(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、開口枠は建築現場にて外壁下地に後付されることが一般的であり、開口枠及び外壁下地に固定孔を形成する作業を建築現場にて行うことが想定される。ここで、建築現場にて施工作業を行っている作業者に常に冶具を携帯させることは困難であり、携帯していない場合に冶具を使用せずに固定孔の形成作業を行ってしまうことが懸念される。この場合、固定具が予定位置からずれるという事態が生じやすくなり、その結果、外壁下地に対する開口枠の固定部分において、止水部材に対する固定具の位置がずれて雨水等が浸入するという不都合が発生してしまう。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、開口枠を外壁下地に取り付ける際の作業効率及び作業精度を好適に高めることができる建物の開口枠取付構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
第1の発明の建物の開口枠取付構造は、外壁面材(外壁面材21)及び外壁下地(外壁下地22)を有する建物外壁(外壁11)に開口部(窓部12)が形成され、該開口部に設けられた開口枠(サッシ枠24、シャッタ枠32)が前記外壁下地に取り付けられている建物(建物10)の開口枠取付構造であって、前記外壁下地と前記開口枠との間には、それら外壁下地と開口枠との固定部分を通じて屋内側に水が浸入することを阻止する止水部材(止水部材28)が前記開口枠に沿って延びるように設けられており、前記外壁下地は、前記止水部材が密着している密着面(密着面46)を有しており、前記開口枠は、前記密着面に対向し、且つ前記止水部材を前記密着面に向けて押し付けている押し付け部(押し付け部51)を有しており、所定の固定具(固定具45)が前記押し付け部及び前記止水部材を貫通して前記外壁下地に打ち込まれていることで前記外壁下地に固定されており、前記開口枠においては、前記固定具を通すための固定孔が前記押し付け部、前記止水部材及び前記外壁下地にドリル(ドリルD)を用いて屋外側からまとめて形成される場合に、前記ドリルが前記密着面からはみ出さない向きを案内方向(固定具軸線Xが延びる方向)として該ドリルを前記押し付け部まで案内する案内部材(案内部材61)が、前記押し付け部を挟んで前記密着面の反対側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、開口枠に案内部材が設けられているため、ドリルを用いて開口枠及び外壁下地に固定孔を形成する場合に、専用の冶具を使用しなくても、ドリルの進行方向を適正に案内することができる。このため、固定孔を形成するたびに冶具を使用するという手間がなくなり、外壁下地に開口枠を固定する際の作業負担を低減できる。なお、開口枠を外壁下地に位置合わせした状態で、ドリルを用いてこれら開口枠及び外壁下地にまとめて固定孔を形成することで、開口枠の固定孔と外壁下地の固定孔とが相対的に位置ずれするということを抑制できる。
【0010】
しかも、案内部材を開口枠に合わせた態様で設置することが容易になるため、止水部材が外壁下地に密着している部分からはみ出さない位置にドリルを確実に案内することができる。したがって、開口枠と外壁下地との間に挟まった状態で設けられた止水部材の位置を目視で確認できない場合であっても、外壁下地について止水部材が雨水等の浸入を阻止できる位置に固定孔を配置できる。
【0011】
以上により、開口枠を外壁下地に取り付ける際の作業効率及び作業精度を好適に高めることができる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記案内部材は、前記固定具の外周面に沿って前記案内方向に延びた案内面(案内面63)を有している。
【0013】
第2の発明によれば、案内面が案内方向に沿って延びているため、ドリルが案内面に沿って延びた状態で押し付け部への孔あけ作業を行うことができる。この場合、回転中のドリルが案内面に接触したとしても、ドリルの外周面と案内面とが面当たりすることになるため、ドリルにより案内面が削れてしまうということを抑制できる。
【0014】
第3の発明では、第2の発明において、前記案内部材による前記案内方向は、前記押し付け部における前記止水部材とは反対側の面に直交する方向に対して傾斜しており、前記案内面は、前記押し付け部の前記反対側の面と前記案内方向との間の角度が最も大きい側に少なくとも配置されている。
【0015】
ドリルの進行方向が押し付け部の屋外側面(止水部材とは反対側の面)に対して直交していない場合、ドリルの先端が向いている側に向けて、その先端が押し付け部の屋外側面に沿って滑りやすいと考えられる。この場合、押し付け部についての孔あけ位置がずれることになる。
【0016】
これに対して、第3の発明によれば、ドリルの径方向において、そのドリルの先端が向いている側に案内部材の案内面が配置されているため、ドリルの外周面が案内面に当接することで、ドリルの先端が押し付け部の屋外側面に沿って滑ることを規制できる。これにより、押し付け部に対してドリルの向きが直交していない構成でも、押し付け部についての孔あけ位置がずれることを抑制できる。
【0017】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、前記開口枠は、前記押し付け部から前記止水部材とは反対側において、前記固定具を挟んで前記案内部材に向かい合っている向かい合い部(上側のシャッタ延出部36a)を有しており、前記案内部材においては、前記向かい合い部に向かい合っている面が前記案内面とされている。
【0018】
第4の発明によれば、案内部材と向かい合い部との間にドリルが挿し入れられるため、ドリルの先端位置が案内部材とは反対側にずれることを抑制できる。
【0019】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記開口枠は、前記止水部材から前記押し付け部とは反対側に離間した位置に設けられ、前記押し付け部に対向している対向部(対向部35)を有しており、前記対向部には、前記ドリルを前記押し付け部側に挿入することが可能な挿入孔(貫通孔35a)が設けられており、前記案内部材は、前記対向部と前記押し付け部との離間部分に設けられている。
【0020】
第5の発明によれば、対向部により案内部材を屋外側から覆い隠すことができる。したがって、開口枠の外観が案内部材により損なわれるということを回避できる。
【0021】
しかしながら、開口枠が押し付け部の屋外側に配置された対向部を有している場合、対向部に挿入孔が形成されていても、その挿入孔にドリルを差し込むことで挿入孔から対向部の奥側(押し付け部側)を覗くことができない。このため、押し付け部についてドリルの孔あけ位置を目視で確認することが困難になり、押し付け部に対する孔あけ位置がずれることが懸念される。
【0022】
これに対して、案内部材が対向部と押し付け部との間に設けられているため、押し付け部についてドリルの孔あけ位置を目視で確認できなくても、その孔あけ位置がずれることを抑制できる。しかも、対向部には挿入孔が設けられているため、回転させていない状態のドリルを挿入孔に挿し入れることで、案内部材にドリルで孔をあけてしまうということを回避できる。
【0023】
第6の発明では、第5の発明において、前記案内部材は、前記固定具とは反対側に向けて凹み、前記案内方向に沿って延びている案内溝部(案内溝部62)を有しており、前記固定具は、当該固定具の頭部(頭部45a)が前記対向部の屋外側面に引っ掛かった状態で、前記案内溝部内に入り込んだ状態で設けられている。
【0024】
第6の発明によれば、ドリルが案内溝部の溝内に入り込んだ状態になることで、ドリルの先端位置がずれることを案内溝部により3方向から規制できる。これにより、押し付け部について固定孔を適正な位置により確実に形成することができる。
【0025】
第7の発明では、第5又は第6の発明において、前記開口枠は、前記押し付け部を有し、前記外壁下地に取り付けられたサッシ枠(サッシ枠24)と、前記対向部を有し、前記サッシ枠に取り付けられた付属枠(シャッタ枠32)とを有しており、前記固定具は、前記対向部及び前記押し付け部を貫通して前記外壁下地に打ち込まれていることで、前記付属枠及び前記外壁下地の両方を前記外壁下地に固定している。
【0026】
第7の発明によれば、開口枠においては、押し付け部を有するサッシ枠と対向部を有する付属枠とが組み付けられているため、サッシ枠と付属枠とを組み付ける前の段階で、押し付け部と対向部との間に案内部材を配置することで、案内部材を開口枠に対して設置することが容易になる。しかも、1つの固定具により、サッシ枠及び付属枠の両方を外壁下地に取り付けることが、サッシ枠と付属枠とを互いに固定することにもなるため、サッシ枠及び付属枠の両方に固定孔をまとめて形成する作業も含めて、開口枠を外壁下地に固定する際の作業負担を低減できる。
【0027】
第8の発明では、第7の発明において、前記付属枠は、前記対向部から前記サッシ枠に向けて延びている一対の付属延出部(シャッタ延出部36a,36b)を有しており、前記案内部材は、前記一対の付属延出部により形成された凹部(凹部36c)の内部に入り込んだ状態で設けられている。
【0028】
第8の発明によれば、案内部材を付属枠の凹部内に収納することで、その案内部材を付属枠に対して仮止めすることができる。この場合、付属枠をサッシ枠に組み付ける際に、案内部材が付属枠から離脱しないように手で押さえておくなどの必要がないため、サッシ枠に対する付属枠の組み付け作業を容易化できる。
【0029】
第9の発明では、第7又は第8の発明において、前記サッシ枠は、前記押し付け部から前記付属枠に向けて延びている一対のサッシ延出部(サッシ延出部26a,26b)を有しており、前記案内部材は、前記一対のサッシ延出部により形成された凹部(凹部26c)の内部に入り込んだ状態で設けられている。
【0030】
第9の発明によれば、案内部材をサッシ枠の凹部内に収納することで、その案内部をサッシ枠に対して仮止めすることができる。この場合、付属枠及びサッシ枠を外壁下地に組み付ける際に、案内部材がサッシ枠から離脱しないように手で押さえておくなどの必要がないため、外壁下地に対する付属枠及びサッシ枠の固定作業を容易化できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した実施の形態について説明する。本実施の形態は、建物外壁の窓部に開口枠が取り付けられた開口枠取付構造として具体化している。
図1は建物10の窓部12の周辺構造を示す概略図、
図2は外壁11からシャッタ装置13及びサッシ枠24を取り外した状態を示す概略図である。
【0033】
図1に示すように、建物10(詳しくは建物本体)は建物外壁としての外壁11を有しており、外壁11には開口部としての窓部12が設けられている。窓部12には、開口縁に沿うようにして取り付けられたサッシ枠24と窓部12を開閉する開閉体(詳しくはガラス戸)とを有する窓サッシ15が設けられている。窓サッシ15は、例えば建物本体の梁等によって保持されており、同窓サッシ15を囲むようにして外壁パネル14が配設されることで、窓部12を有する外壁11が構築されている。サッシ枠24は、上下方向に延びる一対の縦枠部と、それら縦枠部の上端同士を連結する上枠部と、それら縦枠部の下端同士を連結する下枠部25とを有している。なお、上枠部及び下枠部25を横枠部と称することもできる。
【0034】
外壁パネル14は、サイディングボード等の外壁面材21と、外壁面材21が取り付けられた外壁下地22とを有している。外壁下地22は、壁高さ方向に延びた縦フレーム材及び壁幅方向に延びた横フレーム材を含んで構成された下地フレームと、この下地フレームの屋外側面に重ねられた防水シート19とを有している。防水シート19は、シート状又は薄板状に形成されており、外壁下地22の屋外側面を形成している。
【0035】
外壁面材21は、外壁下地22の屋外側に配置されており、ビス等が外壁面材21を貫通して外壁下地22に打ち込まれていることで、外壁面材21が外壁下地22に固定されている。この場合、防水シート19は、外壁面材21と下地フレームとの間に挟まった状態になっており、ビス等は、外壁面材21に加えて防水シート19を貫通して下地フレームに打ち込まれていることになる。これにより、ビス等の打ち込み部分において、雨水等が外壁フレーム(例えば下枠部25)よりも屋内側に浸入しないようになっている。
【0036】
窓サッシ15は、サッシ枠24が外壁下地22に固定されることにより外壁パネル14に一体化されている。外壁下地22には、窓部12に沿って延びている窓沿い下地23が含まれており、サッシ枠24は窓沿い下地23に固定されている。窓沿い下地23においては、縦フレーム材又は横フレーム材の屋外側面に防水シート19が設けられており、縦フレーム材又は横フレーム材とサッシ枠24との間にも防水シート19が挟まった状態になっている。ここで、シャッタ枠32と外壁面材21とは、窓沿い下地23の屋外面に沿って並べて配置されており、それによって、防水シート19は、シャッタ枠32と外壁面材21との境界部を跨いだ状態になっている。
【0037】
なお、外壁11は屋内側の構成として内壁面材及び内壁フレームを有する内壁パネルを有しているが、
図1及び
図2では当該内壁パネルの図示を省略している。
【0038】
外壁11の屋外側には、上記シャッタ装置13が外壁11から張り出すようにして設けられている。シャッタ装置13は、昇降するシャッタカーテン31と、窓部12よりも上側に設けられシャッタカーテン31を収納するシャッタケースと、窓部12の周縁部(サッシ枠24)に沿って延びているシャッタ枠32とを有している。シャッタ枠32は、窓部12の左右両側に設けられシャッタカーテン31の昇降時に同シャッタカーテン31を案内するガイドレールと、窓部12よりも下側に設けられ閉位置に配置されたシャッタカーテン31の先端部分が挿入される下枠部材33とを有している。なお、
図1においては閉位置に配置されたシャッタカーテン31を2点鎖線によって例示している。
【0039】
本実施の形態では、窓サッシ15とシャッタ装置13とを別体とし、建物10の施工現場等にてシャッタ装置13の後付けを可能とすることにより、施工時の利便性の向上等が図られている。ここで、シャッタ装置13の取付構造、詳しくは外壁下地22に対するシャッタ枠32及びサッシ枠24の固定構造について説明する。当該固定構造は、サッシ枠24の下枠部25及びシャッタ枠32の下枠部材33が嵌合する嵌合構造と、ビス等の固定具45によりそれら両者を締結する締結構造とに大別される。なお、サッシ枠24及びシャッタ枠32が開口枠を構成しており、シャッタ枠32が付属枠に相当する。
【0040】
シャッタ枠32及びサッシ枠24は、固定具45により外壁下地22の窓沿い下地23にまとめて固定されている。シャッタ枠32は、窓沿い下地23の屋外側に配置され、サッシ枠24の一部がそれらシャッタ枠32と窓沿い下地23との間に窓部12側から入り込んでおり、固定具45は、シャッタ枠32とサッシ枠24とが壁厚み方向に重なっている部分を貫通して、窓沿い下地23に打ち込まれている。窓部12の下端部について説明すると、シャッタ枠32の下枠部材33と窓沿い下地23との間に、サッシ枠24の下枠部25の一部が上方から入り込んでおり、固定具45が下枠部材33及び下枠部25を貫通して窓沿い下地23の屋外側面に打ち込まれている。この場合、固定具45は壁厚み方向に延びている。
【0041】
窓沿い下地23の屋外側には止水部材28が設けられており、固定具45は、シャッタ枠32及びサッシ枠24に加えて止水部材28を貫通して窓沿い下地23に打ち込まれている。止水部材28は、ゴムや合成樹脂材料などにより弾性変形可能に形成された長尺部材であり、窓沿い下地23に沿って延びている。止水部材28は、サッシ枠24が窓沿い下地23に押し付けていることで窓沿い下地23の屋外側面に密着しており、窓沿い下地23は、止水部材28が密着した密着面46を有している。この場合、窓沿い下地23において固定具45が貫通した部分を止水部材28が屋外側から覆い隠しているため、雨水等が固定具45の表面を伝わって窓沿い下地23の屋内側に浸入するということが阻止されている。
【0042】
サッシ枠24は、止水部材28を窓沿い下地23の屋外面に押し付けている押し付け部51と、止水部材28の位置がずれることを規制する規制部52とを有しており、押し付け部51及び規制部52は、いずれも窓沿い下地23に沿って延びている。押し付け部51は、止水部材28を挟んで窓沿い下地23の屋外側に配置されており、規制部52は、押し付け部51を挟んで一対設けられている。これら規制部52は、止水部材28の短手方向に沿って並べられており、一方の規制部52は止水部材28よりも窓部12側に配置され、他方の規制部52は止水部材28を挟んで窓部12とは反対側に配置されている。この場合、押し付け部51及び一対の規制部52が、窓沿い下地23に向けて開放された凹溝を形成しており、その溝内に止水部材28が入り込んだ状態になっている。
【0043】
サッシ枠24においては、押し付け部51の屋外側面が鉛直方向に延びている。換言すれば、押し付け部51の屋外側面は、窓沿い下地23の幅方向に平行に延びている。これに対して、固定具45は水平方向に対して傾いている。この場合、固定具45は、押し付け部51の屋外側面に対して直交しておらず、その屋外側面に直交する方向に対して傾斜した固定具軸線Xに沿って延びている。下枠部材33及び下枠部25の固定部分においては、固定具45が、その先端側が下端となるように下方に向けて窓沿い下地23に打ち込まれた状態になっている。なお、押し付け部51の屋外側面は鉛直方向に延びており、固定具軸線Xは、水平方向に対して所定角度(例えば25度以下)だけ傾斜した方向に延びている。
【0044】
サッシ枠24及びシャッタ枠32は、固定具45により窓沿い下地23に固定されていない状態でも、窓沿い下地23に仮止めすることが可能になっている。この場合、固定具45を用いてサッシ枠24及びシャッタ枠32を窓沿い下地23に本固定する際に、サッシ枠24及びシャッタ枠32を手で押さえておく必要がないため、本固定の作業負担を低減できる。
【0045】
サッシ枠24は、窓部12の内周側(窓沿い下地23の内周側)に嵌合した状態で設けられている。このため、サッシ枠24を窓沿い下地23の内周側に嵌め込むことで、サッシ枠24を窓沿い下地23に対して仮止めしたことになる。
【0046】
シャッタ枠32の下枠部材33は、サッシ枠24に対して屋外側から対峙する略板状の対向部35を有している。対向部35において屋内側を向いている部分には、サッシ枠24側へと突出するシャッタ側嵌合部36が形成されており、サッシ枠24の下枠部を構成している部分(詳しくは上記ガラス戸用のガイド溝が形成されている部分よりも前方であって同ガイド溝よりも下側となる箇所)には、屋外側に開放されたサッシ側嵌合部26が形成されている。サッシ側嵌合部26へシャッタ側嵌合部36が押し込まれることにより両嵌合部26,36が嵌合し、サッシ枠24に対して下枠部材33が仮止めされる。
【0047】
下枠部材33をサッシ枠24に固定する際には嵌合構造によって下枠部材33が仮止めされることにより、下枠部材33及びサッシ枠24を窓沿い下地23に固定する際に下枠部材33がサッシ枠24から脱落するということを抑制できる。
【0048】
ここで、サッシ枠24においては、押し付け部51からシャッタ枠32側(窓沿い下地23とは反対側)に向けて一対のサッシ延出部26a,26bが延びており、これら押し付け部51及びサッシ延出部26a,26bがサッシ側嵌合部26を形成している。また、サッシ側嵌合部26においては、一対のサッシ延出部26a,26bがシャッタ枠32側に向けて開放された凹部26cを形成している。シャッタ枠32においては、対向部35からサッシ枠24側に向けてシャッタ延出部36a,36bが延びており、これら対向部35及びシャッタ延出部36a,36bがシャッタ側嵌合部36を形成している。また、シャッタ側嵌合部36においては、一対のシャッタ延出部36aがサッシ枠24側に向けて開放された凹部36cを形成している。
【0049】
サッシ側嵌合部26及びシャッタ側嵌合部36は、いずれも窓沿い下地23に沿って延びている。この場合、サッシ側嵌合部26の凹部26c及びシャッタ側嵌合部36の凹部36cも、窓沿い下地23に沿って延びていることになる。本実施形態では、シャッタ側嵌合部36がサッシ側嵌合部26の凹部26c内に入り込んだ状態になっている。なお、シャッタ延出部36aが付属延出部に相当する。また、シャッタ枠32の対向部35は、サッシ延出部26a及びシャッタ延出部36aを挟んで押し付け部51と対向している。
【0050】
対向部35は、板面が斜め上方を向くように傾斜しており、この対向部35には、固定具45を挿通させるための貫通孔35aが形成されている。また、サッシ枠24の押し付け部51において貫通孔35aの延長上となる部分には貫通孔51aが形成され、窓沿い下地23において貫通孔35aの延長上となる部分(密着面46を有する部分)には貫通孔23aが形成されている。これら貫通孔35a,51a,23aに、屋外側から固定具45が挿通されることにより、サッシ枠24、シャッタ枠32の下枠部材33、外壁パネル14の外壁下地22が一体化されている。この場合、貫通孔35a,51a,23aは、固定具軸線Xに沿って直線上に並んでおり、固定具45の頭部45aは、最も屋外側の貫通孔35aを通過せずに対向部35に引っ掛かった状態になっている。
【0051】
固定具45の挿通箇所について補足説明すると、当該固定具45は嵌合部26,36との干渉を回避しつつ凹部26c,36cによって囲まれた領域を通過している。つまり、固定具45は、対向部35、押し付け部51及び密着面46からはみ出さない状態でこれら対向部35、押し付け部51及び窓沿い下地23を貫通している。これにより、固定具45の軸部の露出が抑えられている。下枠部材33とサッシ枠24との境界部分については屋外側に突出した位置にあるが、上述の如く固定具45の軸部の露出を抑えることにより、同境界部分から浸入した水が軸部へ到達することを抑制している。
【0052】
一方、固定具45の頭部45aは屋外側に露出している。このため、固定具45に水が掛かった場合には、当該水が固定具45を伝って外壁11内に浸入し得るが、上述したように、固定具45が貫通した状態で止水部材28が設けられているため、上記水の浸入が止水部材28によって阻止される。
【0053】
上述の如く窓サッシ15とシャッタ装置13とを別体として窓沿い下地23に固定する場合、固定具45用の貫通孔35a,51a,23aを部品ごとに形成することにより以下の不都合が生じる。すなわち、製造誤差等によって各部材の貫通孔35a,51a、23aの位置関係にばらつきが生じることで、固定具45による固定が困難になったり、シャッタ装置13の位置がばらついたりする可能性が高くなる。この点、固定具45用の一連の貫通孔35a,51a,23aを、窓沿い下地23に対して下枠部材33とサッシ枠24とを組み合わせた状態で形成することで、上記各種不都合の発生を容易に回避できる。
【0054】
しかしながら、例えば孔あけ工具としてのドリルD(
図3参照)を用いて貫通孔35a,51a,23aを形成しようとした場合には、手元が少しでも狂うと、これら貫通孔35a,51a,23aが意図せぬ形状となったり、貫通孔35a,51a,23aが止水部材28から外れて防水機能が上手く作用しなくなったりすると想定される。特に、対向部35と止水部材28とが離れているため、仮に対向部35における貫通孔35aの形成位置が正常であっても、ドリルDの向きがばらつくことで止水部材28をとらえることが難しくなる。これらの事情等に配慮して、慎重にドリルDを扱おうとすれば作業効率が低下する。なお、ドリルDは、孔あけ工具のモータ等により回転する長尺部材であり、穿孔を可能とする刃を有している。
【0055】
本実施の形態においては、対向部35を貫通したドリルDの進行方向を案内する案内部材61が、シャッタ枠32の対向部35とサッシ枠24の押し付け部51との間に設けられていることで、上記各種不都合の発生を回避している。この案内部材61に係る構成が特徴的なものとなっているため、
図1〜
図4を参照して案内部材61及びそれに関連する構成について説明する。
図3は案内部材61とシャッタ枠32の下枠部材33との斜視図、
図4は案内部材61の斜視図である。
【0056】
図1〜
図4に示すように、案内部材61は、下枠部材33の凹部36c内に入り込んだ状態で設けられている。案内部材61は、金属材料や合成樹脂材料などにより長尺状に形成されており、シャッタ側嵌合部36に沿って延びている。
【0057】
シャッタ側嵌合部36の一対のシャッタ延出部36a,36bにおいては、延出先端側の端部同士の離間距離が延出基端側の端部同士の離間距離よりも小さくなっている。具体的には、下側のシャッタ延出部36bが水平方向に延出している一方で、上側のシャッタ延出部36aが斜め下方に向けて延びている。上側のシャッタ延出部36aは、延出先端側に向けて徐々に下側のシャッタ延出部36bに近付いている近付き部41と、下側のシャッタ延出部36bに平行に延びている平行部42とを有しており、平行部42が近付き部41よりも延出先端側に配置されている。壁厚み方向において、近付き部41の下面は固定具45と平行に延びている。
【0058】
案内部材61は、下側のシャッタ延出部36bの上に載せられており、上側のシャッタ延出部36aからは下方に離間している。案内部材61は、下側のシャッタ延出部36bの上面に接着剤やビス等により固定されている。壁厚み方向において、案内部材61の奥行き寸法は、下側のシャッタ延出部36bの延出寸法と同じ又はそれよりも若干小さくされており、案内部材61がシャッタ延出部36a,36bの延出先端側にはみ出さない状態で凹部36c内に収納されている。案内部材61は、対向部35と押し付け部51とに挟まれた状態になっており、それら対向部35及び押し付け部51に当接することで壁厚み方向への移動が規制されている。
【0059】
また、案内部材61においては、その対向部35側(シャッタ延出部36a,36bの延出基端側)の端部の高さ寸法が、一対のシャッタ延出部36a,36bの延出先端同士の離間距離よりも大きくされている。具体的には、上側のシャッタ延出部36aの近付き部41の下端部と下側のシャッタ延出部36bとの離間距離よりも大きくされている。これにより、案内部材61は、仮に下側のシャッタ延出部36bに固定されていなくても、壁厚み方向において凹部36cの開放側からは離脱しないようになっている。なお、シャッタ側嵌合部36の端部は、下枠部材33の長手方向に向けて開放された開放端とされており、案内部材61は、その開放端から挿し入れられることで凹部36c内に設けられている。
【0060】
案内部材61には、その上面が下方に向けて凹んだ案内溝部62が設けられている。案内溝部62は、案内部材61の短手方向(壁厚み方向)において固定具軸線Xに沿って延びており、案内溝部62の内周面は、固定具45の外周面に沿って延びる案内面63になっている。案内溝部62は、案内部材61の各長辺に達しており、案内溝部62の両端部は案内部材61の短手方向に開放されている。また、案内溝部62は、案内部材61の長手方向に沿って所定間隔で複数設けられている。固定具45は、上方から案内溝部62の内側に入り込んだ状態になっており、案内溝部62の案内面63は、固定具45の外周面に対向している。
【0061】
固定具45は、案内部材61と上側のシャッタ延出部36aとの間に挿通されている。案内部材61の案内面63と上側のシャッタ延出部36aとの離間距離は、固定具45の外径寸法よりも大きくなっており、固定具45を窓沿い下地23に羅着する場合に、案内部材61及びシャッタ延出部36aがその羅着の支障にならないようになっている。ここで、上側のシャッタ延出部36aは、固定具45を挟んで案内部材61に向かい合っている向かい合い部に相当する。
【0062】
ここで、下枠部材33の構造について、
図1を参照しつつ補足説明する。下枠部材33は、対向部35から屋外側へ突出した突出部37と、突出部37の先端部から上方に起立する水切り部38とを有している。水切り部38は突出部37を隔てて対向部35と対峙しており、下枠部材33は全体として上方に開放された溝状をなしている。
【0063】
シャッタカーテン31が閉じた状態では、外壁11の正面視にてシャッタカーテン31と水切り部38とが重なる構成となっており、シャッタ装置13の防火機能等の向上が図られている。しかしながら、このような機能の向上を目的として、水切り部38の起立量が嵩むことにより、水切り部38の上端が対向部35における貫通孔35a形成位置よりも上方に位置することとなり、ドリルDを水切り部38との干渉を回避するようにして斜めに向ける必要が生じる。これにより、固定具軸線Xが水平方向に対して傾斜することになる。
【0064】
ここで、
図1、
図5の概略図を参照してシャッタ枠32(詳しくは下枠部材33)及びサッシ枠24の取付作業の流れについて説明する。取付作業は
図5(a)→
図5(b)→
図5(c)→
図1の順に行われる。
図5は、シャッタ枠32及びサッシ枠24の取り付けて順を示す図。
【0065】
図5(a)に示すように、サッシ枠24を窓沿い下地23に仮止めし、シャッタ枠32の下枠部材33をサッシ枠24の下枠部25に仮止めする。下枠部材33をサッシ枠24に仮止めする場合には、先ずシャッタ側嵌合部36をサッシ側嵌合部26に差し込んで下枠部材33を仮固定する。これにより、下枠部材33を手で支える必要がなくなり両手が空き、両手でドリルDを用いた孔あけ作業を行うことができる。
【0066】
シャッタ枠32の対向部35には、あらかじめ貫通孔35aが形成されている。貫通孔35aは、下枠部材33の長手方向に沿って所定間隔で複数並べて配置されており、固定具軸線Xが延びている方向において、各貫通孔35aの奥側(押し付け部51側)には、案内部材61の案内溝部62がそれぞれ配置されている。貫通孔35aの内周面を、固定具軸線Xに沿って奥側に延長させた仮想延長面を想定した場合、案内溝部62の案内面63は、仮想延長面と同一面又はそれよりも内側(固定具軸線X側)にはみ出した位置にある。
【0067】
そして、
図5(b)に示すように、ドリルDを屋外側から対向部35の貫通孔35aに挿し入れ、そのドリルDが案内部材61の案内面63の上に載った状態にする。この場合、ドリルDの軸線が固定具軸線Xにほぼ一致し、案内溝部62が固定具軸線Xの延びる方向を案内方向としてドリルDの進行方向を案内することになる。この状態で、ドリルDを回転させ、そのドリルDの先端部を押し付け部51の屋外側面に押し当てることで貫通孔51aの形成作業を行う。なお、対向部35の貫通孔35aは、ドリルDが挿入される挿入孔に相当する。また、押し付け部51の貫通孔51a、窓沿い下地23の貫通孔23a及び止水部材28の貫通孔は、それぞれ固定孔に相当する。
【0068】
ところが、固定具軸線Xに沿って斜め下方を向いているドリルDが押し付け部51の屋外側面に直交せずに斜めに当たるため、ドリルDの先端位置が押し付け部51の屋外側面に沿って下方に滑ることが懸念される。ここで、押し付け部51の屋外側面と固定具軸線Xとが交差している部分においては、ドリルDの先端部が、押し付け部51の屋外側面と固定具軸線Xとの間の角度(交差角度)が最も大きい側(本実施形態では下方)に向けて滑ると想定される。これに対して、案内部材61の案内面63は、押し付け部51の屋外側面と固定具軸線Xとの間の角度が最も大きい側(下方)に存在しているため、案内部材61がドリルDを下方から支えることで、ドリルDの先端部が下方に向けて滑ることを規制できる。これにより、押し付け部51において、固定具軸線Xに一致しない位置に貫通孔51aを形成してしまうということを防止できる。この場合、案内部材61を、ドリルDの位置が固定具軸線Xからずれることを規制する規制部材と称することもできる。
【0069】
その後、
図5(c)に示すように、押し付け部51を貫通したドリルDを更に案内部材61の案内溝部62に沿って進行させることで、止水部材28を貫通して窓沿い下地23に貫通孔23aを形成することができる。その後、貫通孔35a,51a,23aからドリルDを抜き取り、貫通孔35a,51aを貫通させた状態の固定具45を貫通孔23aにねじ込む。これにより、
図1に示すように、サッシ枠24の取り付けが完了し、サッシ枠24、下枠部材33、外壁下地22が一体となる。
【0070】
なお、固定具45を用いて固定作業を行う場合、その固定具45を貫通孔35aに挿し入れた後は、対向部35の奥側を貫通孔35aを通じて視認することができないため、固定具45を貫通孔51aに挿し入れることが困難になることが想定される。これに対して、本実施形態では、ドリルDで貫通孔35a,51a,23aを形成した後に、案内部材61をシャッタ枠32から取り外さず、その案内部材61を固定具45の案内手段として利用する。この場合、固定具45を案内溝部62に沿って進行させることで、固定具軸線Xに沿って貫通孔51a,23aに容易に挿し入れることができる。
【0071】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0072】
案内部材61がシャッタ枠32に設けられているため、ドリルDを用いてサッシ枠24の押し付け部51及び窓沿い下地23に貫通孔51a,23aを形成する場合に、専用の冶具を使用しなくても、ドリルDの進行方向を適正に案内することができる。このため、ドリルDを用いて孔あけ作業を行うたびに冶具を使用するという手間がなくなり、窓沿い下地23にサッシ枠24及びシャッタ枠32を固定する際の作業負担を低減できる。
【0073】
しかも、サッシ枠24及びシャッタ枠32を窓沿い下地23に位置合わせするよりも前に、シャッタ枠32やサッシ枠24、止水部材28の形状や位置に合わせた態様で、案内部材61をあらかじめシャッタ枠32に取り付けておくことができるため、窓沿い下地23の密着面46からはみ出さない位置にドリルDを確実に案内することができる。したがって、シャッタ枠32と窓沿い下地23との間に挟まった状態で設けられた止水部材28の位置を目視で確認できない場合であっても、窓沿い下地23について止水部材28が雨水等の浸入を阻止できる位置に貫通孔51aを配置できる。
【0074】
以上により、サッシ枠24及びシャッタ枠32を窓沿い下地23に取り付ける際の作業効率及び作業精度を好適に高めることができる。
【0075】
シャッタ枠32において、案内部材61が対向部35の奥側に配置されているため、シャッタ枠32の外観が案内部材61により損なわれるということを回避できる。また、サッシ枠24の押し付け部51にドリルDで孔をあける場合に、対向部35に視線が遮られることで押し付け部51を目視で確認することができなくても、対向部35と押し付け部51との間においてドリルDの進行方向が案内部材61により案内されるため、押し付け部51に貫通孔51aを適正に形成することができる。しかも、対向部35の貫通孔35aがあらかじめ形成されているため、回転させていない状態のドリルDを貫通孔35aに挿し入れることで、案内部材61にドリルDで孔をあけてしまうということを回避できる。
【0076】
案内部材61の案内面63が固定具軸線Xに沿って延びているため、回転中のドリルDが案内面63に接触したとしても、ドリルDの外周面と案内面63とが面当たりすることになるため、ドリルDにより案内面63が削れてしまうということを抑制できる。
【0077】
固定具軸線Xが押し付け部51の屋外側面に対して直交していない構成において、固定具軸線Xが傾いた側とは反対側に案内部材61の案内面63が配置されているため、ドリルDの先端が押し付け部51の屋外側面に沿って滑ることを案内面63により規制できる。
【0078】
案内部材61と上側のシャッタ延出部36aとの間にドリルDが差し入れられるため、ドリルDの先端位置が案内部材61側(下側)及びシャッタ延出部36a側(上側)の両方にずれにくくなっている。
【0079】
案内部材61の案内溝部62の内周面が案内面とされているため、ドリルDが案内溝部62の溝内に入り込んだ状態になることで、ドリルDの先端位置がずれることを3方向から規制できる。
【0080】
固定具45が、その頭部45aがシャッタ枠32に引っ掛かった状態で、サッシ枠24を貫通して窓沿い下地23に打ち込まれているため、固定具45によりサッシ枠24及びシャッタ枠32の両方をまとめて窓沿い下地23に固定することができる。しかも、シャッタ枠32の貫通孔35aに合わせて、サッシ枠24の貫通孔51a及び窓沿い下地23の貫通孔23aをドリルDでまとめて形成できるため、これら貫通孔35a,51a,23aが直線上に並んでいないということを回避できる。つまり、固定具45の打ち込み作業を貫通孔35a,51a,23aを用いて適正に行うことができる。
【0081】
案内部材61がシャッタ側嵌合部36の凹部36c内に収納されているため、シャッタ枠32をサッシ枠24に仮止めする際に、案内部材61がシャッタ枠32から離脱しないように手で押さえておくなどの必要がない。これにより、シャッタ枠32及びサッシ枠24を窓沿い下地23に取り付ける際の作業負担を低減できる。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0083】
(1)上記実施形態では、案内部材61がシャッタ側嵌合部36の凹部36c内に設けられていたが、案内部材61は、シャッタ側嵌合部36の凹部36cからはみ出した状態で、サッシ側嵌合部26の凹部26c内に設けられていてもよい。
【0084】
例えば、
図6、
図7に示すように、案内部材61がシャッタ側嵌合部36に取り付けられた構成とする。この構成では、案内部材61が、シャッタ側嵌合部36の下側のシャッタ延出部36bを挟み込んでいる挟み込み部71を有しており、挟み込み部71は、窓沿い下地23とは反対側に向けて開放された開放部71aを有している。開放部71aは、シャッタ側嵌合部36の長手方向に沿って延びており、下側のシャッタ延出部36bが開放部71a内に嵌合されていることで、案内部材61はシャッタ側嵌合部36に固定されている。
【0085】
案内部材61は、案内面63を形成する案内板部72と、案内板部72を挟み込み部71に連結する連結板部73とを有しており、これら板部72,73は、いずれもシャッタ側嵌合部36の長手方向に沿って延びている。連結板部73は、挟み込み部71から上方に向けて延びており、案内板部72は、連結板部73の上端からシャッタ側嵌合部36の凹部36c内に向けて固定具軸線Xに沿って延びている。
【0086】
案内部材61には、案内溝部62が形成されていなくてもよい。例えば、案内板部72には案内溝部62が形成されておらず、案内板部72の上面全体が案内面63になっている。この場合でも、固定具軸線Xは、案内面63と上側のシャッタ延出部36aとの間に配置されており、ドリルDの進行方向を上下方向について案内板部72及び上側のシャッタ延出部36aが案内することができる。
【0087】
案内部材61は、複数の板部が組み合わされて構成されており、各板部により挟み込み部71、案内板部72及び連結板部73が形成されている。案内部材61は、アルミニウム等の金属板が折り曲げられることで形成されていてもよく、金属材料や合成樹脂材料が成型されることで形成されていてもよい。
【0088】
また、
図8、
図9に示すように、案内部材61がサッシ側嵌合部26に取り付けられた構成とする。この構成では、案内部材61が、サッシ側嵌合部26の押し付け部51に固定された固定板部81と、案内面63を形成する案内板部82と、下側のサッシ延出部26bに重ねられた重ね板部83とを有している。固定板部81は、押し付け部51の屋外側面に沿って延びており、ビス等により押し付け部51に固定されている。案内板部82は、固定板部81の一部が屋外側に向けて折り返されることで形成されており、それに伴って形成された開口84が固定板部81に設けられている。案内板部82は、シャッタ側嵌合部36の凹部36c内に向けて固定具軸線Xに沿って延びており、固定具軸線Xは、固定板部81の開口84を通っている。このため、ドリルDを用いて押し付け部51に貫通孔51aを形成する場合に、固定板部81に孔を形成する必要がない。
【0089】
重ね板部83は、固定板部81の下端部から下側のサッシ延出部26bの上面に沿って延びており、下側のサッシ延出部26bと下側のシャッタ延出部36bとの間に挟まった状態になっている。
【0090】
案内部材61は、サッシ側嵌合部26の長手方向に沿って所定間隔で複数並べて設けられている。各案内部材61は、それぞれの開口84が固定具軸線Xに沿って対向部35の貫通孔35aに並ぶ位置に配置されている。
【0091】
案内部材61がサッシ側嵌合部26の凹部26c内に収納されているため、サッシ枠24を窓沿い下地23に仮止めする際に、案内部材61がサッシ枠24から離脱しないように手で押さえておくなどの必要がない。これにより、シャッタ枠32及びサッシ枠24を窓沿い下地23に取り付ける際の作業負担を低減できる。
【0092】
(2)上記実施形態では、シャッタ枠32の対向部35に貫通孔35aがあらかじめ形成されている構成としたが、貫通孔35aも他の貫通孔51a,23aとまとめてドリルDにより形成する構成としてもよい。この場合でも、案内溝部62の位置を示す目印を対向部35に付けておくことにより、対向部35を貫通したドリルDが案内部材61に孔をあけてしまうということを回避できる。
【0093】
(3)上記実施形態では、案内部材61が固定具45の下側に配置されていたが、案内部材61は、固定具45の上側や側方に配置されていてもよい。換言すれば、案内部材61の案内面63は、押し付け部51の屋外側面と固定具軸線Xとの交差角度が最も大きい側ではない位置に配置されていてもよい。
【0094】
(4)上記実施形態では、案内部材61に案内溝部62が形成されていたが、案内部材61には、その案内部材61を固定具軸線Xに沿って貫通する案内孔が形成されていてもよい。例えば、案内部材61が一対のシャッタ延出部36a,36bの間に嵌め込まれた状態で設けられた構成とする。この構成では、案内孔の内周面の全てが案内面63になるため、ドリルDの進行方向が固定具軸線Xからずれることを確実に防止できる。
【0095】
(5)上記実施形態では、サッシ側嵌合部26の凹部26c内にシャッタ側嵌合部36が嵌合されていたが、シャッタ側嵌合部36の凹部36c内にサッシ側嵌合部26が嵌合されていてもよい。この場合でも、サッシ枠24の押し付け部51とシャッタ枠32の対向部35との間に案内部材61が配置されていればよい。
【0096】
(6)上記実施形態では、案内部材61を挟んで押し付け部51の反対側に対向部35が設けられているが、対向部35は設けられていなくてもよい。例えば、シャッタ側嵌合部36が、一対のシャッタ延出部36a,36bを連結する連結部を有しており、シャッタ延出部36a,36bが連結部から押し付け部51とは反対側に向けて延びている構成とする。この構成では、案内部材61が一対のシャッタ延出部36a,36bの間の隙間に配置されている。この場合、案内部材61が屋外側に露出することになるため、ドリルDを案内部材61の案内溝部62に沿わせた状態で押し付け部51に貫通孔51aを形成することが容易になる。
【0097】
(7)固定具軸線Xは、水平方向に対して傾斜しているのではなく、水平方向に延びていてもよい。
【0098】
(8)上記実施形態では、固定具45が窓沿い下地23の屋外側面に対して打ち込まれているが、固定具45は、窓沿い下地23の窓部12側の側面に対して打ち込まれていてもよい。
【0099】
例えば、固定具45が、窓沿い下地23の上面に対して打ち込まれた構成とする。この構成では、サッシ枠24の内周側にシャッタ枠32が入り込んでおり、固定具45がシャッタ枠32及びサッシ枠24を上下方向に貫通して窓沿い下地23に上方から打ち込まれている。止水部材28は、サッシ枠24と窓沿い下地23とで上下から挟まれた状態になっており、止水部材28が密着した密着面46は窓沿い下地23の内周面に配置されている。この場合でも、固定具45は、窓沿い下地23の密着面46からはみ出ない状態で配置されており、固定具軸線Xは上下方向に延びている。また、案内部材61は、シャッタ枠32の内周面側から窓部12の外側に向けて進行するドリルDの進行方向を案内することになる。
【0100】
(9)上記実施形態では、サッシ枠24及びシャッタ枠32により構成された開口枠の下枠部が外壁下地22に取り付けられた部分に案内部材61が設けられていたが、案内部材61は、開口枠の縦枠部や上枠部が外壁下地22に取り付けられた部分に設けられていてもよい。これにより、開口枠の縦枠部や上枠部においても、窓沿い下地23において止水部材28が密着した密着面46から固定具45がはみ出すことを防止できる。つまり、外壁下地22における固定具45の貫通部分を通じて雨水等が浸入するということを防止できる。
【0101】
(10)上記実施形態では、固定具45によりサッシ枠24とシャッタ枠32とが固定されていたが、サッシ枠24とシャッタ枠32とはあらかじめ固定されていてもよい。この構成では、固定具45が、その頭部45aがシャッタ枠32の対向部35に引っ掛かった状態で窓沿い下地23に打ち込まれているのではなく、頭部45aが対向部35の貫通孔35aを通過して押し付け部51に引っ掛かった状態で窓沿い下地23に打ち込まれていてもよい。
この場合でも、固定具45は、サッシ枠24とシャッタ枠32とが一体化された開口枠を外壁下地22に固定することになる。
【0102】
(11)上記実施形態では、サッシ枠24及びシャッタ枠32が開口枠を構成しているが、サッシ枠24及びシャッタ枠32のうち一方だけが開口枠を構成していてもよい。また、開口部は、窓部ではなく玄関口等の出入口とされていてもよく、この場合は、出入口枠やドア枠などが開口枠に含まれていることになる。