特許第6207930号(P6207930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207930
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】防水クリップ
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20170925BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20170925BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F16B19/00 N
   F16J15/10 U
   B60R16/02 623B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-177832(P2013-177832)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-45390(P2015-45390A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 理
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則人
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130233(JP,A)
【文献】 実開平05−094516(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00−19/14
F16J 15/00−15/14
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタビライザーと、スタビライザーから支柱を介して形成された係止脚とを備え、板状の取付部材に形成されている取付孔に係止脚を差し込んでいき、差し込んだ係止脚とスタビライザーとの間で取付部材を係合させることで、スタビライザー側に装着される被取付部材を取付部材に取り付け可能となっており、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておき、装着したパッキンを取付部材とスタビライザーとの間に介在させて取付孔の周辺の防水機能を果たす防水クリップであって、
係止脚には、装着したパッキンが係止脚から脱落することを抑制するリブが形成されており、
リブは、係止脚の両側面から張り出すように形成されていることを特徴とする防水クリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の防水クリップであって、
リブは、係止脚を取付孔に差し込んでいくとき、係止脚の撓みによるリブ自身の軌跡が取付孔の縁に干渉することがないように形成されていることを特徴とする防水クリップ。
【請求項3】
スタビライザーと、スタビライザーから支柱を介して形成された係止脚とを備え、板状の取付部材に形成されている取付孔に係止脚を差し込んでいき、差し込んだ係止脚とスタビライザーとの間で取付部材を係合させることで、スタビライザー側に装着される被取付部材を取付部材に取り付け可能となっており、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておき、装着したパッキンを取付部材とスタビライザーとの間に介在させて取付孔の周辺の防水機能を果たす防水クリップであって、
支柱には、装着したパッキンが脱落することを抑制する脱落防止片が形成されており、
脱落防止片は、支柱の先端側から形成されていることを特徴とする防水クリップ。
【請求項4】
請求項3に記載の防水クリップであって、
脱落防止片の先端には、先細り状を成す突起が形成されていることを特徴とする防水クリップ。
【請求項5】
請求項3〜4のいずれかに記載の防水クリップであって、
支柱は、支柱本体と、支柱本体の先端側が横側に向けて張り出した一対の張出体と、から縦断面が略T字を成すように形成されており、
脱落防止片は、一対の張出体から形成されていることを特徴とする防水クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水クリップに関し、詳しくは、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておき、装着したパッキンを取付部材とスタビライザーとの間に介在させて取付孔の周辺の防水機能を果たす防水クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ボデー等の薄板に形成されている取付孔に段差部を有する一対の係止脚を差し込んでいき、差し込んだ一対の係止脚の段差部とスタビライザーとの間で薄板を係合させることで、スタビライザー側に装着される被取付部材(例えば、ワイヤーハーネス等)を薄板に取り付け可能となっているクリップが既に知られている。ここで、例えば、図5〜6に示すように、使用前に、予め、防水クリップ本体102の一対の係止脚116の段差部116aにウレタン製のパッキン103を装着しておき、この装着したパッキン103を薄板(図示しない)とスタビライザー112との間に介在させて取付孔(図示しない)の周辺の防水機能を果たす防水クリップ101が開示されている。これにより、薄板(図示しない)の外側から取付孔(図示しない)を介して薄板(図示しない)の内側に雨水等の水が浸入することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2000−193090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、図5からも明らかなように、防水クリップ101は、主として、防水クリップ本体102と、パッキン103とを備え、これらを組み合わせることで構成されている。そのため、一対の係止脚116の段差部116aとスタビライザー112との間で薄板(図示しない)を係合させるとき、この係合作業の前に、すなわち、防水クリップ101の使用前に、予め、一対の係止脚116に対してパッキン103を装着しておかなければいけなかった(図6参照)。この装着は、単に、一対の係止脚116の段差部116aにパッキン103の貫通孔140の縁を引っ掛けておく構造、(すなわち、単に、パッキン103の貫通孔140に一対の係止脚116を挿し込んでいき、この挿し込み途中に一対の係止脚116の段差部116aによってパッキン103の貫通孔140を拡張させ、この拡張させた貫通孔140が段差部116aを乗り越えることで、この乗り越えた段差部116aにパッキン103の貫通孔140の縁を引っ掛けておく構造)となっている。このように、単なる引っ掛け構造であるため、装着状態のパッキン103が一対の係止脚116から外れ易いという問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておく防水クリップであっても、この装着状態のパッキンを係止脚から外れ難くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、スタビライザーと、スタビライザーから支柱を介して形成された係止脚とを備え、板状の取付部材に形成されている取付孔に係止脚を差し込んでいき、差し込んだ係止脚とスタビライザーとの間で取付部材を係合させることで、スタビライザー側に装着される被取付部材を取付部材に取り付け可能となっており、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておき、装着したパッキンを取付部材とスタビライザーとの間に介在させて取付孔の周辺の防水機能を果たす防水クリップであって、係止脚には、装着したパッキンが係止脚から脱落することを抑制するリブが形成されており、リブは、係止脚の両側面から張り出すように形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、防水クリップの使用前に、装着状態のパッキンに対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキンに対してリブが干渉することとなる。したがって、この使用前の防水クリップにおいて、装着状態のパッキンが係止脚から脱落することを抑制できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防水クリップであって、リブは、係止脚を取付孔に差し込んでいくとき、係止脚の撓みによるリブ自身の軌跡が取付孔の縁に干渉することがないように形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、取付部材に形成されている取付孔に係止脚を差し込んでいくときの操作荷重が大きくなることを防止できる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、スタビライザーと、スタビライザーから支柱を介して形成された係止脚とを備え、板状の取付部材に形成されている取付孔に係止脚を差し込んでいき、差し込んだ係止脚とスタビライザーとの間で取付部材を係合させることで、スタビライザー側に装着される被取付部材を取付部材に取り付け可能となっており、使用前に、予め、係止脚にパッキンを装着しておき、装着したパッキンを取付部材とスタビライザーとの間に介在させて取付孔の周辺の防水機能を果たす防水クリップであって、支柱には、装着したパッキンが脱落することを抑制する脱落防止片が形成されており、脱落防止片は、支柱の先端側から形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、防水クリップの使用前に、装着状態のパッキンに対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキンに対して脱落防止片が干渉することとなる。したがって、この使用前の防水クリップにおいて、装着状態のパッキンが係止脚から脱落することを抑制できる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の防水クリップであって、脱落防止片の先端には、先細り状を成す突起が形成されていることを特徴とする構成である。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3〜4のいずれかに記載の防水クリップであって、支柱は、支柱本体と、支柱本体の先端側が横側に向けて張り出した一対の張出体と、から縦断面が略T字を成すように形成されており、脱落防止片は、一対の張出体から形成されていることを特徴とする構成である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る防水クリップの全体斜視図であり、パッキンを装着する前の状態を示している。
図2図1において、パッキンを装着した後の状態を示している。
図3図1の防水クリップのアンカー部を薄板に取り付ける前の状態を示す短手方向の縦断面図である。
図4図3において、防水クリップのアンカー部を薄板に取り付けた後の状態を示す短手方向の縦断面図である。
図5】従来技術に係る防水クリップの全体斜視図であり、パッキンを装着する前の状態を示している。
図6図5において、パッキンを装着した後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜4を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「板状の取付部材」が「車両ボデー等の薄板30」である例を説明することとする。また、「被取付部材」が「ワイヤーハーネスW」、すなわち、「防水クリップ」が「ワイヤーハーネス取付用の防水クリップ1(以下、単に、「防水クリップ1」と記す)」である例を説明することとする。
【0012】
防水クリップ1は、図1に示すように、主として、防水クリップ本体2と、この防水クリップ本体2の一対の係止脚16に装着するパッキン3とから構成されている。以下に、これら防水クリップ本体2とパッキン3とを個別に説明していく。
【0013】
まず、防水クリップ本体2から説明していく。この防水クリップ本体2は、車両ボデー等の薄板30(図1において、図示しない)に取り付けられるアンカー体10と、ワイヤーハーネス(図1において、図示しない)が装着される装着体20とから構成されている。アンカー体10は、先端に弾性部12aを有するように皿状に形成された略長方形状のスタビライザー12と、スタビライザー12から略長方形状の支柱14を介して形成された一対の係止脚16とから構成されている。
【0014】
この支柱14の長手方向の両面には、凹部14aが形成されている。この両凹部14aの上縁には、互いが遠ざかるように下方に向けて垂れ下がる格好を成す脱落防止片14bがそれぞれ形成されている。これにより、防水クリップ1の使用前に、装着状態のパッキン3(後述するように、一対の係止脚16に装着したパッキン3)に対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキン3に対して脱落防止片14bが干渉することとなる。
【0015】
この脱落防止片14bの先端には、先細り状を成す一対の突起14cが形成されている。これにより、上述したように、防水クリップ1の使用前に、脱落方向に外力が作用したパッキン3に対して脱落防止片14bが干渉したとき、この一対の突起14cがパッキン3に対して食い込む格好となる(図2〜3参照)。したがって、使用前の防水クリップ1において、装着状態のパッキン3が一対の係止脚16から脱落することをより抑制できる。
【0016】
なお、この脱落防止片14bは、後述するように、差し込んだ一対の係止脚16の段差部16aとスタビライザー12との間で薄板30を係合させたとき、凹部14aに入り込むことができるように撓み可能となっている。一対の係止脚16には、外方に向けて張り出す格好の段差部16aがそれぞれ形成されている。この段差部16aとスタビライザー12との間で薄板30を係合させることで、装着体20に装着されるワイヤーハーネス(図示しない)を薄板30に取り付けることができる。
【0017】
また、この一対の係止脚16には、互いが遠ざかる方向に向けて張り出す格好を成す一対のリブ16bがそれぞれ形成されている。これにより、防水クリップ1の使用前に、装着状態のパッキン3(後述するように、一対の係止脚16に装着したパッキン3)に対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキン3に対して一対のリブ16bが干渉することとなる。このリブ16bは、一対の係止脚16を薄板30の取付孔32に差し込んでいくとき、この一対の係止脚16の撓みによるリブ16b自身の軌跡が取付孔32の縁に干渉することがないように形成されている。
【0018】
一方、装着体20は、ワイヤーハーネスWをテープ(図示しない)で取り付け可能な略長方形状のプレート部材から構成されている。これらアンカー体10と装着体20とから防水クリップ本体2は構成されている。このように構成された防水クリップ本体2は、剛性を有する合成樹脂から一体的に成形されている。
【0019】
次に、パッキン3を説明する。パッキン3は、一対の係止脚16を挿し込み可能な長孔状の貫通孔40を有し防水機能を備えたウレタン部材から構成されている。このパッキン3は、その貫通孔40の縁が一対の係止脚16の段差部16aに引っ掛かることで、この一対の係止脚16に装着可能となっている。
【0020】
ここで、この装着の手順を説明すると、まず、パッキン3の貫通孔40に一対の係止脚16を挿し込んでいく作業を行う。次に、この挿し込み途中に一対の係止脚16の段差部16aによってパッキン3の貫通孔40を拡張させる作業を行う。やがて、この拡張させた貫通孔40が段差部16aを乗り越えることで、この乗り越えた段差部16aにパッキン3の貫通孔40の縁が引っ掛かる。このようにして、一対の係止脚16に対してパッキン3を装着できる。これら防水クリップ本体2と、この防水クリップ本体2の一対の係止脚16に装着したパッキン3とから防水クリップ1は構成されている。
【0021】
続いて、図3〜4を参照して、上述した防水クリップ1の作用を説明する。図3に示す状態から、薄板30に形成されている取付孔32に一対の係止脚16を差し込んでいく。すると、差し込んだ一対の係止脚16の段差部16aとスタビライザー12との間で薄板30が係合する。これにより、装着体20に装着されるワイヤーハーネスWを薄板30に取り付けることができる(図4参照)。なお、このように一対の係止脚16を差し込んでいくと、図4からも明らかなように、取付孔32の内面が脱落防止片14bを内方へ向けて撓ませていく。これにより、撓んだ脱落防止片14bは、支柱14の凹部14aに入り込むこととなる。
【0022】
本発明の実施例に係る防水クリップ1は、上述したように構成されている。この構成によれば、一対の係止脚16には、互いが遠ざかる方向に向けて張り出す格好を成す一対のリブ16bがそれぞれ形成されている。そのため、防水クリップ1の使用前に、装着状態のパッキン3に対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキン3に対して一対のリブ16bが干渉することとなる。したがって、この使用前の防水クリップ1において、装着状態のパッキン3が一対の係止脚16から脱落することを抑制できる。
【0023】
また、この構成によれば、リブ16bは、一対の係止脚16を薄板30の取付孔32に差し込んでいくとき、この一対の係止脚16の撓みによるリブ16b自身の軌跡が取付孔32の縁に干渉することがないように形成されている。そのため、薄板30に形成されている取付孔32に一対の係止脚16を差し込んでいくときの操作荷重が大きくなることを防止できる。
【0024】
また、この構成によれば、両凹部14aの上縁には、互いが遠ざかるように下方に向けて垂れ下がる格好を成す脱落防止片14bがそれぞれ形成されている。そのため、防水クリップ1の使用前に、装着状態のパッキン3に対して脱落方向に外力が作用しても、この外力が作用したパッキン3に対して脱落防止片14bが干渉することとなる。したがって、この使用前の防水クリップ1において、装着状態のパッキン3が一対の係止脚16から脱落することを抑制できる。
【0025】
また、この構成によれば、支柱14の長手方向の両面には、凹部14aが形成されている。そして、脱落防止片14bは、差し込んだ一対の係止脚16の段差部16aとスタビライザー12との間で薄板30を係合させたとき、凹部14aに入り込むことができるように撓み可能となっている。そのため、この係合状態において、パッキン3の防水機能が阻害されることを防止できる。
【0026】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、係止脚16にリブ16bが一対を成すように形成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、係止脚16に形成されるリブ16bの数は幾つであっても構わない。
【0027】
また、実施例では、装着体20は、ワイヤーハーネスWをテープ(図示しない)で取り付け可能な略長方形状のプレート部材から構成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、装着体20は、ベルトクランプ等であっても構わない。すなわち、薄板30に取り付けられる被取付部材によって決まるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 防水クリップ
12 スタビライザー
14 支柱
14a 凹部
14b 脱落防止片
16 係止脚
16b リブ
30 薄板(取付部材)
32 取付孔
W ワイヤーハーネス(被取付部材)

図1
図2
図3
図4
図5
図6