特許第6208001号(P6208001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208001プロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208001
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】プロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G03G21/18 110
   G03G21/18 121
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-265470(P2013-265470)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121683(P2015-121683A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】栗本 直彰
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−199746(JP,U)
【文献】 特開平08−076667(JP,A)
【文献】 特開2012−018265(JP,A)
【文献】 特開2006−337725(JP,A)
【文献】 特開平11−174765(JP,A)
【文献】 特開2009−288303(JP,A)
【文献】 特開昭58−070244(JP,A)
【文献】 特開2002−108170(JP,A)
【文献】 特開2013−228443(JP,A)
【文献】 特開平11−265138(JP,A)
【文献】 特開平04−215686(JP,A)
【文献】 特開2012−088689(JP,A)
【文献】 特開2007−271759(JP,A)
【文献】 特開2006−308755(JP,A)
【文献】 特開2012−103578(JP,A)
【文献】 特開平06−348115(JP,A)
【文献】 米国特許第04627701(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットであって、
前記像担持体と前記帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、
前記像担持体の径方向に移動可能な状態で前記フレームに設けられて、前記帯電器を支持する支持部材、
前記支持部材の前記像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材と共に前記帯電器を前記像担持体側に向かって付勢する付勢部材、
前記支持部材に形成される係止爪
前記フレームに形成されて、前記像担持体を前記フレームから取り外した状態において、前記係止爪と係合することによって当該フレームからの前記支持部材の抜けを防止する第1係止部、および
前記第1係止部の前記像担持体と反対側の位置において前記フレームに形成されて、前記像担持体を前記フレームに取り付けるときに、前記係止爪と係合することによって前記帯電器を前記像担持体から離れた離間位置で保持するための離間部材が挿入される離間部材挿入孔を備える、プロセスユニット。
【請求項2】
前記プロセスユニットは、前記離間部材によって起立状態で保持される、請求項1記載のプロセスユニット。
【請求項3】
少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットであって、
前記像担持体と前記帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、
前記像担持体の径方向に移動可能な状態で前記フレームに設けられて、前記帯電器を支持する支持部材、
前記支持部材の前記像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材と共に前記帯電器を前記像担持体側に向かって付勢する付勢部材、
前記支持部材に形成される係止爪
前記フレームに形成されて、前記像担持体を前記フレームから取り外した状態において、前記係止爪と係合することによって当該フレームからの前記支持部材の抜けを防止する第1係止部、および
前記第1係止部よりも前記像担持体から離れた位置において前記フレームに形成されて、前記像担持体を前記フレームに取り付けるときに、前記係止爪と係合することによって前記帯電器を前記像担持体から離れた離間位置で保持する第2係止部を備える、プロセスユニット。
【請求項4】
前記係止爪は、外側部に形成される把持用の突起を有する、請求項3記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記係止爪は、U字状の支持片を有する、請求項1ないしのいずれかに記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記支持部材と前記係止爪とは、合成樹脂によって一体成型される、請求項1ないしのいずれかに記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記支持部材は、前記帯電器の両端部のそれぞれに設けられ、
前記帯電器の一方端部に設けられる前記支持部材は、導電性樹脂によって形成され、
前記帯電器の他端部に設けられる前記支持部材は、絶縁性樹脂によって形成され、
前記他端部に設けられる前記支持部材が有する前記係止爪の大きさは、前記一方端部に設けられる前記支持部材が有する前記係止爪の大きさよりも大きくされる、請求項記載のプロセスユニット。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載のプロセスユニットを備える、画像形成装置。
【請求項9】
少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットにおいて、前記像担持体を前記プロセスユニットに取り付けるときに、当該像担持体から前記帯電器を離間させておく帯電器の離間方法であって、
前記プロセスユニットとして、
前記像担持体と前記帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、
前記像担持体の径方向に移動可能な状態で前記フレームに設けられて、前記帯電器を支持する支持部材、
前記支持部材の前記像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材および前記帯電器を前記像担持体側に向かって付勢する付勢部材、
前記支持部材に形成される係止爪、
前記フレームに形成されて、前記係止爪と係合することによって当該フレームからの前記支持部材の抜けを防止する第1係止部、および
前記第1係止部の前記像担持体と反対側の位置において前記フレームに形成される離間部材挿入孔を備える、プロセスユニットを用意し、
前記フレームに前記像担持体を取り付けるときに、前記支持部材および前記帯電器を前記付勢部材側に押し込むと共に、前記離間部材挿入孔に離間部材を挿入し、前記離間部材と前記係止爪とを係合させることによって、前記像担持体から離れた離間位置で前記帯電器を保持する、帯電器の離間方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はプロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法に関し、特にたとえば、少なくとも像担持体および帯電器を備える、プロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機などの画像形成装置においては、像担持体および帯電器などをユニット化したプロセスユニットを搭載するものが多くなってきている。
【0003】
ここで、接触式の帯電器の場合、帯電器は、軸受などの保持部材を介して、像担持体と当接するように付勢部材によって付勢されている。このため、像担持体の交換時などにプロセスユニットから像担持体を取り外した際に、像担持体による押さえがなくなると、帯電器の保持部材がプロセスユニットのフレームから外れてしまう場合がある。そこで、フレームからの保持部材の抜けを防止する機構が必要となる。
【0004】
また、像担持体の表面には、初期的にクリーニングブレードとの滑りをよくするために、スターティングパウダが塗られている。このため、プロセスユニットに像担持体を取り付ける際には、像担持体と帯電器とを適切に離間させておかないと、帯電器にスターティングパウダが付着してしまい、帯電不良が発生する恐れがある。そこで、プロセスユニットに対して像担持体を取り付ける際に、像担持体と帯電器とを適切に離間させておくことができる機構が必要となる。
【0005】
特許文献1には、従来のこの種のプロセスユニットの一例が開示されている。特許文献1の技術では、プロセスカートリッジ(プロセスユニット)は、感光体ドラム(像担持体)、帯電ローラ(帯電器)、および枠体(フレーム)等を備える。また、帯電ローラの軸を回転可能に保持する軸受(保持部材)とは別に、帯電ローラを感光体ドラムから離間させるための離間保持部材が予め帯電ローラの軸に取り付けられている。そして、画像形成装置に設けられた離間レバー、軸および駆動カム等からなる離間レバー機構を用いて、離間保持部材の係止部と枠体との係合を解除可能とすることによって、使用者の操作負担を増やすことなく、帯電ローラの離間状態を解除できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−288303号公報 [G03G 21/18]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、プロセスカートリッジの出荷時などにおいて、感光体ドラムと帯電ローラとが付勢された状態で長時間当接していると、帯電ローラの弾性層が永久変形してしまう恐れがあるので、プロセスカートリッジの使用が開始されるまで、感光体ドラムと帯電ローラとを離間させておくための技術である。すなわち、プロセスカートリッジに感光体ドラムを取り付ける際に、帯電ローラを感光体ドラムから離間させておくことに関しては、何ら考慮されていない。
【0008】
また、特許文献1の技術では、プロセスカートリッジに離間保持部材を特別に設け、さらに画像形成装置の本体に離間レバー機構を設けるという複雑な構成を有するので、装置全体が大型化してしまう。また、高コストになる上、故障する可能性も高くなる。特に、特許文献1の離間保持部材は、その中央部を中心として回転することによってその位置を変更するので、離間防止部材の周囲に大きな空間が必要となる。このため、プロセスカートリッジの大型化が避けられない。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、プロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法を提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、大型化することなく、像担持体を取り付ける際に帯電器を像担持体から離間させておくことができる、プロセスユニットおよびそれを備える画像形成装置、ならびに帯電器の離間方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットであって、像担持体と帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、像担持体の径方向に移動可能な状態でフレームに設けられて、帯電器を支持する支持部材、支持部材の像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材と共に帯電器を像担持体側に向かって付勢する付勢部材、支持部材に形成される係止爪フレームに形成されて、像担持体をフレームから取り外した状態において、係止爪と係合することによって当該フレームからの支持部材の抜けを防止する第1係止部、および第1係止部の像担持体と反対側の位置においてフレームに形成されて、像担持体をフレームに取り付けるときに、係止爪と係合することによって帯電器を像担持体から離れた離間位置で保持するための離間部材が挿入される離間部材挿入孔を備える、プロセスユニットである。
【0012】
第1の発明では、プロセスユニットは、フレームを用いて像担持体および帯電器などをユニット化したものであり、画像形成装置に対して着脱可能に設けられる。プロセスユニットのフレームには、像担持体の径方向に直線的に移動可能な状態で、帯電器を支持する支持部材が設けられる。支持部材には、付勢部材が設けられ、この付勢部材によって帯電器が像担持体側に向かって付勢される。また、支持部材に係止爪が形成されると共に、フレームに第1係止部が形成され、これらが係合することによってフレームからの支持部材の抜けが防止される。また、フレームには、第1係止部の像担持体と反対側の位置において離間部材挿入孔が形成される。この際、離間部材挿入孔の上端縁を第1係止部として利用してもよい。そして、帯電器を離間位置に退避させるときには、支持部材を付勢部材側に押し込むことによって、離間部材挿入孔の上端縁と係止爪の係止片との間に隙間を形成し、離間部材挿入孔を通してその隙間に別部材である離間部材を嵌め込む。これによって、離間部材と係止爪の係止片とが係合し、帯電器は、像担持体から離れた離間位置で保持される。つまり、係止爪は、像担持体をフレームに取り付けるときに、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持するためにも利用される。
【0013】
第1の発明によれば、保持部材に形成した抜け止め用の係止爪を用いて、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持するようにした。つまり保持部材に形成した係止爪を抜け止め用および離間用として兼用するので、帯電器を像担持体から離間させておくための部材を特別に設けることと比較して、構成を簡略化でき、プロセスユニット内に余計なスペースを設ける必要が無くなる。したがって、プロセスユニットを大型化することなく、プロセスユニットに像担持体を取り付ける際に帯電器を像担持体から離間させておくことができる。
【0014】
また、保持部材は、帯電器を像担持体から離間させるに際して、像担持体の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。したがって、プロセスユニットを大型化する必要がない。さらに、フレームに形成した離間部材挿入孔に離間部材を挿入するという簡単な作業で、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持させることができる。また、支持部材に係止爪を形成し、フレームに第1係止部および離間部材挿入孔を形成するという簡単な構成であるので、プロセスユニットを大型化する必要が無いことはもちろんのこと、製造コストを低減でき、故障する可能性を低くすることもできる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属し、プロセスユニットは、離間部材によって起立状態で保持される。
【0019】
第3の発明は、少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットであって、像担持体と帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、像担持体の径方向に移動可能な状態でフレームに設けられて、帯電器を支持する支持部材、支持部材の像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材と共に帯電器を像担持体側に向かって付勢する付勢部材、支持部材に形成される係止爪、フレームに形成されて、像担持体をフレームから取り外した状態において、係止爪と係合することによって当該フレームからの支持部材の抜けを防止する第1係止部、および第1係止部よりも像担持体から離れた位置においてフレームに形成されて、像担持体をフレームに取り付けるときに、係止爪と係合することによって帯電器を像担持体から離れた離間位置で保持する第2係止部を備える、プロセスユニットである。
【0020】
第3の発明では、プロセスユニットは、フレームを用いて像担持体および帯電器などをユニット化したものであり、画像形成装置に対して着脱可能に設けられる。プロセスユニットのフレームには、像担持体の径方向に直線的に移動可能な状態で、帯電器を支持する支持部材が設けられる。支持部材には、付勢部材が設けられ、この付勢部材によって帯電器が像担持体側に向かって付勢される。また、支持部材に係止爪が形成されると共に、フレームに第1係止部が形成され、これらが係合することによってフレームからの支持部材の抜けが防止される。また、第1係止部よりも像担持体から離れた位置においてフレームに形成される第2係止部をさらに備える。そして、帯電器を離間位置に退避させるときには、係止爪の係止片が第2係止部を乗り越えるまで、支持部材を付勢部材側に押し込むことによって、係止爪の係止片と第2係止部とを係合させる。これによって、帯電器が像担持体から離れた離間位置で保持される。つまり、係止爪は、像担持体をフレームに取り付けるときに、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持するためにも利用される。
【0021】
第3の発明によれば、第1の発明と同様に、プロセスユニットを大型化することなく、プロセスユニットに像担持体を取り付ける際に帯電器を像担持体から離間させておくことができる。また、支持部材を付勢部材側に押し込むという簡単な作業で、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持させることができる。
【0022】
また、支持部材に係止爪を形成し、フレームに第1係止部および第2係止部を形成するという簡単な構成であるので、プロセスユニットを大型化する必要が無いことはもちろんのこと、製造コストを低減でき、故障する可能性を低くすることもできる。
第4の発明は、第3の発明に従属し、係止爪は、外側部に形成される把持用の突起を有する。
【0023】
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明に従属し、係止爪は、U字状の支持片を有する。
【0024】
の発明では、支持部材に形成される係止爪は、U字状の支持片を有する。これによって、係止爪が適度な弾性を有するようになる。
【0025】
の発明によれば、係止爪が適度な弾性を有するので、フレームに対して支持部材を取り付けるとき等には、係止爪が適切に撓むことによってその破損が防止される。
【0026】
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明に従属し、支持部材と係止爪とは、合成樹脂によって一体成型される。
【0027】
の発明によれば、係止爪を含む支持部材全体が合成樹脂によって一体成型されるので、プロセスユニットの製造コストを低減することができる。
【0028】
の発明は、第の発明に従属し、支持部材は、帯電器の両端部のそれぞれに設けられ、帯電器の一方端部に設けられる支持部材は、導電性樹脂によって形成され、帯電器の他端部に設けられる支持部材は、絶縁性樹脂によって形成され、他端部に設けられる支持部材が有する係止爪の大きさは、一方端部に設けられる支持部材が有する係止爪の大きさよりも大きくされる。
【0029】
の発明では、帯電器の一方端部に設けられる支持部材は、カーボン等の導電性材料を分散させたPOM樹脂などの導電性樹脂によって形成される。一方、帯電器の他端部に設けられる支持部材は、導電性材料を用いないPOM樹脂などの絶縁性樹脂によって形成される。そして、他端部に設けられる支持部材が有する係止爪の大きさは、一方端部に設けられる支持部材が有する係止爪の大きさよりも大きくされる。導電性材料を用いない樹脂製部材は、導電性材料を分散させた樹脂製部材と比較して強度が少し小さくなるが、他端部に設けられる支持部材が有する係止爪を大きくすることによって、係止爪の強度が補強される。
【0030】
の発明によれば、他端部に設けられる支持部材が有する係止爪の強度を大きくすることができるので、係止爪の係合が意図せず外れてしまうことを防止できる。
【0031】
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明に係るプロセスユニットを備える、画像形成装置である。
【0032】
の発明によれば、第1ないし第のいずれかの発明と同様の作用効果を奏し、プロセスユニットおよび画像形成装置を大型化することなく、プロセスユニットに像担持体を取り付ける際に帯電器を像担持体から離間させておくことができる。
【0033】
の発明は、少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットにおいて、像担持体をプロセスユニットに取り付けるときに、当該像担持体から帯電器を離間させておく帯電器の離間方法であって、プロセスユニットとして、像担持体と帯電器とを一体的に保持するためのフレーム、像担持体の径方向に移動可能な状態でフレームに設けられて、帯電器を支持する支持部材、支持部材の像担持体と反対側の端部に設けられて、当該支持部材および帯電器を像担持体側に向かって付勢する付勢部材、支持部材に形成される係止爪、フレームに形成されて、係止爪と係合することによって当該フレームからの支持部材の抜けを防止する第1係止部、および第1係止部の像担持体と反対側の位置においてフレームに形成される離間部材挿入孔を備える、プロセスユニットを用意し、フレームに像担持体を取り付けるときに、支持部材および帯電器を付勢部材側に押し込むと共に、離間部材挿入孔に離間部材を挿入し、離間部材と係止爪とを係合させることによって、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持する、帯電器の離間方法である。
【0034】
の発明では、少なくとも像担持体および帯電器を備えるプロセスユニットとして次のようなプロセスユニットを用意する。すなわち、プロセスユニットは、像担持体と帯電器とを一体的に保持するためのフレームを備え、このフレームには、像担持体の径方向に直線的に移動可能な状態で、帯電器を支持する支持部材が設けられる。支持部材には、付勢部材が設けられ、この付勢部材によって帯電器が像担持体側に向かって付勢される。また、支持部材に係止爪が形成されると共に、フレームに第1係止部が形成され、これらが係合することによってフレームからの支持部材の抜けが防止される。また、フレームには、第1係止部の像担持体と反対側の位置において離間部材挿入孔が形成される。この際、離間部材挿入孔の上端縁を第1係止部として利用してもよい。
【0035】
帯電器を離間位置に退避させるときには、支持部材を付勢部材側に押し込むことによって、離間部材挿入孔の上端縁と係止爪の係止片との間に隙間を形成する。そして、離間部材挿入孔を通してその隙間に別部材である離間部材を嵌め込むことによって、離間部材と係止爪の係止片とを係合させ、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持する。
【0036】
の発明によれば、フレームに形成した離間部材挿入孔に離間部材を挿入するという簡単な作業で、帯電器と像担持体とを離間させておくことができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、保持部材に形成した抜け止め用の係止爪を用いて、像担持体から離れた離間位置で帯電器を保持するようにした。つまり保持部材に形成した係止爪を抜け止め用および離間用として兼用するので、帯電器を像担持体から離間させておくための部材を特別に設けることと比較して、構成を簡略化でき、プロセスユニット内に余計なスペースを設ける必要が無くなる。したがって、プロセスユニットを大型化することなく、プロセスユニットに像担持体を取り付ける際に帯電器を像担持体から離間させておくことができる。
【0038】
また、保持部材は、帯電器を像担持体から離間させるに際して、像担持体の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。したがって、プロセスユニットを大型化する必要がない。
【0039】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明の第1実施例であるプロセスユニットを備える画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
図2図1のプロセスユニットを示す図解図である。
図3】感光体ドラムを取り外した状態のプロセスユニットを示す図解図である。
図4図1のプロセスユニットの後端部の断面を概略的に示す断面図である。
図5図1のプロセスユニットが備える軸受を示す図解図であって、(a)は軸受の正面図であり、(b)は軸受の平面図であり、(c)は軸受の左側面図である。
図6】感光体ドラムを取り外した状態のプロセスユニットの後端部の断面を概略的に示す断面図である。
図7図6の係止爪部分を拡大して示す部分拡大断面図である。
図8】離間部材を取り付けた状態のプロセスユニットを示す図解図である。
図9】離間部材を取り付けた状態のプロセスユニットの後端部の断面を概略的に示す断面図である。
図10図9の係止爪部分を拡大して示す部分拡大断面図である。
図11】この発明の第2実施例であるプロセスユニットの係止爪部分を拡大して示す拡大断面図である。
図12】この発明の第3実施例であるプロセスユニットが備える軸受を示す図解図であって、(a)は軸受の正面図であり、(b)は軸受の平面図であり、(c)は軸受の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この発明の一実施例であるプロセスユニット10は、フレーム74を用いて感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40などをユニット化したものであり、複写機、ファクシミリ、プリンタおよびこれらの複合機などの画像形成装置に対して着脱可能に設けられる。詳細は後述するように、プロセスユニット10は、フレーム74に感光体ドラム36を取り付ける際に、感光体ドラム36と接触しない位置に帯電器40を離間(退避)可能とする離間機構を有している。この第1実施例では、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)100に対してプロセスユニット10を適用した例を示す。
【0042】
先ず、複合機100の構成について概略的に説明する。図1に示すように、複合機100は、複合機本体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0043】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押さえカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、原稿載置台18の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部(図示せず)が設けられる。
【0044】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内装される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等を用いるとよい。
【0045】
複合機本体12には、制御部28および画像形成部30が内装される。制御部28は、CPUおよびメモリ等を備え、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、複合機100の各部位に制御信号を送信し、複合機100に種々の動作を実行させる。
【0046】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ(2次転写ローラ)44および定着ユニット46等を備え、給紙カセット48または手差し給紙カセット50から搬送される用紙(記録紙)上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データや外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0047】
なお、複合機100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。また、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40は、ユニット化(カートリッジ化)されており、これらによってプロセスユニット10が構成される。つまり、画像形成部30には、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40等を備える4つのプロセスユニット10が設けられている。プロセスユニット10のそれぞれは、複合機本体12の前面側から個別に着脱することが可能である。プロセスユニット10の具体的構成については後述する。
【0048】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位(たとえば、−600V)に帯電させる部材である。この第1実施例では、後述するように、ローラ型の帯電器(帯電ローラ)40が用いられる。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーをクリーニングブレード38a(図3参照)で除去し、除去したトナーを廃トナーボックス(図示せず)に搬送する。
【0049】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58および4つの中間転写ローラ60等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト54は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ60を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト54に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト54上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラ56の近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト54と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト54に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0050】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0051】
このような複合機本体12内には、給紙カセット48または手差し給紙カセット50に載置された用紙をレジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路S1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に戻すための第2用紙搬送路S2が形成される。この第1用紙搬送路S1および第2用紙搬送路S2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0052】
複合機本体12において片面印刷を行う際には、給紙カセット48または手差し給紙カセット50に載置された用紙がピックアップローラ70によって1枚ずつ第1用紙搬送路S1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ44に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ(排紙ローラ)66を経て排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0053】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の排紙ローラ66まで到達したとき、この排紙ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路S2に導かれる。第2用紙搬送路S2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路S2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
【0054】
続いて、図2図4を参照して、プロセスユニット10の構成について具体的に説明する。図2は、プロセスユニット10を示す図解図である。図3は、感光体ドラム36を取り外した状態のプロセスユニット10を示す図解図である。図4は、プロセスユニット10の後端部、つまり複合機100の背面側に位置する端部の断面を概略的に示す断面図である。
【0055】
図2図4に示すように、プロセスユニット10は、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40およびクリーニングローラ72を備え、これらはフレーム74によって所定の配置態様で一体的に保持される。プロセスユニット10は、複合機本体12の前面側から着脱可能であり、複合機本体12の奥行方向(前後方向)に摺動させることによって複合機本体12に装着されたり、複合機本体12から離脱されたりする。
【0056】
上述のように、この第1実施例では、帯電器40として帯電ローラが用いられる。帯電器40は、鉄などの金属によって形成される円柱状(丸棒状)の導電性支持体を備える。導電性支持体の外周面上には弾性層が形成され、弾性層の外周面上には抵抗層が形成される。弾性層は、非帯電体としての感光体ドラム36に対する給電や、感光体ドラム36との良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有する材料によって形成される。抵抗層は、弾性層中に含有される軟化油や可塑剤などの帯電器40表面へのブリードアウトを防止すると共に、帯電器40全体の電気抵抗を調整するために設けられており、導電性または半導電性を有する材料によって形成される。帯電器40(抵抗層)の外径は、たとえば14mmである。
【0057】
また、帯電器40は、感光体ドラム36と同程度の軸方向長さを有し、帯電器40と感光体ドラム36とは、その外周面同士が接触するように互いの軸が平行に配置されて、同じ周速度で回転する。また、クリーニングローラ72は、感光体ドラム36と反対側の位置において、帯電器40の外周面と接触するように配置される。クリーニングローラ72は、円柱状の金属シャフトとその外周面上を覆う弾性発泡体(スポンジ層)とを備え、帯電器40の外周面に付着したトナー等の異物を除去する。
【0058】
また、帯電器40の軸方向両端部のそれぞれには、帯電器40を回転可能に支持するための支持部材である軸受76が設けられる。軸受76は、感光体ドラム36の径方向に直線的に移動可能な状態でフレーム74に対して取り付けられる。つまり、この軸受76によって支持される帯電器40は、感光体ドラム36の径方向に移動可能である。また、軸受76の感光体ドラム36と反対側の端部には、スプリング等の付勢部材78が設けられる。付勢部材78は、感光体ドラム36に対して帯電器40を所定圧で当接させるための部材であって、軸受76を介して帯電器40を感光体ドラム36側に向かって付勢する。なお、この第1実施例では、帯電器40と共に、クリーニングローラ72も軸受76によって回転可能に支持される。
【0059】
以下、図5を参照して、軸受(支持部材)76の構成について具体的に説明する。なお、帯電器40の軸方向を基準とする位置の説明においては、複合機本体12の前方側(前面側)の位置を前端側または前端部と言い、複合機本体12の後方側(背面側)の位置を後端側または後端部と言うこととする。また、ここでは、帯電器40の後端部を支持する軸受76を後端側から見た様子を表したものを正面図(図5(a))として説明する。なお、帯電器40の前端部を支持する軸受76では、後述するクリーニングローラ受部88および係止爪90が図5に示す後端側の軸受76と前後逆に配置されることに留意されたい。
【0060】
図5に示すように、軸受76は、連結部80、帯電器受部82、付勢部材取付部84、案内溝86、クリーニングローラ受部88および係止爪90などを含み、これらは合成樹脂によって一体成型される。帯電器受部82は、連結部80上部において、円弧状断面を有する湾曲板状に形成され、その内側面によって帯電器40の軸(導電性支持体)の端部を支持する。付勢部材取付部84は、連結部80下部において、下方に突出する円柱状に形成され、その外周面に沿うように付勢部材78が取り付けられる。また、案内溝86は、連結部80両側部(帯電器40の軸方向と直交する方向における両端部)において、上下方向に延びるように形成される。この案内溝86に対してフレーム74に形成される突起(図示せず)が嵌め込まれ、その突起に沿って軸受40が移動することによって、軸受40は、感光体ドラム36の径方向に安定的に移動する。また、クリーニングローラ受部88は、連結部80の前端側下部から突出する円弧状断面を有する湾曲板状に形成され、その内側面によってクリーニングローラ72の軸(金属シャフト)の端部を支持する。
【0061】
そして、連結部80の後端側には、係止爪90が形成される。係止爪90は、詳細は後述するように、フレーム74からの軸受76の抜けを防止すると共に、感光体ドラム36から離れた離間位置で帯電器40を保持するために用いられる。なお、離間位置とは、帯電器40と感光体ドラム36とが当接している状態である基本位置よりも、付勢部材78側に所定距離だけ移動した状態で帯電器40が静止する位置を言う。この第1実施例では、離間位置は、後述する係止爪90の係止片90aと離間部材102の挿通部106とが係合することによって、挿通部106の厚みに応じた距離だけ感光体ドラム36から離れた状態で、帯電器40が静止する位置である(図9参照)。
【0062】
係止爪90は、U字状に横方向(帯電器40の軸方向と直交する方向)に延びる支持片90aを有する。係止爪90は、この支持片90aの基端部と湾曲部とにおいて連結部80と連結される。また、支持片90aの先端部には、横方向に突出する断面略三角形状の係止片90bが形成される。係止爪90は、U字状に形成される支持片90aを有することから、横方向に撓む適度な弾性を有する。このため、フレーム74に対して軸受76を取り付けるとき等には、係止爪90が適切に撓むことによってその破損が防止される。
【0063】
このような軸受76は、上述のように、帯電器40の軸方向両端部のそれぞれに設けられる。ここで、帯電器40の後端部に設けられる軸受76は、導電性樹脂によって形成される。導電性樹脂としては、たとえば、ポリアセタール(POM)樹脂に対して導電性カーボンや金属などの導電性材料の粉末を配合したものが用いられる。なお、帯電器40によって感光体ドラム36を帯電させる際には、直流電源(図示せず)からの電圧が付勢部材78に印加され、導電性を有する後端部側の軸受76を介して帯電器40に電圧が印加される。一方、帯電器40の前端部には電圧を印加しないので、帯電器40の前端部に設けられる軸受76は、絶縁性を有するPOM樹脂などの絶縁性樹脂によって形成される。
【0064】
また、この第1実施例では、帯電器40の前端部に設けられる軸受76が有する係止爪90の大きさは、帯電器40の後端部に設けられる軸受76が有する係止爪90の大きさよりも大きくされる。係止爪90を大きくするに際しては、たとえば、支持片90aおよび係止片90bの厚み(肉厚)が大きくされたり、軸方向長さが大きくされたりする。これは、上述のように、帯電器40の後端側の軸受76(係止爪90)がカーボン等の導電性材料を分散させたPOM樹脂によって形成されるのに対して、帯電器40の前端側の軸受76は、導電性材料を用いないPOM樹脂によって形成されるので、その強度が少し小さくなり、係止爪90による係合が外れ易くなる傾向があるからである。前端側の係止爪90を後端側の係止爪90よりも大きくすることによって、前端側の係止爪90の強度を大きくすることができる。これにより、前端側の係止爪90と後述するフレーム74の係止部92または離間部材102の挿通部106との係合が意図せず外れてしまうことを防止できる。
【0065】
ただし、帯電器40の両端部に設けられる軸受76が有する係止爪90の大きさは、必ずしも異ならせる必要はなく、同じ大きさに形成してもよい。また、たとえば、帯電器40の前端側の軸受76をPOM樹脂よりも剛性または硬度の高い絶縁性材料によって形成することにより、前端側の係止爪90の強度を大きくすることもできる。
【0066】
図4に戻って、プロセスユニット10のフレーム74には、上述の係止爪90と対応する位置において、係止部(第1係止部)92および離間部材挿入孔94が形成される。係止部92は、フレーム74の内側面から軸受76側に向かって突出しており、係止爪90の係止片90bと係合することによってフレーム74からの軸受76の抜けを防止する(図6および図7参照)。離間部材挿入孔94は、感光体ドラム36と反対側の係止部92の近接位置に形成される孔であり、フレーム74を横方向に貫通する。この第1実施例では、係止部92の下面と離間部材挿入孔94の上端縁(内側面上部)とは面一に連結されている。すなわち、この第1実施例では、離間部材挿入孔94の上端縁が係止部(第1係止部)92として機能しているとも言える。離間部材挿入孔94の大きさは、その上端縁と係止爪90の係止片90bとの間に、後述する離間部材102の挿通部106を挿通可能な大きさとされる。
【0067】
以下、プロセスユニット10に感光体ドラム36を取り付けるときに、感光体ドラム36から帯電器40を離間させておく帯電器40の離間方法について説明する。
【0068】
図4に示すように、帯電器40が基本位置に位置する状態、すなわち、プロセスユニット10に感光体ドラム36が装着され、付勢部材78からの付勢力を受けて帯電器40と感光体ドラム36とが当接している状態においては、係止爪90の係止片90bは、離間部材挿入孔94内に位置し、係止部92とは係合しない状態になっている。つまり、係止爪90は、通常使用時においては、付勢部材78の付勢力に対して影響を与えない態様とされる。
【0069】
一方、図6および図7に示すように、感光体ドラム36の交換時にプロセスユニット10のフレーム74から感光体ドラム36を取り外したとき、或いは、プロセスユニット10の製造時においてフレーム74に感光体ドラム36を取り付ける前の状態においては、帯電器40に対して感光体ドラム36による押さえが働かない。このため、軸受76および帯電器40は、付勢部材78の付勢力によって基本位置よりも付勢部材78と逆側(感光体ドラム36側)に移動し、係止爪90の係止片90bとフレーム74の係合部94とが係合した状態となる。これによって、フレーム74からの軸受76の抜けが防止され、フレーム74に感光体ドラム36が取り付けられていない状態においても、軸受76はフレーム74によって安定的に保持される。
【0070】
そして、プロセスユニット10に新たな感光体ドラム36を取り付けるときには、図8図10に示すように、離間部材102をプロセスユニット10に取り付けることによって、基本位置よりも付勢部材78側の位置、つまり感光体ドラム36から離れた離間位置に帯電器40を退避させておくようにする。
【0071】
具体的には、離間部材102は、縦壁、天壁および底壁を有する溝形の部材本体104を備える。部材本体104の内面は、フレーム74のクリーナユニット38側の外形に沿う形状とされ、離間部材102の部材本体104にプロセスユニット10を嵌め込むことによって、プロセスユニット10は起立状態で保持される。つまり、離間部材102は、感光体ドラム36の取付作業時において、プロセスユニット10を起立状態で安定的に戴置するための載置台としても機能する。また、離間部材102には、プロセスユニット10の離間部材挿入孔94と対応する位置において、部材本体104の内側面から突出する2つの平棒状の挿通部106が形成される。
【0072】
離間部材102をプロセスユニット10に取り付けるときには、軸受76を付勢部材78側に押し込むことによって、係止部92(つまり離間部材挿入孔94の上端縁)と係止爪90の係止片90bとの間に隙間を形成し、離間部材挿入孔94を通してその隙間に離間部材102の挿通部106を嵌め込む。これによって、離間部材102の挿通部106と係止爪90の係止片90bとが係合し、帯電器40は、感光体ドラム36から離れた離間位置で保持される。この際、感光体ドラム36と帯電器40との離間距離は、離間部材102の挿通部106の厚みによって決まるので、挿通部106の厚みを変更することによって自由に調整することができる。また、軸受76および係止爪90は、帯電器40を感光体ドラム36から離間させるに際して、感光体ドラム36の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。
【0073】
その後、帯電器40を離間位置に退避させた状態において、プロセスユニット10に新たな感光体ドラム36を取り付ける。これによって、感光体ドラム36の表面に塗られたスターティングパウダが帯電器40に付着することが防止され、帯電不良の発生が防止される。
【0074】
プロセスユニット10に感光体ドラム36を取り付けた後は、感光体ドラム36と帯電器40とを離間させた状態で、感光体ドラム36を回転させる。これにより、感光体ドラム36表面のスターティングパウダは、クリーナユニット38のクリーニングブレード38aによって除去される。その後、プロセスユニット10から離間部材102を取り外すことによって感光体ドラム36と帯電器40との離間状態を解除し、感光体ドラム36と帯電器40とを当接させる。これにより、感光体ドラム36の取付作業が終了する。
【0075】
この第1実施例によれば、軸受(保持部材)76に設けた抜け止め用の係止爪90を用いて、感光体ドラム(像担持体)36から離れた離間位置で帯電器40を保持するようにした。つまり軸受76に形成した係止爪90を抜け止め用および離間用として兼用するので、帯電器40を感光体ドラム36から離間させておくための部材を特別に設けることと比較して、構成を簡略化でき、プロセスユニット10内に余計なスペースを設ける必要が無くなる。したがって、プロセスユニット10を大型化することなく、プロセスユニット10に感光体ドラム36を取り付ける際に帯電器40を感光体ドラム36から離間させておくことができる。
【0076】
また、第1実施例によれば、軸受76は、帯電器40を感光体ドラム36から離間させるに際して、感光体ドラム36の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。したがって、プロセスユニット10を大型化する必要がない。
【0077】
さらに、第1実施例によれば、フレーム74に形成した離間部材挿入孔94に離間部材102の挿通部106を挿入するという簡単な作業で、帯電器40と感光体ドラム36とを離間させておくことができる。また、軸受76に係止爪90を形成し、フレーム74に係止部92および離間部材挿入孔94を形成するという簡単な構成であるので、プロセスユニット10を大型化する必要が無いことはもちろんのこと、製造コストを低減でき、故障する可能性を低くすることもできる。
【0078】
さらにまた、第1実施例によれば、係止爪90を有する軸受76を全体として一体成型するので、製造コストを低減することができる。
【0079】
なお、上述の第1実施例では、係止部92の下面と離間部材挿入孔94の上端縁とを面一に連結するようにしたが、これに限定されず、係止部92の下面から少し離れた位置に離間部材挿入孔94を形成するようにしてもよい。つまり、必ずしも離間部材挿入孔94の上端縁を係止部92として機能させる必要はない。
【0080】
また、係止爪90の具体的形状は特に限定されない。たとえば、係止爪90は、必ずしもU字状の支持片90aを有する必要はない。
【0081】
さらに、離間部材102の具体的形状も特に限定されない。たとえば、離間部材102として2つの平棒状の部材を用意し、それらを離間部材挿入孔94のそれぞれに差し込んで係止爪90の係止片90bと係合させることによって、感光体ドラム36から離れた離間位置で帯電器40を保持するようにしてもよい。
【0082】
[第2実施例]
次に、図11を参照して、この発明の第2実施例であるプロセスユニットと10について説明する。この第2実施例では、フレーム74に対して離間部材挿入孔94を形成する代わりに、第2係止部96を形成した点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。図11は、プロセスユニット10の係止爪90部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0083】
図11に示すように、プロセスユニット10のフレーム74には、係止爪90と対応する位置において、2つの係止部92,96、つまり第1係止部92および第2係止部96が形成される。第1係止部92は、フレーム74の内側面から軸受76側に向かって突出しており、係止爪90の係止片90bと係合することによってフレーム74からの軸受76の抜けを防止する。また、第2係止部96は、第1係止部92よりも感光体ドラム36から離れた位置において、フレーム74の内側面から軸受76側に向かって突出するように形成されており、係止爪90の係止片90bと係合することによって感光体ドラム36から離れた離間位置で帯電器40を保持する際に利用される。
【0084】
帯電器40を離間位置に退避させるときには、係止爪90の係止片90bが第2係止部96を乗り越えるまで、軸受76を付勢部材78側に押し込む。これによって、係止爪90の係止片90bと第2係止部96とが係合され、帯電器40が感光体ドラム36から離れた離間位置で保持される。
【0085】
また、図示は省略するが、係止爪90の係止片90bの外側部には、把持用の突起を形成しておくとよい。帯電器40を離間位置から基本位置に戻す際には、この把持用の突起を把持して係止片90bを第2係止部96と反対側に移動させるように係止爪90を撓ませて、係止片90bと第2係止部96との係合を解除すれば、付勢部材78からの付勢力によって自動的に帯電器40と感光体ドラム36とが当接する状態となる。もちろん、係止片90bを直接把持して第2係止部96との係合を解除することもできるが、係止爪90に把持用の突起を形成しておくことによって、係止片90bと第2係止部96との係合を容易に解除できるようになる。
【0086】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、軸受76に設けた抜け止め用の係止爪90を用いて、感光体ドラム36から離れた離間位置で帯電器40を保持するようにしたので、構成を簡略化でき、プロセスユニット10内に余計なスペースを設ける必要が無くなる。したがって、プロセスユニット10を大型化することなく、プロセスユニット10に感光体ドラム36を取り付ける際に帯電器40を感光体ドラム36から離間させておくことができる。
【0087】
また、第2実施例によれば、軸受76は、帯電器40を感光体ドラム36から離間させるに際して、感光体ドラム36の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。したがって、プロセスユニット10を大型化する必要がない。
【0088】
さらに、第2実施例によれば、軸受76を付勢部材78側に押し込むという簡単な作業で、帯電器40と感光体ドラム36とを離間させておくことができる。また、軸受76に係止爪90を形成し、フレーム74に第1係止部92および第2係止部96を形成するという簡単な構成であるので、プロセスユニット10を大型化する必要が無いことはもちろんのこと、製造コストを低減でき、故障する可能性を低くすることもできる。
【0089】
[第3実施例]
続いて、図12を参照して、この発明の第3実施例であるプロセスユニット10について説明する。この第3実施例では、軸受76に形成した係止爪90の突出方向が上述の第1および第2実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1および第2実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化することとし、以下では、この第3実施例のプロセスユニット10が備える軸受76の構成についてのみ説明する。
【0090】
図12に示すように、軸受76の連結部80の後端側には、係止爪90が形成される。係止爪90は、帯電器40の軸方向に対してU字状に延びる支持片90aを有し、支持片90aの先端部には、フレーム74の後端側の側壁に向かって突出する断面略三角形状の係止片90bが形成される。また、フレーム74の後端側の側壁には、係止爪90の係止片90bと対応する位置において、第1係止部72と離間部材挿入孔94または第2係止部76とが形成される。
【0091】
なお、図示は省略するが、帯電器40の前端部を支持する軸受76では、クリーニングローラ受部88および係止爪90が図12に示す軸受76と前後逆に配置され、フレーム74の前端側の側壁に第1係止部72と離間部材挿入孔94または第2係止部76とが形成される。
【0092】
この第3実施例においても、上述の第1実施例と同様に、軸受76に設けた抜け止め用の係止爪90を用いて、感光体ドラム36から離れた離間位置で帯電器40を保持するようにしたので、構成を簡略化でき、プロセスユニット10内に余計なスペースを設ける必要が無くなる。したがって、プロセスユニット10を大型化することなく、プロセスユニット10に感光体ドラム36を取り付ける際に帯電器40を感光体ドラム36から離間させておくことができる。
【0093】
また、第3実施例によれば、軸受76は、帯電器40を感光体ドラム36から離間させるに際して、感光体ドラム36の径方向に直線的に移動するだけであるので、その周囲には大きな空間を必要としない。したがって、プロセスユニット10を大型化する必要がない。
【0094】
なお、上述の各実施例では、プロセスユニット10は、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40およびクリーニングローラ72等を備えるようにしたが、これに限定されない。プロセスユニット10は、少なくとも感光体ドラム(像担持体)36と帯電器40とを備えておればよく、たとえば、クリーナユニット72は、プロセスユニット10に含まれずに別体とされていてもよい。また、たとえば、プロセスユニット10に現像器34を含むようにする、つまり、感光体ドラム36および帯電器40等に加えて現像器34が一体化されていてもよい。
【0095】
また、上述の各実施例では、軸受76に対して係止爪90を一体成型するようにしたが、軸受76と係止爪90とは、別体として形成したものを嵌合させる等して接続することによって、一体化するようにしてもよい。
【0096】
さらに、上述の各実施例では、帯電器40としてローラ型の帯電器(帯電ローラ)を用いたが、ブラシ型の帯電器(帯電ブラシ)を用いることもできる。この場合には、帯電ブラシの支持部材として機能する取手部に対して係止爪を形成するようにするとよい。
【0097】
また、上述の各実施例では、フレーム74の両端部に離間部材挿入孔94または第2係止爪96のいずれかを形成するようにしたが、フレーム74の一方端側に離間部材挿入孔94を形成し、他端側に第2係止爪96を形成するということもできる。
【0098】
さらに、上述の各実施例では、軸受76を感光体ドラム36の径方向に移動させるようにしたが、ここで言う径方向とは、厳密な意味での径方向のみを言うのではなく、略径方向を含むものである。たとえば、感光体ドラム36の径方向と軸受76の移動方向とが少し傾いていてもよいし、感光体ドラム36の径方向と軸受76の移動方向とが平行に少しずれた状態であってもよい。
【0099】
また、上で挙げた寸法などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 …プロセスユニット
12 …複合機本体
14 …画像読取装置
28 …制御部
36 …感光体ドラム(像担持体)
38 …クリーナユニット
40 …帯電器
74 …フレーム
76 …軸受
78 …付勢部材
90 …係止爪
90a …支持片
90b …係止片
92 …係止部(第1係止部)
94 …離間部材挿入孔
96 …第2係止部
100 …複合機(画像形成装置)
102 …離間部材
106 …挿通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12