特許第6208023号(P6208023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208023三次元造形物の張出構造および三次元造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208023
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】三次元造形物の張出構造および三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/171 20170101AFI20170925BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20170925BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20170925BHJP
【FI】
   B29C64/171
   B60R13/02 B
   B33Y80/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-7504(P2014-7504)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-134483(P2015-134483A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−161800(JP,A)
【文献】 特表2012−513911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/171
B33Y 80/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元造形機によって造形されており、カバー状の三次元造形物本体から張り出す格好を成す張出部を備えた三次元造形物の張出構造であって、
張出部は、三次元造形物本体に繋ぎ部材を介して造形されており、
繋ぎ部材を破断または折り曲げると、張出部を三次元造形物本体に対して組み付け可能となっていることを特徴とする三次元造形物の張出構造。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元造形物の張出構造であって、
繋ぎ部材は、略J字状に形成されていることを特徴とする三次元造形物の張出構造。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の三次元造形物の張出構造であって、
繋ぎ部材には、切欠溝が形成されていることを特徴とする三次元造形物の張出構造。
【請求項4】
三次元造形機によって造形されており、カバー状の三次元造形物本体から張り出す格好を成す張出部を備えた三次元造形物の製造方法であって、
三次元造形物本体と、張出部と、これら三次元造形物本体と張出部とを繋ぐ繋ぎ部材と、を三次元造形機によって一体的に造形する第1の工程と、
第1の工程の後に、繋ぎ部材を破断させて張出部を三次元造形物本体から取り外す、または繋ぎ部材を折り曲げる第2の工程と、
第2の工程の後に、取り外した張出部、または折り曲げた張出部を三次元造形物本体に対して組み付ける第3の工程と、を備えている三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の三次元造形物の製造方法であって、
第1の工程において、繋ぎ部材は、略J字状を成すように造形されていることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項4〜5のいずれかに記載の三次元造形物の製造方法であって、
第1の工程において、繋ぎ部材には、切欠溝が形成されていることを特徴とする三次元造形物の製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形物の張出構造および三次元造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車室内の見栄えを良くするために、車室内には、例えば、ドアトリム、加飾パネル等の各種の内装カバーが組み付けられている。このような内装カバーを製造するとき、製造数量が多い場合、この内装カバーに合った形状の専用の金型を製作して射出成形等によって製造する方法が知られている。一方、製造数量が少い場合、この内装カバーに合った形状の専用の金型を製作しても金型の製作費を回収できないため、近年、三次元造形機によって内装カバーを造形(製造)する方法が知られている。これにより、専用の金型を製作する必要がないため、少い製造数量の発注でも内装カバーの製造を受注できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−171299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、図8に示すように、上述した内装カバー101には、その内装カバー本体110の内面から張り出す格好の張出部が形成されている。この張出部は、車両ボデー等(図示しない)に取り付けるための係合爪122、132、142を有する複数本(この例では、3本)の挿込体(第1の挿込体120、第2の挿込体130、第3の挿込体140)から構成されている。このような複数の挿込体120、130、140は、その相手側の部材である車両ボデー等の係合孔(図示しない)の都合により、その長さは様々となっている。例えば、この図8に示すように、第1の挿込体120は、内装カバー本体110の内面から十分に張り出す格好を成す長さに設定されている。また、第2の挿込体130は、内装カバー本体110の内面から張り出す格好を成す長さに設定されている。また、第3の挿込体140は、内装カバー本体110の内面から僅かに張り出す格好を成す長さに設定されている。すなわち、第1の挿込体120の張出長>第2の挿込体130の張出長>第3の挿込体140の張出長となるように設定されている。このように第1の挿込体120が十分に張り出す格好を成す長さに設定されていると、三次元造形機における造形エリアにおいて、内装カバー101を一度に多く造形するとき、重ねた内装カバー101の挿込体(特に、第1の挿込体120)が他の内装カバー101に干渉してしまう。したがって、内装カバー101を一度に多く造形できないという問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、三次元造形物本体から張り出す格好の張出部を備える三次元造形物を三次元造形機によって造形するとき、この三次元造形物が重なり合うように複数造形する場合でも、一度に多くの三次元造形物を造形することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、三次元造形機によって造形されており、カバー状の三次元造形物本体から張り出す格好を成す張出部を備えた三次元造形物の張出構造であって、張出部は、三次元造形物本体に繋ぎ部材を介して造形されており、繋ぎ部材を破断または折り曲げると、張出部を三次元造形物本体に対して組み付け可能となっていることを特徴とする張出構造である。
この構造によれば、張出部の組み付け前の状態、すなわち、造形後の状態では、三次元造形物が重なり合っていても張出部によって大きく嵩張ることがない。したがって、この造形後の状態では、三次元造形物から張出部が大きく張り出すことがないため、三次元造形物を多く重ね合わせることができる。結果として、一度に多くの三次元造形物を造形できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の三次元造形物の張出構造であって、繋ぎ部材は、略J字状に形成されていることを特徴とする張出構造である。
この構造によれば、この略J字状により、繋ぎ部材がバネ特性を備えることとなる。そのため、造形後に三次元造形機から三次元造形物を取り出すとき、または、この取り出し後の三次元造形物を運搬箱(図示しない)に詰めるとき、繋ぎ部材を破断させる前の状態の張出部に衝撃が作用しても、この張出部が三次元造形物本体から離脱することを防止(意図しない離脱を防止)できる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載の三次元造形物の張出構造であって、繋ぎ部材には、切欠溝が形成されていることを特徴とする張出構造である。
この構造によれば、張出部を離脱させたいとき、切欠溝を境に、張出部を繋ぎ部材から離脱させ易い。したがって、軽い操作荷重でも張出部を離脱させることができる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、三次元造形機によって造形されており、カバー状の三次元造形物本体から張り出す格好を成す張出部を備えた三次元造形物の製造方法であって、三次元造形物本体と、張出部と、これら三次元造形物本体と張出部とを繋ぐ繋ぎ部材と、を三次元造形機によって一体的に造形する第1の工程と、第1の工程の後に、繋ぎ部材を破断させて張出部を三次元造形物本体から取り外す、または繋ぎ部材を折り曲げる第2の工程と、第2の工程の後に、取り外した張出部、または折り曲げた張出部を三次元造形物本体に対して組み付ける第3の工程と、を備えている製造方法である。
この製造方法によれば、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の三次元造形物の製造方法であって、第1の工程において、繋ぎ部材は、略J字状を成すように造形されていることを特徴とする製造方法である。
この製造方法によれば、請求項2と同様の作用効果を得ることができる。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4〜5のいずれかに記載の三次元造形物の製造方法であって、第1の工程において、繋ぎ部材には、切欠溝が形成されていることを特徴とする製造方法である。
この製造方法によれば、請求項3と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る内装カバーの全体斜視図である。
図2図1を反対側から見た斜視図である。
図3図1の側面図である。
図4図3において、第1の挿込体の離脱の途中状態を示す図である。
図5図4において、第1の挿込体を離脱させた状態を示す図である。
図6図5において、離脱させた第1の挿込体を内装カバー本体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図7図6を反対側から見た斜視図である。
図8】従来技術に係る内装カバーの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜7を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「三次元造形物」が「内装カバー1」である形態を説明する。また、これと同様に、「張出部」が「第1の挿込体20」である形態を説明する。
【0014】
まず、実施例に係る内装カバー1を説明する。この内装カバー1は、その側面視が略L字状に形成されたカバー状の部材から構成されている。この内装カバー1の本体10(内装カバー本体10)の内面の四隅のうちの三箇所には、ガイド溝14を有する台座12と、第2の挿込体30と、第3の挿込体40とが形成されている(図1〜2参照)。この台座12には、略J字状に形成されたストラップ状の繋ぎ部材50を介して第1の挿込体20が形成されている(図3参照)。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「第1の工程」に相当する。
【0015】
この繋ぎ部材50には、その第1の挿込体20側(略J字の先端側)の端部に切欠溝52が形成されている。これら各挿込体20、30、40は、従来技術の各挿込孔120、130、140と同様に、車両ボデー等(図示しない)に取り付けるための係合爪22、32、42を有するものとなっている。また、第1の挿込体20には、ガイド溝14に挿し込み可能なスライダ24が形成されている。
【0016】
また、これら各挿込体20、30、40は、従来技術の各挿込孔120、130、140と同様に、その相手側の部材である車両ボデー等の係合孔(図示しない)の都合により、その長さは様々となっている。例えば、第1の挿込体20は、そのスライダ24をガイド溝14に挿し込んで組み付けた状態において、内装カバー本体10の内面から十分に張り出す格好を成す長さに設定されている(図6〜7参照)。
【0017】
また、第2の挿込体30は、内装カバー本体10の内面から張り出す格好を成す長さに設定されている(図1〜3参照)。また、第3の挿込体40は、内装カバー本体10の内面から僅かに張り出す格好を成す長さに設定されている(図1〜3参照)。すなわち、第1の挿込体20の張出長>第2の挿込体30の張出長>第3の挿込体40の張出長となるように設定されている。
【0018】
内装カバー1は、このように構成されている。このように構成された内装カバー1は、三次元造形機(図示しない)によって一体的に造形(製造)されている。なお、これら図1〜3から明らかなように、この造形後の状態では、まだ、内装カバー1は使用可能な状態になっていない。すなわち、この造形後の状態では、内装カバー1は使用不可能な状態となっている。
【0019】
次に、図3〜7を参照して、上述した内装カバー1を使用不可能な状態から使用可能な状態に切り替える手順を説明する。まず、図3に示す、造形後の状態から、作業者は、指で、第1の挿込体20と繋ぎ部材50とを摘む作業を行う(図4参照)。その後、この摘み状態のまま、指で、第1の挿込体20のみを押し込んでいく作業を行う。
【0020】
すると、切欠溝52を境にして、繋ぎ部材50が破断する。すなわち、切欠溝52を境にして、繋ぎ部材50から第1の挿込体20が離脱する(図5参照)。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「第2の工程」に相当する。最後に、この離脱させた第1の挿込体20のスライダ24を内装カバー本体10のガイド溝14に挿し込んで組み付ける(図6〜7参照)。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「第3の工程」に相当する。これにより、内装カバー1は使用不可能な状態から使用可能な状態に切り替わる。
【0021】
本発明の実施例に係る内装カバー1の張出構造は、上述したように構成されている。この構成によれば、内装カバー本体10の台座12には、ストラップ状の繋ぎ部材50を介して第1の挿込体20が一体的に形成されている。このように形成されていると、作業者は、指で、第1の挿込体20と繋ぎ部材50とを摘む作業を行い。その後、この摘み状態のまま、指で、第1の挿込体20のみを押し込んでいくと、切欠溝52を境にして繋ぎ部材50が破断する。すなわち、切欠溝52を境にして、繋ぎ部材50から第1の挿込体20を離脱させることができる(図5参照)。このように離脱させることができると、この離脱させた第1の挿込体20のスライダ24を内装カバー本体10のガイド溝14に挿し込んで組み付けることができる。そのため、このスライダ24の組み付け前の状態、すなわち、造形後の状態では、内装カバー1が重なり合っていても第1の挿込体20によって大きく嵩張ることがない。したがって、この造形後の状態では、内装カバー本体10から第1の挿込体20が大きく張り出すことがないため、内装カバー1を多く重ね合わせることができる。結果として、一度に多くの内装カバー1を造形できる。
【0022】
また、この構成によれば、内装カバー本体10の台座12には、略J字状に形成されたストラップ状の繋ぎ部材50を介して第1の挿込体20が形成されている。そのため、この略J字状により、繋ぎ部材50がバネ特性を備えることとなる。したがって、造形後に三次元造形機から内装カバー1を取り出すとき、または、この取り出し後の内装カバー1を運搬箱(図示しない)に詰めるとき、離脱させる前の状態の第1の挿込体20に衝撃が作用しても、この第1の挿込体20が内装カバー本体10から離脱することを防止(意図しない離脱を防止)できる。
【0023】
また、この構成によれば、繋ぎ部材50には、その第1の挿込体20側の端部に切欠溝52が形成されている。そのため、第1の挿込体20を離脱させたいとき、この切欠溝52を境に、第1の挿込体20を繋ぎ部材50から離脱させ易い。したがって、軽い操作荷重でも第1の挿込体20を離脱させることができる。
【0024】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、「三次元造形物」が「内装カバー1」である形態を説明した。また、これと同様に、「張出部」が「第1の挿込体20」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「三次元造形物」が「各種の内装部材または外装部材」であっても構わない。また、これと同様に、「張出部」が「各種の張り出し形状の部材」であっても構わない。
【0025】
また、実施例では、切欠溝52を境にして、繋ぎ部材50を破断させる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、切欠溝52を境にして、繋ぎ部材50を折り曲げる形態でも構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 内装カバー(三次元造形物)
10 内装カバー本体(三次元造形物本体)
20 第1の挿込体(張出部)
30 第2の挿込体
40 第3の挿込体
50 繋ぎ部材
52 切欠溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8