(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、ボトルや容器等のワークを一様に整列させ、該ワークに内容物を充填させる等の次処理を施す作業位置(作業工程)へ向けて搬送するワーク搬送装置が種々開発され、用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、(容器包装リサイクルの分野において回収した使用済みのボトルの材質識別のために)該ボトルを1列に整列させて搬送させるボトル搬送システムとして、ボトル収容凹所を有しかつ前記凹所の周面が低所および高所に亘るように配置されているロータと、整列させるボトルを前記凹所内の低所に供給する供給手段と、前記凹所内に供給されたボトルが遠心力により凹所周面に当接させられて低所から高所まで移動させられるように前記ロータを回転させる回転手段と、前記凹所内の高所からボトルを排出する排出手段を設けた整列装置および前記排出手段の末端部近傍に配設された搬送コンベアからなる搬送装置を備えたボトル搬送システムが開示されている。
【0004】
このボトル搬送システムにおいては、前記ロータを回転手段により回転させている状態で前記凹所内の低所に無整列状態のボトルを前記供給手段により供給し、ボトルを遠心力により前記凹所周面に1列に並んだ状態で当接させ、その状態のまま低所から高所へ移動させて、高所から前記排出手段を介して駆動する前記搬送コンベア上へ1つずつ落下させることにより、ボトルを1列に整列させて搬送する。
【0005】
また、特許文献2には、ボトル等の容器を受け入れ、掻き上げる傾斜回転円盤と、その傾斜回転円盤の外周側に配設され、前記容器を1個ずつ収容する、前記容器の外形状に対応させた方形状孔を設けた複数の容器ポケットを有する円環形状の水平回転ガイドと、前記水平回転ガイドを搭載し、所定位置に設けた窓開き部を有する水平固定板とを少なくとも具備し、前記容器ポケット部の方形状孔には方形貫通孔が形成され、さらに前記方形貫通孔の方形状の円周方向両方向に前記容器口部が入る窪(凹)みが形成された容器整列装置および前記窓開き部の下に配設された搬送コンベアからなる搬送装置を備えた容器搬送システムが開示されている。
【0006】
この容器搬送システムにおいては、前記傾斜回転円盤の回転により前記容器を逐次その傾斜面の上部側へ掻き上げ、最上端近傍の位置から前記水平回転ガイド上に押し出し、その水平回転ガイド上に設けられた前記容器ポケット部に正規収容し、円周方向に沿って移動させ、前記容器ポケット部が前記窓開き部に到達し、前記容器本体部が重力で落下しようとする際に、窪(凹)みに入っている前記容器口部よりも先ずその容器本体部の底を下にして先に落下させ、窓開き部の下にあるコンベア上に整列させるとともに、容器が扁平或は長方形断面の場合は厚み幅の方向も揃えて整列させて搬送する。
【0007】
また、従来より、搬送コンベアで搬送されるワークをマニピュレータと対になるカメラで撮像してその位置を特定し、マニュピレータを該ワークの移送位置まで移動させて該ワークを保持し、前記搬送コンベアと並列配置される移送コンベアへ受け渡す技術を用いたワーク搬送システムも提案されている。
【0008】
例えば、特許文献3には、容器を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの搬送過程に沿って設けた2台のロボットと、搬送コンベヤ上の容器の載置状態を撮影するカメラと、該カメラが撮影した容器の映像をもとにして各ロボットの作動を制御する制御装置とを設けた整列装置、前記ロボットの近傍に上流側端部を位置させた排出コンベアからなる搬送装置、および、横転状態の容器を正立させて縦一列に前記排出コンベア上に整列させる矯正装置を備えた容器搬送システムが開示されている。
【0009】
この容器搬送システムにおいては、前記カメラが撮影した容器の映像をもとに、上流側のロボットが前記搬送コンベヤによって搬送されてきた容器の一部を保持し、下流側のロボットが上流側のロボットによって保持されずに通過されてきた容器を保持して前記排出コンベヤ上に受け渡すと同時に横転状態の各容器を前記矯正手段によって正立させて縦一列に整列させて搬送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの従来のワーク搬送システムにはそれぞれ次のような問題点や課題がある。
【0012】
例えば、特許文献1および2に開示されたワーク搬送システムのように、整列搬送対象のワークをロータの回転に伴って回転する収容部(特許文献1におけるボトル収容凹所、特許文献2における容器ポケット)に収容し、該ポケットから順次搬送経路へ送り出す構成は、前記収容部にワークが収容されないことがあり、収容部を100%利用してワークを搬送することができない。一定量の搬送を確保するためには、収容部の数を増やすべくロータの径を大きくすることも考えられるが、整列装置の大型化は免れない。ワークの送り出しの速度(繰り出し個数/時間)を上げることも一案ではあるが、ロータ等の回転駆動系の負荷が大きくなる。また、前述のいずれの対処法であっても、該整列装置から下流側に配設された搬送手段への個々のワークの供給を一定間隔で行うことができない(歯抜け搬送)。
【0013】
例えば、液体充填機構において、連続で供給されるワークとしてのボトルに対し、同一の所要時間で液体を充填するような場合等には、液体充填機構の駆動と同期させてボトルが一定間隔で供給されることが望ましい。
【0014】
また、ピックアップロボットを用いる整列装置の性能は、ピックアップロボットの配設数と処理能力に依存する。特許文献3に開示されたワーク搬送システムのように、搬送コンベヤによって供給されるワークの処理に十分な台数のロボットや、処理能力の高いロボットを配設すればコストは自ずと高くなる。また、例えば、ワークの搬送方向に沿って複数台のロボットを配設するために搬送コンベアを長めに配設したり、各ロボットの配設スペースや稼働スペースを確保する必要が生じるなど、システム全体が大型化される虞がある。
【0015】
また、搬送されるワーク数がロボットの処理能力を超える等、駆動する搬送コンベアで供給されるワークを処理しきれなかった場合には、一旦、処理できなかったワークを搬送コンベアの下流終端において通函へ落下させて回収した後、その回収したワークを通函を用いて上流へ運搬し、再度、搬送コンベア上へ載置供給することがなされる。しかしながら、ワークが投下された通函を搬送コンベアの上流へ運搬する作業と手間が増え、通函の運搬スペースや保管場所を確保しなければならないという問題がある。
【0016】
さらには、このような通函を用いるワークの搬送の過程でワークが傷むことがあった。例えば、ワークがボルトやナットのような金属剛性の高い物品であるような場合は然程の問題は生じなくても、ワークがシュリンクフィルムが貼付されたボトルであるような場合、その貼付されているシュリンクフィルムに傷がついたり、汚れたり、剥がれたりすることがあり、問題となる。このように、ワークには、通函を用いる循環搬送に適さない特性を有するものがある。
【0017】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、要望される時間当たりの処理数量や傷が付きやすい素材や形状のワークか否か等のワークの特性に合わせた最適な方法で、ワークに損傷を与えること無く、整列装置から下流側に配設された搬送手段への個々のワークの供給を行うことができるとともに、コンパクトな構成で、コストを抑えたワーク搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係るワーク搬送システムは、同心の1乃至複数の円上に収容貫通孔を有する複数のワーク収容部が整列形成され、回転自在に配設された回転板と、前記回転板の下面側において前記ワーク収容部の回転軌跡に対向させて配設されており、前記収容貫通孔からワークを抜落させるための開口からなるワーク排出部が形成された収容ワーク保持手段と、無端状に敷設され、整列させるワークを供給する供給コンベアと、前記供給コンベア上のワークの状態を検出する供給ワーク監視手段と、前記回転板のワーク収容部内のワークの状態を検出するワーク収容部監視手段と、前記供給コンベア並びに前記回転板の近傍に配設され、前記ワーク監視手段により検出したワークの状態を示すトラッキング情報に基づいてワークをトラッキングして保持し、前記ワーク収容部監視手段により検出した、ワーク収容部内のワークの有無に関する情報に基づき、空のワーク収容部にワークを収容させるピックアップロボットと、整列させたワークを次工程へ搬送するための排出コンベアと、前記ワーク排出部において前記ワーク収容部から抜落したワークを前記排出コンベア上へ案内し、整列させるワーク案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成を備えたワーク搬送システムによれば、ピックアップロボットを用いて、供給コンベアに載置され、ワーク供給経路上を循環搬送されているワークを1つずつ保持し、ワーク収容部に収容させることでワークの損傷を防止することができる。また、ワークを1つずつ等間隔で搬送するために、複数のワーク収容部が整列形成された回転板を用いるのみであり、ワークを整列させるための複数本のコンベア等の配設が必要でなく、供給コンベアの配設数も無端状の1本で足りる。しかも、その1本の無端状の供給コンベアは、ピックアップロボットが保持可能にワークを循環搬送することができ、その循環搬送の過程でワークを傷つけることもない。また、前述の様な通函を用いるワークの循環も必要がないので、非常にコンパクト(省スペース)で機能性に富んだ構成となる。さらには、供給コンベアやピックアップロボットの配設数も最低数で実現可能であるので、低コスト化も期待できる。
【0020】
また、本発明の第2の態様に係るワーク搬送システムは、前記第1の態様に係るワーク搬送システムにおいて、さらに、円筒側壁に囲繞された空間部内にワークを渦回させる回転体が傾斜配設されたワーク収容器を有し、前記回転板は、前記回転体の外周方向に位置して配設され、前記供給コンベアは、ワーク供給経路の一部に、前記収容器内へワークを供給する収容器供給口が形成されているとともに、搬送されるワークを前記収容器供給口へ導くように前記ワーク供給経路を遮蔽可能に配設された仕切り部材を備えることを特徴とする。
【0021】
このような構成を備えたワーク搬送システムによれば、1台のワーク搬送システムで、要望される時間当たりの処理数量や、傷が付きやすい素材や形状のワークか否か等の種々のワークの特性等に合わせた最適な方法でワークを整列搬送することができる。
【0022】
具体的には、前記制御手段により、前記回転体、回転板、供給コンベア、搬送コンベア、ワーク監視手段、ワーク収容部監視手段およびピックアップロボット(以下、各駆動系という)の駆動を制御することで、(1)ワークが供給された収容器内で該回転体を回転させ、収容器内に供給されたワークを収容器外周方向へ移動させ、前記回転体の外周方向において回転する回転板のワーク収容部に収容させる収容方法と、(2)前記ピックアップロボットにより、回転する回転板の空のワーク収容部にワークを収容させる収容方法との少なくとも一方の収容方法を実行し、ワーク収容部に収容させたワークを前記ワーク排出部から前記ワーク導通管を通して排出コンベア上へ導き、整列させて次工程へ送り出すことで、様々なワーク搬送を搬送されるワークの特性等に合わせて実施することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第3の態様に係るワーク搬送システムは、前記第1の態様及び第2の態様のワーク搬送システムにおいて、前記ワークは、口頚部が本体上部に対し、正立時における平面視の容器本体最大外周部よりも内方に位置させて接続された容器であり、前記ワーク収容部は、横倒された前記容器の前記容器本体を位置させ得る収容貫通孔と、前記収容貫通孔の容器本体の正立方向両端にそれぞれ連続して形成され前記口頚部を位置させ得る収容係合穴とから形成され、前記収容貫通孔から容器が抜落する際に、前記収容係合穴に該容器の口頚部が係合することで容器本体が容器本体下部を先導させて前記ワーク排出部を抜けるように形成されていることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、容器を必ず容器本体下部を先導させて収容貫通孔から前記ワーク排出部を1つずつワーク整列シュート内へ抜落させて、前記排出コンベア上にて正立させて整列させることができる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明のワーク搬送システムによれば、コンパクトかつ低コストな構成で、要望される時間当たりの処理数量やワークの特性等を考慮した最適な搬送方法を採択でき、ワークに損傷を与えることなく、該整列装置から下流側に配設された搬送手段への個々のワークの供給を等間隔で行うこともできる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
はじめに、本発明に係るワーク搬送システムについて、
図1乃至
図7を参照して説明する。
【0028】
本実施形態のワーク搬送システムは、
図1に示すように全体が構成されており、ワーク50として、正立時におけるワーク本体51の上部の、平面視における本体最大外周部よりも内方に位置させて接続された口頚部52を有する容器を次工程の充填装置へ1つずつ等間隔で搬送することができるものである。本実施形態のワーク50は、
図2に示すように、ワーク本体51は略正方形状の上面と底面とを有する長方体とされ、正立時にワーク本体51の上部に位置する前記上面の中央部に円筒状の口頚部52がワーク本体51の内外を連通させるように形成されたボトル状容器(以下、単にワーク50という)である。
【0029】
本実施形態のワーク搬送システムは、
図1及び
図3に示すように、底板1aと、上端部を水平に位置させた円筒側壁1bとに囲繞された空間部が形成され、前記空間部上部はワーク50を搬入するための開口とされたワーク収容器1を備えている。ワーク収容器1の前記空間部内には、ワーク50を渦回させる回転体としての回転円盤3がその上面を低所から高所に亘るように傾斜させ、第1の駆動モータ17の駆動により回転自在に配設されている。
【0030】
詳しくは、
図3に示すように、ワーク収容器1が配設される基台11の中心部には起立する中心円筒部12が設けられており、該中心円筒部12の外周には軸受部13が回転自在に配設されている。軸受部13の上部は底板1aに固定され、軸受部13の下部は、中心円筒部12の外周に設けられた回転力伝達円環部14に固定されている。
【0031】
また、ワーク収容器1の底板1aの中心には中心円筒貫通孔15が設けられ、中心円筒部12はその中心円筒貫通孔15を通ってワーク収容器1の底面中心に突出し、その突出部の上部には、回転円盤3の中心軸3aを所定の角度で、具体的には、回転円盤3の上面が、高所位置においては円筒側壁1bの上端外周縁部に至るような角度で支持する傾斜支持用部材16が固定されており、中心軸3aは、第1の駆動モータ17により回転し、固定された回転円盤3を回転させるように構成されている。
【0032】
また、ワーク収容器1の円筒側壁1bの上端外周縁部には円環状の回転板4が第2の駆動モータ18の駆動により水平回転自在に、かつ、傾斜して配設された回転円盤3の高所位置においては、回転円盤3の上面と回転板4の上面とが隣接するように、不図示の接続部材を介して配設されている。
【0033】
本実施形態においては、回転力伝達円環部14は、ウオームギア等を介して第2の駆動モータ18により回転する。回転力伝達円環部14には底板1bに接続される収容器支持部19も固定配設されており、第2の駆動モータ18の駆動力で、回転力伝達円環部14と一体化させて接続された軸受部13、収容器支持部19、ワーク収容器1を回転させることで、該ワーク収容器1の円筒側壁1bの上端外周縁部に連接された回転板4を水平回転させるように構成されている。
【0034】
なお、傾斜配置された回転円盤3と水平配置された回転板4とが隣接して位置する領域(反時計回りに回転する回転体の最も高所に位置する方向を12時とした場合(位置・方向の特定において、以下同じ基準とする)の、大凡2時から11時方向の区間領域。)は、ワーク収容器1に供給されていたワーク50が回転円盤3の回転により、回転板4へ受け渡される領域(第1領域)として作用する。
【0035】
回転板4には、多数のワーク50を回転円盤3と同心の同一円周方向に揃えて、横倒状態で収容できる複数のワーク収容部5が整列形成されている。前述のボトル状容器をワーク50として搬送する本実施形態においては、ワーク収容部5は、
図4に示すように、横倒されたワーク50のワーク本体51を挿入して位置させ得る収容貫通孔6と、該収容貫通孔6のワーク本体51の正立方向両端が位置する部分にそれぞれ連続して形成されるとともに、前記口頚部52を載置するようにして位置させ得る収容係合穴7とから構成され、前記円上において各ワーク収容部5の収容係合穴7を回転板4の回転方向の両側に位置させるように整列形成されている。なお、ワーク収容部5を整列形成する円は1本に限らず、回転板4の径方向に複数本であってもよい。その場合には各円のワーク収容部5からワーク50を抜落させることができるようにワーク排出部9やワーク整列シュート22を設ける。これにより、ワーク搬送の効率を上げることができる。
【0036】
ここで、回転板4の下面側には、1箇所のワーク排出部9を除くワーク収容部5の回転軌跡上において収容貫通孔6からのワーク50の抜落ちを阻止する収容ワーク保持手段としての支承板10が、基台11から垂設された支持柱20により水平に支持され、配設されている。本実施形態においては、回転板4は支承板10の上に載置されている。
【0037】
回転円盤3の回転方向における前記第1領域の上流側最寄りの位置(本実施形態においては3時方向)は、各収容貫通孔6からワーク50を抜落させるためワーク排出部9とされており、支承板10のワーク排出部9に対応する部分には、ワーク50が抜落し、通過可能な開口が形成されている。
【0038】
そして、ワーク収容器1の近傍には整列させたワーク50を次工程へ搬送する排出コンベア21が、その上流端部をワーク収容部5よりも下方に位置させて配設されており、支承板10の下面側には、ワーク排出部9においてワーク収容部5から抜落したワーク50を排出コンベア21上へ案内し、整列させるワーク案内手段としてのワーク整列シュート22が配設されている(
図1参照)。
【0039】
さらに、本実施形態のワーク搬送システムにおいては、ワーク50を供給するための搬送経路(ワーク供給経路)を構成する供給コンベア23が無端状に形成され、反時計回りに回転駆動するように構成されている。供給コンベア23はワーク供給経路の一部区間が回転円盤3が配設されているワーク収容器1の開口部並びに回転板4の上方に、本実施形態においては4時方向と8時方向とを直線で結び、かつ、6時方向においては回転する回転板4のワーク収容部5を露呈させるようにして配設されている。
【0040】
また、ワーク収容器1の開口部上方に位置するワーク供給経路部分には、ワーク収容器1内へワーク50を供給する収容器供給口24となる部分が設けられており、収容器供給口24の近傍には、供給コンベア23によって搬送されるワーク50を収容器供給口24へ導くようにワーク供給経路を遮蔽するための仕切り部材25が配設されている。
図1には、仕切り部材本体16aが、8時方向において、仕切り部材25の一端に形成された垂直回転軸25bにより、ワーク供給経路上から待避する退避位置と、搬送されるワーク50を収容器供給口24へ導くようにワーク供給経路上に位置する仕切り位置との間を回動自在に形成されている例を示す。この仕切り部材本体25aの回動は手動でもよいし、または不図示のモータにより回動自動に形成してもよい。さらには、空のワーク収容部5の発生率の解析、不図示の計時手段による時間管理(一定時間毎のワーク供給)、ワーク収容部5に収容されているワーク50の数のモニタリングなどにより、前記不図示のモータの駆動を制御してもよい。また、ワーク供給経路の供給コンベア23の両側にワーク50の脱落を防止するための側壁を形成し、ワーク収容器1の開口部上方に位置する部分の該側壁を回動自在とされた前述の仕切り部材本体25で形成するようにしてもよい。またさらに、仕切り部材25を、供給コンベア23の幅方向におけるいずれか一側方上に載置されたワーク50のみを収容器供給口24へ導き、他側方上に載置されたワーク50は該供給コンベア23上に残すように配設してもよい。
【0041】
なお、本実施形態においては、
図5に示すように、無端状に敷設された供給コンベア23には、該供給コンベア23とともにワーク供給経路を構成するリフトコンベア28並びに滑り板29を経て、横倒状態とされたワーク50が順次供給される。本実施形態においては、供給コンベア23へ至る前段階においてワーク50を横倒状態としているが、供給コンベア23上の供給コンベア23の搬送方向における収容器供給口24の下流側に、供給されたワーク50をすべて横倒状態とするための手段を配設してもよい。
【0042】
そして、本実施形態のワーク搬送システムにおいては、6時方向位置(後述の第2領域)へ搬送されるワーク50の供給コンベア23上の位置やワーク50の向き等の体勢(以下、ワーク状態という)を検出する供給ワーク監視手段としてのワーク撮像カメラ31が配設されている。また、回転円盤3の回転方向における前記第1領域の下流側の位置(本実施形態においては、9時方向)において、回転板4のワーク収容部5内にワーク50が収容されているか否かを(以下、収容状態という)を検出するワーク収容部監視手段としての収容部撮像カメラ32が配設されている。なお、ワーク収容部監視手段としては、撮像カメラに限ること無く、例えば、ワーク収容部5の収容貫通孔6の回転軌跡上において回転板4を挟んで表裏面側に対向配置された発光デバイスと受光デバイスとを有し、前記発光デバイスからの発光を収容貫通孔6を通して前記受光デバイスにより受光することにより、ワーク収容部5内に収容したワーク50の有無を検出可能とされたセンサであってもよい。
【0043】
そして、供給コンベア23並びにワーク収容器1の近傍(本実施形態においてはワーク収容器1の6時方向領域(後述の第2領域)上方)には、
図6に示すように、ワーク本体51の成立時における高さ寸法内に収まるような離間距離で配置された2個の吸着パッド41を備えたベース42と、2個の吸着パッド41をワーク50のワーク本体51の表面に共に当接させた状態で吸着をON/OFFするバキューム(図示せず)と、ベース42を上下左右に移動可能とし、さらには、水平方向に回転可能に支承するアーム43を備えたピックアップロボット44がロボット架台45に支承されて配設されている。なお、本実施形態のピックアップロボット44は、公知の構成のパラレルリンクロボットを採用することとし、その構成や駆動制御についての更なる詳細な説明は省略する。なお、ピックアップロボット44はパッド41により吸着保持する構成に限らず、取り扱うワーク50の特性を考慮し、適切なピックアップロボット44を1台配設する。例えば、人体の指、手首、肘、肩等に相当する機能部分を備え、指に相当する機能部分でワーク50を把持する公知の構成のマニピュレータロボットであってもよい。吸着面として利用するための適当な面がないワーク50を整列搬送するような場合にはマニピュレータロボットが好適である。
【0044】
ピックアップロボット44の駆動を制御する制御手段(図示せず)は、供給ワーク監視手段としてのワーク撮像カメラ31、ワーク収容部監視手段としての収容部撮像カメラ32からデータを受信可能とされ、それぞれのデータに基づき、ピックアップロボット44の駆動制御を行う。つまり、ピックアップロボット44は、ワーク撮像カメラ31の検出情報に基づいて、反時計回りに駆動する供給コンベア23上の
図1に符号23Aで示す方向へ搬送されているワーク50をトラッキングし、パッド41に接続されたバキュームをON操作させてワーク50を吸着、保持し、続いて、収容部撮像カメラ32により検出した容器収容部1内のワーク50の有無に関する情報に基づき、ワーク収容器1における6時方向領域(第2領域)において、露呈している空のワーク収容部5に該ワーク50を収容させた状態で前記バキュームをOFF操作させ、ワーク50を放すように制御される。ここで、前記6時方向領域は、供給コンベア23を搬送されるワーク50をピックアップロボット44が保持し、回転板4のワーク収容部5へ収容される領域(第2領域)として作用する。
【0045】
図7には、ワーク撮像カメラ31並びに収容部撮像カメラ32による検出判断とピックアップロボット44の駆動制御の関係を示す。
【0046】
収容部撮像カメラ32は、供給コンベア23上の6時方向近傍(後述の第2領域)を搬送されるワーク50を撮像し(ST01)、該ワーク50のワーク状態を示すワーク50の重心のX,Y座標と向き角度θ(前記重心を回転中心とし、搬送方向を0°とした場合の反時計方向におけるワーク50の口頚部52の角度位置)を検出し、トラッキング情報としてピックアップロボット44へ出力する(ST02)ことを繰り返す(ST01へ)。
【0047】
ここで、ピックアップロボット44は、ワーク供給経路である供給コンベア23の上方のホーム位置において一旦姿勢を整えたあと(ST11)、前記トラッキング情報に基づき、ワーク50の長手方向に離間した2点をパッドで吸着保持(ピックアップ)し(ST12)、続いて第2領域において、回転板4のワーク収容部5の回転軌跡上において、吸着保持したワーク50をワーク収容部5に収容させやすい方向へ向けて吸着吊下させ、待機する(ST13)。
【0048】
一方、収容部撮像カメラ32は、ワーク収容部5内を撮像し(ST21)、ワーク50の有無を確認する(ST22)。ワーク収容部5内にワーク50があれば、次のワーク収容部5内の撮像ステップ(ST21)へ戻る(ST22のYES)。ワーク収容部5内にワーク50がなければ、ワーク50の供給タイミングがONになったことを確認し(すなわち、該空のワーク収容部5が6時方向へ回転移動するタイミングを図る)(ST23)、ピックアップロボット44へワーク要求信号を出力し(ST24)、次のワーク収容部5内の撮像ステップ(ST21)へ戻る。
【0049】
ワーク収容部5の回転軌跡上において、ワーク50を吸着吊下させた状態で待機しているピックアップロボット44は、ワーク要求信号を受信すると(ST14)、吸着吊下しているワーク50をそのタイミングで6時方向に搬送される該空のワーク収容部5に挿入し、吸着を解除して収容させ(ST15)、再び、ホーム位置に戻り(ST16)、姿勢を整える(ST11へ)。
【0050】
このような構成を備えた本実施形態のワーク搬送システムにおいては、供給するワーク50の処理数量や特性等を考慮して、(1)ワーク50が供給されたワーク収容器1内で回転円盤3を回転させ、ワーク収容器1内に供給されたワーク50を外周方向へ移動させ、回転円盤3の外周方向において回転する回転板4のワーク収容部5に収容させる収容方法と、(2)ピックアップロボット44により、回転する回転板4の空のワーク収容部5にワーク50を収容させる収容方法との少なくとも一方の収容方法を実行し、ワーク収容部5に収容させたワーク50をワーク排出部9からワーク整列シュート22を通して排出コンベア21上へ導き、整列させて次工程へ送り出すワーク搬送方法を実行することができる。
【0051】
すなわち、(1)の収容方法においては、回転円盤3をワーク収容器1内で反時計回りに回転させることで、ワーク収容器1内に供給されたワーク50を遠心力を用いてワーク収容器1の外周方向へ移動させ、ワーク収容器1内の低所側から円筒側壁1bに沿って高所側へ回転円盤3の回転方向である反時計回りに攪拌、搬送し、前記第1領域において回転円盤3と略隣接しつつ回転円盤3と同方向へ回転している回転板4の空のワーク収容部5に収容させる。
【0052】
ワーク収容器1内へ外部からワーク50を供給する場合には、供給コンベア23のワーク搬送経路を仕切り部材25にて遮り、搬送されるワーク50を収容器供給口24へ導くようにする。これにより、供給コンベア23により搬送されるワーク50を収容器供給口24から直接落下させたり、収容器供給口24に接続された傾斜面を滑落させたりすることにより、ワーク収容器1内へ供給することが可能となる。
【0053】
また、(2)の収容方法においは、ワーク撮像カメラ31が撮像して検出したワーク50の位置や体勢等の検出情報(トラッキング情報)に基づき、ピックアップロボット44でワーク50をトラッキングして把持し、前記第2領域において、収容部撮像カメラ32により検出した空のワーク収容部5に収容させる。
【0054】
ワーク収容部5内に収容されたワーク50は、反時計方向に回転する回転板4の回転に伴い、支承板10により下方から支承されつつ収容貫通孔6から抜落することなく円状の容器収容部の移動軌跡上を3時方向に形成されたワーク排出部9にまで搬送され、該ワーク排出部9において、収容貫通孔6から抜落し、ワーク整列シュート22を通って排出コンベア21上へ整列配置される。
【0055】
本実施形態において、ワーク50は、ワーク収容部5の収容貫通孔6から抜落する際に、収容係合穴7に口頚部52が係合することでワーク本体51がその底部側を先導させてワーク整列シュート22へ落下することとなるため、排出コンベア21上には正立状態で送り出される。
【0056】
なお、本実施形態においては、第1のモータ17は、回転円盤3が傾斜面上部へ掻き上げたワーク50を、さらに、回転板4のワーク収容部6まで移動させることができる遠心力が得られる回転速度とする。第2のモータ18の回転速度は、必要能力を満足する回転速度であればよい。本実施形態においては、第1のモータ17の回転速度を第2のモータの回転速度よりも高速とすることで、ワーク収容部6へ回転円盤3の回転によるワーク50の供給がなされない事象、すなわち、空所の発生を少なくすることができる。
【0057】
本実施形態のワーク搬送システムにおいては、ワーク50を1つずつ等間隔で搬送するために、複数のワーク収容部5が整列形成された回転板4を用いるのみであり、ワーク50を整列させるための複数本のコンベア等の配設が必要でなく、供給コンベア23の配設数も無端状の1本で足り、前述の様な通函を用いるワーク50の循環も必要がないので、非常にコンパクト(省スペース)で機能性に富んだ構成となる。さらには、供給コンベア23やピックアップロボット44の配設数も最低数で実現可能であるので、低コスト化も期待できる。
【0058】
また、特に、損傷を防止したいワーク50を搬送する場合には、ピックアップロボット44を用いて供給コンベア23上のワーク50を1つずつ保持し、ワーク収容部5に収容させる方法を実行することでワーク50の損傷を防止することができる。
【0059】
以下には、さらに具体的なワーク搬送方法を示す。
【0060】
<第1搬送例>
回転板4、ワーク撮像カメラ31、収容部撮像カメラ32およびピックアップロボット44を駆動させ、供給コンベア23上に載置されているワーク50を1つずつピックアップロボット44で保持して、回転板4のワーク収容部5に第2領域においてワーク50を収容させ、ワーク50を支承板10に形成された開口からなるワーク排出部9において、各ワーク収容部5に形成された収容貫通孔6から1つずつワーク整列シュート22内へ抜落させ、通過させて前記排出コンベア21上へ整列させる。
【0061】
この方法を実行し、ピックアップロボット44を用いて供給コンベア23上のワーク50を1つずつ保持し、ワーク収容部5に収容させることで、ワーク50の損傷を防止することができる。つまり、全てのワーク50をピックアップロボット44によって保持し、ワーク収容器1内へ収容させるので、収容器内にワーク50を落下・供給する必要が無く、収容器内でワーク50同士が互いに当たるということもないので、ワーク50を損傷させる虞が少ないので、取り扱いがデリケートなワーク50を搬送する場合に好適である。
【0062】
ピックアップロボット44の配設数や性能にもよるが、ワーク収容部5に空きが無い状態で回転板4が回転すれば、ワーク排出部9からのワーク50の抜落並びにワーク整列シュート22内の通過タイミングを、前記回転板4の回転速度に合わせ、一定間隔とすることができる。
【0063】
<第2搬送例>
回転円盤3と回転板4を駆動させ、回転円盤3の回転を利用して回転板4のワーク収容部5に前記第1領域においてワーク50を収容させるとともに、ワーク撮像カメラ31、収容部撮像カメラ32およびピックアップロボット44を駆動させ、供給コンベア23上に載置されワーク供給経路を循環するワーク50を1つずつピックアップロボット44で保持し、回転円盤3の駆動によるワーク50の収容がなされていないワーク収容部5に前記第2領域においてワーク50を収容させ、ワーク50を支承板10に形成された開口からなるワーク排出部9において、各ワーク収容部5に形成された収容貫通孔6から1つずつワーク整列シュート22内へ抜落させ、通過させて前記排出コンベア21上へ整列させる。
【0064】
この場合、供給コンベア23上に供給され、搬送されるワーク50は、仕切り部材25にてワーク供給経路を遮って収容器供給口24へ導くようにすることでワーク収容器1内へ補給することができる。
【0065】
このように、回転円盤3を用いて多くのワーク収容部5へワーク50を収容させ、収容されていない空のワーク収容部5へはピックアップロボット44を用いてワーク50を収容させることで、全ワーク収容部5へのワーク50の収容が可能となる。ワーク収容部5に空きが無い状態で回転板4が回転すれば、ワーク排出部9からのワーク50の抜落並びにワーク整列シュート22内の通過タイミングは、前記回転板4の回転速度に合わせ、一定間隔とすることができる。
【0066】
また、この方法は高速かつ一定間隔で整列させることが求められるワーク50を搬送する場合に好適である。
【0067】
<第3搬送例>
回転円盤3と回転板4を駆動させ、回転円盤3の回転を利用して回転板4のワーク収容部5に前記第1領域においてワーク50を収容させ、ワーク50を支承板10に形成された開口からなるワーク排出部9において、各ワーク収容部5に形成された収容貫通孔6から1つずつワーク整列シュート22内へ抜落させ、通過させて前記排出コンベア21上へ整列させる。
【0068】
この場合、供給コンベア23上に供給され、搬送されるワーク50は、仕切り部材25にてワーク供給経路を遮って前記収容器供給口24へ導くようにすることでワーク収容器1内へ供給することができる。また、ワーク50のワーク収容部5への収容に回転円盤3を用いることで、一度に多くのワーク50を処理することができる。
【0069】
排出コンベア21に排出されるワーク50は必ずしも一定間隔とはならないので、この方法は、整列していることが求められるワーク50を、比較的大量に処理することが求められる場合に好適である。なお、この場合においては、ワーク排出部9の開口から排出コンベア21に至るまでの間(例えば、ワーク整列シュート22の中間部)に正立状態でワーク排出部9から排出された各ワーク50を一時的に滞留させる手段(バッファ)を設け、該手段から排出コンベア21上へ、一定間隔で流すようにすることで排出コンベア21上にワーク50を一定間隔で整列させることができる。
【0070】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0071】
例えば、本実施形態において、ワーク収容器を水平回転可能とし、回転板はこのワーク収容器の筒状側壁に連接させて、ワーク収容器とともに水平回転する構成としたが、ワーク収容器を固定とし、該ワーク収容部の外周方向にて回転板4のみが水平回転するように構成してもよい。そのような場合、回転体は円盤状に形成されていてもよい。
【0072】
また、当初より、前述の(2)のピックアップロボットを用いたワークの収容方法のみを採用することがわかっている場合には、回転円盤やその駆動系の配設を省略してもよい。
【0073】
さらに、ワーク50が上下の定めも無い正方体であるような場合、ワーク収容部の平面形状並びに収容貫通孔の形状は正方形とする等、ワーク収容部の形状は適宜、変更することができる。本発明のワーク搬送システムにおいては所望の形状のワーク収容部が形成された回転板に適宜取り替え可能とする。
【0074】
またさらに、ワーク撮像カメラ31の配設位置も本実施形態の配設位置に限るものではない。例えば、本実施形態のワーク搬送システムにおいて、ピックアップロボット44により、反時計回りに駆動する供給コンベア23上の
図1に符号23Bで示す方向へ搬送されているワーク50をトラッキングするようにしてもよい。その場合、ワーク撮像カメラ31の配設位置も適宜変更することができる。
【0075】
そして、ワーク搬送の効率を上げるべく、
図8に例示するように、1本の無端状の供給コンベア23とピックアップロボット44を共有するようにして、ワーク収容器1、回転板4、排出コンベア21等を複数台設ける構成とすることも可能である。