(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208009
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】フッ素供給方法
(51)【国際特許分類】
C25B 1/24 20060101AFI20170925BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20170925BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20170925BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20170925BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
C25B1/24 A
C23C16/44 J
H01L21/205
H01L21/302 101H
H01L21/302 201A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-500467(P2013-500467)
(86)(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公表番号】特表2013-524000(P2013-524000A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011054338
(87)【国際公開番号】WO2011117234
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年2月19日
【審判番号】不服2015-20010(P2015-20010/J1)
【審判請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】10157904.3
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マウリッツィオ・パガーニン
【合議体】
【審判長】
池渕 立
【審判官】
河本 充雄
【審判官】
土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−501118(JP,A)
【文献】
特開2002−339090(JP,A)
【文献】
特開2007−191378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 1/00- 9/18,13/00-15/08,16/00-16/56
H01L21/205,21/302,21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともF2の製造の工程と、前記F2の使用場所への送達の工程と、前記F2の精製の工程と、前記F2の貯蔵の工程とを含む、F2をエッチング剤またはチャンバー洗浄剤として使用してのチャンバー中での物品のエッチングまたはチャンバーの清浄化を包含する、電子デバイスの製造のための方法であって、前記F2は、前記F2の製造の工程から使用場所への送達の工程まで2〜3バール(絶対)の圧力で維持され、前記送達の工程は、前記F2を製造装置から使用場所に送る工程である、方法。
【請求項2】
前記電子デバイスが、半導体、光電池、MEMS、およびTFTからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記F2が、電解質塩としてのKFおよびHFの付加物の存在下でのHFの電気分解によって、または金属フッ化物からフッ素を熱分解することによって製造される、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記F2が、現場で製造される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記チャンバーが、エッチングチャンバーであり、前記F2が、電解質塩としてのKFおよびHFの付加物の存在下でのHFの電気分解によって製造され、エッチング剤として前記エッチングチャンバー中に送達される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバーが、熱またはプラズマ支援エッチングチャンバーであり、前記F2が、電解質塩としてのKFおよびHFの付加物の存在下でのHFの電気分解によって製造され、前記熱またはプラズマ支援エッチングチャンバー中にチャンバー洗浄剤として送達される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバーが、プラズマ支援エッチングチャンバーである、請求項1、5または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記F2が、前記チャンバーと流体連結しているフッ素発生装置において電気分解によって製造される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フッ素発生装置が、前記チャンバーから500m以内の位置に設置されている、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年3月26日に出願されたEP10157904.3号明細書に対する優先権を主張しており、この出願の全ての内容が、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、電子デバイスの製造方法における、高圧下でのフッ素元素の供給(送達)方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フッ素元素(F
2)はGWPを有しておらず、オゾン層に影響を与えず、多くの場合、HFから電気分解により製造される。電解質塩の存在下において、HFは、少なくとも2.9Vの電圧が印加された場合、フッ素を放出する。実際には、電圧は、多くの場合、8〜10または11ボルトの範囲内に維持される。
【0004】
式KF・(1.8〜2.3)HFを場合に有することが多い、KFの溶融HF付加物は、好ましい電解質塩である。HFがこの溶融電解質塩を含有する反応器中に供給され、電圧を印加し、その溶融塩に電流を流すことによって、電気分解により、反応式(1)に従いHFからF
2が形成される。
2HF→H
2+F
2 (1)
【0005】
フッ素元素は、フッ素化剤、例えば、表面がフッ素化されたポリマーの製造用のフッ素化剤、フッ素化された溶媒(特にLiイオン電池用のもの)の製造用のフッ素化剤、電子デバイス(特に、半導体、光電池、微小電気機械システム(「MEMS」)、TFT(フラットパネルディスプレイまたは液晶ディスプレイ用の薄膜トランジスタ))の製造用のチャンバー洗浄剤およびエッチング液などとして、有用である。
【0006】
電子デバイス(特に、半導体、光電池、MEMSおよびTFT)の製造のためのエッチング液としての使用については、層を堆積させそれらの層の一部をエッチングするといういくつかの連続した工程が必要である。フッ素は、非常に困難な構成からなる層のエッチングのために(例えば、シリコン含有層または揮発性反応生成物を形成する化合物(例えばタングステン)からなるその他の層をエッチングするために)使用され得る。熱エッチングまたはプラズマ支援エッチングが行われ得る。
【0007】
チャンバー洗浄のための使用については、一般に、多くの場合にCVDチャンバー(化学蒸着(例えば、プラズマ強化CVD、金属有機CVDまたは低圧CVD)によって物品上に層を堆積させるところのチャンバー)である処理チャンバーにおいて行われる蒸着工程の間に望ましくない付着物がチャンバーの壁および内部構造部品上に形成するので、定期的に除去されなければならない。これは、その付着物を、フッ素元素をチャンバー洗浄剤として用いて熱によりまたはプラズマ強化により処理することによって、達成される。
【0008】
特にエッチング液としてのフッ素元素の使用のためであるが、チャンバー洗浄剤として使用される場合もまた同様に、フッ素元素が極めて純粋であることが望ましい。水、二酸化炭素、窒素および酸素の侵入は、望ましくないと考えられる。
【0009】
フッ素は、電解製造(または任意の他の方法)によって製造された後、加圧シリンダーに貯蔵され、使用現場に移動され得る。より高いF
2要求を有するプラントにおいては、F
2を現場で直接製造することが好ましい。
【0010】
したがって、(特許文献1)は、チャンバーと、基板のための支持体と、チャンバー中にエッチング液および/または堆積ガスを送達するための送達システムとを含む、基板を処理するための装置であって、その送達システムがチャンバーの近くに配置されている、装置を開示している。ガス発生装置は、大気圧またはほぼ大気圧で運転される。(特許文献2)において、その同じ特許権者は、発生装置が数トル〜大気圧で運転されることを記載している。
【0011】
(特許文献3)は、製造設備内でのF
2の生成、分配および使用を開示している。一実施形態によれば、F
2は、電解槽中で8ミリバールの圧力で製造され、15psig(約1.03絶対バールまたは103kPa)で貯蔵される。送達時の圧力は示されていない。別の実施形態によれば、F
2は、負圧大量貯蔵タンク中に貯蔵され、個々のツールコンプレッサーに負圧下で送達され、そこで圧縮され、ツールに送達される。
【0012】
(特許文献4)は、フッ素製造のための装置および方法を開示している。フッ素は、フッ素生成カセット中でHFから電気分解によって製造される。フッ素は、電子デバイスの製造において(例えば、TFTの製造において)使用され得る。このような圧力は安全のために一般的にはフッ素に対しては用いられていないが、製造されたフッ素は、5バールのフッ素の圧力に安全に耐える保持タンク中に貯蔵され得る。
【0013】
(特許文献5)は、半導体プラントのガス供給システム中に配置されるフッ素ガス発生装置を開示している。記載されている装置は、バッファータンクと、種々の活性ガスおよび不活性ガスを貯蔵する複数のガス源を有するガス貯蔵部と、カソード室およびF
2を生成するアノード室を含むガス生成システムとに連結された、流れ管理部を含有する。バッファータンク中の圧力は、例えば大気圧よりも0.18MPa高い圧力(すなわち、約2.8絶対バール)に設定されるが、ガス生成システム(電解槽)中の圧力は、大気圧〜820トル(およそ109kPa)の間である。半導体ツールに送達されるガスの圧力については、データは与えられていない。
【0014】
(特許文献6)は、処理システムにF
2を供給する方法であって、F
2現場発生装置が高純度のF
2を処理システムに供給する方法を開示している。F
2が典型的に35psig(2.4絶対バールまたは240kPa)未満で貯蔵される移動可能なガス貯蔵容器が利用され得る。固定された貯蔵タンクは、5〜25psig(0.34〜1.7絶対バールまたは34kPa〜170kPa)の圧力で運転される。送達圧力は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,602,433号明細書
【特許文献2】米国特許第6,926,871号明細書
【特許文献3】国際公開第2003/046244号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/009873号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/043125号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0130929号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、純粋なフッ素を使用することが望ましい工程へのフッ素の送達の改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、少なくともフッ素元素の製造の工程と、フッ素の使用場所への送達の工程と、任意選択的に、精製の工程および貯蔵の工程からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる工程とを含む、フッ素元素をエッチング剤またはチャンバー洗浄剤として使用してのチャンバー中での物品のエッチングまたはチャンバーの清浄化を包含する、電子デバイス(特に、半導体、光電池、MEMS、またはTFT)の製造のための方法であって、フッ素元素は、少なくとも使用場所への送達の工程において、周囲圧力より高い圧力下で維持される、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
チャンバーは、概して、そこで電子デバイスがエッチングされるところのチャンバーであるか、または望まれない付着物を除去するために折々もしくはスケジュール通りに清浄化されるべきであるチャンバーである。
【0019】
したがって、少なくとも使用場所へのフッ素の送達の工程は、周囲圧力より高い圧力下で行われる。本発明の方法が、精製および貯蔵からなる群から選択される少なくとも1つの工程をさらに含むこと、ならびにフッ素元素が、少なくとも使用場所への送達の工程と、精製および貯蔵の工程のうちの少なくとも1つとにおいて、周囲圧力より高い圧力下で維持されることが、特に好ましい。別の好ましい実施形態において、当該方法は、精製、貯蔵および送達の各々の工程を少なくとも1つ含み、かつ3つ全ての工程において、周囲圧力より高い圧力下で維持される。例えば「1つの工程(a step)」のような表現における「1つの(a)」という語は、その表現をただ1つの工程に限定することが意図されるものではない。用語「含む(comprising)」には、「からなる(consisting of)」という意味が含まれる。少なくとも使用場所への送達の工程の間、ならびに特に精製、貯蔵および送達の工程の間、周囲圧力より高い圧力下でフッ素を維持することの利点は、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、湿気および他の不純物がフッ素に侵入し得ず、したがって、フッ素を汚染し得ないことである。
【0020】
電解質としてのKFの存在下でのHFの電気分解によるF
2の製造に関する一実施形態において、F
2は、電解槽においても加圧下で維持される。好ましくは、F
2は、電解槽での電気分解によるその生成の最初から、精製の間、使用場所への送達の間、および実施される場合はその貯蔵の間も、加圧下で維持される。
【0021】
酸素の含有量は、750体積ppm未満であり、多くの場合に300体積ppm未満でさえありかつその低いレベルのままである。高圧のため、酸素のみならず、酸素含有不純物、窒素および二酸化炭素のレベルもまた同様に、非常に低いままである。窒素の含有量は、わずか数百体積ppm、さらにそれより低い体積ppmの範囲内にあり、送達の間、その低いレベルのままである。例えば二酸化炭素の含有量は、多くの場合、10体積ppm以下であり、送達の間、その低いレベルのままである。水の含有量は、多くの場合、1体積ppm以下であり、送達の間、その低いレベルのままである。したがって、本発明の方法は、ガス(例えば、酸素、窒素、水および二酸化炭素)の低いレベルを維持することを可能にするものであり、送達手段(例えば、パイプ、弁、マニホールドなど)を取り囲むガス雰囲気からのこれらの化合物の侵入を防ぎ、そうしてそのようなガスの低いレベルを維持することを可能にする。
【0023】
F
2の生成は、1個または数個の電解槽において行われ得る。1つの電解槽が使用される場合は、この槽は、1つまたは複数のツールにF
2を送達し得る。F
2が2つ以上の電解槽によって生成される場合は、1つの槽において生成されたF
2は、他の槽において生成されたF
2とは別個に1つまたは複数のツールに送達され得、他の槽において生成されたF
2は、1つまたは複数の他のツールに送達され得る。あるいは、2つ以上の槽において生成されたF
2は、共通ライン中に送られ、F
2が利用されるツールに分配され得る。この実施形態は、生成されたF
2は使用される前に精製されることがほとんどであり、当然ながら、生成されたF
2を多数の平行配置された精製装置に通すのではなく共通ライン中のF
2をそれぞれの精製装置に通す方が技術的に有利であるので、好ましい。
【0024】
多くの場合、当該方法は、数個の電解槽を有する装置を使用して行われる。製造されたF
2は、個々の槽から共通F
2ライン中に供給される。この好ましい実施形態を考慮して、本発明を詳細に説明する。
【0025】
特定の電解槽、または電解槽の群を、他から遮断し得る弁を備えることが、それぞれの槽の修理または保守のための運転停止が必要である場合に、有利である。
【0026】
製造されたF
2は、次いで、そのF
2を精製する手段に、共通ラインを通して送達される。この精製の工程において、固形物および/またはHFが除去され得る。
【0027】
1つまたは複数の精製の工程が、貯蔵前または貯蔵後に行われ得る(貯蔵の工程が予定される場合)。所望であれば、フッ素は、貯蔵前および貯蔵後に精製され得る。この場合、好ましくは、両方の精製工程は、周囲圧力より高い圧力下で行われる。精製は、主として知られているやり方で行われ得る。例えば、固体電解質塩(様々な組成のHFおよびKFの付加物)から主としてなる同伴固形物は、耐F
2性材料(特に、モネルメタルまたはニッケル)でできたフリットにおいて除去され得る。代替的または追加的に、固形物は、例えばジェットスクラバーにおいて、F
2を液体HFと接触させることによって除去され得る。同伴HFは、フッ素をNaFに通すことによって除去され得る。代替的または追加的に、HFは、冷却トラップ(例えば、約−60℃以下まで(例えば、−60℃〜−80℃の範囲内の温度まで)冷却されたトラップ)において除去され得る。精製手段は、手段の一部が他の手段が機能する間に再生され得るように、冗長であり得る。この場合も、製造されたF
2から個々の手段を隔絶するために、弁が有用である。
【0028】
1つまたは複数の精製の工程後、処理されたF
2は、ラインを通してツールに送達され得る。F
2が数個のツールに送達されることが意図される場合は、分配システムが利用され得る。この分配システムで、望ましい量のF
2が、それぞれのツールに送達され得る。所望される場合は、F
2は、ツールに導入される前に、他の適切なガス(例えば、ArまたはXeのような希ガス)と混合され得る。
【0029】
所望される場合は、F
2は、精製後に貯蔵タンクに送られ、そこでF
2は、好ましくは、上述された圧力下で維持される。
【0030】
本発明の方法は、他の一般的に使用される構成要素(例えば、減圧弁、シールポット、圧力変換器、熱電対、フィルターまたは弁制御システム)によって補助され得る。
【0031】
ツールは、半導体の製造のために利用される処理チャンバー、MEMSを製造するためのチャンバー、TFTまたはフラットパネルディスプレイの製造のためのチャンバーであり得る。ツールは、例えば、化学的または物理的蒸着チャンバーであり得る。多くの場合、ツールは、プラズマ発生装置を含む。
【0032】
好ましい実施形態において、フッ素はコンプレッサーによって加圧され、フッ素元素以外に、加圧用ガスは利用されない。
【0033】
フッ素の圧力は、好ましくは、1.5絶対バール(150絶対kPa)以上である。この圧力は、好ましくは、15絶対バール(1500絶対kPa)以下、より好ましくは、12絶対バール(1200絶対kPa)以下である。好ましい範囲は、2〜3絶対バール(200〜300絶対kPa)である。好ましくは、フッ素の圧力は、精製および送達の間、ならびに実施される場合は貯蔵の間も、示された高い方のレベルおよび低い方のレベルの範囲内で維持される。特に好ましくは、フッ素の圧力は、その電解生成の間、その精製の間、およびその使用場所への送達の間、ならびに実施される場合はその貯蔵の間も、示された高い方のレベルおよび低い方のレベルの範囲内、とりわけ2〜3絶対バールの範囲内に、維持される。その利点は、空気または湿気による汚染の危険がさらに低減されること、およびコンプレッサーが不要であることである。
【0034】
フッ素元素の製造の工程は、好ましくは、上記のように、KFおよびHFの付加物を電解質塩として使用して、HFの電気分解によって行われる。代替的に、フッ素元素は、高い原子価を有する金属フッ化物から分解され得る。例えば、MnF
4が加熱されて分解され、MnF
xを生成しながらF
2を生じ得る。ここでxは、およそ3である。
【0035】
精製の工程(予定される場合)は、例えば、特にHFが除去され得る、蒸留の工程を含む。代わりにまたはさらに、HFを除去するためにフッ素はNaFと接触され得る。
【0036】
貯蔵の工程(予定される場合)は、好ましくは、好適なタンク(例えば、ステンレス鋼ボトル)中でのフッ素元素の貯蔵を意味する。
【0037】
送達の工程は、好ましくは、フッ素を製造装置からパイプを通して使用場所に送ることを意味する。
【0038】
本発明の方法は、二酸化炭素、窒素および酸素の含有量が製造直後の二酸化炭素、窒素および酸素の含有量よりも高くないフッ素元素の使用場所への送達を可能にする。
【0039】
F
2を生成し送達するために使用される装置においては、真空連結部を間に有する二重遮断弁(double isolation valve)が安全性を向上させる。
【0040】
本発明の方法の利点は、製造されたF
2が、使用場所に送達された時にその純度を維持していることである。したがって、製造されたF
2は、一旦上に示されたように精製されてから、使用場所に送達され得る。その送達後は、送達されたF
2の精製のための追加的な工程は、必要ない。したがって、本方法の好ましい実施形態は、1つまたは複数の精製の工程が、いずれもF
2の使用場所への送達後にそれを精製するために行われることはないことを特徴とする。特に好ましくは、窒素、酸素、空気、湿気または二酸化炭素を除去するための1つまたは複数のF
2精製の工程は、使用場所へのF
2の送達後に行われることはない。湿気(H
2O)がF
2とOF
2およびHFの形成下で反応することが予想されることが留意されなければならない。したがって、用語「湿気」は、H
2OのF
2との反応生成物、特にHFおよびOF
2を含む。それらは形成されないので、除去されることはない。
【0041】
本発明の方法は、フッ素の現場製造に特に好適である。現場製造において、フッ素は、現場で製造され、所望される場合は貯蔵工程なしで、同じ現場の使用場所に直接送達される。好ましくは、使用場所は、そこでフッ素元素が、半導体、MEMS、太陽電池およびTFT(フラットパネルディスプレイ)の製造において熱もしくはプラズマ支援エッチング剤として使用されるか、または半導体、MEMS、太陽電池およびTFT(フラットパネルディスプレイ)の製造において使用される処理チャンバーの熱もしくはプラズマ支援洗浄のために使用されるか、または前記製造およびチャンバー洗浄の両方のために使用されるところのプラントである。プラズマは、エッチングチャンバーにおいて直接生成されたローカルプラズマ、またはプラズマ源を有する別個のチャンバーにおいて生成されたリモートプラズマである。
【0042】
したがって、好ましくは、フッ素元素は、半導体、MEMS、太陽電池およびTFTの製造における使用のために、現場で製造され、送達される。より好ましくは、フッ素元素は、半導体、MEMS、太陽電池およびTFTの製造において、現場で、2〜3バール(絶対)の圧力下、KFおよびHFの付加物の存在下でのHFの電気分解によって製造され、精製され、エッチング液としてエッチングチャンバー中に送達されるか、またはチャンバー洗浄剤として、半導体、MEMS、太陽電池およびTFTの製造のために使用される熱もしくはプラズマ支援エッチングチャンバー(特にチャンバーがプラズマエッチングチャンバーである場合)中に送達される。特に好ましくは、F
2は、その電解生成の間も、前記圧力下にある。
【0043】
フッ素は、所望される場合は、国際公開第2004/009873号パンフレットに記載されているようなフッ素生成カセット中で、製造され得る。所望される場合は、カセットは、そこでエッチングが行われるところの1つもしくは複数の処理チャンバーに1つずつ配分され得るか、または複数のフッ素生成カセットが、そうしたチャンバーに連結されたフッ素ガス分配システムに連結される。
【0044】
フッ素は、好ましくは、1つまたは複数の処理チャンバーと、特に好ましくは固形物の除去のための手段(例えば、上記のようなフリット)を含む精製ユニットおよび/またはHFのための吸着剤を含むキャニスターもしくは塔もしくはHF分離のための冷却分離機を介して、流体連結された装置において、電気分解により、その使用場所の現場で生成される。所望される場合は、フッ素発生装置は、使用場所としての処理チャンバーの近くに(例えば、この距離は、500m以下であり得、しばしば場合により50m以下である)設置され、処理チャンバーのすぐ近くに(例えば、10m以下の距離に)あり得る。したがって、好ましくは、生成されたフッ素元素は、タンクにも、次いで送達ラインから分離される加圧ボトルにも詰められない。所望される場合は、フッ素は、送達ラインに接続されたままのタンクまたはボトルにのみ、貯蔵される。当該方法は、例えば2010年9月15日に出願された米国仮特許出願第61/383533号明細書および2010年9月16日に出願された同第61/383204号明細書に記載されているようなスキッド概念に従うプラントにおいて、実施され得る。そこに記載されているプラントは、フッ素ガスを反応物として利用するツールに、このツールにおいて化学反応を行うためにフッ素ガスを供給するものであり、当該装置は、
−スキッド1として示される、少なくとも1つのHF用貯蔵タンクを含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド2として示される、少なくとも1つのF
2製造用電解槽を含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド3として示される、F
2を精製するための精製手段を含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド4として示される、フッ素ガスを使用場所に送達する手段を含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド5として示される、冷却水回路を含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド6として示される、排ガスを処理する手段を含むスキッド搭載モジュール、
−スキッド7として示される、F
2の分析のための手段を含むスキッド搭載モジュール、および
−スキッド8として示される、電解槽を動作させる手段を含むスキッド搭載モジュール
からなる群から選択される少なくとも1つのスキッド搭載モジュールを含むスキッド搭載モジュールを含む。
【0045】
スキッドの利点は、例えば、それらは工場試験前に、製造され、配管され、配線され、互いに組み立てられることである。スキッド間のインターフェースが最小限に抑えられるように、かつそれぞれのスキッド中の全ての部品が、保守、点検または修理のために可能な限り容易にアクセスできるように、スキッドが構築されると好ましい。
【0046】
本発明の方法は、特に現場で適用される場合に、製造され送達されるべきフッ素元素を、空気、すなわち酸素、窒素、二酸化炭素および湿気の侵入の危険およびF
2のそれぞれの汚染なしに、供給することを可能にする。
【0047】
参照により本明細書に援用されるいずれの特許、特許出願、および刊行物の開示も、それがある用語を不明確にし得るほどまでに、本出願の記載と矛盾する場合は、本出願の記載が優先するものとする。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を詳細に説明することが意図されるものである。
【0049】
実施例1:現場でのフッ素元素の送達
1.フッ素元素の製造:
KF・2HFを、電解槽に入れ、約80〜120℃まで加熱し、そこで溶融させる。HFを電解槽中に供給し、8〜12Vの範囲内の電圧を印加し、80〜100℃の間の温度範囲内に維持されたHFと溶融した電解質塩との組成物に電流を流す。フッ素元素および水素元素が、それぞれの電極室に形成する。フッ素元素を、モネルメタルフリットに通して固形物を除去し、コンプレッサーで約2.5絶対バール(約250kPa)の圧力まで圧縮し、NaF床に通してHFを除去する。
【0050】
2.加圧フッ素の送達
圧縮したフッ素を、パイプ中、前記圧力下で、現場に設けられた設備に直接送る。この設備において、フッ素元素は、半導体の製造のための工程において、PECVD(プラズマ強化蒸着)の間に堆積したシリコン含有残留物層からのプラズマチャンバーの清浄化のために利用される。
【0051】
フッ素は、製造装置からフッ素が利用される設備まで、周囲圧力より高い圧力下で維持されるので、空気はフッ素を汚染せず、酸素、酸素含有不純物、窒素および二酸化炭素の低いレベルは、本質的に同じままである。
【0052】
実施例2:加圧下でのフッ素元素の製造および送達
1.フッ素元素の製造:
KF・2HFを、電解槽に入れ、約80〜120℃まで加熱し、そこで溶融させる。HFを電解槽中に供給し、8〜12Vの範囲内の電圧を印加し、80〜100℃の間の温度範囲内に維持されたHFと溶融した電解質塩との組成物に電流を流す。フッ素元素および水素元素が、それぞれの電極室に形成する。F
2を、槽中およそ2.5絶対バール(約250kPa)の圧力下で維持する。F
2を、モネルメタルフリットに通し、ジェットスクラバー中で、約−80℃の温度で維持された液体HFと接触させて固形物(主として、およその組成KF・2HFを有する同伴固体電解質塩)を除去し、−80℃まで冷却されたトラップに通し、次いでNaF床に通してHFを除去する。
【0053】
2.フッ素の送達
F
2を、パイプ中、約2.5絶対バールの前記圧力下で、現場に設けられた設備に直接送る。この設備において、F
2は、半導体の製造のための工程において、PECVD(プラズマ強化蒸着)の間に堆積したシリコン含有残留物層からのプラズマチャンバーの清浄化のために利用される。
【0054】
フッ素は、製造装置からフッ素が利用される設備まで、周囲圧力より高い圧力下で維持されるので、空気はフッ素を汚染せず、酸素、酸素含有不純物、窒素および二酸化炭素の低いレベルは、送達の工程の間、本質的に同じままである。