特許第6207976号(P6207976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207976
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】筒状体製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/20 20120101AFI20170925BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20170925BHJP
   B65B 51/26 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B65B9/20
   B65B51/10 M
   B65B51/26
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-230391(P2013-230391)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-141301(P2014-141301A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-283676(P2012-283676)
(32)【優先日】2012年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敏一
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01145956(EP,A1)
【文献】 実公昭45−012231(JP,Y1)
【文献】 独国特許出願公開第19726205(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00−9/24
B65B 51/26
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、
上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、
上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、
上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段と、
上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、
上記支持手段を支持する第2支持部材とを備え、
上記押圧手段は、
上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させており、
上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた第1引きバネと、上記縦シール手段のもう片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた第2引きバネとによって構成されていることを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項2】
連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、
上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、
上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、
上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段と、
上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、
上記支持手段を支持する第2支持部材とを備え、
上記押圧手段は、
上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させてており、
上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた引きバネであり、
上記縦シール手段のもう片側では、上記第1支持部材と上記第2支持部材とが接続されていることを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項3】
連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、
上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、
上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、
上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段と、
上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、
上記支持手段を支持する第2支持部材とを備え、
上記押圧手段は、
上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させており、
上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた引きバネであり、
上記縦シール手段のもう片側に、上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられたスライドをさらに備えていることを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項4】
連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、
上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、
上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、
上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段と、
上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、
上記支持手段を支持する第2支持部材と、
上記中心管の上部に位置し、上記第1支持部材が取り付けられた第3支持部材とを備え、
上記押圧手段は、
上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させており、
上記第1支持部材において上記第3支持部材に取り付けられている位置とは別の位置に一端が取り付けられ、上記第1支持部材と上記中心管との間の位置で上記第3支持部材に他端が取り付けられた引きバネであることを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項5】
連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、
上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、
上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、
上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段と、
上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、
上記支持手段を支持する第2支持部材と、
上記中心管の上部に位置し、上記第1支持部材が取り付けられた第3支持部材と、
上記第3支持部材に取り付けられ、上記第1支持部材と上記中心管との間に位置している第4支持部材とを備え、
上記押圧手段は、
上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させており、
上記第1支持部材と上記第4支持部材との間に架けられた引きバネであることを特徴とする筒状体製造装置。
【請求項6】
複数の上記支持手段を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の筒状体製造装置。
【請求項7】
上記支持手段は、支持ローラあるいは支持体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の筒状体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填物を充填する筒状体を製造するための筒状体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーセージまたはスティックチーズ等の内容物が充填された包装体は、筒状に形成された筒状体に内容物を充填し、両端を結紮することによって製造されている。この筒状体は、帯状のフィルムを筒状に巻き、両側の側縁部を重ねて縦シールすることで形成される。帯状のフィルムの側縁部を重ねて縦シールする方法の1つとして、筒状に巻いたフィルムの一方の側縁部の外面と他方の側縁部の内面とを重ね合わせて縦シールする方法がある。中でも、縦シールの方法として、重ね合わせた側縁部を高周波誘電加熱溶着等で溶融接着する方法が一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、フォーミングプレートに到達した帯状フィルムを、側縁部で重ね合わせ部を持つ筒状に形成し、超音波溶着によって重ね合わせ部を溶着する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2にも、超音波溶着によって、筒状に巻かれた帯状フィルムの一方の側部と他方の側部とのそれぞれに、長手方向に延びる線状の溶着を行う構成が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、帯状フィルムの両縁を丸め折り重ねて高周波加熱により封じて、筒状の包装材を成形する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−231639号公報(2005年9月2日公開)
【特許文献2】特開2010−18292号公報(2010年1月26日公開)
【特許文献3】特開2002−2630号公報(2002年1月9日公開)
【特許文献4】特開2004−149213号公報(2004年5月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に開示された構成では、縦シール不良が生じる可能性が高い。その理由を、図11を参照して説明する。図11は、溶融接着を採用した従来の筒状体製造装置101の概略図である。図11に示すように、この方法においては、フォーミングプレート107によって筒状に変形されたフィルム108内に充填管103が挿入されており、当該充填管103に向けて縦シール手段109から高周波電力等を印加することでこれらの間を走行している筒状のフィルム108を溶融接着している。
【0008】
従来では、引きバネ110等の押圧手段で縦シール手段109を筒状のフィルム108に対して押圧することにより、当該フィルム108を充填管103に押し付け、溶融接着している。しかしながら、充填管103等の機材を洗浄した後に再度取り付けるときに生じる機材の位置ずれ、または床上ポンプからの送出管のねじれ等によって充填管103の中心線と縦シール手段109の中心線とにずれが発生する場合がある。押圧手段は一方向から縦シール手段109を押圧するため、上記のようなずれが発生した場合、押圧が不安定となり十分な接触圧が保てずに筒状体の縦シール不良が生じることがある。
【0009】
本発明者らは、筒状体の縦シール不良の原因を鋭意検討した結果、特に筒状体製造装置(あるいは、包装体製造装置)の高速運転時に、縦シール手段とフィルムとの間の面当たり等の異常が原因で十分な接触圧が保てず、縦シール不良が起こることを見出した。
【0010】
なお、特許文献4には、縦ヒートシーラ部材とそれに対向する縦ヒートシーラ受部材との間に包装フィルムを配置し、縦ヒートシーラ部材と縦ヒートシーラ受部材とが当接することにより、縦ヒートシーラ部材の内部ヒータの熱によって筒状の包装フィルムの重なり合った両端縁の熱溶融層を熱溶着させる構成が開示されている。包装フィルムを双方向から押圧するため、特許文献1〜3の構成よりも押圧が安定していると考えられる。しかしながら、特許文献4に記載の構成では、新たに包装フィルムの熱溶着を行うときには、縦ヒートシーラ部材と縦ヒートシーラ受部材との当接を解放し、新たな包装フィルムを縦ヒートシーラ部材と縦ヒートシーラ受部材との間に配置する必要がある。この構成では、包装フィルムの熱溶着を行う度に縦ヒートシーラ部材と縦ヒートシーラ受部材との当接を解放する必要があり、筒状体製造装置(あるいは、包装体製造装置)の高速運転時には適用し難い。
【0011】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状体製造装置の高速運転時の縦シールをより安定に行うことができる筒状体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、筒状体の縦シール不良について種々調査したところ、筒状体製造装置において、充填管を挟んで縦シール手段とは反対側の位置から当該充填管を支持して縦シール手段による押圧に対抗する支持手段を備え、縦シール手段とフィルムとの間の接触圧を略一定に保つ保持手段を設けることによって、高速運転時の筒状体の縦シールをより安定して行うことができること、および縦シール手段による正味の押圧が得られることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明に係る筒状体製造装置は、上記の課題を解決するために、連続して引き出される帯状体の長手方向に伸びる2つの側縁部を重ね合わせて、中心管を囲むようにして筒状にさせる筒状形成手段と、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して連続して押圧しながら溶融接着を行い、筒状体を形成する縦シール手段とを備えた筒状体製造装置であって、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる押圧手段と、上記中心管を挟んで上記縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して上記縦シール手段による押圧に対抗する1つ以上の支持手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、押圧手段が、縦シール手段に、筒状にした帯状体を中心管に対して押圧させると同時に、支持手段が縦シール手段による押圧に対抗することにより、縦シール手段と帯状体との接触圧を略一定に保つことができる。
【0015】
本発明では、従来と同様に、押圧手段で縦シール手段を、筒状にした帯状体に対して押圧することにより、当該帯状体を中心管に押し付け、溶融接着している。しかし、本発明では、中心管を挟んで縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して縦シール手段による押圧に対抗する支持手段を備えている。これにより、従来では押圧手段が一方向から縦シール手段を充填管に対して押圧していたが、本発明では縦シール手段と支持手段とによって中心管が挟圧されている。したがって、本発明では中心管が縦シール手段と支持手段とによって固定されており、従来と比較して中心管に対する帯状体の押圧が不安定とならないので、縦シール手段と帯状体との間の接触圧を略一定に保つこと、および縦シール手段による正味の押圧を得ることができる。結果、高速運転時でも縦シール手段と帯状体との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記縦シール手段を支持する第1支持部材と、上記支持手段を支持する第2支持部材とをさらに備え、上記押圧手段は、上記第1支持部材を上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる構成であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、縦シール手段と支持手段とによって中心管が挟圧されるので、縦シール手段と帯状体との間の接触圧を略一定に保つこと、および縦シール手段による正味の押圧を得ることができる。結果、高速運転時でも縦シール手段と帯状体との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【0018】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記押圧手段が、上記第1支持部材を上記縦シール手段の両側あるいは片側から上記第2支持部材の方へと引っ張り、上記縦シール手段に、上記帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を上記中心管に対して押圧させる構成であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、縦シール手段の両側から上記の支持部材を引っ張ることで当該縦シール手段による押圧を均一化することができ、押圧をより安定化することができる。したがって、縦シール手段と帯状体との間の面当たりが均一になり、十分な接触圧を保つことができる。
【0020】
また、縦シール手段の片側から上記の支持部材を引っ張るだけでも、当該縦シール手段による押圧を十分に確保することができる。この場合、保持手段を構成する部材数を抑えることができると共に、保持手段の構造を簡素化することができる。
【0021】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、複数の上記支持手段を備える構成であってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、複数の支持手段を用いることで中心管を支持する支点が増えるので、複数の支持手段と縦シール手段とによる中心管の固定がより安定化する。結果、縦シール手段による押圧がより安定化し、縦シール手段と帯状体との間に十分な接触圧を保つことができる。
【0023】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記支持手段は、支持ローラあるいは支持体である構成であってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、支持ローラあるいは支持体を支持手段として用いることにより、中心管を挟んで縦シール手段とは反対側の位置から当該中心管を支持して縦シール手段による押圧に対抗し、なおかつ、帯状体の走行に影響を与えない。
【0025】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記押圧手段は、引きバネである構成であってもよい。
【0026】
上記の構成によれば、縦シール手段を引っ張り、縦シール手段に、帯状体の上記2つの側縁部を重ね合わせた部分を中心管に対して押圧させることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記押圧手段は、上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた第1引きバネと、上記縦シール手段のもう片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた第2引きバネとによって構成されている構成であってもよい。
【0028】
上記の構成によれば、縦シール手段の両側から上記の支持部材を第1引きバネおよび第2引きバネで引っ張ることで当該縦シール手段による押圧を均一化することができ、押圧をより安定化することができる。したがって、縦シール手段と帯状体との間の面当たりが均一になり、十分な接触圧を保つことができる。
【0029】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記押圧手段は、上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた引きバネであり、上記縦シール手段のもう片側では、上記第1支持部材と上記第2支持部材とが接続されている構成であってもよい。
【0030】
上記の構成によれば、縦シール手段の片側から上記の支持部材を引きバネで引っ張るだけでも、当該縦シール手段による押圧を十分に確保することができる。この場合、保持手段を構成する部材数を抑えることができると共に、保持手段の構造を簡素化することができる。
【0031】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記押圧手段は、上記縦シール手段の片側の位置で上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられた引きバネであり、上記縦シール手段のもう片側に、上記第1支持部材と上記第2支持部材との間に架けられたスライドをさらに備えている構成であってもよい。
【0032】
上記の構成によれば、縦シール手段の中心管側へのシフトに応じて、スライドが移動することで上記の支持部材と上記の他の支持部材との間の距離が可変となる。
【0033】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記中心管の上部に位置し、上記第1支持部材が取り付けられた第3支持部材をさらに備え、上記押圧手段は、上記第1支持部材において上記第3支持部材に取り付けられている位置とは別の位置に一端が取り付けられ、上記第1支持部材と上記中心管との間の位置で上記第3支持部材に他端が取り付けられた引きバネであってもよい。
【0034】
上記の構成によれば、縦シール手段と支持手段とによって中心管が挟圧されるので、縦シール手段と帯状体との間の接触圧を略一定に保つこと、および縦シール手段による正味の押圧を得ることができる。結果、高速運転時でも縦シール手段と帯状体との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【0035】
さらに、本発明に係る筒状体製造装置においては、上記中心管の上部に位置し、上記第1支持部材が取り付けられた第3支持部材と、上記第3支持部材に取り付けられ、上記第1支持部材と上記中心管との間に位置している第4支持部材とをさらに備え、上記押圧手段は、上記第1支持部材と上記第4支持部材との間に架けられた引きバネであってもよい。
【0036】
上記の構成によれば、縦シール手段と支持手段とによって中心管が挟圧されるので、縦シール手段と帯状体との間の接触圧を略一定に保つこと、および縦シール手段による正味の押圧を得ることができる。結果、高速運転時でも縦シール手段と帯状体との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る筒状体製造装置によれば、中心管が縦シール手段と支持手段とによって固定されており、従来と比較して中心管に対する帯状体の押圧が不安定とならないので、縦シール手段と帯状体との間の接触圧を略一定に保つこと、および縦シール手段による正味の押圧を得ることができる。結果、高速運転時でも縦シール手段と帯状体との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係る筒状体製造装置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る筒状体製造装置の上面図である。
図3】本発明の変形例に係る筒状体製造装置の概略図である。
図4】本発明の他の変形例に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。
図5】図中の(a)〜(c)は、それぞれ本発明のさらに他の変形例に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る筒状体製造装置の概略図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。
図8】本発明のまた他の変形例に係る筒状体製造装置の概略図である。
図9】本発明のさらに他の変形例に係る筒状体製造装置の概略図である。
図10】本発明のまたさらに他の変形例に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。
図11】溶融接着を採用した従来の筒状体製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0040】
〔第1の実施形態〕
(筒状体製造装置の概略)
ソーセージまたはスティックチーズ等の内容物が充填された包装体は、筒状に形成された筒状体に内容物を充填し、両端を結紮することによって製造されている。本実施形態では、この筒状体を製造するための筒状体製造装置を提供する。まず、本実施形態に係る筒状体製造装置の概略について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る筒状体製造装置の概略図である。
【0041】
図1の紙面上の上下は実際の鉛直方向の上下に対応し、後述の筒状のフィルム8は図中、上から下に流れるように走行する。すなわち、上が充填包装作業におけるフィルム8の走行方向の上流側、下が走行方向の下流側となる。ロール状に巻かれた帯状のフィルム8(帯状体)は、原反5として回転自在に支持されている。原反5から連続して引き出された帯状のフィルム8は、ガイドローラ6A,6Bに案内されて走行し、フォーミングプレート7(筒状形成手段)に導かれる。フィルムの材質は、加熱溶着させるため熱可塑性樹脂が好ましく、塩化ビニリデン系樹脂またはナイロン樹脂であることがより好ましい。帯状のフィルム8は単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0042】
フォーミングプレート7は、上下に開口する円筒形状を有している。また、フォーミングプレート7の側面には鉛直方向に延びる隙間が1箇所形成されている。フォーミングプレート7の上端縁は湾曲傾斜しており、帯状のフィルム8は、その内面に沿うように案内されることにより、フィルム8の長手方向に伸びる2つの側縁部が重ね合わせられ、充填管3を囲むようにして筒状にされる。フォーミングプレート7によって、帯状のフィルム8は側縁部で重ね合わせ部を持つ筒状のフィルム8に連続して形成され、筒状のフィルム8はその筒状の形を保ったまま、フォーミングプレート7の下流に走行案内される。
【0043】
筒状のフィルム8の重ね合わせ部は、第1支持部材15に支持された縦シール手段9により押圧されながら高周波電力が印加されることで溶融接着(縦シール)が行われ、筒状体に形成される。縦シールは、いわゆる封筒貼りシールであり、筒状に巻いたフィルム8の一方の側縁部の外面と他方の側縁部の内面とを重ね合わせて縦シールを行い、筒状体を形成する。なお、縦シール手段9による縦シールは、高周波電力を印加する高周波誘電加熱溶着が好適であるが、これ以外にも抵抗加熱溶着、レーザー加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いることができる。
【0044】
筒状体製造装置1の上部には、縦シールされた筒状のフィルム8(すなわち、筒状体)に内容物を充填するポンプ2と充填管3(中心管)とを備える充填装置4が設けられている。充填管3は、フォーミングプレート7の上方に設置されたポンプ2に接続され、先端が筒状体内へ導入されている。充填管3の先端は、縦シール手段9よりも下流側で開口している。なお、ポンプ2は、フォーミングプレート7の上方ではなく、内容物を適宜補充しやすい他の位置に設置し、配管により充填管3と連接されていてもよい。特に、練状食品のように比較的重量のある内容物を充填する場合には、地上に設置された容器に貯留された練状食品を、ポンプにより充填管3の位置に圧送して供給するのがよい。
【0045】
充填管3の下流側には、図示しない一対のローラが設けられている。一対のローラは、筒状体内に内容物が充填されたものを押圧した状態で下方へ連続して狭圧搬送する。狭圧搬送された筒状体の両端を結紮することによって、包装体が製造される。
【0046】
(筒状体製造装置の保持手段)
本実施形態に係る筒状体製造装置1の上面図を図2に示す。本発明者らは、筒状体の縦シール不良の原因を鋭意検討した結果、特に筒状体製造装置(あるいは、包装体製造装置)の高速運転時に、充填管と縦シール手段との間の接触面圧または面当たりの異常が原因で縦シール不良が起こることを見出した。そこで、本発明者らは、筒状体の縦シール不良について種々調査したところ、筒状体製造装置において、縦シール手段9とフィルム8との間の接触圧を略一定に保つための保持手段12を設けることによって、高速運転時の筒状体の縦シールをより安定して行うことができることを見出した。具体的には、保持手段12は、縦シール手段9に、帯状のフィルム8の2つの側縁部を重ね合わせた部分を充填管3に対して押圧させる押圧手段と、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗する1つ以上の支持手段とによって構成される。
【0047】
それ故、本実施形態に係る筒状体製造装置1は、図2に示すように、保持手段12を備えており、上記の押圧手段としての引きバネ10と、上記の支持手段としての支持ローラ11とを備えている。図1に示したように、縦シール手段9は、フォーミングプレート7の下流側の適当な位置に第1支持部材15によって支持されており、支持ローラ11は、縦シール手段9に略対向する位置に第2支持部材16によって支持されている。
【0048】
具体的には、縦シール手段9は第1支持部材15に取り付けられており、支持ローラ11は第2支持部材16に組み込まれている。引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16との間に架けられている。図1では、2つの引きバネ10が設けられており、一方の引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の一端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の一端との間に架けられている。また、他方の引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の他端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の他端との間に架けられている。結果、縦シール手段9の第1支持部材15、支持ローラ11の第2支持部材16、および2つの引きバネ10によって、充填管3は取り囲まれた状態になっている。
【0049】
この状態で、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張り、第1支持部材15が撓むことによって、縦シール手段9に、フィルム8を充填管3に対して押圧させる。これと同時に、支持ローラ11が縦シール手段9による押圧に対抗することにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を略一定に保つことができる。ここで、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張る度合い(引きバネ圧)を調整することにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を調整することができる。
【0050】
なお、必ずしも上記の構成に限定されるわけではない。例えば、図2に示す筒状体製造装置1´のように、第2支持部材16と2つの支持部材24A,24Bとの間に一対のロッド23Aおよびロッド23Bをそれぞれ架け、当該ロッド23Aおよびロッド23Bそれぞれに引きバネ10を設けてもよい。具体的には、ロッド23Aおよびロッド23Bそれぞれの支持部材24A,24B側の端部は、支持部材24A,24Bを貫通しており、支持部材24A,24Bから貫通した部分にはネジ切りがされている。支持部材24A,24Bから貫通したロッド23Aおよびロッド23Bそれぞれの端部には、引きバネ10が挿入されており、当該引きバネ10を支持部材24A,24Bとの間に挟むようにして接圧調整ネジ21が取り付けられている。また、支持ローラ11の軸受は、ボルト22によって第2支持部材16に固定されている。第2支持部材16と支持ローラ11との間には溝(隙間)があり、支持ローラ11が回転可能になっている。
【0051】
ここで、接圧調整ネジ21を締めたり(紙面下方向に移動させたり)、緩めたり(紙面上方向に移動させたり)することで引きバネ10が接圧調整ネジ21を押し返す度合いが変化する。すなわち、引きバネ10がロッド23Aおよびロッド23Bを支持部材24A,24B側に引っ張る度合いが変化する。これにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を調整することができる。
【0052】
従来では、引きバネ等の押圧手段で縦シール手段を筒状のフィルムに対して押圧することにより、当該フィルムを充填管に押し付け、溶融接着していた。そのため、押し付け圧そのものによって充填管に発生する少量の曲げ、または充填管等の機材を洗浄した後に当該機材を再度取り付けるときに生じる機材の位置ずれ、あるいは床上ポンプからの送出管のねじれ等によって、充填管の中心線と縦シール手段の中心線とにずれが発生する場合がある。押圧手段は一方向から縦シール手段を押圧するため、上記のようなずれが発生した場合、押圧が不安定となり十分な接触圧が保てずに筒状体の縦シール不良が生じることがあった。特に、筒状体製造装置(あるいは、包装体製造装置)の高速運転時に、縦シール手段とフィルムとの間の面当たり等の異常が原因で十分な接触圧が保てず、縦シール不良が起こっていた。また、従来では、引きばね圧の測定値をもって押圧としていたが、充填管にぶれが生じるため、縦シール手段による正確な押圧を測ることができなかった。
【0053】
本実施形態では、従来と同様に、引きバネ10で縦シール手段9を筒状のフィルム8に対して押圧することにより、当該フィルム8を充填管3に押し付け、溶融接着している。しかし、本実施形態では、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗する支持ローラ11を備えている。これにより、従来では押圧手段が一方向から縦シール手段を充填管に対して押圧していたが、本実施形態では縦シール手段9と支持ローラ11とによって充填管3が挟圧されている。したがって、本実施形態では充填管3が縦シール手段9と支持ローラ11とによって固定されており、従来と比較して充填管3に対するフィルム8の押圧が不安定とならない。そのため、縦シール手段9とフィルム8との間の接触圧を略一定に保つと共に、縦シール手段9による正味の押圧を測ることが可能となる。結果、高速運転時でも縦シール手段9とフィルム8との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【0054】
ここで、図1に示す本実施形態の筒状体製造装置1と、図6に示す従来の筒状体製造装置101とを用いて、生じる縦シール不良の度合いを調べる実験を行った。実験結果を表1に示す。前者の実験を実施例1とし、後者の実験を比較例1とする。
【0055】
【表1】
【0056】
まず、原反5から帯状のフィルム8を引き出す速度(すなわち、筒状体製造速度)を55メートル/分とした場合に生じる縦シール不良の度合いを調べたところ、表1に示すように、実施例1では縦シール不良は発生しなかった。これに対して比較例1では、縦シール不良が発生した割合は5%であった。
【0057】
続いて、筒状体製造速度を80メートル/分とした場合に生じる縦シール不良の度合いを調べたところ、表1に示すように、実施例1では縦シール不良は発生しなかった。これに対して比較例1では、縦シール不良が発生した割合は100%であった。
【0058】
このように、従来では縦シール不良の発生度合いに鑑みて、筒状体製造速度としては55メートル/分が限界であった。しかし、本実施形態に係る筒状体製造装置1を採用することにより、筒状体製造速度を80メートル/分にまで上げても、縦シール不良を発生させることなく筒状体の製造が可能となる。
【0059】
(保持手段の変形例1)
本実施形態に係る保持手段12の変形例を図3に示す。図3は、本変形例に係る筒状体製造装置1Aの概略図である。図3に示すように、本変形例に係る保持手段12Aは、支持手段として支持ローラ11の代わりに、フィルム8との摩擦力が小さい支持体13を有している。小さい摩擦力とは、フィルム8の走行に影響を与えない程度の摩擦力である。このように、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し、なおかつ、フィルム8の走行に影響を与えないような支持体13を支持手段として用いてもよい。
【0060】
なお、支持体13の形状に限定はなく、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し、なおかつ、フィルム8の走行に影響を与えない形状であればいかなる形状であってもよい。例えば、図3に示すような蒲鉾型の断面形状を有する支持体13を好適に用いることができる。
【0061】
(保持手段の変形例2)
本実施形態に係る保持手段12の他の変形例を図4に示す。図4は、本変形例に係る筒状体製造装置1Bを部分的に示す上面図である。図4に示すように、本変形例に係る筒状体製造装置1Bでは、支持手段としての支持ローラ11を2つ有している。本図では、押圧手段、縦シール手段9を支持する第1支持部材、ならびに2つの支持ローラ11を支持する第2支持部材の図示を省略しているが、上述した実施形態と同様に、本変形例においても2つの支持ローラ11の第2支持部材と縦シール手段9の第1支持部材との間に押圧手段が架けられている。
【0062】
このように、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗する支持ローラ11等の支持手段を複数用いてもよい。複数の支持手段を用いることで充填管3を支持する支点が増えるので、複数の支持手段と縦シール手段9とによる充填管3の固定がより安定化する。結果、縦シール手段9による押圧がより安定化し、縦シール手段9とフィルム8との間に十分な接触圧を保つことができる。
【0063】
なお、複数の支持手段を設ける位置に特に限定はなく、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し得る位置であればどこの位置であってもよい。例えば、図4に示すように、複数の支持手段および縦シール手段9それぞれが充填管3に及ぼす荷重が均等になるような位置に、複数の支持手段を配置することが好ましい。これにより、複数の支持手段と縦シール手段9とによる充填管3の固定をさらに安定化することができる。
【0064】
(保持手段の変形例3)
本実施形態に係る保持手段12のさらに他の3つの変形例を図5に示す。図5の(a)〜(c)は、それぞれの変形例に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。図5(a)に示すように、1つ目の変形例に係る保持手段12Bは、押圧手段としての引きバネ10を2つ有している。この場合、縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16との間に2つの引きバネ10が架けられている。一方の引きバネ10(第1引きバネ)は、縦シール手段9の片側に架けられており、他方の引きバネ10(第2引きバネ)は、縦シール手段9のもう片側に架けられている。具体的には、一方の引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の一端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の一端との間に架けられている。また、他方の引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の他端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の他端との間に架けられている。結果、縦シール手段9の第1支持部材15、支持ローラ11の第2支持部材16、および2つの引きバネ10によって、充填管3は取り囲まれた状態になっている。
【0065】
このように、縦シール手段9の第1支持部材15を、当該縦シール手段9の両側から支持ローラ11の第2支持部材16の方へと2つの引きバネ10で引っ張り、縦シール手段9に筒状のフィルム8の重ね合わせ部を押圧させてもよい。縦シール手段9の両側から当該縦シール手段9の第1支持部材15を引っ張ることで当該縦シール手段9による押圧を均一化することができ、押圧をより安定化することができる。したがって、縦シール手段9とフィルム8との間の面当たりが均一になり、十分な接触圧を保つことができる。
【0066】
図5(b)に示すように、2つ目の変形例に係る保持手段12Cは、押圧手段としての引きバネ10を1つ有している。この場合、縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16との間に1つの引きバネ10が架けられている。引きバネ10は、縦シール手段9の片側に架けられており、縦シール手段9のもう片側では、縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16とが接続されている。具体的には、引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の一端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の一端との間に架けられている。また、縦シール手段9の第1支持部材15の他端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の他端とは接続されている。結果、縦シール手段9の第1支持部材15、支持ローラ11の第2支持部材16、および1つの引きバネ10によって、充填管3は取り囲まれた状態になっている。
【0067】
このように、縦シール手段9の第1支持部材15を、当該縦シール手段9の片側から支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引きバネ10で引っ張り、縦シール手段9に筒状のフィルム8の重ね合わせ部を押圧させてもよい。縦シール手段9の片側から当該縦シール手段9の第1支持部材15を引っ張るだけでも、当該縦シール手段9による押圧を十分に確保することができる。この場合、保持手段12Cを構成する部材数を抑えることができると共に、保持手段12Cの構造を簡素化することができる。
【0068】
図5(c)に示すように、3つ目の変形例に係る保持手段12Dは、押圧手段としての引きバネ10を1つ有している。本変形例においても、縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16との間に1つの引きバネ10が架けられている。引きバネ10は、縦シール手段9の片側に架けられており、縦シール手段9のもう片側には、スライド14が架けられている。具体的には、引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15の一端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の一端との間に架けられている。また、スライド14は、縦シール手段9の第1支持部材15の他端と、それに対向する、支持ローラ11の第2支持部材16の他端との間に架けられている。結果、縦シール手段9の第1支持部材15、支持ローラ11の第2支持部材16、1つの引きバネ10、およびスライド14によって、充填管3は取り囲まれた状態になっている。
【0069】
このように、縦シール手段9の第1支持部材15を、当該縦シール手段9の片側から支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引きバネ10で引っ張った場合に、縦シール手段9が充填管3側にシフトする量と同じだけスライド14が支持ローラ11側に移動する構成にしてもよい。これにより、縦シール手段9の充填管3側へのシフトに応じて、スライド14が移動することで縦シール手段9の第1支持部材15と支持ローラ11の第2支持部材16との間の距離が可変となる。
【0070】
〔第2の実施形態〕
(筒状体製造装置の押圧手段・支持手段)
第1の実施形態では、第1支持部材15と第2支持部材16との間に引きバネ10を設けることにより、縦シール手段9と支持ローラ11とによって充填管3を挟圧して、縦シール手段9による押圧と支持ローラ11による対抗とを発生させているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、縦シール手段9による押圧と、支持ローラ11による対抗とを独立して発生させてもよい。この構成について、図6および図7を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る筒状体製造装置の概略図である。図7は、本実施形態に係る筒状体製造装置を部分的に示す上面図である。
【0071】
図6の紙面上の上下は実際の鉛直方向の上下に対応し、筒状のフィルム8は図中、上から下に流れるように走行する。すなわち、上が充填包装作業におけるフィルム8の走行方向の上流側、下が走行方向の下流側となる。原反5から連続して引き出された帯状のフィルム8(帯状体)が、フォーミングプレート7(筒状形成手段)によって筒状に形成され、筒状のフィルム8の重ね合わせ部を縦シール手段9により押圧しながら縦シールし、筒状体に形成されるまでの筒状体製造装置1Cの構成は、第1の実施形態の筒状体製造装置1と同様である。そのため、ここではその説明は省略し、筒状体製造装置1Cが有する押圧手段と支持手段とについて以下に説明する。
【0072】
本実施形態に係る筒状体製造装置1Cでは、図6に示すように、縦シール手段9は、フォーミングプレート7の下流側の適当な位置に第1支持部材15によって支持されており、支持ローラ11は、縦シール手段9に略対向する位置に第2支持部材16によって支持されている。具体的には、図7に示すように、縦シール手段9は第1支持部材15に取り付けられており、支持ローラ11は第2支持部材16に組み込まれている。
【0073】
筒状体製造装置1Cは、押圧手段としての引きバネ10と、支持手段としての支持ローラ11とを備えている。引きバネ10は、第1支持部材15において第3支持部材17に取り付けられている位置とは別の位置に一端が取り付けられ、第1支持部材15と充填管3との間の位置で第3支持部材17に他端が取り付けられている。第3支持部材17は、ポンプ2と充填管3(中心管)とを備える充填装置4に固定されている部材である。
【0074】
引きバネ10は、第1支持部材15から第3支持部材17に向かうにつれて充填管3に近づくように架けられている。これにより、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張り、第1支持部材15が撓むため、縦シール手段9は充填管3に対して押圧される。ここで、支持ローラ11は、第2支持部材16によって縦シール手段9に略対向する位置に固定され、充填管を支持しているため、縦シール手段9による押圧に対して対抗する。この結果、縦シール手段9と支持ローラ11とによって充填管3が挟圧されることになり、充填管3が縦シール手段9と支持ローラ11とによって固定され、充填管3に対するフィルム8の押圧が不安定とならない。そのため、縦シール手段9とフィルム8との間の接触圧を略一定に保つと共に、縦シール手段9による正味の押圧を測ることが可能となる。結果、高速運転時でも縦シール手段9とフィルム8との間の接触圧を十分に保つことができるので、筒状体の縦シールをより安定して行うことができる。
【0075】
なお、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張る度合い(引きバネ圧)を調整することにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を調整することができる。また、第1支持部材15のいずれかの一端と第3支持部材17との間に1つの引きバネ10を架けてもよいし、2つの引きバネ10をそれぞれ第1支持部材15の両端と第3支持部材17との各々の間に架けてもよい。ただし、本実施形態はこれに限定されるわけではない。
【0076】
(押圧手段の変形例)
本実施形態に係る押圧手段の変形例を図8に示す。図8は、本変形例に係る筒状体製造装置1Dの概略図である。図8に示すように、本変形例に係る筒状体製造装置1Dは、押圧手段として引きバネ10を備えており、引きバネ10は、縦シール手段9の第1支持部材15と、第3支持部材17に取り付けられている第4支持部材18との間に架けられている。第4支持部材18は、第3支持部材17に取り付けられ、第1支持部材15と充填管3との間に位置している部材である。
【0077】
引きバネ10は、対向する第1支持部材15と第4支持部材18との間に架けられている。この状態で、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を第4支持部材18の方へ、すなわち支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張ることによって、縦シール手段9に、フィルム8を充填管3に対して押圧させると同時に、支持ローラ11が縦シール手段9による押圧に対抗することにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を略一定に保つことができる。
【0078】
ここで、引きバネ10が縦シール手段9の第1支持部材15を支持ローラ11の第2支持部材16の方へと引っ張る度合い(引きバネ圧)を調整することにより、縦シール手段9とフィルム8との接触圧を調整することができる。また、縦シール手段9の第1支持部材15の一端と、それに対向する、第4支持部材18の一端との間に1つの引きバネ10を架けてもよいし、2つの引きバネ10をそれぞれ縦シール手段9の第1支持部材15の両端と、それに対向する、第4支持部材18の両端との各々の間に架けてもよい。ただし、本変形例はこれに限定されるわけではない。
【0079】
(支持手段の変形例1)
本実施形態に係る支持手段の変形例を図9に示す。図9は、本変形例に係る筒状体製造装置1Eの概略図である。図9に示すように、本変形例に係る筒状体製造装置1Eは、支持手段として支持ローラ11の代わりに、フィルム8との摩擦力が小さい支持体13を有している。小さい摩擦力とは、フィルム8の走行に影響を与えない程度の摩擦力である。このように、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し、なおかつ、フィルム8の走行に影響を与えないような支持体13を支持手段として用いてもよい。
【0080】
なお、支持体13の形状に限定はなく、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し、なおかつ、フィルム8の走行に影響を与えない形状であればいかなる形状であってもよい。例えば、図9に示すような蒲鉾型の断面形状を有する支持体13を好適に用いることができる。
【0081】
(支持手段の変形例2)
本実施形態に係る支持手段の他の変形例を図10に示す。図10は、本変形例に係る筒状体製造装置1Fを部分的に示す上面図である。図10に示すように、本変形例に係る筒状体製造装置1Fでは、支持手段としての支持ローラ11を2つ有している。本図では、押圧手段、縦シール手段9を支持する第1支持部材15、ならびに2つの支持ローラ11を支持する第2支持部材16の図示を省略しているが、上述した実施形態と同様に、本変形例においても2つの支持ローラ11の第1支持部材15と縦シール手段9の第2支持部材16との間に押圧手段が架けられている。
【0082】
このように、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗する支持ローラ11等の支持手段を複数用いてもよい。複数の支持手段を用いることで充填管3を支持する支点が増えるので、複数の支持手段と縦シール手段9とによる充填管3の固定がより安定化する。結果、縦シール手段9による押圧がより安定化し、縦シール手段9とフィルム8との間に十分な接触圧を保つことができる。
【0083】
なお、複数の支持手段を設ける位置に特に限定はなく、充填管3を挟んで縦シール手段9とは反対側の位置から当該充填管3を支持して縦シール手段9による押圧に対抗し得る位置であればどこの位置であってもよい。例えば、図10に示すように、複数の支持手段および縦シール手段9それぞれが充填管3に及ぼす荷重が均等になるような位置に、複数の支持手段を配置することが好ましい。これにより、複数の支持手段と縦シール手段9とによる充填管3の固定をさらに安定化することができる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ソーセージまたはスティックチーズ等の内容物を充填するための筒状体を製造する製造装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1,1´,1A〜1F 筒状体製造装置
2 ポンプ
3 充填管
4 充填装置
5 原反
6A,6B ガイドローラ
7 フォーミングプレート
8 フィルム
9 縦シール手段
10 引きバネ
11 支持ローラ
12,12A〜12D 保持手段
13 支持体
14 スライド
15 第1支持部材
16 第2支持部材
17 第3支持部材
18 第4支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11