特許第6207877号(P6207877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207877
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】保管用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/46 20170101AFI20170925BHJP
   E05B 65/462 20170101ALI20170925BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20170925BHJP
   E05B 37/02 20060101ALI20170925BHJP
   E05B 37/16 20060101ALI20170925BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20170925BHJP
   A61J 1/14 20060101ALI20170925BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   E05B65/46 F
   A47B88/00 A
   E05B49/00 B
   E05B37/02 Z
   E05B37/16 Z
   E05B65/02 D
   A61J1/00 390R
   A61J3/00 310Z
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-103675(P2013-103675)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-224376(P2014-224376A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】508242296
【氏名又は名称】株式会社宮成製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】宮成 英昭
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−274029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0277571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下複数段に配設される複数個の合成樹脂製のトレーを有する複数のトレー群と、前記複数のトレー群を配列して収容するキャビネット本体と、このキャビネット本体に回動可能に装着される操作摘みの回動操作によって全ての前記トレーをロックするオールロック機構と、を具備する保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みは、前記キャビネット本体に取り付けられた操作制御部と接続されると共に、該操作制御部に設けられた入力部に入力された暗証番号によって回動可能に形成され、
前記トレー群の各トレーは、このトレーの側壁に上向きに開放する係止溝が設けられ、
前記オールロック機構は、前記操作摘みの回動部に連係されて水平方向に移動自在な横移動部材と、この横移動部材に設けられた複数の傾斜ガイド溝内にそれぞれ摺動自在に挿入される伝達ピン及び前記トレーの係止溝に係脱可能に係合する係止突起を一体に形成した合成樹脂製の縦移動部材と、を具備してなり、
前記縦移動部材は、前記伝達ピンと係止突起を有する上部縦分割部材と、前記係止突起を有する下部縦分割部材とで構成され、前記上部縦分割部材の下端に設けられた係止受け部に、前記下部縦分割部材の上端に設けられた係止部を係止して、前記上部縦分割部材と下部縦分割部材とを連接してなる、
ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項2】
請求項に記載の保管用キャビネットにおいて、
前記縦移動部材は、更に前記下部縦分割部材の下端に設けられた係止受け部に、別の下部縦分割部材の上端に設けられた係止部を係止して、前記下部縦分割部材同士を連接してなる、ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項3】
上下複数段に配設される複数個の合成樹脂製のトレーを有する複数のトレー群と、前記複数のトレー群を配列して収容するキャビネット本体と、このキャビネット本体に回動可能に装着される操作摘みの回動操作によって全ての前記トレーをロックするオールロック機構と、を具備する保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みは、前記キャビネット本体に取り付けられた操作制御部と接続されると共に、該操作制御部に設けられた入力部に入力された暗証番号によって回動可能に形成され、
前記トレー群の各トレーは、このトレーの側壁に上向きに開放する係止溝が設けられ、
前記オールロック機構は、前記操作摘みの回動部に連係されて水平方向に移動自在な横移動部材と、この横移動部材に設けられた複数の傾斜ガイド溝内にそれぞれ摺動自在に挿入される伝達ピン及び前記トレーの係止溝に係脱可能に係合する係止突起を一体に形成した合成樹脂製の縦移動部材と、を具備してなり、
前記横移動部材は合成樹脂製部材にて形成され、該横移動部材は前記キャビネット本体に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材に摺接可能に挿通され、
前記横移動部材は、それぞれ前記傾斜ガイド溝を有する複数の横分割部材を連接してなり、
連接される一方の前記横分割部材は、側方に開口する凹状溝と、該凹状溝の底面から側方に起立する係止突軸と、前記凹状溝の両側壁の対向面に突出する係止突部とを有し、連接される他方の前記横分割部材は、前記凹状溝内に挿入可能な係止突片を有し、該係止突片に、前記係止突軸が嵌合可能な嵌合孔と前記係止突起と係合可能な係止段部とを設ける、
ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みは、前記操作制御部と電気的に接続され、前記入力部はテンキーにて形成されている、ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みは、前記操作制御部に設けられた暗証番号入力用の複数のダイヤル又はプッシュボタンを有するダイヤル錠又はプッシュ錠と接続され、前記ダイヤル錠又はプッシュボタンに付された暗証番号の照合状態によって回動可能に形成されている、ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みの回動部は、回転中心から偏心したクランクピンを有し、前記横移動部材は、前記クランクピンを摺動自在に挿入する長孔を有し、かつ、前記長孔を設けた部分が、前記クランクピンの移動を許容する横断面が略ハット状に屈曲されている、ことを特徴とする保管用キャビネット。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の保管用キャビネットにおいて、
前記操作摘みの回動部は、回転運動を水平方向に変換するスライド板と、該スライド板に突設されるピンとを有し、前記横移動部材は、前記ピンを挿入する挿入孔を有する、ことを特徴とする保管用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保管用キャビネットに関するもので、更に詳細には、上下複数段に配設される複数の合成樹脂製のトレーを有する複数のトレー群を配列し、全てのトレーを同時にロックするロック機構を暗証番号やパスワードの入力によって作動させる保管用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャビネット本体に上下複数段に配設される透明合成樹脂製の複数のトレーを収容するシンプルなクリアトレーキャビネットが使用されている。出願人は、シンプル性を損なうことなく一つのキー操作によって複数のトレー群を配列したキャビネットの全てのトレーをロック・アンロックするオールロック機構を組み込むキャビネットを開発した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のキャビネットは、操作の利便性から薬剤の保管庫としての要望があり、特に老人保護施設や医療施設等の福祉施設において利用されており、収容される薬の種類や量等に応じて異なる段数の複数種類のキャビネットが使用されている。
【0004】
一般に、老人保護施設や医療施設等においては、複数の介護者が交代で介護している。そのため、各介護者はキャビネットの鍵を所持する必要があり、キー操作によってキャビネットの全てのトレーのロックを解除して、被介護者の所定のトレーに収容された薬剤を、所定時間、例えば毎食後や睡眠前に被介護者毎に処方された薬剤を渡している。
【0005】
一方、薬品を保管するキャビネットにおいては、薬品の保管の安全性の観点からテンキーからのパスワードや利用者IDの入力により電子錠を解錠して、薬品を取り出せるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、トレーに収容される収容物の保管の安全を図るために、ICカードやパスワードの入力により電子錠を施錠・解錠する電子錠式キャビネットも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−274029号公報(特許請求の範囲、図6
【特許文献2】特開2003−135565号公報(特許請求の範囲、図1
【特許文献3】特開2009−133063号公報(特許請求の範囲、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のキャビネットにおいては、複数の使用者例えば介護者毎に鍵を所持する必要があり、鍵の紛失によってトレー内の収容物が取り出せなくなる懸念がある。また、複数段のトレー群を複数配列したキャビネットの全てのトレーを同時にロック・アンロックするため、オールロック機構の作動部の構成部材を削減・軽量化して操作性の向上が望まれている。更には、収容される薬の種類や量等に応じて異なる段数の複数種類のキャビネットに対応したオールロック機構の改善が望まれている。
【0009】
特許文献2,3に記載のキャビネットにおいては、テンキーからのパスワードや利用者IDの入力により電子錠を解錠して、トレー内に収容された薬品や収容物を取り出せるようにしたものである。しかし、これにおいても使用者毎に電子錠の鍵やICカードが必要であり、鍵の紛失やICカードの紛失によってキャビネット内の収容物が取り出せなくなる懸念がある。また、特許文献2,3に記載のものにおいては、いずれも複数段のトレー群を複数配列したキャビネットの全てのトレーを同時にロック・アンロックするオールロック機構については言及されていない。
【0010】
この発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、使用者が鍵やICカード等を使用せずにパスワードの入力による操作摘みの操作によって複数のトレー群を配列したキャビネットの全てのトレーをロック・アンロックすることができると共に、オールロック機構の構成部材を削減・軽量化して操作性の向上を図れるようにした保管用キャビネットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、上下複数段に配設される複数個の合成樹脂製のトレーを有する複数のトレー群と、前記複数のトレー群を配列して収容するキャビネット本体と、このキャビネット本体に回動可能に装着される操作摘みの回動操作によって全ての前記トレーをロックするオールロック機構と、を具備する保管用キャビネットにおいて、 前記操作摘みは、前記キャビネット本体に取り付けられた操作制御部と接続されると共に、該操作制御部に設けられた入力部に入力された暗証番号によって回動可能に形成され、 前記トレー群の各トレーは、このトレーの側壁に上向きに開放する係止溝が設けられ、 前記オールロック機構は、前記操作摘みの回動部に連係されて水平方向に移動自在な横移動部材と、この横移動部材に設けられた複数の傾斜ガイド溝内にそれぞれ摺動自在に挿入される伝達ピン及び前記トレーの係止溝に係脱可能に係合する係止突起を一体に形成した合成樹脂製の縦移動部材と、を具備してなり、 前記縦移動部材は、前記伝達ピンと係止突起を有する上部縦分割部材と、前記係止突起を有する下部縦分割部材とで構成され、前記上部縦分割部材の下端に設けられた係止受け部に、前記下部縦分割部材の上端に設けられた係止部を係止して、前記上部縦分割部材と下部縦分割部材とを連接してなる、ことを特徴とする。
この場合、前記縦移動部材は、更に前記下部縦分割部材の下端に設けられた係止受け部に、別の下部縦分割部材の上端に設けられた係止部を係止して、前記下部縦分割部材同士を連接してもよい(請求項2)。
また、前記操作摘みは、前記操作制御部と電気的に接続され、前記入力部はテンキーにて形成することができる(請求項)。また、前記操作摘みは、前記操作制御部に設けられた暗証番号入力用の複数のダイヤル又はプッシュボタンを有するダイヤル錠又はプッシュ錠と接続され、前記ダイヤル錠又はプッシュボタンに付された暗証番号の照合状態によって回動可能に形成してもよい(請求項)。
【0012】
このように構成することにより、入力部に入力された暗証番号(パスワード)によって操作摘みを回動操作することによって、横移動部材を水平方向に移動し、横移動部材に設けられた傾斜ガイド溝と縦移動部材に一体に突設された伝達ピンとの係合によって複数の縦移動部材を鉛直方向(上下方向)に移動し、各縦移動部材に一体に突設された係止突起を各トレーの側壁に設けられた係止溝に係脱可能に係合することができる。また、縦移動部材は、伝達ピン及びトレーの係止溝に係脱可能に係合する係止突起を一体に形成した合成樹脂製部材にて形成されているので、構成部材の削減が図れると共に、縦移動部材の軽量化が図れる。
【0014】
また、請求項1,2に記載の発明によれば、縦移動部材を伝達ピンと係止突起を有する上部縦分割部材と、係止突起を有する1又は複数の下部縦分割部材とで構成することができ、トレー群のトレーの段数に応じた係止突起を有する縦移動部材をオールロック機構に用いることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上下複数段に配設される複数個の合成樹脂製のトレーを有する複数のトレー群と、前記複数のトレー群を配列して収容するキャビネット本体と、このキャビネット本体に回動可能に装着される操作摘みの回動操作によって全ての前記トレーをロックするオールロック機構と、を具備する保管用キャビネットにおいて、 前記操作摘みは、前記キャビネット本体に取り付けられた操作制御部と接続されると共に、該操作制御部に設けられた入力部に入力された暗証番号によって回動可能に形成され、 前記トレー群の各トレーは、このトレーの側壁に上向きに開放する係止溝が設けられ、 前記オールロック機構は、前記操作摘みの回動部に連係されて水平方向に移動自在な横移動部材と、この横移動部材に設けられた複数の傾斜ガイド溝内にそれぞれ摺動自在に挿入される伝達ピン及び前記トレーの係止溝に係脱可能に係合する係止突起を一体に形成した合成樹脂製の縦移動部材と、を具備してなり、 前記横移動部材は合成樹脂製部材にて形成され、該横移動部材は前記キャビネット本体に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材に摺接可能に挿通され、 前記横移動部材は、それぞれ前記傾斜ガイド溝を有する複数の横分割部材を連接してなり、 連接される一方の前記横分割部材は、側方に開口する凹状溝と、該凹状溝の底面から側方に起立する係止突軸と、前記凹状溝の両側壁の対向面に突出する係止突部とを有し、連接される他方の前記横分割部材は、前記凹状溝内に挿入可能な係止突片を有し、該係止突片に、前記係止突軸が嵌合可能な嵌合孔と前記係止突起と係合可能な係止段部とを設ける、ことを特徴とする
【0016】
このように構成することにより、横移動部材を軽量にすることができると共に、水平方向の移動を円滑にすることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の横分割部材を連接して横移動部材を構成することができ、配列されたトレー群の数に応じたキャビネットに対応させて横移動部材を組み込むことができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の保管用キャビネットにおいて、前記操作摘みの回動部は、回転中心から偏心したクランクピンを有し、前記横移動部材は、前記クランクピンを摺動自在に挿入する長孔を有し、かつ、前記長孔を設けた部分が、前記クランクピンの移動を許容する横断面が略ハット状に屈曲されている、ことを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、操作摘みを回動操作すると、クランクピンが回転中心の同心円上を移動しつつ横移動部材に設けられた長孔内を摺動することで、横移動部材を水平方向に移動することができる。この場合、横移動部材における長孔を設けた部分が、クランクピンの移動を許容する横断面が略ハット状に屈曲されることで、操作摘みの回動部とクランクピンを屈曲部内に収容することができるので、操作摘みと横移動部材との隙間を小さくすることができる。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の保管用キャビネットにおいて、前記操作摘みの回動部は、回転運動を水平方向に変換するスライド板と、該スライド板に突設されるピンとを有し、前記横移動部材は、前記ピンを挿入する挿入孔を有する、ことを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、操作摘みを回動操作すると、回動部の回転運動が水平方向に変換されてスライド板が水平移動することで、スライド板に突設されたピンが挿入された挿入孔を有する横移動部材を水平方向に移動することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、前記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0024】
使用者は鍵やICカード等を必要とせずに、暗証番号(パスワード)の入力により一つの操作摘みの操作によって複数のトレー群を配列したキャビネットの全てのトレーをロック・アンロックすることができると共に、オールロック機構の作動部の構成部材を削減・軽量化して操作性の向上を図ることができる。
【0025】
また、縦移動部材を伝達ピンと係止突起を突設した上部縦分割部材と係止突起を突設した1又は複数の下部縦分割部材とを連接する構成とすることで、トレーの異なる段数に応じた長さのトレー群の縦移動部材を用意することなく、複数の上部縦分割部材と下部縦分割部材とを組み合わせて異なる段数に応じた縦移動部材を用いて、トレーの異なる段数のキャビネットの組立を容易にすることができる。
【0026】
更に、横移動部材を合成樹脂製部材にて形成すると共に、横移動部材をキャビネット本体に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材に摺接可能に挿通することにより、横移動部材を軽量にすることができると共に、水平方向の移動を円滑にすることができる。この場合、横移動部材を、それぞれ傾斜ガイド溝を有する複数の横分割部材を連接して構成することにより、配列されたトレー群の数に応じたキャビネットに対応させて横移動部材を組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明に係る保管用キャビネットの一例を示す斜視図である。
図1A】この発明におけるテンキーと操作摘みを示す概略構成図である。
図1B】この発明におけるテンキーを有する操作制御部の内部構成を示すブロック図である。
図2】この発明に係る保管用キャビネットのロック状態を示す正面図(a)、その概略横断面図(b)及びロック状態を示す要部断面図(c)である。
図3】この発明に係る保管用キャビネットのアンロック状態を示す正面図(a)及びその概略横断面図(b)である。
図4】この発明におけるオールロック機構のロック状態を示す概略平面図(a)及びその概略正面図(b)である。
図5】この発明におけるオールロック機構のアンロック状態を示す概略平面図(a)及びその概略正面図(b)である。
図6】この発明における縦移動部材、横移動部材及びガイド枠部材を示す分解斜視図である。
図7】この発明におけるトレーの係止溝と縦移動部材の係止突起の係合状態を示す断面図(a)及び(a)のI−I線に沿う断面図(b)である。
図8】この発明における縦移動部材の一例を示す正面図(a)及び(a)のII−II線に沿う拡大断面図(b)である。
図9】この発明における上部縦分割部材の正面図(a),背面図(b)、平面図(c)、左側面図(d)、右側面図(e)、(b)のIII部拡大図(f)及び(f)のIV−IV線に沿う断面図(g)である。
図10】この発明における第1の下部縦分割部材の正面図(a),背面図(b)、左側面図(c)及び(c)のV部拡大図(d)である。
図11】この発明における第2の下部縦分割部材の正面図(a),背面図(b)及び左側面図(c)である。
図12】この発明における縦移動部材の変形例を示す正面図である。
図13】この発明における縦移動部材の別の変形例を示す正面図(a)及び(a)のVI−VI線に沿う拡大断面図(b)である。
図14】この発明における横移動部材を構成する横分割部材の一方の連接部を示す斜視図(a)及び他方の連接部を示す斜視図(b)である。
図15】この発明における操作摘みの別の形態によるロック状態を示す概略平面図(a)及びその概略正面図(b)である。
図16】この発明における操作摘みの別の形態によるアンロック状態を示す概略平面図(a)及びその概略正面図(b)である。
図17】この発明に係る保管用キャビネットの別の実施形態を示す正面図である。
図18図17の概略横断面図である。
図19】この発明における操作摘みとダイヤル錠を示す斜視図である。
図19A】この発明における操作摘みとプッシュ錠を示す斜視図である。
図20】この発明における横移動部材の別の実施形態を示す分解正面斜視図である。
図21】この発明における横移動部材の別の実施形態を示す分解背面斜視図である。
図22】前記横移動部材を構成する横分割部材を連結するスライドキャップを示す背面図(a)及び(a)のVII−VII線に沿う断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、この発明に係る保管用キャビネット(以下にキャビネットという)の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、キャビネットを薬剤保管用キャビネットに適用した場合について説明する。
【0029】
この発明に係るキャビネット1は、図1ないし図3に示すように、上下複数段(図面では5段の場合を示す)に配設される複数個(図面では15個の場合を示す)の合成樹脂製のトレー20を有する複数例えば3個のトレー群2と、これら複数のトレー群2を横方向に配列して収容するキャビネット本体10と、キャビネット本体10の正面上部に回動可能に装着される操作摘み31の回動操作すなわち施錠・解錠操作(ロック・アンロック操作)によって全てのトレー20をロックするオールロック機構30と、キャビネット本体10の正面上部に取り付けられるテンキーである入力部4を有する操作制御部3と、を具備している。操作制御部3は、配線9を介して操作摘み31と電気的に接続されており、入力部に入力されたパスワードによって操作摘み31が回動可能に形成されている。
【0030】
この場合、操作制御部3は、図1A及び図1Bに示すように、テンキーである入力部4と、入力部4から入力されたパスワードを記憶部5に記憶(登録)された情報と比較演算処理するCPUを有する制御部6と、外部電源又は充電池に接続するUSBプラグが接続可能なUSBコネクタ8を有する充電可能な電池7と、を具備している。このように構成される操作制御部3において、入力部4からパスワードを入力すると、記憶部5に予め登録された情報と一致した場合に制御部6から制御信号が操作摘み31に伝達され、操作摘み31に内蔵されたソレノイド(図示せず)が作動して操作摘み31が回動可能になる。
【0031】
各トレー20は、図1図2図3及び図7に示すように、前壁22の上端に前方に向かって円弧状に傾斜する取手24が設けられている。この場合、取手24には見出し部21が設けられている。なお、取手24は必ずしも円弧状に傾斜する形状でなくてもよく、円弧状以外の形状でもよい。また、見出し部21を取手24の一部に設けるようにしてもよい。このように構成されるトレー20内には、例えば薬剤を収容した小分け用の仕切箱20aが取り出し可能に収容されている。
【0032】
また、トレー20の手前側の一方の側壁23には、後述するオールロック機構30の係止突起52と係脱可能に係合する上向きに開放する係止溝25が設けられている。この場合、係止溝25は上向きコ字状に形成されている。なお、係止溝25を上向きコ字状以外の形状例えばV字状,U字状に形成してもよい。
【0033】
前記オールロック機構30は、図2図3図7に示すように、操作摘み31と、この操作摘み31における回動部33の回転中心から偏心したクランクピン34を介して連係され、水平方向に移動自在な合成樹脂製の横移動部材40と、この横移動部材40に設けられた複数(図面では3個の場合を示す)の傾斜ガイド溝41内にそれぞれ摺動自在に挿入される伝達ピン51を突設すると共に、トレー20の係止溝25に係脱可能に係合する係止突起52を突設する複数の合成樹脂製の縦移動部材50と、を具備している。
【0034】
この実施形態では、縦移動部材50は、図8に示すように、伝達ピン51と2個の係止突起52を有する上部縦分割部材60と、3個の係止突起52を有する第1の下部縦分割部材61とを連接してなる。
【0035】
この場合、上部縦分割部材60は、図6図8及び図9に示すように、断面略コ字状の上部基部63の上端部の正面の半分に設けられた段部63aの側面に伝達ピン51を突設し、上部基部63の正面の上部側と下部側の2箇所に扁平矩形状の係止突起52が互いに平行に突設されている。この係止突起52は、各段のトレー20の高さに合わせたピッチ間隔をおいて設けられている。なお、段部63aの伝達ピン51の背部側には三角形状の補強用リブ63bが設けられている。
【0036】
また、上部基部63の正面中央部には上部縦分割部材60の長手方向に沿う縦長孔54が穿設されている。なお、上部基部63の背面側には上部縦分割部材60の長手方向に沿う直状部とこの直状部と基部側壁とを連結する傾斜部とからなる補強リブ64が設けられている。
【0037】
また、上部縦分割部材60の下端には、第1の下部縦分割部材61に設けられた後述する係止部71が係合可能な係止受け部65が設けられている。この場合、係止受け部65は、上部基部63の正面より後方側(裏面側)に位置する一対の垂下片66,66と両垂下片66,66の下端部に連結して垂下片66の外方に延在する水平片67とからなる開口部68と、上部基部63の正面下端から開口部68側に向かって突出する突起69とで構成されている。
【0038】
一方、第1の下部縦分割部材61は、図8及び図10に示すように、断面略コ字状の下部基部70の上端に係止部71を突設し、下部基部70の正面の上部側、中間部及び下部側の3箇所に扁平矩形状の係止突起52が互いに平行に突設されている。この係止突起52は、各段のトレー20の高さに合わせたピッチ間隔をおいて設けられている。
【0039】
この場合、係止部71は、下部基部70の正面上端から裏面側に向かって屈曲され上端が先端側から基端側に向かって上り勾配の傾斜面を有する係止爪72と、係止爪72の下方の下部基部70の上端部に水平状に設けられ、上部縦分割部材60の係止受け部65の水平片67の下面に当接する水平当接片73とで構成されている。
【0040】
また、第1の下部縦分割部材61の下端には、前記上部縦分割部材60と同様の係止受け部65が設けられている。また、下部基部70の正面中央より下部側には第1の下部縦分割部材61の長手方向に沿う縦長孔54が穿設されている。なお、下部基部70の背面側には、上部縦分割部材60と同様に第1の下部縦分割部材61の長手方向に沿う直状部とこの直状部と基部側壁とを連結する傾斜部とからなる補強リブ64が設けられている。
【0041】
前記のように構成される上部縦分割部材60と第1の下部縦分割部材61とを連接するには、図8(b)に示すように、第1の下部縦分割部材61の水平当接片73を上部縦分割部材60の係止受け部65の水平片67の下面に当接すると共に、係止爪72を上部縦分割部材60の上部基部63の正面下端から開口部68側に向かって突出する突起69に係合させることで、上部縦分割部材60と第1の下部縦分割部材61とを直線状に連接することができる。
【0042】
前記のようにして形成された縦移動部材50に一体に設けられた伝達ピン51は横移動部材40に設けられた傾斜ガイド溝41内に摺動自在に挿入され、横移動部材40の水平移動に追従して傾斜ガイド溝41内を移動し、この移動に伴って縦移動部材50を鉛直方向(上下方向)に移動する。この際、伝達ピン51と横移動部材40はいずれも合成樹脂製部材で形成されているため、伝達ピン51と横移動部材40の相対移動の際の摩擦による摩耗を抑制することができると共に、横移動部材40と縦移動部材50の移動を円滑にすることができる。
【0043】
また、縦移動部材50は、図7に示すように、キャビネット本体10に収容されるトレー群2の側部に配置された側枠部材11に設けられた凹溝12内に上下移動自在に収容されている。また、縦移動部材50の表面の長手方向の中央部に設けられた縦長孔54内には、側枠部材11に突設されたガイドピン55が摺動自在に嵌挿されている。この場合、ガイドピン55は、凹溝12の底部に穿設された貫通孔13を貫通し、底部裏面に溶接によって固定されたナット14に螺合される金属ねじによって形成されている。なお、この場合、ガイドピン55に、縦長孔54内に摺接可能な合成樹脂製のカラー56を嵌装することにより、合成樹脂製の縦移動部材50と金属製のガイドピン55が擦れる際の摩擦によって縦移動部材50が摩耗するのを防止することができると共に、縦移動部材50の移動を円滑にすることができる。
【0044】
前記のようにして、縦移動部材50の鉛直方向(上下方向)の移動に伴って係止突起52が上下移動することにより、各段のトレー20の高さに合わせたピッチ間隔をおいて設けられた係止突起52がトレー20の側壁23に設けられた係止溝25に係合してトレー20を施錠状態(ロック状態)にし(図7参照)、また、係止溝25との係合が解かれてトレー20を解錠状態(アンロック状態)にする。
【0045】
前記実施形態では、縦移動部材50が、2個の係止突起52を有する上部縦分割部材60と、3個の係止突起52を有する第1の下部縦分割部材61とを連接して5段のトレー20を収容するキャビネット1について説明したが、5段以外のトレー20を収容するキャビネット1にも適用できる。
【0046】
例えば、図11に示すように、各段のトレー20の高さに合わせたピッチ間隔をおいて設けられた4個の係止突起52を有する第2の下部縦分割部材62を上部縦分割部材60に連接して6段のトレー20を収容するキャビネット1に適用することができる(図12(a)参照)。また、上部縦分割部材60の下部に2つの第1の下部縦分割部材61を連接して8段のトレー20を収容するキャビネットにも適用でき(図12(b)参照)、又は、上部縦分割部材60の下部に2つの第2の下部縦分割部材62を連接して10段のトレー20を収容するキャビネットにも適用できる(図12(c)参照)。更には、上部縦分割部材60の下部に第1の下部縦分割部材61と第2の下部縦分割部材62の任意を連接して8段,10段以外の段数のトレー20を収容するキャビネットにも適用できる。
【0047】
一方、横移動部材40は、合成樹脂製の板状部材にて形成されている。この横移動部材40には、操作摘み31の回動部33のクランクピン34を摺動自在に挿入する垂直状の長孔40aと、正面視において左側が下方に位置する前記傾斜ガイド溝41が設けられている。
【0048】
この場合、横移動部材40は、長孔40aを設けた部分が、クランクピン34の移動を許容する横断面が略ハット状の屈曲部45が形成されている。このように横移動部材40に屈曲部45を形成することにより、操作摘み31の回動部33とクランクピン34を屈曲部45内に収容することができるので、操作摘み31と横移動部材40との隙間を小さくすることができる。なお、横移動部材40の屈曲部45に強度をもたせるには、図4及び図5に二点鎖線で示すように屈曲部45の角部に三角形状の補強用リブ43を設ければよい。
【0049】
なお、操作摘み31の回動部33にクランクピン34を設ける代わりに、図15及び図16に示すように、回動部33の回転運動を水平方向に変換するスライド板35と、該スライド板35に突設されるピン36とを有する操作摘み31Aを用いてもよい。この場合、横移動部材40は、ピン36を挿入する挿入孔40bを有する直状板部材に形成される。
【0050】
この実施形態では、横移動部材40は、図13に示すように、それぞれ傾斜ガイド溝41を有する複数例えば3個の横分割部材80L,80C,80Rを連接して構成されている。すなわち、テンキー(入力部4)を有する操作制御部3が取り付けられる中央のトレー群2が位置する中央横分割部材80Cの左側に左側のトレー群2が位置する左横分割部材80Lを連接し、中央横分割部材80Cの右側に右側のトレー群2が位置する右横分割部材80Rを連接してなる。
【0051】
次に、横分割部材80L,80C,80Rの連接構造について、図13及び図14を参照して、中央横分割部材80Cと右横分割部材80Rを代表して説明する。
【0052】
連接される一方の中央横分割部材80Cは、側方に開口する凹状溝81と、該凹状溝81の底面から側方に起立する係止突軸82と、凹状溝81の両側壁81aの対向面に突出する係止突部83とを有している。なお、凹状溝81の底部における係止突起83と対向する部位には、開口窓81bが設けられている。このように開口窓81bを設けることにより、凹状溝81部に弾性をもたせることができ、両係止突部83間が対向方向に変位可能となる。
【0053】
一方、連接される他方の右横分割部材80Rは、凹状溝81内に挿入可能な扁平矩形状の係止突片84を有し、該係止突片84に、係止突軸82が嵌合可能な嵌合孔85と係止突部83と係合可能な係止段部86とが設けられる。
【0054】
前記のように形成される中央横分割部材80Cの凹状溝81内に右横分割部材80Rの係止突片84を挿入して、係止突軸82と嵌合孔85とを嵌合すると共に、係止突部83と係止段部86とを係合して中央横分割部材80Cと右横分割部材80Rとを連接する。
【0055】
中央横分割部材80Cと左横分割部材80Lの連接も同様に行うことができる。すなわち、左横分割部材80Lの凹状溝81内に中央横分割部材80Cの係止突片84を挿入して、係止突軸82と嵌合孔85とを嵌合すると共に、係止突部83と係止段部86とを係合して中央横分割部材80Cと左横分割部材80Lとを連接する。
【0056】
このように横移動部材40を横分割部材80L,80C,80Rを連接して構成することにより、配列されたトレー群2の数に応じたキャビネット1に対応させて横移動部材を組み込むことができる。なお、トレー群2の配列を増やして4列以上にする場合は、左横分割部材80L又は右横分割部材80Rに増設する横分割部材を同様に連接すればよい。
【0057】
前記横分割部材80L,80C,80Rを連接してなる横移動部材40は、キャビネット本体10の上辺部に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材42に設けられた扁平矩形状のガイド孔42aに摺接可能に嵌挿されている。
【0058】
このように、合成樹脂製の横移動部材40と合成樹脂製のガイド枠部材42とを摺接可能に形成することにより、施錠・解錠時(ロック・アンロック時)の横移動部材40の移動を円滑にすることができる。
【0059】
次に、この発明に係るキャビネット1のトレー20に収容された薬剤の取り出しの手順について説明する。
【0060】
図2に示すトレー20がロック状態にあるとき、まず、使用者例えば介護者が入力部4にパスワードを入力すると、操作制御部3の記憶部5に予め登録(記憶)されたパスワードと一致した場合は操作摘み31が回動可能となる。そこで、図3に示すように、操作摘み31を回動操作して反時計方向に回転すると、操作摘み31の回動部33の回動に伴って横移動部材40が左方向に移動する。横移動部材40が左方向に移動することにより、伝達ピン51が傾斜ガイド溝41の右側の上部側に移動し、縦移動部材50を上方に移動する。この縦移動部材50の上方への移動に伴って係止突起52も上方へ移動し、係止溝25と係止突起52の係合が解除され、オールロック状態の全てのトレー20が解錠(アンロック)される。
【0061】
トレー20が解錠(アンロック)されたら、介護者は所定のトレー20を引き出してトレー20内に収容された所定の仕切箱20aを取り出して、取り出した仕切箱20a内の薬剤を被介護者に渡すことができる。
【0062】
トレー20内の薬剤を取り出した後、新たな薬剤を補充した仕切箱20aをトレー20内に収容してトレー20を元の位置に納めた後、操作摘み31を時計方向に回転すると、操作摘み31の回動部33の回動に伴って横移動部材40が右方向に移動する。横移動部材40が右方向に移動することにより、伝達ピン51が傾斜ガイド溝41の左側の下部側に移動し、縦移動部材50を下方に移動する。この縦移動部材50の下方への移動に伴って係止突起52も下方へ移動し、係止溝25に係止突起52が係合し、アンロック状態の全てのトレー20が施錠(ロック)される(図2図7(a)参照)。
【0063】
前記実施形態のキャビネット1によれば、例えば介護者は鍵やICカードを用いることなく、入力部4に入力されたパスワードによって操作摘み31を回動操作することによって複数のトレー群2を配列したキャビネット1の全てのトレー20を施錠・解錠(ロック・アンロック)することができる。したがって、交代で介護を行う複数の介護者が各々鍵を所持することなく、キャビネット1内のトレー20に収容された薬剤の管理を安全に行うことができる。
【0064】
また、実施形態のキャビネット1によれば、縦移動部材50を伝達ピン51と係止突起52を一体に突設した合成樹脂製部材にて形成することにより、構成部材の削減が図れると共に、軽量化が図れる。更に、横移動部材40を合成樹脂製部材にて形成すると共に、合成樹脂製のガイド枠部材に摺接可能に挿通するので、構成部材の削減が図れると共に、軽量化が図れる。したがって、多数のトレー20を有するキャビネット1においても、操作摘み31の回動操作によって全てのトレー20の施錠・解錠操作(ロック・アンロック操作)を容易に行うことができる。
【0065】
また、縦移動部材50を伝達ピン51と係止突起52を有する上部縦分割部材60と、係止突起52を有する1又は複数の下部縦分割部材61,62とで構成することで、トレー群2のトレー20の段数に応じた係止突起52を有する縦移動部材50をオールロック機構に用いることができる。例えば、上部縦分割部材60と第1の下部縦分割部材61及び又は第2の下部縦分割部材62とを連接するか、あるいは、上部縦分割部材60と第1の下部縦分割部材61同士又は第2の下部縦分割部材62同士とを連接することで、例えば5段,6段,8段又は10段等のトレー群2を配列したキャビネット1とすることができる。
【0066】
更に、横移動部材40を合成樹脂製部材にて形成すると共に、横移動部材40をキャビネット本体10に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材42に摺接可能に挿通することにより、横移動部材40を軽量にすることができると共に、水平方向の移動を円滑にすることができる。この場合、横移動部材40を、それぞれ傾斜ガイド溝41を有する複数の横分割部材80C,80L,80Rを連接して構成することにより、配列されたトレー群2の数に応じたキャビネット1に対応させて横移動部材40を組み込むことができる。
【0067】
なお、前記実施形態では、操作制御部3が操作摘み31と電気的に接続するテンキー4(入力部)を有する場合について説明したが、別の操作制御部をキャビネット本体に組み込んでもよい。
【0068】
例えば、図17図19に示すように、操作制御部3Bに設けられる入力部を、暗証番号入力用の複数のダイヤル4a1〜4a4を有する公知のダイヤル錠4Bにて構成し、ダイヤル錠4Bと操作摘み31Bが一体となるように接続してもよい。
【0069】
このように構成される操作制御部3Bによれば、ダイヤル4a1〜4a4に付された暗証番号の照合状態によって操作摘み31Bを回動可能にすることができ、前記実施形態と同様に、操作摘み31Bの回動操作によってオールロック機構30を施錠・解錠(ロック・アンロック)することができる。なお、操作制御部3Bの操作摘み31Bにはダイヤル4a1〜4a4の暗証番号を解除するキー(図示せず)の解除用鍵穴4bが設けられている。図17図19において、その他の部分は前記実施形態と同じであるので、同一部分には同一補号を付して説明は省略する。
【0070】
また、前記ダイヤル錠4Bに代えて図19Aに示すようなプッシュ錠4Cを用いてもよい。すなわち、操作制御部3Cに設けられる入力部を、暗証番号入力用の複数のプッシュボタン4cを有する公知のプッシュ錠4Cにて構成し、プッシュ錠4Cと操作摘み31Cが一体となるように接続してもよい。
【0071】
このように構成される操作制御部3Cによれば、プッシュボタン4cに付された暗証番号の照合状態によって操作摘み31Cを回動可能にすることができ、前記実施形態と同様に、操作摘み31Cの回動操作によってオールロック機構30を施錠・解錠(ロック・アンロック)することができる。なお、操作制御部3Cの操作摘み31Bにはプッシュボタン4cの暗証番号を解除するキー(図示せず)の解除用鍵穴4bが設けられている。図19Aにおいて、その他の部分は前記実施形態と同じであるので、同一部分には同一補号を付して説明は省略する。
【0072】
また、前記実施形態では、横移動部材40及び横移動部材を構成する分割部材すなわち中央横分割部材80C,左横分割部材80L,右横分割部材80Rが合成樹脂製部材にて形成される場合について説明したが、横移動部材を例えばスチールあるいはアルミニウム等の金属製の板状バーにて形成してもよい。この場合、図20図22に示すように、横移動部材40Aは、例えばスチールあるいはアルミニウム等の金属製の板状バーにて形成される複数の横分割部材80を合成樹脂製のスライドキャップ46によって直状に連接されている。この場合、スライドキャップ46は、図22に示すように、断面略コ字状の凹溝状基部46aの底部の左右2箇所に円柱状の係止突軸46bを突設し、凹溝状基部46aの対向する両側壁の対向面に係止爪部46cを突設してなる。また、凹溝状基部46aの底部における係止爪部46cと対向する部位には、開口窓46dが設けられている。このように開口窓46dを設けることにより、凹溝状基部46aに弾性をもたせることができ、両係止爪部46c間が対向方向に変位可能となる。
【0073】
一方、横分割部材80の接合側端部には、係止突軸46bが嵌合可能な嵌合孔80aが設けられている。
【0074】
横分割部材80同士を連接するには、スライドキャップ46の凹溝状基部46a内に係止爪部46cを乗り越えて横分割部材80の端部を挿入すると共に、嵌合孔80aを係止突軸46bに嵌合して横分割部材80同士を連接することができる。
【0075】
なお、横分割部材80には、錠前31の回動部33のクランクピン34を摺動自在に嵌挿する垂直状の長孔40aと、傾斜ガイド溝41が設けられている。これら長孔40aと傾斜ガイド溝41の内周縁部には、夫々合成樹脂製の摺動案内枠部材40c,41aが装着されている。このように構成することにより、クランクピン34と長孔40aの摺動を円滑にすると共に、伝達ピン51aと傾斜ガイド溝41の摺動を円滑にすることができる。
【0076】
また、横分割部材80を連接するスライドキャップ46は、キャビネット本体10の上辺部に取り付けられた合成樹脂製のガイド枠部材42に設けられた扁平矩形状のガイド孔42aの内面に摺接可能に形成されている。
【0077】
このように、金属材料にて形成される横移動部材40A(横分割部材80)に被着される合成樹脂製のスライドキャップ43と合成樹脂製のガイド枠部材42とを摺接可能に形成することにより、横移動部材40A(横分割部材80)に剛性をもたせることができると共に、施錠・解錠時(ロック・アンロック時)の横移動部材40の移動を円滑にすることができ、かつ、金属製横移動部材40A(横分割部材80)の移動の際に発生する擦れによる金属音を防止することができる。
【0078】
なお、前記実施形態では、この発明に係るキャビネットを薬剤の保管用に適用した場合について説明したが、この発明に係るキャビネットは、薬剤以外の収容物の保管用にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 キャビネット
2 トレー群
3,3B,3C 操作制御部
4 入力部
4B ダイヤル錠(入力部)
4C プッシュ錠(入力部)
10 キャビネット本体
20 トレー
23 側壁
25 係止溝
30 オールロック機構
31,31A,31B,31C 操作摘み
33 回動部
35 スライド板
36 ピン
40 横移動部材
40a 長孔
40b 挿入孔
41 傾斜ガイド溝
42 ガイド枠部材
45 屈曲部
50 縦移動部材
51 伝達ピン
52 係止突起
60 上部縦分割部材
61 第1の縦分割部材
62 第2の縦分割部材
65 係止受け部
71 係止部
80 横分割部材
80C 中央横分割部材
80L 左横分割部材
80R 右横分割部材
81 凹状溝
82 係止突軸
83 係止突部
84 係止突片
85 嵌合孔
86 係止段部

図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図19A
図20
図21
図22