(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮像レンズを有する光学部と、上記光学部を保持するレンズホルダーを有し、かつ上記レンズホルダーを光軸方向に駆動するレンズ駆動装置と、撮像素子を有する撮像部とを備え、上記撮像部上に上記レンズ駆動装置が搭載されるカメラモジュールの製造方法であって、
上記光学部は、上記レンズホルダーに固定される前は上記レンズホルダーに対して摺動可能であり、
上記レンズ駆動装置は、その被写体側に金属製カバーと樹脂基準部材とを備え、
上記樹脂基準部材の少なくとも第1部分は、上記樹脂基準部材の他の部分より被写体側に突出しており、かつ、上記金属製カバーから露出しており、
上記レンズ駆動装置の上記樹脂基準部材の上記第1部分を、高さ位置決め治具の第1基準面に当接させる配置工程と、
上記光学部を上記レンズホルダー内で摺動させ、上記光学部が上記高さ位置決め治具の第2基準面に当接する位置にて、上記光学部を上記レンズホルダーに固定する光学部固定工程と、
上記高さ位置決め治具を取り外し、上記光学部を含む上記レンズ駆動装置を上記撮像部上に配置して、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定する搭載工程とを含み、
上記搭載工程では、上記レンズ駆動装置の上記樹脂基準部材の上記第1部分が搭載装置の基準面に当接するように上記搭載装置が上記レンズ駆動装置をチャッキングした状態で、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
上記搭載工程は、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定する前に、上記撮像部における上記レンズ駆動装置が配置される面と、上記搭載装置の上記基準面との、平行度調整および高さ位置調整を行う調整工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。
撮像レンズを有する光学部と、上記光学部を保持するレンズホルダーを有し、かつ上記レンズホルダーを光軸方向に駆動するレンズ駆動装置と、撮像素子を有する撮像部とを備え、上記撮像部上に上記レンズ駆動装置が搭載されるカメラモジュールであって、
上記レンズ駆動装置は、その被写体側に金属製カバーと樹脂基準部材とを備え、
上記樹脂基準部材は、第1部分として、上記樹脂基準部材の他の部分より被写体側に突出しており、かつ、上記金属製カバーから露出して上記金属製カバーより被写体側に突出している、基準面を形成する突出部を3つだけ有していることを特徴とするカメラモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について
図1から
図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
なお、本説明の中では、レンズ駆動装置に対する被写体側を天面側、撮像素子側を底面側と称する。また、レンズ駆動装置のレンズホルダーに対して光学部を位置決め固定する工程をレンズコンバイン工程と称し、撮像部に対してレンズ駆動装置を搭載固定する工程をレンズ駆動装置搭載工程と称する。
【0017】
(カメラモジュールの構成)
最初に、本実施の形態のカメラモジュールの構成について、手振れ補正機能付きカメラモジュールとして
図1および
図2に基づいて説明する。ここで、
図1は、本実施の形態の手振れ補正機能付きカメラモジュールの斜視図であり、
図2は、
図1に示すカメラモジュールのA−A矢視断面図である。
【0018】
本実施の形態の手振れ補正機能付きカメラモジュール50は、電子機器としての例えばカメラ付携帯電話に用いられるカメラモジュールであり、
図1に示すように、略直方体形状である。上記手振れ補正機能付きカメラモジュール50を、以下、単に「カメラモジュール50」という。カメラモジュール50は、下部に設けられた矩形の撮像部10と、この撮像部10の上方に被せられた箱状のモジュールカバー17内に収容された光学部3と、この光学部3を駆動するレンズ駆動装置5とを含む。モジュールカバー17の上面中央部には、光学部3の後述する撮像レンズ1を露出させるための開口部17aが形成されている。
【0019】
カメラモジュール50の光学部3は、
図2に示すように、1つ以上の撮像レンズ1と、この撮像レンズ1を支持するレンズバレル2とを備える。そして、光学部3の周りにはレンズ駆動装置5が設けられている。レンズ駆動装置5は、レンズホルダー4を備える。レンズホルダー4は、その内部に光学部3のレンズバレル2が接着剤11により接着固定されており、レンズバレル2を保持する。接着剤11で固定される前においては、レンズバレル2(または光学部3)はレンズホルダー4に対して光軸方向に摺動可能である。すなわち、レンズバレル2の外側面とレンズホルダー4内側面とは、ねじ構造ではなく、嵌め合い構造(隙間嵌め)になっている。
【0020】
レンズ駆動装置5は、レンズホルダー4、中間支持体13、および固定部を備える。固定部は、モジュールカバー17(金属製カバー)、OIS(Optical Image Stabilizer:光学的手振れ補正機構)コイル18およびベース19等を備える。光学部3が接着剤11により固定されたレンズホルダー4は、上下2枚のAF(オートフォーカス)ばね12a・12bにより中間支持体13に対して光軸方向に可動に支持されている。そして、レンズホルダー4の外周部には、AFコイル14が固定されている。また、上記レンズホルダー4の下部には突起部4aが形成されており、この突起部4aは、光軸方向の可動範囲における無限遠側焦点のメカ端(可動範囲の撮像素子側の基準位置)にて、中間支持体13に当接している。
【0021】
中間支持体13には、AF駆動用の永久磁石と手振れ補正用の永久磁石とが固定される。本実施の形態ではこれら2種類の永久磁石を共通化した兼用の永久磁石15が中間支持体13に固定されている。中間支持体13は、4本のサスペンションワイヤー16(図示されているのは2本)により、固定部に対して(ここではベース19に対して)光軸に垂直な2軸方向に可動に支持されている。これによって、中間支持体13、永久磁石15、AFばね12a・12b、レンズホルダー4、AFコイル14、レンズバレル2および撮像レンズ1が、光軸に垂直な方向に一体的に駆動される。
【0022】
ベース19は、レンズバレル2に対応した位置(中央)に開口19aを有する。光学部3がレンズホルダー4に組み込まれた状態において、レンズバレル2の一部が、ベース19の開口19a内にまで入り込んでいる。そのため、光学設計によって決まるフランジバック(レンズバレル2の下端面から撮像素子6面までの距離)の中で、ガラス基板9を撮像素子6から遠ざけることができる。これによりガラス基板9上の異物が撮像に与える影響を低下させることができる。
【0023】
ここで、レンズバレル2とベース19の開口19aとの間の隙間を適切な値に設定しておく必要がある。この理由は、落下衝撃等を受けて、レンズホルダー4が横方向に変位した場合、レンズホルダー4の横方向への変位に伴って、レンズバレル2とベース19とが衝突し、多大な衝撃力を受けて、レンズバレル2が破損したり、レンズバレル2内の撮像レンズ1がはずれ落ちたりする虞があるためである。そこで、本実施の形態では、レンズホルダー4が横方向に最大変位した場合でも、レンズバレル2が、直接、ベース19とは当接しないように、レンズバレル2とベース19の開口19aとの隙間の大きさが設定されている。
【0024】
モジュールカバー17は、ベース19に対して固定されており、中間支持体13の側面および上面を覆うように配置される。モジュールカバー17の内側の側面には、OISコイル18が固定されている。
【0025】
モジュールカバー17の内側の天面側には、樹脂基準部材21が固定されている。樹脂基準部材21は、レンズホルダー4に対するストッパーとなる部分21a(第2部分)と、中間支持体13に対するストッパーとなる部分21b(第2部分)と、突出部21c(第1部分)とを備える。ストッパーとなる部分21aは、オートフォーカス機能のためにレンズホルダー4が光軸方向に駆動される際の可動範囲を規制する。ストッパーとなる部分21bは、手振れ補正機能のための可動部となる中間支持体13が、本来の駆動方向ではない光軸方向に動き得る範囲を規制する。樹脂基準部材21のストッパーとなる部分21aおよび部分21bは、モジュールカバー17の内側に配置されている。突出部21cは、モジュールカバー17の天面側に設けられた穴を貫通し、モジュールカバー17よりも天面側に突出している。すなわち、レンズ駆動装置5において、樹脂基準部材21の突出部21cが最も天面側に突出している。突出部21cは、樹脂基準部材21の他の部分よりも天面側に突出しており、かつ、モジュールカバー17から露出している。レンズ駆動装置5において、突出部21cは少なくとも3個設けられる。突出部21cは、基準面を形成するものであり、突出部21cが3個あれば基準面が規定されるためである。なお、基準面を規定する突出部21cは、例えば4個以上設けられてもよい。複数の突出部21cによって規定される基準面の平面度は、20μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
【0026】
ここでは、樹脂基準部材21の突出部21cは、モジュールカバー17よりも天面側に突出していると説明したが、これに限定されない。例えばモジュールカバー17の内側面からの突出部21cの高さはモジュールカバー17の肉厚の半分程度であってもよい。この場合、後述する高さ位置決め治具22に突出部21cに対応する複数の突出部を設ける。高さ位置決め治具22の突出部をモジュールカバー17の穴に挿入することで、高さ位置決め治具22の突出部と樹脂基準部材21の突出部21cとを当接させることができる。
【0027】
レンズ駆動装置5の下方に設けられた撮像部10は、撮像素子6、基板7、センサカバー8、およびガラス基板9を備える。基板7、撮像素子6、センサカバー8およびガラス基板9は、下側からこの順に光軸方向に積層されている。撮像素子6は、基板7上に載置され、光学部3を経由した光の光電変換を行う。センサカバー8およびガラス基板9は、撮像素子6をカバーする。
【0028】
センサカバー8の天面側の面には、レンズ駆動装置5が搭載される。すなわち、レンズ駆動装置5のベース19の底面がセンサカバー8の天面側の面に接する。センサカバー8の下部には、基準面を形成する3個以上の突起8aが設けられている。センサカバー8は、基準面を形成する複数の突起8aの先端が撮像素子6に当接するように、かつ、センサカバー8が撮像素子6の周辺をカバーするように、撮像素子6上に載置されている。センサカバー8の撮像レンズ1に対応する位置(中央)には開口8bが設けられ、この開口8bは赤外線カット機能を備えたガラス基板9によって塞がれている。
【0029】
上記撮像素子6は基板7上に搭載されている。上記基板7とセンサカバー8との間には公差によって隙間が生じる場合があるが、この隙間は接着剤20により塞がれた状態で、該基板7とセンサカバー8とが接着固定される。
【0030】
本実施の形態では、上記レンズバレル2およびレンズホルダー4の側面にはねじが形成されておらず、レンズホルダー4が無限遠側のメカ端に位置する状態(レンズホルダー4の突起部4aが中間支持体13に接する状態)で、レンズバレル2が所定の位置に位置するように固定される。本実施の形態では、レンズバレル2とセンサカバー8との間には10μm程度の隙間が形成されている。このように、レンズバレル2とセンサカバー8とを当接させないように製造する方法については後述する。
【0031】
(カメラモジュールのAF機能および手振れ補正機能)
上記構成を有する本実施の形態のカメラモジュール50において、焦点調整のために光学部3を光軸方向に進退移動させる場合には、本実施の形態のカメラモジュール50を搭載する例えば携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じて、レンズ駆動装置5のAFコイル14に電流が流される。これにより、AFコイル14に流れる電流が永久磁石15から発生する磁界と作用することによって、AFコイル14を光軸方向に移動させる推力が発生する。この結果、AFばね12a・12bおよびレンズホルダー4を介して光学部3が光軸方向に進退移動する。したがって、光学部3をオートフォーカス(AF)制御することができる。この結果、上記AFコイル14、永久磁石15、AFばね12a・12bおよびレンズホルダー4は、本発明のオートフォーカス手段としての機能を有している。
【0032】
なお、モジュールカバー17の内側の天面側には、樹脂基準部材21が設けられている。樹脂基準部材21は、オートフォーカス機能のためにレンズホルダー4が光軸方向に駆動される際に可動範囲を規制するストッパーとなる部分21aを有している。モジュールカバー17をストッパーとして用いてもかまわないが、モジュールカバー17は金属製であり、対向するレンズホルダー4側にAFバネ12aが存在する場合もあり、マクロ側焦点のメカ端まで駆動された場合に電気的にショートする可能性があり、樹脂部材をストッパーにする方が望ましい。
【0033】
また、本実施の形態のカメラモジュール50において、OIS(Optical Image Stabilizer:光学的手振れ補正機構)により、光学部3を光軸方向に垂直な方向に一体的に駆動させる場合には、カメラモジュール50を搭載する例えば携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じて、レンズ駆動装置5のOISコイル18に電流が流される。これにより、OISコイル18に流れる電流が永久磁石15から発生する磁界と作用することにより、OISコイル18を光軸方向に垂直な方向に移動させる推力が発生する。この結果、サスペンションワイヤー16、中間支持体13、AFばね12a・12b、レンズホルダー4を介して光学部3が光軸方向に垂直な方向に進退移動する。したがって、光学部3を手振れ補正制御することができる。この結果、OISコイル18、永久磁石15、サスペンションワイヤー16、中間支持体13、AFばね12a・12b、レンズホルダー4は、本発明の手振れ補正手段としての機能を有している。
【0034】
なお、樹脂基準部材21は、手振れ補正機能のための可動部となる中間支持体13が、本来の可動方向ではない光軸方向に動き得る範囲を規制するストッパーとなる部分21bを有している。上記の通り、中間支持体13は手振れ補正のために光軸に垂直な方向に駆動される、中間支持体13は、4本のサスペンションワイヤー16で支持されており、通常の動作中にはほとんど光軸方向に変位しない。しかしながら、落下により強大な衝撃力が加わった場合、サスペンションワイヤー16も変形しようとするため、その変形量を抑えるため、光軸方向にもストッパーを設けることが望ましい。樹脂基準部材21の部分21bをそのためのストッパーとすることができる。なお、4本のサスペンションワイヤー16の上端側は、図では中間支持体13に接続しているが、AFバネ12aを中間支持体13よりも外側まで延出させ、その延出部分と接続してもかまわない。こうすることにより、延出部分が若干、光軸方向に撓み得るため、サスペンションワイヤー16の変形量を抑えることが可能になり、落下によるサスペンションワイヤーの変形、破断を防げる可能性が高まる。
【0035】
(光学部のレンズホルダーへの取り付け位置)
次に、撮像レンズ1およびレンズバレル2からなる光学部3をレンズ駆動装置5のレンズホルダー4に取り付ける取り付け位置について説明する。
【0036】
無限遠側焦点のメカ端の位置において合焦するように、光学部3における撮像レンズ1のレンズホルダー4への取り付け位置と、撮像素子6の撮像面(天面)との距離が設定されるのが望ましい。
【0037】
しかしながら、レンズバレル2に対する撮像レンズ1の取り付け位置公差、およびセンサカバー8の厚さ公差等が存在し、どうしても部材毎の寸法のばらつきが存在する。そのため、フォーカス調整を行わずに部材同士の機械的な接触(メカ当たり)によって撮像レンズ1の位置決めをしようとした場合には、誤差が残存する。この場合、誤差があっても、レンズ駆動装置5のストローク範囲内で合焦位置を見つける必要がある。そのため、合焦位置の設計における中央値よりも若干、撮像素子6側にずらした位置において撮像レンズ1をレンズホルダー4に固定する必要がある。このずらし量をオーバーインフと呼ぶ。オーバーインフを大きく設定すれば、レンズ駆動装置5のストロークをその分だけ大きくしなければならない。それゆえ、オーバーインフは必要最小限に留めることが好ましい。
【0038】
上記の様々な公差を累計すると、25μm程度のオーバーインフ量が必要となる場合がある。ただし、オーバーインフ量は、部品の製造公差や組み立て公差に影響されるため、実態に合った最小限の値に設定することが望ましい。本実施の形態におけるカメラモジュール50の構造のように、撮像素子6に対して直接、センサカバー8の下側の基準面を突き当てると共に、厚さの精度を高めたセンサカバー8を用い、かつセンサカバー8の上面に対して高精度にレンズバレル2を位置決めするからこそ、25μm程度のオーバーインフ量で成り立っているともいえる。なお、センサカバー8の上面にレンズ駆動装置5の下側基準面が搭載される場合、「レンズ駆動装置5の下面に対して高精度にレンズバレル2を位置決めするからこそ」と言い換えることができる。
【0039】
ここで、
図2では、無限遠の被写体に対する合焦位置よりも25μm(オーバーインフ量)だけ撮像素子6側に寄った位置にレンズバレル2が取り付けられ、かつその状態でセンサカバー8とレンズバレル2との間に隙間が存在しているとして、以降の説明を行う。
【0040】
なお、
図2に示すように、レンズバレル2は、レンズホルダー4に対して位置決めされた後、接着剤11により固定されている。
【0041】
(カメラモジュールの製造方法)
次に、本実施の形態のカメラモジュール50の製造方法について説明する。
【0042】
初期位置の高さ調整を行わずにレンズバレル2の高さの位置決めを行うためには、レンズバレル2を何らかの部材に当接させて位置決めする必要がある。本実施の形態におけるカメラモジュール50では、レンズバレル2をセンサカバー8等の部材に当接させずともレンズバレル2の初期位置を高精度に位置決めする製造方法を用いる。
【0043】
以下においては、初期位置のフォーカス調整のためのねじは勿論、高さ調整そのものを行わずとも、レンズバレル2を高精度に初期位置に位置決め固定をするための製造方法について、
図3から
図9を用いて説明する。
図3から
図9は、上記カメラモジュール50の各製造工程を示す図である。ここで、光学部3、レンズ駆動装置5、および撮像部10は、個別に組み立てが完了している。
【0044】
最初に、
図3に基づいて、光学部3、レンズ駆動装置5、および高さ位置決め治具22を準備すると共に、高さ位置決め治具22にレンズ駆動装置5を搭載する工程を説明する。
【0045】
すなわち、
図3に示すように、本実施の形態のカメラモジュール50の製造工程では、高さ位置決め治具22を準備する。
図3の状態とはレンズ駆動装置5および光学部3の天地が逆転した状態である。特許文献2の技術との大きな差異は、本実施の形態では高さ位置決め治具22に対して、レンズ駆動装置5の天面側(被写体側)を載置する点である。この高さ位置決め治具22には、平坦面22aと、平坦面22aから突出した突出部22bとが設けられている。平坦面22a上には、樹脂基準部材21の複数の突出部21cが平坦面22aに接するように、レンズ駆動装置5が載置される。突出部22b上には光学部3のレンズバレル2が載置される。突出部22bと平坦面22aとの高さの差は、レンズ駆動装置5と光学部3との高さ位置を規定する。突出部22bと平坦面22aとの高さの差は、レンズバレル2が光軸方向に変位したときに、センサカバー8やガラス基板9と接触しないための隙間が確保できるように、重力による位置差なども考慮して設定される必要がある。レンズバレル2の位置がセンサカバー8やガラス基板9に接近した状態でも、5μm〜10μm程度の隙間が確保できるように、突出部22bと平坦面22aとの高さの差は設定される。また、突出部22bと平坦面22aとの平行度は所定値以内である。
【0046】
次に、
図4に基づいて、高さ位置決め治具22にレンズ駆動装置5を搭載した状態を説明する。
【0047】
上述したように、レンズ駆動装置5は高さ位置決め治具22の平坦面22a上に搭載され、その結果、突出部22bはレンズ駆動装置5の天面側、モジュールカバー17の開口部17aの内側に入り込んでいる。
【0048】
ここで、レンズ駆動装置5を高さ位置決め治具22の平坦面22a上に搭載している間は、図中にハッチング矢印Aで示した方向にレンズ駆動装置5に対して押圧力を加えておくことが望ましい。この理由は、上述したように、レンズ駆動装置5の天面に対して高精度にレンズバレル2の位置を決める必要があるため、高さ位置決め治具22に対してレンズ駆動装置5が浮く(離れる)のを防ぐためである。レンズ駆動装置5の複数の突出部21c(被写体側の基準面)は高さ位置決め治具22の平坦面22a(第1基準面)に当接する。
【0049】
次に、
図5に基づいて、レンズバレル2が高さ位置決め治具22の突出部22bに当接するようにレンズバレル2(光学部3)をレンズ駆動装置5に搭載した状態を説明する。特許文献2の技術との大きな差異は、本実施の形態では、高さ位置決め治具22に対して、レンズバレル2の天面側を載置する点である。
【0050】
レンズ駆動装置5のレンズホルダー4内に、光学部3を摺動させて挿入する。レンズバレル2の上端面(被写体側の面)が高さ位置決め治具22の突出部22b(第2基準面)に当接するよう、図中にハッチング矢印Bで示した方向に押圧力を加えておくことが望ましい。なお、
図4においてハッチング矢印Aにて説明したレンズ駆動装置5に対する押圧力も継続して加えておくことが望ましい。レンズ駆動装置5および光学部3のどちらも部材同士の機械的な接触(メカ当たり)によって基準位置を設定しているため、浮きがあると誤差が生じるためである。このように押圧力を加えた状態で(レンズバレル2が突出部22bに当接する位置で)、接着剤11によりレンズバレル2をレンズホルダー4に対して接着固定する。このとき、レンズホルダー4の突起部4aは中間支持体13に接している。
【0051】
ここで、
図5においては、レンズホルダー4の底面側(図では上側)のレンズバレル2との境界部分に接着剤11を塗布しているが、これに限定される訳ではない。あらかじめ、レンズバレル2とレンズホルダー4との隙間に接着剤を注入しておき、位置決め後に接着剤を硬化させてもよい。ここで使われる接着剤は、UV硬化接着剤、熱硬化接着剤、あるいはUV+熱硬化接着剤が望ましい。このような組立装置全体を炉に入れて熱硬化することが困難な場合は、UV+熱硬化接着剤を用い、組立装置内でUV硬化させた後、組立装置から取り外して高さ位置決め治具22に載せた状態で、あるいは高さ位置決め治具22からも取り外した状態で炉に入れ、熱硬化させるとよい。レンズ駆動装置5の底面側から、十分な量の接着剤が注入できない場合は、底面側の接着剤を硬化させて仮固定した後、天面側からレンズバレル2の凹部2aに接着剤を補充してもかまわない。
【0052】
図5の状態では、レンズホルダー4を中間支持体13に対して当接させてレンズバレル2をレンズホルダー4に挿入している。レンズバレル2とレンズホルダー4の間には若干の隙間があり、レンズバレル2は、レンズホルダー4の穴の精度にならうのではなく、高さ位置決め治具22の突出部22bに応じた精度で取り付けられる。すなわち、樹脂基準部材21の複数の突出部21cによって規定される平面(天面側の平面)を基準にして、レンズバレル2がレンズホルダー4に固定される。このため、レンズバレル2の傾き(チルト)は、レンズホルダー4の傾きに左右されず、レンズ駆動装置5の天面を基準として固定される。以上の工程がレンズコンバイン工程となる。
【0053】
次に、
図6に基づいて、高さ位置決め治具22をレンズ駆動装置5から取り外した状態について説明する。
【0054】
図6に示すように、光学部3のレンズ駆動装置5への固定が完了すると、高さ位置決め治具22をレンズ駆動装置5から取り外す。高さ位置決め治具22は、あくまでもレンズ駆動装置5に対する光学部3の位置決めを行うための治具であり、レンズバレル2をレンズホルダー4に対して接着固定した後は不要となる。
【0055】
次に、
図7に基づいて、撮像部10を準備すると共に、レンズ駆動装置5を搭載装置23にてチャッキングする工程について説明する。
【0056】
図7に示すように、光学部3が取り付けられたレンズ駆動装置5は搭載装置23にてチャッキング(一時的に固定)される。チャッキングの際、樹脂基準部材21の複数の突出部21cが搭載装置23の平坦面23a(搭載装置の基準面)に当接する。樹脂基準部材21の複数の突出部21cによって規定される平面はレンズ駆動装置5の基準面となっている。搭載装置23は、エアー吸引によってレンズ駆動装置5を吸引チャッキングしてもよいし、搭載装置23の腕部23bによって、レンズ駆動装置5を挟み込んでチャッキングしてもよい。腕部23bに図示しないバネ機構を設けて、腕部23bがレンズ駆動装置5を挟み込んでもよい。レンズバレル2は高さ位置決め治具22によってレンズ駆動装置5の天面を基準としてチルトが最小になるように取り付けられており、かつ、レンズ駆動装置5の天面側の基準面(複数の突出部21cが形成する平面)が搭載装置23の平坦面23aに当接している。そのため、搭載装置23の平坦面23aに対するレンズバレル2の傾き(チルト)も最小限に設定される。
【0057】
次に、
図8に基づいて、光学部3を内蔵したレンズ駆動装置5を撮像部10に搭載する工程について説明する。
【0058】
図8に示すように、搭載装置23は、光学部3を内蔵したレンズ駆動装置5をチャッキングしたまま、レンズ駆動装置5を撮像部10のセンサカバー8の搭載面8c(上面)に配置する。レンズ駆動装置5が搭載装置23にチャッキングされたままの状態で、レンズ駆動装置5と撮像部10とは図示しない接着剤により接着固定される。接着剤は、ベース19とセンサカバー8とを接着する。ここで、接着剤が硬化するまでレンズ駆動装置5は搭載装置23にチャッキングされたままであり、レンズ駆動装置5の傾き(角度)および位置(高さ位置)は、搭載装置23の傾き(角度)および位置(高さ位置)によって決定される。そのため、搭載装置23の平坦面23aに対する撮像部10の搭載面8cのチルトが最小限にされた状態で、レンズ駆動装置5と撮像部10とが接着固定されれば、撮像素子6に対する撮像レンズ1の光軸のチルトを最小限にすることが可能となる。なお、撮像部10は図示しない台等に載置されており、搭載装置23は、レンズ駆動装置5を撮像部10側に押しつけるように、ハッチング矢印Dの方向に押圧力を加える。
【0059】
ここで、部品(撮像部10)の寸法ばらつきが十分に小さければ、あらかじめ代表的な寸法の撮像部に対して、レンズ駆動装置5を撮像部10に配置するときの搭載装置23の角度調整を行ってもよい。あるいは、部品(撮像部10)の寸法ばらつきを吸収する必要があるなら、組み立てを行う撮像部10毎に搭載装置23の角度調整を行ってもよい。近年、レンズ駆動装置5と撮像部10との相対的な高さおよび傾きを、MTF(Modulation Transfer Function)信号等に基づいて調整しながら、両者を固定する手法(アクティブアライメント)がある。このような手法と、本実施の形態のレンズ駆動装置5を天面基準でチャッキングして撮像部10に固定する方法とを併用してもよい。
【0060】
次に、
図9に基づいて、搭載装置23の傾き調整について説明する。
図9では、搭載装置23にレンズ駆動装置5をチャッキングする前に、撮像部10に対して事前に搭載装置23の傾きを調整する方法を説明する。アクティブアライメントを用いる場合には、搭載装置23にレンズ駆動装置5をチャッキングした状態で、レンズ駆動装置5を撮像部10に固定する前に、同じこと(平行度調整等)を実行すると考えればよい。
【0061】
搭載装置23は2軸方向にチルト可能に構成されており、
図9では1軸(紙面に垂直な回転軸)のチルトについて説明する。
図9の破線が搭載装置23がチルトした状態を示している。撮像部10の上面(搭載面8c)と搭載装置23の平坦面23aとが平行になるように、搭載装置23のチルトが調整される。すなわち、撮像部10の搭載面8cと搭載装置23の平坦面23aとの平行度が所定値以下になるように、平行度調整が行われる。チルトが調整された搭載装置23によってレンズ駆動装置5を撮像部10上に配置する。これにより、搭載装置23の平坦面23aを基準に考えたとき、搭載装置23の平坦面23aと撮像部10の搭載面8cとは平行に調整されている。また、搭載装置23の平坦面23aにレンズ駆動装置5の天面側の基準面(複数の突出部21cが規定する平面)は当接している。また、レンズ駆動装置5の天面側の該基準面(複数の突出部21cが規定する平面)に対して、レンズバレル2のチルトが最小限になるように固定されている。それゆえ、カメラモジュールとしてのチルト、すなわち撮像部10(ひいては撮像素子6)に対する光学部3のチルトを最小限にすることができる。
【0062】
また、搭載装置23は、その高さ位置の調整も行われる。具体的には、搭載装置23がレンズ駆動装置5を撮像部10上に配置するときの、搭載装置23の基準面である平坦面23aと撮像部10の上面(搭載面8c)との距離が所定の範囲になるように、搭載装置23の高さ位置調整が行われる。高さ位置調整がされた搭載装置23によってレンズ駆動装置5を撮像部10上に配置する。レンズ駆動装置5の下面と撮像部10の上面とは、あらかじめ塗布された接着剤によって接着・固定される。レンズ駆動装置5全体の高さには公差があるので、レンズ駆動装置5の下面と撮像部10の上面とは当接していないこともある。レンズ駆動装置5の下面と撮像部10の上面との間に隙間がある場合、その隙間は接着剤で埋められている。すなわち、搭載装置23が、レンズ駆動装置5の天面側の基準面と、撮像部10の上面との距離を決定する。そのため、搭載装置23は、光学部3と撮像素子6との距離を高精度に設定することができる。
【0063】
アクティブアライメントを用いる場合は、調整によってチルトが低減できるため、チルトの低減に関して本実施の形態により得られる寄与は小さいかもしれない。しかしながら、搭載装置23の平坦面23aに対して高精度で光学部3が固定されているため、本実施の形態にアクティブアライメントを適用する場合、アクティブアライメントを行う際の調整範囲を小さくすることができる。すなわち短時間でチルトの調整を行うことができる。
【0064】
以上のような方法により、撮像レンズ1が高精度に位置決めされ、かつ、チルトを低減したカメラモジュール50を製造することが可能となる。
【0065】
(カメラモジュールの変形例)
ここで、上述したカメラモジュールとは異なる構造について、
図10に基づいて説明する。
図10は、本実施の形態の変形例のカメラモジュール60の構造を説明するための断面図である。
【0066】
図10に示すカメラモジュール60の構成が
図2に示すカメラモジュール50と異なるのは、樹脂基準部材21をモジュールカバー17の天面側に設けた点である。このように、チャッキングの際に基準平面となる樹脂基準部材21を、モジュールカバー17の天面側に設けてもかまわない。カメラモジュール60においても、樹脂基準部材21の複数の突出部21cが基準面を規定する。突出部21cの高さは任意に設定することができ、高さはわずかでも、基準面を規定する突出部が存在していればよい。この変形例の場合、樹脂基準部材21をモジュールカバー17の外側に設けているため、樹脂基準部材21を可動部分のストッパーとして兼用することはできない。
【0067】
樹脂基準部材21の天面側全面を基準面とする場合でも、基準面の平面度は、20μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
【0068】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について
図11から
図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の実施の形態において、上述の実施の形態1と同じである構成については説明を省略する。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11は
図2に、
図12は
図4に、
図13は
図8にそれぞれ対応している。
【0069】
本実施の形態のカメラモジュール70では、
図11に示すように、レンズ駆動装置5はチャッキングの際の天面側の基準面としての樹脂基準部材を備えない。樹脂基準部材を用いていないため、レンズ駆動装置5のチャッキングの際にはモジュールカバー17の天面が基準となる。このように、樹脂基準部材は必須ではないが、金属製のモジュールカバー17の形状は絞り加工によって形成される場合が多く、面の平坦度を高くすることが難しい。そのため、モジュールカバー17の加工にはより注意を払う必要がある。あるいは、モジュールカバー17の天面の一部に、ハーフパンチ(エンボス)等により小さな突出部を例えば3か所設け、それを基準平面としてもよい。
【0070】
本実施の形態のカメラモジュール70では、樹脂基準部材を設けていないため、
図12に示すように、高さ位置決め治具22の平坦面22a上にはモジュールカバー17の天面側を直接載置する。それ以外の組立方法は
図4と同様である。また、本実施の形態のカメラモジュール70では、樹脂基準部材を設けていないため、
図13に示すように、レンズ駆動装置5のチャッキングの際にはモジュールカバー17の天面側が搭載装置23の平坦面23aに接するように、チャッキングされる。それ以外の組立方法は
図8と同様である。
【0071】
もしくは、モジュールカバー17の天面が平面であり、高さ位置決め治具22の平坦面22aに複数(3つ以上)の突出部を設けてもよい。この場合、搭載装置23の平坦面23aの同じ位置にも複数の突起を設ける。これにより、モジュールカバー17の特定の複数の位置にのみ高さ位置決め治具22および搭載装置23が当接するので、モジュールカバー17の特定の複数の位置によってレンズ駆動装置5の基準面が規定される。高さ位置決め治具22の上記複数の突出部および搭載装置23の上記複数の突出部は、平面度が20μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることが好ましい。
【0072】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図14は
図2に対応している。
【0073】
本実施の形態のカメラモジュール80は、OIS機能を備えず、オートフォーカス機能のみを備えたオートフォーカス機能付きカメラモジュールとなっている。本実施の形態は、この点を除いては、実施の形態1とほとんど同じである。
【0074】
(カメラモジュールの構成)
最初に、本実施の形態のカメラモジュールの構成について、
図14に基づいて説明する。ここで、
図14は、
図2に対応したカメラモジュールの中央断面図である。
【0075】
本実施の形態のカメラモジュール80は、撮像部10と、この撮像部10の上方を覆うように配置されたレンズ駆動装置5と、光学部3とを備える。
【0076】
光学部3は、接着剤11によりレンズ駆動装置5のレンズホルダー4に固定されている。
【0077】
レンズ駆動装置5では、レンズホルダー4は、上下2枚のAF(オートフォーカス)ばね12a・12bにより固定部に対して光軸方向に可動に支持されている。そして、レンズホルダー4の外周部には、AFコイル14が固定されている。固定部は、AF駆動用の永久磁石15を保持するヨーク24、ベース19、モジュールカバー17等を含む。上側のAFばね12aはヨーク24に一端が固定され、下側のAFばね12bはベース19に一端が固定されている。実施の形態1と異なるのはOIS機能を有しない点であり、そのため中間支持体、サスペンションワイヤーなどは不要となっている。
【0078】
本実施の形態では、樹脂基準部材21がモジュールカバー17の内側に設けられており、その一部がモジュールカバー17の天面よりも突出した突出部21cを形成している。また、樹脂基準部材21の一部は、オートフォーカス機能のためにレンズホルダー4が光軸方向に駆動される際に可動範囲を規制するストッパーとなる部分21aとなっている。本実施の形態では、OIS機能を有しないため、OIS可動部の光軸方向のストッパーは必要ないため、形成されていない。
【0079】
(カメラモジュールの製造方法)
次に、本実施の形態のカメラモジュール80の製造方法について説明する。注意すべきは、樹脂基準部材21の突出部21cが、レンズバレル2を位置決め固定するコンバイン工程と、レンズ駆動装置5を撮像部10に搭載する工程との両方において、レンズ駆動装置5の基準面となる点である。これらの点を含めて、製造方法については実施の形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0080】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0081】
本実施の形態のカメラモジュール90は、レンズ駆動装置5のベースとセンサカバーとが一体化されたベース25を備える点が、実施の形態1とは異なる。本実施の形態のカメラモジュール90は、
図15に示すように、レンズ駆動装置5のベース25を備える。ベース25は、実施の形態1におけるベース19とセンサカバー8とが一体化されたものである。本実施の形態における撮像部10にはセンサカバーがなく、ガラス基板9はレンズ駆動装置5のベース25側に固定されている。したがって、撮像部10は基板7と撮像素子6とを備える。この構成による効果は、実施の形態1と同一であり、実施の形態1よりも部品点数を削減できる。
【0082】
本実施の形態のカメラモジュールの製造方法では、高さ位置決め治具22には、光学部3、レンズ駆動装置5の順に載置される。レンズバレル2とレンズホルダー4とを固定する接着剤は、あらかじめ、レンズバレル2とレンズホルダー4との隙間に塗布しておいた方が作業効率がよい。これらの点、および、ガラス基板9がレンズ駆動装置5側に固定されていること、撮像部10にセンサカバーが含まれないことを除けば、製造方法は実施の形態1と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0083】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るカメラモジュールの製造方法は、撮像レンズ1を有する光学部3と、上記光学部を保持するレンズホルダー4を有し、かつ上記レンズホルダーを光軸方向に駆動するレンズ駆動装置5と、撮像素子6を有する撮像部10とを備え、上記撮像部上に上記レンズ駆動装置が搭載されるカメラモジュール(50、60、70、80、90)の製造方法であって、上記光学部は、上記レンズホルダーに固定される前は上記レンズホルダーに対して摺動可能であり、上記レンズ駆動装置の被写体側の基準面を、高さ位置決め治具22の第1基準面(平坦面22a)に当接させる配置工程と、上記光学部を上記レンズホルダー内で摺動させ、上記光学部が上記高さ位置決め治具の第2基準面(突出部22b)に当接する位置にて、上記光学部を上記レンズホルダーに固定する光学部固定工程と、上記高さ位置決め治具を取り外し、上記光学部を含む上記レンズ駆動装置を上記撮像部上に配置して、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定する搭載工程とを含む。
【0084】
レンズ駆動装置を撮像部上に配置するときには、通常、レンズ駆動装置はその被写体側をチャッキングされる。上記構成によれば、撮像レンズを有する光学部は、レンズ駆動装置の被写体側にある基準面を基準として、レンズ駆動装置に対して位置決めおよび固定される。このように製造されたレンズ駆動装置は、その被写体側の基準面を基準にチャッキングすることにより光学部のチルトを最小にすることができる。そのため、このように製造されたレンズ駆動装置では、撮像部上にレンズ駆動装置を配置する際に、レンズ駆動装置の被写体側をチャッキングしてレンズ駆動装置を配置することにより、撮像部に対する光学部の傾き精度を高くすることができる。そのため、光学部のチルトが小さく、高精度に撮像レンズが位置決め固定されたカメラモジュールを実現することが可能となる。
【0085】
本発明の態様2に係るカメラモジュールの製造方法は、上記態様1において、上記搭載工程では、上記レンズ駆動装置の被写体側の上記基準面が搭載装置23の基準面(平坦面23a)に当接するように上記搭載装置が上記レンズ駆動装置をチャッキングした状態で、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定する構成であってもよい。
【0086】
上記構成によれば、搭載装置はレンズ駆動装置の被写体側の基準面を基準にレンズ駆動装置をチャッキングする。そして搭載装置がレンズ駆動装置をチャッキングしたまま、レンズ駆動装置は撮像部に固定される。そのため、レンズ駆動装置の被写体側の基準面を基準にして、レンズ駆動装置は撮像部に固定されることになる。そのため、撮像部に対する光学部の傾き精度を高くすることができる。
【0087】
本発明の態様3に係るカメラモジュールの製造方法では、上記態様2において、上記搭載工程は、上記レンズ駆動装置と上記撮像部とを固定する前に、上記撮像部における上記レンズ駆動装置が配置される面と、上記搭載装置の上記基準面との、平行度調整および高さ位置調整を行う調整工程を含んでもよい。
【0088】
上記構成によれば、上記撮像部における上記レンズ駆動装置が配置される面と、上記搭載装置の上記基準面との、平行度および高さ位置の精度が確保される。そのため、搭載装置がチャッキングの基準とするレンズ駆動装置の被写体側の基準面と、撮像部におけるレンズ駆動装置が配置される面との平行度および高さ位置の精度を高くすることができる。それゆえ、撮像部におけるレンズ駆動装置が配置される面に対する光学部の傾き精度を高くすることができる。
【0089】
本発明の態様4に係るカメラモジュールは、撮像レンズを有する光学部と、上記光学部を保持するレンズホルダーを有し、かつ上記レンズホルダーを光軸方向に駆動するレンズ駆動装置と、撮像素子を有する撮像部とを備え、上記撮像部上に上記レンズ駆動装置が搭載されるカメラモジュールであって、上記レンズ駆動装置は、その被写体側に金属製カバーと樹脂基準部材とを備え、上記樹脂基準部材の少なくとも第1部分は、上記樹脂基準部材の他の部分より被写体側に突出しており、かつ、上記金属製カバーから露出しており、上記樹脂基準部材の上記第1部分を基準として、上記レンズ駆動装置に対する上記光学部の位置決めがされている。
【0090】
上記構成によれば、被写体側に突出している樹脂基準部材の第1部分を基準として、光学部の位置決めがされている。このようなレンズ駆動装置は、その被写体側の基準面を基準にチャッキングすることにより光学部のチルトを最小にすることができる。そのため、このように製造されたレンズ駆動装置では、撮像部上にレンズ駆動装置を配置する際に、レンズ駆動装置の被写体側をチャッキングしてレンズ駆動装置を配置することにより、撮像部に対する光学部の傾き精度を高くすることができる。そのため、光学部のチルトが小さく、高精度に撮像レンズが位置決め固定されたカメラモジュールを実現することが可能となる。
【0091】
本発明の態様5に係るカメラモジュールでは、上記態様4において、上記樹脂基準部材の上記第1部分は、上記金属製カバーより被写体側に突出していてもよい。
【0092】
本発明の態様6に係るカメラモジュールでは、上記態様4または5において、上記樹脂基準部材の他の第2部分は、上記金属製カバーの内側に配置されており、上記樹脂基準部材の上記第1部分は、上記金属製カバーが有する穴から被写体側に突出しており、上記レンズホルダーは、上記撮像レンズの光軸方向に駆動され、上記樹脂基準部材の上記第2部分は、上記レンズホルダーの上記光軸方向の可動範囲を規制するストッパーとなる構成であってもよい。
【0093】
例えばレンズホルダーは、オートフォーカス機能のために光軸方向に駆動される。上記構成によれば、レンズ駆動装置の基準面を提供する樹脂基準部材が、レンズホルダーの光軸方向の可動範囲を規制するストッパーの役割も果たす。そのため、少ない部品点数にて高精度の光学部の位置決めとストッパー機能とを両立することができる。
【0094】
本発明の態様7に係るカメラモジュールでは、上記態様6において、上記樹脂基準部材の上記第2部分は、上記レンズ駆動装置における上記光軸に垂直な方向に駆動される部分が、上記光軸方向に動き得る範囲を規制するストッパーとなる構成であってもよい。
【0095】
例えばレンズ駆動装置は、光学手振れ補正機能のために、レンズホルダーを含む光軸に垂直な方向に駆動される部分を有する。上記構成によれば、レンズ駆動装置の基準面を提供する樹脂基準部材が、光軸に垂直な方向に駆動される部分の光軸方向に動き得る範囲を規制するストッパーの役割も果たす。そのため、少ない部品点数にて、高精度の光学部の位置決めを実現し、かつ、光学手振れ補正機能のために光軸に垂直に駆動される部分(中間支持体13)を支持する支持手段(サスペンションワイヤー16)の、落下衝撃による破損リスクを低減することができる。
【0096】
本発明の態様8に係る電子機器は、上記態様4から7のカメラモジュールを備える。
【0097】
上記構成によれば、撮像素子(または撮像部)に対して撮像レンズ(または光学部)が高精度に位置決めされ、カメラモジュールとしてのチルトが低減されたカメラモジュールを備えた電子機器を提供することができる。
【0098】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。