(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記少なくとも一つのスケールマークの近傍に複数の数値が存在するか否かを判定し、前記複数の数値が存在すると判定した場合には、当該複数の数値と前記少なくとも一つのスケールマークとに基づいて、前記キャリブレーション情報を生成する請求項1記載の超音波診断装置。
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記少なくとも一つのスケールマークの近傍に複数の数値が存在しない場合、入力部を介して入力される数値に基づいて、前記キャリブレーション情報を生成する請求項2記載の超音波診断装置。
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記少なくとも一つのスケールマークの近傍に複数の数値が存在しない場合、予め設定されている数値に基づいて、前記キャリブレーション情報を生成する請求項2記載の超音波診断装置。
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記画像データ内に存在する前記少なくとも一つのスケールマークの近傍に存在する単位を表す文字列を、前記換算値の単位とすることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記画像データ内に存在する前記複数のスケールマークの近傍に単位を表す文字列が存在しない場合、予め定められた単位を前記換算値の単位とする請求項1記載の超音波診断装置。
前記生成されたキャリブレーション情報に含まれる換算値を用いて、前記画像データに含まれる超音波画像について所定の計測処理を行う計測処理部を更に具備することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
前記キャリブレーション情報生成処理部は、前記画像データ内に存在する前記少なくとも一つのスケールマークの近傍に存在する単位を表す文字列を、前記換算値の単位とすることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の第1及び第2の実施形態においては、超音波診断装置への適用例について説明する。しかしながら、当該例に拘泥されず、各実施形態において説明されるキャリブレーション情報の生成手法は、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等の各種医用画像診断装置、或いは、各種医用画像診断装置によって撮像された医用画像を観察等するための医用画像処理装置においても、適用可能である。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示す図である。
図1に示すように、超音波診断装置は、超音波診断装置本体(以下、単に装置本体と表記)11と、超音波プローブ12と、入力装置13と、モニタ14とを備える。また、装置本体11は、送受信部21、Bモード処理部22と、ドプラ処理部23と、画像生成部24と、データベース25と、制御プロセッサ(CPU)26と、インタフェース部27とを含む。なお、装置本体11に内蔵される送受信ユニット21等は、例えば集積回路等のハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムである場合もある。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0020】
超音波プローブ12は、送受信部21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体Pからの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12で受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0021】
入力装置13は、装置本体11に接続され、操作者からの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11に取り込むためのトラックボール13a、各種スイッチ・ボタン13b、マウス13c及びキーボード13d等を有している。
【0022】
モニタ14は、画像生成部24からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0023】
送受信部21は、図示しないパルス発生器、送信遅延部及びパルサ等を有している。パルス発生器は、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。送信遅延部は、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し、かつ、送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を、各チャンネルのレートパルスに与える。パルサは、チャンネル毎にレートパルスに基づくタイミングで超音波プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0024】
また、送受信部21は、図示しないプリアンプ、受信遅延部及び加算器等を有している。プリアンプは、超音波プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。受信遅延部は、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0025】
Bモード処理部22は、送受信部21からのエコー信号をBモード処理する。具体的には、Bモード処理部22は、送受信部21からのエコー信号を包絡線検波し、包絡線検波されたエコー信号を対数圧縮する。これにより、エコー信号の強度を輝度で表現するBモード画像のデータを生成する。生成されたBモード画像のデータは、画像生成部24に供給される。
【0026】
ドプラ処理部23は、送受信部21からのエコー信号をドプラモード処理し、レンジゲート内のドプラスペクトラム像(ドプラモードの画像)のデータを生成する。具体的には、ドプラ処理部23は、送受信部21からのエコー信号を直交検波する。ドプラ処理部23は、直交検波されたエコー信号の中から、予め設定されたレンジゲート内の信号を抽出する。ドプラ処理部23は、レンジゲート内の信号をFFT(Fast Fourier Transform)によりスペクトル解析し、流速値(流速スペクトラム)を算出する。ドプラ処理部23は、流速スペクトラムの経時的変化を示すドプラスペクトラム像のデータを生成する。生成されたドプラスペクトラム像のデータは、画像生成部24に供給される。なお、送受信部21からのエコー信号に対しては、例えばカラードプラモード画像のデータを生成するためのカラードプラモード処理等が行われてもよい。
【0027】
画像生成部24は、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)により構成される。画像生成部24は、Bモード処理部22からのBモード画像のデータをモニタ14に表示可能な画像データに変換する。同様に、画像生成部24は、ドプラ処理部23からのドプラスペクトラム像のデータをモニタ14に表示可能な画像データに変換する。
【0028】
なお、本実施形態において、上記したモニタ14の画面上に表示された超音波画像を含む画像データ(モニタ14上の表示画像データ)は、データベース25に格納(蓄積)されて、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっている。超音波診断装置では1つの画面に複数の超音波画像が同時に表示される場合があり、データベース25に格納される画像データには例えば複数の超音波画像が含まれていてもよい。また、データベース25に格納された画像データ内には、当該画像データに含まれる超音波画像において生体内換算距離等を表すための数値やスケールマークが描画されている(埋め込まれている)ものとする。
【0029】
なお、本実施形態において、データベース25には、超音波画像について所定の計測を行う際に利用される情報が付帯情報として設定されていない画像データが格納されてもよい。ここで、付帯情報とは、例えば視野深度といった生体に関する情報、当該画像データにいくつの超音波画像がどのようなモード(例えば、Bモードやドプラモード)の組み合わせで含まれている(表示されている)かといった情報や超音波画像における1ピクセルあたりの換算値等の情報をいう。
【0030】
制御プロセッサ26は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、装置本体11の動作を制御する。制御プロセッサ26は、例えば図示しない内部記憶装置から後述する画像処理等を実行するための制御プログラムを読み出して、各種処理に関する演算・制御等を実行する。なお、制御プロセッサ26によって実行される処理の詳細については後述する。
【0031】
インタフェース部27は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。超音波診断装置において得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェース部27によってネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
次に、
図2を参照して、
図1に示す制御プロセッサ26によって実行される処理について説明する。
図2に示すように、制御プロセッサ26は、制御部261、画像管理処理部262、画像処理部263、キャリブレーション情報生成処理部264及び画像表示処理部265を含む。これらの各部261〜265は、制御プロセッサ26が上述した制御プログラムを実行することによって実現されるものとする。
【0033】
制御部261は、データベース25に格納されている画像データの中から任意の画像データを選択する操作者の操作に基づいて、当該操作者によって選択された画像データをデータベース25から読み出すように画像管理処理部262に指示する。なお、任意の画像データを選択する操作は、例えば入力装置13を用いて行うことができる。
【0034】
画像管理処理部262は、制御部261からの指示に応じて、操作者によって選択された画像データをデータベース25から読み出す。データベース25から読み出された画像データは、画像管理処理部262の内部に一時保管される。
【0035】
画像処理部263は、画像管理処理部262によってデータベース25から読み出された画像データに付帯情報が設定されているか否かを判定する。付帯情報が設定されていない場合、画像処理部263は、画像管理処理部262において一時保管されている画像データを取得して、キャリブレーションデータ生成処理部264に渡す。一方、付帯情報が設定されている場合、画像管理処理部262において一時保管されている画像データは、画像表示処理部265に渡されて、モニタ14に表示される。
【0036】
キャリブレーション情報生成処理部264は、画像管理処理部262から渡された画像データ内に存在する複数の数値及び当該数値の各々の近傍に存在する複数のスケールマークの位置に基づいて、当該画像データに含まれる超音波画像における1ピクセルあたりの換算値(以下、キャリブレーション値と表記)を含むキャリブレーション情報を生成する。画像管理処理部262から渡された画像データに複数の超音波画像が含まれている場合、キャリブレーション情報生成処理部264は、当該画像毎にキャリブレーション情報を生成する。キャリブレーション情報生成処理部264は、生成されたキャリブレーション情報を、画像管理処理部262から渡された画像データの付帯情報として当該画像管理処理部262の内部に設定する。
【0037】
画像表示処理部265は、操作者によって選択された画像データ(データベース25から読み出された画像データ)をモニタ14に表示する。このとき、画像表示処理部265は、操作者によって選択された画像データの付帯情報として設定されたキャリブレーション情報を、当該画像データとともに表示する。
【0038】
次に、
図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る超音波診断装置の処理手順について説明する。ここでは、データベース25に格納されている画像データから上記したキャリブレーション情報を生成する際の処理について説明する。なお、データベース25に格納されている画像データは、上述したように超音波画像がモニタ14の画面上に表示された際の画像データであり、少なくとも1つの超音波画像を含むものである。
【0039】
上述したように、操作者は、入力装置13を操作することによって、データベース25に格納されている画像データの一覧の中から所望の画像データを選択することができる。以下、操作者によって選択された画像データを選択画像データと称する。
【0040】
この場合、制御部261は、入力装置13から操作情報を受け取り、選択画像データの読み込みを画像管理処理部262に指示する。
【0041】
次に、画像管理処理部262は、制御部261からの指示に応じて、選択画像データをデータベース25から読み込む(ステップS1)。このとき、画像管理処理部262は、データベース25から読み込まれた選択画像データを、当該画像管理処理部262の内部に一時的に保管する。また、画像管理処理部262は、選択画像データを画像表示処理部265に渡し、当該選択画像データが一時的に保管されているメモリの情報(例えば、アドレス等)を画像処理部263に渡す。
【0042】
画像処理部263は、例えばデータベース25を参照して、選択画像データに付帯情報が存在する(つまり、付帯情報が設定されている)か否かを判定する(ステップS2)。なお、付帯情報とは、選択画像データに含まれる超音波画像について所定の計測を行う際に利用される情報であって、例えば生体に関する情報やシステムの設定情報等をいう。
【0043】
ここで、選択画像データに付帯情報が存在しない場合には、当該選択画像データに含まれる超音波画像について所定の計測処理を実行することはできない。換言すれば、選択画像データに含まれる超音波画像について所定の計測処理を実行するためには、当該計測処理に利用されるキャリブレーション情報を設定(生成)する必要がある。
【0044】
よって、選択画像データに付帯情報が存在しないと判定された場合(ステップS2のNO)、画像処理部263は、キャリブレーション情報を生成するために、画像管理処理部262から渡された情報を用いて当該画像管理処理部262の内部に一時的に保管されている選択画像データを取得し、当該選択画像データをキャリブレーション情報生成処理部264に渡す。
【0045】
次に、キャリブレーション情報生成処理部264は、画像処理部263から渡された選択画像データに基づいて、例えば生体内換算距離や血流速度等を計測するために用いられるキャリブレーション情報を生成する処理(以下、キャリブレーション情報生成処理と表記)を実行する(ステップS3)。ここで生成されるキャリブレーション情報には、例えば選択画像データに含まれる超音波画像における1ピクセルあたりの換算値(キャリブレーション値)等が含まれる。なお、キャリブレーション情報生成処理の詳細については後述する。
【0046】
キャリブレーション情報生成処理が実行された場合、キャリブレーション情報生成処理部264は、生成されたキャリブレーション情報を付加情報として、画像管理処理部262の内部に設定する(ステップS4)。
【0047】
また、キャリブレーション情報生成処理部264は、生成されたキャリブレーション情報を表示させるため、当該キャリブレーション情報に含まれるキャリブレーション値を文字列化した情報(当該キャリブレーション値を表す文字列)を画像表示処理部265に渡す。
【0048】
画像表示処理部265は、例えば制御部261の指示により、画像管理処理部262から渡された選択画像データをモニタ14に表示する(ステップS5)。ここでは、上記したキャリブレーション情報生成処理部264から渡された情報(キャリブレーション値を表す文字列)は、選択画像データとともにモニタ14に表示される。
【0049】
一方、上記したステップS2において付帯情報が存在すると判定された場合、ステップS3及びS4の処理は実行されず、ステップS5の処理が実行される。
【0050】
上記したような処理が実行されることによって、付帯情報が設定されていない状態でデータベース25に格納された画像データであっても、キャリブレーション情報を自動的に生成し、当該キャリブレーション情報を付帯情報として設定することが可能となる。
【0051】
次に、
図4のフローチャートを参照して、上述したキャリブレーション情報生成処理(
図3に示すステップS3の処理)の処理手順について説明する。
【0052】
まず、キャリブレーション情報生成処理部264は、画像処理部263から渡された選択画像データ(データベース25に格納されている画像データのうち操作者によって選択された画像データ)を取得する。なお、上記したように選択画像データ内には、当該選択画像データに含まれる超音波画像における例えば生体内換算距離等を表すための数値(文字列)やスケールマークが描画されている。
【0053】
次に、キャリブレーション情報生成処理部264は、取得された選択画像データに対して二値化処理を実行する(ステップS11)。この二値化処理は、画像データに含まれる超音波画像と数値等の文字列やスケールマークとを区別できる輝度に基づいて行われる。
【0054】
キャリブレーション情報生成処理部264は、二値化処理された選択画像データ内に存在する数値を抽出する(ステップS12)。
【0055】
具体的には、キャリブレーション情報生成処理部264は、二値化処理された選択画像データにおいて、X軸方向(横方向)に一列に並んでいる数値群(以下、X軸方向の数値群と表記)を抽出する。同様に、キャリブレーション情報生成処理部264は、二値化処理された選択画像データにおいて、Y軸方向(縦方向)に一列に並んでいる数値群(以下、Y軸方向の数値群と表記)を抽出する。このように抽出された数値の間隔が同じであれば、これらの数値は、例えば生体内換算距離等を表すための数値である可能性が高い。なお、X軸方向の数値群及びY方向の数値群は複数抽出されても構わない。
【0056】
次に、キャリブレーション情報生成処理部264は、二値化処理された選択画像データ内において、抽出された数値の近傍のスケールマークを抽出する(ステップS13)。この場合、数値の上下または左右で最も近傍に配置されている所定のマークがスケールマークとして抽出される。
【0057】
具体的には、キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS12において抽出されたX軸方向の数値群に沿うように、X軸方向に一定の間隔で存在するスケールマーク群(以下、X軸方向のスケールマーク群と表記)を抽出する。同様に、キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS12において抽出されたY軸方向の数値群に沿うように、Y軸方向に一定の間隔で存在するスケールマーク群(以下、Y軸方向のスケールマーク群と表記)を抽出する。なお、スケールマークには、例えば所定の形状のマークや特定の長さで定義される直線等が含まれる。なお、X軸方向のスケールマーク群及びY軸方向のスケールマーク群は複数抽出されても構わない。
【0058】
また、キャリブレーション情報生成処理部264は、抽出されたスケールマーク群を結ぶ直線(の延長線)上に当該スケールマークとは異なるマークが存在する場合には、当該マークを補助マークとして抽出する。この場合、抽出されたスケールマークに対して存在する補助マークを予め設定しておくことで、適切な補助マークを抽出することが可能となる。ここで抽出された補助マークが例えば一定の間隔で存在する場合、キャリブレーション情報生成処理部264によって抽出されたスケールマークは、例えば生体内換算距離等を表すためのスケールマークである可能性が高い。なお、X軸方向のスケールマーク群を結ぶ直線上に存在する補助マーク群をX軸方向の補助マーク群、Y軸方向のスケールマーク群を結ぶ直線上に存在する補助マーク群をY軸方向の補助マーク群と称する。
【0059】
キャリブレーション情報生成処理部264は、例えば当該キャリブレーション情報生成処理部264の内部に、抽出されたスケールマークの間隔(X軸方向のスケールマーク群の間隔及びY軸方向のスケールマーク群の間隔)を記憶する(ステップS14)。なお、X軸方向のスケールマーク群の間隔は、X軸方向のスケールマーク群のうち隣接するスケールマークの間のピクセル数を含む。同様に、Y軸方向のスケールマーク群の間隔は、Y軸方向のスケールマーク群のうちの隣接するスケールマークの間のピクセル数を含む。
【0060】
また、キャリブレーション情報生成処理部264は、抽出されたスケールマーク及び補助マークのうち、選択画像データ内において両端に存在するマークの位置(X座標、Y座標)を記憶する。具体的には、X軸方向のスケールマーク群及び補助マーク群のうち、最も左側に存在するマークの位置及び最も右側に存在するマークの位置(以下、X軸方向の両端位置と表記)が記憶される。同様に、Y軸方向のスケールマーク群及び補助マーク群のうち、最も上側に存在するマークの位置及び最も下側に存在するマークの位置(以下、Y軸方向の両端位置と表記)が記憶される。
【0061】
なお、以下の説明において、ステップS12において抽出されたX軸方向の数値群及びステップS13において抽出されたX軸方向のスケールマーク群(及び補助マーク群)の組み合わせパターンをX軸方向のパターンと称する。同様に、ステップS12において抽出されたY軸方向の数値群及びステップS13において抽出されたY軸方向のスケールマーク群(及び補助マーク群)の組み合わせパターンをY軸方向のパターンと称する。また、上記したようにX軸方向の数値群及びスケールマーク群やY軸方向の数値群及びスケールマーク群は複数抽出される場合があるが、この場合にはX軸方向のパターン及びY軸方向のパターンは選択画像データ内に複数存在することになる。
【0062】
次に、キャリブレーション情報生成処理部264は、X軸方向のパターン及びY軸方向のパターンの各々に対するキャリブレーション値(1ピクセルあたりの換算値)を算出する(ステップS15)。この場合、キャリブレーション情報生成処理部264は、X軸方向の数値群のうちの隣接する数値の差を、当該隣接する数値の各々の近傍に存在するスケールマークの間のピクセル数(X軸方向のスケールマーク群の間隔)で割ることによって、X軸方向のパターンに対するキャリブレーション値(以下、X軸方向のキャリブレーション値と表記)を算出する。同様に、キャリブレーション情報生成処理部264は、Y軸方向の数値群のうちの隣接する数値の差を、当該隣接する数値の各々の近傍に存在するスケールマークの間のピクセル数(Y軸方向のスケールマーク群の間隔)で割ることによって、Y軸方向のパターンに対するキャリブレーション値(以下、Y軸方向のキャリブレーション値と表記)を算出する。ここで算出されたキャリブレーション値は、選択画像データに含まれる超音波画像について所定の計測を行う際のキャリブレーション情報として利用される。
【0063】
なお、X軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列が存在する場合には、当該文字列をX軸方向のキャリブレーション値の単位として用いる。同様に、Y軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列が存在する場合には、当該文字列をY軸方向のキャリブレーション値の単位として用いる。一方、X軸方向またはY軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列が存在しない場合には、当該X軸方向またはY軸方向のキャリブレーション値の単位としては例えば予め定められたものを利用する。
【0064】
キャリブレーション情報生成処理部264は、当該キャリブレーション情報生成処理部264の内部に記憶されたX軸方向の両端位置及びY軸方向の両端位置に基づいて、選択画像データに含まれる超音波画像の領域(以下、単に画像領域と表記)を特定する(ステップS16)。この画像領域は、例えばX軸方向の最も左側に存在するマークのX座標及びY軸方向の最も上側に存在するマークのY座標を起点、当該X軸方向の最も右側に存在するマークのX座標及びY軸方向の最も下側に存在するマークのY座標を終点として、当該起点と終点とを結ぶ直線を対角線とする長方形(の領域)とする。
【0065】
なお、上記したように選択画像データ内に複数のX軸方向のパターン及びY軸方向のパターンが存在する場合には、互いに接している(共通部分がある)X軸方向のパターン及びY軸方向のパターン(における両端位置)の組み合わせ毎に画像領域が特定される。
【0066】
キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS16において特定された画像領域(つまり、X軸方向のパターン及びY軸方向のパターンの組み合わせ)毎に、当該X軸方向のキャリブレーション値及び当該Y軸方向のキャリブレーション値を含むキャリブレーション情報を生成する(ステップS17)。
【0067】
キャリブレーション情報生成処理において生成されたキャリブレーション情報は、前述したように選択画像データの付加情報として画像管理処理部262の内部に設定される。このように画像管理処理部262の内部にキャリブレーション情報が設定されることによって、当該キャリブレーション情報は、選択画像データに含まれる超音波画像について所定の計測を行う際に利用されることができる。
【0068】
以下、
図5〜
図7を参照して、本実施形態におけるキャリブレーション情報生成処理について具体的に説明する。
【0069】
図5は、データベース25に格納されている画像データのうち操作者によって選択された画像データ(選択画像データ)の一例を示す。なお、
図5に示す選択画像データは、2つの超音波画像が同時にモニタ14に表示された際の画像データである。
図5の上部に存在する超音波画像はBモードの画像であり、下部に存在する超音波画像はドプラモードの画像である。
【0070】
キャリブレーション情報生成処理においては、選択画像データに対して二値化処理が実行される。
図6は、
図5に示す選択画像データに対して二値化処理が実行された結果の一例を示す。
図6に示す選択画像データによれば、
図5に示す選択画像データと比較して、選択画像データ内に存在する数値及びスケールマークが認識しやすくなる。
【0071】
次に、選択画像データ(二値化処理された選択画像データ)内に存在するX軸方向の数値群及びY軸方向の数値群が抽出される。
【0072】
この場合、X軸方向の数値群としては、
図6に示す選択画像データ内の下部に存在する「−6.0」、「−5.0」、「−4.0」、「−3.0」、「−2.0」、「−1.0」及び「0」が抽出される。一方、Y軸方向の数値群として、
図6に示す選択画像データ内の右部に存在する「40」及び「20」が抽出される。更に、Y軸方向の数値群として、
図6に示す選択画像データ内の上部中央付近に存在する「0」、「1」、「2」、「3」及び「4」が抽出される。
【0073】
以下、X軸方向の数値群「−6.0」、「−5.0」、「−4.0」、「−3.0」、「−2.0」、「−1.0」及び「0」を便宜的に第1のX軸方向の数値群と称する。また、Y軸方向の数値群「40」及び「20」を便宜的に第1のY軸方向の数値群と称する。同様に、Y軸方向の数値群「0」、「1」、「2」、「3」及び「4」を便宜的に第2のY軸方向の数値群と称する。
【0074】
次に、選択画像データ内において、第1のX軸方向の数値群の近傍に存在するスケールマーク群(以下、第1のX軸方向のスケールマーク群と表記)が抽出される。この場合、
図6に示す選択画像データにおいては、第1のX軸方向のスケールマーク群として、例えば数値「−6.0」の上側に存在するスケールマーク100を含む複数のスケールマークが抽出される。なお、第1のX軸方向のスケールマーク群には、他の数値「−5.0」、「−4.0」、「−3.0」、「−2.0」、「−1.0」及び「0」の近傍に存在するスケールマーク100と同様のスケールマークも含まれる。このとき、第1のX軸方向のスケールマーク群を結ぶ直線(の延長線)上に存在する補助マーク101を含む複数の補助マーク(以下、第1のX軸方向の補助マーク群と表記)についても抽出する。以下、第1のX軸方向の数値群、スケールマーク群及び補助マーク群の組み合わせパターンを、便宜的に第1のX軸方向のパターン103とする。
【0075】
同様に、選択画像データ内において、第1のY軸方向の数値群の近傍に存在するスケールマーク群(以下、第1のY軸方向のスケールマーク群と表記)が抽出される。この場合、
図6に示す選択画像データにおいては、第1のY軸方向のスケールマーク群として、例えば数値「40」の左側に存在するスケールマーク110を含む複数のスケールマークが抽出される。なお、第1のY軸方向のスケールマーク群には、他の数値「20」の近傍に存在するスケールマーク110と同様のスケールマークも含まれる。以下、第1のY軸方向の数値群及びスケールマーク群の組み合わせパターンを、便宜的に第1のY軸方向のパターン111とする。
【0076】
更に、選択画像データ内において、第2のY軸方向の数値群の近傍に存在するスケールマーク群(以下、第2のY軸方向のスケールマーク群と表記)が抽出される。この場合、
図6に示す選択画像データにおいては、第2のY軸方向のスケールマーク群として、例えば数値「0」の左側に存在するスケールマーク120を含む複数のスケールマークが抽出される。なお、第2のY軸方向のスケールマーク群には、他の数値「1」、「2」、「3」及び「4」の近傍に存在するスケールマーク120と同様のスケールマークも含まれる。このとき、第2のY軸方向のスケールマーク群を結ぶ直線上に存在する補助マーク121を含む複数の補助マーク(以下、第2のY軸方向の補助マーク群と表記)についても抽出する。以下、第2のY軸方向の数値群、スケールマーク群及び補助マーク群の組み合わせパターンを、便宜的に第2のY軸方向のパターン122とする。
【0077】
ここで、
図6に示す選択画像データには上記した第2のY軸方向の数値群に対応するX軸方向の数値群は存在しないが、スケールマーク120及び当該スケールマーク120と同様の形状を有するスケールマーク130から構成されるX軸方向のスケールマーク群(以下、第2のX軸方向のスケールマーク群と表記)が存在する。この場合、選択画像データ内において、第2のX軸方向のスケールマーク群が抽出される。このとき、第2のX軸方向のスケールマーク群を結ぶ直線(の延長線)上に存在する補助マーク131を含む複数の補助マーク(以下、第2のX軸方向の補助マーク群と表記)についても抽出する。以下、第2のX軸方向のスケールマーク群及び補助マーク群の組み合わせパターンを、便宜的に第2のX軸方向のパターン132とする。
【0078】
次に、上記した第1のX軸方向のパターン103におけるスケールマークの間隔がキャリブレーション情報生成処理部264の内部に記憶される。この場合、第1のX軸方向のスケールマーク群のうち隣接するスケールマーク(ここでは、例えば数値「−6.0」及び数値「−5.0」の各々の上側に存在するスケールマーク)の間のピクセル数が記憶される。
【0079】
ここでは詳しい説明は省略するが、第2のX軸方向のパターン、第1のY軸方向のパターン111及び第2のY軸方向のパターン122についても同様にスケールマークの間隔(ピクセル数)が記憶される。
【0080】
次に、第1のX軸方向のパターン103、第1のY軸方向のパターン111、第2のX軸方向のパターン132及び第2のY軸方向のパターン122における両端の位置(以下、第1のX軸方向の両端位置、第1のY軸方向の両端位置、第2のX軸方向の両端位置及び第2のY軸方向の両端位置と表記)が記憶される。
【0081】
ここで、第2のX軸方向の両端位置としては、上述したように第2のX軸方向のパターン132において両端に存在するマーク(スケールマークまたは補助マーク)の位置が記憶される。なお、第2のY軸方向の両端位置についても同様である。
【0082】
一方、第1のX軸方向の両端位置及び第1のY軸方向の両端位置については例外的な処理がされるものとする。第1のX軸方向の両端位置について具体的に説明すると、
図6に示す選択画像データにおいては、第1のX軸方向のスケールマーク群(及び補助マーク群)を結ぶ直線が描画されている。このような場合には、第1のX軸方向の両端位置として、当該第1のX軸方向のスケールマーク群及び補助マーク群を結ぶ直線の両端の位置が記憶されるものとする。なお、第1のY軸方向の両端位置についても同様であるものとする。
【0083】
次に、第1のX軸方向のパターン103に対するキャリブレーション値(以下、第1のX軸方向のキャリブレーション値と表記)が算出される。この第1のX軸方向のキャリブレーション値は、上記した第1のX軸方向の数値群のうち隣接する数値(ここでは、例えば数値「−6.0」及び数値「−5.0」)の差を、第1のX軸方向のパターン103におけるスケールマーク(当該隣接する数値の各々の近傍に存在するスケールマーク)の間隔(ピクセル数)で割ることによって算出される。ここで、
図6に示す選択画像データにおいては、第1のX軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列が存在しない。この場合、X軸方向は時間軸を表すことが多いため、第1のX軸方向のキャリブレーション値の単位は「sec/pix」とする。
【0084】
また、上記した第1のX軸方向のキャリブレーション値と同様に、第1のY軸方向のパターンに対するキャリブレーション値(以下、第1のY軸方向のキャリブレーション値と表記)が算出される。ここで、
図6に示す選択画像データにおいては、第1のY軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列「cm/sec」が存在する。このため、第1のY軸方向のキャリブレーション値の単位は「cm/sec・pix」とする。なお、Y軸の単位が「cm/sec・pix」である場合には、これに対応するX軸の単位は「sec/pix」である場合が多い。したがって、第1のY軸方向のキャリブレーション値の単位「cm/sec・pix」に基づいて、上記した第1のX軸方向のキャリブレーション値の単位を「sec/pix」と決定してもよい。
【0085】
更に、上記した第1のX軸方向のキャリブレーション値と同様に、第2のY軸方向のパターン122に対するキャリブレーション値(以下、第2のY軸方向のキャリブレーション値と表記)が算出される。ここで、
図6に示す選択画像データにおいては、第2のY軸方向のパターンの近傍に単位を表す文字列が存在しない。この場合、Y軸方向は生体長等を表すことが多いため、第2のY軸方向のキャリブレーション値の単位は「cm/pix」とする。
【0086】
一方、上記したように第2のX軸方向のパターン132においては数値が存在しない。この場合、第2のX軸方向のパターン132に対するキャリブレーション値(以下、第2のX軸方向のキャリブレーション値と表記)は、
図6に示す選択画像データにおいて当該第2のX軸方向のパターン132に接しているパターン(ここでは、第2のY軸方向のパターン122)に対するキャリブレーション値と同じ値とする。また、第2のX軸方向のパターン132と第2のY軸方向のパターン122とではスケールマーク120が共通しているため、第2のX軸方向のキャリブレーション値の単位は、第2のY軸方向のキャリブレーション値の単位と同じとする。
【0087】
なお、各パターンにおいて単位を表す文字列が存在しない場合、当該単位を操作者に入力させるような構成とすることも可能である。同様に、各パターンにおいて数値が存在しない場合、当該パターンに対するキャリブレーション値を操作者に入力させるような構成とすることも可能である。
【0088】
次に、選択画像データに含まれる超音波画像の領域(画像領域)が特定される。
図6に示す選択画像データにおいては、上述したように2つの超音波画像が含まれている。したがって、ここでは2つの画像領域(以下、第1及び第2の画像領域と表記)が特定される。
【0089】
ここで特定される第1の画像領域とは、第1のX軸方向の両端位置及び第1のY軸方向の両端位置から形成される長方形の領域である。一方、第2の画像領域とは、第2のX軸方向の両端位置及び第2のY軸方向の両端位置から形成される長方形の領域である。
【0090】
なお、
図6に示すように、選択画像データにおいて、第1のX軸方向のパターン及び第1のY軸方向のパターンに関連して枠140が描画されているような場合には、例えば当該枠140を利用して当該枠140の内部の領域を第1の画像領域として特定しても構わない。
【0091】
また、
図6に示す選択画像データにおいて例えば第2のX軸方向のスケールマーク群及び補助マーク群が存在せず、第2の画像領域を特定することができないような場合には、上記した第1の画像領域以外の領域を第2の画像領域として特定してもよいし、例えば第2の画像領域を操作者に入力させるような構成としても構わない。
【0092】
次に、第1のX軸方向のキャリブレーション値及び第1のY軸方向のキャリブレーション値を含むキャリブレーション情報(以下、第1のキャリブレーション情報と表記)が生成される。この第1のキャリブレーション情報は、上記した第1の画像領域に対応する超音波画像について所定の計測を行う際に利用される情報である。
【0093】
同様に、第2のX軸方向のキャリブレーション値及び第2のY軸方向のキャリブレーション値を含むキャリブレーション情報(以下、第2のキャリブレーション情報と表記)が生成される。この第2のキャリブレーション情報は、上記した第2の画像領域に対応する超音波画像について所定の計測を行う際に利用される情報である。
【0094】
なお、上記したように生成された第1及び第2のキャリブレーション情報は、キャリブレーション情報生成処理部264の内部に選択画像データの付帯情報として設定される。
【0095】
また、第1及び第2のキャリブレーション情報は、選択画像データとともにモニタ14に表示される。
【0096】
具体的には、第1のキャリブレーション情報に含まれる第1のX軸方向のキャリブレーション値及び第1のY軸方向のキャリブレーション値(を表す文字列)と、第2のキャリブレーション情報に含まれる第2のX軸方向のキャリブレーション値及び第2のY軸方向のキャリブレーション値(を表す文字列)とが選択画像データとともに表示される。
【0097】
ここで、
図7は、選択画像データとともに第1及び第2のキャリブレーション情報が表示された際のモニタ14の表示画面の一例を示す。なお、
図7においては、便宜的に、Area1が上記した第2の画像領域を表し、Area2が上記した第1の画像領域を表しているものとする。
【0098】
図7に示すように、モニタ14の画面上には、上記した第1の画像領域を表すArea2のキャリブレーション情報として、「x=0.008sec/pix(第1のX軸方向のキャリブレーション値)」及び「y=0.286cm/sec・pix(第1のY軸方向のキャリブレーション値)」が表示されている。
【0099】
同様に、モニタ14の画面上には、上記した第2の画像領域を表すArea1のキャリブレーション情報として、「x=0.014cm/pix(第2のX軸方向のキャリブレーション値)」及び「y=0.014cm/pix(第2のY軸方向のキャリブレーション値)」が表示されている。
【0100】
このように第1及び第2のキャリブレーション情報が表示されることで、操作者は、画面上に表示されている各超音波画像に適用されるキャリブレーション値を容易に認識することができる。
【0101】
上記したように本実施形態においては、データベース25に格納された画像データ内に存在する複数の数値及び当該数値の各々の近傍に存在する複数のスケールマークの位置に基づいて、当該画像データに含まれる超音波画像について所定の計測を行うための換算値(1ピクセルあたりの換算値)を含むキャリブレーション情報を生成する構成により、例えば付帯情報が設定されていない画像データであっても当該キャリブレーション情報を用いて正確な計測を実施することが可能となり、更に、当該キャリブレーション情報を手動で設定する作業負担を軽減することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態においては、データベース25に格納された画像データが複数の超音波画像を含む場合であっても、当該超音波画像毎に画像領域を特定することによって、当該画像領域毎に適切なキャリブレーション情報を生成することが可能となる。
【0103】
なお、本実施形態においては、超音波画像について所定の計測を行う際に利用されるキャリブレーション情報を自動的に生成する点について主に説明したが、上記した制御プロセッサ26上で当該計測のためのプログラムが動作することによって、本実施形態に係る超音波診断装置上で、例えば操作者によって設定された計測用のマーク(キャリパ)と付帯情報として設定されたキャリブレーション情報とに基づいて、操作者によって選択された画像データに含まれる超音波画像について所定の計測処理(例えば、当該超音波画像上に表示される臓器または病変、更には血流速度情報等の計測処理)を行うことも可能である。
【0104】
この場合、本実施形態においては、上記した画像データに含まれる各超音波画像の領域(第1及び第2の画像領域)が特定されるため、操作者によって設定される計測用のマークが所定の領域を超えるような場合にエラーを検出する等の処理を行うことも可能である。
【0105】
なお、本実施形態においては、装置本体11でキャリブレーション情報を生成するものとして説明したが、例えば超音波診断装置外部の医用画像処理装置等においてキャリブレーション情報が生成されても構わない。
【0106】
(変形例1)
以上においては、例えば
図5、
図6において示した様に、選択画像データ内に数値(文字列)及びスケールマークの双方が含まれている場合のキャリブレーション情報の生成手法について説明した。本変形例1では、選択画像データ内に数値(文字列)が含まれずスケールマークのみが含まれている場合における、キャリブレーション情報の生成手法について説明する。
【0107】
図8は、本変形例1に係るキャリブレーション情報の生成手法の流れを示したフローチャートである。なお、
図8に示したフローチャートと
図4に示したフローチャートと比較した場合、ステップS22、S23の処理が追加された点が異なる。
【0108】
取得された選択画像データに対して二値化処理が実行されると(ステップS21)、キャリブレーション情報生成処理部264は、選択画像データ内に数値が存在するか否かを判定する(ステップS22)。選択画像データ内に数値が存在すると判定した場合には、キャリブレーション情報生成処理部264は、上述したステップS12〜S17と同様の処理が、ステップS23a〜S28において実行される。
【0109】
一方、ステップ22において選択画像データ内に数値が存在しないと判定した場合には、制御プロセッサ26は、例えばモニタ14等に「スケールマークの間隔(1間隔あたりの距離、時間、速度等)を示す数値が選択画像上に存在しません。スケールマークの間隔(1間隔あたりの距離、時間、速度等)を決定するための数値を、入力してください。」等のメッセージを表示する。ユーザは、当該メッセージに応答して、入力装置13から所望の数値を入力する。キャリブレーション情報生成処理部264は、入力された数値を用いてスケールマークの間隔(1間隔あたりの距離、時間、速度等)を決定し(ステップS23b)、ステップS24〜S28までの処理を実行する。
【0110】
本変形例1によれば、選択画像データ内に数値が含まれずスケールマークのみが含まれている場合であっても、キャリブレーション情報を簡単且つ迅速に生成することができる。なお、本変形例1では、ステップS23bにおいて、ユーザのマニュアル操作によって、スケールマークの単位を決定するための数値を入力する構成とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、ユーザの入力作業負担を軽減させる観点から、例えば予め設定された複数の数値からユーザが所望の数値を選択するようにしてもよい。さらに、予め装置に設定されている初期値を用いてスケールマークの単位を決定するための数値を設定するようにしてもよい。
【0111】
(変形例2)
図4、
図8にて示したキャリブレーション情報の生成手法においては、選択画像データを二値化処理した後、画像内の数値を抽出し、その近傍のスケールマークを抽出する順序として説明した。しかしながら、当該例に拘泥されず、二値化された選択画像内のスケールマークを抽出した後、その近傍の数値を抽出するようにしてもよい。
【0112】
(変形例3)
図4のステップS13、
図8のステップ24においては、スケールマークの典型的な抽出処理について説明した。これに対し、例えば超音波画像がドプラ波形である場合には、cm/s(m/s)等の速度単位、「0,−1,−2,・・・」とする数値(時刻)といったドプラモードに固有の文字情報が存在する。この様な固有の文字情報を抽出し、その近傍に存在するスケールマークをドプラ波形のベースラインとして抽出し、これを用いてキャリブレーション情報を生成するようにしてもよい。
【0113】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、キャリブレーション値の算出に加えて、選択画像に含まれる超音波画像の撮像モードを含むキャリブレーション情報を生成し提示する。
【0114】
図9は、第2の実施形態に係るキャリブレーション情報の生成手法の流れを示したフローチャートである。なお、
図9に示したフローチャートと
図4に示したフローチャートと比較した場合、ステップS37の処理が追加された点が異なる。
【0115】
例えば、
図4に示したステップS11〜S16と同様の処理が、
図8に示したステップS31〜S36において実行された後、キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS32において抽出した数値(文字列)情報、ステップS35において算出されたキャリブレーション値(1ピクセルあたりの物理単位)を用いて、画像データに含まれる超音波画像毎の撮像モードを判定する。
【0116】
例えば、キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS35において抽出した数値に、cm/s(m/s)等の速度単位、ステップS32において抽出した数値に、「0,−1,−2,・・・」等の数値(時刻)といったドプラモードに固有の文字情報が含まれる場合には、当該数値が割り当てられていた超音波画像の撮像モードは、ドプラモードであると判定する。
【0117】
また、キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS35において算出されたキャリブレーション値がX軸とY軸とで同じである場合(すなわち、数値のスケールがX軸とY軸とで同じである場合)には、当該キャリブレーション値に対応する超音波画像は、Bモードであると判定し、一方、ステップS35において算出されたキャリブレーション値がX軸とY軸とで一致しない場合(すなわち、数値のスケールがX軸とY軸とで異なる場合)には、当該キャリブレーション値に対応する超音波画像は、Mモードであると判定する(ステップS37)。
【0118】
なお、選択画像に数値が含まれていない場合には、上述した変形例1と同様に、撮像モードについても、ユーザのマニュアル操作等に基づいて決定するようにしてもよい。
【0119】
キャリブレーション情報生成処理部264は、ステップS37において判定された撮像モード、及びステップS35において算出されたキャリブレーション値を含むキャリブレーション情報を生成し、選択画像に含まれる各超音波画像との対応付けが明示された所定の形態にて表示する(ステップS38)。
【0120】
以上述べた構成によれば、1ピクセルあたりの物理単位としてのキャリブレーション値のみならず、選択画像に含まれる各超音波画像の撮像モードについても、キャリブレーション情報に含めてユーザに提供することができる。従って、例えば二次的な保存データであること等により、パーソナルコンピュータにおいて画像再生は可能であるがキャリブレーション情報を再生できない状況下であっても、選択画像に含まれる超音波画像毎のキャリブレーション値及び撮像モードをキャリブレーション情報として適宜提供することができる。その結果、特定の規格以外の画像をパーソナルコンピュータやタブレットコンピュータで取り扱う場合であっても、その場でキャリブレーション情報を取得し利用することが可能となる。その結果、医用画像の汎用性を拡張することができ、画像診断の質及び医用サービスの向上に寄与することができる。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。