(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1超音波画像を前記第1超音波画像に対応する被検体の第1断面の位置とともに記憶し、前記第1超音波画像より過去に発生された複数の第2超音波画像を前記第2超音波画像にそれぞれ対応する前記被検体の複数の第2断面の位置とともに記憶する記憶部と、
前記第1断面の位置と前記第2断面各々の位置との相対的な位置関係に基づいて、前記第1断面と前記第2断面との複数の交線を決定し、前記第2断面に対して所定の角度離れた第3断面と前記第1断面とに基づいて、前記第1断面と前記第3断面との交線を決定する交線決定部と、
前記第1超音波画像と前記第2超音波画像とのうち少なくとも一方に、前記交線を表示し、前記第1断面と前記第3断面との交線を前記第1超音波画像に重畳させて表示するとともに、前記第3断面に前記第1断面を一致させるために超音波プローブを移動させるプローブ移動情報を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ3、位置センサ5、位置検出部7、装置本体9、装置本体9に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体9に取り込むための入力部25、表示部27を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース(InterFace:以下I/Fと呼ぶ)21を介して接続されてもよい。
【0009】
超音波プローブ3は、複数の圧電振動子と、整合層と、複数の圧電振動子の背面側に設けられるバッキング材とを有する。複数の圧電振動子は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子である。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ3の先端に装備される。以下、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する送受信部11から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。
【0010】
超音波プローブ3を介して被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波(以下、送信超音波と呼ぶ)は、被検体内の生体組織における音響インピーダンスの不連続面で反射される。圧電振動子は、反射された超音波(反射波)を受信し、エコー信号を発生する。エコー信号の振幅は、超音波の反射に関する不連続面を境界とする音響インピーダンスの差に依存する。また、送信超音波が移動している血流、および心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号の周波数は、ドプラ効果により、移動体(血流および心臓壁の表面)の超音波送信方向の速度成分に依存して偏移する。
【0011】
以下、超音波プローブ3は、1次元アレイにより2次元走査するプローブとして説明する。なお、超音波プローブ3は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブであってもよい。また、超音波プローブ3は、メカニカル4次元プローブに限定されず、2次元アレイプローブであってもよい。超音波プローブ3が2次元アレイプローブである場合、2次元アレイプローブは、後述する送受信部11により、超音波の送受信方向を制御する。
【0012】
整合層は、被検体Pに対する超音波の送受信を効率よくするために、複数の圧電振動子の超音波放射面側に設けられる。バッキング材は、圧電振動子の後方への超音波の伝搬を防止する。
【0013】
位置センサ5は、所定の基準位置を基準とした超音波プローブ3の位置情報を取得する。位置情報は、所定の基準位置に対する超音波プローブ3の位置を示す座標情報と超音波プローブ3の角度に関する角度情報とを有する。角度情報とは、例えば、所定の基準軸に対する超音波プローブ3の傾きである。所定の基準位置とは、例えば、超音波診断装置1の装置本体9の位置である。なお、基準位置は、装置本体9の外部に設けられてもよい。所定の基準軸とは、例えば、予め設定された直交3軸のうち2軸と、超音波プローブ3の開口中心と超音波プローブ3の重心とを結ぶ直線(以下、プローブ軸と呼ぶ)とにより規定される。上記2軸は、予め設定された直交3軸(x軸、y軸、z軸)のうち、x軸およびy軸とする。位置センサ5は、例えば、超音波プローブ3に隣接して設けられる。位置センサ5は、取得した位置情報を、後述する位置検出部7に出力する。
【0014】
位置センサ5は、例えば、磁気センサ、赤外線センサ、角度センサ(例えばジャイロセンサ)などである。例えば、磁気センサは、位置検出部7における図示していない磁気送信器から送信された磁気を用いて、所定の基準位置を基準とした座標情報を取得する。また、赤外線センサは、位置検出部7における図示していない赤外線送信器から送信された赤外線を用いて、所定の基準位置を基準とした座標情報を取得する。なお、赤外線の代わりにより一般的な電磁波を用いてもよい。
【0015】
なお、位置センサ5が磁気センサである場合、基準位置は、磁気送信器の位置であってもよい。また、位置センサ5が赤外線センサ場合、基準位置は、赤外線送信器の位置であってもよい。また、基準位置は、後述する入力部25を介した操作者の指示により、適宜調整可能である。なお、所定の基準位置は、被検体の体表面に初めに当接された位置であってもよい。
【0016】
角度センサは、所定の基準軸周りの超音波プローブ3の角度情報を取得する。なお、検出される角度は、超音波プローブ3の側面に設けられた2つの磁気センサ、2つの赤外線センサ、または磁気センサと赤外線センサとの組み合わせなどから出力される2点の位置に基づいて、取得されてもよい。
【0017】
位置検出部7は、位置センサ5から出力された位置情報を用いて、所定の基準位置を基準とした超音波プローブ3の位置を示す3次元座標と所定の基準軸周りの角度を検出する。以下、検出した3次元座標と角度とをまとめてプローブ位置と呼ぶ。具体的には、位置検出部7は、所定の基準位置を基準とした絶対座標系上において、超音波プローブ3の位置を示す3次元座標と、基準軸周りの角度とを決定する。位置検出部7は、プローブ位置を後述する制御プロセッサ23および後述する断面位置決定部15に出力する。
【0018】
装置本体9は、送受信部11、画像発生部13、断面位置決定部15、記憶部17、交線決定部19、I/F21、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)23を有する。
【0019】
送受信部11は、超音波プローブ3における複数の振動子各々を駆動する駆動信号を発生する。送受信部11、複数の振動子各々に駆動信号を供給する。送受信部11は、複数の振動子各々により発生された受信エコー信号に基づいて、受信信号を発生する。具体的には、送受信部11は、いずれも図示していない超音波送信ユニットと超音波受信ユニットとを有する。超音波送信ユニットは、いずれも図示していないトリガ発生回路と、送信遅延回路と、パルサ回路とを有する。超音波受信ユニットは、いずれも図示していないプリアンプ回路と、受信遅延回路と、加算器とを有する。
【0020】
トリガ発生回路は、所定のレート周波数frHz(周期:1/fr秒)で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。トリガ発生回路は、所定のレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。
【0021】
送信遅延回路は、複数のチャンネルごとに、送信超音波をビーム状に収束し、かつ送信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、送信遅延時間と呼ぶ)を、各レートパルスに与える。送信超音波の送信方向または送信遅延時間(以下、送信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部17に記憶される。記憶部17に記憶された送信遅延パターンは、CPU23により超音波の送信時に参照される。遅延時間が付与されたレートパルスは、後述するパルサ回路に送られる。
【0022】
パルサ回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ3の複数の圧電振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。
【0023】
被検体の生体組織で反射されたエコー信号は、超音波プローブ3を介して受信エコー信号としてチャンネル毎に取り込まれる。プリアンプ回路は、超音波プローブ3を介して取り込まれた被検体からの受信エコー信号をチャンネル毎に増幅する。図示していないアナログディジタル変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。
【0024】
受信遅延回路は、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、受信遅延時間と呼ぶ)を与える。エコー信号の受信方向または受信遅延時間(以下、受信遅延パターンと呼ぶ)は、記憶部17に記憶される。記憶部17に記憶された受信遅延パターンは、CPU23により参照される。
【0025】
加算器は、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、超音波受信ユニットは、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号(RF(radiofrequency)信号ともいう)を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される。この総合的な指向性により、超音波ビーム(いわゆる「超音波走査線」)が決まる。
【0026】
超音波受信ユニットは、被走査領域内の各走査線における深さごとの受信信号を、後述する画像発生部13に出力する。なお、超音波受信ユニットは、1回の超音波送信で複数の走査線上に生じたエコー信号を同時に受信する並列受信機能を有していてもよい。
【0027】
画像発生部13は、いずれも図示していないBモードデータ発生部と、ドプラデータ発生部と、ディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下、DSCと呼ぶ)と画像メモリと画像合成デバイスとを有する。
【0028】
Bモードデータ発生部は、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、送受信部11から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモードデータ発生部は、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。
【0029】
なお、超音波プローブ3がメカニカル4次元プローブである場合や2次元アレイプローブである場合、Bモードデータ発生部は、被走査領域におけるアジマス(Azimuth)方向、エレベーション(Elevation)方向、深さ方向(以下レンジ(Range)方向と呼ぶ)にそれぞれ対応付けて配列された複数の信号値からなる3次元Bモードデータを発生してもよい。レンジ方向とは、走査線上の深さ方向である。アジマス方向とは例えば、1次元超音波振動子の配列方向に沿った電子走査方向である。エレベーション方向とは、1次元超音波振動子の機械的揺動方向である。なお、3次元Bモードデータは、複数の画素値または複数の輝度値などを、走査線に沿って、アジマス方向、エレベーション方向、レンジ方向にそれぞれ対応付けて配列させたデータであってもよい。
【0030】
また、3次元Bモードデータは、被走査領域において予め設定されたROIに関するデータであってもよい。また、Bモードデータ発生部は、3次元Bモードデータの代わりに超音波ボリュームデータを発生してもよい。以下、Bモードデータ発生部で発生されるデータをまとめて、Bモードデータ呼ぶ。
【0031】
Bモードデータ発生部は、位置検出部7により検出されたプローブ位置を用いて、Bモードデータを絶対座標系に対応付ける。なお、Bモードデータ発生部は、プローブ位置を、3次元Bモードデータに対応づけてもよい。
【0032】
ドプラデータ発生部は、いずれも図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、送受信部11から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f
0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分の信号と(2f
0+f
d)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f
0+f
d)の信号を取り除く。ドプラデータ発生部は、高い周波数成分(2f
0+f
d)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分を有するドプラ信号を発生する。
【0033】
なお、ドプラデータ発生部は、ドプラ信号を発生するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラデータ発生部23は、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数f
dの成分を有するドプラ信号を発生する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるドプラ成分である。
【0034】
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、LPFフィルタ、自己相関演算器等を有する。なお、自己相関演算器の代わりに相互相関演算器を有していてもよい。MTIフィルタは、発生されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。MTIフィルタは、ドプラ信号から血流に関するドプラ成分(以下、血流ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。LPFは、ドプラ信号から組織の移動に関するドプラ成分(以下、組織ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。
【0035】
自己相関演算器は、血流ドプラ成分及び組織ドプラ成分に対して自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度(パワー)等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、所定領域の各位置におけるカラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。なお、ドプラデータは、3次元的なデータ(以下、3次元ドプラデータと呼ぶ)であってもよい。以下、3次元ドプラデータと3次元Bモードデータとをまとめて、3次元超音波データと呼ぶ。
【0036】
画像発生部13は、Bモードデータ発生部により発生されたBモードデータ基づいて、Bモード画像を発生する。画像発生部13は、ドプラデータ発生部により発生されたドプラデータに基づいて、ドプラ画像を発生する。以下、Bモード画像とドプラ画像とをまとめて超音波画像と呼ぶ。すなわち、画像発生部13は、送受信部11から出力されたデータに基づいて、超音波画像を発生する。
【0037】
具体的には、画像発生部13は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、Bモードデータおよびドプラデータなどからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する処理である。画像発生部13は、座標変換処理により、表示画像としての超音波画像を発生する。以下、画像発生部13で発生される超音波画像を第1超音波画像と呼ぶ。
【0038】
画像メモリは、発生された超音波画像(Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像)に対応するデータ(以下、画像データと呼ぶ)を記憶する。画像メモリに記憶された画像データは、入力部25を介した操作者の指示により、読み出される。画像メモリは、例えば、フリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示部27に表示させることも可能である。
【0039】
画像合成デバイスは、超音波画像および走査断面画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。画像合成デバイスは、合成した画像を表示部27に出力する。
【0040】
断面位置決定部15は、位置検出部7から出力されたプローブ位置に基づいて、第1超音波画像に対応する第1断面の位置を決定する。第1断面の位置とは、所定の基準位置に対する第1断面画像の位置である。すなわち、第1断面の位置は、所定の基準位置を基準として、被検体における第1超音波画像の断面位置を示す。断面位置決定部15は、第1断面の位置に関するデータ(以下、第1位置データと呼ぶ)を、後述する交線決定部19に出力する。なお、断面位置決定部15は、第1位置データを第1超音波画像と対応付けて、後述する記憶部17に記憶させるために、第1位置データを記憶部に出力してもよい。
【0041】
なお、断面位置決定部15は、位置センサ5および位置検出部7がなくとも、超音波プローブ3が2次元アレイプローブである場合、以下のようにして断面位置を決定することができる。具体的には、超音波プローブ3は、被検体Pに当接した位置(所定の位置)に固定される。次いで、例えば、エレベーション方向に平行な面(以下、A面と呼ぶ)に沿って、超音波スキャンが実行され、超音波画像(以下、A面超音波画像と呼ぶ)が発生される。さらに、超音波プローブ3を動かさずに、アジマス方向に平行な面(以下、B面と呼ぶ)に沿って、超音波スキャンが実行され、超音波画像(以下、B面超音波画像と呼ぶ)が発生される。上記2回の超音波スキャンにおいて、超音波プローブ3は不動である。このため、断面位置決定部15は、A面超音波画像とB面超音波画像との相対的な位置関係に基づいて、A面の位置(第1断面の位置)とB面の位置(第2断面の位置)とを決定する。すなわち、断面位置決定部15は、超音波の送受信方向に基づいて、第1断面の位置と第2断面の意思とを決定する。断面位置決定部15は、A面の位置に関するデータとB面の位置に関するデータとを後述する交線決定部19に出力する。
【0042】
また、同様に、深さ方向に愛して直交する面(以下、C面と呼ぶ)などのような任意断面位置における超音波画像、すなわち3次元超音波データを断面変換(Multi−Planar Reconstruction:以下、MPRと呼ぶ)によって再構成された超音波画像(以下、C面超音波画像と呼ぶ)であっても、断面位置決定部15は、超音波プローブ3が不動であれば、C面の位置(第2断面の位置)を決定することができる。すなわち、断面位置決定部15は、超音波プローブ3が不動であれば、A面超音波画像またはB面超音波画像と、C面超音波画像との相対的な位置関係に基づいて、C面の位置を決定する。断面位置決定部15は、A面の位置に関するデータまたはB面の位置に関するデータと、C面の位置に関するデータとを後述する交線決定部19に出力する。
【0043】
記憶部17は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、複数の送信遅延パターン、本超音波診断装置1の装置制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、診断情報(患者ID、医師の所見等)、送受信部11により発生された受信信号などを記憶する。記憶部17は、画像発生部13により発生されたBモードデータ、ドプラデータ、3次元超音波データ、第1超音波画像(Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像)を、第1位置データともに記憶する。
【0044】
記憶部17は、被検体に対する検査および診断部位ごとに、被検体に対する過去の複数の超音波画像(以下、第2超音波画像と呼ぶ)を記憶する。具体的には、記憶部17は、第1超音波画像より過去に発生された第2超音波画像を、第2超音波画像にそれぞれ対応する複数の第2断面の位置とともに記憶する。第2断面画像に対応する第2断面位置が決定されていない場合、第2断面位置は、後述するCPU23により、被検体に対する3次元超音波データと第2超音波画像とに基づいて決定される。
【0045】
交線決定部19は、第1断面の位置と第2断面各々の位置とに基づいて、第1断面と第2断面各々との相対的な位置関係を決定する。交線決定部19は、第1断面の位置と第2断面各々の位置と相対的な位置関係とに基づいて、第1断面と第2断面各々とが交わる位置に対応する交線を決定する。具体的には、交線決定部19は、所定の基準位置を基準として、第1位置データと第2断面各々の位置データ(以下、第2位置データと呼ぶ)とに基づいて、複数の交線の位置を決定する。例えば、交線決定部19は、第1断面の位置と交線の位置とに基づいて、第1超音波画像上における交線の表示位置を決定する。交線決定部19は、第2断面の位置と交線の位置とに基づいて、第2超音波画像上における交線の表示位置を決定する。交線決定部19は、交線の表示位置を、後述する表示部27に出力する。
【0046】
交線決定部19は、A面の位置とB面の位置とに基づいて、A面とB面との相対的な位置関係を決定する。交線決定部19は、A面とB面との相対的な位置関係に基づいて、A面とB面とが交わる位置に対応する交線を決定する。具体的には、交線決定部19は、A面の位置に関するデータとB面の位置に関するデータとに基づいて、交線の位置を決定する。例えば、交線決定部19は、A面の位置と交線の位置とに基づいて、A面超音波画像上における交線の表示位置を決定する。
【0047】
また、交線決定部19は、B面の位置とC面の位置とに基づいて、B面とC面との相対的な位置関係を決定する。交線決定部19は、B面とC面との相対的な位置関係に基づいて、B面とC面とが交わる位置に対応する交線を決定する。具体的には、交線決定部19は、B面の位置に関するデータとC面の位置に関するデータとに基づいて、交線の位置を決定する。例えば、交線決定部19は、B面の位置と交線の位置とに基づいて、B面超音波画像上における交線の表示位置を決定する。
【0048】
また、交線決定部19は、A面の位置とC面の位置とに基づいて、A面とC面との相対的な位置関係を決定する。交線決定部19は、A面とC面との相対的な位置関係に基づいて、A面とC面とが交わる位置に対応する交線を決定する。具体的には、交線決定部19は、A面の位置に関するデータとC面の位置に関するデータとに基づいて、交線の位置を決定する。
【0049】
I/F21は、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。装置本体9によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、I/F21とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。なお、I/F21は、図示していない医用画像保管装置などの画像データサーバから、被検体に関する第2超音波画像(および第2断面の位置)を受信し、記憶部17に送信することも可能である。
【0050】
CPU23は、入力部25を介して操作者により入力されたBモードとドプラモードに対する選択、フレームレート、被走査深度、送信開始・終了などに基づいて、記憶部17に記憶された送信遅延パターンと、受信遅延パターンと、装置制御プログラムとを読み出し、これらに従って装置本体9を制御する。
【0051】
第2超音波画像に関する第2断面の位置が記憶部17に記憶されていない場合、CPU23は、被検体に対する3次元超音波データと第2超音波画像各々とに基づいて、第2超音波画像に関する第2断面各々の位置を決定する。具体的には、CPU23は、3次元超音波データと、第2超音波画像のデータとを位置合わせすることにより、3次元超音波データにおける第2断面の位置を特定する。CPU23は、例えば、パターンマッチングにより、3次元超音波データと第2超音波画像のデータとの位置合わせを実行する。CPU23は、この位置合わせにより、第2超音波画像に関する第2断面を特定する。CPU23は、特定された第2断面と、3次元超音波データにおける第1断面の位置とに基づいて、第2断面の位置を決定する。CPU23は、決定した第2断面の位置を、第2超音波画像とともに記憶部17に記憶させる。
【0052】
入力部25は、装置本体9に接続され、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体9に取り込む。入力部25は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU23に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部25は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU23に出力する。また、操作者が入力部25の終了ボタンまたはフリーズボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体9は一時停止状態となる。入力部25は、交線を重畳させる超音波画像を、第1超音波画像と第2超音波画像とから選択する選択指示を入力する。
【0053】
表示部27は、図示していないモニタを有する。表示部27は、画像発生部により発生された種々の画像を、図示していないモニタに表示させる。表示部27は、種々の画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。
【0054】
具体的には、表示部27は、第1超音波画像を、第1超音波画像のサイズより小さいサイズの複数の第2超音波画像とともに表示する。このとき、表示部27は、複数の第2超音波画像各々に、第1断面と第2断面各々との交線を、所定の線種、所定の幅、所定の色相で表示する。所定の線種とは、例えば、実線、点線、破線、1点鎖線、2点鎖線などである。また、所定の幅とは、予め設定された幅であって、操作者により容易に認識可能な幅である。所定の色相とは、予め設定された色相であって、操作者により容易に認識可能な色相である。なお、表示部27は、第1超音波画像と第2超音波画像との少なくとも一方に、交線を含む相対的な位置関係を表示することも可能である。
【0055】
また、表示部27は、第2超音波画像の収集モード(Bモード、カラードプラモード、Mモードなど)に応じた色相で、第1断面と第2断面各々との交線を表示してもよい。なお、表示部27は、第2超音波画像の収集モード(Bモード、カラードプラモード、Mモードなど)に応じた線種または幅で、第1断面と第2断面各々との交線を表示してもよい。さらに、表示部27は、第1超音波画像及び第2超音波画像各々に、それぞれ対応する交線を表示することも可能である。なお、表示部27は、複数の第2超音波画像のうち少なくとも一つに、交線を重畳させて表示してもよい。また、表示部27は、モニタに表示された第2超音波画像を囲む表示枠の色相と、第1超音波画像に重畳して表示された交線の色相とを、関連する第2断面に応じて同じ色相、またはそれぞれ関連する色相で表示してもよい。
【0056】
図2は、表示部27におけるモニタに表示された第1、2超音波画像を、第2超音波画像各々に重畳して表示された交線とともに示す図である。
図2に示すように、複数の第2超音波画像(第2超音波画像A、第2超音波画像B、第2超音波画像C)のサイズは、第1超音波画像より小さい。また、第2超音波画像Aには、第2超音波画像Aに関する第2断面aと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。第2超音波画像Bには、第2超音波画像Bに関する第2断面bと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。第2超音波画像Cには、第2超音波画像Cに関する第2断面cと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。
【0057】
図3は、第1超音波画像に、第1断面と第2断面各々との交線を重畳して表示した一例を示す図である。
図3に示すように、第1超音波画像には、第2超音波画像Aに関する第2断面aと第1断面との交線と、第2超音波画像Bに関する第2断面bと第1断面との交線と、第2超音波画像Cに関する第2断面cと第1断面との交線とが表示される。
【0058】
図4は、表示部27におけるモニタに表示された第1、2超音波画像各々に重畳して表示された交線とともに示す図である。
図4に示すように、第1超音波画像には、第2超音波画像Aに関する第2断面aと第1断面との交線と、第2超音波画像Bに関する第2断面bと第1断面との交線と、第2超音波画像Cに関する第2断面cと第1断面との交線とが表示される。第2超音波画像Aには、第2超音波画像Aに関する第2断面aと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。第2超音波画像Bには、第2超音波画像Bに関する第2断面bと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。第2超音波画像Cには、第2超音波画像Cに関する第2断面cと第1超音波画像に関する第1断面との交線が、破線で表示される。
【0059】
(交線表示機能)
交線表示機能とは、第1超音波画像に関する第1断面の位置と、第2超音波画像における第2断面の位置とに基づいて、第1断面と第2断面との交線を決定し、第1超音波画像と第2超音波画像とのうち少なくとも一方に交線を重畳させて表示する機能である。以下、交線表示機能に関する処理(以下、交線表示処理と呼ぶ)について説明する。
【0060】
図5は、交線表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
被検体に対して超音波を送受信することにより、第1超音波画像が発生される(ステップSa1)。第1超音波画像の発生に関するプローブ位置が検出される(ステップSa2)。プローブ位置に基づいて、第1超音波画像に関する第1断面の位置が、決定される(ステップSa3)。複数の第2超音波画像にそれぞれ対応する複数の第2断面の位置が、記憶部17から読み出される(ステップSa4)。第1断面の位置と第2断面各々の位置との相対的な位置関係に基づいて、第1断面と第2断面とが交わる位置に対応する交線が決定される(ステップSa5)。交線を重畳して表示する超音波画像が、入力部25を介して入力される。なお、交線を重畳させる超音波画像を選択する入力は、後述するステップSa6の処理の以前であれば、いずれの時点においてでもよい。選択された超音波画像(第1超音波画像と第2超音波画像とのうち少なくとも一方)に交線を重畳させて、第1超音波画像と第2超音波画像とが、表示部27のモニタに表示される(ステップSa6)。
【0061】
(第1の変形例)
第1の実施形態との相違は、例えば、第2の超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することにある。なお、本変形例と第1の実施形態の相違は、第1の超音波画像に、第2断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することであってもよい。
【0062】
CPU23は、第1断面に平行な方向(以下、第1方向と呼ぶ)を、表示部27のモニタ上に仮想的に設定する。CPU23は、第1方向に沿って平行に第1断面を示す平面状のマーカを表示させるために、表示部27を制御する。CPU23は、第2断面に平行な方向(以下、第2方向と呼ぶ)を、表示部27のモニタ上に仮想的に設定する。CPU23は、第2方向に沿って平行に第2断面を示す平面状のマーカを表示させるために、表示部27を制御する。
【0063】
表示部27は、第2超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的(疑似的に3次元を示すように)に重畳させて表示する。なお、表示部27は、第1超音波画像に、第2断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示してもよい。
【0064】
図6は、モニタに表示された第2超音波画像と、第2超音波画像に重畳された第1断面を示す平面状のマーカと交線との一例を示す図である。
図6に示すように、第2超音波画像と第1断面を示す平面状のマーカとは、疑似的に3次元的な関係を示すように表示される。
【0065】
(第2の変形例)
第1の実施形態との相違は、例えば、第2の超音波画像に、第1超音波画像と(第1断面を示す平面状のマーカと)交線とを模式的に重畳させて表示することにある。なお、本変形例と第1の実施形態の相違は、第1の超音波画像に、第2超音波画像と(第2断面を示す平面状のマーカと)交線とを模式的に重畳させて表示することであってもよい。
【0066】
CPU23は、第1方向に沿って平行に第1超音波画像を表示させるために、表示部27を制御する。このとき、第1超音波画像は、第1方向に沿って歪められた画像となる。CPU23は、第2方向に沿って平行に第2超音波を表示させるために、表示部27を制御する。このとき、第1超音波画像は、第2方向に沿って歪められた画像となる。
【0067】
表示部27は、第2超音波画像に第1超音波画像と交線とを模式的に重畳させて表示する。なお、表示部27は、第1超音波画像に第2超音波断面と交線とを模式的に重畳させて表示してもよい。
【0068】
図7は、モニタに表示された第2超音波画像と、第2超音波画像に重畳された第1超音波画像と交線との一例を示す図である。
図7に示すように、第2超音波画像と第1超音波画像とは、疑似的に3次元的な関係を示すように表示される。また、
図7に示すように、第1断面と第2断面とにはさまれた領域の断面の超音波画像が、モニタに表示される。
【0069】
(第3の変形例)
第1の実施形態との相違は、第1超音波画像と第2超音波画像との相対的な位置関係を表示するために、例えば、第2の超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することにある。なお、本変形例と第1の実施形態の相違は、第2の超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することであってもよい。第1の変形例との相違は、第1超音波画像と第2断面、第2超音波画像と第1断面において、疑似的に3次元的な位置関係を示すように表示させることにある。
【0070】
CPU23は、表示部27のモニタ上において、疑似的な直交3軸を決定する。疑似的な直交3軸は、例えば、モニタ上において、互いに60°で交わる。CPU23は、疑似的な直交3軸に従って、第2超音波画像と第1断面を示す平面状のマーカと交線とを表示させるように、表示部27を制御する。なお、CPU23は、疑似的な直交3軸に従って、第1超音波画像と第2断面を示す平面状のマーカと交線とを表示させるように、表示部27を制御してもよい。
【0071】
表示部27は、疑似的な直交3軸に従って、第2超音波画像に第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示する。このとき、第2超音波画像は、疑似的な直交3軸に従って歪められた画像となる。なお、表示部27は、第1超音波画像に第2断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示してもよい。このとき、第1超音波画像は、疑似的な直交3軸に従って歪められた画像となる。
【0072】
図8は、疑似的な直交3軸に従ってモニタに表示された第2超音波画像と、第2超音波画像に重畳された第1断面を示す平面状のマーカと交線との一例を示す図である。
図8に示すように、第2超音波画像と第1断面を示す平面状のマーカとは、疑似的に3次元的な関係を示すように表示される。
図8に示すように、疑似的な直交3軸に従って、第2超音波画像と第1断面を示す平面状のマーカとの相対的な位置関係が表示される。
【0073】
図9は、疑似的な直交3軸に従ってモニタに表示された第1超音波画像と、第1超音波画像に重畳された複数の第2断面をそれぞれ示す複数の平面状のマーカと、複数の第2断面各々と第1断面とが交わる位置に対応する複数の交線との一例を示す図である。
図9に示すように、第1超音波画像には、第2超音波画像Aに関する第2断面aを示す平面状のマーカと、第2断面aと第1断面との交線と、第2超音波画像Bに関する第2断面bを示す平面状のマーカと、第2断面bと第1断面との交線と、第2超音波画像Cに関する第2断面cを示す平面状のマーカと、第2断面cと第1断面との交線とが、疑似的な直交3軸に関して相対的な位置関係を維持して表示される。
【0074】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の超音波診断装置1によれば、現在の超音波画像(第1超音波画像)と過去の超音波画像(第2超音波画像)との位置関係を、簡便且つ明瞭に表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、現在の超音波画像の断面位置と、過去の超音波画像の断面位置との相対的な位置関係に基づいて、現在の超音波画像の断面と過去の超音波画像の断面とが交わる位置に対応する交線を決定し、現在の超音波画像と過去の超音波画像とのうち少なくとも一方に、決定した交線を重畳させて表示することができる。これにより、本実施形態によれば、超音波プローブを動かすことにより、保存した過去の超音波画像と、リアルタイムに表示される超音波画像との位置関係を、操作者は、簡便かつ明瞭に把握することができる。加えて、本実施形態によれば、操作者は、被検体内における構造体(組織)を3次元的に正しく把握することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る第1の変形例によれば、例えば、第2の超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することができる。また、本変形例によれば、第1の超音波画像に、第2断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することができる。
【0076】
加えて、本実施形態に係る第2の変形例によれば、例えば、第2の超音波画像に、第1超音波画像と交線とを模式的に重畳させて表示することができる。また、本変形例によれば、第1の超音波画像に、第2超音波画像と交線とを模式的に重畳させて表示することができる。
【0077】
さらに、第1の実施形態に係る第3の変形例によれば、第1超音波画像と第2超音波画像との相対的な位置関係を表示するために、例えば、第2の超音波画像に、第1断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示するができる。また、本変形例によれば、第1の超音波画像に、第2断面を示す平面状のマーカと交線とを模式的に重畳させて表示することができる。
【0078】
以上のことから、本実施形態に係る第1乃至第3の変形例によれば、現在の超音波画像の断面と過去の超音波画像の断面との3次元的な位置関係を、交線とともに表示することができる。これにより、操作者は、現在の超音波画像および過去の超音波画像において、被検体内における腫瘍や血管などの構造体(組織)の3次元的な把握することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、超音波プローブ3が2次元アレイであって、任意の方向にスキャン断面を配置でき、超音波プローブ3を動かさなければ、位置センサが無くとも断面位置・交線位置を決定し、表示することができる。加えて、深さ方向に対して直交する面のような任意断面位置(MPRによって再構成された面)であっても、超音波プローブ3が動かされていない状況下であれば、本実施形態に係る超音波診断装置1は、A面超音波画像、B面超音波画像、もしくは他のMPR断面に関するC面超音波画像との相対的な位置関係を決定し、A面とB面とが交わる位置に対応する交線、B面とC面とが交わる位置に対応する交線、A面とC面とが交わる位置に対応する交線を表示することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、交線が第1超音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、相対的な位置関係と交線の位置とに基づいて、第1断面の位置または第2断面の位置に対する交線の位置を示す交線位置情報を発生し、表示することにある。
【0081】
交線決定部19は、交線が第1超音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、相対的な位置関係と交線の位置とに基づいて、第1断面の位置または第2断面の位置に対する交線の位置を示す交線位置情報を発生する。具体的には、交線決定部19は、第1断面の位置と交線の位置とに基づいて、第1断面の位置から交線の位置までの距離および方向(角度)(以下、第1位置情報と呼ぶ)を決定する。交線決定部19は、第1位置情報に基づいて、第1位置情報に対応する模式図(例えば、矢印など)の色相および大きさを決定する。以下、第1位置情報と、第1位置情報に対応する模式図の色相および大きさとをまとめて、第1交線位置情報と呼ぶ。交線決定部19は、第1交線位置情報を、表示部27に出力する。
【0082】
交線決定部19は、第2断面の位置と交線の位置とに基づいて、第2断面の位置から交線の位置までの距離および方向(以下、第2位置情報と呼ぶ)を決定する。交線決定部19は、第2位置情報と呼ぶに基づいて、第2位置情報に対応する模式図(例えば、矢印など)の色相および大きさを決定する。以下、第2位置情報と、第2位置情報に対応する模式図の色相および大きさとをまとめて、第2交線位置情報と呼ぶ。交線決定部19は、第2交線位置情報を、表示部27に出力する。
【0083】
記憶部17は、第1位置情報および第2位置情報に対応する模式図を記憶する。記憶部17は、第1断面および第2断面の位置から交線の位置までの距離および方向に応じた模式図の色相と、大きさとを記憶する。なお、模式図の色相および大きさは、入力部25を介して適宜設定可能である。
【0084】
表示部27は、第1超音波画像の表示枠(以下、第1表示枠と呼ぶ)内において、第1交線位置情報を表示する。具体的には、表示部27は、第1表示枠内において、第1位置情報に対応する模式図を、決定された色相および大きさで表示する。なお、表示部27は、第1表示枠において、第1位置情報を模式図とともに表示してもよい。なお、第1位置情報における距離は、この距離に応じた音圧または周波数で、図示していないスピーカなどの出力部により音として出力されてもよい。なお、上記周波数は、出力される音の周波数に限定されず、音の出力のオンオフに関する周波数であってもよい。
【0085】
図10は、第1表示領域に表示された模式図と、第1位置情報とを示す図である。
図10に示すように、第1超音波画像の撮像領域外にある交線、すなわち第1断面と第2断面aとの交線および第1断面と第2断面bとの交線とに関して、2つの模式図が第1表示領域にそれぞれ表示される。
【0086】
具体的には、
図10に示すように、第2断面aの位置を示す矢印が、第1表示領域上に模式図(矢印)として表示される。模式図(矢印)の色相および大きさは、第1位置情報に対応する。この時、第1表示領域上に、第1断面の位置から、第1断面と第2断面aとの交線までの距離(
図10におけるL1)および方向(
図10におけるθ1)が、第1位置情報として表示されてもよい。さらに、
図10に示すように、第2断面bの位置を示す矢印が、第1表示領域上に模式図として表示される。この時、第1表示領域上に、第1断面の位置から、第1断面と第2断面bとの交線までの距離(
図10におけるL2)および方向(
図10におけるθ2)が、第1位置情報として表示されてもよい。
【0087】
なお、表示部27は、第2超音波画像の表示枠(以下、第2表示枠と呼ぶ)の色相と、模式図における色相とを同じ色相で表示してもよい。
図10は、白黒画像であるため、色相の違いは便宜上グレースケールを変更して記載している。例えば、
図10に示すように,第2超音波画像Aの第2表示枠の色相と模式図(矢印)の色相とは、同じ色相で表示される。また、
図10に示すように,第2超音波画像Bの第2表示枠の色相と模式図(矢印)の色相とは、同じ色相で表示される。
【0088】
表示部27は、第2超音波画像各々の表示領域(以下、第2表示領域と呼ぶ)において、第2交線位置情報を表示する。具体的には、表示部27は、第2表示領域において、第2位置情報に対応する模式図を、決定された色相および大きさで表示する。なお、表示部27は、第2表示領域において、第2位置情報を模式図とともに表示してもよい。
【0089】
図11は、第2表示領域各々に表示された模式図と、第2位置情報とを示す図である。
図11に示すように、第2超音波画像の撮像領域外にある交線、すなわち第1断面と第2断面bとの交線および第1断面と第2断面cとの交線とに関して、2つの模式図が2つの第2表示領域にそれぞれ表示される。
【0090】
具体的には、
図11に示すように、第1断面の位置を示す矢印が、第2超音波画像Bを表示する第2表示領域上に模式図として表示される。この時、第2断面bの位置から、第1断面と第2断面bとの交線までの距離および方向が、第2位置情報として表示されてもよい。さらに、
図11に示すように、第1断面の位置を示す矢印が、第2超音波画像Cを表示する第2表示領域上に模式図として表示される。この時、第2断面cの位置から、第1断面と第2断面cとの交線までの距離および方向が、第1位置情報として表示されてもよい。
【0091】
また、表示部27は、第1超音波画像の撮像領域外にある交線を第1超音波画像に重畳させるために超音波プローブ3をガイドするナビゲーション情報として、第1交線位置情報を表示することも可能である。加えて、表示部27は、第2超音波画像の撮像領域外にある交線を第2超音波画像に重畳させるために第2断面をガイドするナビゲーション情報として、第2交線位置情報を表示することも可能である。このとき、表示部27は、超音波プローブ3の移動に伴うプローブ位置の更新に応じて、第1交線位置情報を更新して表示する。
【0092】
(交線位置情報表示機能)
交線位置情報表示機能とは、交線が第1超音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、相対的な位置関係と交線の位置とに基づいて、交線位置情報を発生し、表示する機能である。以下、交線位置情報表示機能に関する処理(以下、交線位置情報表示処理と呼ぶ)について説明する。
【0093】
図12は、交線位置情報表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
被検体に対して超音波を送受信することにより、第1超音波画像が発生される。第1超音波画像の発生に関するプローブ位置が検出される。プローブ位置に基づいて、第1超音波画像に関する第1断面の位置が、決定される。複数の第2超音波画像にそれぞれ対応する複数の第2断面の位置が、記憶部17から読み出される。第1断面の位置と第2断面各々の位置との相対的な位置関係に基づいて、第1断面と第2断面との複数の交線が決定される。
【0094】
交線が第1超音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、相対的な位置関係と交線の位置とに基づいて、交線位置情報が発生される(ステップSb1)。交線位置情報に関する模式図が、記憶部17から読みだされる。交線位置情報を模式的に示す模式図が、第1超音波画像と第2超音波画像とともに、表示部27に表示される(ステップSb2)。プローブ位置が新たに検出されると、ステップSb1およびステップSb2の処理が繰り返される(ステップSb3)。
【0095】
(変形例)
第2の実施形態との相違は、第2断面に対して所定の角度離れた所望の断面(以下、第3断面と呼ぶ)の位置が入力されたとき、第3断面と第2断面との交線を表示し、第3断面と第1断面との一致を契機として、所定の処理を実行することにある。
【0096】
入力部25は、第2断面のうちひとつの断面に対して、所定の角度異なる断面(以下、第3断面と呼ぶ)を入力する。
【0097】
交線決定部19は、第1断面の位置と第3断面の位置とに基づいて、第1断面と第3断面との交線の位置を決定する。交線決定部19は、第1断面の位置と決定された交線の位置とに基づいて、第1断面の位置に対する決定された交線の位置を示す第3交線位置情報を発生する。第3交線位置情報は、以下の段落で詳述する。
【0098】
具体的には、交線決定部19は、第1断面の位置と決定された交線の位置とに基づいて、第1断面の位置から交線の位置までの距離および方向(角度)(以下、第3位置情報と呼ぶ)を決定する。交線決定部19は、第3位置情報に基づいて、第3位置情報に対応する模式図(例えば、矢印など)の色相および大きさを決定する。第3交線位置情報とは、第3位置情報と、第3位置情報に対応する模式図の色相および大きさとを指すものとする。交線決定部19は、第3交線位置情報を、表示部27に出力する。
【0099】
表示部27は、第1表示枠内において、第3交線位置情報を表示する。具体的には、表示部27は、第1表示枠枠内において、第3位置情報に対応する模式図を、決定された色相および大きさで表示する。なお、表示部27は、第1表示枠において、第3位置情報を模式図とともに表示してもよい。表示部27に表示される第3交線位置情報は、第3断面に第1断面を一致させるためのナビゲーション情報(プローブ移動情報)として用いられる。
【0100】
CPU23は、第3断面と第1断面との一致を契機として、所定の処理を実行する。所定の処理とは、例えば、第1超音波画像を記憶部17に記憶させること、計測ツールを起動すること、起動した計測ツールにより、所定の計測を実行することなどである。
【0101】
表示部27は、超音波プローブ3の移動に伴うプローブ位置の更新に応じて、第3交線位置情報を更新して表示する。表示部27は、第3断面と第1断面との一致を契機として、所定の表示を実行する。所定の表示とは、例えば、第1表示枠の表示態様(色相、太さ)の変更、第1断面と第3断面との交線の表示態様(色相、太さ)の変更などである。表示部27は、第3断面と第1断面との一致を契機として、計測ツールにおける計測マーカを、第1超音波画像に表示する。
【0102】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の超音波診断装置1によれば、交線が第1超音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、相対的な位置関係と交線の位置とに基づいて、交線位置情報を発生し、表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、交線が第1音波画像または第2超音波画像の撮像領域外にある場合、第1断面の位置と第2断面の位置と交線の位置とに基づいて、第1断面の位置または第2断面の位置に対する交線の位置を示す交線位置情報を発生し、発生した交線位置情報を模式図とともに表示することができる。これにより、本実施形態は、超音波プローブ3の移動に伴って発生された交線位置情報を更新して表示することでき、交線を表示させるための超音波プローブ3の移動に関するナビゲーションとして機能させることができる。
【0103】
また、本実施形態の変形例によれば、第2断面に対して所定の角度離れた所望の断面(第3断面)の位置が入力されたとき、第3断面と第2断面との交線を表示し、第3断面と第1断面との一致を契機として、所定の処理を実行することができる。これにより、過去の超音波画像(第2超音波画像)の断面(第2断面)に対して操作者が所望する任意の断面(第3断面)を、現在の超音波画像として表示させるために、超音波プローブ3の移動に関してナビゲーションを実行することができる。加えて、第1断面と第3断面との一致を契機として、所定の表示および処置絵の処理を実行することができる。
【0104】
以上のことから、本実施形態によれば、現在の超音波画像(第1超音波画像)と過去の超音波画像(第2超音波画像)との位置関係を、簡便且つ明瞭に表示することができ、かつ、操作者が所望する断面を表示させることができる。加えて、操作者が所望する断面の表示を契機として、所定の処理を実行することができ、診断効率が向上する。
【0105】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行する医用画像処理プログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0106】
また、第1、第2実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置2で実現する場合には、例えば
図1の構成図における実線内の構成要素を有するものとなる。医用画像処理装置2における交線表示処理は、
図5のステップSa4乃至ステップSa6の処理に対応する。これらの処理については、実施形態と同様である。なお、ステップSa4における第1超音波画像および第1断面の位置は、予め記憶部17に記憶される。医用画像処理装置2における交線位置情報表示処理は、
図12におけるステップSb1およびステップSb2の処理に対応する。これらの処理については、実施形態と同様である。なお、ステップSb3における処理は、入力部25を介した操作者からの断面位置の移動指示に対応する。
【0107】
なお、医用画像処理装置2において、超音波診断装置から出力されたDICOMファイル(例えば、第1超音波画像および第1断面の位置など)を読み込んで、上記処理を実行することも可能である。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。