特許第6207832号(P6207832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 現代自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6207832-燃料電池スタックの部分活性化方法 図000002
  • 特許6207832-燃料電池スタックの部分活性化方法 図000003
  • 特許6207832-燃料電池スタックの部分活性化方法 図000004
  • 特許6207832-燃料電池スタックの部分活性化方法 図000005
  • 特許6207832-燃料電池スタックの部分活性化方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207832
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】燃料電池スタックの部分活性化方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170925BHJP
   H01M 8/04119 20160101ALI20170925BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20170925BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20170925BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 K
   H01M8/04 Y
   !H01M8/10
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-266097(P2012-266097)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-36015(P2014-36015A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0087276
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋 ヒョン 碩
(72)【発明者】
【氏名】李 在 ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】申 煥 秀
(72)【発明者】
【氏名】李 盛 根
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−024546(JP,A)
【文献】 特開2007−273460(JP,A)
【文献】 特開2005−071949(JP,A)
【文献】 特開2005−093115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックの、カソード入口マニフォールドに水分液滴を含んだ加湿された水素を注入し、アノード入口マニフォールドからアノードに水分液滴を含んだ加湿された空気を注入し、
前記燃料電池スタックのカソード入口マニフォールドとカソード出口マニフォールドとを密封し、
前記燃料電池スタックを所定の期間保管して前記燃料電池スタックを前処理することを特徴とする燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項2】
前記所定の期間が1日間であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項3】
前記燃料電池スタックを密封した状態で常温で保管することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項4】
前記燃料電池スタックに前記水素を注入後に前記燃料電池スタックの密封及び保管する工程を、前記燃料電池スタックを100%活性化するための活性化工程の前に進行することで、前記燃料電池スタックの前処理工程として実施することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項5】
スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックのアノード入口マニフォールドとカソード入口マニフォールドに、水分液滴を含んだ加湿された空気と、水分液滴を含んだ加湿された水素を注入することで、燃料電池スタックのアノードとカソードに水分液滴を含んだ空気と水素を供給した後、燃料電池スタックのカソード入口マニフォールドとカソード出口マニフォールドとを密封して所定の期間保管して前記燃料電池スタックを前処理する工程で構成されることを特徴とする燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項6】
前記所定の期間が5日間であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項7】
前記燃料電池スタックを密封した状態で常温で保管することを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【請求項8】
前記燃料電池スタックに空気と水素を注入後に前記燃料電池スタックの密封及び保管する工程を、前記燃料電池スタックを100%活性化するための活性化工程の前に進行することで、前記燃料電池スタックの前処理工程として実施することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池スタックの部分活性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの部分活性化方法に係り、より詳細には燃料電池スタックの本活性化工程で水素の使用量を低減し、工程時間を短縮できるようにする燃料電池スタックの部分活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の環境汚染に対する関心とCO排出量の規制が高まるにつれて、環境に優しい自動車の開発が求められており、それによって、環境汚染を起こす内燃機関自動車の代わりに、環境に優しく、高効率の燃料電池車両が注目を浴びている。
現在、燃料電池車両の主動力源の燃料電池として高電力密度を有する高分子電解質膜燃料電池(PEMFC:Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)に関する研究が盛んに進められている。
【0003】
燃料電池スタックの構成は次の通りである。最も内側に主要構成部品の膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)が位置し、この膜電極接合体は、水素イオンを移動させる固体高分子電解質膜と、電解質膜の両面に位置して水素と酸素が反応するように触媒が塗布された電極層のアノード(Anode)及びカソード(Cathode)で構成されている。
また、膜電極接合体の外側部分、すなわちアノード及びカソードが位置した外側部分に気体拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)、ガスケットなどが積層され、気体拡散層の外側には反応ガス(燃料の水素と酸化剤の酸素または空気)を供給し、冷却水が通過する流路(Flow Field)が形成された分離板(Bipolar Plate)が設置される。
【0004】
このような構成を単位セル(Cell)として複数の単位セルを積層した後、最外側には単位セルを支持するためのエンドプレート(End Plate)を結合して、燃料電池スタックを構成する。
各単位セルは運転時には低電圧を維持する。燃料電池スタックの電圧を高めるためには、数十〜数百個のセルを直列積層してスタック形態に製作して発電装置として使用する。
一方、燃料電池スタックを組み立てた後、正常状態の性能を発揮するためには、三相の電極反応面積の確保、高分子電解質膜または電極の不純物の除去、高分子電解質膜のイオン伝導性の向上を目的とするスタック活性化工程が行われる。
特に、燃料電池スタックを組み立てた後、初期運転時に電気化学反応の活性度が低下するため、正常な初期性能を最大限確保するためには、必ずスタック活性化(Activation)工程を行わなければならない。
【0005】
このようなスタック活性化工程は、プリコンディショニング(Pre−conditioning)またはブレークイン(break−in)と呼ばれるが、その目的は反応性の低い触媒を活性化させ、電解質膜及び電極内に含まれた電解質を十分に水和させて水素イオンの通路を確保することにある。
従来のスタック活性化工程に関する先行文献として、特許文献1〜3が挙げられる。
従来、スタックの活性化のために、高電流密度の放電とシャットダウン(Shut−down)状態からなるパルス工程を数回〜数十回繰り返す方法、または図1に示すように、高密度電流の出力と真空工程を実施している。
【0006】
その中、高電流密度の放電及びシャットダウンを繰り返す方法は、220セルのサブモジュールを基準として、約1時間30分〜2時間程度の工程時間が必要である。具体的には、高電流密度(1.2または1.4A/cm)を3分間放電する過程、シャットダウン状態で5分間のパルス放電が行われる過程を11回程度繰り返し実施する。
しかし、このようなパルス放電による活性化工程では、その工程時間が長いだけでなく、使用される水素量も増加する問題がある。
すなわち、シャットダウン状態でパルス放電を行う既存のスタック活性化方法は、燃料電池内部の水の流動に変化をつけて活性化速度を増加させる利点がある反面、活性化に必要とする時間が長くなり、多量の水素を消耗するという問題がある。
【0007】
図1は、従来の活性化工程における電圧分布を示す図面である。
図1に示したとおり、1.2または1.4A/cmの高密度電流を30秒間出力した後、真空またはシャットダウンを2〜3分間実施する過程を数回繰り返す従来のスタック活性化工程においても、高電流の出力を使用しなければならないため、水素の使用量が増加し、工程時間が長くなる問題がある(特許文献4,5参照)。
上述したとおり、工程時間が長くなると、スタックの大量生産時に活性化装備の個数の制限により、スタック製造工程においてスタック活性化工程が生産の遅延につながるボトルネック(Bottle Neck)工程となる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2011−0060035号
【特許文献2】韓国特許出願第10−2011−0012107号
【特許文献3】韓国特許出願第10−2011−0071201号
【特許文献4】特開2009−016331号公報
【特許文献5】特開2005−158734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、燃料電池スタックの活性化工程により水素の使用量を低減し、工程時間を短縮できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するためになされた本発明の燃料電池スタックの部分活性化方法は、スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックの、カソード入口マニフォールドに、水分液滴を含んだ加湿された水素を注入し、アノード入口マニフォールドからアノードに水分液滴を含んだ加湿された空気を注入し、燃料電池スタックのカソード入口マニフォールドとカソード出口マニフォールドとを密封し、燃料電池スタックを所定の期間保管して前記燃料電池スタックを前処理することを特徴とする。
【0011】
スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックのアノード入口マニフォールドに、水分液滴を含んだ加湿された水素を共に注入することで、燃料電池スタックのアノードにも水分液滴を含んだ水素を共に供給した後、密封して保管することを特徴とする。
前記所定の期間が1日間であることを特徴とする。
前記燃料電池スタックを密封した状態で常温で保管することを特徴とする。
前記燃料電池セルスタックに前記水素を注入後に前記燃料電池スタックの密封及び保管する工程を、前記燃料電池スタックを100%活性化するための活性化工程の前に進行することで、前記燃料電池スタックの前処理工程として実施することを特徴とする。


【0012】
また、本発明の他の実施例による燃料電池スタックの部分活性化方法は、スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックのアノード入口マニフォールドとカソード入口マニフォールドに、水分液滴を含んだ加湿された空気と、水分液滴を含んだ加湿された水素を注入することで、燃料電池スタックのアノードとカソードに水分液滴を含んだ空気と水素を供給した後、燃料電池スタックのカソード入口マニフォールドとカソード出口マニフォールドとを密封して所定の期間保管して前記燃料電池スタックを前処理する工程で構成されることを特徴とする。
【0013】
前記所定の期間が5日間であることを特徴とする。
また、燃料電池スタックを密封した状態で、常温で保管することを特徴とする。
また、前記燃料電池スタックに空気と水素を注入後に前記燃料電池スタックの密封及び保管する工程を、前記燃料電池セルスタックを100%活性化するための活性化工程の前に進行することで、前記燃料電池スタックの前処理工程として実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による燃料電池スタックの部分活性化方法によれば、燃料電池スタックの本活性化工程に先行する前段階の工程であって、高出力の負荷を印加せず、スタックのアノードとカソードに液滴を含んだ水素を供給した後、スタックを密封して常温保管する部分活性化(Pre−activation)工程(または、前処理工程)を実施することにより、燃料電池スタックの100%活性化のために、実際の本活性化工程における工程時間の短縮及び水素消耗量の減少効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の活性化工程における電圧分布を示す図面である。
図2】本発明の一実施例による部分活性化工程における電圧分布を示す図面である。
図3】本発明の他の実施例による部分活性化工程における電圧分布を示す図面である。
図4】試験例の電圧分布を示す図面である。
図5】試験例の電圧分布を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を基に本発明の好ましい実施例について、詳細に説明する。
本発明は、燃料電池スタックの本活性化工程で水素の使用量を低減し、工程時間をより短縮するための方法を提供する。
特に、本発明は、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)を100%活性化するための本活性化工程における工程時間の短縮及び水素消耗量の減少効果を得るために、本活性化工程に先行する部分活性化(Pre−activation)工程(一種のスタック前処理工程)に関する。
【0017】
本発明を適用する場合、燃料電池スタックの全活性化工程は、本発明で提示するスタックの部分活性化工程と、その後に実施される燃料電池100%活性化のための活性化工程に分けられるが、本明細書では部分活性化工程の後で実施される100%活性化工程を本活性化工程と称する。
本発明者は、電極膜の活性化メカニズムを考慮してさらに簡単で新たな活性化方法を開発し、試験を通してその活性化効果を確認して本発明を完成した。本発明では従来の活性化工程のような高出力の負荷を燃料電池スタックに印加せず、スタックのカソードに液滴を含んだ水素を注入した後、スタックを密封して常温保管するだけで部分活性化効果が得られる。
【0018】
すなわち、従来の高出力の負荷を使用せず、カソードに還元雰囲気を形成してカソードの白金表面の酸化物を効果的に除去すると共に電解質膜の濡れ性(wetting)を向上させて電極膜の活性化効果が得られるようにする。
結果的に、本発明の部分活性化工程を実施した後に本活性化工程を進行する場合、本活性化工程ではスタックの100%活性化のための工程時間の短縮、水素消耗量の低減が可能となるため、今後、スタックの大量生産時には本発明の部分活性化工程が非常に有効であると期待される。
【0019】
以下、このような本発明の部分活性化工程について具体的に詳述する。
通常、燃料電池スタックを活性化するためには、従来技術では高電流の負荷を複数回印加する運転により所定の出力が得られるようにしたが、本発明では高電流の負荷を印加せず、水素の注入後に常温の密封保管だけでも燃料電池スタックの部分活性化の効果を得ることができる。
先ず、スタック組立工程により組み立てられた燃料電池スタックのアノードとカソードに液滴を含んだ高温の水素を注入して密封するが、この時、スタックの入口・出口マニフォールドを閉鎖し、水素を供給した状態でスタックを完全に密封して1日間保管する。
【0020】
液滴は水分液滴を意味し、水素を加湿して液滴を含んだ状態にした後、スタックの入口マニフォールドを介してアノードとカソードにそれぞれ供給する。
このようにスタックを密封して常温で1日間保管すると、約50%のスタック活性化が進行され、カソードに供給された水素によりカソードに還元雰囲気が形成されると、カソードのPt触媒の表面に形成されたPtOH、PtOのような酸化物が還元されて(溶出された白金イオンが再析出され、それと共にスタック内部には真空が形成される)高電流の出力がなくても約50%の活性化を達成することができる。
【0021】
図2は、本発明の一実施例による部分活性化工程における電圧分布を示す図面である。図2は、部分活性化工程における電圧分布を経時的に示している。
単純真空活性化工程に比して液滴を含んだ水素を供給した場合「(液滴+水素)1日保管+真空活性化」に初期活性化度が高いことを示している(初期電圧の上昇:0.51V→0.56V、1.2A/cm)。
また、本発明の他の実施例として、組み立てられた燃料電池スタックのアノードとカソードに液滴を含んだ空気と水素をそれぞれ供給した後、密封して常温で5日間保管する。
【0022】
すなわち、液滴を含んだ空気をアノード入口マニフォールドを介して供給すると共に、液滴を含んだ水素をカソード入口マニフォールドを介して供給することで、スタック内のアノードとカソードに空気と水素をそれぞれ供給した後、密封保管する。
液滴を含んだ空気は、水素の場合と同様に、水分液滴を含んだ空気を意味し、空気を加湿して液滴を含んだ状態にした後、スタックの入口マニフォールドを介してスタックのアノードに供給する。
このようにスタックを密封して常温で5日間保管すれば、高出力負荷を印加しなくても約83%のスタック活性化を達成することができる。
【0023】
図3は、本発明の他の実施例による部分活性化工程における電圧分布を示す図面である。図3は、部分活性化工程における電圧分布を経時的に示しており、単純真空活性化工程の場合と図2に示した「液滴+水素」の供給後に1日間保管する場合よりも、「液滴+空気」、「液滴+水素」をそれぞれアノードとカソードに供給する場合「(液滴+水素/空気)5日保管+真空活性化」に初期活性化度がさらに高いことを示している(初期電圧の上昇:0.51V→0.56V→0.58V、1.2A/cm)。
【0024】
アノードとカソードに液滴を含んだ空気と水素を供給すると、Ca、Ptの酸化物が還元されるだけでなく、保管中の水素⇔酸素のクロスオーバー(Crossover)によるスタック内の真空により膜とバインダーの内部に液滴が容易に浸透するようになり、結果的に、濡れ性の向上及びそれによる活性化加速効果が得られる。
上記のとおり液滴を含んだ水素をスタックのカソードに供給するか、液滴を含んだ空気と水素をそれぞれスタックのアノードとカソードに供給した後、スタックを密封して常温保管する場合は、Pt、Ca表面の酸化物(PtOH、PtO)が還元されて[Surface Oxidation State Change、b(Tafel Constant、単位:mV decade−1)の減少]部分活性化が行われ、スタック内部に形成される真空による膜とバインダーの水和(Hydration)により、イオン抵抗(Ionic Resistance、単位:Ωcm)が部分活性化工程で予め減少する。
【0025】
本発明者は、試験を通して多様な場合における活性化効果を比較し、本発明は水素を供給した場合に十分な活性化効果が得られることを確認した。
試験は、サブスタックを製作した後に、それぞれの場合に応じて液滴を含んだ空気、乾燥水素、液滴を含んだ水素、液滴を含んだ空気と水素をスタックに供給することで行われた。
図4,5は、試験例の電圧分布を示す図面である。図4は、液滴を含んだ空気をスタックのアノードとカソードに供給した場合を、図5は、乾燥水素をアノードとカソードに供給した場合を示した。
その結果を図2図3の結果と比較すると、液滴を含んだ空気をアノードとカソードに供給した場合は活性化効果がなく、乾燥水素をアノードとカソードに供給した場合は活性化効果が相対的に微々たるものであることが明らかになった。
【0026】
反面、液滴を含んだ水素をカソードに供給する場合、そして液滴を含んだ空気と水素をアノードとカソードに供給する場合は、十分な活性化効果が得られることが分かり、特に液滴を含んだ空気と水素をアノードとカソードに供給した後、密封保管した場合は活性化効果が最も大きいことが明らかになった。
このようにして、高出力の負荷を印加せず、ガス注入後にスタックを密封保管する部分活性化工程だけで目的を達成することができる。燃料電池スタックの100%活性化のために本活性化工程の工程時間の短縮及び水素消耗量の減少効果を期待することができる。
【0027】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5