特許第6207958号(P6207958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207958
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】車両用空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20170925BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B60H1/22 651C
   B60H1/22ZHV
   B60H1/32 623B
   B60H1/32 626F
   B60H1/22 611D
【請求項の数】21
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-210059(P2013-210059)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-74274(P2015-74274A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098361
【弁理士】
【氏名又は名称】雨笠 敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙一
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 竜
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−106921(JP,A)
【文献】 特開2010−058587(JP,A)
【文献】 特開2004−155264(JP,A)
【文献】 特開平08−142805(JP,A)
【文献】 特開平05−058140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
該空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、
前記空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、
前記空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、
前記圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、
前記放熱器からの放熱により前記車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
前記空気流通路に設けられ、前記車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、
前記制御手段は、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、前記圧縮機を前記室内送風機より先に起動すると共に、
前記発熱手段を前記室内送風機と同時、又は、該室内送風機の起動直後、又は、該室内送風機の起動後に起動することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記圧縮機を起動した後、該圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で前記室内送風機を起動し、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、
前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記圧縮機を起動した後、該圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった時点で前記室内送風機を起動すると共に、
該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記発熱手段を起動し、該発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記圧縮機を起動した後、該圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で前記室内送風機を起動し、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、
前記圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記制御手段は、外気温度が前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合、前記室内送風機を前記圧縮機と同時、又は、該圧縮機の起動直後、又は、該圧縮機の起動後に起動すると共に、
前記発熱手段を前記室内送風機と同時、又は、該室内送風機の起動直後、又は、該室内送風機の起動後に起動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記発熱手段を起動すると共に、
前記発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、前記圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で前記発熱手段を起動し、
前記圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
【請求項9】
前記制御手段は、外気温度が前記第2の低外気温環境よりも高い第3の低外気温環境である場合、前記室内送風機を前記圧縮機より先に起動すると共に、
前記発熱手段を前記室内送風機と同時、又は、該室内送風機の起動直後、又は、該室内送風機の起動後に起動することを特徴とする請求項5乃至請求項8のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記圧縮機を起動すると共に、
前記発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項9に記載の車両用空気調和装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記発熱手段を起動し、該発熱手段の起動と同時、又は、該発熱手段の起動直後に前記圧縮機を起動すると共に、
前記発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項9に記載の車両用空気調和装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記圧縮機を起動すると共に、
該圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記圧縮機の回転数が前記所定回転数以上となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項9に記載の車両用空気調和装置。
【請求項13】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
該空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、
前記空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、
前記空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、
前記圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、
前記放熱器からの放熱により前記車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
前記空気流通路に設けられ、前記車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、該発熱手段は、前記放熱器に対して前記空気流通路を流通する空気の下流側に配置されると共に、
前記制御手段は、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、前記圧縮機及び前記発熱手段を前記室内送風機より先に起動することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記圧縮機を起動した後、該圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で前記室内送風機を起動し、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、
前記圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項13に記載の車両用空気調和装置。
【請求項15】
前記制御手段は、外気温度が前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合、前記室内送風機及び前記発熱手段を前記圧縮機の起動直後、又は、該圧縮機の起動後に起動することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の車両用空気調和装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、
前記圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項15に記載の車両用空気調和装置。
【請求項17】
前記制御手段は、外気温度が前記第2の低外気温環境よりも高い第3の低外気温環境である場合、前記発熱手段及び前記圧縮機を前記室内送風機の起動直後、又は、該室内送風機の起動後に起動することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の車両用空気調和装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記室内送風機を起動した後、該室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で前記圧縮機を起動すると共に、
該圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは前記室内送風機の風量を前記所定の低い値に制御し、前記圧縮機の回転数が前記所定回転数以上となった場合、前記室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする請求項17に記載の車両用空気調和装置。
【請求項19】
前記空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備え、電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を前記熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から前記発熱手段を構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項18のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項20】
前記熱媒体循環回路は、前記熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、
前記制御手段は、前記弁装置を開放することにより、前記発熱手段を起動することを特徴とする請求項19に記載の車両用空気調和装置。
【請求項21】
前記空気流通路に設けられ、前記車室内に供給される空気を加熱する電気ヒータにより前記発熱手段を構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項18のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ方式の車両用空気調和装置、特に電気自動車やハイブリッド自動車に適用可能な車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器(放熱用車室内熱交換器)と、車室内空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器(吸熱用車室内熱交換器)と、車室外に設けられて冷媒を放熱させる室外熱交換器(車室外熱交換器)等から構成される冷媒回路を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、室内送風機(ブロワファン)から送給される空気を加熱して車室内を暖房するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献1ではエンジン冷却水が循環されるヒータコア(発熱手段)を車室内空気流通路に設け、放熱器による暖房に加えてヒータコアによっても暖房能力が発揮されるように構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−211234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記圧縮機や室内送風機、発熱手段の起動タイミングが適切でない場合、下記のような種々の問題が生じる。例えば、無風状態(室内送風機停止)で圧縮機により放熱器に高温冷媒が供給される期間が長くなると、ヒートポンプサイクルが成立せず、また、高圧側圧力が異常に上昇して圧縮機が停止されてしまう不都合が発生する。一方、放熱器や上記ヒータコアが十分な暖房能力を発揮する以前に室内送風機が運転されると、低温の空気が車室内に吹き出されて快適性を損なう結果となる。
【0006】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、圧縮機や室内送風機、発熱手段を適切なタイミングで起動することにより、快適な車室内暖房を実現することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、この空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、放熱器からの放熱により車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房するものであって、空気流通路に設けられ、車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、制御手段は、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、圧縮機を室内送風機より先に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、圧縮機を起動した後、この圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御手段は、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった時点で室内送風機を起動すると共に、この室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動し、この発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御手段は、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御手段は、外気温度が第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合、室内送風機を圧縮機と同時、又は、圧縮機の起動直後、又は、圧縮機の起動後に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、請求項5の発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、請求項5の発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で発熱手段を起動し、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、請求項5乃至請求項8の発明において制御手段は、外気温度が第2の低外気温環境よりも高い第3の低外気温環境である場合、室内送風機を圧縮機より先に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明の車両用空気調和装置は、請求項9の発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動し、発熱手段の起動と同時、又は、発熱手段の起動直後に圧縮機を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明の車両用空気調和装置は、請求項9の発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、この空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、放熱器からの放熱により車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房するものであって、空気流通路に設けられ、車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、この発熱手段は、放熱器に対して空気流通路を流通する空気の下流側に配置されると共に、制御手段は、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、圧縮機及び発熱手段を室内送風機より先に起動することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明の車両用空気調和装置は、請求項13又は請求項14の発明において制御手段は、外気温度が第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合、室内送風機及び発熱手段を圧縮機の起動直後、又は、圧縮機の起動後に起動することを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0023】
請求項17の発明の車両用空気調和装置は、請求項15又は請求項16の発明において制御手段は、外気温度が第2の低外気温環境よりも高い第3の低外気温環境である場合、発熱手段及び圧縮機を室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することを特徴とする。
【0024】
請求項18の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御手段は、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることを特徴とする。
【0025】
請求項19の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備え、電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から発熱手段を構成したことを特徴とする。
【0026】
請求項20の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において熱媒体循環回路は、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、制御手段は、弁装置を開放することにより、発熱手段を起動することを特徴とする。
【0027】
請求項21の発明の車両用空気調和装置は、請求項1乃至請求項18の発明において空気流通路に設けられ、車室内に供給される空気を加熱する電気ヒータにより発熱手段を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、この空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、放熱器からの放熱により車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房する車両用空気調和装置において、空気流通路に設けられ、車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、制御手段が、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、圧縮機を室内送風機より先に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動するようにしたので、例えば、外気温度が極めて低い環境下で、圧縮機の高圧側圧力の上昇を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。
【0029】
これにより、外気温環境に応じて圧縮機、室内送風機、及び、発熱手段を適切なタイミングで起動することが可能となる。
【0030】
この場合、請求項2の発明の如く制御手段が、圧縮機を起動した後、この圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させるようにすることで、高圧側圧力の上昇を促進し、発熱手段の温度上昇も促進して、放熱器と発熱手段の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0031】
また、請求項3の発明の如く制御手段が、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった時点で室内送風機を起動すると共に、この室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動し、この発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させるようにすることでも、高圧側圧力の上昇を促進し、発熱手段の温度上昇も促進して、放熱器と発熱手段の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0032】
特にこの場合は、例えば請求項19の発明の如く空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備えて電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から発熱手段を構成し、更に、請求項20の発明の如く熱媒体循環回路に、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、制御手段が、弁装置を開放することで発熱手段を起動するようにすることにより、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体温度が上がったところで弁装置を開放(発熱手段を起動)することで、熱媒体−空気熱交換器で却って空気の温度が低下してしまう不都合を解消し、高圧側圧力の上昇による放熱器の暖房能力の増大をより効果的に促進することができるようになる。
【0033】
これは発熱手段が放熱器に対して流通空気の上流側に設けられる場合に有効であり、熱媒体−空気熱交換器での温度低下で放熱器に流入する空気の温度が低下し、高圧側圧力上昇が阻害される不都合を回避できる。
【0034】
また、請求項4の発明の如く制御手段が、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることでも、高圧側圧力の上昇を促進し、発熱手段の温度上昇も促進して、放熱器と発熱手段の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0035】
一方、外気温度が第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、請求項5の発明の如く制御手段が、室内送風機を圧縮機と同時、又は、圧縮機の起動直後、又は、圧縮機の起動後に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することで、外気温度が前述した第1の低外気温環境よりも高く、高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。
【0036】
この場合、請求項6の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることで、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0037】
また、請求項7の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることでも、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0038】
特にこの場合は、例えば請求項19の発明の如く空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備えて電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から発熱手段を構成し、更に、請求項20の発明の如く熱媒体循環回路に、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、制御手段が、弁装置を開放することで発熱手段を起動するようにすることにより、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体温度が上がったところで弁装置を開放(発熱手段を起動)することで、同様に熱媒体−空気熱交換器で空気の温度が低下してしまう不都合を解消し、高圧側圧力の上昇による放熱器の暖房能力の増大をより効果的に促進することができるようになる。
【0039】
これは同様に発熱手段が放熱器に対して流通空気の上流側に設けられる場合に有効であり、熱媒体−空気熱交換器での温度低下で放熱器に流入する空気の温度が低下し、高圧側圧力上昇が阻害される不都合を回避できる。
【0040】
また、請求項8の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で発熱手段を起動し、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることでも、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0041】
他方、外気温度が第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、請求項9の発明の如く制御手段が、室内送風機を圧縮機より先に起動すると共に、発熱手段を室内送風機と同時、又は、室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することで、外気温度が前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。
【0042】
この場合、請求項10の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることで、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0043】
また、請求項11の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で発熱手段を起動し、発熱手段の起動と同時、又は、発熱手段の起動直後に圧縮機を起動すると共に、発熱手段の温度が所定値より高くなるまで、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、発熱手段の温度が所定値より高くなった場合、又は、高圧側圧力が所定圧力以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることでも、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0044】
特にこの場合は、例えば請求項19の発明の如く空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備えて電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から発熱手段を構成し、更に、請求項20の発明の如く熱媒体循環回路に、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、制御手段が、弁装置を開放することで発熱手段を起動するようにすることにより、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体温度が上がったところで弁装置を開放(発熱手段を起動)することで、同様に熱媒体−空気熱交換器で空気の温度が低下してしまう不都合を解消し、高圧側圧力の上昇による放熱器の暖房能力の増大をより効果的に促進することができるようになる。
【0045】
これは同様に発熱手段が放熱器に対して流通空気の上流側に設けられる場合に有効であり、熱媒体−空気熱交換器での温度低下で放熱器に流入する空気の温度が低下し、高圧側圧力上昇が阻害される不都合を回避できる。
【0046】
また、請求項12の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることでも、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0047】
一方、請求項13の発明では、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、この空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、圧縮機と室内送風機の運転を制御する制御手段とを備え、放熱器からの放熱により車室内に供給される空気を加熱して当該車室内を暖房する車両用空気調和装置において、空気流通路に設けられ、車室内に供給される空気を加熱する発熱手段を備え、この発熱手段は、放熱器に対して空気流通路を流通する空気の下流側に配置されると共に、制御手段が、外気温度が所定の第1のしきい値以下の第1の低外気温環境である場合、圧縮機及び発熱手段を室内送風機より先に起動するようにした。
【0048】
この発明の如く発熱手段を放熱器に対して空気流通路を流通する空気の下流側に配置したときは、室内送風機を起動しても発熱手段が発生した熱が放熱器に伝達されることは無いが、制御手段が、外気温度が低い第1の低外気温環境である場合、圧縮機及び発熱手段を室内送風機より先に起動することにより、外気温度が極めて低い環境下で、圧縮機の高圧側圧力の上昇と発熱手段の温度の上昇の双方を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。これによって、外気温環境に応じて圧縮機、室内送風機、及び、発熱手段を適切なタイミングで起動することが可能となる。
【0049】
この場合、請求項14の発明の如く制御手段が、圧縮機を起動した後、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった時点で室内送風機を起動し、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることで、高圧側圧力の上昇を促進し、発熱手段の温度上昇も促進して、放熱器と発熱手段の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0050】
一方、外気温度が第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、請求項15の発明の如く制御手段が、室内送風機及び発熱手段を圧縮機の起動直後、又は、圧縮機の起動後に起動することで、外気温度が前述した第1の低外気温環境よりも高く、高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。
【0051】
この場合、請求項16の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量を所定の低い値に制御すると共に、圧縮機の回転数が目標回転数となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることで、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0052】
他方、外気温度が第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、請求項17の発明の如く制御手段が、発熱手段及び圧縮機を室内送風機の起動直後、又は、室内送風機の起動後に起動することで、外気温度が前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。
【0053】
この場合、請求項18の発明の如く制御手段が、室内送風機を起動した後、室内送風機の風量が所定の低い値となった時点で圧縮機を起動すると共に、圧縮機の回転数が所定回転数以上となるまでは室内送風機の風量を所定の低い値に制御し、圧縮機の回転数が所定回転数以上となった場合、室内送風機の風量を目標値まで増大させることで、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0054】
以上のことは、請求項19の発明の如く空気流通路に設けられた熱媒体−空気熱交換器を備え、電気ヒータ又はエンジンにより加熱された熱媒体を熱媒体−空気熱交換器に循環する熱媒体循環回路から発熱手段を構成した場合に有効であり、請求項20の発明の如く熱媒体循環回路が、熱媒体−空気熱交換器への熱媒体の循環を制御する弁装置を備え、制御手段が、弁装置を開放することにより、発熱手段を起動することで、前述した如く熱媒体−空気熱交換器への熱媒体温度が上がったところで弁装置を開放(発熱手段を起動)し、熱媒体−空気熱交換器で空気の温度が低下してしまう不都合を解消することができるようになる。
【0055】
また、発熱手段を請求項21の発明の如く空気流通路に設けられて車室内に供給される空気を加熱する電気ヒータにより構成すれば、構造を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例1)。
図2図1の車両用空気調和装置のコントローラの電気回路のブロック図である。
図3図2のコントローラの動作を説明するフローチャートである。
図4図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、熱媒体循環回路の制御を説明するタイミングチャートである(実施例1)。
図5図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、熱媒体循環回路の制御を説明するもう一つのタイミングチャートである(実施例1)。
図6図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、熱媒体循環回路の制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例1)。
図7】本発明を適用した他の実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例2)。
図8図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明するタイミングチャートである(実施例2)。
図9図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明するもう一つのタイミングチャートである(実施例2)。
図10図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例2)。
図11図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例2)。
図12図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例2)。
図13図7の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、冷却水用の電磁弁の制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例2)。
図14】本発明を適用したもう一つの他の実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例3)。
図15図14の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明するタイミングチャートである(実施例3)。
図16図14の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明するもう一つのタイミングチャートである(実施例3)。
図17図14の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例3)。
図18】本発明を適用した更にもう一つの他の実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例4)。
図19図18の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明するタイミングチャートである(実施例4)。
図20図18の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明するもう一つのタイミングチャートである(実施例4)。
図21図18の場合の図2のコントローラによる圧縮機、室内送風機、電気ヒータの制御を説明する更にもう一つのタイミングチャートである(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0058】
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。この場合、本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)を有さない電気自動車(EV)、又は、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車であって、バッテリ(何れも図示せず)に充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行、又は、走行補助を行うもの、若しくは、エンジンで走行する通常の自動車である。
【0059】
但し、本発明の車両用空気調和装置1は、バッテリ等(プラグイン可能な場合には外部電力)の電力で駆動されるものとする。即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、冷媒回路を構成する電動式の圧縮機をバッテリ等で駆動するヒートポンプ運転により車室内の暖房を行い、更に、除湿暖房や冷房除湿、冷房等の各運転モードを選択的に実行するものである。
【0060】
この実施例の車両用空気調和装置1は、自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機(電動圧縮機)2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられて圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒を車室内に放熱させる放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6と、冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8と、放熱器4に対して空気流通路3を流通する空気の上流側における空気流通路3内に設けられて冷房時及び除湿時に車室内外から冷媒に吸熱させる吸熱器9と、吸熱器9における蒸発能力を調整する蒸発能力制御弁11と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。尚、室外熱交換器7には、外気と冷媒とを熱交換させるための室外送風機15が設けられている。
【0061】
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房時に開放される電磁弁(開閉弁)17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口が逆止弁18を介して室内膨張弁8に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成しており、逆止弁18は室内膨張弁8側が順方向とされている。
【0062】
また、逆止弁18と室内膨張弁8間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側に位置する蒸発能力制御弁11を出た冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出て蒸発能力制御弁11を経た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
【0063】
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される電磁弁(開閉弁)21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で分岐しており、この分岐した冷媒配管13Fは除湿時に開放される電磁弁(開閉弁)22を介して逆止弁18の下流側の冷媒配管13Bに連通接続されている。
【0064】
また、室外膨張弁6には並列にバイパス配管13Jが接続されており、このバイパス配管13Jには、冷房モードにおいて開放され、室外膨張弁6をバイパスして冷媒を流すための電磁弁(開閉弁)20が介設されている。
【0065】
また、放熱器4を出た直後(冷媒配管13F、13Iに分岐する手前)の冷媒配管13Eは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Kはインジェクション制御用の電動弁から成るインジェクション膨張弁30を介して圧縮機2の圧縮途中に連通接続されている。そして、このインジェクション膨張弁30の出口側と圧縮機2間の冷媒配管13Kは、圧縮機2の吐出側に位置する冷媒配管13Gと熱交換関係に設けられ、両者で吐出側熱交換器35を構成している。
【0066】
これら冷媒配管13K、インジェクション膨張弁30、及び、吐出側熱交換器35からインジェクション回路40が構成される。このインジェクション回路40は、放熱器4から出た冷媒の一部を分流して圧縮機2の圧縮途中に戻す(ガスインジェクション)ための回路であり、インジェクション膨張弁30は冷媒配管13Kに流入した冷媒を減圧した後、吐出側熱交換器35に流入させる。吐出側熱交換器35に流入した冷媒は、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出され、放熱器4に流入する前の冷媒と熱交換し、冷媒配管13Gを流れる冷媒から吸熱して蒸発する構成とされている。吐出側熱交換器35で冷媒配管13Kに分流された冷媒が蒸発することで、圧縮機2へのガスインジェクションが行われることになる。
【0067】
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給し、流通させるための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
【0068】
また、放熱器4の空気上流側における空気流通路3内には、内気や外気の放熱器4への流通度合いを調整するエアミックスダンパ28が設けられている。更に、放熱器4の空気下流側における空気流通路3には、フット、ベント、デフの各吹出口(図1では代表して吹出口29で示す)が形成されており、この吹出口29には上記各吹出口から空気の吹き出しを切換制御する吹出口切換ダンパ31が設けられている。
【0069】
また、図1において61は実施例の車両用空気調和装置1に設けられた発熱手段としての熱媒体循環回路を示している。この熱媒体循環回路61は循環手段を構成する循環ポンプ62と、熱媒体加熱電気ヒータ(図面ではECHで示す)63と、放熱器4に対して空気流通路3を流通する空気の上流側となる空気流通路3内に設けられた熱媒体−空気熱交換器64とを備え、これらが熱媒体配管66により順次環状に接続されている。尚、この熱媒体循環回路61内で循環される熱媒体としては、例えば水、HFO−1234yfのような冷媒、クーラント等が採用される。
【0070】
そして、循環ポンプ62が運転され、熱媒体加熱電気ヒータ63に通電されて発熱すると、この熱媒体加熱電気ヒータ63により加熱された熱媒体が空気流通路3内の熱媒体−空気熱交換器64に循環されるよう構成されている。即ち、この熱媒体循環回路61の熱媒体−空気熱交換器64が所謂ヒータコアの役割を果たし、車室内の暖房に寄与する。係る熱媒体循環回路61を採用することで、搭乗者の電気的な安全性を向上することができるようになる。
【0071】
次に、図2において32はマイクロコンピュータから構成された制御手段としてのコントローラ(ECU)であり、このコントローラ32の入力には車両の外気温度を検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれる空気の温度を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、吹出口29から車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力を検出する吐出圧力センサ42と、圧縮機2の吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力を検出する吸込圧力センサ44と、放熱器4の温度(放熱器4から出た直後の温度、又は、放熱器4自体の温度、又は、放熱器4にて加熱された直後の空気の温度)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器4内、又は、放熱器4を出た直後の冷媒の圧力)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9から出た直後の温度、又は、吸熱器9自体、又は、吸熱器9にて冷却された直後の空気の温度)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力(吸熱器9内、又は、吸熱器9を出た直後の冷媒の圧力)を検出する吸熱器圧力センサ49と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調(エアコン)操作部53と、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器7から出た直後の冷媒の温度、又は、室外熱交換器7自体の温度)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の冷媒圧力(室外熱交換器7内、又は、室外熱交換器7から出た直後の冷媒の圧力)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
【0072】
また、コントローラ32の入力には、インジェクション回路40の冷媒配管13Kに流入し、吐出側熱交換器35を経て圧縮機2の圧縮途中に戻るインジェクション冷媒の圧力を検出するインジェクション圧力センサ50と、該インジェクション冷媒の温度を検出するインジェクション温度センサ55の各出力も接続されている。
【0073】
また、コントローラ32の入力には更に、熱媒体循環回路61の熱媒体加熱電気ヒータ63の温度(熱媒体加熱電気ヒータ63で加熱された直後の熱媒体の温度、又は、熱媒体加熱電気ヒータ63に内蔵された図示しない電気ヒータ自体の温度)を検出する熱媒体加熱電気ヒータ温度センサ67と、熱媒体−空気熱交換器64の温度(熱媒体−空気熱交換器64を経た空気の温度、又は、熱媒体−空気熱交換器64自体の温度)を検出する熱媒体−空気熱交換器温度センサ68の各出力も接続されている。
【0074】
一方、コントローラ32の出力には、前記圧縮機2と、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、吹出口切換ダンパ31と、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、各電磁弁22、17、21、20と、インジェクション膨張弁30と、蒸発能力制御弁11と、熱媒体加熱電気ヒータ63と、循環ポンプ62が接続されている。そして、コントローラ32は各センサの出力と空調操作部53にて入力された設定に基づいてこれらを制御する。
【0075】
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。コントローラ32は実施例では大きく分けて暖房モードと、除湿暖房モードと、内部サイクルモードと、除湿冷房モードと、冷房モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードにおける冷媒の流れについて説明する。
【0076】
(1)暖房モードの冷媒の流れ
コントローラ32により或いは空調操作部53へのマニュアル操作により暖房モードが選択されると、コントローラ32は電磁弁21を開放し、電磁弁17、電磁弁22及び電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が熱媒体−空気熱交換器64及び放熱器4に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は吐出側熱交換器35を経た後、放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
【0077】
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、一部はインジェクション回路40の冷媒配管13Kに分流され、主には冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。尚、インジェクション回路40の機能作用については後述する。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる(ヒートポンプ)。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13D及び電磁弁21を経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4にて加熱された空気が吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
【0078】
また、コントローラ32は、この暖房モードにおいて後述する如く放熱器4による暖房能力が不足すると判断した場合、熱媒体加熱電気ヒータ63に通電して発熱させ、循環ポンプ62を運転することにより、熱媒体循環回路61による加熱を実行する。その場合は、この熱媒体−空気熱交換器64で加熱され、更に放熱器4にて加熱された空気が吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
【0079】
コントローラ32は、実施例では後述するように放熱器圧力センサ47(又は吐出圧力センサ42)が検出する冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器4の通過風量と目標吹出温度に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度を制御する。尚、室外膨張弁6の弁開度は、それらの代わりに或いはそれらに加えて放熱器4の温度や外気温度に基づいて制御してもよい。
【0080】
(2)除湿暖房モードの冷媒の流れ
次に、除湿暖房モードでは、コントローラ32は上記暖房モードの状態において電磁弁22を開放する。これにより、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部が分流され、電磁弁22を経て冷媒配管13F及び13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至るようになる。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
【0081】
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cにて冷媒配管13Dからの冷媒と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
【0082】
コントローラ32は吐出圧力センサ42又は放熱器圧力センサ47が検出する冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。尚、この除湿暖房モードではインジェクション回路40によるガスインジェクションは行わないため、インジェクション膨張弁30は全閉とする(全閉位置)。また、熱媒体循環回路61も動作させない。
【0083】
(3)内部サイクルモードの冷媒の流れ
次に、内部サイクルモードでは、コントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁21も閉じる。この室外膨張弁6と電磁弁21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て冷媒配管13Fに全て流れるようになる。そして、冷媒配管13Fを流れる冷媒は冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
【0084】
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを流れ、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになるが、この内部サイクルモードでは室内側の空気流通路3内にある放熱器4(放熱)と吸熱器9(吸熱)の間で冷媒が循環されることになるので、外気からの熱の汲み上げは行われず、圧縮機2の消費動力分の暖房能力が発揮される。除湿作用を発揮する吸熱器9には冷媒の全量が流れるので、上記除湿暖房モードに比較すると除湿能力は高いが、暖房能力は低くなる。
【0085】
コントローラ32は吸熱器9の温度、又は、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数を制御する。このとき、コントローラ32は吸熱器9の温度によるか高圧圧力によるか、何れかの演算から得られる圧縮機目標回転数の低い方を選択して圧縮機2を制御する。尚、この内部サイクルモードでもインジェクション回路40によるガスインジェクションは行わないため、インジェクション膨張弁30は全閉とする(全閉位置)。また、熱媒体循環回路61も動作させない。
【0086】
(4)除湿冷房モードの冷媒の流れ
次に、除湿冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21、電磁弁22、及び、電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が熱媒体−空気熱交換器64及び放熱器4に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は吐出側熱交換器35を経て放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
【0087】
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
【0088】
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
【0089】
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
【0090】
コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力Pci)を制御する。尚、この除湿冷房モードでもインジェクション回路40によるガスインジェクションは行わないため、インジェクション膨張弁30は全閉とする(全閉位置)。また、熱媒体循環回路61も動作させない。
【0091】
(5)冷房モードの冷媒の流れ
次に、冷房モードでは、コントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において電磁弁20を開き(この場合、室外膨張弁6は全開(弁開度を制御上限)を含む何れの弁開度でもよい)、エアミックスダンパ28は熱媒体−空気熱交換器64及び放熱器4に空気が通風されない状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は吐出側熱交換器35を経て放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されないので、ここは通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て電磁弁20及び室外膨張弁6に至る。
【0092】
このとき電磁弁20は開放されているので冷媒は室外膨張弁6を迂回してバイパス配管13Jを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
【0093】
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却される。
【0094】
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過すること無く吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて圧縮機2の回転数を制御する。尚、この冷房モードでもインジェクション回路40によるガスインジェクションは行わないため、インジェクション膨張弁30は全閉とする(全閉位置)。また、熱媒体循環回路61も動作させない。
【0095】
(6)運転モードの切換制御
コントローラ32は起動時には外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと目標吹出温度TAOとに基づいて運転モードを選択する。また、起動後は外気温度Tamや目標吹出温度TAO等の環境や設定条件の変化に応じて前記各運転モードを選択し、切り換えていく。この場合、コントローラ32は基本的には暖房モードから除湿暖房モードへ、或いは、除湿暖房モードから暖房モードへと移行し、除湿暖房モードから除湿冷房モードへ、或いは、除湿冷房モードから除湿暖房モードへと移行し、除湿冷房モードから冷房モードへ、或いは、冷房モードから除湿冷房モードへと移行するものであるが、除湿暖房モードから除湿冷房モードへ移行する際、及び、除湿冷房モードから除湿暖房モードへ移行する際には、前記内部サイクルモードを経由して移行する。また、冷房モードから内部サイクルモードへ、内部サイクルモードから冷房モードへ移行する場合もある。
【0096】
(7)暖房モードにおけるガスインジェクション
次に、前記暖房モードにおけるガスインジェクションについて説明する。放熱器4を出て冷媒配管13Eに入り、その後分流されてインジェクション回路40の冷媒配管13Kに流入した冷媒は、インジェクション膨張弁30で減圧された後、吐出側熱交換器35に入り、そこで圧縮機2の吐出冷媒(圧縮機2から吐出されて放熱器4に流入する前の冷媒)と熱交換し、吸熱して蒸発する。蒸発したガス冷媒はその後圧縮機2の圧縮途中に戻り、アキュムレータ12から吸い込まれて圧縮されている冷媒と共に更に圧縮された後、再度圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出されることになる。
【0097】
インジェクション回路40から圧縮機2の圧縮途中に冷媒を戻すことにより、圧縮機2から吐出される冷媒量が増大するので、放熱器4における暖房能力が向上するものであるが、圧縮機2に液冷媒が戻ると液圧縮を引き起こしてしまうので、インジェクション回路40から圧縮機2に戻す冷媒はガスでなければならない。
【0098】
そのためにコントローラ32は、インジェクション圧力センサ50及びインジェクション温度センサ55がそれぞれ検出する吐出側熱交換器35後の冷媒の圧力及び温度から圧縮機2の圧縮途中に向かう冷媒の過熱度を監視しており、吐出冷媒との熱交換で所定の過熱度が付くようにインジェクション膨張弁30の弁開度を制御するものであるが、実施例では吐出側熱交換器35において、圧縮機2から吐出されて放熱器4に流入する前の極めて高温の冷媒とインジェクション回路40を流れる冷媒とを熱交換させているので、大きな熱交換量が得られる。従って、インジェクション膨張弁30の弁開度を大きくしてインジェクション量を増やしても、冷媒は吐出側熱交換器35において十分に蒸発することができ、必要な過熱度が得られることになる。
【0099】
これにより、従来の如く放熱器後の冷媒とインジェクション冷媒とを熱交換させる場合に比して、圧縮機2へのガスインジェクション量を十分に確保し、圧縮機2の吐出冷媒量を増大させて暖房能力の向上を図ることができるようになる。
【0100】
(8)暖房モードでの圧縮機、室内送風機、熱媒体循環回路の制御
コントローラ32は、放熱器4に放熱させて車室内を暖房する暖房モード(除湿暖房モードも含む)では、目標放熱器圧力PCO(高圧圧力の目標値)に基づいて圧縮機2の目標圧縮機回転数TGNC(目標回転数)を決定し、圧縮機2の回転数NCがこの目標圧縮機回転数TGNCとなるように圧縮機2を制御する。また、目標吹出温度TAO等に基づいて室内送風機27の目標ブロワ電圧TGBLV(風量の目標値)を決定し、室内送風機27のブロワ電圧BLVがこの目標ブロワ電圧TGBLVとなるように室内送風機27を制御する。この目標ブロワ電圧TGBLVが室内送風機27の風量の目標値となる。
【0101】
尚、吹出口29から車室内に吹き出される空気温度の目標値である目標吹出温度TAOは、下記式(I)からコントローラ32が算出する。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する車室内空気の温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
【0102】
また、コントローラ32は式(II)、式(III)を用いて要求される放熱器4の暖房能力である目標暖房能力(要求暖房能力)Qtgtと、放熱器4が発生可能な最大の暖房能力推定値Qhpを算出する。
Qtgt=(TCO−Te)×Cpa×ρ×Qair ・・(II)
Qhp=f(Tam、NC、BLV、VSP、Te) ・・(III)
ここで、Teは吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度、Cpaは放熱器4に流入する空気の比熱[kj/kg・K]、ρは放熱器4に流入する空気の密度(比体積)[kg/m3]、Qairは放熱器4を通過する風量[m3/h](通過風量Qairは室内送風機27のブロワ電圧BLV等から推定)、VSPは車速センサ52から得られる車速である。
【0103】
上記式(II)においてはQairに代えて、或いは、それに加えて、放熱器4に流入する空気の温度、又は、放熱器4から流出する空気の温度を採用してもよい。また、式(III)の圧縮機2の回転数NCは冷媒流量を示す指標の一例であり、ブロワ電圧BLVは空気流通路3内の風量を示す指標の一例であり、暖房能力推定値Qhpはこれらの関数から算出される。また、それらと放熱器4の出口冷媒圧力、放熱器4の出口冷媒温度、放熱器4の入口冷媒圧力、及び、放熱器4の入口冷媒温度のうちの何れか、若しくは、組み合わせから算出してもよい。
【0104】
次に、コントローラ32は上述した目標暖房能力(要求暖房能力)Qtgtと、HP最大暖房能力推定値Qhpに基づいて、図3のフローチャートの如く熱媒体循環回路61を動作させるか否かを決定する。即ち、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、ステップS1で各センサからデータを読み込み、ステップS2で上記式(II)を用い、目標暖房能力Qtgtを算出し、上記式(III)を用い、暖房能力推定値Qhpを算出し、ステップS3で目標暖房能力Qtgtが暖房能力推定値Qhpより大きいか否か判断する。
【0105】
ステップS3で、目標暖房能力Qtgtが暖房能力推定値Qhpより大きい場合、ステップS4に進んで圧縮機2、室内送風機27、熱媒体循環回路(発熱手段)61の起動モードを選択し、選択した起動モードに基づいてステップS5〜ステップS7で圧縮機2、室内送風機27、熱媒体循環回路61(熱媒体加熱電気ヒータ63と循環ポンプ62からなるこの場合の発熱手段)を起動し、制御する。尚、上記ステップS4における起動モードの選択については後述する。
【0106】
また、ステップS3で目標暖房能力Qtgtが暖房能力推定値Qhp以下の場合、コントローラ32はステップS8、ステップS9で圧縮機2、室内送風機27を起動し、制御する。即ち、コントローラ32は目標暖房能力Qtgtが暖房能力推定値Qhpより大きい場合は放熱器4の暖房能力が不足していると判断し、熱媒体循環回路61を動作させると共に、目標暖房能力Qtgtが暖房能力推定値Qhp以下の場合は、放熱器4の暖房能力が足りていると判断し、熱媒体循環回路61は動作させない。
【0107】
(8−1)暖房モードにおける圧縮機、室内送風機、熱媒体循環回路の起動タイミング
次に、図3のステップS4における圧縮機2、室内送風機27、熱媒体循環回路61の起動モードの選択について説明する。実施例ではコントローラ32は、起動モード1〜3の三種類の起動モードを有しており、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamに基づいてこれらを切り換える。
【0108】
この場合、コントローラ32は外気温度Tamが所定の極めて低い極低温度A(第1のしきい値)以下の第1の低外気温環境である場合、起動モード1を選択する。この起動モード1では、コントローラ32は圧縮機2を室内送風機27より先に起動し、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後、又は、その起動後に起動する(後述する各実施例を含む)。
【0109】
また、外気温度Tamが上記極低温度Aより高く、この極低温度Aよりも高い所定の低温度B(第2のしきい値)以下の第2の低外気温環境である場合(第2の低外気温環境は第1の低外気温環境よりも温度が高い)、起動モード2を選択する。この起動モード2では、コントローラ32は室内送風機27を圧縮機2と同時、又は、その起動直後、又は、その起動後に起動し、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後、又は、その起動後に起動する(後述する各実施例を含む)。
【0110】
更に、外気温度Tamが上記低温度Bよりも高い第3の低外気温環境である場合(第3の低外気温環境は第2の低外気温環境よりも温度が高い)、起動モード3を選択する。この起動モード3では、コントローラ32は室内送風機27を圧縮機2より先に起動し、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後、又は、その起動後に起動する(後述する各実施例を含む)。
【0111】
次に、図4図6を用いて各起動モードについて詳細に説明する。
(8−2)起動モード1(実施例1)
図4のタイミングチャートは、起動モード1の具体的な起動パターンの一例を示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。その途中、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、コントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0112】
一方、コントローラ32は室内送風機27の起動と同時、又は、起動直後に熱媒体循環回路61を起動する。この場合の熱媒体循環回路61の起動とは、熱媒体加熱電気ヒータ63と循環ポンプ62への通電開始を意味するものとする。これにより、熱媒体加熱電気ヒータ63で加熱された熱媒体が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0113】
このように、外気温度Tamが低い第1の低外気温環境である場合、圧縮機2を室内送風機27より先に起動すると共に、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後に起動することにより、外気温度Tamが極めて低い環境下で、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。特に、この場合の起動モード1では、圧縮機2を起動した後、この圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で室内送風機27を起動し、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、熱媒体循環回路61の熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、熱媒体循環回路61の熱媒体−空気熱交換器64の温度上昇も促進して、放熱器4と熱媒体循環回路61の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0114】
(8−3)起動モード2(実施例1)
次に、図5のタイミングチャートは、起動モード2の具体的な起動パターンの一例を示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。この圧縮機2の起動と同時、又は、その直後にコントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0115】
更に、コントローラ32はこの室内送風機27の起動と同時、又は、起動直後に熱媒体循環回路61を起動する。この場合も熱媒体循環回路61の起動とは、熱媒体加熱電気ヒータ63と循環ポンプ62への通電開始を意味する。これにより、熱媒体加熱電気ヒータ63で加熱された熱媒体が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0116】
このように、外気温度Tamが前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2と同時、又は、その起動直後に起動すると共に、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後に起動することで、外気温度Tamが前述した第1の低外気温環境よりも高く、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機27をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。特に、この場合の起動モード2では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、熱媒体循環回路61の熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0117】
(8−4)起動モード3(実施例1)
次に、図6のタイミングチャートは、起動モード3の具体的な起動パターンの一例を示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。また、この室内送風機27の起動と同時、又は、起動直後に熱媒体循環回路61を起動する。この場合も熱媒体循環回路61の起動とは、熱媒体加熱電気ヒータ63と循環ポンプ62への通電開始を意味する。これにより、熱媒体加熱電気ヒータ63で加熱された熱媒体が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。
【0118】
一方、コントローラ32は室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。そして、コントローラ32は熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0119】
このように、外気温度Tamが前記第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2より先に起動すると共に、熱媒体循環回路61を室内送風機27と同時、又は、その起動直後に起動することで、外気温度Tamが前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、冷媒回路Rの高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機2の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。特に、この場合の起動モード3では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動すると共に、熱媒体循環回路61の熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0120】
以上のようにコントローラ32が、外気温度Tamに基づき、圧縮機2、室内送風機27、及び、熱媒体循環回路61を起動するタイミングを制御することによって、外気温環境に応じて圧縮機2、室内送風機27、及び、熱媒体循環回路61を適切なタイミングで起動することが可能となる。
【実施例2】
【0121】
次に、図7図13を参照して本発明の他の実施例を説明する。図7はこの場合の車両用空気調和装置1の構成図であり、図1と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。また、この場合の自動車はエンジンENGを有しているものとする。前述した実施例(実施例1)では、発熱手段を熱媒体循環回路61により構成したが、この場合はエンジンENGが存在するので、このエンジンENGの冷却水を熱媒体として冷却水配管72により熱媒体−空気熱交換器64に循環させる。
【0122】
また、冷却水配管72には、熱媒体−空気熱交換器64への冷却水(熱媒体)の循環を制御する電磁弁(弁装置)が設けられ、コントローラ32により制御されるものとする。即ち、この場合はエンジンENGを含む熱媒体−空気熱交換器64、冷却水(熱媒体)用の電磁弁69、冷却水配管72で発熱手段が構成され、熱媒体−空気熱交換器64がヒータコアとなる。他の構成並びに図3の制御フローチャートは前記実施例と同様であり、この場合も起動モード1〜3が選択して実行される。但し、図3のフローチャートのステップS7の起動は、この場合は後述するように電磁弁69の開放となる。
【0123】
次に、図8図13を用いてこの実施例の場合の各起動モードについて詳細に説明する。
(9−1)起動モード1(実施例2)
図8のタイミングチャートは、この実施例の起動モード1の具体的な起動パターンを示している。コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。その途中、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、コントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0124】
一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図8に破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これが図3のステップS7におけるこの場合の発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0125】
この実施例においても、外気温度Tamが低い第1の低外気温環境である場合、圧縮機2を室内送風機27より先に起動すると共に、熱媒体(冷却水)の電磁弁69を室内送風機27の起動後に起動することにより、外気温度Tamが極めて低い環境下で、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。特に、この場合の起動モード1では、圧縮機2を起動した後、圧縮機2の回転数が所定回転数Nec1以上となった時点で室内送風機27を起動すると共に、この室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で熱媒体(冷却水)の電磁弁69を開き、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、熱媒体−空気熱交換器64の温度上昇も促進して、放熱器4と熱媒体−空気熱交換器64の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0126】
特にこの実施例の場合は、熱媒体−空気熱交換器64への熱媒体(冷却水)の温度が上がったところで電磁弁69を開く(発熱手段を起動)ので、温度が低い熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されて熱媒体−空気熱交換器64において、逆に空気の温度が低下してしまう不都合を解消し、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇による放熱器4の暖房能力の増大をより効果的に促進することができるようになる。
【0127】
これは実施例の如く熱媒体−空気熱交換器64が放熱器4に対して流通空気の上流側に設けられる場合に有効であり、熱媒体−空気熱交換器64での温度低下で放熱器4に流入する空気の温度が低下し、冷媒回路Rの高圧側圧力上昇が阻害される不都合を回避できる。
【0128】
(9−2)起動モード2(実施例2)
次に、図9のタイミングチャートは、この実施例の起動モード2の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。この圧縮機2の起動と同時、又は、その直後にコントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0129】
一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図9に破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これが発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0130】
このように、外気温度Tamが前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2と同時、又は、その起動直後に起動すると共に、熱媒体の電磁弁69を室内送風機27の起動後に開くことで、外気温度Tamが前述した第1の低外気温環境よりも高く、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機27をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。特に、この場合の起動モード2では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で熱媒体の電磁弁69を開く(発熱手段の起動)と共に、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0131】
(9−3)起動モード3(実施例2)
次に、図10のタイミングチャートは、この実施例の起動モード3の具体的な起動パターンを示している。この実施例の場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図10に破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これが発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。
【0132】
一方、電磁弁69を開くのと同時に、又は、その直後にコントローラ32は圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0133】
このように、外気温度Tamが前記第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2より先に起動すると共に、電磁弁69を室内送風機27の起動後に開くことで、外気温度Tamが前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、冷媒回路Rの高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機2の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。特に、この場合の起動モード3では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き(発熱手段を起動)、電磁弁69を開くのと同時、又は、その直後に圧縮機2を起動すると共に、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、冷媒回路Rの高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0134】
(9−4)もう一つの起動モード1(実施例2)
図11のタイミングチャートは、この実施例のもう一つの起動モード1の起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。その途中、冷媒回路Rの高圧側圧力(実施例では放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力Pci)が所定圧力P1以上となった時点で、コントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0135】
一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図11に破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これがこの場合の発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。これによっても、外気温度Tamが極めて低い環境下で、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することが可能となる。
【0136】
(9−5)もう一つの起動モード2(実施例2)
次に、図12のタイミングチャートは、この実施例のもう一つの起動モード2の起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。この圧縮機2の起動と同時、又は、その直後にコントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0137】
一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図12に細破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これが発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。
【0138】
そして、コントローラ32はこの熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合(実線)、又は、冷媒回路Rの高圧側圧力が所定圧力P1以上となった場合(太破線)、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。これによっても、室内送風機27をより早く起動し、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0139】
(9−6)もう一つの起動モード3(実施例2)
次に、図13のタイミングチャートは、この実施例のもう一つの起動モード3の起動パターンを示している。この実施例の場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。一方、自動車の起動(IGN ON)と共にエンジンENGの冷却水である熱媒体の温度も上昇していくが(図13に細破線で示す)、コントローラ32は当初電磁弁69を閉じているので、熱媒体−空気熱交換器64には熱媒体(冷却水)は循環されず、その温度に変化は無い。そして、コントローラ32は室内送風機27の起動後、その風量が所定の低い値Qblw1となった時点で電磁弁69を開き、温度が上昇した熱媒体(冷却水)を熱媒体−空気熱交換器64に循環させ始める。これが発熱手段の起動となる。エンジンENGで温度上昇した熱媒体(冷却水)が熱媒体−空気熱交換器64に循環されるので、熱媒体−空気熱交換器64の温度は上昇していく。
【0140】
一方、電磁弁69を開くのと同時に、又は、その直後にコントローラ32は圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。そして、コントローラ32は熱媒体−空気熱交換器64の温度が所定値Thtr1より高くなった場合(実線)、又は、冷媒回路Rの高圧側圧力が所定圧力P1以上となった場合(太破線)、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。これによっても外気温度Tamが第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境下において、冷媒回路Rの高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機2の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになると共に、冷媒回路Rの高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【実施例3】
【0141】
次に、図14図17を参照して本発明のもう一つの他の実施例を説明する。図14はこの場合の車両用空気調和装置1の構成図であり、図1と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。前述した実施例(実施例1)では、発熱手段を熱媒体循環回路61により構成したが、この場合は電気ヒータ(PTCヒータ)71により発熱手段を構成し、空気流通路3において放熱器4に対し、流通空気の上流側に設ける。他の構成並びに図3の制御フローチャートは前記実施例と同様であり、この場合も起動モード1〜3が選択して実行される。但し、図3のフローチャートのステップS7はこの場合は後述するように電気ヒータ71の通電開始となる。
【0142】
次に、図15図17を用いてこの実施例の場合の各起動モードについて詳細に説明する。
(10−1)起動モード1(実施例3)
図15のタイミングチャートは、この場合の起動モード1の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。その途中、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、コントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0143】
一方、コントローラ32は室内送風機27の起動直後、又は、その起動後に電気ヒータ71に通電を開始する(起動)。これにより、電気ヒータ71の温度は上昇していき、コントローラ32はその通電率を制御して、最終的に電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADとする。また、コントローラ32は圧縮機2の回転数NCが目標圧縮機回転数TGNCに到達した場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0144】
このように、外気温度Tamが低い第1の低外気温環境である場合、圧縮機2を室内送風機27より先に起動すると共に、電気ヒータ71を室内送風機27の起動直後、又は、起動後に起動することにより、外気温度Tamが極めて低い環境下で、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。特に、この場合の起動モード1では、圧縮機2を起動した後、圧縮機2の回転数が所定回転数Nec1以上となった時点で室内送風機27を起動し、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、圧縮機2の回転数NCが目標回転数TGNCとなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上昇を促進し、電気ヒータ71の温度上昇も促進して、放熱器4と電気ヒータ71の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0145】
また、この実施例のように空気流通路3に設けられて車室内に供給される空気を加熱する電気ヒータ71により発熱手段を構成すれば、構造を簡素化することができる。
【0146】
(10−2)起動モード2(実施例3)
次に、図16のタイミングチャートは、この場合の起動モード2の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。この圧縮機2の起動直後、又は、その起動後にコントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0147】
一方、コントローラ32は圧縮機2の起動後、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、電気ヒータ71に通電を開始する(起動)。これにより、電気ヒータ71の温度は上昇していき、最終的にコントローラ32は電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADに制御する。また、コントローラ32は圧縮機2の回転数NCが目標圧縮機回転数TGNCに到達した場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0148】
このように、外気温度Tamが前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2の起動直後、又は、その起動後に起動すると共に、電気ヒータ71を室内送風機27の起動後に起動することで、外気温度Tamが前述した第1の低外気温環境よりも高く、冷媒回路Rの高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機27をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。特に、この場合の起動モード2では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、圧縮機2の回転数が所定回転数Nec1以上となった時点で電気ヒータ71を起動し、圧縮機2の回転数NCが目標回転数TGNCとなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0149】
(10−3)起動モード3(実施例3)
次に、図17のタイミングチャートは、この場合の起動モード3の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。また、この室内送風機27の起動直後、又は、起動後に電気ヒータ71に通電を開始する(起動)。これにより、電気ヒータ71の温度は上昇していき、最終的にコントローラ32は電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADに制御する。
【0150】
一方、コントローラ32は室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。そして、コントローラ32は圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0151】
このように、外気温度Tamが前記第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、室内送風機27を圧縮機2より先に起動すると共に、電気ヒータ71を室内送風機27の起動直後、又は、その起動後に起動することで、外気温度Tamが前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、冷媒回路Rの高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機2の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。特に、この場合の起動モード3では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動すると共に、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【実施例4】
【0152】
次に、図18図21を参照して本発明の更にもう一つの他の実施例を説明する。図18はこの場合の車両用空気調和装置1の構成図であり、図14と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。前述した実施例(実施例3)では、発熱手段としての電気ヒータ(PTCヒータ)71を、空気流通路3において放熱器4に対し、流通空気の上流側に設けたが、この実施例(実施例4)では、放熱器4に対して空気流通路3を流通する空気の下流側に電気ヒータ(PTCヒータ)71を設けている。
【0153】
他の構成並びに図3の制御フローチャートは前記実施例と同様であり(ステップS7はこの場合は電気ヒータ71への通電開始)、この場合も起動モード1〜3が選択して実行されるが、電気ヒータ71が放熱器4の空気下流側にあることにより、室内送風機27の停止/運転に拘わらず、電気ヒータ71が発熱してもその熱は放熱器4に伝わらないものとする。尚、発熱手段としては実施例の電気ヒータ(PTCヒータ)71に限らず、前述した実施例の熱媒体循環回路61(実施例1)やエンジンENGの冷却水を熱媒体とした発熱手段(実施例2)を設けて、それらの熱媒体−空気熱交換器64を放熱器4の空気下流側に設けた構造でも良い。
【0154】
次に、図19図21を用いてこの実施例の場合の各起動モードについて詳細に説明する。
(11−1)起動モード1(実施例4)
図19のタイミングチャートは、この場合の起動モード1の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。また、圧縮機2の起動と同時にコントローラ32は電気ヒータ71にも通電を開始する(起動)。これにより、電気ヒータ71の温度は上昇していき、最終的にコントローラ32は電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADに制御する。
【0155】
一方、圧縮機2の起動後、その回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、コントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。そして、圧縮機2の回転数NCが目標圧縮機回転数TGNCに到達した場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0156】
このように、電気ヒータ(発熱手段)71を放熱器4に対して空気流通路3を流通する空気の下流側に配置したときは、室内送風機27を起動しても電気ヒータ71が発生した熱が放熱器4に伝達されることは無いが、外気温度Tamが低い第1の低外気温環境である場合、圧縮機2及び電気ヒータ71を室内送風機27より先に起動することにより、外気温度Tamが極めて低い環境下で、圧縮機2の高圧側圧力の上昇と電気ヒータ27の温度の上昇の双方を促進し、暖房能力を迅速に立ち上げることが可能となる。特に、この場合の起動モード1では、圧縮機2を起動した後、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で室内送風機27を起動し、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、圧縮機2の回転数NCが目標回転数TGNCとなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上昇を促進し、電気ヒータ71の温度上昇も促進して、放熱器4と電気ヒータ71の暖房能力を迅速に立ち上げ、快適な車室内暖房を実現することができるようになる。
【0157】
(11−2)起動モード2(実施例4)
次に、図20のタイミングチャートは、この場合の起動モード2の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。この圧縮機2の起動直後、又は、その起動後にコントローラ32は室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。
【0158】
また、コントローラ32は室内送風機27の起動と同時に電気ヒータ71を起動し、電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADに制御する。そして、圧縮機2の回転数NCが目標圧縮機回転数TGNCに到達した場合、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0159】
このように、外気温度Tamが前記第1の低外気温環境よりも高い第2の低外気温環境である場合は、室内送風機27及び電気ヒータ71を圧縮機2の起動直後、又は、その起動後に起動することで、外気温度Tamが前述した第1の低外気温環境よりも高く、高圧側圧力の上昇が第1の低外気温環境の場合に比して遅くならない場合は、室内送風機27をより早く起動し、車室内暖房の立ち上げを早めることができるようになる。特に、この場合の起動パターン2では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御すると共に、圧縮機2の回転数NCが目標回転数TGNCとなった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上昇を促進し、車室内暖房の立ち上げを効果的に早めることができるようになる。
【0160】
(11−3)起動モード3(実施例4)
次に、図21のタイミングチャートは、この場合の起動モード3の具体的な起動パターンを示している。この場合、コントローラ32は自動車が起動(IGN ON)されると、先ず室内送風機27を起動し、ブロワ電圧BLVを上昇させて、その風量が所定の低い値Qblw1となるように制御する。また、この室内送風機27の起動直後、又は、起動後に電気ヒータ71に通電を開始する(起動)。これにより、電気ヒータ71の温度は上昇していき、最終的にコントローラ32は電気ヒータ71の温度を所定の目標値TGADに制御する。
【0161】
一方、コントローラ32は室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動し、前述した目標圧縮機回転数TGNCに向けて回転数NCを上昇させていく。そして、コントローラ32は圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった時点で、所定時間t1をかけて室内送風機27の風量が目標値となる目標ブロワ電圧TGBLVに到達するように室内送風機27のブロワ電圧BLVを増大させる。
【0162】
このように、外気温度Tamが前記第2の低外気温環境よりも更に高い第3の低外気温環境である場合は、電気ヒータ71及び圧縮機2を室内送風機27の起動直後、又は、室内送風機27の起動後に起動することで、外気温度Tamが前述した第2の低外気温環境よりも更に高い環境下において、高圧側圧力が早期に上昇して圧縮機2の停止等が発生する不都合を未然に回避し、車室内暖房を円滑に開始することができるようになる。特に、この場合の起動パターン3では、室内送風機27を起動した後、室内送風機27の風量が所定の低い値Qblw1となった時点で圧縮機2を起動すると共に、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となるまでは室内送風機27の風量を所定の低い値Qblw1に制御し、圧縮機2の回転数NCが所定回転数Nec1以上となった場合、室内送風機27の風量を目標値まで増大させるので、高圧側圧力の上がり過ぎによる不都合を回避しながら、迅速且つ円滑な車室内暖房の立ち上げを行うことができるようになる。
【0163】
尚、実施例では暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モードの各運転モードを切り換えて実行する車両用空気調和装置1について本発明を適用したが、それに限らず、暖房モードのみ行うものにも本発明は有効である。また、上記実施例で説明した冷媒回路Rの構成や各数値はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0164】
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
11 蒸発能力制御弁
17、20、21、22、69 電磁弁
26 吸込切換ダンパ
27 室内送風機(ブロワファン)
28 エアミックスダンパ
30 インジェクション膨張弁
32 コントローラ(制御手段)
35 吐出側熱交換器
40 インジェクション回路
61 熱媒体循環回路(発熱手段)
63 熱媒体加熱電気ヒータ
64 熱媒体−空気熱交換器
71 電気ヒータ(発熱手段)
ENG エンジン
R 冷媒回路
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