特許第6208034号(P6208034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208034
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/06 20100101AFI20170925BHJP
【FI】
   B67D7/06 B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-17869(P2014-17869)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145254(P2015-145254A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズメジャメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 航輔
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−240971(JP,A)
【文献】 特開2010−276085(JP,A)
【文献】 特開平04−249631(JP,A)
【文献】 特開2006−176182(JP,A)
【文献】 特開2015−024846(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0196443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給対象の燃料供給口に接続されて当該燃料供給対象に対して燃料供給を行うノズルと、
前記ノズルに供給燃料を送る燃料供給経路と、
前記燃料供給経路を有する筐体に設けられ、前記ノズルを収納するノズル収納部と、
前記ノズル収納部を覆うように形成され、かつ前記ノズル収納部に対して開閉可能に設けられたノズルカバーと
を備えた燃料供給装置において、
カバー開状態の前記ノズルカバーがカバー閉状態になる際のカバー移動速度を、その際のカバー開状態の重力加速度に基づいて発生するカバー移動速度に対して減少させる
減速機構
を備えたことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記減速機構は、
前記カバー開状態又は閉状態に応じて、容積が相反的に拡張又は縮小するように画成され、非圧縮性液体が貯留される第1及び第2の貯液室と、
前記第1及び第2の貯液室同士を連通させるように設けられたチェックバルブ及びオリフィスと、
を有し、
前記チェックバルブは、前記ノズルカバーのカバー閉状態で、前記第1及び第2の貯液室の中、拡張状態にある貯液室に貯留された非圧縮性液体が、前記ノズルカバーのカバー閉移動により縮小状態にある貯液室内に流入するのを遮断するように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記減速機構には、
前記ノズルカバーの前記ノズル収納部に対しての回動範囲を規制する規制部を形成した
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルを使用して燃料供給対象の燃料タンクに燃料を供給する燃料供給装置に係り、燃料供給作業の開始に備えてノズル収納部及びノズル収納部に収納・保持されているノズルの保護機構を備えた燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料供給所に備えられた燃料供給装置の一例として、いわゆるガソリンスタンドに備えられ、燃料供給対象である車両の燃料タンクにガソリンや軽油等の燃料を供給する給油装置が知られている。この給油装置をはじめとする燃料供給装置では、装置本体のノズル収納部に収納・保持されているノズルを燃料供給所の従業員又は顧客自らが操作して、燃料タンクに対する燃料供給作業を行う構成になっている。
【0003】
ところで、このような燃料供給装置は、通常、燃料供給対象との関係等から装置自体が屋外に設置されるため、例えば、風雪が厳しい寒冷地の燃料供給所では、ノズル収納部に収納された状態のノズルに雪等が付着してしまう。その結果、ノズル収納部に収納されているノズルに付着した雪が、燃料供給作業時、例えばノズルをノズル収納部から取り出す場合等、ノズル操作の妨げになることがあった。また、雪に限らず雨によりノズルが濡れた場合には、操作者は濡れたノズルを触ることになり不快に思う場合もあった。
【0004】
このような風雪が厳しい寒冷地の燃料供給所に設置される燃料供給装置に係り、特許文献件1には、ノズル収納部に収納状態のノズルに雪等が付着しないようにするため、ノズル収納部に対する収納状態で、ノズルのグリップ部を除いたノズルの本体及び吐出パイプを覆うことができる開閉可能(本体及び吐出パイプの露出/遮蔽可能)なノズルカバーを備えた燃料供給装置が記載されている。
【0005】
その上で、特許文献件1には、ノズルがノズル収納部に収納された状態でノズルの重量によりノズルカバーをカバー閉位置(ノズル収納部の遮蔽位置)に係止する一方、ノズルをノズル収納部から取り出す際には、ノズルを持ち上げることだけでノズルカバーのカバー閉位置での係止を自動解除できるロック機構についても記載されている。加えて、このロック機構により、ノズルをノズル収納部から取り出す際の操作性を損なうことなく、閉状態にあるノズルカバーが強風によって持ち上げられてガタついたり、ノズルカバーが振動して騒音が発生するのを防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−240971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献件1に記載の燃料供給装置では、燃料供給作業の際、作業開始に当たって、ノズルをノズル収納部から持ち上げて取り出すと、その際、一旦、カバー開状態にされたノズルカバーは、燃料供給作業が終了してノズルがノズル収納部に収納されるまでの間、少なくとも給液口に挿入した吐出パイプから燃料タンクに燃料を供給している間は、ノズルカバーのカバー開状態及びロック機構の解除状態が維持されるようになっている。
【0008】
そのため、燃料供給量が多量である場合や、セルフサービスでノズル操作に不慣れな顧客が燃料供給作業を行う場合等は、ノズルがノズル収納部に収納されている燃料供給作業のための待機時と比べれば短時間ながら、ノズルがノズル収納部から取り出されてからノズルがノズル収納部に収納されるまでの時間が長くなり、この間は、ノズル収納部への雪等の付着を許容してしまうことになる。
【0009】
そこで、ノズルをノズル収納部から持ち上げて取り出した後は、ノズルカバーを、一旦、カバー閉状態に操作してロック機構を係止状態にすれば、このノズルがノズル収納部から取り出されている間の、上述したノズル収納部への雪等が付着は解決可能であるが、実際には、ノズル取り出し後の、ノズルカバーのカバー閉操作やロック機構の係止操作は忘れられがちになってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題点を鑑みなされたものであって、ノズルをノズル収納部から取り出す際、及びノズルをノズル収納に収納する際の作業性を損なうことなく、かつ、ノズルがノズル収納部から取り出されてからノズルがノズル収納部に収納されるまでの間も、ノズル収納部への雪等が付着しにくくした燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明に係る燃料供給装置は、ノズルをノズル収納部から取り出す際、及びノズルをノズル収納部に収納する際の作業性を損なうことなく、かつ、ノズルがノズル収納部から取り出されてからノズルがノズル収納部に収納されるまでの間も、ノズルをノズル収納部から取り出す際にカバー開状態(ノズル収納部の露出状態)にされたノズルカバーが、ノズルの取り出し後、自動的にカバー閉状態(ノズル収納部の隠蔽状態)に戻る構成としたことを特徴とする。
【0012】
そのために、本発明は、燃料供給対象の燃料供給口に接続されて当該燃料供給対象に対して燃料供給を行うノズルと、ノズルに供給燃料を送る燃料供給経路と、燃料供給経路を有する筐体に設けられ、ノズルを収納するノズル収納部と、ノズル収納部を覆うように形成され、かつノズル収納部に対して開閉可能に設けられたノズルカバーとを備えた燃料供給装置であって、カバー開状態の前記ノズルカバーがカバー閉状態になる際のカバー移動速度を、カバー開状態の重力加速度に基づいて発生するカバー移動速度に対して減少させる減速機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
作業者がノズル収納部からノズルを取り出すためにノズルカバーをカバー開操作した場合に、作業者がノズルカバーから手を離しても、ノズルカバーは自動的に減速してカバー閉位置にゆっくりと移動するので、作業者は、その間に、ノズルカバーを離した手でノズルをノズル収納部から取り出すことができ、作業性を損なうことがない。
【0014】
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る燃料供給装置の一実施の形態としての給油装置の正面図である。
図2】ノズルカバーが取り付けられたノズル収納部の構成を示す斜視図である。
図3】ノズルカバーの構成図である。
図4】ノズルカバーのノズル収納部に対し回動自在に取り付ける回動機構の説明図である。
図5】回動機構の減速軸機構部に備えられた減速軸の一実施例の構成図である。
図6】ノズルカバーのカバー閉位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
図7】ノズルカバーのカバー半閉(カバー半開)位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
図8】ノズルカバーのカバー開位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る燃料供給装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
以下では、燃料供給所としてのガソリンスタンドに備えられる給油装置を例に、本発明に係る燃料供給装置の実施の形態について説明する。なお、本発明に係る燃料供給装置は、給油装置に限るものではなく、例えば、LPG(液化石油ガス),LNG(液化天然ガス),CNG(圧縮天然ガス),又は燃料電池の燃料となる水素等の燃料ガスを充填するガス充填装置のように、ノズル操作により燃料供給対象に燃料供給を行う装置であれば、適用可能である。
【0018】
図1は、本発明に係る燃料供給装置の一実施の形態としての給油装置の正面図である。
【0019】
給油装置10は、いわゆるガソリンスタンドに備えられ、装置本体11のノズル収納部40に収納・保持されている給油ノズル30を、スタンド従業員又は顧客自らが操作して、燃料供給対象である車両の燃料タンク等にガソリンや軽油等の給油を行うための燃料供給装置である。
【0020】
図1では、給油装置10は、装置本体11と、この装置本体11から導出され、それぞれ先端に給油ノズル30が備えられた複数の給油ホース20と、を有する構成になっている。各給油ノズル30は、対応する給油ホース20とともに給油系統を構成する。例えば、図示の例では、給油装置10は、レギュラーガソリン,ハイオクガソリン,軽油といった、相互に油種が異なる3つの給油系統を備えた構成になっている。
【0021】
図1において、装置本体11は、給油ノズル30,給油ホース20とともに給油系統を構成する各機器が収納される機器収納部12と、表示器や制御装置が収納される表示機器収納部13とを備えて構成されている。機器収納部12と表示機器収納部13とは、装置本体11のフレームにパネル,仕切板等を装着して、互いに区画形成されて構成されている。
【0022】
機器収納部12の内部には、給油系統それぞれのポンプ等の送液機器21や、送液機器21の駆動により給油ノズル30に供給された油液量を計測する流量計等の流量計測機器22が、それぞれ収納されている。給油系統それぞれの送液機器21のポンプ吸込側は、レギュラーガソリン,ハイオクガソリン,軽油の地下貯油タンクにそれぞれ配管を介して連通され、ポンプ吐出側は対応する流量計測機器22の流入側と連通され、各流量計測機器22の流出側はそれぞれ配管を介して対応する給油ホース20の基端側に連通された構成になっている。
【0023】
また、機器収納部12の筺体面には、給油系統毎に、不使用時に給油ノズル30を保持しておくためのノズル収納部40が設けられている。各ノズル収納部40には、給油ノズル30のノズル収納部40に対する収納状態/非収納状態、又はその状態変化を検出するためのノズルスイッチ23が付設されている。そして、図示の給油装置10では、複数の給油系統を有するので、各ノズル収納部40、又は各ノズル収納部40の近傍の機器収納部12の筺体面には、給油系統毎の供給油種を表示した油種表示パネルも設けられている。
【0024】
一方、このような機器収納部12とは画成された表示機器収納部13には、給油量等の給油情報を表示する給油表示器24が、装置本体11の外部に対し、表示面を臨ませて設けられている。そして、表示機器収納部13の内部には、給油表示器24をはじめとする給油装置各部の作動制御等を行う給油制御装置25が収容されている。
【0025】
給油制御装置25は、CPU,RAM,ROM,接続機器に対する入/出力インタフェース,及び他の装置間との通信のための通信インタフェース等を備えたマイクロコンピュータによってそれぞれ構成されている。給油制御装置25は、送液機器21,流量計測機器22,ノズルスイッチ23,給油表示器24と、信号接続又はデータ接続されているとともに、給油装置10と共にガソリンスタンド内に備えられた販売時点管理システム(給油所POS)の給油端末機(図示せず)とも、互いに信号及びデータを送受信可能なように通信接続されている。さらに、顧客自らが給油ノズル30を操作して燃料供給作業を行うセルフサービス方式のガソリンスタンドでは、給油制御装置25は、給油所事務所に設けられた給油管理機(図示せず)とも、それぞれ信号及びデータを送受信可能なように通信接続されてる。
【0026】
給油制御装置25は、給油端末機から、給油作業開始に際して給油端末機で設定した顧客の給油作業条件を受け、給油端末機若しくは給油管理機から供給される給油許可の受信を基に、この給油作業条件に含まれる設定油種の給油作業を行うため、設定油種に該当する給油系統の各部、及び給油表示器24を作動制御する構成になっている。
【0027】
したがって、給油作業では、作業開始に際して、給油端末機で給油作業条件を設定して給油制御装置25が許可を受けた後は、燃料供給所の従業員又は顧客からなる作業者は、設定油種の給油ノズル30をノズル収納部40から取り出し、ノズル筒先を車輌等の給油口の挿入して操作レバーを開弁操作すれば、油液が吐出され、車輌等の燃料タンクに燃料を供給することができる。
【0028】
その際、給油制御装置25には、設定油種の給油ノズル30をノズル収納部40から取り出すと、ノズルスイッチ23から非収納状態の検出信号が供給される。給油制御装置25は、非収納状態の検出信号により、設定油種に該当する給油系統の送液機器21を作動させて、取り出した給油ノズル30への燃料供給を開始する。これにより、作業者が給油ノズル30の操作レバーを開弁操作すれば、ノズル筒先から油液が吐出され、燃料タンクへの燃料供給が開始されることになる。このようにして、給油ノズル30から車輌等の燃料タンクに供給された燃料液量は、流量計測機器22によって計測され、給油制御装置25によって給油表示器24に随時表示される。
【0029】
その後、車輌等の燃料タンクへの給油が終了すると、作業者は、給油ノズル30の操作レバーを閉弁操作して、給油ノズル30をノズル収納部40に戻して収納する。給油制御装置25は、給油ノズル30のノズル収納部40への収納によってノズルスイッチ23から供給される収納状態の検出信号により、給油作業の終了を判別する。給油制御装置25は、例えば、プリセット給油のような自動制御停止給油の終了で送液機器21が停止しておらず、作動している場合は、送液機器21を作動停止させた後、給油量等の給油作業データを給油端末機に送信して、今回給油詐作業についての伝票発行を行わせる。
【0030】
このように、給油装置10を使用した給油作業では、作業者によるノズル操作が必要不可欠であり、ノズル収納部40からの給油ノズル30の取り出し、ノズル収納部40への掛け戻し(収納)が必須となる。ところが、風雪が厳しい寒冷地のガソリンスタンドでは、ノズル収納部40に収納された状態でノズルに雪等が付着して凍りつくと、給油ノズル30の取り出しや掛け戻しができない、ノズル収納部40に付設されたノズルスイッチ23が給油ノズル30の取り出しや掛け戻しに応動しない、等といった問題点が発生する。
【0031】
そこで、図1に示した本実施例に係る給油装置10では、ノズル収納部40には、ノズル収納部40、及びノズル収納部40に収納された給油ノズル30を覆う、開閉自在のノズルカバー60が取り付けられている。
【0032】
図2は、ノズルカバーが取り付けられたノズル収納部の構成を示す斜視図である。
【0033】
図2では、ノズル収納部40について、便宜的に、装置本体外部に現れる部分を実線で、装置本体11内に位置し、装置本体外部に現れない部分を点線で表してある。図2は、作業者によりノズルカバー60がカバー開操作されて、ノズル収納部40に収納された給油ノズル30が外部に現れ、取り出し可能なカバー開状態を示している。なお、給油ノズル30は、給油ホース20を省略して表してある。
【0034】
通常、給油ノズル30は、図2に示すように、本体収容部31と、吐出パイプ32と、把持部33と、レバーガード部34と、を有する構成になっている。
【0035】
本体収容部31には、操作レバー35の操作に応動する開閉弁(主弁)を含むノズル弁機構が収容されている。吐出パイプ32は、燃料タンクの給油口への挿入部分で、本体収容部31から延設され、ノズル先端側を構成する。把持部33は、給油作業の際に作業者が給油ノズル30を把持する部分で、本体収容部31から吐出パイプ32の延設方向とは異なる方向に延設され、ノズル基端側を構成する。レバーガード部34は、ノズル弁機構の主弁を開閉操作する操作レバー35を保護するための保護枠で、本体収容部31及び把持部33に取り付けられている。
【0036】
給油ノズル30を収容・保持するため、ノズル収納部40は、図示の例では、吐出パイプ収容部41と、載置部42と、を有する構成になっている。
【0037】
吐出パイプ収容部41は、ノズル先端側の吐出パイプ32が挿入されて収容されるノズルブーツ部41aを備える。装置本体11に対するノズル収納部40の取付状態では、吐出パイプ収容部41のノズルブーツ部41aは、装置本体内に突設して、装置本体外部に向いて、ノズルブーツ部41aの開口部及び内周面が現れる。
【0038】
載置部42は、吐出パイプ収容部41に吐出パイプ32が収容された給油ノズル30を支持するともに、その支持された給油ノズル30の姿勢状態が吐出パイプ32や把持部33の軸心廻りに回動変位しないように保持する。図示の例では、載置部42は、給油ノズル30の本体収容部31及びレバーガード部34それぞれの特定部分が遊嵌される支持溝42aを有する。支持溝42aは、その溝底面が給油ノズル30の支持部となり、その溝側面が給油ノズル30の姿勢状態の保持部となる。また、載置部42には、図示省略したが、給油ノズル30の収納状態/非収納状態を検出するノズルスイッチ23、又はこのノズルスイッチ23の作動片や検出部も付設されている。
【0039】
ノズル収納部40は、図示の例では、装置本体11の本体パネルに形成された取付孔に枠部材50を介して取り付けられる構成となっている。枠部材50は、ノズルブーツ部41aの開口部を装置本体外部に臨ませる吐出パイプ挿入口51と、載置部42が支持溝42aを装置本体外部に臨ませるように嵌合する載置部嵌合部52と、を有する形状になっている。
【0040】
ノズル収納部40の装置本体11に対する取り付けに当たって、吐出パイプ収容部41は、予め、枠部材50の吐出パイプ挿入口51にノズルブーツ部41aの開口部を合わせて、枠部材50に一体的に取り付け固定されている。これに対し、載置部42は、予め、装置本体11のフレームに取り付け固定されている。その上で、ノズル収納部40は、吐出パイプ収容部41と一体化された枠部材50を装置本体11の本体パネルの取付孔に組み付け、この本体パネルを装置本体11のフレームに組み付けることによって、枠部材50の載置部嵌合部52から載置部42の支持溝42aが装置本体外部に臨むようになり、枠部材50を介して吐出パイプ収容部41と載置部42とが一体化されて、ノズル収納部40が装置本体11に取り付け固定される構成になっている(詳細は、本願出願人が先に出願した特開2004−123120号(特許第4101007号)公報を参照)。
【0041】
本実施例では、ノズル収納部40を構成する吐出パイプ収容部41と載置部42とを一体化する枠部材50が、ノズルカバー60の取付先になっている。そのため、枠部材50には、ノズルカバー60の取付位置決め部53,カバー内面規制部54,等も形成されている。
【0042】
図3は、ノズルカバーの構成図である。図3(A)は、給油表示器に正対して装置本体を正面から眺めた場合におけるノズルカバーの正面図で、図3(B)は、ノズルカバーの右側面図、図3(C)は、ノズルカバーの平面図をそれぞれ示す。
【0043】
ノズルカバー60は、例えば樹脂材料を成型して構成され、ノズル収納部40に収納状態になっている給油ノズル30を視認できるように、透明又は半透明になっている。ノズルカバー60は、図示の例では、吐出パイプ収容部41と載置部42と一体化してノズル収納部40を形成する枠部材50に、開閉自在に取り付けられる。
【0044】
ノズルカバー60は、ノズル収納部40に給油ノズル30が遮蔽された状態で、装置本体11を正面から眺めた場合における給油ノズル30の正面部分や、枠部材50を含むノズル収納部40の吐出パイプ収容部41や載置部42の正面部分を覆うカバー正面部60tと、収納状態で装置本体11の本体パネル面から正面方向に突出して表れる給油ノズル30の各部31,32,33,34それぞれの側面部や、ノズル収納部40の吐出パイプ収容部41や載置部42の側面部を覆うカバー周辺部60sとが、一体的に成型された複合曲面構造になっている。これにより、ノズルカバー60は、正面から眺めた裏側に、これら装置本体11の本体パネル面から正面方向に突出して表れる給油ノズル30やノズル収納部40の各部を、カバー閉状態で非接触で収容するための中空収容空間61を形成する構造になっている。
【0045】
また、図中において一点鎖線で囲んで示した、ノズルカバー60を正面から眺めた場合における上部カバー部60uには、ノズルカバー60を回動自在にノズル収納部40に取り付けるための取付部62がカバー周辺部60sに形成されている。上部カバー部60uは、ノズル収納部40への取付後のカバー閉状態で、ノズルカバー60をカバー開(カバー開放)状態にするカバー回動の妨げとならない形状になっている。
【0046】
同じく、図中において、一点鎖線で囲んで示した、ノズルカバー60を正面から眺めた場合における下部カバー部60dには、給油ホース20、又は給油ホース20が接続される給油ノズル30の回動接手をノズルカバー60の内外間で通過させるための通過口63が形成されている。
【0047】
さらに、ノズルカバー60には、ノズル収納部40への取付後のカバー閉状態で、枠部材50のカバー内面規制部54とカバー内面が当接して、カバー閉操作毎でノズルカバー60の閉状態姿勢に違いが無いように一様に規定するためのカバー閉姿勢規制部64も形成されている。
【0048】
次に、ノズルカバー60のノズル収納部40に対する取付構成について、図4及び図5に基づき説明する。
【0049】
図4は、ノズルカバーをノズル収納部に対し回動自在に取り付ける回動機構の説明図である。図4(A)は、ノズルカバーが取り外された状態のノズル収納部の斜視図で、図4(B)は、回動機構を構成する各部の構成図である。図4(C)は、回動機構における、ノズルカバーのカバー開方向に係る回動規制状態を示した図である。なお、図4(A)においては、ノズル収納部40の吐出パイプ収容部41は図示省略してある。
【0050】
図4(A)に示すように、吐出パイプ収容部41と載置部42とを一体化してノズル収納部40を構成するための枠部材50の、正面から視て上部になる吐出パイプ挿入口51側の端部又はその周辺部分には、回動機構70のノズル収納部40側の取付孔55が形成されている。取付孔55は、ノズル収納部40に対するノズルカバー60の取付位置決め部53にもなっている。
【0051】
回動機構70は、ノズルカバー60がカバー開位置からカバー閉位置へ移動(変位)する際、換言すれば、カバー開状態のノズルカバー60がカバー閉状態になる際のカバー移動速度(カバー変位速度)を、その際の開位置状態(カバー開状態)の重力加速度に基づいて発生するカバー移動速度(カバー変位速度)に対して減少させる減速機能部を備えた構成になっている。そして、回動機構70のこの減速機能部は、閉状態にあるノズルカバー60が強風によって持ち上げられてガタついたり、ノズルカバー60が振動して騒音が発生するのを防止するロック機能部としての機能も併せ持つようになっている。
【0052】
図示の例では、回動機構70は、ノズル収納部40側の取付固定板71と、ノズルカバー60側の取付固定板72と、両取付固定板71,72を回動可能に連結するとともに減速機能部及びロック機能部を構成する減速軸機構部80と、を有する構成になっている。
【0053】
ノズル収納部40側の取付固定板71は、L字状に折曲された剛性板材により構成されている。取付固定板71の一側の折曲部は、ノズル収納部40の枠部材50に対する取付固定部71aとなり、枠部材50に形成された取付孔55に合わせて、例えばねじやボルト等といった位置決め締着部材73の取付孔が形成されている。取付固定板71の他側の折曲部は、減速軸機構部80に対する固定連結部71bとなり、例えばねじやボルト等の締着部材によって、減速軸機構部80のノズル収納部側固定部81と固定される。ノズル収納部40側の取付固定板71は、枠部材50に位置決め締着部材73によって位置決め固定された状態で、その固定連結部71bの板面がノズルカバー60のカバー開方向に係る回動規制面74になる。
【0054】
これに対し、ノズルカバー60側の取付固定板72は、複数個所でL字状に折曲された剛性部材により構成されている。取付固定板72は、L字状に折曲された一側の折曲部からなる減速軸機構部80に対する固定連結部72aと、この固定連結部72aに対してL字状に折曲された他の折曲部からなる中継部72bと、中継部72bの幅方向両側からそれぞれ延び、中継部72bに対してL字状に谷折りされた一対のノズルカバー固定部72cと、折曲状態で各ノズルカバー固定部72cから固定連結部72aの板面から突出するように延びた一対の回動規制片72dと、を有する構成になっている。固定連結部72aは、例えばねじやボルト等の締着部材によって、減速軸機構部80のノズルカバー側固定部82と固定される。一対のノズルカバー固定部72cは、ノズルカバー60の取付部62と、位置決め固定部材75を両者に嵌着することによって固定される。一対のノズルカバー固定部72cは、減速軸機構部80のノズルカバー側固定部82に対するノズルカバー60の取付姿勢状態を規定する。回動規制片72dは、ノズルカバー60の回動に応じて、ノズル収納部40側の取付固定板71における回動規制面74と図4(C)に示すように当接して、ノズルカバー60のカバー開方向に係る回動姿勢の規制を協働して行う。
【0055】
減速軸機構部80は、ノズル収納部側固定部81と、ノズルカバー側固定部82と、減速軸83と、を有する構成になっている。
【0056】
ノズル収納部側固定部81は、一側に固定板取付面81aが形成され、他側が減速軸83の固定取付部81bになっている。ノズルカバー側固定部82は、一側に固定板取付面82aが形成され、他側が減速軸83との係合取付部82bになっている。減速軸83は、ノズル収納部側固定部81とノズルカバー側固定部82との間の相対的な回動範囲、すなわちノズルカバー60のノズル収納部40に対する相対的な回動範囲を規制しながら、両者を回動可能に軸支持する。
【0057】
図5は、回動機構の減速軸機構部に備えられた減速軸の一実施例の構成図である。図5(A)は、減速軸の外観構成を示す斜視図を、図5(B)は、減速軸の軸受筐体の内部構成を示す透視図を、図5(C)は、軸部材の外観構成を示す斜視図を、図5(D)は、減速軸の延設方向に対して垂直な断面構成を示す断面図を、それぞれ示す。
【0058】
減速軸83は、図5(B)に示す軸受筐体84に、軸部材85が図5(D)に示すように所定回動範囲内で、回動可能に組み付けられて構成されている。
【0059】
軸受筐体84は、図5(B)に示すように、内部に、軸長さ方向の両端側が小径の軸支承孔84aとなり、両端側の軸支承孔84aの間に、軸支承孔84aよりも大径な、非圧縮性流体(例えば、油圧発生用オイル等、図示省略)が貯蔵される貯液孔84bが形成された構造になっている。各軸支承孔84a及び貯液孔84bは、軸方向に沿って同軸に連設され、各軸支承孔84aは軸受筐体84の軸方向端面からそれぞれ外部に対して開口している。これにより、軸受筐体84には、軸方向に沿って、一方の軸支承孔84a,貯液孔84b,他方の軸支承孔84aが順次並んで構成され、軸部材貫通孔が貫通して設けられた構造になっている。
【0060】
加えて、軸受筐体84の貯液孔84bには、その内周面の所定角度位置から径方向内方に向かって、軸部材85の後述する軸本体部85aと摺設するように突設し、軸部材85の回動範囲を規制する回動規制部86が形成されている。
【0061】
これにより、軸受筐体84の各軸支承孔84aの内周面は、図示せぬシール部材を介して軸部材85を回動可能に支持する軸支承部87となり、回動規制部86が形成された貯液孔84bは、減速軸83の回動する際に抵抗を発生する抵抗発生部88になる。
【0062】
これに対し、軸部材85は、軸本体部85aと、区画壁部85bとを有する構成になっている。軸本体部85aは、軸受筐体84の軸支承部87に回動可能に支持され、軸部材貫通孔を貫通する。区画壁部85bは、軸受筐体84の貯液孔84bに該当する軸本体部85aの軸方向長さ位置に亘って、軸本体85aの外周面の所定角度位置から径方向外方に向かって、軸受筐体84の貯液孔84bの内周と摺設するように突設し、軸受筐体84の貯液孔84b内を2室に区分する。区画壁部85bは、カバー開移動時に容積が増大する一方、カバー閉移動時に容積が縮小する第1の貯液室91と、カバー閉移動時に容積が増大する一方、カバー開移動時に容積が縮小する第2の貯液室92とを形成する。
【0063】
さらに、区画壁部85bには、第1の貯液室91と第2の貯液室92との間を連通するように、チェックバルブ93と、オリフィス94とが設けられている。
【0064】
チェックバルブ93は、カバー閉移動時に容積が増大している第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体を、ノズルカバー60のカバー開位置からカバー閉位置へのカバー開移動(カバー開変位)に連動して、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体の液圧の値が所定圧力以上になると、閉弁状態から開弁状態になる。チェックバルブ93は、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体が第1の貯液室91側へ流入するのを許容する構成になっている。換言すれば、チェックバルブ93は、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体の第1の貯液室91側への流入は、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体の液圧状態にかかわらず阻止する構成になっている。
【0065】
これに対し、オリフィス94は、常時、第1の貯液室91内と第2の貯液室92内との間を連通している。
【0066】
このように構成された回動機構70において、減速軸83の軸受筐体84は、減速軸機構部80のノズル収納部側固定部81に取り付け固定され、ひいては、このノズル収納部側固定部81を介して、ノズル収納部40の枠部材50に対して取り付け固定されている。一方、減速軸83の軸部材85は、減速軸機構部80のノズルカバー側固定部82に係合固定され、ひいては、このノズルカバー側固定部82を介して、ノズルカバー60に係合固定されている。
【0067】
これにより、回動機構70において、減速軸83の軸部材85は、ノズルカバー60のカバー開移動時及びカバー閉移動時それぞれにおいて、ノズルカバー60の回動に連動して減速軸83の軸受筐体84内を回動変位しようとする。その際、第1の貯液室91又は第2の貯液室92の何れか一方の、容積が縮小される側に貯留された非圧縮性流体は、ノズルカバー60を回動させようとする操作力で、軸部材85の区画壁部85bによって押圧される。この押圧により、容積が縮小される側の液圧が上昇する。その結果、ノズルカバー60の回動によって容積が縮小される側に貯留された非圧縮性流体は、軸部材85の区画壁部85bに設けられたオリフィス94、又はチェックバルブ93とオリフィス94とを介して、第1の貯液室91又は第2の貯液室92の何れか他方の、区画壁部85bを介して押圧されていない、容積が拡大される側に流入する。減速軸83の軸部材85は、このようにして、ノズルカバー60の回動によって容積が縮小される側に貯留された非圧縮性流体の液圧上昇を抑制しようとする。
【0068】
図6は、ノズルカバーのカバー閉位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
【0069】
図7は、ノズルカバーのカバー半閉(カバー半開)位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
【0070】
図8は、ノズルカバーのカバー開位置におけるノズルカバー及び回動機構の状態を示した図である。
【0071】
図6図7図8の各図において、(A)図は、ノズルカバーが取り付けられた状態での各移動位置でのノズル収容部の外観斜視図を、(B)図は、各移動位置での回動機構の状態を、(C)図は、各移動位置での回動機構における第1の貯液室及び第2の貯液室の状態を示した図である。
【0072】
この結果、ノズルカバー60の開移動時における、第1の貯液室91内の容積を縮小させるとともに第2の貯液室92内の容積を拡大させる、第1の貯液室91側から第2の貯液室92側への、第1の貯液室91内に貯留されている非圧縮性流体の流通移動は、第1の貯液室91内の液圧上昇により開弁したチェックバルブ93と、オリフィス94との両方を介して行われることになる。従って、非圧縮性流体の流通移動はチェックバルブ93と、オリフィス94の両方で行われるため、ノズルカバー60を閉状態から開状態へ移動させる際に、作業者は負担なく開動作を行うことができる。
【0073】
逆に、ノズルカバー60の閉移動時における、第2の貯液室92内の容積を縮小させるとともに第1の貯液室91内の容積を拡大させる、第2の貯液室92側から第1の貯液室91側への、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体の移動は、第2の貯液室92内の液圧が上昇してもチェックバルブ93は閉弁したままでなので、オリフィス94のみを介して行われることになる。
【0074】
したがって、チェックバルブ93の開弁圧を適宜設定しておけば、作業者によるノズルカバー60のカバー開操作では、チェックバルブ93が開弁して、第1の貯液室91側から第2の貯液室92側への、第1の貯液室91内に貯留されている非圧縮性流体の流通移動は、開弁したチェックバルブ93と、オリフィス94との両方を介して行われる。これにより、第1の貯液室91に貯留され、作業者によるノズルカバー60のカバー開操作で液圧が上昇する非圧縮性流体は、チェックバルブ93が開弁してしまえばチェックバルブ93を開弁した分だけ、第1の貯液室91からの多量に流出させることができ、軸受筐体84内における軸部材85の回動が円滑になる。この結果、ノズルカバー60に作用する回動力の大きさは同じであっても、オリフィス94しか連通していない場合に比べて、軸受筐体84内における軸部材85の回動速度、すなわちノズルカバー60の回動速度を速くすることができ、ノズルカバー60の開移動を円滑に行うことできる。加えて、第1の貯液室91に貯留されている非圧縮性流体がチェックバルブ93が開弁する液圧になるまでは、オリフィス94しか連通していないため、チェックバルブ93が開弁したときに比べて、第1の貯液室91から第2の貯液室92側へ流出する非圧縮性流体の流量は制限される。
【0075】
これにより、カバー閉状態にあるノズルカバー60の強風によるガタつき防止も両立させることができる。
【0076】
一方、チェックバルブ93の開弁圧を適宜設定しておけば、作業者がノズルカバー60から手を離した場合のカバー閉操作では、ノズルカバー60の自重による重力加速度に基づいた押圧力によって第2の貯液室92内の非圧縮性流体の液圧が上昇しても、チェックバルブ93は開弁せず、第2の貯液室92側から第1の貯液室91側への、第2の貯液室92内に貯留されている非圧縮性流体の流通移動は、オリフィス94だけを介して行われる。
【0077】
この結果、ノズルカバー60に作用する回動力の大きさは同じであっても、オリフィス94及び開弁したチェックバルブ93の両方で連通している場合に比べて、軸受筐体84内における軸部材85の回動速度、すなわちノズルカバー60の回動速度を遅くすることができ、ノズルカバー60の開移動を停滞させることできる。
【0078】
これにより、カバー開状態にあるノズルカバー60から手を離しても、ノズルカバー60がゆっくりカバー閉位置へ移動する間に、カバーから離したその手で給油ノズル30の把持部33を握り、給油ノズル30をノズル収容部40から取り出すことができる。
【0079】
そのため、ノズルカバー60を給油ノズル30の把持部33を含めた全体を覆い隠せる形態にしても、片手でノズルカバー60をカバー閉状態に戻らないように支えながら、もう一方の手で把持部33を握って給油ノズル30のノズル収納部40から取り出さなくても、開状態にしたノズルカバー60から手を離して、ノズルカバー60がゆっくりカバー閉位置へ移動する間に、カバー離したその手で給油ノズル30の把持部33を握り、給油ノズル30をノズル収容部40から取り出すことができる。
【0080】
これにより、ノズルカバー60を給油ノズル30の把持部33を含めた全体を覆い隠せるようにしても、作業者は、片手だけでノズルカバー60をカバー開状態にして給油ノズル30をノズル収容部40から取り出すことができる。そのため、風雪が厳しい寒冷地であっても、給油ノズル30の把持部33に雪が付着してしまうことがなく、給油ノズル30の操作上の快適性を損なわれることもない。
【0081】
さらに、給油ノズル30をノズル収容部40から取り出すに当たって、カバー開状態にしたノズルカバー60は、第2の貯液室92側から第1の貯液室91側への、オリフィス94だけを介したカバー閉移動により、ノズルカバー60は自動的にカバー閉状態に戻るので、ノズルがノズル収納部から取り出されてからノズルがノズル収納部に収納されるまでの間も、ノズル収納部への雪等が付着するのを防ぐことができ、ノズルカバーが強風によりガタつくのも防止できる。
【符号の説明】
【0082】
10 給油装置、 11 装置本体、 12 機器収納部、 13 表示機器収納部、
20 給油ホース、 21 送液機器、 22 流量計測機器、
23 ノズルスイッチ、 24 給油表示器、 25 給油制御装置、
30 給油ノズル、 31 本体収容部、 32 吐出パイプ、
33 把持部、 34 レバーガード部、 40 ノズル収納部、
41 吐出パイプ収容部、 41a ノズルブーツ部、
42 載置部、 42a 支持溝 50 枠部材、 51 吐出パイプ挿入口、
52 載置部嵌合部、 53 取付位置決め部、 54 カバー内面規制部、
55 取付孔、 60 ノズルカバー、 60t カバー正面部、
60s カバー周辺部、 60u 上部カバー部、 60d 下部カバー部、
61 中空収容空間、 62 取付部、 63 通過口、
64 カバー閉姿勢規制部、 70 回動機構
71 取付固定板、 71a 取付固定部、 71b 固定連結部、
72 取付固定板、 72a 固定連結部、 72b 中継部、
72c ノズルカバー固定部、 72d 回動規制片、 73 位置決め締着部材、
74 回動規制面、 75 位置決め固定部材、 80 減速軸機構部、
81 ノズル収納部側固定部、 81a 固定板取付面、 81b 固定取付部、
82 ノズルカバー側固定部、 82a 固定板取付面、 82b 係合取付部、
83 減速軸、 84 軸受筐体、 84a 軸支承孔、 84b 貯液孔、
85 軸部材、 85a 軸本体部、 86 回動規制部、 85b 区画壁部、
87 軸支承部、 88 抵抗発生部、 91 第1の貯液室、
92 第2の貯液室、 93 チェックバルブ、 94 オリフィス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8