(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の溶接用トーチは、例えば、
図15、
図16に示すような構成をなしている。
図15は、従来の溶接トーチの構成を示す縦断面図(一部は半裁断面図)であり、
図16は
図15のXVI部を拡大して示す断面図である。
【0003】
まず、インシュレータ301があり、このインシュレータ301は中空形状をなしている。上記インシュレータ301の先端側(
図15、
図16中左側)にはノズル303が同軸状に螺合・接合されている。上記ノズル303の内周側にはチップボディ305が同軸状に配置されていて、このチップボディ305の先端側(
図15、
図16中左側)にはチップ307が螺合・接合されている。又、上記インシュレータ301の内周側にはトーチボディ309が配置されていて、このトーチボディ309は上記チップボディ305の後端側(
図15、
図16中右側)に螺合・接合されている。
【0004】
上記インシュレータ301と上記トーチボディ309の間には、スリーブ311、313が連結された状態で配置されている。すなわち、スリーブ311の後端側(
図15、
図16中右側)には嵌合凹部311aが形成されていて、一方、スリーブ313の先端側(
図15、
図16中左側)には嵌合凸部313aが形成されている。上記嵌合凸部313aを嵌合凹部311a内に嵌合させた状態で、上記インシュレータ301の後端側(
図15、
図16中右側)に、袋ナット319が螺合・接合されており、それによって、インシュレータ301とスリーブ311、313が連結されている。
【0005】
上記トーチボディ309とスリーブ313は、
図15に示すように、後方に屈曲・延長されていて、上記トーチボディ309の後端には図示しないケーブル絶縁アダプタが連結されている。又、上記スリーブ313の外周の一部は被覆部材317によって絶縁されている。又、上記チップボディ305とトーチボディ309の内周側にはインナーチューブ310が同軸状に配置されている。上記インナーチューブ310の内周側には溶接ワイヤ321が供給・配置されており、この溶接ワイヤ321の先端部は、上記チップ307の先端から所定量だけ突出・配置されることになる。又、上記チップボディ305及びトーチボディ309とインナーチューブ310との間の空間にはシールドガスが供給されている。
【0006】
又、上記チップボディ305の外周側にはオリフィス315が設置されていて、このオリフィス315には複数個のオリフィス孔315aが周方向に所定のピッチで形成されている。又、上記オリフィス315の内周側には環状凹部315bが形成されている。
【0007】
次に、上記シールドガスの供給経路を詳しく説明する。チップボディ305及びトーチボディ309とインナーチューブ310との間の空間に供給されたシールドガスは、チップボディ305に設けられた複数個(図示する場合は4個)のシールドガス流出孔305aを介して、チップボディ305とオリフィス315の間であって環状凹部315b内に流出する。環状凹部315b内に流出したシールドガスはオリフィス315の複数個のオリフィス孔315aを介して整流された状態でオリフィス315とノズル303との間の空間内に流出する。
【0008】
オリフィス315とノズル303との間の空間内に流出したシールドガスは、ノズル303とチップ307との間の空間を介してチップ307の外周側を先端側(
図15、
図16中左側)に向かって流通していき噴射される。それによって、溶接ワイヤ321の先端部の外周をシールドするものである。
尚、
図15、
図16中符号323、325、327、329はシールリングである。
【0009】
次に、溶接作業について説明する。
図15、
図16に示すように、被溶接部材401には被溶接部材403が当接・配置されていて、両者間には開先部405が設けられている。又、上記被溶接部材403は支持部材407によって支持されている。上記開先部405の角度は25°となっている。
【0010】
まず、溶接トーチの先端を上記開先部405に挿入・配置させる。ノズル303とチップ307との間の空間を介してチップ307の外周側にシールドガスが噴射される。その状態で、チップ307の先端から突出・配置された溶接ワイヤ321と被溶接部材401、403との間でアークを発生させながら所望の溶接を施すものである。
【0011】
又、
図15、
図16に示した溶接トーチは、上記したように、オリフィス315を使用するタイプであるが、このようなオリフィス315を使用しないタイプの溶接トーチもある。
尚、この種の溶接トーチの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、溶接部の外周にシールドガスを供給するためにオリフィス315を使用する構成になっており、その為、ノズル303の外径が大きくなってしまうという事情があった。又、シールドガスを整流させためにはノズル303の長さをある程度長くする必要があった。このように、従来の構成によると、ノズル303の外径が大きくなるとともにその長さも長くなってしまい、その結果、溶接トーチの先端部が大型化してしまうという問題があった。
溶接トーチの先端部が大型化してしまうと、狭隘な開先部405に対して所望の溶接を施すことができなくなってしまい、その改善が要求されていた。
【0014】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、オリフィスを要することなくシールドガスを整流・噴射することを可能にし、それによって、先端部を小径化・短縮化させてその小型化を図り、狭隘な開先部に対しても所望の溶接を施すことを可能にする溶接トーチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による溶接トーチは、内側を溶接ワイヤが通るとともにシールドガスが流通しシールドガスを外周側に流出させるシールドガス流出孔を備えたチップボディと、上記チップボディの先端に連結されその先端開口部を介して上記溶接ワイヤの先端部が突出・配置されるチップと、上記チップボディとチップの外周側に設置されたノズルと、上記チップボディと上記ノズルとの間であって上記シールドガス流出孔に近接して設置された多孔状部材からなるガスレンズと、具備し、
上記ガスレンズの上記チップ側には上記ガスレンズの厚みより大きな軸方向長さの空間を存した状態でシールドガスを整流する整流部材が配置されていて、上記シールドガス流出孔を介して上記チップボディの外周側に流出したシールドガスを上記ガスレンズ
と上記空間と上記整流部材を介して整流し、上記チップボディと上記ノズルとの間ひいては上記チップの外周側に噴射するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による溶接トーチは、請求項1記載の溶接トーチにおいて、上記ガスレンズの上記チップ側にはス
パッタ付着防止部材が配置されていることを特徴とするものである。
又、請求項3による溶接トーチは、請求項1又は請求項2記載の溶接トーチにおいて、
上記整流部材は薄肉円筒部材をジグザグ凹凸状に屈曲・変形させたものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による溶接トーチは、
請求項1〜請求項3
の何れかに記載の溶接トーチにおいて、
上記ガスレンズはセラミックス製であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本願発明の請求項1による溶接トーチは、内側を溶接ワイヤが通るとともにシールドガスが流通しシールドガスを外周側に流出させるシールドガス流出孔を備えたチップボディと、上記チップボディの先端に連結されその先端開口部を介して上記溶接ワイヤの先端部が突出・配置されるチップと、上記チップボディとチップの外周側に設置されたノズルと、上記チップボディと上記ノズルとの間に設置された多孔状部材からなるガスレンズと、 を具備し、上記シールドガス流出孔を介して上記チップホディの外周側に流出したシールドガスを上記ガスレンズを介して整流し上記チップボディと上記ノズルとの間ひいては上記チップの外周側に噴射するように構成したので、従来必要であったオリフィスを要することなくシールドガスの噴射が可能になり、それによって、溶接トーチの先端部の小径化、短縮化を図ることができ、狭隘な開先部に対しても所望の溶接を施すことが可能になった。
又、請求項2による溶接トーチは、請求項1記載の溶接トーチにおいて、上記ガスレンズの上記チップ側にはスパッタ付着防止部材が配置された構成になっているので、ガスレンズへのスパッタの付着を防止して目詰まりを防ぐことができる。
又、請求項3による溶接トーチは、請求項1又は請求項2記載の溶接トーチにおいて、上記ガスレンズの上記チップ側にはシールドガスを整流する整流部材が設置された構成になっているので、シールドガスの整流を促進させることができる。
又、請求項4による溶接トーチは、請求項2又は請求項3記載の溶接トーチにおいて、上記整流部材は薄肉円筒部材をジグザグ凹凸状に屈曲・成形させた構成になっているので、比較的簡単な構成で所望の整流効果を得ることができる。
又、請求項5による溶接トーチは、請求項1〜請求項4の何れかに記載の溶接トーチにおいて、上記ガスレンズはセラミックス製であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1乃至
図4を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態による溶接トーチの構成を示す縦断面図(一部は半裁断面図)であり、
図2は
図1のII部を拡大して示す図である。
【0019】
まず、水冷筒1があり、この水冷筒1は、内筒3、中間筒5、外筒7とから構成されている。上記内筒3と中間筒5との間には、環状の冷却水供給路9が形成されている。又、上記中間筒5と外筒7との間には、環状の冷却水戻り路11が形成されている。又、上記冷却水供給路9と冷却水戻り路11は連通路12を介して連通されている。
【0020】
上記水冷筒1の先端側(
図1、
図2中左側)にはノズル13が同軸状に螺合・接合されている。上記ノズル13の内周側にはチップボディ15が同軸状に配置されていて、このチップボディ15の先端側(
図1、
図2中左側)にはチップ17が螺合・接合されている。又、上記水冷筒1の内周側にはトーチボディ19が配置されていて、このトーチボディ19は上記チップボディ15の後端側(
図1、
図2中右側)に螺合・接合されている。
【0021】
上記水冷筒1と上記トーチボディ19の間には、スリーブ21が配置されていて、このスリーブ21の後端側(
図1、
図2中右側)には、スリーブ23が連結されている。上記スリーブ21には嵌合凹部21aが形成されていて、一方、上記スリーブ23の先端側(
図1、
図2中左側)には嵌合凸部23aが形成されている。上記嵌合凸部23aを嵌合凹部21a内に嵌合させた状態で、上記スリーブ21の後端部(
図1、
図2中左側)に袋ナット25が螺合されており、それによって、スリーブ21、23が連結されている。
【0022】
上記トーチボディ19とスリーブ23は、
図1に示すように、後方に屈曲・延長されていて、上記トーチボディ19の後端にはケーブル絶縁アダプタ27が連結されている。又、上記スリーブ23の外周の一部は被覆部材29によって被覆されている。又、上記チップボディ15とトーチボディ19の内周側にはインナーチューブ31が同軸状に配置されている。本実施の形態の場合には、インナーチューブ31としてコイルスプリングが使用されている。上記インナーチューブ31の内側には溶接ワイヤ33が供給・配置されており、この溶接ワイヤ33の先端部は、上記チップ17の先端から所定量だけ突出・配置されている。
【0023】
又、上記チップボディ15及びトーチボディ19とインナーチューブ29との間の空間にはシールドガスが供給されている。又、上記チップボディ15にはシールドガスをチップボディ15の外周側に流出させるための複数個(この実施の形態の場合には4個)のシールドガス流出孔15aが形成されている。
【0024】
又、上記ノズル13とトーチボディ19との間にはセラミックス製のスリーブ35が設置されていて、このスリーブ35の内周側には金属製(この実施の形態の場合にはステンレス製)のガスレンズ37が内装されているとともにこのガスレンズ37の前方には、間隔を存した状態で同じく金属製(この実施の形態の場合にはステンレス製)の整流部材39が内装されている。上記ガスレンズ37は、
図3にも示すように、筒体として成形されており多孔状になっている。上記多孔の部位を介してシールドガスが整流・流通されることになる。又、上記整流部材39は、
図4に示すように、薄肉の円筒部材をジグザグ凹凸状に屈曲・形成したものであり、シールドガス流路39a、39bを交互に設けた構成になっている。この整流部材39によって、上記ガスレンズ37によって整流されたシールドガスをさらに整流させるものである。
【0025】
上記シールドガスの供給に関して詳しく説明する。チップボディ15及びトーチボディ19とインナーチューブ31との間の空間に供給されたシールドガスは、チップボディ15に設けられた複数個(図示する場合は4個)のシールドガス流出孔15aを介して、水冷筒1の内筒3とガスレンズ37との間の空間41内に流出する。空間41内に流出したシールドガスはガスレンズ37を通過して整流され、ガスレンズ37と整流部材39との間の空間43内に流出する。空間43内に流出したシールドガスは整流部材39を通過することによりさらに整流される。整流部材39を通過したシールドガスはノズル13とチップボディ15との間の空間内に流出し、チップボディ15及びチップ17の外周側を通って溶接部の外周部に噴射される。それによって、溶接ワイヤ33の先端部の外周をシールドするものである。
尚、
図1、
図2中符号45、47、49、51、53はシールリングである。
【0026】
上記トーチボディ19の内周側であって180°対向する位置にはそれぞれ2本の冷却水配管61、63(
図2中仮想線で示す)が設置されている。又、
図1に示すように、冷却水供給配管64、冷却水排出配管66が設けられていて、上記冷却水供給配管64を介して供給された冷却水は上記冷却水配管61、63内に供給される。又、冷却水配管61、63の外周側を介して戻される冷却水は上記冷却水排出配管66を介して排出されることになる。上記冷却水供給配管64、冷却水排出配管66には図示しない冷却水供給・排出部が接続されている。
【0027】
上記冷却水供給・排出部より上記冷却水供給配管61、冷却水配管61、63内を介して供給された冷却水は、トーチボディ19に形成された冷却水供給孔19aを介して、既に説明した冷却水供給路9内に供給される。冷却水供給路9内に供給された冷却水は水冷筒1の先端側(
図1、
図2中左側)に向かって流通し、連通路12を介して冷却水戻り路11内に流入する。冷却水戻り路11内に流入した冷却水は、水冷筒1の後端側(
図1、
図2中右側)に向かって流通し、トーチボディ19に形成された冷却水戻し孔19bを介して、上記2本の冷却水配管61、63の外側の空間内に戻る。冷却水配管61、63の外側の空間内に戻った冷却水は、既に説明したように、冷却水排出配管66を介して冷却水供給・排出部に戻る。このような経路で冷却水が循環しているものである。
【0028】
次に、溶接作業について説明する。
図1、
図2に示すように、被溶接部材71には被溶接部材73が当接・配置されていて、これら被溶接部材71と被溶接部材73との間には開先部75が形成されている。又、上記被溶接部材73は支持部材77によって支持されている。上記開先部75の角度は、一例として25°となっている。
【0029】
まず、溶接トーチの先端を上記開先部75に挿入・配置する。ノズル13とチップ17との間の空間を介してチップ17の外周側にシールドガスが噴射される。その状態で、チップ17の先端から突出・配置された溶接ワイヤ33と被溶接部材71、73との間でアークを発生させながら所望の溶接を施すものである。
【0030】
上記シールドガスであるが、まず、トーチボディ19の内周側に供給されたシールドガスはチップボディ15内に流入し、チップボディ15に設けられたシールドガス流出口15aを介して空間41内に流出する。空間41内に流出したシールドガスはガスレンズ37に流入する。ガスレンズ37内に流入したシールドガスはガスレンズ37を通過して整流されて空間43内に流出する。空間43内に流出したシールドガスは整流部材39によってさらに整流された後チップボディ15の外周側に流出する。そして、チップボディ15とノズル13との間を介してチップ17の外周側さらには溶接ワイヤ33による溶接部の外周側に噴射されることになる。
【0031】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、従来のように、オリフィスを使用してシールドガスを整流するのではなく、ガスレンズ37を使用して整流する構成になっているので、オリフィスを使用しない分、ノズル13を含む溶接トーチの先端部の小径化を図ることができる。
又、オリフィスを使用した場合には溶接トーチの先端部の長さをある程度長くしないと所望の整流効果を得られなかったが、ガスレンズ37の場合にはそのような必要はなく
それによって、ノズル13を含む溶接トーチの先端部の短縮化を図ることができる。
このように、溶接トーチの先端部の小径化・短縮化を図ることができるので、溶接トーチの先端部を小型化することができ、その結果、狭隘な開先部75に対しても所望の溶接を確実に施すことができる。
又、この実施の形態の場合には、ガスレンズ37の先端側に整流部材39を設置しているので、整流効果をさらに高めることができる。
【0032】
次に、
図5及び
図6を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態の場合には、前記第1の実施の形態の場合の構成において、セラミックス製のスリーブ35及び金属製(第1の実施の形態ではステンレス製)の整流部材39をなくした構成、すなわち、ガスレンズ37のみを設けた構成になっているとともに、そのガスレンズ37をセラミックス製としたものである。
尚、その他の構成については前記第1の実施の形態の場合と同様であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0033】
以上本実施の形態によると前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。
又、スリーブ35及び整流部材39をなくしたことにより、溶接トーチの先端部をさらに小径化・短縮化させてその小型化をより効果的に図ることができ、それによって、より狭隘な開先部75に対しても所望の溶接を施すことが可能になる。
【0034】
尚、シールドガスの噴射状況に関して、前記第1の実施の形態の場合、第2の実施の形態の場合、従来例の場合をそれぞれ実験して可視化して撮影したものを、
図7、
図8に示す。
図7は第1の実施の形態の場合、第2の実施の形態の場合を示す図で、溶接トーチを2種類(溶接トーチ1、溶接トーチ2)用意して、それぞれについて実際にシールドガスを流した時の様子を撮影したものである。溶接トーチ1は第1の実施の形態の場合であり、溶接トーチ2は第2の実施の形態の場合である。それぞれの場合について、シールドガスの流量を20L/min、25L/min、30L/minとして実験を行っている。何れの場合も、シールドガスが効果的に整流された状態で噴射されており、溶接部を確実にシールドしている様子を確認することができる。
【0035】
一方、
図8は、従来例の場合について、溶接トーチを2種類(従来例溶接トーチ1、従来例溶接トーチ2)用意して、それぞれについて実際にシールドガスを流した時の様子を撮影したものである。溶接トーチ1はオリフィスを使用したタイプ(
図15、
図16に示したタイプ)の溶接トーチであり、溶接トーチ2はオリフィスを使用しないタイプの溶接トーチである。
それぞれの場合について、シールドガスの流量を20L/min、25L/min、30L/minとして実験を行っている。何れの場合も、シールドガスの整流が不十分であることがわかる。
特に、オリフィスを使用しないタイプの溶接トーチ2はシールドガスが拡散していて乱流状態にあることを視認できる。
オリフィスを使用したタイプの溶接トーチ1はオリフィスを使用しないタイプの溶接トーチ2に比べれば良好であるが、それでも、シールドガスが拡散していて乱流状態にあることを視認できる。
【0036】
次に、
図9乃至
図11を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形態の場合には、前記第2の実施の形態の場合の構成に、整流部材81を追加したものである。上記整流部材81は、
図11に示すように、薄肉の円筒部材をジグザグ凹凸状に屈曲・形成したものであり、シールドガス流路61a、61bを交互に設けた構成になっている。このような整流部材81を設けることにより、整流効果をさらに高めようとするものである。
尚、その他の構成は前記第2の実施の形態の場合と同様であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0037】
以上、この第3の実施の形態によると、前記第2の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、整流部材81を追加したことにより整流効果をさらに高めることができ、それによって、シールとガスの噴射によるシールド効果のさらなる向上を図ることができるものである。
【0038】
次に、
図12を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。この第4の実施の形態は、前記第2の実施の形態の場合と同様に、ガスレンズ23のみを使用したタイプの溶接トーチを示すものである。
但し、各構成部材の形状等が大きく異なっている。例えば、前記第1〜第3の実施の形態における水冷筒1の代わりにインシュレータ1′を使用している。
尚、その他の構成は前記第2の実施の形態の場合と同様であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0039】
よって、この第4の実施の形態の場合にも前記第2の実施の形態の場合と同様の作用・効果を奏するものである。
【0040】
次に、
図13及び
図14を参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。この第5の実施の形態の場合には、前記第4の実施の形態による構成に、さらに、薄肉状のスパッタ付着防止部材91を設けたものである。このスパッタ付着防止部材91は、
図14に示すような構成をなすものであり、ステンレス製のメッシュ材から構成されている。このようなスパッタ付着防止部材91を設けることによりガスレンズ37へのスパッタの付着、それに起因した目詰まり等を防止することができる。
尚、その他の構成は前記第4の実施の形態の場合と同様であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0041】
よって、この第5の実施の形態の場合にも前記第4の実施の形態の場合と同様の作用・効果を奏することができるとともに、スパッタ付着防止部材91を設けることによりガスレンズ37へのスパッタの付着、それに起因した目詰まり等を防止することができる。
【0042】
尚、本発明は前記第1〜第5の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、溶接トーチとしての基本的な構成は図示したものに限定されず様々な構成のものが想定される。
又、ガスレンズの大きさ、形状、材質等については、これを特に限定するものではない。
又、スパッタ付着防止部材の大きさ、形状、材質等についても、これを特に限定するものではない。
その他、図示した構成はあくまで一例である。