特許第6207931号(P6207931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207931自動販売機用のフラップ及び該フラップを備えた自動販売機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207931
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】自動販売機用のフラップ及び該フラップを備えた自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20170925BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20170925BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20170925BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G07F9/10 101C
   F25D11/00 101H
   G07F9/00 109Z
   F25D23/02 303B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-179438(P2013-179438)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-49587(P2015-49587A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(72)【発明者】
【氏名】大野 優介
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−102679(JP,A)
【文献】 特開2006−112658(JP,A)
【文献】 特開2013−015893(JP,A)
【文献】 特開2013−088036(JP,A)
【文献】 実開昭57−005777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/10
F25D 11/00
F25D 23/02
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機本体内に収納された商品を搬出する商品搬出部に、前記自動販売機本体の前後方向に回動可能に設けられた自動販売機用のフラップであって、
内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部における前記断熱層の厚みが、前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、
前記屈曲部は、前記自動販売機本体の前方に向かって凸となる第1屈曲部を有し、
前記第1屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、自動販売機用のフラップ。
【請求項2】
前記屈曲部、前記自動販売機本体の後方に向かって凸となる第2屈曲部をさらに有し、
前記第2屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径より大きい、請求項に記載の自動販売機用のフラップ。
【請求項3】
自動販売機本体内に収納された商品を搬出する商品搬出部に、前記自動販売機本体の前後方向に回動可能に設けられた自動販売機用のフラップであって、
内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部における前記断熱層の厚みが、前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、
前記屈曲部、フラップ幅方向両端部を前記自動販売機本体の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部を有し、
前記第3屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、自動販売機用のフラップ。
【請求項4】
前記第3屈曲部の基端部側における前記断熱層の厚みが前記第3屈曲部の先端側における前記断熱層の厚みより厚い、請求項3に記載の自動販売機用のフラップ。
【請求項5】
前記断熱層は空隙からなる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動販売機用のフラップ。
【請求項6】
商品を収納する自動販売機本体と、該自動販売機本体内に収納された前記商品を搬出する商品搬出部とを備え、該商品搬出部に前記自動販売機本体の前後方向に回動可能なフラップが設けられた自動販売機であって、
前記フラップは、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、
前記屈曲部は、前記自動販売機本体の前方に向かって凸となる第1屈曲部を有し、
前記第1屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、自動販売機。
【請求項7】
商品を収納する自動販売機本体と、該自動販売機本体内に収納された前記商品を搬出する商品搬出部とを備え、該商品搬出部に前記自動販売機本体の前後方向に回動可能なフラップが設けられた自動販売機であって、
前記フラップは、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、
前記屈曲部は、フラップ幅方向両端部を前記自動販売機本体の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部を有し、
前記第3屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機用のフラップ及び該フラップを備えた自動販売機に関し、特に、断熱性能を向上させたフラップ及び自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料物などの商品を冷却ないし加熱して販売する自動販売機としては、例えば、特許文献1に開示された自動販売機が知られている。
この特許文献1に開示された自動販売機は、商品を収納する商品収納庫及び商品を冷却ないし加熱するための冷却/加熱ユニットを内部に有すると共に断熱材で周囲を囲まれた自動販売機本体と、自動販売機本体の前面開口を開閉する外扉と、商品収納庫の前面開口を開閉する断熱内扉とを備えている。この内扉の下部には、商品収納庫に収納された商品の払出口が開設されている。そして、この払出口から収納庫内に外気熱が侵入したり、逆に収納庫内の熱(冷気ないし熱気)が外部に逃げたりすることを抑制するために、この払出口を塞ぐフラップが設けられている。このフラップは、屈曲して形成され商品収納庫から払出される商品によって押し開かれ、商品を外扉に設けられる商品受部へと払出し、その後、自重により払出口を閉塞している。そして、フラップを中空構造とすることで、払出口を閉塞した状態での収納庫内と収納庫外との間の熱伝達を低減して、冷却/加熱ユニットの熱負荷を軽減し、省エネを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3948331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示された自動販売機では、収納庫内の空気を冷却/加熱ユニットにより冷却ないし加熱し、その冷気流ないし暖気流を収納庫内に循環させて商品を冷却ないし加熱しており、各気流の一部はフラップにあたる。このフラップは、中空構造を採用しているものの、十分に断熱処理された内扉及び自動販売機本体と比べて断熱性に劣るため、このフラップを通じて収納庫内と収納庫外との間で出入りする熱量を低減させる余地がある。そこで、特許文献1に開示された自動販売機において、フラップの断熱性を高めるために、単に、フラップの中空部の厚みを厚くすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、内扉と外扉と間の狭い空間における商品受部への商品の払出し性や商品受部からの商品の取出し性を考慮すると、フラップの厚みを厚くするにも限度があるため、フラップの断熱性を向上させるための更なる工夫が求められている。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであり、商品の払出性や商品の取出し性を維持しつつ、断熱性を向上させることが可能な自動販売機用のフラップ及びこのフラップを備えた自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動販売機用のフラップの一側面によると、自動販売機本体内に収納された商品を搬出する商品搬出部に、前記自動販売機本体の前後方向に回動可能に設けられた自動販売機用のフラップであって、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが、前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、前記屈曲部は、前記自動販売機本体の前方に向かって凸となる第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、構成とした。
本発明に係る自動販売機用のフラップの別の側面によると、自動販売機本体内に収納された商品を搬出する商品搬出部に、前記自動販売機本体の前後方向に回動可能に設けられた自動販売機用のフラップであって、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが、前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、前記屈曲部は、フラップ幅方向両端部を前記自動販売機本体の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部を有し、前記第3屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、構成とした。
【0008】
本発明に係る自動販売機の一側面によると、商品を収納する自動販売機本体と、該自動販売機本体内に収納された前記商品を搬出する商品搬出部とを備え、該商品搬出部に前記自動販売機本体の前後方向に回動可能なフラップが設けられた自動販売機であって、前記フラップは、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、前記屈曲部は、前記自動販売機本体の前方に向かって凸となる第1屈曲部を有し、前記第1屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、構成とした。
本発明に係る自動販売機の別の側面によると、商品を収納する自動販売機本体と、該自動販売機本体内に収納された前記商品を搬出する商品搬出部とを備え、該商品搬出部に前記自動販売機本体の前後方向に回動可能なフラップが設けられた自動販売機であって、前記フラップは、内部に断熱層が設けられ、かつ、前記前後方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部における前記断熱層の厚みが前記屈曲部以外の部分の前記断熱層の厚みより厚くなるように形成され、前記屈曲部は、フラップ幅方向両端部を前記自動販売機本体の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部を有し、前記第3屈曲部において、前記断熱層の前記自動販売機本体側の曲率半径が前記断熱層の前記自動販売機本体とは反対側の曲率半径より大きい、構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動販売機用のフラップ及びこれを備えた自動販売機は、内部に断熱層が設けられると共に自動販売機本体の前後方向に屈曲する屈曲部を有するフラップの、屈曲部における断熱層の厚みが、屈曲部以外の断熱層の厚みより厚くなるように形成される構成であるため、屈曲部の断熱層の厚みを厚くしその部分の断熱性を高めることで、フラップ全体の断熱性を向上させることができ、かつ、屈曲部以外のフラップ厚みを変えることなく形成可能であるので、自動販売機内の狭い空間における商品の払出し性や取出し性を維持することができる。
【0010】
これにより、商品の払出性や商品の取出し性を維持しつつ、断熱性を向上させることが可能な自動販売機用のフラップ及びこのフラップを備えた自動販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における自動販売機を示す斜視図である。
図2図1に示す自動販売機において、外扉が開いた状態を示す図である。
図3図2に示すフラップの垂直断面図である。
図4図2に示すフラップの水平断面図である。
図5図2の示す商品受部を示す斜視図である。
図6】上記実施形態の自動販売機の商品搬出部において、商品がフラップを押し開いている状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における自動販売機の概略構成を示す。図2は、図1に示す自動販売機において、外扉が開いた状態を示す。
なお、以下では、自動販売機について、前後・左右・上下を、図1に示すように便宜上規定して、説明する。
【0014】
本実施形態による自動販売機1は、缶、ビン、ペットボトルなどの各種容器に充填された飲料などの商品を販売するものであり、前面を開口した自動販売機本体2と、外扉3と、内扉4とを備えて構成される。
【0015】
前記自動販売機本体2は、前面が開口され、上面側、背面側、底面側及び左右両側面側が断熱材によって囲まれた断熱筐体として形成されている。この自動販売機本体2は、図示省略するが、内部が上下に仕切られており、商品を収納する商品収納庫が上部側に設けられ、商品を冷却ないし加熱する冷却/加熱ユニット(図示省略)が下部側に設けられている。また、商品収納庫の下部には、商品シュータ(図示省略)も設けられている。
前記冷却/加熱ユニットは、空気を冷却ないし加熱し、その冷気流ないし暖気流をファン等により収納庫内に循環させて商品を冷却ないし加熱する。後述の商品選択ボタン3aの押下等による販売操作が行われると、商品収納庫の最下部の選択された商品は、下方に落下し、その後、商品シュータの斜面に沿って転動し、後述するように、内扉側フラップ21を押し開いて、商品受部10内に払出される。
【0016】
前記外扉3は、自動販売機本体2の前面を開閉する扉であり、自動販売機本体2の幅方向一端側(図では左側)に回動自在に取付けられている。外扉3の前面には商品選択ボタン3a、硬貨投入口3b、硬貨返却口3c、紙幣投入口3d等が設けられている。外扉3の下部には、後述の内扉側フラップ21を押し開いて払出された商品を受け、商品購入者が商品を取出し可能に構成された商品受部10が設けられている。なお、商品受部10及びその周辺の構造については、後に詳述する。
【0017】
前記内扉4は、自動販売機本体2内の商品収納庫の前面を開閉する扉であり、断熱材を内部に備えて形成された扉である。この断熱性の内扉4の下部には、図2に示すように、商品収納庫と商品受部10とを連通する商品払出口20が幅方向(左右方向)に複数(図では3つ)開設され、商品収納庫に収納された商品が商品シュータ(図示省略)及び商品払出口20を介して商品受部10に搬出されるようになっている。ここで、各商品払出口20は、商品受部10の後方に位置している。また、商品払出口20を開閉する内扉側フラップ21が、各商品払出口20の枠部に回動可能に取付けられている。内扉側フラップ21は商品払出口20へと転動してきた商品によって押し開けられ、商品はそのまま転動して商品受部10へと搬出される。この内扉4に設けられる商品払出口20と、外扉3に設けられる商品受部10とを含んで商品搬出部30(後述の図6参照)が構成される。この商品搬出部30が、本発明に係る「自動販売機本体内に収容された商品を搬出する商品搬出部」に相当し、自動販売機本体2の前方に位置している。
【0018】
次に、前記内扉側フラップ21の構造について、以下に詳述する。
図3は、図2に示す内扉側フラップ21の垂直断面図を示す。図4は、図3に示すA−A矢視断面図(水平断面図)を示す。なお、この内扉側フラップ21が、本発明の一実施形態に係る「フラップ」に相当する。
【0019】
内扉側フラップ21は、内扉4の商品払出口20(つまり、商品搬出部30の一部)に、自動販売機本体2の前後方向に回動可能に設けられ、自動販売機本体2の前後方向に屈曲する屈曲部21aを有して形成され、上縁部21bが商品払出口20の枠部に軸支されて構成されている。この内扉側フラップ21は、自動販売機本体2の内方に面する内側壁21cと、内側壁21cに対し自動販売機本体2の前方方向に、平行に離間する外側壁21dとを備え、内部に、つまり、内側壁21cと外側壁21dとの間に、断熱層21e(図3に斜線で示す範囲)が設けられている。そして、内扉側フラップ21は、屈曲部21aにおける断熱層21eの厚みが、屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより厚くなるように、内側壁21c及び外側壁21dが形成されている。本実施形態において、この断熱層21eは、例えば、内側壁21cと外側壁21dとの間に、ウレタン等の断熱材を充填して構成されている。なお、屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みとは、内側壁21cと外側壁21dとが互いに平行に設けられている部分における両壁(21c、21d)間の断熱層21eの厚みt0(図3及び図4参照)である。
【0020】
前記内側壁21c及び外側壁21dは、例えば、それぞれポリカーボネートからなり、射出成形により形成させている。これら内側壁21cの周縁と外側壁21dと周縁とが接着や溶着等により張り合わされて、内部に断熱層21eを備えた2重壁構造の内扉側フラップ21が形成される。また、一方の壁(21c又は21d)の周縁に予め溝を設け、内側壁21cと外側壁21dとを張り合わせの際に、この溝に樹脂を流し込むことによって2壁を接合するようにしてもよい。この内扉側フラップ21の上縁部21bの両端(左右方向両端)には、それぞれ軸部(図示省略)が突設されている。内扉側フラップ21は、この軸部を介して内扉4の商品払出口20の枠部に回動可能に軸支される。
【0021】
前記屈曲部21aとしては、具体的には、図3に示すように、例えば、自動販売機本体2の前方に向かって凸となる第1屈曲部21a1を、適宜箇所(例えば2箇所)に有し、これら第1屈曲部21a1において、断熱層21eの自動販売機本体2側(内側壁21c側)の曲率半径Riが、図3に示すように、断熱層21eの自動販売機本体2とは反対側(外側壁21d側)の曲率半径Roより大きくなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成されている。これにより、第1屈曲部21a1における断熱層21eの厚みを、屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより厚くすることができる。
【0022】
また、本実施形態においては、図3に示すように、内扉側フラップ21は、上縁部21b側に、さらに第2屈曲部21a2を有する。この第2屈曲部21a2は、第1屈曲部21a1とは逆に、自動販売機本体2の後方に向かって凸となる。本実施形態においては、第2屈曲部21a2において、断熱層21eの自動販売機本体2側(内側壁21c側)の曲率半径Riが、断熱層21eの自動販売機本体2とは反対側(外側壁21d側)の曲率半径Roより大きくなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成されている。これにより、第2屈曲部21a2における断熱層21eの厚みが、屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みと略等しくなっている。
【0023】
さらに、本実施形態においては、屈曲部21aとして、図4に示すように、フラップ幅方向(左右方向)両端部を自動販売機本体2の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部21a3を有し、この第3屈曲部21a3において、断熱層21eの自動販売機本体2側の曲率半径Riが断熱層21eの自動販売機本体2とは反対側の曲率半径Roより大きくなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成されている。
具体的には、内側壁21cの幅方向(左右方向)両端部は、自動販売機本体2の後方に向かって屈曲して形成される。また、外側壁21dの幅方向両端部は、自動販売機本体2の後方に向かって屈曲し、かつ、この屈曲の基端側における断熱層21eの厚みがこの屈曲の先端側における断熱層21eの厚みより厚くなるように形成されている。言い換えると、内側壁21c及び外側壁21dの幅方向両端部を、屈曲傾斜させ、この傾斜部分21fにおける内側壁21cと外側壁21dとの間の断熱層21eの厚みが、傾斜部分21fの先端側から基端側に向かうにつれて厚くなるように傾斜形成されている。この場合、例えば、内側壁21cの幅方向両端部は鍔部21gを更に備え、この鍔部21gと外側壁21dの傾斜部分の先端部とが接着や溶着等により貼り合わされる。そして、この傾斜部分21fの先端における内側壁21cと外側壁21dとの間の断熱層21eの厚みは、前述した内側壁21c及び外側壁21dが互いに平行に設けられている部分における厚みt0(図3及び図4参照)より厚くなるように設定されている。
これらにより、内扉側フラップ21の幅方向両端部の屈曲傾斜された傾斜部分21f及び第3屈曲部21a3における断熱層21eの厚みを、傾斜部分21f及び屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより厚くすることができる。また、内側壁21cの幅方向両端部は傾斜形成されているため、商品が商品シュータに沿って起立した状態で払出されたとしても、商品が内側壁21cの傾斜部分21fにぶつかることで、商品姿勢が横(左右方向)になって、商品が正常姿勢で商品受部10に払出される。
【0024】
次に、商品受部10及びその周辺の構造について、以下に、図5及び図6を参照して詳述する。図5は、図2の部分Pに対応しており、商品受部10を後方から見た図である。図6は、本実施形態の商品搬出部30における部分垂直断面の模式図であり、商品が内扉フラップ21を押し開いている状態を示している。
【0025】
前記商品受部10は、商品購入者が商品を取出し可能に外扉3の下部に開設され商品取出口11(図1参照)と、内扉側フラップ21の不正な開放を規制するための防盗板12と、商品受容部材13とを有している。また、商品取出口11には、この開口を塞ぐ外扉側フラップ14が取付けられている。なお、前述したように、この商品受部10(11,12,13)と、商品払出口20とを含んで構成される商品搬出部30が、本発明に係る「商品搬出部」に相当する。この商品払出口20から、商品受容部材13、防盗板12及び商品取出口11に至る商品搬出部30を介して、自動販売機本体2内に収納された商品を外部へ搬出する。
【0026】
前記商品取出口11は、商品払出口20の前方に位置する外扉3の前面を幅方向に延びる略矩形形状をなしている。また、本実施形態では、商品取出口11の幅(左右方向の長さ)は、複数の商品払出口20の全幅(すなわち、左側の商品払出口20の左端から右側の商品払出口20の右端までの距離)よりも小さい。外扉3の背面側における商品取出口11付近には、商品受容部材13の左右両端から上方へと延びる金属製の側板15が設けられている。商品取出口11の背面側の上方には、前方に向かって下り傾斜した上面板16(後述の図6参照)が配設されている。
【0027】
前記防盗板12は、幅方向に延びる金属製の板状部材からなり、商品搬出口20と開口部11との間に配設されている。防盗板12は、上面板16(図6参照)の下面側に連結軸(図示省略)を介して前後方向に回動可能に端部が取り付けられている。防盗板12は、商品取出口11から挿入された手によって後方に回転し、下端側が内扉側フラップ21の前面(外側壁21d)に接触することにより、内扉側フラップ21の前方への回動を規制する。なお、自動販売機1を室内に設置するなど、内扉側フラップ21の不正な開放を規制する必要がない場合には、防盗板12を設けなくてもよい。
【0028】
前記商品受容部材13は、商品取出口11の背面側の下方に配設され、商品払出口20を介して商品収納庫から払出された商品を受容可能に形成されたものである。商品受容部材13は、複数の商品払出口20の全幅と略同一の幅を有する。商品受容部材13は、上面開口の浅皿状をなしており、外扉3に固定されている。商品受容部材13の上面には、搬出された商品を受容するときの衝撃を和らげるためにシート状のクッション材(図示省略)が設けられている。
【0029】
前記外扉側フラップ14は、合成樹脂などの透明板からなり、外扉3の商品取出口11(つまり、商品搬出部30の一部)に、自動販売機本体2の前後方向に回動可能に設けられ、自動販売機本体2の前後方向に屈曲する屈曲部14aを有して形成され、上縁部14bが商品取出口11の枠部(図6参照)に軸支されて構成されている。外扉側フラップ14は、商品取出口11を閉じた状態で上方からの商品の視認性を向上させるべく、その上部が斜めに形成されている。外扉側フラップ14は、下端側を前方に回転させることによって商品取出口11を開放し、自重によって商品取出口11を閉塞する。
【0030】
次に、本実施形態の自動販売機1の動作について、図1及び図6を参照して説明する。
【0031】
まず、冷却/加熱ユニットにより、冷気流ないし暖気流を発生させ、その気流をファン等により収納庫内に循環させて商品を冷却ないし加熱する。そして、商品選択ボタン3a等を介して販売操作が行われると、選択された商品は、商品収納庫の下方に落下して商品シュータ上を転動し、内扉側フラップ21を押し開いて、商品受容部材13内に払出される。内扉側フラップ21は、商品が通過すると、フラップ自重によって商品払出口20を閉塞し、この商品払出口20から収納庫内に外気熱が侵入したり、逆に収納庫内の熱(冷気ないし熱気)が外部に逃げたりすることを防止する。そして、内扉側フラップ21の内部には断熱層21eが備えられているため、内扉側フラップ21を介して収納庫内と収納庫外との間で出入りする熱量を効率的に低減させる。
そして、商品購入者は、外扉側フラップ14の下端側を前方に回転させることによって商品取出口11を開放すると共に、商品受容部材13内に払出された商品を取出す。そして、外扉側フラップ14は、その自重によって商品取出口11を閉塞する。
【0032】
かかる本実施形態による自動販売機用の内扉側フラップ21及びこれを備えた自動販売機1によれば、内部に断熱層21eが設けられると共に自動販売機本体2の前後方向に屈曲する屈曲部21aを有する内扉側フラップ21の、屈曲部21a(21a1,21a3)における断熱層21eの厚みが、屈曲部21a以外の断熱層21eの厚みより厚くなるように形成される構成であるため、屈曲部21a(21a1,21a3)の断熱層21eの厚みを厚くしその部分の断熱性を高めることで、フラップ全体の断熱性を向上させることができ、かつ、屈曲部以外のフラップ厚みを変えることなく形成可能であるので、自動販売機内の狭い空間における商品の払出し性や取出し性を維持することができる。
【0033】
これにより、商品の払出性や商品の取出し性を維持しつつ、断熱性を向上させることが可能な自動販売機用の内扉側フラップ及びこの内扉側フラップを備えた自動販売機を提供することができる。
【0034】
本実施形態においては、屈曲部21aとして、自動販売機本体2の前方に向かって凸となる第1屈曲部21a1を有し、この第1屈曲部21a1において、Ri>Roとなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成される構成とした。これにより、屈曲部21aとしての第1屈曲部21a1における断熱層21eの厚みを、屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより、容易に厚くすることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、自動販売機本体2の後方に向かって凸となる第2屈曲部21a2を有し、第2屈曲部21a2において、Ri>Roとなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成される構成としたが、これとは逆に、第2屈曲部21a2において、Ri<Roとなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成される構成としてもよい。これにより、第1屈曲部21a1だけでなく、第2屈曲部21a2においても、断熱層21eの厚みが屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより厚くなるようにすることができ、断熱性をより高めることができる。
【0036】
そして、本実施形態では、屈曲部21aとして、フラップ幅方向両端部を自動販売機本体2の後方に向かって屈曲させて形成された第3屈曲部21a3を有し、この第3屈曲部21a3いて、Ri>Roとなるように、内側壁21c及び外側壁21dがそれぞれ形成される構成とした。これにより、第3屈曲部21a3においても、断熱層21eの厚みが屈曲部21a以外の部分の断熱層21eの厚みより厚くなるようにすることができ、断熱性をさらに高めることができる。なお、内側壁21c及び外側壁21dの幅方向両端部は、それぞれ屈曲させて形成しなくてもよい、この場合、例えば、内扉フラップ21の両側面を一枚の板で覆うように構成する。
【0037】
なお、上記説明においては、屈曲部21a(21a1,21a2,21a3)において断熱層21eの厚みを内側壁21c及び外側壁21dが互いに平行に設けられている部分における厚みt0(図3及び図4参照)より厚くなるようにする構成例として、第1屈曲部21a1及び第3屈曲部21a3においては、断熱層21eの内側壁21c側の曲率半径Riが、断熱層21eの外側壁21d側の曲率半径Roより大きくなるように、内側壁21cの屈曲している端部がR形状で形成され、第2屈曲部21a2においては、断熱層21eの外側壁21d側の曲率半径Roが、断熱層21eの内側壁21c側の曲率半径Riより大きくなるように、外側壁21dの屈曲している端部がR形状で形成されているものとして説明したが、屈曲している端部の形状は、これに限らない。例えば、第1屈曲部21a1及び第3屈曲部21a3において、内側壁21cの屈曲している端部は、内側壁21cが外側壁21dと組み合わされた状態で、外側壁21dから離れる方向に傾斜するように形成された傾斜面であってもよく、また、第2屈曲部21a2において、外側壁21dの屈曲している端部は、外側壁21dが内側壁21cと組み合わされた状態で、内側壁21cから離れる方向に傾斜させた傾斜面であってもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、断熱層21eは、ウレタン等の断熱材を充填してなるものとしたが、これに限らず、空隙からなるものとしてもよい。
【0039】
さらに、本実施形態においては、内扉側フラップ21は、内側壁21c及び外側壁21dの2重壁構造としたが、これに限らず、3枚の壁の3重壁構造としてもよい。この場合、内側壁、中壁、外側壁の3重壁において、内側壁及び中壁の2重壁と、中壁及び外側壁の2重壁のそれぞれに、上記内扉側フラップ21の内側壁21c及び外側壁21dの構造を適用する。なお、3重壁構造に限らず、4枚以上の壁による構造としてもよい。この場合であっても、隣接する壁に対して、それぞれ上記内側壁21c及び外側壁21dの構造をそれぞれ適用すればよい。
【0040】
また、本実施形態においては、本発明に係る「自動販売機用のフラップ」を、自動販売機1の内扉4に開口された商品払出口20を閉塞する内扉側フラップ21に適用した場合で説明したが、これに限らず、例えば、外扉3に開口された商品取出口11を閉塞する外扉側フラップ14に適用してもよく、自動販売機本体2内に収納された商品を搬出する商品搬出部30に設けられるフラップであればよい。
【0041】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、さらに、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0042】
1 自動販売機
2 自動販売機本体
14 外扉側フラップ(フラップ)
21 内扉側フラップ(フラップ)
21a 屈曲部
21a1 第1屈曲部
21a2 第2屈曲部
21a3 第3屈曲部
21e 断熱層
30 商品搬出部
Ri 断熱層の自動販売機本体側の曲率半径
Ro 断熱層の自動販売機本体側とは反対側の曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6