(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の印刷パターンが形成されているスクリーンマスクを備えており、前記複数の印刷パターンの中から選択された印刷パターンを使用してはんだ印刷を行うはんだ印刷装置であって、
前記複数の印刷パターンのそれぞれについて、使用禁止または使用許可を設定可能であり、
はんだ印刷に使用する印刷パターンが、前記はんだ印刷装置よりも下流側に配置されている検査装置の検査結果に基づいて、使用が禁止されていない印刷パターンの中から選択される、はんだ印刷装置。
前記スクリーンマスクの画像処理により、前記印刷パターンの状態が健全でないと判断される場合に、当該印刷パターンの使用を禁止する、請求項3または4のはんだ印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一のスクリーンマスクに複数の印刷パターンが形成されている場合、はんだ印刷に使用する印刷パターンを適切に選択することが重要となる。仮に、一部の印刷パターンに傷や目詰まりなどが存在する場合でも、複数の印刷パターンの中から健全な印刷パターンを選択して使用することができれば、印刷不良を生じることなくはんだ印刷作業を継続することができる。複数の印刷パターンが形成されているスクリーンマスクを備えるはんだ印刷装置において、はんだ印刷に使用する印刷パターンを適切に選択することが可能な技術が期待されている。
【0005】
本明細書は、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書では、複数の印刷パターンが形成されているスクリーンマスクを備えるはんだ印刷装置において、はんだ印刷に使用する印刷パターンを適切に選択することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するはんだ印刷装置は、複数の印刷パターンが形成されているスクリーンマスクを備えており、前記複数の印刷パターンの中から選択された印刷パターンを使用してはんだ印刷を行う。そのはんだ印刷装置では、前記複数の印刷パターンのそれぞれについて、使用禁止または使用許可を設定可能である。そのはんだ印刷装置では、はんだ印刷に使用する印刷パターンが、使用が禁止されていない印刷パターンの中から選択される。
【0007】
上記のはんだ印刷装置によれば、複数の印刷パターンのうち、はんだ印刷に使用することが適切でないものについて使用を禁止するように設定しておくことで、適切な印刷パターンの中からはんだ印刷に使用する印刷パターンを選択することができる。なお、印刷パターンは、一枚の回路基板に対してはんだ印刷される全印刷パターンであってもよいし、複数回に分けてはんだ印刷される場合、その1回分の印刷パターンであってもよい。また、印刷パターンの使用禁止または使用許可の設定は、生産開始前に行われてもよいし、生産中に行われてもよい。同様に、はんだ印刷に使用する印刷パターンの選択も、生産開始前に行われてもよいし、生産中に行われてもよい。
【0008】
上記のはんだ印刷装置は、前記はんだ印刷装置より下流側の検査装置において不良が検出された場合に、不良が検出された回路基板に対して使用した印刷パターンの使用を禁止するように構成することができる。
【0009】
はんだ印刷装置の下流側には、回路基板に印刷されたはんだの状態を検査するはんだ印刷検査装置や、はんだが印刷され、かつ電子部品が実装された回路基板の状態を検査する基板外観検査装置等の検査装置が配置される。上記のはんだ印刷装置によれば、下流側の検査装置によってはんだの位置ずれや欠損等の不良が検出された場合に、その回路基板に対して使用した印刷パターンを使用禁止に設定する。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。なお、検査装置ではんだ印刷状態の不良を検出した場合、直ちに印刷パターンを使用禁止に設定してもよいし、所定回数連続して不良が発生した場合に印刷パターンを使用禁止に設定してもよい。また、はんだ印刷状態の不良には、はんだ転写量過多(ブリッジ、にじみ、マスク厚より印刷高さが高い等)、はんだ転写量不足(刷り始めのかすれ、マスク厚より印刷高さが低い、はんだ無し、エアー穴発生、開口中央部分のかすれ等)、はんだ形状の異常(ちぎれ、ささくれ立ち、角立ち等)がある。
【0010】
上記のはんだ印刷装置は、前記スクリーンマスクの画像処理の結果に応じて、前記複数の印刷パターンのそれぞれについて、使用禁止または使用許可を設定可能であるように構成することができる。
【0011】
通常、はんだ印刷装置では、はんだ印刷作業において、スクリーンマスクと回路基板をそれぞれ画像処理して、両者の位置合わせを行う。上記のはんだ印刷装置によれば、このスクリーンマスクの画像処理の結果に応じて、使用に適さない印刷パターンについて使用を禁止するように設定することができる。印刷パターンの使用禁止の設定を簡便に行うことができる。なお、スクリーンマスクの撮像は、回路基板とスクリーンマスクの位置決め基準マークを撮像する撮像装置(カメラ等)によって行われてもよいし、この撮像装置とは別に設けられた撮像装置であってもよい。また、生産開始前(例えば作業者による調整作業時)に行われてもよいし、生産中に行われてもよい。スクリーンマスクの各印刷パターンの画像処理結果(破損(傷等)、伸び、汚れ等)に応じて、その印刷パターンの使用を禁止するようにしてもよい。
【0012】
上記のはんだ印刷装置は、前記スクリーンマスクの画像処理により、前記印刷パターンに対応する位置に使用禁止または使用許可を示すマークが付されていると判断される場合に、当該印刷パターンの使用を禁止するように構成することができる。
【0013】
上記のはんだ印刷装置によれば、作業者がスクリーンマスク内で健全でない印刷パターンを発見したときに、その印刷パターンに対応する位置に使用禁止を示すマークを付すようにしておくことで、その印刷パターンの使用を禁止することができる。あるいは、作業者がスクリーンマスク内で健全な印刷パターンのみについて、その印刷パターンに対応する位置に使用許可を示すマークを付すようにしておくことで、健全でない印刷パターンの使用を禁止することができる。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。上記のはんだ印刷装置によれば、作業者は、手動での入力作業を行うことなく、印刷パターンの使用禁止または使用許可の設定をすることができる。また、複数の印刷パターンのうち、どの印刷パターンを使用禁止または使用許可としているのか、他の作業者も容易に把握することができる。
【0014】
上記のはんだ印刷装置は、前記スクリーンマスクの画像処理により、前記印刷パターンの状態が健全でないと判断される場合に、当該印刷パターンの使用を禁止するように構成することができる。
【0015】
上記のはんだ印刷装置によれば、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。なお、スクリーンマスクの印刷パターンの開口部を撮像し、開口部の形状をスクリーンマスクのクリーニング直後の形状と比較し、開口部のはんだ詰まり等が検出された場合に、その印刷パターンの状態は健全でないと判断し、使用を禁止するようにしてもよい。
【0016】
上記のはんだ印刷装置は、前記複数の印刷パターンのそれぞれについて、使用回数をカウントするカウント装置をさらに備えており、印刷パターンの使用回数が所定回数に達した場合に、当該印刷パターンの使用を禁止するように構成することができる。
【0017】
通常、使用回数の多い印刷パターンは、それだけ傷や目詰まりが存在しやすく、はんだ印刷を良好に行える状態にない可能性がある。上記のはんだ印刷装置によれば、はんだ印刷を良好に行える状態にない可能性がある印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。また、回路基板に対するはんだ印刷の不良の発生を未然に防止することができる。なお、印刷パターンの使用禁止を判断する使用回数の閾値は、印刷パターンごとに設定可能にしてもよい。また、各印刷パターンの開口部の最小サイズに応じて、設定可能にしてもよい。開口部が小さいほど、印刷品質を確保することが困難であり、閾値に小さい値を設定することが望ましい。
【0018】
上記のはんだ印刷装置は、前記はんだ印刷に使用する印刷パターンを、前記使用が禁止されていない印刷パターンの中から手動で選択可能であるように構成することができる。
【0019】
上記のはんだ印刷装置によれば、使用を禁止していない印刷パターンの中から、作業者がはんだ印刷作業の実情に応じて適切な印刷パターンを選択することができる。
【0020】
上記のはんだ印刷装置は、前記複数の印刷パターンのそれぞれについて、使用禁止または使用許可を手動で設定可能であるように構成することができる。
【0021】
上記のはんだ印刷装置によれば、作業者がはんだ印刷作業の実情に応じて使用を禁止すべき印刷パターンを設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施例)
以下では図面を参照しながら実施例のはんだ印刷装置2について説明する。
図1は、実施例のはんだ印刷装置2が組み込まれた実装ライン14を示している。実装ライン14は、はんだ印刷装置2と、はんだ印刷検査装置4と、部品実装装置6と、基板外観検査装置8と、リフロー炉10と、生産管理コンピュータ12を備えている。はんだ印刷装置2では、回路基板に対してはんだをスクリーン印刷する。はんだ印刷検査装置4では、画像処理によって、回路基板に印刷されたはんだの状態を検査する。部品実装装置6では、はんだが印刷された回路基板に対して、電子部品を実装する。基板外観検査装置8では、画像処理によって、はんだが印刷され、かつ電子部品が実装された回路基板の状態を検査する。リフロー炉10では、回路基板を加熱してはんだを溶融させて、電子部品を回路基板にリフローはんだ付けする。生産管理コンピュータ12は、はんだ印刷装置2、はんだ印刷検査装置4、部品実装装置6、基板外観検査装置8、リフロー炉10の動作を制御し、実装ライン14における実装作業を管理する。回路基板は、実装ライン14を
図1の左側(上流側)から右側(下流側)へ向かって搬送される。
【0024】
図2に示すように、はんだ印刷装置2は、主に、制御装置20と、インターフェース装置22と、回路基板保持装置24と、撮像装置26と、スクリーンマスク28と、スキージ装置30を備えている。なお、以下の説明においては、回路基板Cの搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0025】
制御装置20は、生産管理コンピュータ12と通信可能である。制御装置20は、生産管理コンピュータ12からの指示に従って、はんだ印刷装置2の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置20は、はんだ印刷装置2におけるはんだ印刷作業の状態を示すデータを生産管理コンピュータ12へ送信する。
【0026】
インターフェース装置22は、モニタ等を介して作業者に対してはんだ印刷装置2の設定状態や作業状態を提示するとともに、スイッチ等を介して作業者からの各種の入力を受け付ける。
【0027】
回路基板保持装置24は、Y方向移動機構40と、X方向移動機構42と、回転機構44と、昇降機構46と、X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52を備えている。
【0028】
Y方向移動機構40は、はんだ印刷装置2の基台に支持されている。Y方向移動機構40は、図示しないアクチュエータの駆動によって、はんだ印刷装置2の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0029】
X方向移動機構42は、Y方向移動機構40に支持されている。X方向移動機構42は、図示しないアクチュエータの駆動によって、Y方向移動機構40に対してX方向に相対移動が可能となっている。
【0030】
回転機構44は、X方向移動機構42に支持されている。回転機構44は、図示しないモータの駆動によって、X方向移動機構42に対してZ軸周りに相対回転が可能となっている。
【0031】
昇降機構46は、回転機構44に支持されている。昇降機構46は、図示しないアクチュエータの駆動によって、回転機構44に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0032】
X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52は、昇降機構46に支持されている。X方向搬送機構48は、X方向に沿って配置されている一対のコンベアベルト54と、それぞれのコンベアベルト54を駆動するサーボモータ(図示せず)を備えている。
図3に示すように、X方向搬送機構48は、回路基板CのY方向の両端を一対のコンベアベルト54の上に載置し、サーボモータを駆動することで、回路基板CをX方向に搬送可能である。回路基板Cのサイズに応じて、一対のコンベアベルト54の間隔は調整可能となっている。
【0033】
図3に示すように、クランプ機構50は、回路基板CをY方向の両端から挟持して、所望の幅で回路基板Cを保持することができる。サポート機構52は、クランプ機構50によって保持された回路基板Cの下面に複数のサポートピン56の先端を当接させて、回路基板Cを下面側から支持することができる。
【0034】
撮像装置26は、XY方向移動機構60と、基板撮像装置62と、マスク撮像装置64を備えている。XY方向移動機構60は、図示しないアクチュエータの駆動により、はんだ印刷装置2の基台に対して、X方向およびY方向に相対移動が可能となっている。基板撮像装置62とマスク撮像装置64は、XY方向移動機構60に保持されている。基板撮像装置62は、回路基板Cを撮像するための照明とカメラを備えており、回路基板Cの上面を撮像することができる。マスク撮像装置64は、スクリーンマスク28を撮像するための照明とカメラを備えており、スクリーンマスク28の下面を撮像することができる。
【0035】
図4に示すように、スクリーンマスク28は、矩形状に形成された板状部材であって、はんだ印刷装置2の基台に対して位置を固定されたマスク支持枠66によって4辺を支持されている。
図5に示すように、スクリーンマスク28には、複数の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fが形成されている。本実施例では、複数の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fは、いずれも実質的に同一の形状に形成されている。言い換えると、複数の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fは、同じ種類の回路基板Cに対して同じ形状ではんだを転写できるように、公差の範囲内で同じ形状に形成されている。
【0036】
図2および
図4に示すように、スキージ装置30は、Y方向移動機構70と、X方向移動機構72と、スキージヘッド74と、スキージ76a、76bを備えている。
【0037】
Y方向移動機構70は、はんだ印刷装置2の基台に支持されている。Y方向移動機構70は、図示しないアクチュエータの駆動によって、はんだ印刷装置2の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0038】
X方向移動機構72は、Y方向移動機構70に支持されている。X方向移動機構72は、図示しないアクチュエータの駆動によって、Y方向移動機構70に対してX方向に相対移動が可能となっている。
【0039】
スキージヘッド74は、X方向移動機構72に支持されている。スキージヘッド74は、図示しないアクチュエータの駆動によって、X方向移動機構72に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0040】
スキージ76a、76bは、スキージヘッド74に支持されている。スキージ76a、76bは、図示しないサーボモータの駆動によって、スキージヘッド74に対して傾動可能となっている。スキージ76a、76bは、図示しないはんだ供給装置からスクリーンマスク28の上面に供給されるはんだを、対象とする印刷パターン上でスキージングする。
【0041】
図3に示すように、はんだ印刷装置2はさらに、受け入れ搬送装置80と、送り出し搬送装置82を備えている。受け入れ搬送装置80は、X方向に沿って配置されている一対のコンベアベルト84と、それぞれのコンベアベルト84を駆動するサーボモータ(図示せず)を備えている。受け入れ搬送装置80は、はんだ印刷装置2の上流側の基板搬送装置T1から送られてくる回路基板Cを受け取り、回路基板Cを回路基板保持装置24のX方向搬送機構48に送り出す。送り出し搬送装置82は、X方向に沿って配置されている一対のコンベアベルト86と、それぞれのコンベアベルト86を駆動するサーボモータ(図示せず)を備えている。送り出し搬送装置82は、回路基板保持装置24のX方向搬送機構48から送り出される回路基板Cを受け取り、はんだ印刷装置2の下流側の基板搬送装置T2に送り出す。X方向搬送機構48の一対のコンベアベルト54と同様に、受け入れ搬送装置80の一対のコンベアベルト84の間隔と、送り出し搬送装置82の一対のコンベアベルト86の間隔は、搬送する回路基板Cのサイズに応じて調整可能となっている。
【0042】
はんだ印刷装置2の動作を説明する。上流側の基板搬送装置T1から回路基板Cが送られてくると、制御装置20は受け入れ搬送装置80を駆動して回路基板Cを受け取る。そして、X方向搬送機構48が受け入れ搬送装置80から回路基板Cを受け取ることが可能な位置となるように、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44、昇降機構46を駆動する。そして、制御装置20は受け入れ搬送装置80とX方向搬送機構48を駆動して、受け入れ搬送装置80からX方向搬送機構48へ回路基板Cを受け渡す。
【0043】
回路基板CがX方向搬送機構48に受け渡されると、制御装置20は、
図6に示すように、Y方向移動機構40を駆動して、スクリーンマスク28の選択された印刷パターン(例えば印刷パターン68f)に対応するY方向位置まで、回路基板保持装置24を移動させる。さらに、制御装置20は、X方向搬送機構48を駆動して、選択された印刷パターン68fに対応するX方向位置まで回路基板Cを搬送する。そして、制御装置20は、クランプ機構50とサポート機構52を駆動して、回路基板Cを保持し、
図3の撮像装置26を駆動して、回路基板Cとスクリーンマスク28の印刷パターン68fを撮像し、画像処理によって両者の位置ずれを検出する。位置ずれが検出されると、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動して、回路基板Cの位置の微調整を行う。そして、制御装置20は、昇降機構46を駆動して、回路基板Cをスクリーンマスク28の下面に当接させる。
【0044】
また、制御装置20は、Y方向移動機構70とX方向移動機構72を駆動して、選択された印刷パターン68fに対応するY方向位置およびX方向位置までスキージヘッド74を移動させ、図示しないはんだ供給装置によりはんだをスクリーンマスク28の上面に供給する。そして、制御装置20は、スキージヘッド74を駆動して、一方のスキージ(例えばスキージ76a)をスクリーンマスク28の上面に当接させた後、Y方向移動機構70を駆動して、選択された印刷パターン68fに対するスキージングを行う。これによって、スクリーンマスク28の下面に当接して保持されている回路基板Cに、選択された印刷パターン68fに対応するパターンで、はんだが印刷される。
【0045】
回路基板Cへのはんだの印刷が完了すると、制御装置20は、Y方向移動機構70、X方向移動機構72、スキージヘッド74を駆動して、スキージヘッド74を待機位置へ復帰させる。また、制御装置20は、昇降機構46、クランプ機構50、サポート機構52を駆動して、回路基板Cを再びX方向搬送機構48に受け渡す。さらに、制御装置20は、X方向搬送機構48が送り出し搬送装置82へ回路基板Cを受け渡すことが可能な位置となるように、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動する。
【0046】
そして、制御装置20は、X方向搬送機構48と送り出し搬送装置82を駆動して、X方向搬送機構48から送り出し搬送装置82へ回路基板Cを受け渡す。その後、制御装置20は、送り出し搬送装置82を駆動して、下流側の基板搬送装置T2へ回路基板Cを送り出す。
【0047】
以下では、スクリーンマスク28の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fの選択について説明する。複数の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fには、それぞれ識別番号が付されている。制御装置20には、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fについて、識別番号と、印刷パターン種類と、オフセット座標と、使用禁止フラグが、関連付けて記憶されている。オフセット座標は、スクリーンマスク28におけるそれぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fのX方向位置およびY方向位置を示している。使用禁止フラグは、その印刷パターンが使用禁止に設定されているか否かを示している。
【0048】
回路基板Cに対するはんだ印刷を行うにあたって、制御装置20は、スクリーンマスク28の印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fのうち、使用禁止に設定されていないものの中から、使用する印刷パターンを選択する。この選択は、例えば識別番号が最も小さいものを選択するようにしてもよいし、ランダムに選択するようにしてもよい。あるいは、この選択は、作業者が手動で行うようにしてもよい。あるいは、この選択は、制御装置20が、生産管理コンピュータ12を介して、はんだ印刷装置2よりも下流側に配置されているはんだ印刷検査装置4や基板外観検査装置8における検査結果を受け取り、はんだ印刷状態が良好な印刷パターンを選択するようにしてもよい。あるいは、この選択は、制御装置20が、クリーニングが完了した印刷パターン、使用回数の少ない印刷パターン、または画像処理の結果が良好な印刷パターンを選択するようにしてもよい。
【0049】
制御装置20は、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fに対する使用禁止または使用許可の設定を、作業者が手動で行うように構成されていてもよいし、自動で行うように構成されていてもよい。制御装置20がそれぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fに対する使用禁止または使用許可の設定を自動で行う場合には、様々な観点から使用禁止または使用許可の判断を行うことができる。
【0050】
例えば、制御装置20は、生産管理コンピュータ12を介して、はんだ印刷装置2よりも下流側に配置されているはんだ印刷検査装置4や基板外観検査装置8における検査結果を受け取り、これらの検査装置において不良が検出された場合に、不良が検出された回路基板に対して使用した印刷パターンを使用禁止に設定してもよい。例えば、制御装置20は、はんだ印刷検査装置4や基板外観検査装置8において、はんだの位置ずれや欠損が検出された場合に、その不良が検出された回路基板に対して使用した印刷パターンを使用禁止に設定する。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。
【0051】
あるいは、作業者がスクリーンマスク28内で健全でない印刷パターンを発見したときに、その印刷パターンに対応する位置に使用禁止を示すマークを付すようにしておき、使用禁止マークが付された印刷パターンを使用禁止に設定するようにしてもよい。この場合、制御装置20は、撮像装置26を用いたスクリーンマスク28の画像処理において、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fに対応する位置に使用禁止を示すマークが付されているか否かを判別し、使用禁止を示すマークが付されている印刷パターンについて使用禁止に設定する。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。なお、作業者がスクリーンマスク28内で健全な印刷パターンのみについて、その印刷パターンに対応する位置に使用許可を示すマークを付すようにしてもよい。
【0052】
あるいは、スクリーンマスク28の画像処理において、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fの健全性を診断して、健全でない印刷パターンを使用禁止に設定するようにしてもよい。なお、ここでいう健全性とは、印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fにおける傷や汚れ等の有無をいう。この場合、制御装置20は、撮像装置26を用いたスクリーンマスク28の画像処理において、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fが健全であるか否かを判断し、健全でないと判断された印刷パターンについては使用禁止に設定する。印刷パターンが健全であるか否かの判断は、例えば、実際の印刷パターンの画像を、健全な場合に想定されるパターン画像と比較することによって行うことができる。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。
【0053】
あるいは、それぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fの使用回数をカウントして、使用回数の多い印刷パターンを使用禁止に設定してもよい。この場合、制御装置20は、内蔵されたカウンタによってそれぞれの印刷パターン68a、68b、68c、68d、68e、68fの使用回数をカウントし、使用回数が所定回数に達した印刷パターンを使用禁止に設定する。このような構成とすることによって、はんだ印刷を良好に行える状態にない可能性がある印刷パターンが自動的にスキップされて、良好なはんだ印刷作業を継続することができる。また、回路基板に対するはんだ印刷の不良の発生を未然に防止することができる。なお、スクリーンマスク毎に識別情報が付しておいて、印刷パターンごとの使用許可または使用禁止の設定情報を識別情報と組み合わせて記憶するようにしてもよい。この場合、スクリーンマスク28を使用するはんだ印刷装置2が変更されても、はんだ印刷に不適切な印刷パターンが使用されることを防ぐことができる。
【0054】
なお、スクリーンマスク28における複数の印刷パターンの配置は、上記の例に限られるものではない。例えば
図7に示すように、スクリーンマスク28の複数の印刷パターン90a、90b、90cが、Y方向に一列に並んで配置されていてもよいし、
図8に示すように、スクリーンマスク28の複数の印刷パターン92a、92b、92cが、X方向に一列に並んで配置されていてもよい。また、
図9に示すように、スクリーンマスク28における複数の印刷パターン94a、94b、94c、94d、94e、94fが、同一なものではなく、互いに異なるものであってもよい。
【0055】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0056】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。