特許第6207896号(P6207896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207896プラスチックキャップ及びキャップ付ポリエステルボトル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207896
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】プラスチックキャップ及びキャップ付ポリエステルボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B65D41/04 200
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-136888(P2013-136888)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-9853(P2015-9853A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】中村 真
(72)【発明者】
【氏名】小宮 温
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 伴成
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−109105(JP,A)
【文献】 特開2005−053580(JP,A)
【文献】 特開2005−104538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂板部と、頂板部周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該スカート状側壁の内面には、容器口部外面に形成された雄螺子条に螺合される雌螺子条が形成されており、該頂板部内面には、容器口部先端の上面から内面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングと、容器口部先端の上面から外面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の外面に密着してシールを形成するアウターリングとが形成されているプラスチックキャップを耐圧性容器に装着して成るプラスチックキャップ付容器であって、
前記容器口部にキャップを装着した状態において容器口部先端の上面とキャップ頂板部内面の間に環状の空隙を形成されており、
前記アウターリングの内面側付け根部には、容器口部の上端面から外側面にかけての角部に密着してシールを形成する環状傾斜部が形成されており、該環状傾斜部の傾斜角度がキャップの軸方向に対して40乃至50°であることを特徴とするプラスチックキャップ付容器
【請求項2】
前記容器がポリエステルボトルであり、該ボトルの口部先端の上面から内面にかけての角部に、環状の切欠きが形成されることにより段差部が形成されている請求項1記載のプラスチックキャップ付容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックキャップ及びこのキャップを適用してなるキャップ付容器に関し、より詳細には、巻締め性及び開栓性に優れていると共に、耐圧性ポリエステルボトルに適用された場合に優れた密封性及び耐落下衝撃性を発現可能なプラスチックキャップ及びキャップ付ポリエステルボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックキャップとしてライナー材が形成されていないワンピースタイプのキャップは従来より公知であり、このようなプラスチックキャップは、容器口部壁にキャップが装着された状態において、容器口部壁の上端部分が、インナーリングとアウターリングとの間に入り込み、その上端面には、環状突起(コンタクトリング)が当接し、アウターリング及び環状突起、或いはインナーリング、アウターリング及び環状突起との3点保持により、容器内部の密封性が確保されている(特許文献1等)。
【0003】
しかしながら、このようなインナーリング及びアウターリング、或いは更にインナーリングとアウターリングの間に位置するコンタクトリングが形成された、ライナー材がないプラスチックキャップ(ワンピースキャップ)を、炭酸飲料等の自生圧力を有する内容物が充填されたボトルに使用すると、密封性に劣るという問題がある。すなわち、容器内の内圧によって、キャップの頂板部がドーム状に変形し、これに伴い、インナーリングやアウターリングの変形も生じ、インナーリングやアウターリングとの間に挿入されている容器口部の上端部分との密着性が損なわれ、その結果として密封性が低下するという問題がある。
【0004】
またプラスチックボトルの成形に用いられるプリフォームは、生産工程或いは輸送工程などにおいて、口部先端内周面に微小な傷がつくことがあるが、ライナー付2ピースキャップとの組み合わせでは密封性の影響が少ない。しかし、口部先端内周面に傷がついたボトルにワンピースタイプのキャップを使用すると、キャッピングの際にキャップのシール部が容器口部の微小な傷によって傷がつき、密封性を損なうおそれがある。
このような問題を解決するために、プラスチックボトルの口部先端内周面に傷がついていた場合でも、キャッピングの際にキャップのインナーリングのシール部に傷がつくことが防止されたワンピースキャップも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−109105号公報
【特許文献2】特開2005−104538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2のように、断面形状がくの字形のインナーリングでは、キャップを容器に効率よくキャッピングすることが困難である。
また、口部先端に微小な傷がついたプラスチックボトルに自生圧力を有する内容物を充填する場合であっても、キャッピング時の巻締めに際して通常の巻締め量よりも更に回転角30度程度巻締めが追加できれば、密封性を確保できるが、インナーリング、アウターリング及び環状突起が形成されたワンピースタイプのプラスチックキャップでは、環状突起の存在により追加の巻締めを十分に行うことは困難であった。その一方、環状突起は、閉栓状態のキャップを容器口部に安定的に載置し、インナーリング及びアウターリングと共に密封性を確保する上で重要な役割を持っていることから、単純に除去することは困難である。
【0007】
更に、炭酸飲料等の容器への充填・密封に際して、炭酸ガスを容器内に効率よく充填するために低温環境下で充填された後、充填密封済みの容器は室温に暖められることから、容器の内圧が大きくなり、一定の開栓性が得られないという問題がある。特にインナーリング、アウターリング、環状突起を有するプラスチックキャップにおいては、内圧の程度によって開栓性が異なることから、開栓トルクが容器のガスボリュームやウォーマー温度に依存することなく、一定の開栓性を確保できることが望まれている。
更にまた、プラスチックボトルに炭酸飲料等の自生圧力を有する内容物を充填し密封した場合には、落下衝撃によりキャップにかかる力が大きいことから、キャップには高い密封性と共に耐落下衝撃性も要求される。
【0008】
従って、本発明の目的は、巻締め性及び開栓性に優れていると共に、容器口部先端に傷がついたプラスチックボトルに適用された場合にも優れた密封性を発現可能なプラスチックキャップを提供することである。
本発明の他の目的は、自生圧力を有する内容物を充填した場合にも、優れた密封性、開栓性及び耐落下衝撃性を有するキャップ付プラスチックボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、頂板部と、頂板部周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該スカート状側壁の内面には、容器口部外面に形成された雄螺子条に螺合される雌螺子条が形成されており、該頂板部内面には、容器口部先端の上面から内面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリングと、容器口部先端の上面から外面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の外面に密着してシールを形成するアウターリングとが形成されているプラスチックキャップを耐圧性容器に装着して成るプラスチックキャップ付容器であって、
前記容器口部にキャップを装着した状態において容器口部先端の上面とキャップ頂板部内面の間に環状の空隙を形成されており、
前記アウターリングの内面側付け根部には、容器口部の上端面から外側面にかけての角部に密着してシールを形成する環状傾斜部が形成されており、該環状傾斜部の傾斜角度がキャップの軸方向に対して40乃至50°であることを特徴とするプラスチックキャップ付容器が提供される。
【0010】
本発明のプラスチックキャップ付容器においては、前記容器がポリエステルボトルであり、該ボトルの口部先端の上面から内面にかけての角部に、環状の切欠きが形成されることにより段差部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプラスチックキャップにおいては、従来のキャップに形成されていた容器口部先端上面と接触する環状突起に代えて、容器口部の上端面から外側面にかけての角部に密着してシールを形成する一定角度の環状傾斜部が形成されていることにより、巻締めの際にキャップが容器から受ける抵抗を低減させることが可能になる。すなわち、従来のキャップにおいて、巻締め時に環状突起により軸方向にのみ生じていた応力が、本発明の環状傾斜部では、半径方向に分散されることから、軸方向の応力が低減して、巻締め性が顕著に向上する。その結果、キャッピングに際して通常の巻締め量から更に追加して巻締めることが可能になり、前述したように容器口部先端内周面に傷があるプラスチックボトルに適用した場合でも、密封性が確保され、炭酸飲料等の自生圧力を有する内容物を充填する耐圧性ボトルにも対応することが可能になる。
【0012】
また本発明のキャップにおいては、インナーリング、環状傾斜部及びアウターリングの3点でシール部を形成していることから、容器の内圧の変化にかかわらず、常に優れた密封性を維持することができる。すなわち、容器の内圧が低く、減圧状態にあるような場合には、インナーリングに傷がない場合には、インナーリングが容器口部内面に圧着することにより密封性が保持されるが、前述した容器口部の微小な傷によりインナーリングに傷がついてしまったとしても、環状傾斜部が容器口部の上端面から外側面にかけての角部に圧着するので密封性は確保される。一方、容器の内圧が高く、頂板部がドーミングするような場合には、アウターリングが容器口部外面に圧着することにより密封性が確保される。
【0013】
本発明のプラスチックキャップは、内圧変化にも依存しない優れた密封性を有していることから、このキャップを適用して成るキャップ付容器は優れた密封性を有しており、特に炭酸飲料等を充填する耐圧性のポリエステルボトルに適用した場合には、ガス抜け等のおそれもなく、また落下衝撃を受けた場合にも密封性を維持できる。
また本発明のキャップ付容器においては、容器口部先端の上面とキャップ頂板部内面の間に環状の空隙が形成されていることから、巻き締め量を十分に追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のプラスチックキャップの半断面側面図である。
図2】本発明のプラスチックキャップを容器口部に適用した状態におけるシール部分を説明するための一部拡大断面図である。
図3】本発明のキャップを容器口部に適用した状態において内圧変化が生じた場合を説明するための一部拡大断面図であり、(A)は内圧が低い状態、(B)は内圧が高い場合である。
図4】本発明のキャップ付容器に使用する耐圧性ポリエステルボトルの一例を示す側面図及び一部拡大断面図である。
図5】本発明のキャップ付容器の閉栓状態における密封部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(プラスチックキャップ)
本発明のプラスチックキャップ1は、頂板部2及び頂板部2から垂下するスカート部3から成るキャップ本体、及びスカート部下端に破断可能な橋絡部4,4・・・を介して一体に成形されたタンパーエビデントバンド5から成っている。スカート部3の内面には雌螺条6が形成されており、外面には、ローレット溝7が形成されている。またタンパーエビデントバンド5の内面には、複数個のフラップ片8,8・・・が形成されている。
キャップ本体の頂板部2の内面には、後述する容器口部先端の上面から内面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の内面に密着してシールを形成するインナーリング9、容器口部先端の上面から外面にかけての角部よりも下方の位置で容器口部壁の外面に密着してシールを形成するアウターリング10が形成されている。本発明においては、このアウターリング10の内面側付け根部に、キャップの軸方向に対する角度θが、40〜50°、特に42〜48°の範囲にある環状傾斜部11が形成されていることが重要な特徴である。
すなわち、キャップ軸方向に対する傾斜角度が上記範囲にある環状傾斜部11が容器口部先端の上端面から外面にかけての角部に密着してシールを形成することにより、前述したように、巻締め性と密封性の両方を満足することが可能になるのである。キャップ軸方向に対する傾斜角度が、上記範囲よりも大きい場合には巻締め性に劣り、一方上記範囲よりも小さい場合には密封性に劣るようになり、上記範囲にあることにより巻締め性と密封性の両方を兼ね備えることが可能になる。
このプラスチックキャップ1は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂を射出成形、圧縮成形等従来公知の方法により成形することができる。
【0016】
次に、図2において、図2(A)はインナーリング9とアウターリング10の間に環状突起12が形成された従来のキャップを示し、図2(B)はアウターリング10の内面側付け根部に環状傾斜部が形成された本発明のキャップを示している。図2(A)に示す従来のキャップ及び図2(B)に示す本発明のキャップのいずれにおいても、通常の巻締めにより、キャップ1の雌螺条6が容器口部の雄螺条25と完全に係合した閉栓状態にあり、インナーリング9は容器口部21先端の内面22と圧着し、アウターリング10が容器口部21の外面23と接触している。
図2(A)に示す従来のキャップでは、環状突起12が容器口部先端上面24と接触しているため、更に回転角30°程度の追加の巻締めを行うとすると、容器口部から力Pを軸方向上方に受けることから、閉栓トルクは高くなり、また開栓トルクTも力Pを受けて摩擦力により大きくなる。
これに対して、図2(B)に示す本発明のキャップでは、更に回転角30°程度の追加の巻締めを行うと、キャップ軸方向に対してθの傾斜角を有する環状傾斜部11は当該傾斜面に対して垂直方向の力Pを受けるが、力Pは軸方向にPsinθ(=P)、半径方向にPcosθ(=P)の力に分解され、軸方向の力P図2(A)に示す従来のキャップのPよりも減少し、さらに、半径方向への力Pはアウターリング10を付け根から押し広げ、アウターリング10と容器口部21の外面23との接触力を低下させることから、従来のキャップに比して小さな閉栓トルクで追加の巻締めを行うことが可能になる。また、追加巻締め後の開栓トルクが不用に高くなることはない。
【0017】
図3は、本発明のキャップ1が容器口部21に適用された閉栓状態において、内圧の変化が生じた際の密封性を説明するための図であり、図3(A)は内圧が低い状態、図3(B)は内圧が高い状態をそれぞれ示している。
図3(A)に示すように、容器内の内圧が低い場合は、インナーリング9が容器口部内面に圧着すると共に、環状傾斜部11には、キャップの巻締めによるキャップ及び容器内部の螺子部の係合により、環状傾斜部11の傾斜面に対して垂直方向の力P1が作用し、また、アウターリング10には、半径方向の力P2が作用することにより、密封性が確保されている。
これに対して、図3(B)に示すように、容器内の内圧が高くなると、頂板部2がドーム状に変形することに伴って、インナーリング9の下方が半径方向内方に変形し、インナーリング9による密封性が低下し、本発明においては、容器口部先端の上面から外面にかけての角部に当接する部分に環状傾斜部11が形成されていることから、環状傾斜部11に対して垂直方向の力はP’1に低下するが、同時にアウターリング10が半径方向内方に変形され、アウターリング10に作用する半径方向の力P’2が、上述したP2より高くなることから、内圧変化にかかわらず、キャップ全体の密封性が確保されている。
【0018】
また図3(A)及び(B)から明らかなように、本発明においては、内圧が変化した前後の状態で環状傾斜部及びアウターリングに作用する力の大きさの合計はほぼ同じであることから、内圧が変化した場合でもキャップの開栓のしやすさに変化がなく、内圧変化に影響を受けることなく、開栓性にも優れている。
【0019】
(キャップ付容器)
上述したとおり、本発明のキャップは巻締め性に優れ、キャッピングの際、通常の巻締め量に追加して巻締めすることが可能であることから、容器口部先端に微小な傷がついていた場合でも、密封性を確保することができることから、特に高い密封性が要求される、炭酸飲料等の自生圧力を有する内容物に用いられる耐圧性容器、特にポリエステル樹脂製プリフォームを二軸延伸ブロー成形してなる耐圧性ポリエステルボトルに好適に使用される。
図4は、本発明のキャップを適用し得る容器の一例を示すものであり、このプラスチックボトル20は、口部21、肩部26及び胴部27及び底部28から成り、底部28が足部28a及び谷部28bが交互に形成されてなる所謂ペタロイド型の形状を有し、耐圧性能を有している。また口部21の外周面には雄螺条25を備え、キャップと螺子係合して密封される。
【0020】
本発明のキャップ付容器、特に容器として耐圧性ポリエステルボトルを使用した場合においては、図に示すように、ボトルの口部21の先端の上面24から内面22にかけての角部に、環状の切欠き29が形成されることにより段差部が形成されていることが特に好適である。すなわち、ボトル同士或いはプリフォーム同士が輸送の際等にぶつかることによって傷がつきやすく且つキャッピングの際にキャップのシール部が接触する箇所である、ボトル口部の先端の内面側に、環状の切欠きを形成することにより、キャッピングの際にインナーリングのシール部が接触する箇所へ傷付を有効に防止することができ、インナーリングのシール部が損傷することもないので、密封性が損なわれることを防止できる。
【0021】
また本発明のキャップ付容器、特に容器として耐圧性ポリエステルボトルを使用した場合においては、キャップをボトル口部に螺合し、ボトル口部にプラスチックキャップを装着した状態において、図5に示すように、ボトル口部21の先端の上面24とキャップ頂板部内面2aの間に従来の環状突起を介在することなく環状の空隙tが形成されていることが重要であり、これにより、前述した通り、ボトル口部の上端面にキャップ頂板部内面が接触することがないので、閉栓トルクが不用に上がることがなく、巻き締め量を十分に追加することが可能である。さらに、状況に応じて、ボトル口部の上端面についての検査を省略することができ、生産性を向上できる。
【0022】
本発明において、ボトル口部に形成される環状切欠きの大きさは、ボトルの口径、肉厚等によって一概に規定できないが、半径方向の幅が、ボトル口部肉厚の10〜50%、好適には13〜20%、軸方向の長さが0.6〜0.8mmの範囲にあることが好適であり、環状切欠きの形状は半径方向の幅及び軸方向の長さが直交する必要はなく、なだらかな段差を形成していることが好ましい。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本発明のプラスチックキャップを適用する容器としては、前述したペタロイド型、以外にもシャンパーニュ型(ドーム状の上げ底型)のような耐圧性能を発現可能な底部形状を有する耐圧性のポリエステルボトルであることが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のキャップは、追加の巻締めにより優れた密封性を発現し、また、巻締める容器内の内圧変化に対しても密封性、開栓性が比較的安定していることから、飲料用に限らず、特に高い密封性能が要求される、耐圧性容器に好適に使用することができる。
またワンピースタイプのキャップを用いても高い密封性を維持できるため、生産性及び経済性が要求され大量生産される汎用容器に好適に使用される。
【符号の説明】
【0025】
1 キャップ、2 頂板部、3 スカート部、9 インナーリング、10 アウターリング、11 環状傾斜部、20 容器(ボトル)、21 容器口部、22容器口部先端内面、23 容器口部先端外面、24 容器口部先端上面、29 切欠き。
図1
図2
図3
図4
図5