(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タービン建屋内にタービンフロアと脱気器フロアとが隣接して配置され、前記タービンフロアより前記脱気器フロアを高く設け、前記タービンフロアの室内を移動可能に天井クレーンが設置され、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に複数の柱が立設され、前記タービンフロアから前記脱気器フロアに脱気器本体胴を搬送し、前記脱気器フロアに据え付ける脱気器の据付方法であって、
前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に立設された複数の柱の間を通過可能な大きさに前記脱気器本体胴から複数の分割ピースを製作する分割ピース製作工程と、
前記脱気器フロアと同一高さであり、かつ前記複数に分割された分割ピースを載置する仮設架台を前記脱気器フロアに面した前記タービンフロアに設置する仮設架台設置工程と、
前記天井クレーンを用いて前記仮設架台に前記複数の分割ピースを順次搬送する分割ピース搬送工程と、
前記複数の分割ピースに搬入用ローラを取り付けて前記仮設架台から前記脱気器フロアに順次引き込む引込み工程と、
前記脱気器フロアに順次引き込まれた分割ピースを組み付ける組付工程と、
を有することを特徴とする脱気器の据付方法。
前記分割ピース製作工程は、それぞれ分割された分割ピース内に仮補強部材を取り付ける仮補強部材取付工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の脱気器の据付方法。
前記分割ピース製作工程は、それぞれ分割された分割ピースを支持する仮設脚台を取り付ける仮設脚台取付工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱気器の据付方法。
前記仮設架台設置工程は、前記仮設架台に立設される柱を、前記タービンフロアを支持する支持柱の延長線上に配置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の脱気器の据付方法。
前記組付工程は、ジャッキアップサポート及び前記仮設脚台を介して前記分割ピースをジャッキにより上下動させて前記分割ピース間の開先合せをする開先合せ工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の脱気器の据付方法。
前記組付工程は、組み付けられた前記脱気器本体胴を前記脱気器フロア上に設置するための本設脚台を取り付ける本設脚台取付工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の脱気器の据付方法。
タービン建屋内にタービンフロアと脱気器フロアとが隣接して配置され、前記タービンフロアより前記脱気器フロアを高く設け、前記タービンフロアの室内を移動可能に天井クレーンが設置され、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に複数の柱が立設された前記脱気器フロアに据え付けられた脱気器であって、
脱気器本体胴が複数の分割ピースにより構成され、これらの分割ピースはそれぞれ、前記天井クレーンに吊り下げられて搬送可能とするとともに、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に立設された複数の柱の間を通過可能な大きさであることを特徴とする脱気器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、700MW級の汽力発電プラントの建設時において、脱気器は通常屋外に設置される。この場合、脱気器は分割されることなく完成形で納められ、屋外で大容量のクレーンにて基礎に設置される。脱気器の大きさによっては、作業半径、脱気器本体の重量により、1,000ton級の定格の屋外クレーンが必要になる場合がある。
【0007】
このような屋外クレーンでは、屋外クレーンの配置エリア及び脱気器を運搬するためのキャリアの搬入エリアのみならず、クレーンブームを組み立てるために約5,000〜10,000m
2と広大な敷地を占有する必要がある。しかし、発電プラントの建設状況から機器及び設備のレイアウトにより、広大な敷地を確保することができない場合がある。
【0008】
一方、既設のタービン建屋内の脱気器フロアに脱気器を据え付ける場合には、仮に上述したような広大な敷地を確保することができ、かつ屋外クレーンを設置可能な場合でも、脱気器フロアに搬入することができない。
【0009】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、屋外クレーンを用いることができない状況下でも、タービン建屋のタービンフロアから隣接する脱気器フロアに脱気器を搬入して据付可能とした脱気器及びその据付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る脱気器の据付方法は、タービン建屋内にタービンフロアと脱気器フロアとが隣接して配置され、前記タービンフロアより前記脱気器フロアを高く設け、前記タービンフロアの室内を移動可能に天井クレーンが設置され、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に複数の柱が立設され、前記タービンフロアから前記脱気器フロアに脱気器本体胴を搬送し、前記脱気器フロアに据え付ける脱気器の据付方法であって、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に立設された複数の柱の間を通過可能な大きさに前記脱気器本体胴から複数の分割ピースを製作する分割ピース製作工程と、前記脱気器フロアと同一高さであり、かつ前記複数に分割された分割ピースを載置する仮設架台を前記脱気器フロアに面した前記タービンフロアに設置する仮設架台設置工程と、前記天井クレーンを用いて前記仮設架台に前記複数の分割ピースを順次搬送する分割ピース搬送工程と、前記複数の分割ピースに搬入用ローラを取り付けて前記仮設架台から前記脱気器フロアに順次引き込む引込み工程と、前記脱気器フロアに順次引き込まれた分割ピースを組み付ける組付工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る脱気器は、タービン建屋内にタービンフロアと脱気器フロアとが隣接して配置され、前記タービンフロアより前記脱気器フロアを高く設け、前記タービンフロアの室内を移動可能に天井クレーンが設置され、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に複数の柱が立設された前記脱気器フロアに据え付けられた脱気器であって、脱気器本体胴が複数の分割ピースにより構成され、これらの分割ピースはそれぞれ、
前記天井クレーンに吊り下げられて搬送可能とするとともに、前記タービンフロアと前記脱気器フロアとの間に立設された複数の柱の間を通過可能な大きさであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、屋外クレーンを用いることができない状況下でも、タービン建屋のタービンフロアから隣接する脱気器フロアに脱気器を搬入して据え付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る脱気器の搬入方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
なお、以下の実施形態では、単胴型を例として説明する。また、以下の実施形態では、例えば700MW級の汽力発電プラントに設置される脱気器を例として説明をする。
【0016】
図1は本発明の一実施形態が適用されるタービン建屋のタービンフロア、脱気器フロアを示す概略平面図である。
図2は
図1のタービン建屋を示す概略側面図である。
図3は
図1のタービン建屋を示す概略立面図である。
図4は本発明に係る脱気器の据付方法の一実施形態を示す工程図である。
【0017】
図1〜
図3に示すように、タービン1は、図示しないボイラからの蒸気による熱エネルギを回転エネルギに変える原動機である。発電機2は、タービン1に直結され、回転エネルギを電気エネルギに変える。
【0018】
図2及び
図3に示すように、復水器10はタービン1の下部に配置され、タービン1で仕事をした蒸気を冷却して水に凝縮する。その水は図示しないポンプ、熱交換器を経て脱気器4へ移送される。脱気器4は、上述した通り給水中の窒素や酸素、炭酸ガス等の非凝縮ガスを分離及び除去した後、再び図示しない熱交換器を経て上記ボイラへ移送する。
【0019】
なお、以下の説明では、タービン1と発電機2が配置されるエリアをタービンエリアAと称し、脱気器4が配置されるエリアを脱気器エリアBと称する。同様にタービン1と発電機2が配置されるフロアをタービンフロア1Aとし、脱気器4が配置されるフロアを脱気器フロア1Bとして説明する。
【0020】
タービンフロア1A上のタービンエリアAは、天井クレーン3の稼動範囲であるが、脱気器フロア1B上の脱気器エリアBは、天井クレーン3の稼動範囲外となる。タービン建屋のタービンエリアAは、複数の柱6が立設され、脱気器エリアBは、複数の柱9が立設されている。
【0021】
ところで、本実施形態の脱気器の据付方法は、
図4に示すように大略的に、脱気器4の本体胴4A(
図5)を複数に分割する等の工程を含む工場製作工程S10と、この工場製作工程S10によって複数に分割された分割ピースを脱気器フロア1Bに搬入する分割ピース搬入工程S20と、脱気器フロア1Bに搬入された分割ピースを組み付ける分割ピース組付工程S30とを有する。
【0022】
まず、工場製作工程S10について説明する。
【0023】
図5は
図1の脱気器の本体胴の分割状態を示す正面図である。
図6は
図5のVI方向矢視図である。
図7は
図5のVII−VII線による断面図である。
図8は
図5のVIII部の拡大図である。なお、以下の説明では、本設脚台16等の部品類を除いた本体部分を脱気器4の本体胴4Aと称する。
【0024】
図4に示すように、工場製作工程S10は、本体胴4Aの分割ピース製作工程S11と、仮内部補強部材取付工程S12と、仮設脚台等の取付工程S13とを有する。
【0025】
1) まず、工場製作工程S10について説明する。
【0026】
1−1)本体胴4Aの分割ピース製作工程S11
脱気器4をタービンエリアAから据付位置である脱気器フロア1Bまで搬入するためには、タービンフロア1Aと脱気器フロア1B間に立設された複数の柱8のうち、柱8a,8bの間を通過させる必要がある。そのため、本体胴4Aの分割ピース製作工程S11では、柱8a,8b間を通過可能な寸法の脱気器4の本体胴4Aを製作する。後述するが、脱気器4の本体胴4Aの分割ピースは、水平方向に対して斜めに柱8a,8b間を通過させる。
【0027】
図5に示すように、脱気器4の本体胴4Aの分割例として、本実施形態では、5つの分割ピース4a,4b,4c,4d,4e(4a〜4e)とする。ここで、本実施形態では、本体胴4Aを軸方向に5分割した例を示しているが、本体胴4Aの寸法、建屋各寸法により分割例は、この5分割に限定されることなく、それ以外の複数であってもよい。
【0028】
具体的には、本体胴4Aの分割位置は、主として輸送条件を満たす大きさ、タービン建屋の柱8a,8bの間を斜めに通過させて、タービンフロア1Aから脱気器フロア1Bに引込み可能な長さに基づいて設定される。その他の設定条件としては、復水入口部、蒸気入口部等の各種構造物の部位を分割位置としないことである。
【0029】
1−2)仮内部補強部材取付工程S12
仮設脚台14が取り付けられる分割ピース4a〜4eの両端部には、それぞれ変形防止のために金属製の仮内部補強部材19が取り付けられる。
図7には、分割ピース4cに仮内部補強部材19を取り付けた例を示している。仮内部補強部材19は、分割ピース4a〜4eを輸送するときに用いる補強部材であり、脱気器4の運転時には、不要であるので据付完了後には取り外される。本実施形態では、後述するように仮設脚台14は、分割ピース据付時にも活用する。
【0030】
ところで、
図6及び
図7に示すように、仮設脚台14は、ジャッキアップサポート15に支持されている。ジャッキアップサポート15は、分割ピース4a〜4e間の開先合せ時のレベル調整、周方向のセンター調整、本設脚台16の取付時に分割ピース4a〜4eのジャッキアップ・ジャッキダウンを行うときに用いられる。
【0031】
ジャッキアップポイント17,17には、それぞれジャッキアップ時にジャッキ18がセットされる。上述したように仮設脚台14は木製であり、仮設脚台14を直接ジャッキアップすると破損するため、このジャッキアップサポート15が使用される。また、この位置にジャッキアップサポート15を取り付ける利点として、ジャッキアップをする位置には、分割ピース4a〜4eの変形を防止するため、
図7に示すような仮内部補強部材19が必要になる。
【0032】
しかし、ジャッキアップサポート15は、仮設脚台14を底部から支持するものであり、既に仮設脚台14の取付位置に分割ピース4a〜4eを介して仮内部補強部材19が取り付けられているので、ジャッキアップサポート15のための新たな仮内部補強部材を追加する必要がない。
【0033】
仮内部補強部材19を取り外すのは、脱気器4の据付完了後となる。仮内部補強部材19は、マンホール11から搬出するため、脱気器4の内周面から取り外した後、マンホール11までのハンドリング、及びマンホール11から搬出可能な大きさに、脱気器4内で切断して分解する必要がある。仮内部補強部材19の取り外しから搬出までの一連の作業は、脱気器4内での作業であり、狭隘な場所での作業となり危険である。できる限りその作業を削減させる必要がある。
【0034】
このような観点から、仮設脚台14の凹部により分割ピース4a〜4eの外周面を保持することで、仮内部補強部材19の数を可及的に削減することができる。その他、仮設脚台14とジャッキアップサポート15とは、互いに固定していないため、相互の着脱作業が容易であり、他の脱気器を据え付ける場合にも流用することができる。
【0035】
1−3)仮設脚台取付工程S13
図5に示す本設脚台16は、工場出荷時には取り付けない。その理由は、次の通りである。すなわち、本設脚台16の設置面を脱気器フロア1Bに対して水平に取り付ける必要がある。そのため、全ての分割ピース4a〜4eの位置合せ及び溶接を完了して本体胴4Aとして完成した状態の後に本設脚台16を取り付ける。予め工場にて分割ピース4a〜4eに本設脚台16を取り付けると、分割ピース4a〜4e間の位置合せを行う際、脱気器フロア1Bに対して互いの本設脚台16の高さが異なる場合がある。そのため、上記のように本設脚台16は、工場出荷時には取り付けないようにしている。
【0036】
仮設脚台14は、
図6に示すように本体胴4Aの軸方向に5分割したそれぞれの分割ピース4a〜4eの軸方向両側に取り付けられ、それぞれの分割ピース4a〜4eを支持している。前述したように輸送時には本設脚台16が取り付けられていないので、輸送用の腰下盤が必要になる。仮設脚台14は、輸送時に本体胴4Aの分割ピース4a〜4eを損傷させず、また輸送用の仮設で使い捨てにすることから、木製となる。
【0037】
2) 次に、分割ピース搬入工程S20について説明する。
分割ピース搬入工程S20は、
図4に示すように仮設架台設置工程S21と、搬入路受台敷設工程S22と、分割ピース搬送工程S23と、脱気器フロアへの引込み工程S24とを有している。
【0038】
2−1)仮設架台設置工程S21
仮設架台設置工程S21は、脱気器フロア1Bに面したタービンフロア1Aに脱気器搬入用の仮設架台5を組み立てて設置する。この仮設架台5は、脱気器フロア1Bと同一高さであり、かつ複数に分割された分割ピース4a〜4eのいずれか一つを載置し、分割ピース4a〜4eを脱気器フロア1Bに引き込む際に仮置きさせるために用いる。
【0039】
仮設架台5は、2本の立設する柱5a、タービンフロア1Aと脱気器フロア1Bとの間に立設された柱8a,8bの計4本の柱と、これら4本の柱に支持される台板5bとを備えている。そして、仮設架台5は、2本の柱5aが複数の柱7のうちの柱7a,7bの垂直延長線上に配置されている。これにより、仮設架台5の荷重は、柱7a,7b及び柱8a,8bで受けることで、仮設架台5の強度を高めることができる。
【0040】
なお、仮設架台5は、脱気器4の据付完了後には撤去される。仮設架台5は、据付時にのみに使用するものである。脱気器4の据付時以外は、仮設架台5が撤去され、この撤去された場所は、機器仮置き場として使用される。
【0041】
2−2)搬入路受台敷設工程S22
次に、搬入路受台敷設工程S22を
図9に基づいて説明する。
図9は脱気器の本体胴の分割ピースの搬入状態を示す立面図である。
【0042】
図9に示すように、脱気器フロア1Bには基礎台21が設置されている。この基礎台21は、分割ピース4a〜4eの引込み時、組立及び据付時に障害となる。そのため、基礎台21の高さに合わせて、搬入路受台20を分割ピース4a〜4eの搬送路に敷設する。
【0043】
2−3)分割ピース搬送工程S23
さらに、分割ピース搬送工程S23を
図10に基づいて説明する。
図10は脱気器の本体胴の分割ピースを仮設架台に載置した状態を示す立面図である。
【0044】
分割ピース搬送工程S23では、分割ピース4a〜4eを天井クレーン3にて吊り下げて搬送し、
図10に示すように仮設架台5上へ載置する。
【0045】
具体的には、脱気器4の据付場所である脱気器エリアBは、天井クレーン3の稼動範囲外であるので、分割ピース4a〜4eを仮設架台5から据付位置まで搬送させるためのツールとして、搬入用ローラ22を使用する。この搬入用ローラ22上には、予めジャッキアップサポート15が載置される。このとき、分割ピース4a〜4eの各軸方向2箇所に設置した仮設脚台14の位置に合わせる。分割ピース4a〜4eを1ピースずつ、タービン建屋の搬入口から天井クレーン3を用いて仮設架台5まで搬送し、ジャッキアップサポート15上に載置する。
【0046】
2−4)脱気器フロア1Bへの引込み工程S24
脱気器フロア1Bへの引込み工程S24を
図11〜
図14に基づいて説明する。
【0047】
図11は脱気器の本体胴の分割ピースの搬入手順を示す平面図である。
図12は脱気器の本体胴の分割ピースの次の搬入手順を示す平面図である。
図13は脱気器の本体胴の分割ピースの次の搬入手順を示す平面図である。
図14は脱気器の本体胴の分割ピースの次の搬入手順を示す平面図である。
【0048】
脱気器フロア1Bへの引込み工程S24は、分割ピース4a〜4eをタービンエリアAから脱気器フロア1Bに順次引き込み、据付位置へ搬入する。
【0049】
具体的には、まず、
図11に示すように分割ピース4aを柱8a,8b間を通過させるため、分割ピース4aを斜めにしてタービンエリアAから脱気器フロア1Bに図示しないウインチ等の引張機材を用いて引き込む。
【0050】
次いで、
図12に示すように、分割ピース4aを据え付ける向きに旋回させる。ここで、分割ピース4aを旋回させる時に、周囲の壁や柱に干渉しないように分割ピースの長さを決定する。
【0051】
さらに、
図13に示すように分割ピース4aを図示しないウインチ等の引張機材を用いて据付位置まで引き込む。続いて、上記と同様の手順にて分割ピース4b〜4eを搬入する。分割ピース4a〜4eの全ての分割ピースを搬入した状態を
図14に示している。
【0052】
3) 次に、分割ピース組付工程S30について説明する。
分割ピース組付工程S30は、
図4に示すように据付位置へのセンター合せ工程S31と、分割ピース同士を接近させる工程S32と、分割ピース間の開先合せ工程S33と、分割ピース間の溶接工程S34と、本設脚台取付工程S35とを有している。
【0053】
3−1)据付位置へのセンター合せ工程S31
据付位置へのセンター合せ工程S31では、
図14に示すように、タービン建屋のXYZ座標軸を定義する。タービン1、発電機2の軸方向をX軸とし、このX軸に直交する方向をY軸とする。図示しないが、Z軸はXY平面に対する高さ方向とする。
【0054】
脱気器4を据え付ける際には、予め付されている脱気器4のセンターと、据付位置センター23のXY方向の位置とをそれぞれ合わせる必要がある。その理由は、一般的に機器に取り付けられる部品は、機器センターから寸法がとられているからである。
【0055】
例えば、脱気器4の場合、蒸気入口座12や復水入口座13の位置は、配管側との取り合いであるので、配管を正しく位置合せするためには、センターから決められた寸法に配置されていることが重要である。脱気器4を据付位置センター23に正しく設置することで、おのずと蒸気入口座12や復水入口座13等の各部品は、正しい位置に配置される。
【0056】
しかし、脱気器センターと据付位置センター23を合わせるため、完成して一体型となった脱気器4の位置調整を行うのは重量、体格の上で困難になる。そのため、軽量である分割ピースの時点でXY方向のセンターを合わせる。Z方向センターの位置調整は、本設脚台16の取り付け後に行われる。
図14では、分割ピース4cに予め設けられているセンターを示すマーキングと据付位置センター23との位置を合わせる。
【0057】
3−2)分割ピース同士を接近させる工程S32
分割ピース同士を接近させる工程S32では、分割ピース4cを固定した状態として、分割ピース4bを分割ピース4cに接近させる。
【0058】
3−3)分割ピース間の開先合せ工程S33
分割ピース間の開先合せ工程S33では、分割ピース4cと分割ピース4bとの間の開先合わせをする際に、分割ピース4cと分割ピース4bとの間の周方向センターを合わせる必要があるため、高さ方向、周方向の位置調整が必要になる。
【0059】
この場合には、
図7に示すジャッキアップサポート15のジャッキアップポイント17,17のそれぞれを、ジャッキ18にてジャッキアップ及びジャッキダウンすることで位置調整を行う。
【0060】
3−4)分割ピース間の溶接工程S34
分割ピース間の溶接工程S34では、分割ピース4cと分割ピース4bとの間を図示しない仮止め部材を用いて仮固定した後、分割ピース4cと分割ピース4bとの間の周方向溶接を行う。続いて、分割ピース4a,4d,4eを上記と同様の手順で、位置合せ及び溶接を行う。
【0061】
3−5)本設脚台取付工程S35
次に、本設脚台取付工程S35を
図15に基づいて説明する。
図15は脱気器に本設脚台の取り付ける作業中の状態を示す拡大立面図である。
【0062】
3−5−1)
図15に示すように、まず、ジャッキアップサポート15のジャッキアップポイント17,17にそれぞれジャッキ18をセットして、基礎台21に本設脚台16がセットできる高さまで本体胴4Aを水平にジャッキアップする。
【0063】
3−5−2)次いで、基礎台21に本設脚台16をセットした後、本体胴4Aをジャッキダウンさせて、本体胴4Aと本設脚台16との位置を合わせる。そして、本体胴4Aの周方向のセンターを水平にするため、ジャッキアップサポート15のジャッキアップポイント17,17にそれぞれセットしたジャッキ18をジャッキアップ及びジャッキダウンさせることにより調整する。
【0064】
3−5−3)さらに、本体胴4Aに本設脚台16を溶接する。
【0065】
3−5−4)本設脚台16を用いて本体胴4Aをジャッキアップし、仮設脚台14とジャッキアップサポート15を取り外す。
【0066】
3−5−5)本設脚台16をシム調整することにより、Z軸方向の位置調整、XY軸方向の位置確認を行い、脱気器4の据え付けが完了する。
【0067】
このように本実施形態では、脱気器4の分割ピース4a〜4eを搬入するため、200ton前後の容量である天井クレーン3及び搬入用ローラ22を用いて、タービン建屋の搬入口から脱気器4の据付場所である脱気器フロア1Bへ搬入して、据付位置での組立を行うようにしている。
【0068】
したがって、本実施形態によれば、屋外クレーンを用いることができない状況下でも、タービン建屋のタービンフロア1Aから隣接する脱気器フロア1Bに脱気器4を搬入して据え付けることができる。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0070】
例えば、上記実施形態では、単胴型を例として説明したが、これに限定されることなく、双胴型にも適用することが可能である。
【0071】
また、上記実施形態は、700MW級の汽力発電プラントを対象として説明したが、発電プラントの規模は限定されない。