を適宜、車体10の車幅方向、と称し、タイヤ21T及びタイヤ22Tが走行する地面と直交する鉛直軸と平行な方向を適宜、車体10の上下方向、と称し、回転軸及び鉛直軸の両方と直交する方向を適宜、車体10の前後方向、と称する。
【0015】
本実施形態においては、運転席40に着座した運転者を基準として荷役装置30が存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。車幅方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。上下方向の一方が上方であり、上方の逆方向が下方である。
【0016】
前輪21は、後輪22よりも前方に配置される。前輪21は、車体10の車幅方向両側に配置される。後輪22は、車体10の車幅方向両側に配置される。
【0017】
車体10は、フレーム11と、フレーム11に支持され、バッテリが収容されるバッテリ室を有する収容部材12と、収容部材12の前方に配置されるフロアプレート13と、フロアプレート13よりも車幅方向外側に設けられるステップ14と、フロアプレート13よりも前方且つ上方に設けられるダッシュボード15とを有する。
【0018】
収容部材12は、運転席40を支持する。収容部材12は、運転席40の下方に配置される。バッテリは、収容部材12の内部空間であるバッテリ室に配置される。
【0019】
バッテリは、充電式バッテリである。バッテリの充電作業は、定期的に又は必要に応じて実施される。本実施形態においては、車体10のダッシュボード15の右部に、バッテリを充電するための充電設備と接続されるコネクタ16が設けられる。本実施形態において、コネクタ16は、充電用プラグが挿入される挿入口を含む。
【0020】
フロアプレート13は、前後方向において収容部材12とダッシュボード15との間に配置される。運転席40に着座した運転者の足がフロアプレート13に配置される。
【0021】
ステップ14は、フロアプレート13の車幅方向両側に設けられる。車幅方向において、ステップ14は、フロアプレート13の隣に設けられる。運転者は、車幅方向左側のステップ14を昇降する。運転者は、車幅方向左側のステップ14を経由して、運転席40に乗車したり、運転席40から降車したりする。
【0022】
荷役装置30は、フレーム11の前部に支持されるマスト31と、マスト31に支持されるフォーク32と、マスト31を前後方向に傾斜させるチルトシリンダ33と、フォーク32を上下方向に移動させるリフトシリンダ34とを有する。チルトシリンダ33及びリフトシリンダ34はそれぞれ、油圧シリンダである。フォーク32は、マスト31に設けられたリフトシリンダ34の駆動により、マスト31に支持された状態で上下方向に移動する。
【0023】
フォークリフト100は、運転席40に着座した運転者により操作される。運転席40の前方には、ステアリングホイール41が配置される。運転者は、手でステアリングホイール41を操作して、走行装置20を操舵する。
【0024】
フロアプレート13の前部には、アクセルペダル42及びブレーキペダル43が配置される。運転者は、足でアクセルペダル42及びブレーキペダル43を操作して、走行装置20を駆動及び制動する。
【0025】
また、ダッシュボード15には、荷役装置30を操作するための操作レバー44が設けられる。運転者は、操作レバー44を操作して、荷役装置30を駆動する。
【0026】
また、フォークリフト100は、複数のピラー17と、複数のピラー17に支持されるヘッドガード18と、ダッシュボード15の前方に設けられるフロントガラス19とを有する。ピラー17は、一対のフロントピラー17Fと、一対のリアピラー17Rとを含む。フロントピラー17Fは、リアピラー17Rよりも前方に配置される。フロントガラス19は、一対のフロントピラー17Fの間に設けられる。運転者は、フロントガラス19を介して、前方の物体を視認したり、荷役装置30の状態を視認したりすることができる。
【0027】
ヒータ装置1は、温風を発生する。本実施形態において、ヒータ装置1は、温風を生成するメインユニット50と、チューブ部材2を介してメインユニット50と接続され、フロントガラス19にメインユニット50からの温風を供給するデフロスタ3とを備える。
【0028】
本実施形態において、ヒータ装置1のメインユニット50は、車幅方向右側のステップ14に配置される。ヒータ装置1は、フロアプレート13の上方空間に温風を供給する。フォークリフト100が寒冷地で使用される場合、ヒータ装置1からフロアプレート13の上方空間に温風が供給されることにより、寒さに起因する運転者の不快感が緩和される。また、ヒータ装置1は、デフロスタ3を介して、フロントガラス19に温風を供給する。フォークリフト100が寒冷地で使用される場合、ヒータ装置1からフロントガラス19に温風が供給されることにより、寒さに起因するフロントガラス19における着霜、着氷、及び結露が抑制される。
【0029】
[ヒータ装置]
図2は、本実施形態に係るヒータ装置1の一例を右側から見た側面図である。図3は、本実施形態に係るヒータ装置1の一例を右後方から見た斜視図である。図4は、本実施形態に係るヒータ装置1の一例を上方から見た斜視図である。図5は、本実施形態に係るヒータ装置1の一例を右前方から見た斜視図である。
【0030】
図2図3、及び図4に示すように、ヒータ装置1のメインユニット50は、ハウジング51を有する。ハウジング51は、車幅方向右側のステップ14に配置される。ハウジング51は、ボックス状の部材である。ハウジング51は、金属製である。なお、ハウジング51は、プラスチック製でもよい。
【0031】
ハウジング51は、空気取入口52と、フロアプレート13の上方空間に温風を吹き出す温風吹出口53と、チューブ部材2と接続される供給口54とを有する。
【0032】
ハウジング51は、ステップ14に支持される本体部材51Aと、本体部材51Aに着脱可能に接続される蓋部材51Bとを含む。蓋部材51Bは、平板状の部材である。蓋部材51Bは、ボルトのような締結部材により、本体部材51Aに固定される。締結部材による固定が解除されることにより、蓋部材51Bは本体部材51Aから外される。
【0033】
本体部材51Aは、車幅方向外側に開口を有する。本実施形態において、本体部材51Aの開口は、車幅方向右側を向く。蓋部材51Bは、本体部材51Aの開口を塞ぐように本体部材51Aに接続される。本体部材51Aと蓋部材51Bとの固定が解除され、蓋部材51Bが本体部材51Aから外されることにより、ハウジング51の内部空間が露出する。これにより、運転者又は作業者は、車幅方向右側の本体部材51Aの開口を介して、ハウジング51の内部空間に配置されている機器及び部材についての作業を実施することができる。
【0034】
本体部材51Aは、前方に配置される前板511と、後方に配置される後板512と、上方に配置される上板513と、車幅方向内側に配置される内板514とを有する。本体部材51Aの開口は、前板511の車幅方向外側の端部と、後板512の車幅方向外側の端部と、上板513の車幅方向外側の端部と、ステップ14とによって規定される。ハウジング51の蓋部材51Bは、本体部材51Aの開口を塞ぐように、本体部材51Aの車幅方向外側に配置される。
【0035】
また、本体部材51Aは、上板513に支持される第1傾斜板515と、上板513に支持される第2傾斜板516とを有する。
【0036】
第1傾斜板515は、第2傾斜板516よりも車幅方向内側に配置される。第1傾斜板515は、車幅方向外側に向かって上方に傾斜する第1傾斜面を有する。第2傾斜板516は、第1傾斜面よりも車幅方向外側に配置され、車幅方向外側に向かって下方に傾斜する第2傾斜面を有する。
【0037】
空気取入口52は、前板511の前面下部に設けられる。温風吹出口53は、第1傾斜板515の第1傾斜面に設けられる。供給口54は、第2傾斜板516の第2傾斜面に設けられる。
【0038】
本実施形態において、温風吹出口53にルーバー60が設けられる。ルーバー60は、温風吹出口53から吹き出される温風の供給方向を調整するための複数の羽板を有する。運転者は、ルーバー60を動かすことにより、温風吹出口53から吹き出される温風の供給方向を調整することができる。なお、ルーバー60は無くてもよい。
【0039】
チューブ部材2は、ハウジング51と接続される。本実施形態において、チューブ部材2は、第2傾斜板516に固定される金属製の第1チューブ部材2Aと、第1チューブ部材2Aとデフロスタ3とを連結する可撓性の第2チューブ部材2Bとを含む。第1チューブ部材2Aの流路は、第2傾斜板516に設けられている供給口54と接続される。第2チューブ部材2Bは、固定部材により、ダッシュボード15及びフロントピラー17Fに固定される。デフロスタ3は、チューブ部材2を介してハウジング51と接続される。デフロスタ3は、フロントガラス19にハウジング51からの温風を供給する。
【0040】
図4に示すように、本実施形態において、温風吹出口53は、フロアプレート13の上面よりも上方に配置される。
【0041】
ハウジング51の前方且つ上方に、コネクタ16が配置される。図2図3図4、及び図5に示すように、ハウジング51の上端部は、バッテリを充電するための充電設備と接続されるコネクタ16よりも下方に配置される。上下方向において、温風吹出口53が設けられている第1傾斜板515は、フロアプレート13の上面とコネクタ16との間に配置される。
【0042】
図6は、本実施形態に係るメインユニット50の一例を示す断面図である。図7は、本実施形態に係るメインユニット50の一例を示す断面図である。図6は、ハウジング51の内部空間を右側から見た断面図であり、図7は、ハウジング51の内部空間を後側から見た断面図である。
【0043】
図6及び図7に示すように、ヒータ装置1は、ハウジング51の内部空間に配置される電気ヒータ70と、ハウジング51の内部空間に配置され、電気ヒータ70に空気を送るファン80と、ハウジング51の内部空間において、電気ヒータ70及びファン80を支持する支持部材61とを備える。空気の流れ方向において、空気取入口52、ファン80、電気ヒータ70、及び温風吹出口53の順に配置される。
【0044】
電気ヒータ70は、電熱線ヒータである。電気ヒータ70は、バッテリから供給される電力により発熱する。本実施形態において、電気ヒータ70は、電熱線ヒータの一種であるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。電気ヒータ70は、前後方向に長い外形を有する。電気ヒータ70は、車幅方向に複数配置される。本実施形態において、電気ヒータ70は、車幅方向に3つ配置される。隣り合う電気ヒータ70は、間隔をあけて配置される。複数の電気ヒータ70は、支持部材61に支持される。
【0045】
ファン80は、電気ヒータ70の下方に配置される。ファン80は、例えば軸流ファンであり、モータのようなアクチュエータの作動により回転する。ファン80は、ファンケーシング81の内側に配置される。ファンケーシング81は、例えば筒状の部材である。ファン80は、ファンケーシング81に回転可能に支持される。ファン80は、ファンケーシング81の内側において回転する。ファンケーシング81は、支持部材61と接続される。ファン80が回転することにより、ハウジング51の外部空間の空気が空気取入口52を介してハウジング51の内部空間に流入し、電気ヒータ70に送られる。
【0046】
支持部材61は、電気ヒータ70及びファン80を支持する。支持部材61は、電気ヒータ70とファン80との間に配置される、図7に示すように、支持部材61は、ハウジング51の内面に接続される。ハウジング51は、ステップ14の少なくとも一部と接続される。また、ハウジング51は、電気ヒータ70及びファン50を駆動するための電子回路65及び制御機器66を支持する。
【0047】
図8は、本実施形態に係る支持部材61に支持された電気ヒータ70及びファン80の外観を模式的に示す斜視図である。図6図7、及び図8に示すように、支持部材61は、電気ヒータ70とファン80との間に配置される。電気ヒータ70とファン80とは、間隙を介して対向する。
【0048】
支持部材61は、底板61Bと、底板61Bの周囲に配置される側板61Sとを含む。側板61Sは、前部に設けられる前側板61Sfと、後部に設けられる後側板61Srとを含む。側板61Sの上端部にフランジ61Fが設けられる。
【0049】
底板61Bの外形は、実質的に矩形状である。底板61Bの下面にファンケーシング81が接続される。底板61Bの中央部に開口が設けられる。ファンケーシング81は、底板61の下面の周縁部と接続される。
【0050】
側板61Sは、ファン80と電気ヒータ70との間の空間61Hを囲むように設けられる。側板61Sは、空間61Hの断面積が上方に向かって徐々に大きくなるように形成されている。
【0051】
側板61Sの上端部の開口は、実質的に矩形状である。側板61Sの上端部の開口を規定する2つの辺は、前後方向に延在する。側板61Sの上端部の開口を規定する2つの辺は、車幅方向に延在する。
【0052】
電気ヒータ70は、側板61Sの上端部に設けられているフランジ61Fに支持される。電気ヒータ70の前端部及び後端部がフランジ部61Fと接続される。前後方向における電気ヒータ70の中央部は、空間61Hに面する。側板61Sは、フランジ61Fで複数の電気ヒータ70を支持する。
【0053】
図6に示すように、電気ヒータ70は、前後方向に傾斜して配置される。本実施形態において、電気ヒータ70の後端部は、電気ヒータ70の前端部よりも下方に配置される。
【0054】
また、本実施形態において、後端部を含む電気ヒータ70の少なくとも一部は、フロアプレート13の上面よりも下方に配置される。本実施形態において、後端部を含む電気ヒータ70の一部が、フロアプレート13の上面よりも下方に配置される。一方、前端部を含む電気ヒータ70の一部は、フロアプレート13の上面よりも上方に配置される。なお、電気ヒータ70の全部が、フロアプレート13の上面よりも下方に配置されてもよい。
【0055】
図8に示すように、支持部材61の一部に排出孔63が設けられる。支持部材61の内部の空間61Hと支持部材61の外部の空間とは、排出孔63を通じて接続される。底板61Bは、後方に向かって下方に傾斜する。排出孔63は、底板61Bの後端部の一部と後側板61Srとの境界に設けられる。上述のように、底板61Bの外形は、実質的に矩形状である。本実施形態において、排出孔63は、底板61Bの後端部の角部に設けられる。排出孔63は、底板61Bの後端部の2つの角部のそれぞれに設けられる。
【0056】
図9は、本実施形態に係る電気ヒータ70の一例を示す斜視図である。図7は、1つの電気ヒータ70を示す。図9に示すように、電気ヒータ70は、電気ケーブル75を介してバッテリと接続され、バッテリから供給される電流により発熱する2つの発熱体71と、発熱体71を支持する支持部材72と、発熱体71と支持部材72との間に配置されるヒートシンク73とを有する。
【0057】
図10は、本実施形態に係るデフロスタ3の一例を示す斜視図である。図11は、本実施形態に係るデフロスタ3の一例を前方から見た断面図である。
【0058】
デフロスタ3は、ケーシング3Eと、ケーシング3Eの内部空間に配置されたガイド部材3C及びガイド部材3Dとを有する。
【0059】
ガイド部材3Cは、ケーシング3Eの上面に設けられた給気口3Aに空気をガイドする。ガイド部材3Dは、ケーシング3Eの左端部に設けられた給気口3Bに空気をガイドする。
【0060】
なお、本実施形態に係るデフロスタ3の構造は一例であり、これに限定されない。
【0061】
[ヒータ装置の動作]
次に、本実施形態に係るヒータ装置1の動作の一例について説明する。運転者は、ヒータ装置1の起動を希望する場合、ダッシュボード15に設けられているヒータ起動スイッチを操作して、ヒータ装置1を起動する。ヒータ起動スイッチが操作されることにより、電気ヒータ70に電流が供給され、ファン80の回転が開始される。本実施形態において、電気ヒータ70及びファン80は、動力源としてのバッテリから供給される電力により作動する。なお、電気ヒータ70及び80は、動力源とは別のバッテリから供給される電力により作動してもよい。
【0062】
ファン80の回転により、ハウジング51の外部空間の空気が空気取入口52を介してハウジング51の内部空間に流入する。空気取入口82は、前板512の下部に設けられる。上下方向において、ファン80は、空気取入口82よりも上方に配置される。ファン80の回転により、ハウジング51の外部空間の空気が、前板512の下部に設けられている空気取入口82から、ハウジング51の内部空間に流入する。
【0063】
上下方向において、電気ヒータ70は、ファン80よりも上方に配置される。ファン80の回転により、ハウジング51の内部空間の空気の少なくとも一部は、ファン80から電気ヒータ70に供給される。
【0064】
上述のように、支持部材61の底板61Bの中央部に開口が設けられている。ファン80の回転により、空気は、底板61Bの中央部の開口を介して、支持部材61の空間61Hに流入する。
【0065】
側板61Sは、ファン80と電気ヒータ70との間の空間61Hを囲むように設けられる。空間61Hの断面積は、底板61Bの中央部の開口から側板61Sの上端部の開口に向かって徐々に大きくなる。ファン80において発生した送風は、側板61Sにガイドされて、側板61Sの上端部の開口に配置されている電気ヒータ70に効率良く供給される。
【0066】
電気ヒータ70は、空間61Hに面する。ファン80から空間61Hに供給された空気は、電気ヒータ70と接触する。空気は、電気ヒータ70の発熱体71の表面、発熱体71の熱により加熱されているヒートシンク73の表面、及び発熱体71の熱により加熱されている支持部材72の表面と接触する。空気と電気ヒータ70とが接触することにより、空気の温度が上昇し、温風が生成される。
【0067】
図9に示すように、電気ヒータ70の空間70Hの流入口は、下方を向く。ファン80からの送風は、空間70Hの流入口を介して、空間70Hに流入する。空間70Hに流入した空気は、ヒートシンク73の隣り合う平坦部の間の間隙を流通可能である。空間70Hを流れる空気は、電気ヒータ70の発熱体71の表面、発熱体71により加熱されているヒートシンク73の表面、及び発熱体71により加熱されている支持部材72の表面と接触する。これにより、空間70Hの空気は、温度上昇する。温度上昇した空気は、上方を向く電気ヒータ70の空間70Hの流出口から流出する。これにより、電気ヒータ70から温風が送出される。
【0068】
電気ヒータ70と接触することにより電気ヒータ70で生成された温風の一部は、温風吹出口53からフロアプレート13の上方空間に供給される。また、発熱体71と接触することにより電気ヒータ70で生成された温風の一部は、供給口54及びチューブ部材2を介してデフロスタ3に供給される。
【0069】
温風吹出口53は、第1傾斜板515に設けられる。上下方向において、電気ヒータ70は、温風吹出口53よりも下方に配置される。電気ヒータ70で生成された温風の少なくとも一部は、上方に向かって流れた後、温風吹出口53から吹き出される。
【0070】
供給口84は、第2傾斜板516に設けられる。上下方向において、電気ヒータ70は、供給口84よりも下方に配置される。電気ヒータ70で生成された温風の少なくとも一部は、上方に向かって流れた後、供給口84を介してチューブ部材2の流路に流入する。
【0071】
ハウジング51の内部空間で生成された温風は、供給口54及びチューブ部材2を介して、ケーシング3Eの内部空間に供給される。ガイド部材3Cは、ケーシング3Eの上面に設けられた給気口3Aに温風をガイドする。ガイド部材3Dは、ケーシング3Eの左端部に設けられた給気口3Bに温風をガイドする。これにより、フロントガラス19の広範囲に温風が行き渡る。
【0072】
[作用及び効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒータ装置1は、収容部材12のバッテリ室に収容されているバッテリから供給される電力により発熱する電気ヒータ70を有する。そのため、内燃機関が無くても、ヒータ装置1は、温風を発生可能である。したがって、バッテリフォークリフトにおいても、寒さに起因する運転者の不快感が緩和され、寒さに起因するフロントガラス19における着霜、着氷、及び結露が抑制される。
【0073】
また、本実施形態によれば、ヒータ装置1のハウジング51、電気ヒータ70、及びファン80を含むメインユニット50が、フロアプレート13よりも車幅方向右側のステップ14に配置される。これにより、運転者は、フロアプレート13よりも車幅方向左側のステップ14を経由して、乗車及び降車を円滑に実施することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、電気ヒータ70の後端部は、電気ヒータ70の前端部よりも下方に配置される。これにより、フロアプレート13に存在する運転者の足が過度に暖められてしまうことが抑制される。電気ヒータ70を含むヒータ装置1のメインユニット50は、フロアプレート13の右側のステップ14に配置される。電気ヒータ70の後端部が高い位置に配置されている場合、電気ヒータ70の輻射熱がフロアプレート13に存在する運転者の足に直接的に作用してしまう可能性が高い。その場合、運転者の足が過度に暖められ、運転者に不快感がもたらされる可能性がある。電気ヒータ70の後端部が電気ヒータ70の前端部よりも下方に配置されることにより、電気ヒータ70の輻射熱がフロアプレート13に存在する運転者の足に直接的に作用してしまうことが抑制される。フロアプレート13に存在する運転者の足は、温風吹出口53から吹き出される適度な温度の温風によって暖められる。したがって、運転者は、快適な環境で作業を実施することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、ハウジング51の内部空間の空気取入口52と温風吹出口53との空気の流路において、ファン80は、空気取入口52と電気ヒータ70との間に配置され、電気ヒータ70は、ファン80と温風吹出口53との間に配置される。すなわち、空気の流れ方向において、空気取入口52、ファン80、電気ヒータ70、及び温風吹出口53の順に配置される。これにより、空気取入口52からハウジング51の内部空間に流入した空気は、ファン80及び電気ヒータ70を円滑に通過して、温風吹出口53から吹き出される。また、本実施形態においては、電気ヒータ70で生成された温風の一部は、温風吹出口53からフロアプレート13の上方空間に供給され、電気ヒータ70で生成された温風の一部は、供給口54及びチューブ部材2を介してデフロスタ3に供給される。これにより、1つのメインユニット50を使って、フロアプレート13の上方空間及びデフロスタ3のそれぞれに温風を供給することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、後端部を含む電気ヒータ70の少なくとも一部は、フロアプレート13の上面よりも下方に配置される。これにより、電気ヒータ70の輻射熱がフロアプレート13に存在する運転者の足に直接的に作用してしまうことが抑制される。また、電気ヒータ70がフロアプレート13の上面よりも上方に配置される場合、フロアプレート13の上面よりも上方のハウジング51が過度に加熱する可能性がある。その場合、フロアプレート13に存在する運転者の足と、フロアプレート13の上面よりも上方のハウジング51とが接触したとき、運転者に過大な不快感がもたらされる可能性がある。後端部を含む電気ヒータ70の少なくとも一部がフロアプレート13の上面よりも下方に配置されることにより、運転者に不快感がもたらされることが抑制される。
【0077】
また、本実施形態によれば、温風吹出口53は、フロアプレート13の上面よりも上方に配置される。これにより、温風吹出口53から吹き出される適度な温度の温風は、フロアプレート13に存在する運転者の足に円滑に供給される。また、温風吹出口53がフロアプレート13の上面よりも上方に配置されることにより、温風吹出口53から吹き出される温風は、運転者の下半身のみならず、運転者の上半身にも円滑に供給される。
【0078】
また、本実施形態によれば、ハウジング51の上端部は、バッテリを充電するための充電設備と接続されるコネクタ16よりも下方に配置される。ハウジング51が車体10の右部に配置され、コネクタ16も車体10の右部に配置される場合、ハウジング51の上端部がコネクタ16よりも下方に配置されることにより、充電設備とコネクタ16との接続作業を円滑に実施することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、支持部材61は、電気ヒータ70とファン80との間に配置される。これにより、電気ヒータ70とファン80との間に空間61Hが形成される。電気ヒータ70とファン80とが離れることにより、ファン80からの送風は、電気ヒータ70に満遍なく行き渡る。
【0080】
また、本実施形態によれば、支持部材61は、ファンケース81を介してファン80を支持する底板61Bと、底板61Bの周囲に配置され電気ヒータ70を支持する側板61Sとを含む。これにより、ファン80からの送風は、側板61Sにガイドされて、側板61Sの上端部のフランジ60Fに支持されている電気ヒータ70に効率良く供給される。
【0081】
また、本実施形態によれば、支持部材61の一部に排出孔63が設けられる。支持部材61の空間61Hに雨水が侵入する可能性が高い。また、フォークリフト100が寒冷地で使用される場合、空間61Hに雪が侵入する可能性が高い。また、寒冷地においては、足に雪が付着した状態で運転者が乗車する可能性が高く、フロアプレート13に落下した雪が溶けて、空間61Hに侵入する可能性が高い。空間61Hに異物が侵入した状態を放置しておくと、ヒータ装置1の劣化又は故障がもたらされる可能性がある。支持部材61の一部に排出孔63が設けられることにより、空間61Hに異物が侵入しても、その異物を排出孔63から排出することができる。したがって、ヒータ装置1の劣化又は故障が抑制される。
【0082】
また、本実施形態によれば、底板61Bは、水平面に対して傾斜し、排出孔63は、底板61Bの下端部と側板61Sとの境界に設けられる。これにより、空間61Hの異物は、重力の作用により、排出孔63から円滑に排出される。
【0083】
また、本実施形態によれば、ハウジング51は、ステップ14に支持され車幅方向外側に開口を有する本体部材51Aと、本体部材51Aに着脱可能であり本体部材51Aの開口を塞ぐ蓋部材51Bとを含む。これにより、メインユニット50のメンテナンス作業又はメインユニット50の部品の交換作業を実施する場合、運転者又は作業者は、蓋部材51Bを外して、車幅方向右側の本体部材51Aの開口を介して、ハウジング51の内部空間に配置されている機器及び部材についての作業を実施することができる。また、本体部材51Aの開口が蓋部材51Bで塞がれることにより、ハウジング51の内部空間に配置されている機器及び部材は、十分に保護される。
【0084】
また、本実施形態によれば、チューブ部材2を介してハウジング51と接続され、フォークリフト1のフロントガラス19にハウジング51からの温風を供給するデフロスタ3が設けられる。ハウジング51は、車幅方向外側に向かって上方に傾斜する第1傾斜板51の第1傾斜面と、第1傾斜面よりも車幅方向外側に配置され、車幅方向外側に向かって下方に傾斜する第2傾斜板516の第2傾斜面とを有する。温風吹出口53は、第1傾斜面に設けられ、チューブ部材2と接続されるハウジング51の供給口54は、第2傾斜面に設けられる。これにより、電気ヒータ70で生成された温風は、第1傾斜板515及び第2傾斜板516のそれぞれにガイドされ、温風吹出口53及び供給口54のそれぞれに円滑に分岐される。
【0085】
なお、上述の実施形態においては、作業車両100がフォークリフト100であることとした。上述の実施形態で説明した構成要素は、バッテリを駆動源とする作業車両に適用可能である。例えば、作業車両100がバッテリを駆動源とするホイールローダでもよいし、油圧ショベルでもよいし、ダンプトラックでもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…ヒータ装置、2…チューブ部材、2A…第1チューブ部材、2B…第2チューブ部材、3…デフロスタ、3A…給気口、3B…給気口、3C…ガイド部材、3D…ガイド部材、3E…ケーシング、10…車体、11…フレーム、12…収容部材、13…フロアプレート、14…ステップ、15…ダッシュボード、16…コネクタ、17…ピラー、17F…フロントピラー、17R…リアピラー、18…ヘッドガード、19…フロントガラス、20…走行装置、21…前輪、21T…タイヤ、22…後輪、22T…タイヤ、30…荷役装置、31…マスト、32…フォーク、33…チルトシリンダ、34…リフトシリンダ、40…運転席、41…ステアリングホイール、42…アクセルペダル、43…ブレーキペダル、44…操作レバー、50…メインユニット、51…ハウジング、51A…本体部材、51B…蓋部材、52…空気取入口、53…温風吹出口、54…供給口、60…ルーバー、61…支持部材、61B…底板、61F…フランジ、61H…空間、61S…側板、61Sf…前側板、61Sr…後側板、62…連結部材、63…排出孔、65…電子回路、66…制御機器、70…電気ヒータ、70H…空間、71…発熱体、72…支持部材、73…ヒートシンク、75…電気ケーブル、80…ファン、81…ファンケーシング、100…フォークリフト(作業車両)、511…前板、512…後板、513…上板、514…内板、515…第1傾斜板、516…第2傾斜板。
【要約】
ヒータ装置は、作業車両の車体のフロアプレートよりも車幅方向外側のステップに配置され、空気取入口及び温風吹出口を有するハウジングと、ハウジングの内部空間に配置される電気ヒータと、電気ヒータに空気を送るファンと、電気ヒータ及びファンを支持する支持部材と、を備える。電気ヒータの後端部は、電気ヒータの前端部よりも下方に配置される。
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