(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の展開ドアと、それぞれの基端部が前記展開ドアの基端部に沿った部分に一体的に設けられると共にそれぞれの先端部が前記展開ドアの裏面から突出する向きに延出する一対の延出部と、を含むリッドと、
前記一対の展開ドアの前記裏面側に配設され、ガスを発生可能なインフレータと、
前記一対の延出部がそれぞれの先端部を互いに近づける向きに曲げられた状態で、前記一対の延出部のうち前記インフレータ側を向く面と前記インフレータとの間に折畳まれた状態で配設され、前記インフレータから供給されるガスにより膨張して展開可能なエアバッグと、
可撓性のシート状部材によって、折畳まれた状態の前記エアバッグの外周を囲む周壁部と、折畳まれた状態の前記エアバッグの前記リッド側の部分を覆う天井部と、前記天井部に対して折畳まれた前記エアバッグを介して対向する底部とを含む袋状に形成され、膨張する前記エアバッグを、前記天井部に設けられた破断可能部位より展開させる包装部材と、
前記インフレータで発生するガスを前記エアバッグ内に供給可能な状態で、前記インフレータと前記エアバッグと前記包装部材の前記底部とを固定する固定部材と、
その一端側部分が前記延出部に連結されると共に、その他端側部分が前記固定部材側に連結される一対の保持部材と、
を備え、
前記保持部材の前記一端側部分に、前記延出部と連結可能な連結部が設けられ、
前記一対の延出部が前記一対の保持部材の連結部に連結されて前記一対の保持部材の前記一端側部分が前記一対の延出部に連結された状態で、前記一対の延出部がそれぞれの前記先端部を互いに近づける向きに曲げられており、
この状態で、前記一対の保持部材のうち、曲げられた前記一対の延出部のうち前記インフレータ側を向く面側に設けられる部分に、前記固定部材に固定された前記包装部材の前記天井部を当接させた状態で、前記一対の保持部材の前記他端側部分が前記固定部材側に連結されている、エアバッグ装置。
【発明を実施するための形態】
【0034】
{実施形態}
以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。
【0035】
<全体構成について>
図1は本実施形態に係るエアバッグ装置20の全体構成を示す断面図であり、
図2は折畳まれたエアバッグ30を包装部材40で覆うと共に、その外周に保持部材60を配設した状態を示す斜視図である。なお、
図1では、エアバッグ装置20をインストルメントパネル10に組込んだ状態を示している。
図1は、車両の前後方向に沿った面における断面を示している。
【0036】
このエアバッグ装置20は、車両の助手席前方にあるインストルメントパネル10に組込まれ、車両衝突時等に助手席乗員前方に膨張展開して、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。
【0037】
すなわち、車両の助手席の車両前方には、インストルメントパネル10が配設されている。インストルメントパネル10は、車体に固定されるインストルメントパネル本体10aと、そのインストルメントパネル本体10aに取付けられるリッド11とを備えている。インストルメントパネル本体10aには、開口10h(ここでは略方形開口)が形成されており、当該開口10hにリッド11が嵌め込み固定されている。リッド11の固定は、例えば、リッド11に形成された係合部11aをインストルメントパネル本体10aに形成された被係合部(図示省略)に係合させること等により行われる。もっとも、リッド11に相当するリッドパネル部が、インストルメントパネルに対して金型一体成型されていてもよい。
【0038】
また、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材18が配設されている。ここでは、車体側部材18として、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材(いわゆるリーンホースと呼ばれる部材)が想定されている。上記インストルメントパネル10は、周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、本車体側部材も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10と車体側部材18とは一定の位置関係に保たれている。従って、車体側部材18にエアバッグ装置20を取付けることで、エアバッグ装置20がより確実にインストルメントパネル10に対して一定の位置に配設される。
【0039】
本エアバッグ装置20は、上記リッド11と、インフレータ22と、エアバッグ30と、包装部材40と、固定部材50と、一対の保持部材60とを備える。
【0040】
リッド11は、樹脂等で形成された部材であり、枠部11fと、一対の展開ドア12と、一対の延出部14とを備えている。
【0041】
枠部11fは、開口10hの内周4方を閉塞する枠状領域部分である。この枠部11fの内面には、上記係合部11aが突設されており、枠部11fは当該係合部11aを介してインストルメントパネル本体10aに取付けられる。
【0042】
一対の展開ドア12は、当該枠部11fの中央部に設けられた方形状領域部分であり、それぞれの先端部を対向させた状態で、当該枠部11fに対して割開き可能に設けられている。ここでは、リッド11の内面に、H字状のティアライン11Lが形成されている。そして、エアバッグ30の膨張展開によってリッド11が前記ティアライン11Lに沿って割れることで、一対の展開ドア12に分割される。一対の展開ドア12は、H字状のティアライン11Lの縦方向の2つのラインの両端部を結ぶラインで曲げられて外方に開くようになっている。リッド11の基端部、即ち、H字状のティアライン11Lの縦方向の2つのラインの両端部を結ぶラインは、薄肉なヒンジ部12bに形成され、曲げ容易に構成されていることが好ましいが、これは必須ではない。また、インストルメントパネル本体の開口に取付けられるリッド全体が、エアバッグの膨張展開によって一対の展開ドアとして開かれる構成であってもよい。
【0043】
一対の延出部14は、それぞれの基端部が一対の展開ドア12の基端部に沿った部分に一体的に設けられると共に、それぞれの先端部が一対の展開ドア12の裏面側に向けて延出するように設けられている。
【0044】
なお、上記リッド11は、インストルメントパネル10に対して、金型一体成形されていてもよい。
【0045】
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、上記展開ドア12の裏面側(内側)に配設されている。このインフレータ22は、車両自体に設置された衝撃検知部等からの点火命令信号を受けて前記点火装置によりガス発生剤を燃焼させ、これによりガスを発生可能に構成されている。ここでは、インフレータ22は、短円柱状に形成されており、その外周に金属板等でつば部24が形成されている。つば部24は、例えば、円環板状に形成される。つば部24には、ネジ部25を挿通可能なネジ挿通孔が形成されている。
【0046】
また、インフレータ22には、インフレータ固定部材46が固定されている。インフレータ固定部材46は、金属板等によって形成された部材であり、ここでは、略L字状に曲る形状に形成されている。そして、ここでは、上記ネジ部25がインフレータ固定部材46の一端部に挿通された状態でネジ部25にナット29が螺合締結されることで、インフレータ固定部材46の一端部が後述する固定ブラケット28とナット29との間で締付け固定され、もって、インフレータ固定部材46がインフレータ22に固定されている。また、インフレータ固定部材46の他端部は、車体側部材18に固定可能な形状に形成されている。ここでは、車体側部材18に突設された固定ボルト18Bを、前記インフレータ固定部材46の他端部に挿通して、当該固定ボルト18Bにナット18Nを螺合締結することにより、インフレータ固定部材46が車体側部材18に対して固定される。そして、本インフレータ固定部材46が車体側部材18に固定されることで、インフレータ22が展開ドア12の内側の一定位置に固定されている。
【0047】
なお、インフレータ22或は車体側部材18に対するインフレータ固定部材46の固定は、上記例に限られず、カシメ或は溶接、嵌め込み構造、或はこれらの複合構成であってもよい。
【0048】
エアバッグ30は、布等の可撓性のシート状部材によってガス導入口を有する袋状に形成されている。上記インフレータ22は、ガス導入口を介してエアバッグ30内にガスを供給可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳まれて展開ドア12の内側に配設される。より具体的には、エアバッグは、後述するように一対の延出部14がそれぞれの先端部を互いに近づける向きに曲げられた状態で、一対の延出部14のうちインフレータ22側を向く面とインフレータ22との間に折畳まれた状態で配設されている。エアバッグ30の折畳み構成は、予め決定された折り線に沿って蛇腹状又はロール状又はそれらを組合わせた折り方等によって折られる構成であっても、くしゃくしゃに丸めるように折畳まれる構成であってもよい。そして、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22よりガス導入口を介して供給されるガスによって、展開ドア12を割開いてインストルメントパネル10の外方に突出するように膨張して、車室内側である助手席乗員側に向けて袋状に膨張展開する。
【0049】
固定部材50は、インフレータ22で発生するガスをエアバッグ30内に供給可能な状態で、インフレータ22とエアバッグ30と包装部材40の底部42とを固定可能に構成されている。
【0050】
ここでは、固定部材50は、固定ブラケット28及びネジ部25と、つば部24と、ナット29とを備える。
【0051】
固定ブラケット28は、金属等により形成された部材である。固定ブラケット28には、インフレータ22を配設可能な開口が形成されると共に、ネジ部25が突設されている。ナット29は、ネジ部25に螺合可能に構成されている。
【0052】
そして、固定ブラケット28をエアバッグ30のガス導入口内側に配設した状態で、ネジ部25がエアバッグ30のうちガス導入口周りに形成された固定孔に挿通される。また、インフレータ22がエアバッグ30のガス導入口に配設されると共に、つば部24が固定ブラケット28の外側に重ね合せて配設され、ネジ部25がつば部24に挿通される。この状態で、つば部24の外方に突出するネジ部25にナット29が螺合締付けされる。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間にエアバッグ30のうちガス導入口周りの部分が挟込まれ、インフレータ22とエアバッグ30とが固定される。なお、固定ブラケット28とナット29との間に別の板状部材が配設され、この板状部材によってインフレータ22側でエアバッグ30の膨張を受ける役割が果されてもよい。
【0053】
また、つば部24と固定ブラケット28との間には、後述する保持部材60及び包装部材40も挟み込み固定される。
【0054】
一対の保持部材60の一端側部分が一対の延出部14に連結されると共に、その他端側部分が固定部材50側の部分に連結される。一対の保持部材60は、好ましくは、折畳まれたエアバッグ30周りに部分的に設けられる。この保持部材60によって、固定部材50及びインフレータ22と、延出部14及びリッド11とが離れてしまわないように保持される。この保持部材60については、後でさらに説明する。
【0055】
包装部材40は、可撓性のシート状部材によって形成された部材であり、エアバッグ30が膨張する前の状態では折畳まれた上記エアバッグ30を囲んでいる。この包装部材40は、エアバッグ30の膨張によって破断して上記エアバッグ30の膨張及び展開を可能とする。
【0056】
ここでは、包装部材40は、シート状部材が、折畳まれたエアバッグ30を収容可能な直方体箱状をなすように折られて縫製されている。すなわち、包装部材40は、折畳まれた状態のエアバッグ30外周を囲む周壁部45と、折畳まれた状態のエアバッグ30のリッド11側部分を覆う天井部44と、天井部44に対して折畳まれたエアバッグ30を介して対向する42底部とを含む袋状に形成され、膨張するエアバッグ30を、天井部44に設けられた破断可能部位(後述する)より展開させるように構成されている。
【0057】
包装部材40の一主面側の底部には、インフレータ22を配設可能なインフレータ取付孔が形成されると共に、その取付孔の周囲に固定孔が形成されている。そして、包装部材40の上記底部をつば部24と固定ブラケット28の間であってエアバッグ30の外側に配設し、インフレータ22をインフレータ取付孔内に配設すると共に、ネジ部25を固定孔に挿通させる。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間に、包装部材40のインフレータ取付孔の周りの部分が、エアバッグ30のうちガス導入口周りの部分と共に挟込まれ、包装部材40がインフレータ22に対して固定される。
【0058】
また、上記包装部材40のうちインフレータ22とは反対側にある天井部44には、破断可能部位として破断ライン44aが形成されている。破断ライン44aは、他の部分よりも破断容易な部分であり、ここでは、厚み方向において部分的な切込み線によって形成されている。
【0059】
上記包装部材40は、通常状態では、折畳まれたエアバッグ30を覆っており、この包装部材40によって、エアバッグ30はより確実に折畳まれた状態に維持される。そして、エアバッグ30の膨張展開によって、包装部材40が破断ライン44aにおいて破断されると、包装部材40は、周壁部45によってエアバッグ30の周囲全体を覆うと共に底部42によってエアバッグ30をインフレータ22側から支えた状態で、破断ライン44aが破断した部分を開口として開き、当該開口からエアバッグ30を膨張展開させる。
【0060】
<延出部について>
図3は延出部14及び保持部材60を示す説明図である。なお、
図3において、点線で示される接合ラインと区別化するため、保持部材60におけるシート状部材の縁であって他と重なる箇所が2点鎖線で示されている(後の保持部材を示す各図においても同様)。
【0061】
一対の展開ドア12の基端部に沿った部分のそれぞれに、一対の延出部14が設けられている。延出部14は、展開ドア12の基端側ライン(ヒンジ部12b)の内側部分に沿って突設された板状部材に形成されている。すなわち、延出部14の基端部は、展開ドア12に設けられている。延出部の基端部は、展開ドア12の基端側ライン上、又は、当該基端側ラインよりも外側に設けられていてもよい。後者の例については、後に変形例で説明する。延出部14の基端部は、展開ドア12の基端側ラインのなるべく近くに配設されていることが好ましい。
【0062】
また、延出部14は、展開ドア12の基端側ラインに沿って細長い板状に形成されている。延出部14は、展開ドア12の基端側ラインに対してなるべく全体に亘って形成されていることが好ましい。延出部14の先端部は、延出部14の幅方向に沿って延びる直線縁形状に形成されている。この延出部14は、展開ドア12の内面に対して直交する姿勢と当該内面に沿った姿勢との間で姿勢変更可能とされている。すなわち、リッド11を金型成型する時点で、延出部14は展開ドア12の裏面から突出する向きに延出する姿勢とされている。ここでは、延出部14は、展開ドア12の裏面に対して直交している。そして、一対の延出部14の先端部を互いに近づけるように、一対の延出部14を展開ドア12の裏面に沿わせた姿勢に曲げ変形できるように構成されている。この状態では、板状の延出部14は、展開ドア12の裏面に沿って配設される。延出部14が上記の姿勢間で姿勢変更し易いように、延出部14の全体が薄手に形成されていてもよいし、延出部14の基端部に溝等が形成されていてもよい。
【0063】
また、この延出部14には、係止部15が形成されている。ここでは、延出部14の幅方向中間部(ここでは、中央部)に、係止部15が形成されている。
【0064】
この係止部15は、後述する被係止部64を係止可能な形状に形成されている。ここでは、係止部15は、延出部14の先端側から奥側に向けて徐々に幅狭となる導入部15aと、当該導入部15aに連続する幅広部15bとを備える凹み形状に形成されている(
図3参照)。導入部15aと幅広部15bとの間の部分は、幅広部15bの幅方向に沿う縁部分15cに形成されている。そして、後述する被係止部64が、導入部15aを通って幅広部15b内に導入されると、当該被係止部64が導入部15aと幅広部15bとの間の縁部分15cに抜止め係止するようになっている。
【0065】
<保持部材について>
図2及び
図3に示すように、一対の保持部材60は、折畳まれたエアバッグ30の両側部、ここでは、エアバッグ30を平面視した形態において、長辺側の両側部に設けられる。
【0066】
保持部材60は、可撓性のシート状部材によって形成されたものであり、その一端側部分が延出部14に連結され、その他端側部分が上記固定部材50に連結される。
【0067】
より具体的には、保持部材60は、折畳まれたエアバッグ30の両側部の幅、ここでは、包装部材40の長辺側の辺の幅と同じ程度の幅に形成されている。
【0068】
保持部材60の一端側部分は、その先端側に向けて徐々に狭まる形状に形成され、その先端部が固定部材50に連結されている。すなわち、保持部材60の一端側部分の先端部の幅方向中央部には、インフレータ22を部分的に配設可能な弧状のインフレータ配設凹部61が形成されている。また、インフレータ配設凹部61の周囲に固定孔61hが形成されている。そして、保持部材60の一端側部分をつば部24と固定ブラケット28の間であって包装部材40の外側に配設し、インフレータ22をインフレータ配設凹部61内に配設すると共に、ネジ部25を固定孔61hに挿通させる。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間に、保持部材60の一端側部分のうちインフレータ配設凹部61の周りの部分が、エアバッグ30のうちガス導入口周りの部分及び包装部材40のインフレータ取付孔周りの部分と共に挟込まれ、保持部材60の一端側部分もインフレータ22に対して固定される。
【0069】
また、保持部材60の一端側部分には、連結部として袋状の収容部62が形成されている。収容部62は、保持部材60の他端側に向けて開口しており、上記延出部14を、収容部62の前記開口を通って収容部62に収容することができる。収容部62の幅は、延出部14の幅と同じであるか当該幅よりも大きく、延出部14の幅と同じに設定されていることが好ましい。また、収容部62の奥行は、延出部14の突出寸法と同じであるか当該突出寸法よりも小さく設定されていることが好ましい。延出部14を収容部62に収容することで、保持部材60のうち収容部62が形成された部分が、延出部14の基端側から先端側に向けて沿うように配設されつつ当該延出部14に連結されることになる。
【0070】
なお、連結部としては、延出部14に係止可能な係合孔が形成された構成、延出部14に引っ掛け可能なフックを含む構成、延出部14の先端部に係止構造部分が形成され、当該係止構造部分に係止可能な形状等が想定される。
【0071】
また、上記収容部62の内側には、上記係止部15と係止可能な被係止部64が形成されている。ここでは、収容部62のうち上記係止部15に対応する位置、即ち、収容部62の幅方向中央部に被係止部64が形成されている。
【0072】
被係止部64は、上記係止部15の導入部15aを通って幅広部15b内に配設可能な形状部分であり、ここでは、収容部62の袋形状を形成する重ね合せ部分を接合することによって形成されている。すなわち、上記収容部62は、シート状部材が折られてその両側部が縫合等によって接合されることにより形成されている。収容部62の幅方向中央部において、シート状部材の重ね合せ部分が接合されることにより、被係止部64が形成されている。ここでは、被係止部64は、収容部62の開口から奥側に向けて徐々に広がる囲い形状に形成されている。より具体的には、被係止部64は、収容部62の開口側に向けて凸となる半円形状部分64aと、その半円形状部分64aの両端部から収容部62の奥側に向けて徐々に幅広になる部分64bと、その幅広になる部分64bの終端部同士を結ぶ直線状部分64cとを含む形状に形成されている(
図3参照)。
【0073】
そして、延出部14を収容部62内に収容する際に、被係止部64を幅狭にするように変形させることで、当該被係止部64を、導入部15aを通って幅広部15b内に配設することができる。被係止部64が幅広部15b内に配設され、収容部62が延出部14に被せられると、収容部62が引っぱられるように展張した状態となり、被係止部64が幅広部15b内に広がった状態となる。これにより、被係止部64が幅広部15b内に配設され、縁部分15cに抜止め係止し、係止部15が被係止部64に係止した状態となる。
【0074】
また、上記のように係止部15が被係止部64に係止した状態で、延出部14の先端部が収容部62の奥に接触した状態となる。換言すれば、上記被係止部64と収容部62の奥との間隔が、係止部15の縁部分15cと延出部14の先端部との間の寸法と同じに設定されている(
図9参照)。
【0075】
上記保持部材60の製造方法例について説明する。
図4は保持部材60を製造するためのシート状部材70を示す展開図である。なお、本図において、折目となるラインを1点鎖線で示している(以下の各図においても同様)。
図5は上記シート状部材70を折った状態を示す説明図であり、
図6は折ったシート状部材70を縫合等によって接合した状態を示す説明図である。
【0076】
すなわち、保持部材60は、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材70(布或は樹脂シート等)を縫製等によって接合することによって構成されている。接合は、縫合によって行われることが好ましく、ここでも縫合した例で説明するが、これは必須ではない。
【0077】
シート状部材70は、保持部材60を平面的に広げたベース形状部分71に対して、その1つの端部(
図4の上側)の両側部に一対の第1重ね合せ部分72を連設すると共に、前記ベース形状部分71の他の1つの端部に第2重ね合せ部分73を連設した形状に形成されている。
【0078】
上記第1重ね合せ部分72は、ベース形状部分71に対して、一方の固定孔61hが形成される部分から収容部62の一側部分に至る領域で重ね合せ可能な形状に形成されている。
【0079】
また、第2重ね合せ部分73は、ベース形状部分71に対して、当該ベース形状部分71の他側部分に対して当該他側部分と同幅で重なり合い可能な形状に形成されている。
【0080】
そして、
図5に示すように、一対の第1重ね合せ部分72と、第2重ね合せ部分73とを、ベース形状部分71に対して折返すようにして重ね合わせる。この状態で、
図6に示すように、第2重ね合せ部分73の一方の側部から各第1重ね合せ部分72外縁の内側を経由して第2重ね合せ部分73の他方の側部に至る接合ライン76に沿って、縫合等によって、第1重ね合せ部分72及び第2重ね合せ部分73と、ベース形状部分71とを接合する。
【0081】
このように、ベース形状部分71と第2重ね合せ部分73の両側部とを縫合等によって接合することで、ベース形状部分71と第2重ね合せ部分73とで袋形状を形成する収容部62が形成される。また、ベース形状部分71と第2重ね合せ部分73との重ね合せ部分を、その幅方向中央部で縫合等によって接合することで、被係止部64が形成される。
【0082】
また、保持部材60における固定孔61hの形成部分が、第1重ね合せ部分72によって補強されると共に、保持部材60における固定孔61hの形成部分と収容部62の各側部とが、ベース形状部分71と第1重ね合せ部分72による重ね合せ部分で連結された状態となる。
【0083】
このようにして、保持部材60が形成される。
【0084】
上記一対の保持部材60は、次のようにして、一対の延出部14及び固定部材50に連結され、リッド11と固定部材50との間でエアバッグ30等を保持する。
【0085】
すなわち、一対の延出部14が一対の保持部材60の収容部62に収容されて、一対の保持部材60の一端側部分が一対の延出部14に連結された状態とされ、この状態で、一対の延出部14がそれぞれの先端部を互いに近づける向きに曲げられる。この状態で、さらに、一対の保持部材60のうち、曲げられた一対の延出部14のうちインフレータ22側を向く面(リッド11の内方を向く面)に設けられる部分に、固定部材50に固定された包装部材40(この包装部材40は折り畳まれたエアバッグ30を包み込んでいる)の天井部44を当接させた状態で、一対の保持部材60の他端側部分が固定部材50に連結される。これにより、リッド11と、インフレータ22及び固定部材50との間で、折り畳まれたエアバッグ30及びこれを包む包装部材40が保持され、もって、エアバッグ30、インフレータ22、固定部材50等がリッド11に組み付けられる。この状態では、一対の延出部14が元の状態に戻ろうとする付勢力によって、エアバッグ30及びこれを包む包装部材40が固定部材50及びインフレータ22側に付勢される。従って、一対の延出部14の付勢力によって、エアバッグ30及びこれを包む包装部材40が、リッド11と固定部材50及びインフレータ22との間で挟込まれた状態となり、安定した組み付け状態とすることができる。
【0086】
折り畳まれたエアバッグ30は、好ましくは、曲げられた一対の延出部14のうちインフレータ22側を向く面とインフレータ22との間で、収縮された状態で配設されている。このため、エアバッグ30が元の大きさに戻ろうとする力によっても、エアバッグ30及びこれを包む包装部材40が、リッド11と固定部材50及びインフレータ22との間で挟込まれた状態となり、この点からも安定した組み付け状態とすることができる。
【0087】
<組付方法>
上記保持部材60を用いて、エアバッグ30及びインフレータ22等を、リッド11に組付ける方法例について説明する。
【0088】
まず、
図10に示すように、リッド11、エアバッグ30、インフレータ22及び保持部材60を準備する。そして、
図7に示すように、一方の延出部14を一方の保持部材60の収容部62内に収容し、
図8に示すように、他方の延出部14を他方の保持部材60の収容部62内に収容する。この際、被係止部64を係止部15内に配設して、それらを係止させ合う。これにより、
図9及び
図11に示すように、一対の保持部材60の収容部62が、それぞれ一対の延出部14に被せられると共に、一対の延出部14の先端部が展開ドア12の裏面側に向けて延出する状態となる。そして、両延出部14は、互いの先端部が近づくように展開ドア12の内面に沿うように曲げられる。なお、延出部14が曲げられるのは、延出部14が収容部62に収容される前であっても後であってもよい。
【0089】
また、これとは別に、包装部材40内に折畳まれたエアバッグ30を収容すると共に、それらのエアバッグ30及び包装部材40に、固定部材50を介してインフレータ22を仮固定しておいたものを準備しておく。これを、
図10〜
図12に示すように、リッド11の展開ドア12の内側に配設する。そして、
図12に示すように、収容部62を被せた延出部14を展開ドア12の内面に沿って配設して、折畳まれたエアバッグ30及びこれを収容する包装部材40と展開ドア12との間に配設する。また、これと同時又は前後に、ナット29を緩めて取外し、インフレータ22を一旦外し、保持部材60の他端側部分を、包装部材40の外周側で固定ブラケット28に重ねると共に、ネジ部25を固定孔61hに挿通させる。そして、インフレータ22のつば部24を再度固定ブラケット28に重ねて、ネジ部25にナット29を螺合締付けする。これにより、
図1及び
図13に示すように、固定ブラケット28とつば部24との間に、エアバッグ30、包装部材40及び保持部材60が挟込み固定される。このようにして、保持部材60の他端側部分が固定部材50を用いてインフレータ22に連結され、保持部材60を用いて、エアバッグ30及びインフレータ22等が、リッド11に組付けられ一体化される。
【0090】
なお、上記組付け状態において、折畳まれたエアバッグ30は、一対の延出部14の基端部を避けた内側の位置にあることが好ましい。これにより、膨張展開するエアバッグ30が、より確実に延出部14の先端側を押し、リッド分割部12aと共に当該延出部14を外方に向けて姿勢変更させることができるからである。
【0091】
なお、上記例では、保持部材60の一端側部分を延出部14に連結してから、保持部材60の他端側部分を固定部材50に連結する作業を行う作業例を説明したが、必ずしもそのような連結順である必要はない。
【0092】
<動作>
上記エアバッグ装置20の動作について説明する。
【0093】
まず、展開動作前の状態では、
図1及び
図13に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、展開ドア12の内側に配設されている。展開ドア12に突設された延出部14は、保持部材60の収容部62に収容され、折畳まれたエアバッグ30と展開ドア12との間に配設されている。
【0094】
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、
図14に示すように、エアバッグ30は、展開ドア12の内側で膨張を開始する。
【0095】
エアバッグの膨張展開力によって、包装部材40が破断ライン44aに沿って破断される。また、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22から展開ドア12に向う方向)では、インフレータ固定部材46によりインフレータ22は展開ドア12に対して一定距離離れた位置で固定されている。このため、膨張を始めたエアバッグ30は、収容部62及び延出部14を介して展開ドア12の内面に当接し、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、展開ドア12のティアライン11Lを分断する力として作用する。これにより、展開ドア12が割開かれる。この際、延出部14は、エアバッグ30の膨張展開力によって展開ドア12に向けて押付けられた状態となっている。
【0096】
図15に示すように、展開ドア12がヒンジ部12bで曲りつつ外方に開くと、延出部14は展開ドア12と共に外方に開く。延出部14は展開ドア12の裏面に設けられているため、展開ドア12が枠部11fから分離してしまったとしても、展開ドア12は、延出部14及び保持部材60によってインフレータ22に対して引寄せられるように保持された状態で維持され、展開ドア12の飛散が抑制される。リッド11に開口が形成されると、エアバッグ30は当該開口を通ってインストルメントパネル10の外方に膨張展開しようとする。すると、破断ライン44aで破断された包装部材40のうち天井部44は、リッド11の前記開口を通って外方に押出される。また、包装部材40の周壁部45は、リッド11とインフレータ22との間でエアバッグ30の周囲を囲う。
【0097】
そして、エアバッグ30がリッド11の開口を通って大きく外方に突出すると、延出部14が、リッド11の外方(
図15では上方)に向けて立設する姿勢となる。収容部62は当該延出部14に被さっているため、保持部材60と延出部14との連結状態がより確実に維持される。
【0098】
また、保持部材60のうち延出部14とインフレータ22との間に位置する中間部分は、エアバッグ30の外周りの一部に存在し、エアバッグ30がラジアル方向に広がることを抑制する。
【0099】
<効果等について>
以上のように構成されたエアバッグ装置20及び保持部材60によると、膨張展開しようとするエアバッグ30は、包装部材40の天井部44及び展開ドア12を押して、天井部44を破断させると共に展開ドア12を割開く。この際、延出部14は、保持部材60に設けられた収容部62に収容されているため、保持部材60によって、エアバッグ30のうちインフレータ22への固定部分及びインフレータ22が展開ドア12から離れてしまわないようにすることができる。これにより、エアバッグ30がより確実に展開ドア12を割開いて外方膨張展開するようになる。
【0100】
また、保持部材60の他端側部分がエアバッグ30に対してインフレータ22を固定するための固定部材50に固定されているため、インフレータ22から展開ドア12が離れてしまわないように、より確実に保持できる。
【0101】
また、リッド11に対するインフレータ22、エアバッグ30、包装部材40、固定部材50の組込作業は、保持部材60を用いて次のよう行うことができる。すなわち、一対の延出部14が一対の保持部材60の収容部62に収容されて一対の保持部材60の一端側部分が一対の延出部14に連結された状態で、一対の延出部14をそれぞれの先端部を互いに近づける向きに曲げる。この状態で、一対の保持部材60のうち、曲げられた一対の延出部14のうちインフレータ22側を向く面に設けられる部分に、固定部材50に固定された包装部材40の天井部44を当接させた状態で、一対の保持部材60の他端側部分を固定部材50側に連結する。これにより、一対の保持部材60によって、一対の延出部14に対して固定部材50が保持され、また、固定部材50によって、インフレータ22、折畳まれたエアバッグ30及び包装部材40が組付け状態に保持される。このため、リッド11に対するインフレータ22、エアバッグ30等の組込作業を簡易に行える。
【0102】
また、一対の延出部14を一対の保持部材60の収容部62に収容することで、一対の保持部材60の一端側部分と一対の延出部14とを連結することができるため、当該連結作業を容易に行え、この点からのエアバッグ30等の組込作業を簡易に行える。
【0103】
さらに、エアバッグ30は、曲げられた一対の延出部14のうちインフレータ22側を向く面とインフレータ22との間に折畳まれた状態で配設されているため、一対の延出部14が元形状に戻ろうとする力によって、エアバッグ30、インフレータ22及び固定部材50がリッド11から離れる方向に押され、これらを一対の保持部材60によってリッド11側に押え込むように保持することになる。このため、エアバッグ30、インフレータ22及び固定部材50がぐらつき難くなり、これらの組付状態を安定させることができる。
【0104】
しかも、曲げられた延出部14と保持部材60及びインフレータ22との間で、折畳まれたエアバッグ30が収縮されているため、そのエアバッグ30が元の折畳み形態に戻ろうとする力によっても、エアバッグ30、インフレータ22及び固定部材50がリッド11から離れる方向に押される。このため、エアバッグ30、インフレータ22及び固定部材50がよりぐらつき難くなり、これらの組付状態をより安定させることができる。
【0105】
また、保持部材60は、固定部材50と延出部14とに保持されているため、リッド側に形成されたリッド側周壁部を用いずに、上記保持状態を実現できる。これにより、本実施形態で説明したようにリッド側周壁部が設けられない構造に対しても、リッド11に対するインフレータ22及びエアバッグ30等の保持構造を実現できる。また、リッド側周壁部が設けられる構造においては、当該リッド側周壁部に、エアバッグ30及びインフレータ22を保持する力が作用することを抑制して、リッド側周壁部が主としてエアバッグ30がラジアル方向に開かないようにする役割を果すことができる。
【0106】
なお、上記実施形態では、固定部材50のネジ部25等を利用して保持部材60の他端側部分を固定部材50に連結する例で説明したが、保持部材60が固定部材に連結される構成例はそれらに限られない。例えば、保持部材の他端側部分が固定部材に形成された挿通孔に通された後折曲げられてその中間部分に縫合等で接合される構成、保持部材60の他端側部分に金属等で形成されたフックが取付けられ、当該フックが固定部材に係止される構成が採用されてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、延出部は、フラップ状の板形状である例で説明したが、棒状の突出形状等であってもよい。もっとも、延出部14が板形状に形成されることで、比較的広い面積で保持部材60の一端側部分を連結支持することができ、インフレータ22及びエアバッグ30をより確実に保持することができる。
【0108】
また、保持部材60の一端側部分には袋状の収容部62が形成されているため、延出部14を当該収容部62に収容することで、保持部材60の一端側部分と延出部14とを容易に連結できる。
【0109】
また、延出部14に係止部15が設けられ、収容部62の内側に係止部15と係止可能な被係止部64が設けられているため、収容部62に延出部14を収容することで、保持部材60の一端側部分と延出部14との連結状態をより確実に維持することができる。
【0110】
また、収容部62内で係止部15と被係止部64とが係止する構成であるため、係止部15と被係止部64との係止状態が解除され難く、それらの係止状態をより確実に維持することができる。
【0111】
また、延出部14の先端部が収容部62の奥に接触した状態で、係止部15と被係止部64とが係止し合うため、延出部14を被係止部64の奥まで挿入することで、係止部15と被係止部64との係止を容易かつ確実に行える。
【0112】
また、延出部14の幅方向中間部に設けられた係止部15が、収容部62の被係止部64に係止する構成であるため、延出部14の幅方向において延出部14と収容部62との位置ずれを抑制することができ、保持部材60の一端側部分と延出部14との連結状態をより確実に一定状態に維持することができる。
【0113】
また、収容部62の側方部分に当該側方部分を延出部14からずらすような力が作用したとしても、係止部15と被係止部64との係止状態が維持されるため、保持部材60の一端側部分と延出部14との連結状態がより確実に維持される。
【0114】
また、保持部材60は、シート状部材70によって構成されており、収容部62は、シート状部材70の端部を折返してその折返しにより重ね合された両側部を縫合等によって接合することによって形成されているため、接合箇所等を少なくして袋状の収容部62を容易に形成できる。
【0115】
また、シート状部材70を折返した折目部分に、延出部14の先端部を接触させることで、保持部材60が引っ張られる際の力を受止めることができ、より強度に優れた部分で、保持部材60の一端側部分と延出部14との連結状態を維持することができる。なお、保持部材60の先端部が直線状であることは必須ではなく、例えば、保持部材の先端部が外向けに凸となる湾曲形状に形成されていてもよい。この場合、収容部の奥部を保持部材の先端部の形状に合わせた形状、即ち、前記湾曲形状に応じた形状に形成することが好ましい。
【0116】
なお、シート状部材を折返して収容部を形成することは必須ではなく、例えば、シート状部材の端部に別のシート状部材を重ね合せ、その周囲3方を縫合等によって接合することで、収容部を形成するようにしてもよい。
【0117】
また、被係止部64も、収容部62におけるシート状部材の重ね合せ部分を接合することによって形成されているため、被係止部64をも容易に形成することができる。特に、収容部62を形成する際の接合作業の前後に被係止部64を形成することができるため、この点からも被係止部64を容易に形成できる。
【0118】
また、シート状部材によって形成された包装部材40が、エアバッグ30が膨張する前の状態で折畳まれたエアバッグ30を囲むと共に、エアバッグ30の膨張によって破断してエアバッグ30のさらなる膨張展開を可能としているため、エアバッグ30をリッド11に組込む際に、包装部材40によってエアバッグ30の折畳み状態をより確実に維持することができる。これにより、リッド11に対するエアバッグ30の組込作業を容易に行える。
【0119】
{変形例}
上記実施形態を前提として各種変形例について説明する。
【0120】
第1変形例は、延出部及び保持部材に関する変形例である。
図16は第1変形例に係る延出部114及び保持部材160を示す説明図であり、
図17は第1変形例に係る延出部114を示す平面図であり、
図18は第1変形例に係る保持部材160の収容部162に延出部114を収容した状態を示す平面図である。
【0121】
この第1変形例では、上記延出部14に対応する延出部114の両側部に一対の係止部115が設けられている。一対の係止部115は、延出部114の両側部の基端側部分に方形状の凹みを形成することによって形成されている。従って、一対の係止部115は、延出部114の基端側の向く係止縁115aを有している。
【0122】
また、保持部材60に対応する保持部材160は、上記収容部62に対応する収容部162を備えている。この収容部162のうち一対の係止部115に対応する両側部には、一対の被係止部164が設けられている。
【0123】
ここでは、収容部162のうち開口側の両側部において、シート状部材が重ね合された部分を、内向けに凸となるL字状のラインに沿って縫合等によって接合することで、被係止部164が形成されている。これにより、収容部162の開口部は、その奥側よりも狭まっている。なお、ここでは、被係止部164を形成する接合ラインの両端部は、保持部材160の縁部に達しているが、これは必須ではない。
【0124】
この第1変形例では、延出部114を収容部162内に収容すると、収容部162の開口両側側の一対の被係止部164が、延出部114の基端側両側の一対の係止部115内に配設され、一対の被係止部164が一対の係止部115の係止縁115aに抜止め係止するようになる。これにより、収容部162から延出部114がより確実に抜けないように維持することができる。
【0125】
また、上記構成は、延出部114の両側にその中央側に向けて凹む凹部を形成することによって係止部115を形成し、この係止部115に被係止部164を係止させる構成であるため、上記係止部15及び被係止部64のように、延出部14の先端側から被係止部64を係止部15に挿入する構成とは異なり、延出部114の先端縁部に凹部を形成しなくてもよい構成である。このため、係止部115及び被係止部164の有無に拘らず、延出部114の先端部のより多くの部分を収容部162の奥に当接させるようにすることができる。これにより、収容部162によってより確実に保持部材160の引っ張り力を受けることができる。
【0126】
結果、係止部115と被係止部164との係止構造によって、収容部162内に延出部114を収容した状態を維持しつつ、収容部162によってより確実に保持部材160の引っ張り力を受けることができ、保持部材160の一端側部分と収容部162との連結状態をより確実に維持することができる。
【0127】
また、上記のように、延出部114の先端部のより多くの部分を収容部162の奥に当接させるようにすることができるため、収容部162に対する補強等を省略し或は簡易化することが可能となるという利点もある。
【0128】
なお、本変形例では、延出部114及び収容部162の幅方向中央部に係止部15及び被係止部64が設けられているが、これらは省略されてもよい。これにより、延出部の先端部のほぼ全体を収容部の奥側に当接させることができ、収容部によってより確実に保持部材の引っ張り力を受けることができる。
【0129】
第2変形例は、第1変形例を前提とする、保持部材に関する変形例である。
図19は第2変形例に係る保持部材260を形成するためのシート状部材270を示す展開図であり、
図20はシート状部材270を折った状態を示す説明図であり、
図21は保持部材260を示す平面図である。
【0130】
シート状部材270は、完成形態における保持部材260と同じ形状の第1領域部分270aと、第1領域部分270aの1つの端部(インフレータに連結される側の端部)に繋がる第2領域部分270bと、第1領域部分270aの他の端部(延出部に連結される側の端部)に繋がる第3領域部分270cとを備えており、これらは一枚のシートによって構成されている。
【0131】
第2領域部分270bは、第1領域部分270aの一端部から第1領域部分270aの他端部のうち収容部262が形成される途中迄の領域に重なり合い可能な形状に形成されている。
【0132】
第3領域部分270cは、収容部262に対応する領域よりも長い領域で延出する形状に形成されている。
【0133】
そして、
図20に示すように、第2領域部分270bが第1領域部分270aの一端側部分及び一端側と他端側との中間部分に重なるように折られる。この状態では、第2領域部分270bの先端部は、収容部262が形成される部分の開口側部分に達している。
【0134】
また、第3領域部分270cが第1領域部分270aの一端側部分に重なるように折られると共に、その先端部が収容部262を形成する部分の開口側で二重に重なるように折られる。
【0135】
そして、
図21に示すように、第1領域部分270aの外周囲に沿った縫合ラインに沿って、第1領域部分270aと第2領域部分270bとが接合されると共に、第1領域部分270aと第3領域部分270cとが接合される。第1領域部分270aと第3領域部分270cとの両側部を接合する際には、上記第1変形例で説明したように、被係止部164に対応する被係止部264を形成するように、L字状のラインに沿って接合される。これにより、収容部262及び被係止部264が形成される。第1領域部分270aと第3領域部分270cとの幅方向中央部を縫合等によって接合することで、上記被係止部264を形成する。
【0136】
これにより、保持部材260の各部、特に、保持部材260のうちインフレータに連結される他端側部分及び収容部262の開口側部分を二重構造とすることができ、保持部材260を頑丈にすることができる。
【0137】
第3変形例はリッドに立壁を設けた例である。
図22は第3変形例に係るエアバッグ装置320を示す説明図であり、
図23は
図22のXXIII−XXIII線におけるエアバッグ30と保持部材60と立壁324との位置関係を示す説明図である。
【0138】
この変形例では、リッド11に対応するリッド311に、折畳まれたエアバッグ30の外周りのうち保持部材60が配設されてない部分の少なくとも一部を覆うように立壁324が延出している。
【0139】
本例では、折畳まれたエアバッグ30を展開ドア12側から視ると、その折畳まれたエアバッグ30の長辺側の両側部を覆うように保持部材60が設けられている。また、折畳まれたエアバッグ30の短辺側の両側部を覆うように立壁324が延出している。
【0140】
立壁324は、板状に形成されている。展開ドア12が開いた後でも、立壁324がエアバッグ30の周囲を覆う状態を維持できるように、立壁324の基端部は、展開ドア12の外周側に設けられていることが好ましい。もっとも、立壁324は、リッド自体に立設されていてもよい。
【0141】
立壁324は、エアバッグ30の外周囲のなるべく多くの部分を覆えるように、折畳まれたエアバッグ30の短辺側の幅方向全体を覆える幅に設定されていることが好ましい。また、立壁324の突出寸法は、リッド311からインフレータ22に至る途中まで又はインフレータ22に至る迄の大きさに設定されることが好ましく、ここでは、リッド311からインフレータ22に至る途中までの大きさに設定されている。
【0142】
この変形例によると、立壁324によって、エアバッグ30がリッド311とインフレータ22との間で、ラジアル方向に膨張展開することをより確実に抑制できる。
【0143】
また、リッド311とインフレータ22との間での、エアバッグ30のラジアル方向の膨張展開を、シート状部材によって形成された、比較的軽量な保持部材60と、部分的に設けられた立壁324との組合わせによって抑制できるため、エアバッグ30のラジアル方向の膨張展開を軽量な構成によって抑制できることになる。
【0144】
第4変形例では、展開ドアに対する延出部の位置を変えた例を説明する。
図24は第4変形例に係るエアバッグ装置420を示す説明図であり、
図25は同エアバッグ装置420のエアバッグ30が膨張展開した状態を示す説明図である。
【0145】
すなわち、上記変形例では、延出部14の基端部は、展開ドア12の基端側ライン(ヒンジ部12bが形成されている)に沿った部分であって当該基端側ライン(薄肉部412b)よりも外周側に設けられている。
【0146】
本エアバッグ装置420のエアバッグ30が膨張し、展開ドア12が割開かれ、展開ドア12が外方に向けて開くと、延出部414はその基端部で曲って外方に向くにように姿勢変更する。
【0147】
上記実施形態及び各変形例では、保持部材の他端側部分が固定部材に直接連結された例で説明したが、保持部材の他端側部分は、固定部材側の部分、即ち、固定部材と一体固定される他の部分に連結されていてもよい。
【0148】
第5変形例は、保持部材の他端側部分が、エアバッグ装置固定用部品に連結された例を示している。
【0149】
図26は第5変形例に係るエアバッグ装置520を展開ドア12の内側に組込む前の状態を示しており、
図27及び
図28はエアバッグ装置520を展開ドア12の内側に組込む途中状態を示しており、
図29はエアバッグ装置520を展開ドア12の内側に組込んだ初期状態を示している。
【0150】
すなわち、この第5変形例のエアバッグ装置520では、インフレータ22の外周囲のつば部24にインフレータ固定部材546が固定されている。インフレータ固定部材546は、上記インフレータ固定部材46と同様に、金属板等で形成された部材であり、つば部24から展開ドア12の内側に向けて延出すると共に先端部がL字状に曲げられた形状に形成されている。また、展開ドア12の内側には、エアバッグ装置固定用部品580が設けられている。エアバッグ装置固定用部品580は、金属板等で形成された部材であり、展開ドア12の内側の車体側部材であるリーンホース等に固定された状態で、展開ドア12の内側であってインフレータ22の裏面側の位置に向けて延出している。上記インフレータ固定部材546の先端部及びエアバッグ装置固定用部品580の先端部には、ボルト挿通孔が形成されている。そして、上記インフレータ固定部材546の先端部及びエアバッグ装置固定用部品580の先端部を重ね合せた状態で、それらのボルト挿通孔にボルトBを挿通し、当該ボルトBにナットNを締結することで、インフレータ固定部材546とエアバッグ装置固定用部品580とが連結固定され、これにより、本エアバッグ装置520がエアバッグ装置固定用部品580に固定される。なお、ナットNは、インフレータ固定部材546に予め固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0151】
このエアバッグ装置520では、上記実施形態における保持部材60に代えて、次の保持部材560A、560Bが用いられる。
【0152】
すなわち、保持部材560A、560Bの他端側部分は、上記エアバッグ装置固定用部品580に連結可能に構成され、保持部材560A、560Bの一端側部分は、延出部14と連結可能とされている。
【0153】
より具体的には、保持部材560A、560Bの他端側部分には、上記ボルトBを挿通可能なボルト挿通孔562Ah、562Bhが形成されている(
図26参照)。また、保持部材560A、560Bの一端側部分は、上記実施形態と同様構成によって、延出部14と連結可能に構成されている。
【0154】
なお、ここでは、保持部材560Aは、インフレータ固定部材546の先端部のうちインフレータ22寄りの位置を通ってインフレータ固定部材546の先端部に重ねられ、保持部材560Bは、インフレータ固定部材546の先端部のうちインフレータ22より遠い側の位置を通ってインフレータ固定部材546の先端部に重ねられるため、保持部材560Aの長さ寸法は、保持部材560Bの長さ寸法よりも大きく設定されている。
【0155】
そして、
図27に示すように、保持部材560A、560Bの一端側部分を延出部14に連結し、この後、
図28に示すように、保持部材560A、560Bの他端部を、インフレータ固定部材546の先端部の外面側に重ね合せる。そして、
図29に示すように、インフレータ固定部材546の他端部を、エアバッグ装置固定用部品580の先端部に重ね合せて、これらの間に保持部材560A、560Bの他端部を挟込む。この状態で、ボルトBを、インフレータ固定部材546、エアバッグ装置固定用部品580及び保持部材560A、560Bの各ボルト挿通孔に挿通させて、ボルトBの先端部にナットNを螺合締結させる。これにより、保持部材560A、560Bの他端側部分が、エアバッグ装置固定用部品580に連結される。
【0156】
この変形例に係るエアバッグ装置520及び保持部材560A、560Bによっても、エアバッグ30の膨張展開時において、展開ドア12がインフレータ22から離れてしまうことを抑制できる。
【0157】
すなわち、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、
図30に示すように、エアバッグ30は、展開ドア12の内側で膨張を開始する。このエアバッグ30は、延出部14等を介して展開ドア12の内面に当接し、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、展開ドア12のティアライン11Lを分断する力として作用する。これにより、展開ドア12が割開かれる。この際、延出部14は、エアバッグ30の膨張展開力によって展開ドア12に向けて押付けられた状態となっている。
【0158】
図31に示すように、展開ドア12が割開かれると、エアバッグ30は展開ドア12跡の開口を通ってインストルメントパネルの外方に膨張展開しようとする。この際、エアバッグ30は、延出部14を、展開ドア12跡の開口を通って外方に押出す。
【0159】
このように、膨張展開しようとするエアバッグ30が、展開ドア12を押して割開き外方に飛出す際等に、保持部材560A、560Bは、延出部14とエアバッグ装置固定用部品580とが離れないように連結し、もって、インフレータ22から展開ドア12が離れてしまわないようにすることができる。これにより、エアバッグ30がより確実に展開ドア12を割開いて外方膨張展開するようになる。
【0160】
また、エアバッグ装置520をエアバッグ装置固定用部品580に固定する際に、保持部材560A、560Bを当該エアバッグ装置固定用部品580に連結固定できるため、当該保持部材560A、560Bの連結固定作業を容易に行える。
【0161】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0162】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。