特許第6207826号(P6207826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207826LED分類方法、LED分類装置、LED分類プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207826
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】LED分類方法、LED分類装置、LED分類プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20170925BHJP
【FI】
   H01L33/50
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-228160(P2012-228160)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2013-179254(P2013-179254A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】特願2012-19151(P2012-19151)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】太田 将之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 正高
(72)【発明者】
【氏名】玉置 和雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇
(72)【発明者】
【氏名】栗田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】長田 清史
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 正毅
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/004610(WO,A1)
【文献】 特表2011−504605(JP,A)
【文献】 特許第4846055(JP,B2)
【文献】 特開2009−158903(JP,A)
【文献】 特開平11−103094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21V 1/00−15/06
G02F 1/133,1/1335−1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次光を発するLED素子と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLEDの前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置のバックライトに用いられる対象として分類するLED分類方法であって、
前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測工程と、
予測された補正色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類工程とを含み、
前記色度予測工程は、
前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正する色度補正工程を含み、
当該色度補正工程は、
予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度に対する前記色度の変化量の、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出工程と、
前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出工程とを含み、
前記係数算出工程において、
前記バックライトが、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、
前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように前記係数を算出することを特徴とするLED分類方法。
【請求項2】
前記係数算出工程において、
前記中央部分での前記透過光の色度差が3/1000以下であるように前記係数を算出することを特徴とする請求項1に記載のLED分類方法。
【請求項3】
前記1次光が青色光であることを特徴とする請求項1または2に記載のLED分類方法。
【請求項4】
1次光を発するLED素子と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLEDの前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置のバックライトに用いられる対象として分類するLED分類装置であって、
前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測手段と、
予測された補正色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類手段とを備え、
前記色度予測手段は、
前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正する色度補正手段を有し、
前記色度補正手段は、
予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度に対する前記色度の変化量の、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出手段と、
前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出手段とを有し、
前記係数算出手段は、
前記バックライトが、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、
前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように前記係数を算出することを特徴とするLED分類装置。
【請求項5】
前記係数算出手段は、
前記中央部分での前記透過光の色度差が3/1000以下であるように前記係数を算出することを特徴とする請求項4に記載のLED分類装置。
【請求項6】
前記1次光が青色光であることを特徴とする請求項4または5に記載のLED分類装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項4から6までのいずれか1項に記載のLED分類装置における各手段として機能させることを特徴とするLED分類プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のLED分類プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED(発光ダイオード)を液晶表示装置のバックライトに用いることができるか否かについてその色度分布に基づいて分類するLED分類方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置のバックライトとして、長寿命であり、かつ消費電力の少ないLEDを光源として用いたバックライトが普及してきている。このようなバックライトには、通常、白色LEDが用いられる。白色LEDは、一般に、青色LEDと蛍光体とを組み合わせて構成されている。このような白色LEDにおいては、青色LEDチップから発される青色光と、蛍光体がこの青色光で励起されることによって発する光との混色によって白色光が得られる。例えば、蛍光体として緑色蛍光体および赤色蛍光体を用いた白色LEDでは、緑色蛍光体および赤色蛍光体を青色光で励起することにより得られた緑色光および赤色光と、青色光とを混色することで白色光を得ている。
【0003】
このような白色LEDをバックライトに用いるには、液晶表示装置における液晶パネルの表示特性に応じて、所望の白色に発色するように蛍光体を適用する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、青色LEDおよび蛍光体によって得られる白色の発光色をより均一な色調に変え得る蛍光体を容易かつ迅速に製造工程に提供し得る方法が開示されている。この方法では、白色LEDの光源色情報と要求発光色情報との関係を蛍光体材料に関連する係数を介して関係付けた内容に対して、顧客から提示された特定の白色LEDの光源色情報および要求発光色情報を適用させて求めた係数に関連する蛍光体材料を特定する。これにより、顧客が要求する要求発光色情報を実質満足する蛍光原料の種類、組成比、基材に対する混合比(重量部)等を、蛍光体特定情報として、現実に発光素子の入手を待つまでもなく、素早く得ることが可能となる。
【0005】
一方、特許文献2には、白色LEDが高い色再現性を備えるために、蛍光体の混合濃度を試行錯誤によらずにソフトウェアによる計算で求めて、白色LEDを迅速に製造することができる方法が開示されている。この方法では、まず、濃度を調整した2種類の蛍光体の光とLEDの光とを混合して得た混光スペクトルと標準スペクトルとを接近させる処理が行われる。次いで、混光スペクトルをカラーフィルタにより分けた3原色の色度座標に囲まれる面積を求め、3原色が構成する白色光の色度座標位置を求める処理が行われる。このような処理は計算により実行される。
【0006】
また、特許文献3には、バックライトが、白色LEDに含まれる青色LEDの青色波長に応じて白色LEDにおける蛍光体層の青色リークを調整することが記載されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、バックライトによって光が照射されるディスプレイパネルにおける表示の均一性を向上させる方法が開示されている。この方法は、例えば、バックライト発光が透過する透過性ディスプレイコンポーネントのフィルタ関数を推定することと、複数の発光器について、フィルタ関数に対応するフィルタリングされた色度データを推定することを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−107036号公報(2001年4月17日公開)
【特許文献2】特開2010−93237号公報(2010年4月22日公開)
【特許文献3】特表2012−503215号公報(2012年2月2日公表)
【特許文献4】特表2011−504605号公報(2011年2月10日公表)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような特許文献1,2に開示された方法は、白色LEDの製造時における蛍光体の濃度等を決定する手法である。また、特許文献3に開示された方法は、白色LEDの製造時における青色光を調整する手法である。
【0010】
しかしながら、青色LEDと蛍光体とを組み合わせた白色LEDをバックライトに複数用いる場合、蛍光体の濃度等を上記のように最適に決定しても、蛍光体が所望の濃度や量になるように蛍光体層を形成することは非常に困難である。このため、製造時に蛍光体の濃度や量が白色LED間で均一にならない。また、青色LEDも発光層の特性も製品間でばらつきがあることから、白色LED間で青色光のピーク波長にばらつきがある。このため、蛍光体の励起光と青色LEDの青色光との光強度のバランスにばらつきが生じるので、白色LED間で色度もばらついてしまう。
【0011】
このような色度のばらついた白色LEDをバックライトにそのまま用いると、表示面内で表示色が不均一になるという不都合がある。従来、このような不都合を解消するために、色度分布が所定範囲に収まるように色度ランク分類した白色LEDのみを選別してバックライトに用いていた。
【0012】
図10は、このような色度ランク分類の一例を示す図である。図10に示すように、上記の所定範囲となる矩形の枠F内に色度が分布する白色LEDのみを選別して用いる。この枠Fは、さらに細かい範囲に区分されており、区分ごとに色度のランク分けができるように構成されている。この枠F内において、青色光成分のピーク波長が短いグループの白色LEDの色度は、実線にて示す範囲D11に分布する。範囲D11において、ピーク波長は444.7nmであり、色度の平均値AVE11は実線の丸で示す位置にある。一方、枠F内において、青色光成分のピーク波長が長いグループの白色LEDの色度は、破線にて示す範囲D12に分布する。範囲D12において、ピーク波長は446.2nmであり、色度の平均値AVE12は破線の丸で示す位置にある。
【0013】
ところが、このように白色LED自体の放出光そのものの色度が所定範囲に収まった白色LEDを選別しても、液晶パネルを透過した、パネル表示上での白色LEDの色度は、特にカラーフィルタの影響によって、青色光のピーク波長に応じた色度ばらつき範囲のグループに分かれることで、ばらつき範囲が拡大される。このため、液晶パネルのパネル表示上で所望の色度ランク範囲から外れてしまう白色LEDが現れる。この理由について、以下に詳しく説明する。
【0014】
まず、液晶パネルの表示面上での青色光の輝度の最大値は、当該青色光が透過する液晶パネルのカラーフィルタ(青色フィルタ)の透過率(および光学シート、拡散板等のLED光源から液晶パネルまでの光学部材を透過する際に発生する輝度低下分を含む)と、白色LEDの青色LEDから発される当該青色光の光強度とによって決まる(光強度×透過率)。これに対し、上記のように所定の色度ランク範囲に分類された色度を有する白色LEDでも、青色光成分のピーク波長のずれが±5nm程度ある。また、カラーフィルタ(青色フィルタ)の透過率は、波長が短いほど低下する傾向にある。このため、青色光成分のピーク波長が上記のようにずれることにより、液晶パネルの表示面上での青色光の輝度の最大値が異なってくる。
【0015】
図11は、白色LEDにおける青色LEDの発光スペクトルとカラーフィルタ(青色フィルタ)の透過特性との関係を示すグラフである。図11において、縦軸は、カラーフィルタの透過率と青色LEDの発光光の強度とを示している。
【0016】
図11に示すように、青色光成分のピーク波長の中心を450nmとすると、ピーク波長は445nm〜455nmの範囲でずれる。図11において、455nmのピーク波長を有する青色光のスペクトルを破線にて示し、445nmのピーク波長を有する青色光のスペクトルを一点鎖線にて示す。また、青色光のスペクトルは、青色フィルタの透過率を越える部分(図中斜線にて示す)がカットされる。
【0017】
このため、455nmのピーク波長を有する青色光と445nmのピーク波長を有する青色光とでは、青色フィルタによってカットされる光量が異なる。具体的には、青色光のピーク波長が短いほど青色フィルタの透過率が低くなるので、青色フィルタによってカットされる光量が多くなる。したがって、短いピーク波長を有する青色光を含む白色光の色度は、当該白色光がカラーフィルタを透過すると、当該青色光の光量が少ない分だけ黄色側にシフトする。しかも、視感度の影響により、さらに青色光成分が低下する(蛍光体による光成分の比率が青色光の光成分に対して増加する)。
【0018】
図12は、同一色度を示す複数の白色LEDのスペクトルを示すグラフである。図13は、白色LEDの発光光の色度のランク範囲と液晶パネルを透過した当該発光光の色度のランク範囲とを示す図である。
【0019】
図12に示す各白色LEDのスペクトルは、青色光のピーク波長がずれているが、各白色LEDの色度は図13に示す枠F内にあって同一である。各白色LEDの発光光がカラーフィルタ(青色フィルタ)を透過すると、青色光の光量が透過特性に応じてカットされるため、色度分布が色度の高い方向にシフトする。この場合、青色光成分のピーク波長が中心値(図11に示す場合は450nm)である白色LEDについては、枠Fからx値およびy値が増大する方向にシフトした枠Ftypに色度が分布する。これに対し、青色光成分のピーク波長が中心値より短い白色LEDについては、枠Ftypよりもx値およびy値が増大する方向にシフトした枠Fminに色度が分布する。一方、青色光成分のピーク波長が中心値より長い白色LEDについては、枠Ftypよりもx値およびy値が減少する方向にシフトした枠Fmaxに色度が分布する。
【0020】
上記のように青色光成分のピーク波長が短い場合、色度が黄色側にシフトするという不都合を回避するには、液晶パネルにおいて、ホワイトバランス調整を行って、赤色光および緑色光の最大輝度を、それぞれ所望の輝度より低下してしまった青色光の最大輝度とバランス調整する必要がある。しかしながら、このようなホワイトバランス調整によって、液晶パネルの表示輝度が全体的に低下するという問題が新たに生じる。
【0021】
これに対し、特許文献4に開示された方法では、複数の発光器について、推定したフィルタ関数に対応するフィルタリングされた色度データを推定するが、カラーフィルタにおける青色光のカットについては考慮されていない。
【0022】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液晶パネル上の表示輝度の低下につながるような大きなホワイトバランス調整を行う必要が生じない、パネル表示上での色度ばらつきが所望の範囲内になるように選別した白色LEDを提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るLED分類方法は、1次光を発するLED素子と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLEDの前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置のバックライトに用いられる対象として分類するLED分類方法であって、前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測工程と、予測された補正色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類工程とを含み、前記色度予測工程は、前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正する色度補正工程を含み、当該色度補正工程は、予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度に対する前記色度の変化量の、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出工程と、前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出工程とを含み、前記係数算出工程において、前記バックライトが、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように前記係数算出することを特徴としている。
【0024】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るLED分類装置は、1次光を発するLED素子と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLEDの前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置のバックライトに用いられる対象として分類するLED分類装置であって、前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測手段と、予測された補正色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類手段とを備え、前記色度予測手段は、前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正する色度補正手段を有し、前記色度補正手段は、予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度に対する前記色度の、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出手段と、前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出手段とを有し、前記係数算出手段は、前記バックライトが、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように前記係数算出することを特徴としている。
【0025】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、複数のLEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを備え、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように、前記線状光源に実装される前記LEDが選別されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、バックライトに実装されても輝度を低下させる必要のないLEDを容易に選別することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るLED分類方法で分類されるLEDをバックライトに用いる液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るLED分類方法で分類されるLEDをバックライトに用いる他の液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
図3】各液晶表示装置におけるカラーフィルタの透過スペクトルを示すグラフである。
図4】上記LEDの構成を示す縦断面図である。
図5】上記LEDの発光スペクトルを示すグラフである。
図6】上記LED分類方法を実現するためのLED分類装置の構成を示すブロック図である。
図7】分類対象となる上記LEDからの青色光のピーク波長の基準波長からのピーク波長のシフト量に対する青色光のカラーフィルタ透過後の色度の変化量を示すグラフである。
図8】上記LED分類装置によってカラーフィルタ透過後の値に換算された補正色度による色度ランク分類を示す図である。
図9】上記LED分類装置によるLEDの分類の手順を示すフローチャートである。
図10】白色LEDの従来の色度ランク分類を示す図である。
図11】白色LEDにおける青色LEDの発光スペクトルとカラーフィルタの透過特性との関係を示すグラフである。
図12図10の色度ランク分類による同一色度の複数の白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。
図13】白色LEDの発光光の色度のランク範囲と液晶パネルを透過した当該発光光の色度のランク範囲とを示す図である。
図14】本発明の他の実施形態に係るLED分類方法で分類されるLEDをバックライトに用いる液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
図15図14の液晶表示装置におけるバックライトに用いられる2つのLEDバー(光源)から出射されるそれぞれの光の液晶パネルにおける異なる領域での光の青色成分の分布を示す図である。
図16】(a)は図15に示す青色成分の分布に応じた一方の上記LEDバーからの光の発光スペクトルを示すグラフであり、(b)は図15に示す青色成分の分布に応じた他方の上記LEDバーからの光の発光スペクトルを示すグラフである。
図17】上記2つのLEDバーからの距離とこれらのLEDバーからの光の青色成分のピークの高さとの関係を示すグラフである。
図18】(a)および(b)は図14の液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおける中央部分で上記バックライトにおける上記2つのLEDバーからの2系統の光の色度差がなくなるように色度補正されたLEDを用いた上記2つのLEDバーからの距離と上記2つの光の色度xおよび色度yとの関係をそれぞれ示すグラフである。
図19】(a)および(b)は上記液晶パネルにおける上記2つのLEDバーに近い領域で上記2つのLEDバーからの2系統の光の色度差がなくなるように色度補正されたLEDを用いた上記2つのLEDバーからの距離と上記2つの光の色度xおよび色度yとの関係をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
《実施形態1》
本発明に係る一実施形態について、図1図9を参照して以下に説明する。
【0029】
[液晶表示装置]
〔液晶表示装置の構成〕
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る他の液晶表示装置2の概略構成を示す斜視図である。図3は、液晶表示装置1,2におけるカラーフィルタ7の透過スペクトルを示すグラフである。
【0030】
図1に示すように、液晶表示装置1は、バックライト3と、液晶パネル4とを備えている。
【0031】
バックライト3は、液晶パネル4の背面側に配置されており、液晶パネル4の全面に光を照射するエッジライト方式バックライトであり、複数の発光装置5および導光板6を有している。発光装置5は、導光板6の側方に所定の間隔をおいて実装されており、導光板6側に光を発する白色LEDである。白色LEDは、前述のように、青色LEDと、青色LEDの青色光で励起する赤色蛍光体および緑色蛍光体とを含んでいる。導光板6は、発光装置5から発せられた光を液晶パネル4側に出射するように偏向する。
【0032】
液晶パネル4は、対向する2枚の透明基板間に液晶が満たされており、マトリクス状に構成される画素単位で液晶の配向状態を変化させることによって、バックライト3からの光の透過率を変更する。また、液晶パネル4は、表示面側に配置されるカラーフィルタ7を有している。カラーフィルタ7は、各画素を構成する3つの副画素毎に、図3に示す透過スペクトルを有する赤(R),緑(G),青(B)の各色用のフィルタが形成されている。光が各フィルタを透過することによって、各フィルタの色の光を出射することができる。液晶パネル4においては、表示画像毎に決められる各画素の色に応じた赤(R),緑(G),青(B)の光色成分比に基づき、副画素に対応する液晶層の透過率が個別に調整されることによって、各画素が表示すべき色で表示される。
【0033】
図2に示すように、液晶表示装置2は、バックライト8と、液晶パネル4とを備えている。
【0034】
バックライト8は、液晶パネル4の背面側に配置されており、液晶パネル4の全面に光を照射する直下方式バックライトであり、複数の発光装置5および実装基板9を有している。発光装置5は、実装基板9の全面に所定の間隔をおいて実装されており、液晶パネル4に直接光を発する。このバックライト8は、小さい領域(例えば画素)毎に明るさを変調することができるため、省エネルギーに優れ、また明暗のコントラスト比を増大させることができる。
【0035】
〔LEDの構成〕
図4は、前述のバックライト3,8に用いられる発光装置5としてのLED10の構成を示す縦断面図である。図5は、LED10の発光スペクトルを示すグラフである。
【0036】
図4に示すLED10は、発光装置5として用いられる白色LEDであり、枠体11、LEDチップ12、リードフレーム13、ワイヤ14、樹脂15および蛍光体16,17を備えている。
【0037】
枠体11は、リードフレーム13上に配置されている。また、枠体11は、ナイロン系材料にて形成されており、凹部11aを有している。凹部11aの傾斜面は、LEDチップ12の出射光を反射する反射面として形成されている。この反射面は、LEDチップ12の出射光を効率良く取り出すため、銀またはアルミニウムを含む金属膜で形成されることが好ましい。
【0038】
リードフレーム13は、枠体11にインサート成形されている。リードフレーム13の上端部は、分割して形成されており、その一部が枠体11の凹部11aの底面において露出している。また、リードフレーム13の下端部は、所定の長さに切断されるとともに枠体11の外壁に沿って折曲され、外部端子をなしている。
【0039】
LEDチップ12(LED素子)は、例えば、導電性基板を有するGaN系半導体発光素子であって、導電性基板の底面に底面電極が形成され、その逆の面に上部電極が形成されている。LEDチップ12の出射光(1次光)は、430〜480nmの範囲の青色光であり、450nmにピーク波長を有する。また、LEDチップ12は、凹部11aの底面に露出するリードフレーム13における上端部の一方側に導電性のロウ材によってダイボンドされている。さらに、LEDチップ12は、上部電極とリードフレーム13における上端部の他方側とがワイヤ14によってワイヤボンドされている。このように、LEDチップ12は、リードフレーム13と電気的に接続されている。
【0040】
樹脂15は、凹部11a内に充填されることによって凹部11aを封止している。また、樹脂15は波長の短い1次光に対して耐久性の高いことが要求されるため、シリコーン樹脂が好適に用いられる。
【0041】
蛍光体16,17は、樹脂15に分散されている。蛍光体16は、1次光よりも長波長の緑色(ピーク波長が500nm以上550nm以下)の2次光を発する緑色蛍光体であり、例えばEu賦活βサイアロンの蛍光体材料からなる。一方、蛍光体17は、1次光よりも長波長の赤色(ピーク波長が600nm以上780nm以下)の2次光を発する赤色蛍光体であり、例えばCaAlSiN3:Euとを混合させた蛍光体材料からなる。このような蛍光体16,17を用いることにより、演色性の良好な3波長タイプのLED10を得ることができる。
【0042】
上記のように構成されるLED10では、LEDチップ12から出射される1次光が樹脂15を通過するにつれ、その一部が蛍光体16,17を励起し2次光に変換される。1次光と2次光とが混合された出射光(合成光)は、ほぼ白色光となって外部に放射される。
【0043】
図5は、LED10の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【0044】
図5に示すように、3波長タイプのLED10の発光スペクトルは、青色、緑色および赤色にピークを有するように分布しており、青色光のピークが最も大きい。また、LED10は、1次光における430〜480nmの範囲の波長の青色光によって励起して高効率に発光する特定の蛍光体16,17を用いている。これにより、液晶表示装置1,2の透過特性に合わせて調整されたスペクトル特性を有する発光装置5(LED10)を得ることができる。
【0045】
[LED分類装置]
図6は、LED分類装置21の構成を示すブロック図である。
【0046】
図6に示すLED分類装置21は、前述の発光装置5として用いられるLED10が、バックライト3,8に適した発光装置5であるか否かを分類する本実施形態のLED分類方法を実現するために用いられる。このLED分類装置21は、LED10の分類を行うために、メモリ22と、記憶部23と、表示部24と、演算処理部25とを備えている。
【0047】
〔メモリ、記憶部および表示部の構成〕
メモリ22は、LED特性測定装置31からのLED10の特性測定値を一時的に記憶したり、演算処理部25による演算処理で生じる演算データを一時的に記憶したりする揮発性のメモリである。特性測定値は、分類の対象となるLED10の全数について、LED10を特定できるように各LED10に付与されたコードが対応付けられた状態でメモリ22に記憶される。LED特性測定装置31は、LED10の特性を測定する装置であり、多数のLED10を発光させた状態で各LED10の色度やピーク波長等を測定して特性測定値として出力する。
【0048】
記憶部23は、演算処理部25の演算処理によって得られたLED10の分類結果を保存する記憶装置であり、ハードディスク装置等によって構成されている。
【0049】
表示部24は、上記の分類結果を表示するための表示装置である。
【0050】
〔演算処理部の構成〕
演算処理部25は、LED特性測定装置31からの特性測定値に基づいて、LED10を分類するための処理を行う。この演算処理部25は、下記の演算式を用いて、LED10の出射光の色度(x,y)をLED10の出射光が前述のカラーフィルタ7(青色フィルタ)を透過したことを想定した補正色度(x1,y1)に補正する(色度補正手段)。また、演算処理部25は、補正色度(x1,y1)に基づいてLED10の色度ランク分類を行う。あるいは、演算処理部25は、予めシミュレーションによって求められた、液晶パネル4(ディスプレイ)から出力される光についての出力色度(xd,yd)に基づいてLED10の色度ランク分類を行う。
【0051】
なお、カラーフィルタ7(青色フィルタ)を透過したことの想定においては、発光装置5からの出射光が液晶パネル4を透過するまでの色度の変化を考慮して補正する。この色度の変化は、発光装置5からの出射光が、拡散板、光学シート、導光板などの光学部材、カラーフィルタ7(青色フィルタ)、および液晶パネル4を透過した場合における、当該出射光に対する透過光の色度の変化である。これにより、当該補正が、より実際の液晶パネル4での表示に合わせた、より好ましい補正となる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、カラーフィルタ7の透過特性の補正を青色フィルタの透過特性の補正としている。これは、発明が解決しようとする課題にて記載したように、発光装置5からの出射光における青色光成分のピーク波長のずれが発光装置5の量産レベルで大きいことが、発光装置5からの出射光の色度がカラーフィルタ7の透過の前後でずれることに大きく影響を及ぼすことによる。これに対し、赤色フィルタおよび緑色フィルタの透過特性を補正することで、より実際の液晶パネル4での表示に合わせた補正となる。ただし、青色フィルタの透過特性の補正のみとする方法は、後述するように簡便な補正式によって、発光装置5の測定データを補正する簡便な方法といえる。また、この補正方法は、青色光ピークに関するランク分類を不要にすることができるので、発光装置5の特性分類項目(管理特性項目)を減らすことができる。
【0053】
x1=x−α×(λp−λ0)
y1=y−β×(λp−λ0)
上記の演算式において、λpは、LED10の出射光における青色光成分のピーク波長の測定値である。青色光の色度に対する影響は、ピーク波長だけでなく、スペクトル形状も影響する。したがって、この測定値は、発光強度の最大点ではなく、発光スペクトル形状が加味されるドミナント波長(主波長)の測定値とする。ドミナント波長の測定は、例えば、480nm以下の発光スペクトルを抜き出すことによって、青色単色光としてのドミナント波長を測定することで行われる。この測定は、発光装置5内の青色LED光が蛍光体に吸収される影響を加味したものとなっている。
【0054】
λ0は、このピーク波長の測定値の中心値(基準波長)であり、445nm〜450nmの範囲で設定され、448nm程度が好ましい。基準波長λ0は、例えば、ユーザの要望に基づいて定められた特定の波長であり、LED10は、ピーク波長λpがこの基準波長λ0となるように製造されるが、実際にはピーク波長λpが442nm〜452nmの範囲でばらついてしまう。
【0055】
αおよびβは、係数(色度の波長補正係数)であり、0〜0.01の範囲で設定される。
【0056】
色度(x,y)およびピーク波長λpは、LED特性測定装置31からLED10の特性測定値として取得される。
【0057】
演算処理部25は、上記の処理を実現するために、係数算出部26(色度予測手段)、補正色度算出部27(色度予測手段)および色度ランク分類部28を有している。
【0058】
〈係数算出部の構成〉
係数算出部26(係数算出手段)は、メモリ22に記憶されている、LED特性測定装置31からの特性測定値としての色度(x,y)およびピーク波長λpに基づいて演算式の係数αおよび係数βを算出する。具体的には、係数算出部26は次の処理を行う。図7は、その処理を説明するための図であり、分類対象となるLED10からの青色光のピーク波長の基準波長からのピーク波長のシフト量に対する青色光のカラーフィルタ透過後の色度の変化量を示すグラフである。
【0059】
係数算出部26は、図7に示すように、2つの互いに異なるLED10のピーク波長λpとこれらのピーク波長λpに対応する2つの変化量Δx,Δyとでそれぞれ特定される2点を結ぶ直線Lx,Lyの傾きを係数α,βとして得て、メモリ22に記憶させる。このような係数α,βを用いることにより、直線Lx,Lyを用いて、基準波長λ0からの任意のピーク波長λpのシフト量に対する変化量Δx,Δyを直線近似的に得ることができる。
【0060】
〈補正色度算出部の構成〉
補正色度算出部27(補正色度算出手段)は、メモリ22に記憶された係数α,βを演算式に適用し、メモリ22から読み出した全数のLED10についてのピーク波長λpに対して演算式により補正色度(x1,y1)を計算する。補正色度算出部27は、算出した補正色度(x1,y1)をメモリ22に記憶させる。
【0061】
演算式における(λp−λ0)は、ピーク波長λpと基準波長λ0との差(波長シフト量)であり、図7に示すように、この波長シフト量に対する色度の変化量Δx,Δyが直線近似的に得られる。波長シフト量に上記の係数α,βをそれぞれ乗算することにより、色度(x,y)の補正値が得られる。そして、メモリ22から読み出した色度(x,y)から補正値を減算することにより、補正色度(x1,y1)が得られる。
【0062】
〈色度ランク分類部の構成〉
色度ランク分類部28(色度ランク分類手段)は、補正色度(x1,y1)をメモリ22から読み出し、当該補正色度(x1,y1)に基づいて、LED10の色度ランク分類を行う。図8は、このような色度ランク分類の一例を示す図である。色度ランク分類部28は、図8に示すように、所定の範囲となる矩形の枠F内に補正色度(x1,y1)が分布するか否かでLED10を分類し、その結果を記憶部23にLED10のコードと対応付けた状態で保存させる。また、色度ランク分類部28は、メモリ22に保存されたLED10の分類結果を選別すべきLED10として表示部24にコードとともに表示させる。
【0063】
上記の枠Fは、さらに細かい範囲に区分されており、区分ごとに色度のランク分けができるように構成されている。この枠F内において、青色光の波長が短いグループのLED10の補正色度(x1,y1)は、実線にて示す範囲D1に分布する。範囲D1において、ピーク波長は444.7nmであり、色度の平均値AVE1が実線の丸で示す位置にある。一方、枠F内において、青色光の波長が長いグループのLED10の色度は、破線にて示す範囲D2に分布する。範囲D2において、ピーク波長は446.2nmであり、色度の平均値AVE2が破線の丸で示す位置にある。
【0064】
〈色度シミュレータの構成〉
色度ランク分類部28は、色度シミュレータ32によって、液晶パネル4を透過した光の色度を予測(シミュレーション)した予測値(シミュレーション値)に基づいてLED10の色度ランク分類を行ってもよい。これにより、上記の係数α,βおよび補正色度(x1,y1)の計算が不要になる。
【0065】
上記のシミュレーション値は、予め想定されるいくつかのピーク波長λp(ドミナント波長)に基づいて、図6に示す色度シミュレータ32(色度予測手段)によって求められ、当該ピーク波長λpと対応付けられたテーブルの形態で用意されている。これにより、色度ランク分類部28は、実際に測定されたピーク波長λpに基づいてテーブルから読み出したシミュレーション値に基づいてLED10の色度ランク分類を行う。上記の色度シミュレータ32は、LED分類装置21に含まれている。
【0066】
色度シミュレータ32は、LED特性測定装置31によって測定されたスペクトラムデータ(特定測定値)に対して、拡散板、光学シート、導光板などの光学部材、およびカラーフィルタ7(青色フィルタ)の透過特性を考慮したシミュレーションにより、ディスプレイ上での出力色度(xd,yd)を計算する。
【0067】
ここで、前述の補正色度(x1,y1)は、出力色度(xd,yd)と全く異なる値である。以下に、その理由について説明する。
【0068】
補正色度(x1,y1)は、LED10の色度ランク分類を行うために補正された色度であり、LED10の波長の相違による前述の変化量Δx,Δyのみが反映されている。これに対し、出力色度(xd,yd)は、ディスプレイ上での色度である。
【0069】
補正色度(x1,y1)および出力色度(xd,yd)は、次式によって関連付けられる。次式は、補正色度(x1,y1)が直線的に近似されていることから、近似式となる。
【0070】
xd≒x1+Sx0
=x−α×(λp−λ0)+Sx0
yd≒y1+Sy0
=y−α×(λp−λ0)+Sy0
上式において、Sx0は定数であり、λp=λ0であるときの色度xのシフト量(ディスプレイ上の色度xとLED10の色度xとの差)として表される。このシフト量は、2/100−3/100程度の値となる。また、Sy0は定数であり、λp=λ0であるときの色度yのシフト量(ディスプレイ上の色度yとLED10の色度yとの差)として表される。このシフト量は、5/100−6/100程度の値となる。
【0071】
シミュレーション値を提供する形態は、上記の例に限定されず、種々の形態を適用することができる。
【0072】
〈演算処理部の実現形態〉
演算処理部25における係数算出部26、補正色度算出部27および色度ランク分類部28の各ブロックは、以下のようにCPUを用いてソフトウェア(LED分類プログラム)によって実現される。つまり、このLED分類プログラムは、コンピュータをLED分類装置21(係数算出部26、補正色度算出部27および色度ランク分類部28)として機能させる。
【0073】
あるいは、上記の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成されてもよいし、DSP(Digital Signal Processor)を用いたプログラムによる処理で実現されてもよい。
【0074】
上記のソフトウェアのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)は、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録されてもよい。本発明の目的は、当該記録媒体をLED分類装置21に供給し、CPUが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出して実行することによっても達成することが可能である。
【0075】
上記の記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/BD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系を用いることができる。その他、上記の記録媒体としては、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることもできる。
【0076】
また、LED分類装置21を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記のプログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0077】
〔LED分類装置によるLED分類処理〕
LED分類装置21によるLED10の分類処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、その分類処理の手順を示すフローチャートである。
【0078】
図9に示すように、まず、LED特性測定装置31からの特性測定値を分類対象となるLED10の全数について取得し、メモリ22に記憶させる(ステップS1)。また、予め、取得した特性測定値を用い、シミュレーションに基づいて係数α,βを算出しておく(係数算出工程,色度補正工程)。このとき、係数算出部26は、前述のように2点を結ぶ直線Lx,Lyのそれぞれの傾きを係数α,βとして求める。
【0079】
次いで、前述の演算式および上記の係数α,βを用いて、補正色度(x1,y1)を計算する(ステップS2:補正色度算出工程,色度補正工程)。このとき、補正色度算出部27は、分類対象となるLED10の全数について、測定した色度(x,y)およびピーク波長λpを用いて補正色度(x1,y1)を算出する。
【0080】
そして、補正色度(x1,y1)に基づいてLED10の色度ランク分類を行う(ステップS3:色度ランク分類工程)。このとき、色度ランク分類部28は、図8に示す枠F内に補正色度(x1,y1)に分布するか否かでLED10の色度ランク分類を行う。この色度ランク分類によって補正色度(x1,y1)が所定の範囲内にあれば、その補正色度(x1,y1)を示すLED10がバックライト3,8に用いられる対象として分類される。
【0081】
また、前述の出力色度(xd,yd)を用いる場合、図示はしないが、次の手順で処理が行われる。
【0082】
まず、LED特性測定装置31からの特性測定値を分類対象となるLED10の全数について取得し、メモリ22に記憶させるのは、ステップS1と同様である。また、予め、色度シミュレータ32によって、シミュレーションを行って出力色度(xd,yd)を算出しておく。そして、出力色度(xd,yd)に基づいてLED10の色度ランク分類を行う。
【0083】
[LED分類装置による効果]
上記のように、LED分類装置21は、演算処理部25によって、カラーフィルタ7の透過後の色度(x,y)を補正色度(x1,y1)として補正し、この補正色度(x1,y1)に基づいてLED10の色度ランク分類を行うように構成されている。
【0084】
これにより、ピーク波長λpが長い方にずれたLED10については、色度(x,y)が青色(色度の低い方)にシフトするように、補正色度(x1,y1)が算出される(参照:図8における平均値AVE2)。一方、ピーク波長λpが短い方にずれたLED10については、色度(x,y)が黄色(色度の高い方)にシフトするように、補正色度(x1,y1)が算出される(参照:図8における平均値AVE1)。
【0085】
そして、このように補正された補正色度(x1,y1)を用いることにより、カラーフィルタ7による青色光の強度の低下分(シフト量)を予測してLED10の色度ランク分類をすることができる。
【0086】
あるいは、前述の出力色度(xd,yd)を用いても、同様にLED10の色度ランク分類をすることができる。
【0087】
このような色度ランク分類に基づいて選別されたLED10を液晶表示装置1,2におけるそれぞれのバックライト3,8に実装することにより、液晶パネル4での青色光の輝度のばらつきを抑えることができる。特に、ピーク波長λpが短いLED10の出射光は、液晶パネル4(カラーフィルタ7)を透過すると、カラーフィルタ7により、青色光成分が大きくカットされ、色度がより黄色側にシフトする。したがって、上記の色度補正を行うことにより、液晶パネル用光源としてより適切な色度ランク分類を行うことができる。
【0088】
なお、図8に示す枠Fの中心のランクのLED10のみを用いるのでは歩留りが低いので、色度が高低に分布したLED10も使用する。これは、色度が大きく異なるLED10同士を隣接配置することにより液晶パネル4の全体として色度を平均化するという公知の配列ルールを用いている。
【0089】
[付記事項]
蛍光体16,17を含むLED10は、発光スペクトルが蛍光体色の成分も含む形となるので、LED特性測定装置31において、ピーク波長を測定することによって、青色光の波長を得ることができる。しかしながら、ピーク波長の測定はノイズが乗りやすいので、誤差が生じやすい。ノイズの影響を抑えるには、LED特性測定装置31において、400nmから長波長側に蛍光体色の成分が現れないまでの波長範囲を指定して、この波長範囲でドミナント波長(主波長)を計算すればよい。前述のように、例えば、480nm以下の発光スペクトルを抜き出すことによって、青色単色光としてのドミナント波長を測定する。この測定は、発光装置5内の青色LED光が蛍光体に吸収される影響を加味したものとなっている。
【0090】
なお、本実施形態では、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含むLED10の分類について説明したが、LED10が含む蛍光体は、これには限定されない。例えば、緑色蛍光体および赤色蛍光体に代えて、青色LEDの青色光で励起する黄色蛍光体を含んでいてもよい。これにより、青色LEDの青色光と、黄色蛍光体の黄色光との混合によって、擬似白色を得ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、LED特性測定装置31が、LED分類装置21の外部に設けられる構成となっているが、LED分類装置21の一部として設けられていてもよい。
【0092】
《実施形態2》
本発明に係る他の実施形態について、図14図19を参照して以下に説明する。
【0093】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0094】
[液晶表示装置]
〔液晶表示装置の構成〕
図14は、本実施形態に係る液晶表示装置41の概略構成を示す斜視図である。
【0095】
図14に示すように、液晶表示装置41は、バックライト42と、液晶パネル4とを備えている。
【0096】
バックライト42は、液晶パネル4の背面側に配置されており、液晶パネル4の全面に光を照射するエッジライト方式バックライトであり、導光板6およびLEDバー43,44を有している。
【0097】
LEDバー43,44は、線状の光源であり、導光板6における少なくとも一辺側の光が入射される端部に、隣接するように配置されている。LEDバー43,44は、図14に示す例では下方の一辺側に配置されている。また、LEDバー43は液晶表示装置41の正面に向かって右側に配置され、LEDバー44は左側に配置されている。
【0098】
LEDバー43,44は、それぞれ複数の発光装置5および基板45によって構成されている。
【0099】
基板45は、細長い短冊状(直線状)に形成されており、発光装置5の外形サイズ(幅)よりやや広い幅を有している。この基板45は、発光装置5を実装する実装面に、発光装置5への給電のための図示しないプリント配線が形成されている。また、基板45の両端部または一方の端部には、プリント配線に接続される図示しない正極端子および負極端子が設けられている。この正極端子および負極端子に外部からの給電のための配線が接続されることにより、発光装置5が給電される。
【0100】
発光装置5は、白色LEDであり、導光板6側に光を発するように基板45上に所定の間隔をおいて実装されている。この白色LEDとしては、実施形態1の液晶表示装置1,2で用いられる白色LEDと同様に、LED分類装置21によって得られた補正色度(x1,y1)に基づいて色度ランクが分類された前述のLED10が用いられる。
【0101】
導光板6は、LEDバー43,44から入射する直線状の光を面状に放射するように、光を光放射面の各部から取り出せる構造を有している。
【0102】
なお、液晶表示装置41では、バックライト42の光源として2つのLEDバー43,44を用いているが、3つ以上の複数のLEDバーを用いてもよい。
【0103】
〔導光板による光の青色成分の減衰〕
図15は、LEDバー43,44から出射されるそれぞれの光の液晶パネル4における異なる領域での光の青色成分の分布を示す図である。図16(a)は図15に示す青色成分の分布に応じたLEDバー43からの光の発光スペクトルを示すグラフであり、図16(b)は図15に示す青色成分の分布に応じたLEDバー44からの光の発光スペクトルを示すグラフである。図17は、LEDバー43,44からの距離とこれらのLEDバー43,44からの光の青色成分のピークの高さとの関係を示すグラフである。
【0104】
導光板6を含む一般の導光板は、光源から遠ざかるほど光の青色成分を吸収する透過率特性を有している。このため、LEDバー43,44から出射して導光板6内を進んでいく光は、徐々に青色成分が減衰していく。
【0105】
ここで、図15に示すように、LEDバー43が発する光の青色成分の強度がピークとなる波長(青色ピーク波長)を451.5nmとし、LEDバー44が発する光の青色ピーク波長を441.5nmとする。
【0106】
LEDバー43が発する光は、LEDバー43から近い領域A1から液晶パネル4(表示面)における中央部分の領域B1を経て、LEDバー43から遠い領域C1(LEDバー43が配置される反対側付近の領域)に進んでいく過程で青色成分の強度のピーク値(青色ピーク)が減衰する。図16(a)に示すように、青色ピークは、領域A1で最も高く、領域B1でやや低下し、領域C1で最も低い。
【0107】
一方、LEDバー44が発する光は、LEDバー44から近い領域A2から液晶パネル4における中央部分の領域B2を経て、LEDバー44から遠い領域C2(LEDバー44が配置される反対側付近の領域)に進んでいく過程で青色ピークが減衰する。図16(b)に示すように、青色ピークは、領域A2で最も高く、領域B2でやや低下し、領域C2で最も低い。
【0108】
このように、LEDバー43,44が発する光は、LEDバー43,44からの距離Lに応じて減衰量が異なる。
【0109】
なお、液晶パネル4の上記の中央部分は、導光板6における光入射側の端部(LEDバー43,44の配置側の端部)と、当該端部に対向する端部との間の中央を含む所定範囲の領域に相当するものとする。
【0110】
図17に示すように、LEDバー43から出射される光(青色ピーク波長451.5nm)およびLEDバー44から出射される光(青色ピーク波長441.5nm)の青色ピークの高さは、LEDバー43,44からの距離に応じた減衰量が異なる。図17において、横軸は、LEDバー43,44からの相対的な距離を表しており、LEDバー43,44に最も近い位置を“0”で表し、LEDバー43,44から最も遠い位置を“10”で表している。また、縦軸は、青色ピークの相対的な高さを表しており、最小値を“0”で表し、最大値を“100”で表している。
【0111】
図17に示すように、LEDバー43,44からの光の青色ピークの高さは、LEDバー43,44からの距離(以降、単に「距離」と称する)“0”でともに最大値である。しかしながら、LEDバー43からの光の青色ピークの高さが距離“10”で“90”程度に低下するのに対し、LEDバー44からの光の青色ピークの高さは距離“10”で“80”以下に低下する。
【0112】
このように、青色ピークの高さは、青色ピーク波長が短いほど大きく減衰する。
【0113】
〔色度の調整〕
図18(a)および(b)は、液晶パネル4における中央部分(領域B1,B2)で透過するLEDバー43,44からの2系統の透過光の色度差がなくなるように色度補正されたLED10を用いたLEDバー43,44からの距離と上記2つの光の色度xおよび色度yとの関係をそれぞれ示すグラフである。図19(a)および(b)は、液晶パネル4におけるLEDバー43,44に近い領域(領域A1,A2)で放射される2系統の光の色度差がなくなるように色度補正されたLED10を用いたLEDバー43,44からの距離と上記2つの光の色度xおよび色度yとの関係をそれぞれ示すグラフである。
【0114】
なお、図18および図19においても、図17と同様、横軸は、LEDバー43,44からの相対的な距離を表しており、LEDバー43,44に最も近い位置を“0”で表し、LEDバー43,44から最も遠い位置を“10”で表している。また、以降の説明では、上記の横軸で表されるLEDバー43,44からの距離を単に「距離」と称する。
【0115】
通常、液晶表示装置41に対する人の視線は画面の中央部分に集中することが多いため、図15において一点鎖線にて示すように、液晶パネル4における中央部分(領域B1,B2)に現れる光の色度差がなくなるようにすることが好ましい。このため、LED10をLEDバー43,44に実装するLED10については、領域B1,B2で放射される2系統の光の色度差がなくなるように、実施形態1による色度補正および色度ランク分類が行われたLED10が用いられる。
【0116】
これにより、図18(a)および(b)に示すように、領域B1,B2の中央に相当する距離“5”の位置で現れる光の色度x,yが一致する。
【0117】
ただし、上記のように色度補正および色度ランク分類が行われたLED10をLEDバー43,44に実装した場合、次のような不都合が生じる。
【0118】
LEDバー43,44から近い領域A1,A2(距離“0”〜“4”の範囲)では、図18(a)および(b)に示すように、LEDバー43,44から出射されるそれぞれの光の色度x,yの差が大きくなる。特に、距離“0”においては、光の色度差が最大となる。これは、領域A1,A2では、青色ピーク波長が長いほど色度が高く、青色ピーク波長が短いほど色度が低いからである。
【0119】
このため、図15に示すように、領域A1,A2に現れる光の間に色度差が生じ、領域A1,A2の境界部分に色度の境界が見えるようになる。この現象は、LEDバー43,44の青色ピーク波長の差が7.5nm以上であるときに見られる。
【0120】
なお、ここでのLEDバー43,44の青色ピーク波長は、LEDバー43,44にそれぞれ実装される全ての発光装置5(LED10)の青色ピーク波長の平均値である。
【0121】
このような不都合を回避するには、領域B1,B2よりも、領域A1,A2で現れる光の色度x,yが一致すれば、領域A1,A2の間の境界部分に生じる色度差を緩和することができる。より好ましくは、図19(a)および(b)に示すように、領域B1,B2よりもややLEDバー43,44に近い位置(例えば領域A1,A2における距離“4”の位置)で現れる光の色度x,yが一致すれよい。
【0122】
これにより、領域A1,A2の間の境界部分に生じる色度差を目立たなくすることができる。
【0123】
また、上記のように色度が一致する位置は、次のように設定されることが好ましい。具体的には、図15に示すように、導光板6の光入射側の端部から、当該端部と導光板6の中央部分(より詳しくは領域B1,B2の中央)との間の距離L1の40%以上50%未満の距離を隔てた位置である。これにより、領域A1,A2の間の境界部分に生じる色度差をほとんどなくすことができる。
【0124】
また、LEDバー43,44の間の青色ピーク波長の差が7.5nm以上で色度の境界が見えていたのを、10nm以下の差であれば色度の境界が見えない程度に波長差の制限を緩和することができる。これにより、青色ピーク波長が451.5nmであるLEDバー43と、青色ピーク波長が441.5nmであるLEDバー44とを組み合わせることができる。
【0125】
さらに、次に説明するように、領域B1,B2の間の境界部分に生じる色度差も目立たなくすることができる。
【0126】
LEDバー43,44からそれぞれ出射されて液晶パネル4から出力される光の色度が一致する位置を、上記のように液晶パネル4の中央部分からLEDバー43,44寄りにシフトさせると、中央部分でのそれぞれの光の色度がずれるので、色度差が生じる。しかしながら、その色度差が、色度x,yについてそれぞれ3/1000以下であれば、人間には当該色度差による色度の境界が認識されにくい。逆に、上記の色度差が、色度x,yについてそれぞれ3/1000より大きければ、人間には当該色度差による色度の境界が認識されやすくなる。
【0127】
また、上記のように色度が一致する位置をLEDバー43,44寄りにシフトさせることにより、LEDバー43,44から遠い領域C1,C2の間では色度差が大きくなる。しかしながら、領域C1,C2では、LEDバー43,44からの光が、導光板6内を進んでいくうちに広がっていくことにより互いに混ざり合う(混色する)。このため、領域C1,C2の境界部分で色度の境界が見えることはないので、領域C1,C2の間における色むらは目立たない。
【0128】
なお、液晶表示装置41の画面サイズが大型であるほどLEDバー43,44と同種のLEDバーを多く設ける必要がある。したがって、LEDバーの近い領域で透過光の色度の境界を上記のようにして目立たなくすることは、画面サイズの大型化に伴う画質向上を図る上で有効である。
【0129】
〔色度補正〕
上記のように色度が一致する位置をLEDバー43,44寄りにシフトさせるには、前述の係数算出部26が、補正色度(x1,y1)を得るために用いる係数α,βを、色度が中央部分で一致するときの値よりも小さい値に設定する。例えば、係数算出部26は、色度が中央部分で一致するときの係数αm,βmに対し、色度が一致する位置をシフトさせたときの係数αn,βnは、次のように変更する。
【0130】
αn=αm×0.75
βn=βm×0.75
補正色度算出部27が、これらの係数αn,βnを用いて演算した結果、得られた補正色度(x1,y1)は、中央部分で色度が一致するときの値より若干大きくなる。それゆえ、図19(a)および(b)に示すように、距離“5”の位置(中央部分)よりLEDバー43,44寄りの距離“4”の位置で放射される2系統の光の色度x,yを一致させることができる。
【0131】
[付記事項]
本実施形態において、LEDバー43,44は、導光板6の下側(下辺側)配置されているが、それに限らず、液晶パネル4の左右の一方側や上側に配置されてもよい。また、導光板6の対向する2辺側にLEDバーを設けてもよい。これにより、両辺側でLEDバー付近の色度の境界を目立たなくすることができるので、導光板6の一辺側にLEDバーを設ける構成よりも好ましい。
【0132】
また、液晶表示装置41において、特に下記の条件において良好な結果を生じる。
【0133】
LED10のサイズ:4〜8mm×1〜4mm
LEDバー43,44におけるLED10のピッチ:0.5〜2.0cm
LEDバー43,44の長さ:30〜100cm(液晶表示装置41の画面サイズ31〜100インチに対して)
なお、本発明は、上記の条件に限定されないのは勿論である。
【0134】
[まとめ]
本発明の一態様に係るLED分類方法は、1次光を発するLED素子(LEDチップ12)と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体(LEDチップ16,17)とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLED(LED10)の前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置(液晶表示装置1,2,41)のバックライト(バックライト3,8,42)に用いられる対象として分類するLED分類方法であって、前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測工程(係数算出部26および補正色度算出部27または色度シミュレータ32)と、予測された色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類工程(色度ランク分類部28)とを含んでいる。
【0135】
また、本発明の一態様に係るLED分類装置(LED分類装置21)は、1次光を発するLED素子(LEDチップ12)と前記1次光によって励起して前記1次光よりも長波長の2次光を発する蛍光体(LEDチップ16,17)とを組み合わせることにより前記1次光と前記2次光との合成光を発するLED(LED10)の前記1次光の色度が所定の範囲内にあれば、当該LEDを液晶表示装置(液晶表示装置1,2,41)のバックライト(バックライト3,8,42)に用いられる対象として分類するLED分類装置であって、前記1次光が前記液晶表示装置に設けられる液晶パネルにおけるカラーフィルタを透過した色度を分類対象となる前記LEDの全数について予測する色度予測手段(係数算出部26および補正色度算出部27または色度シミュレータ32)と、予測された色度に基づいて前記LEDを色度ランク分類する色度ランク分類手段(色度ランク分類部28)とを備えている。
【0136】
上記の構成では、色度予測工程または色度予測手段によって、1次光がカラーフィルタを透過したことを想定した色度が予測される。そして、色度ランク分類工程または色度ランク分類手段によって、LEDが予測された色度に基づいて色度ランク分類される。
【0137】
このように予測された色度を用いて色度ランク分類することにより、カラーフィルタによる光の強度の変化分を予測して、より適切にLEDを色度ランク分類することができる。このような色度ランク分類に基づいて選別されたLEDを液晶表示装置におけるそれぞれのバックライトに実装することにより、バックライトからカラーフィルタを透過した光の輝度のばらつきを抑えることができる。
【0138】
前記LED分類方法において、前記色度予測工程は、前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正色度として補正する色度補正工程を含み、当該色度補正工程は、予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度と当該基準色度に対する前記色度の変化量とを算出し、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する前記変化量の傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出工程(係数算出部26)と、前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出工程(補正色度算出部27)とを含んでいることが好ましい。
【0139】
また、前記LED分類装置において、前記色度予測手段は、前記1次光の前記カラーフィルタの透過による前記色度の補正値を分類対象となる前記LEDの全数について算出し、当該補正値に基づいて分類対象となる前記LEDの全数について前記色度を補正色度として補正する色度補正手段を有し、当該色度補正手段は、予め定められた基準波長を有する前記1次光が前記カラーフィルタを透過したときの基準色度と当該基準色度に対する前記色度の変化量とを算出し、前記基準波長からの前記1次光のピーク波長のシフト量に対する前記変化量の傾きを前記色度の補正値の係数として算出する係数算出手段(係数算出部26)と、前記補正値を前記ピーク波長と前記基準波長との差に前記係数を乗算することによって算出し、当該補正値を分類対象となる前記LEDの全数について得られた前記色度からそれぞれ減算することにより前記補正色度を算出する補正色度算出手段(補正色度算出部27)とを有していることが好ましい。
【0140】
上記の構成では、色度補正工程または色度補正手段によって、1次光がカラーフィルタを透過したことを想定した色度の補正値が、分類対象となるLEDの全数について算出され、この補正値に基づいて、分類対象となるLEDの全数について得られた色度が補正色度として補正される。また、補正値の係数が、係数算出工程または係数算出手段によって、カラーフィルタを透過したことを想定して得た、基準色度に対する色度の変化量の傾きに基づいて算出されるので、1次光のカラーフィルタの透過による色度の変化が補正値に反映される。そして、補正色度算出工程または補正色度算出手段によって、このようにして得られた補正値が色度から減算されることによって補正色度が算出される。
【0141】
これにより、カラーフィルタによる色度の変化を容易に色度の補正に反映させることができる。
【0142】
前記LED分類方法は、前記係数算出工程において、前記バックライトが、複数のLEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源(LEDバー43,44)と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように、前記係数を算出することが好ましい。
【0143】
また、前記LED分類装置において、前記係数算出手段は、前記バックライトが、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを含む前記液晶表示装置に対して、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように、前記係数を算出することが好ましい。
【0144】
上記の構成では、上記のように算出された係数を用いて算出された補正色度に基づいてLEDが色度ランク分類される。このLEDを用いて線状光源を作製することにより、中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が導光板を経て液晶パネルを透過した透過光の色度が一致する。これにより、前述のように、線状光源に近い領域での色度の境界を目立たなくすることができる。
【0145】
また、前記係数算出工程および前記係数算出手段は、前記中央部分での前記透過光の色度差が3/1000以下であるように前記係数を算出することが好ましい。
【0146】
上記の構成では、中央部分での透過光の色度差が3/1000以下であれば、人間にはその色度差による色度の境界が認識されにくい。これにより、中央部分でも色度の境界を目立たなくすることができる。
【0147】
前記LED分類方法または前記LED分類装置において、前記1次光が青色光であることが好ましい。
【0148】
前述のように、青色光については、LED間でのピーク波長のずれによって、カラーフィルタを透過した後の光強度がばらついて表示色に影響を及ぼす。これに対し、前述のようにして、カラーフィルタの透過による変化を予測して色度を補正することにより、カラーフィルタによる色度分布の変化に基づいて、LEDを適正に色度ランク分類することができる。
【0149】
本発明のLED分類プログラムは、コンピュータを前記LED分類装置における各手段として機能させるためのプログラムである。また、本発明の記録媒体は、前記LED分類プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。これらのLED分類プログラムおよび記録媒体も本発明の技術的範 本発明の一態様に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、複数の前記LEDを有し、隣接して設けられる複数の線状光源と、少なくとも一端側から入射する当該線状光源からの出射光を、前記液晶パネルに面状に放射する導光板とを備え、前記導光板における光入射側の端部と当該端部と対向する端部との間の中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が前記導光板を経て前記液晶パネルを透過した透過光の色度が一致するように、前記線状光源に実装される前記LEDが選別されている。
囲に含まれる。
【0150】
この構成では、液晶表示装置が上記のように選別されたLEDを用いて線状光源を備えることにより、中央部分よりも光入射側に近い位置で、各線状光源からの出射光が導光板を経て液晶パネルを透過した透過光の色度が一致する。これにより、前述のように、線状光源に近い領域での色度の境界を目立たなくすることができる。
【0151】
上記液晶表示装置において、前記色度が一致する位置は、前記光入射側の端部から、前記光入射側の端部と前記中央部分との間の距離の40%以上50%未満の距離を隔てた位置であることが好ましい。これにより、線状光源に近い領域での色度差をほとんどなくすことができる。
【0152】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係るLED分類方法は、カラーフィルタを透過した状態の輝度変化を予測してLEDの色度を補正するので、バックライトにLEDを用いる液晶表示装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0154】
1 液晶表示装置
2 液晶表示装置
3 バックライト
4 液晶パネル
5 発光装置
7 カラーフィルタ
8 バックライト
10 LED
12 LEDチップ(LED素子)
16 蛍光体
17 蛍光体
21 LED分類装置
22 メモリ
23 記憶部
24 表示部
25 演算処理部
26 係数算出部(色度予測手段,色度補正手段,係数算出手段)
27 補正色度算出部(色度予測手段,色度補正手段,補正色度算出手段)
28 色度ランク分類部(色度ランク分類手段)
31 LED特性測定装置
32 色度シミュレータ(色度予測手段)
41 液晶表示装置
42 バックライト
43 LEDバー(線状光源)
44 LEDバー(線状光源)
A1 領域
A2 領域
B1 領域
B2 領域
C1 領域
C2 領域
F 枠(所定の範囲)
Sx0 定数
Sy0 定数
(x,y) 色度
(x1,y1) 補正色度
Δx,Δy 変化量
(xd,yd) 出力色度
α 係数
β 係数
αm 係数
βm 係数
αn 係数
βn 係数
λ0 基準波長
λp ピーク波長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19