特許第6207957号(P6207957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207957
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】復水器
(51)【国際特許分類】
   F28B 9/08 20060101AFI20170925BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F28B9/08
   F28B1/02
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-209460(P2013-209460)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-75242(P2015-75242A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】笠原 二郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一作
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−170168(JP,A)
【文献】 特開平10−170169(JP,A)
【文献】 特開平02−242088(JP,A)
【文献】 特公昭56−040272(JP,B2)
【文献】 実開昭59−004694(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 9/08
F28B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に蒸気が導入される容器と、
前記容器の内部に配置されており複数の冷却管を平行に配置して全体が横長に形成されてなる冷却管群と、
前記冷却管群の内部に前記冷却管を配置せず形成された横長の中空部と、
前記中空部の内部で前記中空部の横長形状に沿って配置された受皿と、
前記受皿を貫通して前記中空部内で上方に突出して設けられた導管と、
を備え、前記導管は、突出端が下方に折り返されて下方に向けて開口して形成されることを特徴とする復水器。
【請求項2】
水平方向に蒸気が導入される容器と、
前記容器の内部に配置されており複数の冷却管を平行に配置して全体が横長に形成されてなる冷却管群と、
前記冷却管群の内部に前記冷却管を配置せず形成された横長の中空部と、
前記中空部の内部で前記中空部の横長形状に沿って配置された受皿と、
前記受皿の底に設けた凹部と、
を備えることを特徴とする復水器。
【請求項3】
前記受皿を貫通して下方に延在し前記冷却管群の外部に突出して設けられた配水管を備え、前記配水管は、突出端が上方に折り返されて上方に向けて開口して形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の復水器。
【請求項4】
前記中空部の内部から前記冷却管群の外部に至り設けられた抽出管と、
前記抽出管に設けられた真空ポンプと、
を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の復水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンからの蒸気を凝縮する復水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンシステムでは、ボイラで燃料を燃焼させ、発生した燃焼ガスの熱エネルギをボイラ水に伝達することにより蒸気を発生させ、この蒸気を過熱器で加熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気によりタービンを回転させることで、発電機を駆動して発電する。タービンを回転させる仕事をした蒸気は、復水器にて、例えば、海水と熱交換して冷却することで凝縮し、冷却水(復水)に戻り、復水ポンプによってボイラに戻される。
【0003】
復水器は、タービンの排出口と連通する容器を有し、この容器内に冷却水が流通する多数の冷却管からなる冷却管群が例えば水平方向に沿って配設されて構成されている。そして、タービンから排出された蒸気が冷却管群に導入され、この蒸気と各冷却管内の冷却水との間で熱交換が行われることで、蒸気が凝縮されて復水となる。
【0004】
従来、例えば、特許文献1に記載の復水器(復水器のドレン除去装置)は、冷却管群中に冷却管と平行に設けられている複数の上に凸のドレンガイドと、これらドレンガイドの下縁の下方にドレンガイドと略平行に設けられている複数の樋と、ドレンガイドまたは樋の少なくとも一方に、蒸気バイパス防止部材と、を備えている。この特許文献1に記載の復水器は、ドレンガイドおよび樋によりそれより上方の冷却管で凝縮されたドレンを捕集することで、下方の冷却管に対するドレンの落下を防止する。しかも、この特許文献1に記載の復水器は、蒸気バイパス防止部材によりドレンガイドと樋との間における蒸気バイパスを防止することで、復水器全体の圧力分布を保持し、性能低下を防止する。
【0005】
また、従来、例えば、特許文献2に記載の復水器は、冷却管群を上部熱交換部と下部熱交換部とに分割し、これら上部熱交換部と下部熱交換部との間に空気冷却部を設け、空気冷却部の両側であって冷却管群の外側に空気抽出部を設け、冷却管群中で上下方向に延びて上部熱交換部、空気冷却部および下部熱交換部に通じる内部蒸気通路を設けている。この特許文献2に記載の復水器は、上部熱交換部および下部熱交換部を通過した未凝縮蒸気や非凝縮性気体が内部蒸気通路に流入され、内部蒸気通路から空気冷却部に導かれて冷却され空気抽出部に流入し、容器から排気される。また、内部蒸気通路は、その途中に水受け部が設けられており、通路を落下する凝縮されたドレンを水受け部により受けることで、下方に配置された冷却管にドレンが付着することを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−154458号公報
【特許文献2】特開2010−71485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の復水器は、タービンから排出された蒸気が容器の上方から導入され、冷却管群が縦長に形成されることで、主に冷却管群の上方や側方から蒸気を流入させる、いわゆる縦置冷却管群を有する復水器である。このような復水器に対し、タービンから排出された蒸気が容器の側部から水平方向に導入され、冷却管群が横長に形成されることで、主に冷却管群の上方および下方から蒸気を流入させる、いわゆる横置型冷却管群を有する復水器がある。
【0008】
そして、このような横置型冷却管群であっても、復水器の性能である伝熱性能を確保するため、冷却管にドレンが付着することを防いだり、未凝縮蒸気や非凝縮性気体を抽出したりするための工夫が必要である。具体的に、横置型冷却管群において、特許文献2に記載の復水器のように内部蒸気通路を設けた場合、主に冷却管群の上方および下方から蒸気が流入されるため、内部蒸気通路に上方から流入した凝縮されたドレンが、冷却管群の下方から流入する蒸気に対して対向流(カウンターフロー)となり蒸気の流入を阻害するとともに、内部蒸気通路への未凝縮蒸気や非凝縮性気体の抽出をも阻害することになる。なお、特許文献1に記載の復水器は、ドレンガイドと樋との間における蒸気バイパスを防止するものであり、未凝縮蒸気や非凝縮性気体を抽出することを考慮したものではない。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するものであり、横置型冷却管群の適用において伝熱性能を確保することのできる復水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、第1の発明の復水器は、水平方向に蒸気が導入される容器と、前記容器の内部に配置されており複数の冷却管を平行に配置して全体が横長に形成されてなる冷却管群と、前記冷却管群の内部に前記冷却管を配置せず形成された横長の中空部と、前記中空部の内部で前記中空部の横長形状に沿って配置された受皿と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この復水器によれば、冷却管群の上部(中空部の上方)で凝縮されたドレンが、中空部の内部に落下して受皿に至り受皿に貯められることから、冷却管群の下部(受皿(中空部)の下方)の冷却管に、冷却管群の上部から落下するドレンが付着することを防ぐ。しかも、冷却管群の上部を通過した不凝縮性気体は、中空部の内部に至り中空部に捕集され、受皿により堰き止められ冷却管群の下部に至ることがないため、冷却管群の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることを防ぐ。この結果、横置型冷却管群の適用において伝熱性能を確保することができる。
【0012】
また、第2の発明の復水器では、第1の発明において、前記受皿を貫通して前記中空部内で上方に突出して設けられた導管を備え、前記導管は、突出端が下方に折り返されて下方に向けて開口して形成されることを特徴とする。
【0013】
この復水器によれば、冷却管群の下部を通過した不凝縮性気体を、導管を介して受皿を通過させて中空部の内部に捕集する。この際、冷却管群の上部から中空部の内部に落下するドレンが、導管の開口から冷却管群の下部に流出したり、導管の開口に付着して開口を塞いだりする事態を防止することができる。
【0014】
また、第3の発明の復水器では、第1の発明において、前記受皿の底に凹部を設けることを特徴とする。
【0015】
この復水器によれば、冷却管群の下部を通過した不凝縮性気体を、凹部に捕集する。すなわち、受皿により中空部を上下に分離することで、冷却管群の上部から中空部の内部に落下するドレンが、冷却管群の下部に至ること、および冷却管群の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることを防ぎつつ、中空部の内部に不凝縮性気体を捕集することができる。
【0016】
また、第4の発明の復水器では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、前記受皿を貫通して下方に延在し前記冷却管群の外部に突出して設けられた配水管を備え、前記配水管は、突出端が上方に折り返されて上方に向けて開口して形成されることを特徴とする。
【0017】
この復水器によれば、配水管により、受皿に貯まったドレンを容器の底部に送ることができる。また、配水管の上方に折り返された部分にドレンが貯まることで、冷却管群の下方から流入する蒸気が、配水管の開口より中空部の内部に流入する事態を防止することができる。
【0018】
また、第5の発明の復水器では、第1〜第4のいずれか一つの発明において、前記中空部の内部から前記冷却管群の外部に至り設けられた抽出管と、前記抽出管に設けられた真空ポンプと、を備えることを特徴とする。
【0019】
この復水器によれば、中空部に捕集された不凝縮性気体を冷却管群の外部に抽出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、横置型冷却管群の適用において伝熱性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る復水器の概略側断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る復水器の概略縦断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る復水器の冷却管群の側断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係る復水器の冷却管群の縦断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態2に係る復水器の冷却管群の側断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態2に係る復水器の冷却管群の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0023】
図1は、本実施形態に係る復水器の概略側断面図であり、図2は、本実施形態に係る復水器の概略縦断面図である。なお、図2は、図1において矢印G方向に見た断面図である。
【0024】
本実施形態の復水器は、図示しない蒸気タービンに接続された箱型の容器1の内部に、冷却管群2が設けられている。
【0025】
容器1は、矩形状の箱体として形成されている。この容器1は、蒸気タービンの排気室に接続される筒状の胴部1Aが設けられている。胴部1Aは、蒸気タービン側の接続口1Aaから容器1側の流入口1Abに向かって水平方向に延在して設けられており、蒸気タービンからの蒸気が、図1に矢印Gで示すように、容器1の内部に水平方向に沿って流入される。さらに、胴部1Aは、接続口1Aaから流入口1Abに向かって漸次開口径が大きくなるように形成されている。また、容器1は、その底部に凝縮されたドレンが貯められるようになっている。容器1の底部に貯められたドレンは、当該底部に接続された図示しない配管を経て容器1の外部に排出される。
【0026】
冷却管群2は、図2に示すように、複数の冷却管2Aが水平方向に沿って平行に配置されたものである。そして、冷却管群2は、図1に示すように、蒸気の流入方向、すなわち図1に矢印Gで示す水平方向に横長に形成された横置型冷却管群として構成されている。なお、図1では、冷却管2Aを省略した冷却管群2の外形を示している。図2に示すように、各冷却管2Aは、その両端部が容器1の外部に配置された水室2Bに接続されている。一方の水室2Bは、冷却水供給管(図示略)が接続されており当該冷却水供給管から供給される冷却水を貯めてから各冷却管2Aに流入させるものである。また、他方の水室2Bは、冷却水排出管(図示略)が接続されており各冷却管2Aを通過した冷却水を貯めてから冷却水排出管に排出させるものである。また、各冷却管2Aは、容器1の内部に配置された中間部が複数の支持板2Cにより支持されている。
【0027】
この復水器は、容器1の内部に胴部1Aを介して蒸気が水平方向に沿って流入されると、この蒸気が横長に形成された冷却管群2の主に上方および下方から各冷却管2Aの間に流入する。すると、蒸気は、各冷却管2Aに供給された冷却水と熱交換して凝縮しドレンとなって容器1の底部に貯まる。
【0028】
[実施形態1]
図3は、本実施形態に係る復水器の冷却管群の側断面図であり、図4は、本実施形態に係る復水器の冷却管群の縦断面図である。なお、図3は、図1に示す冷却管群の詳細を示し、図4は、図2に示す冷却管群の詳細を示す。また、図3および図4において、ハッチング部分は、複数の冷却管2Aを簡略化して示している。
【0029】
上述したように、冷却管群2は、容器1の内部に配置されており複数の冷却管2Aを平行に配置して全体が横長に形成されている。そして、図3および図4に示すように、冷却管群2は、その内部に冷却管2Aを配置せず形成された横長の中空部3が設けられている。中空部3は、複数の冷却管2Aの隙間よりも大きい空間を形成しており、複数の冷却管2Aの隙間と連通して冷却管群2の外側に通じている。
【0030】
また、冷却管群2は、中空部3の内部に、中空部3の横長形状に沿って配置された受皿4が設けられている。受皿4は、板状に形成されて、その外周縁に立設された立片を有している。また、受皿4は、当該受皿4を貫通して下方に延在し冷却管群2の外部に突出して設けられた配水管4Aが設けられている。配水管4Aは、その突出端4Aaが上方(好ましくは鉛直上)に向けて開口するようにJ形状に上方に折り返して形成されている。また、受皿4は、当該受皿4を貫通して中空部3内で上方に突出して設けられた導管4Bが設けられている。導管4Bは、その突出端4Baが中空部3内で下方(好ましくは鉛直下)に向けて開口するように逆J形状に下方に折り返して形成されている。また、導管4Bは、容器1の内部に流入する蒸気の流入方向(図3に矢印Gで示す方向)の下流側で、突出端4Baが下向きに形成されている。言い換えると、導管4Bは、容器1の内部に蒸気を流入させる胴部1Aの反対側で突出端4Baが下向きに形成されている。
【0031】
また、冷却管群2は、中空部3の内部から冷却管群2の外部に至り抽出管5が設けられている。抽出管5は、容器1の外部に貫通して設けられている。また抽出管5は、真空ポンプ6が設けられている。
【0032】
このように構成された本実施形態の復水器は、横長に形成された冷却管群2において、容器1の内部に流入された蒸気が、冷却管群2の主に上方および下方から各冷却管2Aの間に流入する。すると、蒸気は、各冷却管2Aに供給された冷却水と熱交換して凝縮しドレンとなって各冷却管2Aの間を通って落下する。
【0033】
ここで、冷却管群2の上部(中空部3の上方)で凝縮されたドレンは、中空部3の内部に落下して受皿4に至り受皿4に貯められる。そして、受皿4に貯められたドレンは、配水管4Aを通って容器1の底部に落下する。このため、冷却管群2の下部(受皿4(中空部3)の下方)では、その冷却管2Aに、冷却管群2の上部から落下するドレンが付着することが防止される。なお、配水管4Aは、その突出端4Aaが上方に折り返されて上方に向けて開口するように形成されている。このため、配水管4Aの上方に折り返された部分にドレンが貯まることで、冷却管群2の下方から流入する蒸気が、配水管4Aの開口より中空部3の内部に流入する事態を防止する。なお、配水管4Aを設けない場合、受皿4に貯まったドレンは、支持板2Cを伝わって容器1の底部に落下する。この場合、受皿4は、各支持板2Cの位置で分割され、支持板2Cに対向する外周縁の立片が一部切り欠かれて形成され、支持板2Cとの間にドレンを通過させる隙間を設けておくことが好ましい。
【0034】
また、冷却管群2の上部では、不凝縮性気体が通過する。不凝縮性気体は、冷却管2Aとの熱交換により凝縮されなかった蒸気(未凝縮蒸気)や、蒸気とともに容器1の内部に流入された空気(非凝縮性気体)を言う。このように冷却管群2の上部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部に至り中空部3に捕集される。中空部3に捕集された不凝縮性気体は、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがない。
【0035】
一方、冷却管群2の下部で凝縮されたドレンは、冷却管群2の下部から容器1の底部に落下する。ここで、上述したように、中空部3に捕集された不凝縮性気体は、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがない。このため、冷却管群2の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることが防止される。従って、冷却管群2の下部において、蒸気を凝縮する性能である伝熱性能が確保される。
【0036】
また、冷却管群2の下部では、不凝縮性気体が通過する。冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部に至り中空部3に捕集される。中空部3の内部には、受皿4が設けられているが、不凝縮性気体は、導管4Bを介して受皿4を通過して中空部3の内部に至る。なお、導管4Bは、その突出端4Baが下方に折り返されて下方に向けて開口するように形成されている。このため、冷却管群2の上部から中空部3の内部に落下するドレンが、導管4Bの開口から冷却管群2の下部に流出したり、導管4Bの開口に付着して開口を塞いだりする事態を防止する。また、導管4Bは、容器1の内部に流入する蒸気の流入方向の下流側で、突出端4Baが下向きに形成されているため、前記流入方向(図3に矢印Gで示す方向)で中空部3の内部に流入する不凝縮性気体が導管4Bの突出端4Baの開口から冷却管群2の下部に流出する事態を防ぐ。また、導管4Bを設けない場合、冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体は、受皿4の外周から中空部3の内部に至る。この場合、受皿4は、各支持板2Cの位置で分割され、その外周を不凝縮性気体が通過するように支持板2Cとの間に隙間を設けておく。
【0037】
そして、中空部3に捕集された不凝縮性気体は、真空ポンプ6を作動させることで抽出管5を介して容器1の外部に排出される。なお、抽出管5を中空部3に直接連通させず、間に空気冷却器を配置することで、不凝縮性気体において冷却管2Aとの熱交換により凝縮されなかった未凝縮蒸気を凝縮させてドレンとし、非凝縮性気体のみを排出することができる。
【0038】
このように、本実施形態の復水器は、水平方向に蒸気が導入される容器1と、容器1の内部に配置されており複数の冷却管2Aを平行に配置して全体が横長に形成されてなる冷却管群2と、冷却管群2の内部に冷却管2Aを配置せず形成された横長の中空部3と、中空部3の内部で中空部3の横長形状に沿って配置された受皿4と、を備える。
【0039】
この復水器によれば、冷却管群2の上部(中空部3の上方)で凝縮されたドレンが、中空部3の内部に落下して受皿4に至り受皿4に貯められることから、冷却管群2の下部(受皿4(中空部3)の下方)の冷却管2Aに、冷却管群2の上部から落下するドレンが付着することを防ぐ。しかも、冷却管群2の上部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部に至り中空部3に捕集され、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがないため、冷却管群2の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることを防ぐ。この結果、横置型冷却管群の適用において伝熱性能を確保することができる。
【0040】
また、本実施形態の復水器では、受皿4を貫通して中空部3内で上方に突出して設けられた導管4Bを備え、導管4Bは、突出端4Baが下方に折り返されて下方に向けて開口して形成される。
【0041】
この復水器によれば、冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体を、導管4Bを介して受皿4を通過させて中空部3の内部に捕集する。この際、冷却管群2の上部から中空部3の内部に落下するドレンが、導管4Bの開口から冷却管群2の下部に流出したり、導管4Bの開口に付着して開口を塞いだりする事態を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態の復水器では、受皿4を貫通して下方に延在し冷却管群2の外部に突出して設けられた配水管4Aを備え、配水管4Aは、突出端4Aaが上方に折り返されて上方に向けて開口して形成される。
【0043】
この復水器によれば、配水管4Aにより、受皿4に貯まったドレンを容器1の底部に送ることができる。また、配水管4Aの上方に折り返された部分にドレンが貯まることで、冷却管群2の下方から流入する蒸気が、配水管4Aの開口より中空部3の内部に流入する事態を防止することができる。
【0044】
また、本実施形態の復水器では、中空部3の内部から冷却管群2の外部に至り設けられた抽出管5と、抽出管5に設けられた真空ポンプ6と、を備える。
【0045】
この復水器によれば、中空部3に捕集された不凝縮性気体を冷却管群2の外部に抽出することができる。
【0046】
[実施形態2]
図5は、本実施形態に係る復水器の冷却管群の側断面図であり、図6は、本実施形態に係る復水器の冷却管群の縦断面図である。図5は、図1に示す冷却管群の詳細を示し、図6は、図2に示す冷却管群の詳細を示す。また、図5および図6において、ハッチング部分は、複数の冷却管2Aを簡略化して示している。
【0047】
上述したように、冷却管群2は、容器1の内部に配置されており複数の冷却管2Aを平行に配置して全体が横長に形成されている。そして、図5および図6に示すように、冷却管群2は、その内部に冷却管2Aを配置せず形成された横長の中空部3が設けられている。中空部3は、複数の冷却管2Aの隙間よりも大きい空間を形成しており、複数の冷却管2Aの隙間と連通して冷却管群2の外側に通じている。
【0048】
また、冷却管群2は、中空部3の内部に、中空部3の横長形状に沿って配置された受皿4が設けられている。受皿4は、板状に形成されて、その外周縁に立設された立片を有している。また、受皿4は、当該受皿4を貫通して下方に延在し冷却管群2の外部に突出して設けられた配水管4Aが設けられている。配水管4Aは、その突出端4Aaが上方(好ましくは鉛直上)に向けて開口するようにJ形状に上方に折り返して形成されている。また、受皿4は、その底に凹部4Cが設けられている。凹部4Cは、受皿4の板の一部を上方に凸形状に折り曲げることにより形成される。この凹部4Cは、本実施形態では線状の溝として形成されている。また、受皿4は、凹部4Cが外周縁よりも高い位置になるように、板材が凹部4Cから外周縁に向かって漸次下方に向けて傾斜して形成されている。この場合、配水管4Aは、傾斜の最も下となる部分(受皿4の外周縁)に設けられる。
【0049】
また、冷却管群2は、中空部3の内部から冷却管群2の外部に至り抽出管5が設けられている。抽出管5は、容器1の外部に貫通して設けられている。また抽出管5は、真空ポンプ6が設けられている。なお、抽出管5は、中空部3の内部に連通する端部が凹部4Cに向けて配置されている。
【0050】
このように構成された本実施形態の復水器は、横長に形成された冷却管群2において、容器1の内部に流入された蒸気が、冷却管群2の主に上方および下方から各冷却管2Aの間に流入する。すると、蒸気は、各冷却管2Aに供給された冷却水と熱交換して凝縮しドレンとなって各冷却管2Aの間を通って落下する。
【0051】
ここで、冷却管群2の上部(中空部3の上方)で凝縮されたドレンは、中空部3の内部に落下して受皿4に至り受皿4に貯められる。そして、受皿4に貯められたドレンは、配水管4Aを通って容器1の底部に落下する。このため、冷却管群2の下部(受皿4(中空部3)の下方)では、その冷却管2Aに、冷却管群2の上部から落下するドレンが付着することが防止される。なお、配水管4Aは、その突出端4Aaが上方に折り返されて上方に向けて開口するように形成されている。このため、配水管4Aの上方に折り返された部分にドレンが貯まることで、冷却管群2の下方から流入する蒸気が、配水管4Aの開口より中空部3の内部に流入する事態を防止する。なお、配水管4Aを設けない場合、受皿4に貯まったドレンは、支持板2Cを伝わって容器1の底部に落下する。この場合、受皿4は、各支持板2Cの位置で分割され、支持板2Cに対向する外周縁の立片が一部切り欠かれて形成され、支持板2Cとの間にドレンを通過させる隙間を設けておくことが好ましい。
【0052】
また、冷却管群2の上部では、不凝縮性気体が通過する。不凝縮性気体は、冷却管2Aとの熱交換により凝縮されなかった蒸気(未凝縮蒸気)や、蒸気とともに容器1の内部に流入された空気(非凝縮性気体)を言う。このように冷却管群2の上部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部に至り中空部3に捕集される。中空部3に捕集された不凝縮性気体は、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがない。
【0053】
一方、冷却管群2の下部で凝縮されたドレンは、冷却管群2の下部から容器1の底部に落下する。ここで、上述したように、中空部3に捕集された不凝縮性気体は、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがない。このため、冷却管群2の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることが防止される。従って、冷却管群2の下部において、蒸気を凝縮する性能である伝熱性能が確保される。
【0054】
また、冷却管群2の下部では、不凝縮性気体が通過する。冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部に至り中空部3に捕集される。中空部3の内部には、受皿4が設けられているが、不凝縮性気体は、受皿4の底に形成された凹部4Cに捕集される。なお、受皿4は、凹部4Cが外周縁よりも高い位置になるように、板材が凹部4Cから外周縁に向かって漸次下方に向けて傾斜して形成されている。このため、冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体は、受皿4の板材の傾斜に沿って凹部4Cに案内される。
【0055】
そして、中空部3に捕集された不凝縮性気体は、真空ポンプ6を作動させることで抽出管5を介して容器1の外部に排出される。なお、抽出管5を中空部3に直接連通させず、間に空気冷却器を配置することで、不凝縮性気体において冷却管2Aとの熱交換により凝縮されなかった未凝縮蒸気を凝縮させてドレンとし、非凝縮性気体のみを排出することができる。
【0056】
このように、本実施形態の復水器は、水平方向に蒸気が導入される容器1と、容器1の内部に配置されており複数の冷却管2Aを平行に配置して全体が横長に形成されてなる冷却管群2と、冷却管群2の内部に冷却管2Aを配置せず形成された横長の中空部3と、中空部3の内部で中空部3の横長形状に沿って配置された受皿4と、を備える。
【0057】
この復水器によれば、冷却管群2の上部(中空部3の上方)で凝縮されたドレンが、中空部3の内部に落下して受皿4に至り受皿4に貯められることから、冷却管群2の下部(受皿4(中空部3)の下方)の冷却管2Aに、冷却管群2の上部から落下するドレンが付着することを防ぐ。しかも、冷却管群2の上部を通過した不凝縮性気体は、中空部3の内部および受皿4の底の凹部4Cに至り中空部3に捕集され、受皿4により堰き止められ冷却管群2の下部に至ることがないため、冷却管群2の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることを防ぐ。この結果、横置型冷却管群の適用において伝熱性能を確保することができる。
【0058】
また、本実施形態の復水器では、受皿4の底に凹部4Cを設けている。
【0059】
この復水器によれば、冷却管群2の下部を通過した不凝縮性気体を、凹部4Cに捕集する。すなわち、受皿4により中空部3を上下に分離することで、冷却管群2の上部から中空部3の内部に落下するドレンが、冷却管群2の下部に至ること、および冷却管群2の下部において流入する蒸気に対して不凝縮性気体が対向流(カウンターフロー)となることを防ぎつつ、中空部3の内部に不凝縮性気体を捕集することができる。
【0060】
また、本実施形態の復水器では、受皿4を貫通して下方に延在し冷却管群2の外部に突出して設けられた配水管4Aを備え、配水管4Aは、突出端4Aaが上方に折り返されて上方に向けて開口して形成される。
【0061】
この復水器によれば、配水管4Aにより、受皿4に貯まったドレンを容器1の底部に送ることができる。また、配水管4Aの上方に折り返された部分にドレンが貯まることで、冷却管群2の下方から流入する蒸気が、配水管4Aの開口より中空部3の内部に流入する事態を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態の復水器では、中空部3の内部から冷却管群2の外部に至り設けられた抽出管5と、抽出管5に設けられた真空ポンプ6と、を備える。
【0063】
この復水器によれば、中空部3に捕集された不凝縮性気体を冷却管群2の外部に抽出することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 容器
1A 胴部
1Aa 接続口
1Ab 流入口
2 冷却管群
2A 冷却管
2B 水室
2C 支持板
3 中空部
4 受皿
4A 配水管
4Aa 突出端
4B 導管
4Ba 突出端
4C 凹部
5 抽出管
6 真空ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6