(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207960
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】信号機表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-213179(P2013-213179)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2015-76016(P2015-76016A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】505050382
【氏名又は名称】東京カートグラフィック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】木之下 章
【審査官】
吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−066059(JP,A)
【文献】
特開昭52−034697(JP,A)
【文献】
特開2014−174016(JP,A)
【文献】
特開2001−208556(JP,A)
【文献】
特開2011−096281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
B60K 35/00 − 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面において交通モニタリング及び交通シミュレーションを行うための信号機表示装置であって、
前記表示装置は、基礎情報記憶部と基礎情報処理部と、信号機現示情報処理部とを備え、
前記基礎情報記憶部は、地図データから交差点情報、信号機の設置情報を取得して記憶すると共に、交差点毎の識別番号を記憶し、
前記基礎情報処理部は、前記基礎情報記憶部に記憶された交差点情報と信号機設置情報に基づき交差点毎の信号現示表示フレームを生成して、前記識別番号を付して記憶し、
前記信号現示表示フレームは交差点の中心を中心とした閉じた輪郭であって、この輪郭内は、交差点における道路の接続状況に対応して複数のエリアに分割されたものとし、
前記信号機現示処理部は、信号機の現示データを取得してこれを対応するエリアに色彩で表示するようにした、信号機表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交通モニタリング及び交通シミュレーション(以下まとめて「交通シミュレーション」という。)のための表示装置において、信号機現示状況をより視認しやすく表示するための、信号機表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通シミュレーション装置は種々提案されているが、信号機の現示状況を視認しやすくするための提案はなされていない。
例えば、特開2001−208556号における信号機の表示は、道路に設置されている信号機と同様に表示するようにしたフレームを、現実に設置されている位置に表示するものであり、特開2011−96281号においても、信号機情報の具体的な表示方法についての提案はない。
そして、実用化されている装置においても、信号の現示表示に格別の工夫がなされたものは、発明者の知る限り存在しない。
【特許文献1】特開2001−208556号公報
【特許文献2】特開2011−96281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、現実に設置されている信号機と同じ表示のフレームを、現実の信号機の設置位置に表示する場合、十字の交差点であれば4つのフレームが表示され、4つのフレームの表示内容を確認しなければ交差点での車両の許容進行経路を理解することができない。
他方、交通シミュレーションにおいては一定の範囲(例えば数キロ四方)の交通状況が表示される表示画面の全体を観察しつつ、交通状況を把握する必要がある。そのためには各交差点の信号機の現示状況を直感的に把握することが要求される。
しかしながら、従来の表示方法はこのような要求に応えきれていない
【0004】
この発明は、交通シミュレーション装置の表示パネルに表示される信号の現示を、1つの交差点において1つのフレームを見ることで理解できるようにし、交通シミュレーションの効率化を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の交通シミュレーションにおける信号機表示装置は、交差点おける現実の信号機の設置位置や数とは無関係に、全ての交差点において、一つのフレームで信号の現示状況を表示するものである。
【0006】
この発明の信号機表示装置は以下のように構成する。
この信号機表示装置は、基礎情報記憶部と基礎情報処理部と、信号機現示情報処理部とを備えている。
【0007】
前記基礎情報記憶部は、地図データから交差点情報、信号機の設置情報を取得して記憶すると共に、交差点毎の識別番号を記憶するものである。
前記交差点情報には、交差点毎に、その交差点で何本の道路が、どのような角度で接続しているかという情報を含み、必要により接続する道路の幅員情報を含むものとする。これらの情報は交差点毎の識別番号のもとに記憶する。
前記信号機の設置情報は、交差点毎に、信号機の設置位置、各信号機が接続するどの道路の通行車両を対象としたものであるかの情報を含む。そして、これらの情報は前記交差点毎の識別番号と紐付けて記憶する。
【0008】
前記基礎情報処理部は、前記基礎情報記憶部に記憶された交差点情報と信号機設置情報に基づき交差点毎の信号現示表示フレームを生成して、前記交差点毎の識別番号を付して記憶する。
【0009】
前記信号現示表示フレームは交差点の中心を中心とした閉じた輪郭であって、このフレーム内は、交差点における道路の接続状況に対応して複数のエリアに分割されたものとする。
前記フレームとなる「閉じた輪郭」とは、円輪郭、三角形や四角形などの多角形が一般的であるが、「閉じた輪郭」であれば具体的な形状は問わない。この「閉じた輪郭」であるフレーム内は交差点が三叉路であれば三分割、十字路であれば四分割というように、複数のエリアに分割する。分割線は、多くの場合中心を基点とした線とすることにより視認しやすいフレームを構成できるが、
図3のT字路のケースのように、中心を通らない線での分割としてもよい。道路の接続状況により、分割されたエリアは、等分の場合もあれば異なる場合もある。
交差点毎に生成される各フレームは、前記交差点の識別番号と同じ識別番号で管理し、各フレームに生成される複数のエリアは、エリア毎に前記信号機の設置情報と紐付けて管理される。
【0010】
前記信号機現示処理部は、信号機の現示データを取得してこれを対応するエリアに色彩で表示するようにする。
以上により、各交差点の信号現示状況を一つのフレームに表示することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、交差点における道路の接続情報に基づいてフレームを分割し、一つのフレームで交差点の信号現示状況を表示することができる。したがって、交通シミュレーションの表示画面において、多数の交差点の現示状況を即座に理解することができ、シミュレーション作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[基礎情報記憶部]
デジタル地図データ(
図1参照)から交差点を抽出し、各交差点に識別番号を付与する。なお、信号機のない交差点はこのシステムにおける処理の対象ではないので、抽出する必要も識別番号を付与する必要もない。他方、交差点でなくとも歩行者用に横断歩道に信号が設置されている場合は、対象に含めることが好ましい。
また、交差点と交差点を結ぶ道路は、交通の向き(上下線)ごとに識別番号を付与する。このとき交差点でなくとも信号機が設置されている箇所も交差点と同様に道路線分を分割する。
交差点と道路の接続状況は、交差点の座標値と道路端点の座標値を一致させることで認識可能なようにする。
以下代表的な交差点である十字路を例として説明する。
【0014】
交差点に識別番号(P10、交差点を示す識別子Pと固有番号とで構成する。)を付与し、道路の接続情報から当該交差点に進入してくる道路の識別番号(L1,L4,L6,L7、道路を示す識別子Lと固有番号とで構成する。)を取得する。また、接続する道路の隣接するする道路間の接続角度を実数で取得する。交差点P10では全て90度であり、T字路である交差点P11では90度と180度である。併せて信号機の位置情報を取得して信号機の識別番号(S10-1ないしS10-4、信号機を示す識別子Sと交差点の固有番号の枝番とで構成する。)を付与する。
これらの情報をシステムの基礎情報記憶部に記憶する。
【0015】
[基礎情報処理部]
基礎情報処理部において、基礎情報に基づいて信号現示表示のためのフレームFを、交差点毎に生成する。
フレームFは、
図2に示すような円輪郭の場合は、全ての交差点に共通して使用することができるので、輪郭データは予め用意しておくことができる。
各フレームには対応する交差点と同じ識別番号を付与する。交差点P10に対応するフレームであれば識別番号はF10(フレームを示す識別子Fと、対応する交差点と同じ固有番号とで構成する。)とする。
次いで、各フレームについて、その識別番号に基づいて交差点の基礎情報を呼び出し、道路の接続情報、接続角度情報に基づいて、フレームを複数の扇形のエリアに分割し、それぞれにフレーム内信号機の識別番号(F10-1,F10-2,F10-3,F10-4、各フレームの識別番号の枝番とで構成する。)を付与する。分割においては、各エリアが接続する道路に向けて開くようにする。フレームF10に進入する道路に対応する実世界での信号機の識別番号とフレーム内信号機の識別番号とを1対1に対応付ける。
交差点P10において、道路L1を走行する車両を対象とする実世界での信号機の識別番号はS10-1である。フレームF10において道路L1に対応するフレーム内信号機の識別番号はF10-1となる。同様に道路L4を対象とする信号機S10-2に対してF10-2、道路L6に関してS10-3とF10-3、道路L7に関してS10-4とF10-4となる。
【0016】
[信号機現示情報処理部]
信号機現示情報処理部では、基礎情報処理部において生成された、複数のエリアに分割されたフレームに、信号機の現示情報を表示する。
シミュレーション画面を立ち上げると、表示される地図データの交差点に、各交差点の識別番号と同じ識別番号を保持するフレームが表示されるようにシステムを構築する。
交差点での信号の現示状況は別のシステムから取得する。各信号機には識別番号が付与されているので、現示状況の情報は信号機の識別番号に反映される。反映されたデータが、同じ識別番号で管理されているエリアに反映され、青色現示」に対応するエリアが青色に表示される。
例えば、交差点P10において信号機S10-1が青色現示であれば、フレームF10のエリアF10-1が青色に表示される。
【0017】
図3はフレームの輪郭を円以外の形状としたものである。フレームの輪郭を円形以外とすることにより、道路の接続状況をフレームの輪郭形状に反映させることができ、道路の接続状況を認識しやすくなる。また、歩行者用の信号機に対応するフレームの形状を他と顕著に相違するものとすることにより、歩行者用の信号を判別しやすくなる。
【0018】
この発明によれば、交差点毎の信号機の現示情報を一つのフレームによって認識することができる。また、交差点毎に一つのフレームを配置するものであるから、複数の信号機毎に信号機情報を表示している従来の表示よりも、大きなフレームで表示することができる。
したがって、交差点における信号機の現示状況を瞬時に認識することができ、シミュレーション作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0019】
P10 交差点
S10-1 実世界での信号機
F10 フレーム
F10-1 フレームの信号機
L1 道路