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特許6208036バイオ水質監視装置、水質監視システムおよび水質監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208036
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】バイオ水質監視装置、水質監視システムおよび水質監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G01N33/18 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-23241(P2014-23241)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-152304(P2015-152304A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山口 太秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 良春
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祥樹
【審査官】 海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−243698(JP,A)
【文献】 特開2006−071438(JP,A)
【文献】 特開2008−008752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバイオ水質監視装置を相互に送受信可能に接続し、水質の安全性を連続監視する水質監視システムにおける、バイオ水質監視装置であって、
各バイオ水質監視装置は、
有害物質に感応する微生物を利用して水中の有害物質を監視する水質監視手段と、
前記水質監視手段における一定周期で所定時間の校正を開始する校正開始時刻を設定する校正時刻設定手段と、
前記水質監視手段が監視状態から監視中断状態に移行するときに監視中断信号を送信し、前記水質監視手段が監視中断状態から監視状態に移行したときに監視回復信号を送信する送信手段と、
他のバイオ水質監視装置から監視中断信号及び監視回復信号を受信して前記水質監視手段に出力する受信手段と、を備え、
前記水質監視手段は、
前記受信手段から監視中断信号が入力される前に前記校正開始時刻になった場合、監視状態から監視中断状態に移行し、前記所定時間の校正処理を実行し、校正処理終了後に監視中断状態から監視状態へ移行し、
前記校正開始時刻になる前に前記受信手段から監視中断信号が入力された場合、前記校正開始時刻になっても前記受信手段から監視回復信号が入力されるまで監視状態を維持し続けることを特徴とするバイオ水質監視装置。
【請求項2】
前記一定周期は、バイオ水質監視装置における毒物の検出能力を保証し得る最大の連続監視可能時間から想定し得る最大の監視中断時間を減じた時間であることを特徴とする請求項1に記載のバイオ水質監視装置。
【請求項3】
複数のバイオ水質監視装置を相互に送受信可能に接続し、水質の安全性を連続監視する水質監視システムであって、
前記複数のバイオ水質監視装置の各々は、
有害物質に感応する微生物を利用して水中の有害物質を監視する水質監視手段と、
前記水質監視手段における一定周期で所定時間の校正を開始する校正開始時刻を設定する校正時刻設定手段と、
前記水質監視手段が監視状態から監視中断状態に移行するときに監視中断信号を送信し、前記水質監視手段が監視中断状態から監視状態に移行したときに監視回復信号を送信する送信手段と、
他のバイオ水質監視装置から監視中断信号及び監視回復信号を受信して前記水質監視手段に出力する受信手段と、を備え、
前記水質監視手段は、
前記受信手段から監視中断信号が入力される前に前記校正開始時刻になった場合、監視状態から監視中断状態に移行し、前記所定時間の校正処理を実行し、校正処理終了後に監視中断状態から監視状態へ移行し、
前記校正開始時刻になる前に前記受信手段から監視中断信号が入力された場合、前記校正開始時刻になっても前記受信手段から監視回復信号が入力されるまで監視状態を維持し続けることを特徴とする水質監視システム。
【請求項4】
前記一定周期は、バイオ水質監視装置における毒物の検出能力を保証し得る最大の連続監視可能時間から想定し得る最大の監視中断時間を減じた時間であることを特徴とする請求項3に記載の水質監視システム。
【請求項5】
前記水質監視システムを構成する各バイオ水質監視装置の前記一定周期の開始時刻は、前記一定周期を、前記水質監視システムを構成するバイオ水質監視装置の台数で割った時間ずつずらして初期設定し、
前記所定時間が延びることにより各バイオ水質監視装置における一定周期のスタート時刻の相互の間隔がずれた場合、前記水質監視システムを構成する全てのバイオ水質監視装置が監視状態になったとき、最後に監視中断から監視状態に回復したバイオ水質監視装置が監視回復信号を送信するタイミングで、前記初期設定を改めて行うことを特徴とする請求項4に記載の水質監視システム。
【請求項6】
有害物質を監視する機能を保証するために、バイオ水質監視装置における有害物質の検出能力を保証し得る最大の連続監視可能時間から想定し得る最大の監視中断時間を減じた時間である一定周期で所定時間の監視中断を必要とするバイオ水質監視装置を複数台用いて、水質の安全性を連続監視する水質監視方法であって、
前記複数台のバイオ水質監視装置の内のいずれか1台のバイオ水質監視装置が監視中断になるとき、前記1台のバイオ水質監視装置から前記複数台のバイオ水質監視装置の内の他のバイオ水質監視装置に対して監視中断信号を送信する第1処理と、
前記監視中断信号が受信されると、前記複数台のバイオ水質監視装置の中の少なくとも1台の他の前記バイオ水質監視装置は、前記一定周期で所定時間の監視中断設定によって監視中断時刻になっても前記監視中断信号を送信した前記1台のバイオ水質監視装置からの監視回復信号が受信されるまで監視状態を維持する第2処理と、
前記監視中断信号を送信した前記1台のバイオ水質監視装置は、監視中断から監視状態に移行したときに、前記複数台のバイオ水質監視装置の内の前記他のバイオ水質監視装置に対して監視回復信号を送信する第3処理と、
前記他のバイオ水質監視装置は、前記一定周期で所定時間の監視中断設定によって設定された監視中断時刻の前に前記監視回復信号を受信した場合、前記監視中断時刻に監視中断に移行し、前記一定周期で所定時間の監視中断時刻設定によって設定された監視中断時刻の後に前記監視回復信号を受信した場合、前記監視回復信号を受信した後に監視中断に移行する第4処理と、
を含むことを特徴とする水質監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質の安全性を連続監視する水質監視システムを構成するために好適なバイオ水質監視装置と、このバイオ水質監視装置を複数用いた水質監視システムと、水質監視方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
有害物質に感応する微生物を利用して水中の毒素物質を監視するバイオ水質監視装置は、監視精度を維持するために一般に24時間程度の一定周期ごとに所定時間の校正をしている。しかしながら、校正している間は監視が中断してしまうため、監視ができない期間が発生する。
【0003】
特許文献1には、環境水中の有害物質を検知するバイオセンサにおいて、ゼロ点校正とフルスケール(スパン)校正を安定にしかも短時間で行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−71438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオ水質監視装置は、水中の有害物質を監視するために、有害物質に極めて弱い微生物を生きたまま固定化したバイオセンサを用いる。バイオ水質監視装置を用いて監視精度を維持するためには、微生物固有の生育至適温度、生育至適pH等の至適条件を維持しつつ、成育に必要な微量栄養成分を含む緩衝溶液を用いて微生物により消費される酸素量の測定を行う必要がある。そのため、特許文献1で提案されている校正方法によっても、1〜2時間程度の校正時間が必要である。この校正期間中は、監視を中断する必要がある。この監視の中断を回避して水質の安全性を連続監視する方法として、2台のバイオ水質監視装置を用意し、2台の監視中断が重ならないように、2台のバイオ水質監視装置の校正時間をずらして設定しておく方法が考えられる。
【0006】
しかし、バイオ水質監視装置における監視中断は、校正の場合だけとは限らず、保守・点検、水槽の洗浄、故障等によっても発生する。しかも、バイオ水質監視装置における監視中断時間は、監視中断の原因により異なる。監視中断の原因によっては、バイオ水質監視装置が監視状態に回復するまでに半日〜最大1日程度の時間を要することも想定される。このような通常の校正時間を超える監視中断が発生した場合には、2台のバイオ水質監視装置の校正時間を予めずらして設定しておく方法では対処することができない。
【0007】
本発明は、複数のバイオ水質監視装置が相互に、監視中断、監視回復を連絡し合い、協働することにより、一日24時間において、少なくとも1台のバイオ水質監視装置が監視状態を維持することにより、通常の校正時間を超える監視中断が発生した場合にも、水質の安全性を連続監視することを可能とするバイオ水質監視装置、水質監視システムおよび水質監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面のバイオ水質監視装置は、複数のバイオ水質監視装置を相互に送受信可能に接続し、水質の安全性を連続監視する水質監視システムにおける、バイオ水質監視装置であって、各バイオ水質監視装置が、有害物質に感応する微生物を利用して水中の有害物質を監視する水質監視手段と、前記水質監視手段における一定周期で所定時間の校正を開始する校正開始時刻を設定する校正時刻設定手段と、前記水質監視手段が監視状態から監視中断状態に移行するときに監視中断信号を送信し、前記水質監視手段が監視中断状態から監視状態に移行したときに監視回復信号を送信する送信手段と、他のバイオ水質監視装置から監視中断信号及び監視回復信号を受信して前記水質監視手段に出力する受信手段と、を備え、前記水質監視手段は、前記受信手段から監視中断信号が入力される前に前記校正開始時刻になった場合、監視状態から監視中断状態に移行し、前記所定時間の校正処理を実行し、校正処理終了後に監視中断状態から監視状態へ移行し、前記校正開始時刻になる前に前記受信手段から監視中断信号が入力された場合、前記校正開始時刻になっても前記受信手段から監視回復信号が入力されるまで監視状態を維持し続けることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の側面の水質監視システムは、複数のバイオ水質監視装置を相互に送受信可能に接続することにより、水質の安全性を連続監視する水質監視システムであって、前記複数のバイオ水質監視装置のいずれかが監視状態から監視中断状態に移行する際に他のバイオ水質監視装置に対して監視中断信号を送信すると共に、前記監視中断信号を送信したバイオ水質監視装置が監視中断状態から監視状態に移行したとき、他のバイオ水質監視装置に対し監視回復信号を送信し、前記他のバイオ水質監視装置の中の少なくとも1台のバイオ水質監視装置は、前記監視中断信号を受信た後、前記監視回復信号を受信るまで監視状態を維持し続けることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の側面の水質監視方法は、有害物質を監視する機能を保証するために、一定周期で所定時間の監視中断を必要とするバイオ水質監視装置を複数用いて、水質の安全性を連続監視する水質監視方法であって、前記複数の水質監視装置の内のいずれか1台のバイオ水質監視装置が監視中断になると、監視中断になったバイオ水質監視装置は、前記複数の水質監視装置の内の他のバイオ水質監視装置に対して監視中断信号を送信する第1処理と、前記監視中断信号が受信されると、前記複数のバイオ水質監視装置の中の少なくとも1台のバイオ水質監視装置は、監視中断が必要になっても監視状態を維持し続ける第2処理と、前記監視中断になったバイオ水質監視装置は、監視中断が解除されたときに、前記複数の水質監視装置の内のその他のバイオ水質監視装置に対して監視回復信号を送信する第3処理と、前記監視回復信号が受信されると、前記その他のバイオ水質監視装置の中のすくなくとも1台のバイオ水質監視装置は、監視中断に移行する第4処理と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バイオ水質監視装置は、有害物質に感応する微生物を利用して水中の有害物質を監視する水質監視手段と、校正時刻設定手段と、送信手段と、受信手段と、を備えている。水質監視手段は、校正時刻設定手段により設定された校正開始時刻になる前に、受信手段から監視中断信号が入力された場合、校正開始時刻になっても受信手段から監視回復信号が入力されるまで監視状態を維持するようにしている。これにより、他のバイオ水質監視装置で通常の校正時間を超える監視中断が発生した場合にも、他のバイオ水質監視装置が監視中断状態の間、それ以外のバイオ水質監視装置監視状態を継続するので、水質の安全性を連続監視することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1のバイオ水質監視装置10の概略を示すブロック図である。
図2図1中の水質監視手段11の機能の概略を示す機能ブロック図である。
図3図2の水質監視手段11の測定原理を説明するための図である。
図4図1中のバイオ水質監視装置における監視状態の移行処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2の水質監視システムの概略を示すシステム構成図である。
図6図5の水質監視システムにおける監視状態の推移を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の実施形態3の水質監視システムの概略を示すシステム構成図である。
図8図7の水質監視システムにおける監視状態の推移を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面に基づいて、実施形態について詳細に説明する。
【実施形態1】
【0014】
(実施形態1の構成)
図1は、本発明の実施形態1のバイオ水質監視装置10の概略を示すブロック図である。
【0015】
バイオ水質監視装置10は、水質監視手段11と、校正時刻設定手段12と、通信手段13と、を有している。通信手段13は、送信手段13aと受信手段13bから構成されている。
【0016】
水質監視手段11は、有害物質に感応する微生物を利用して水中の有害物質を監視するものであり、詳細は後述する。
校正時刻設定手段12は、水質監視手段11の有害物質の検知能力を維持するための校正開始時刻を設定するものである。校正は、例えば、24時間の一定周期Tc、で実施され、実施に例えば、1〜2時間の所定時間を要する。
【0017】
送信手段13aは、水質監視手段11が監視状態から監視中断状態に移行するときに監視中断信号を送信し、水質監視手段11が監視中断状態から監視状態に移行したときに監視回復信号を送信するものである。
【0018】
受信手段13bは、外部(他のバイオ水質監視装置)から監視中断信号及び監視回復信号を受信するものであり、受信した監視中断信号及び監視回復信号を水質監視手段11に出力する。
水質監視手段11は、校正時刻設定手段12により設定された校正開始時刻になると、監視を中断し、校正を行い、所定時間の校正が終了すると、監視を再開する。設定された校正開始時刻前に、受信手段13bから監視中断信号が入力された場合には、水質監視手段11は、その後、受信手段13bから監視回復信号が入力されるまで、校正開始時刻を過ぎても監視を中断することなく、監視状態を維持し続ける。更に、校正開始時刻を過ぎて監視状態を維持し続けている水質監視手段11は、受信手段13bから監視回復信号が入力されると、監視中断状態へ移行して、校正を行い、所定時間の校正が終了すると、監視を再開する。
【0019】
図2は、図1中の水質監視手段11の機能の概略を示す機能ブロック図である。
水質監視手段11は、検出部21、制御部22、表示部23、ポンプ25及び26、濾過器27、切替部28、配管29、純水容器30、洗浄水容器31、フィード液容器32、校正液容器33を有している。
【0020】
検出部21は、試料水(原水または濾過した原水など)から酸素を取り込み呼吸する微生物を付着させて固定した膜(以降、微生物膜という)と、微生物膜を通過した酸素量に応じて電気信号を出力するセンサと、を有する。
【0021】
微生物膜に使用される微生物としては、硝化細菌が好ましく、特にアンモニア酸化細菌を用いることが望ましい。アンモニア酸化細菌としては、例えば、ニトロソモナスユーロピア(Nitroso monase uropaea ATCC25978)などが考えられる。この微生物膜は、例えば、硝化細菌をアルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁し、この懸濁液を多孔質のセルロース膜上に滴下してからもう1枚のセルロース膜で挟み、塩化カルシウム水溶液でアルギン酸ナトリウムをゲル化させて菌体を固定させる。なお、検出部21を恒温槽内に設け、例えば、硝化細菌を用いて硝化細菌の活性指標である、溶存酸素消費率が目標制御範囲内になるように温度調整をする。
【0022】
制御部22は、図1の通信手段13を介して他のバイオ水質監視装置10と送受信可能に接続され、水質監視手段11の各部を制御するものであり、Central Processing Unit(CPU)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)など)などで構成されることが考えられる。また、制御部22は記憶部を備え、例えばRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、水質監視手段11の外部に記憶部を設けてもよい。
【0023】
表示部23は水質に関係する表示、制御に関する表示、入力をする際に用いる表示(タッチパネル)などを表示する。例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、プリンタなどが考えられる。
【0024】
制御部22は、図1中の通信手段13を介し、電圧信号(2値信号)などで水質監視装置の状態を他の水質監視装置に知らせる。また、複数のバイオ水質監視装置10が有線または無線で通信により状態を知らせてもよい。例えば、Local Area Network(LAN)接続やインターネット接続や無線接続を行ってもよい。また、通信手段13は必要に応じ、他のコンピュータとの間のLAN接続やインターネット接続や無線接続を行うためのインタフェースである。また、サーバなどの外部装置と通信をする。
【0025】
ポンプ26は、純水容器30、洗浄水容器31、フィード液容器32および校正液容器33それぞれが配管29を介して接続されている。配管29は、例えば、パイプ、チューブ、ホースを用いることが考えられる。また、試料水、純水、洗浄水、フィード液、校正液を切替部28を用いて、必要に応じて混合させた混合液を、ポンプ25は検出部21に送る。
【0026】
ポンプ26は源水を濾過器27に送る。濾過器27は源水を濾過して試料水を吐出する。
切替部28は、配管29、純水容器30、洗浄水容器31、フィード液容器32、校正液容器33に接続されている配管29に設けられた複数の電磁弁などで、試料水、純水、洗浄水、フィード液、校正液それぞれの流路を切り替える。流路の切り替えは制御部22により制御される。
【0027】
配管29は試料水が流れる管である。純水容器30は純水を収めるタンクなどである。洗浄水容器31は配管29を洗浄するための洗浄水を収めるタンクなどである。洗浄には、例えば、硝酸などの酸を用いた洗浄が考えられる。フィード液容器32はフィード液を収めるタンクなどである。フィード液は、試料水と基質および微生物に必要な栄養素とを含んだ緩衝溶液との混合液である。校正液容器33は校正液を収めるタンクなどである。校正液は、純水と基質は含まずに微生物に必要な栄養素を含んだ緩衝溶液である。基質は、例えば、アンモニア性窒素を用いることが考えられる。
【0028】
なお、検出部21を通過する試料水、純水、洗浄水、フィード液、校正液および混合液は、エアポンプなどでエアレーションされた後、熱交換器を介して温度調整がされ、検出部21内を通過して排水される。
【0029】
また、水質監視手段11の構成は、図2に示した構成に限定されるものではなく、微生物を用いて水質監視をすることができる構成であればよい。
(実施形態1の動作)
実施形態1のバイオ水質監視装置の動作について、(I)バイオ水質監視装置の動作原理と、(II)バイオ水質監視装置における監視状態の移行処理と、に分けて説明する。
(I)バイオ水質監視装置の動作原理
図3は、図2の水質監視手段11の測定原理を説明するための図である。
【0030】
水質監視手段11の検出部21に収納されている固体化微生物膜の中に充填されている硝化菌は、アンモニアNHと酸素Oを取り込み、亜硝酸NOを生成する。固定化微生物膜を通過する酸素Oは、一部がこの硝化菌の呼吸によって消費され、残りは溶存酸素電極に達し、一定の信号出力を出力する。有害物質が試料水に混入した場合、微生物の呼吸が阻害され酸素の消費量が減り、消費されない酸素量が増加するため、溶存酸素電極の出力も増加する。この溶存酸素電極の出力の変化を観測することにより、有害物質の有無を検出することができる。
【0031】
上述したバイオ水質監視装置の測定には、ゼロ及びスパンの出力校正が必要である。通常、ゼロ校正液には、蒸留水又はイオン交換水に空気を約1(l/min)の流量で通気して溶存酸素を飽和させたものを使用する。また、水中の飽和溶存酸素の分圧と大気中の酸素の分圧がほぼ等しいため、簡易的に大気中の酸素分圧を利用して校正する方法もある。
【0032】
バイオ水質監視装置10が校正を行わずに連続して試料水中に含まれる有害物質を精度良く検出できる連続監視可能時間から故障・障害時に想定される最大の監視中断時間を減じた時間を、校正を行う一定周期としている。例えば、連続監視可能時間が48時間であり、故障・障害時に想定される最大の監視中断時間が24時間である場合、校正周期Tcは24時間となる。
(II)バイオ水質監視装置における監視状態の移行処理
図4は、図1中のバイオ水質監視装置10における監視状態の移行処理を示すフローチャートである。
【0033】
監視を開始すると、監視状態になり、ステップS1へ進み、制御部22は、受信手段13bから監視中断信号が入力されたかを判定し、入力された(Yes)と判断した場合、ステップS4へ進み、入力されていないと判断した場合(No)、ステップS2へ進む。
【0034】
ステップS2において、制御部22は、校正開始時刻になったかを判定し、校正開始時刻になるまで(No)、ステップS3に進んで、監視状態を継続する。ステップS2で校正開始時刻になると(Yes)制御部22が判断した場合、ステップS6へ進む。
【0035】
ステップS4において、制御部22は、受信手段13bから監視回復信号が入力されるまで(No)、ステップS5に進んで、監視状態を継続する。ステップS4で監視回復信号が入力されると(Yes)と制御部22が判断した場合、ステップS1に戻る。
【0036】
ステップS6において、水質監視手段11は、監視状態から監視中断状態へ移行し、監視中断信号を送信手段13aへ出力する。送信手段13aは、監視中断信号を他のバイオ水質監視装置10に送信し、ステップS7へ進む。
【0037】
ステップS7において、水質監視手段11は、校正処理を実行し、校正処理が終了すると、ステップS8に進む。ステップS8において、水質監視手段11は、監視中断状態から監視状態へ移行し、監視回復信号を送信手段13aへ出力する。送信手段13aは、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10に送信し、ステップS1へ戻る。
【0038】
図4に示されたフローチャートは、自らのバイオ水質監視装置10は正常であり、他のバイオ水質監視装置10から校正開始時刻の前後に監視中断信号を受信した場合の監視状態の移行処理を示している。自らのバイオ水質監視装置10が校正以外の理由で監視中断する場合、図4のフローチャートには記載されていないが、校正以外の理由で監視中断する場合は、当然、水質監視を中断し、監視中断信号を他のバイオ水質監視装置10に送信し、監視中断の理由が無くなった時点で、水質監視を再開し、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10に送信して、その後、水質監視を継続する。
【0039】
(実施形態1の効果)
本発明の実施形態1のバイオ水質監視装置10によれば、校正開始時刻前に監視中断信号を受信し、校正開始時刻になるまで、監視回復信号を受信していない場合には、校正開始時刻になっても監視回復信号が受信されるまで監視状態を維持し、監視回復信号が受信された後に、監視状態から監視中断状態に移行して校正処理を行うようにしている。これにより、他のバイオ水質監視装置が監視中断状態の間、バイオ水質監視装置10は監視状態を継続するので、水質の安全性を連続監視することが可能となるという効果を奏する。
【実施形態2】
【0040】
(実施形態2の構成及び動作)
図5は、本発明の実施形態2の水質監視システムの概略を示すシステム構成図である。
本発明の実施形態2の水質監視システムは、2台のバイオ水質監視装置10−1、10−2を有し、双方向に通信可能な通信回線50により相互に接続されている。通信回線50は、例えばツイストペア線である。
【0041】
通信回線50を介して2台のバイオ水質監視装置10−1、10−2間で行われる通信は、例えば、RS−455準拠の電気的仕様、2線半2重の通信方式であり、調歩同期方式である。通信は、信頼性の高いものであればよく、例示した電気的仕様、方式に限定されない。
【0042】
図6(a),(b)は、図5の水質監視システムにおける監視状態の推移を示すタイミングチャートであり、図6(a)は、通常時の監視状態の推移を示し、図6(b)は、メンテナンス・修理時の監視状態の推移を示している。
【0043】
図6(a),(b)に表示されたt1、t3は、図5中のバイオ水質監視装置10−1及び10−2の通常状態での校正開始時刻であり、一定周期Tcは24時間とし、校正に要する時間Tmは2時間とする。
【0044】
図6(a)に示されたように、通常時において、バイオ水質監視装置10−1は、時刻t0〜時刻t1の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t1になると、バイオ水質監視装置10−1は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を送信し、時刻t1〜t2の校正に要する時間Tmの間に校正処理が実行される。時刻t2に、校正処理が終了すると、バイオ水質監視装置10−1は、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10−2に送信し、監視中断状態から監視状態に移行し、その後、監視状態を維持し続ける。
【0045】
バイオ水質監視装置10−2は、時刻t0〜時刻t3の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t3になると、バイオ水質監視装置10−2は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を送信し、時刻t3〜t4の校正に要する時間Tmの間に校正処理が実行される。時刻t4に、校正処理が終了すると、他のバイオ水質監視装置10−2は、監視回復信号をバイオ水質監視装置10−1に送信し、監視中断状態から監視状態に移行し、その後、監視状態を維持し続ける。
【0046】
2つの校正開始時刻t1,t3は、2台のバイオ水質監視装置10−1、10−2の監視中断状態が重ならないように、通常、一定周期Tc(例えば、24時間)の半分の12時間程度ずらして設定される。通常、バイオ水質監視装置10−1は、校正開始時刻t1から校正に要する時間Tm=2時間経過後の時刻t2に監視状態に移行する。そのため、バイオ水質監視装置10−1が監視状態に移行する時刻t2とバイオ水質監視装置10−2の校正開始時刻t3との差は、10時間の余裕があり、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2が同時に、監視中断状態になることはない。
【0047】
しかし、バイオ水質監視装置10−1が、通常の校正処理以外の理由で、監視中断状態になる場合もある。例えば、半年に1度の定期メンテナンスや障害の修理等で、監視中断状態が12時間から最大24時間継続する場合が想定される。このように、メンテナンス・修理時に、バイオ水質監視装置10−2の校正開始時刻t3を超えて、バイオ水質監視装置10−1の監視中断状態が継続した場合、時刻t3にバイオ水質監視装置10−2が監視状態から監視中断状態に移行して、校正処理を開始すると、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2が同時に監視中断状態となり、水質の安全性を連続監視できなくなる。
【0048】
メンテナンス・修理時、図6(b)において、バイオ水質監視装置10−1は、時刻t0〜時刻t1の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t1に、バイオ水質監視装置10−1は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を送信し、時刻t1〜t6の間、メンテナンス・修理のために監視中断状態である。メンテナンス・修理が終了した時刻t6に、バイオ水質監視装置10−1は、監視中断状態から監視状態に移行すると共に、監視回復信号を送信し、その後、水質監視を継続する。
【0049】
一方、通常、バイオ水質監視装置10−2は、校正開始時刻t3で監視状態から監視中断状態に移行するが、時刻t3の前の時刻t1に監視中断信号を受信しているので、時刻t0から監視回復信号を受信する時刻t6までの間、監視状態を維持する。時刻t6に、監視回復信号を受信すると、校正開始時刻t3を経過しているバイオ水質監視装置10−2は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に監視中断信号を送信する。時刻t6〜t7の校正時間Tmに校正処理が終了すると、時刻t7に、バイオ水質監視装置10−2は、監視中断状態から監視状態に移行すると共に監視回復信号を送信する。その後、バイオ水質監視装置10−2は、水質監視を継続する。
【0050】
図6(b)に示された例では、バイオ水質監視装置10−1の監視中断時間は、14時間であるが、監視中断時間が例えば、20時間に及ぶ場合には、バイオ水質監視装置10−2は、一定周期Tcの間、監視状態を継続する。
【0051】
図6(b)に示された例では、バイオ水質監視装置10−1の監視中断時間が異常に長引いたために、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2の校正開始時刻の時間差が短くなっているが、図6(b)における一定周期Tc経過後の時刻t5のタイミングで、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2の校正開始時刻の設定時刻を図6(a)に示されたような初期設定に戻す。また、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2が共に監視状態に回復している時刻t7のタイミングで、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2の校正開始時刻を初期設定に戻してよい。
(実施形態2の効果)
本発明の実施形態2の水質監視システムによれば、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2の内の一方のバイオ水質監視装置10−2の校正開始時刻になったとき、他方のバイオ水質監視装置10−1が監視中断状態であるときは、バイオ水質監視装置10−1が送信する監視回復信号を受信した後に、バイオ水質監視装置10−2は、監視状態から監視中断状態に移行して校正処理を実行するようにしている。これにより、一方のバイオ水質監視装置10−1が監視中断状態の間、他方のバイオ水質監視装置10−2は監視状態を継続するので、一方のバイオ水質監視装置10−1がメンテナンス・修理等で通常の監視中断時間を超えて監視中断した場合にも、水質の安全性を連続監視することが可能となるという効果を奏する。
【実施形態3】
【0052】
(実施形態3の構成及び動作)
図7は、本発明の実施形態3の水質監視システムの概略を示すシステム構成図である。
本発明の実施形態3の水質監視システムは、3台のバイオ水質監視装置10−1、10−2、10−3を有し、通信回線50及び通信網60を介して相互に送受信可能に接続されている。3台のバイオ水質監視装置10−1、10−2、10−3間で行われる通信は、信頼性の高いものであればよい。信頼性の高い通信網60が選択される。
【0053】
図8(a),(b)は、図7の水質監視システムにおける監視状態の推移を示すタイミングチャートであり、図8(a)は、通常時の監視状態の推移を示し、図8(b)は、メンテナンス・修理時の監視状態の推移を示している。
【0054】
図8(a),(b)において、図7中のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の校正開始時刻が、それぞれ時刻t1、t3、t6であり、一定周期Tc=24時間、校正に要する時間Tm=2時間とする。
【0055】
通常時、図8(a)において、バイオ水質監視装置10−1は、時刻t0〜時刻t1の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t1になると、バイオ水質監視装置10−1は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を他のバイオ水質監視装置10−2、10−3に送信し、時刻t1〜t2の校正に要する時間Tmの間に校正処理が実行される。時刻t2に、校正処理が終了すると、バイオ水質監視装置10−1は、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10−2、10−3に送信し、監視中断状態から監視状態に移行し、その後、監視状態を維持し続ける。
【0056】
バイオ水質監視装置10−2は、時刻t0〜時刻t3の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t3になると、バイオ水質監視装置10−2は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を他のバイオ水質監視装置10−3、10−1に送信し、時刻t3〜t4の校正に要する時間Tmの間に校正処理が実行される。時刻t4に、校正処理が終了すると、バイオ水質監視装置10−2は、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10−3、10−1に送信し、監視中断状態から監視状態に移行し、その後、監視状態を維持し続ける。
【0057】
バイオ水質監視装置10−3は、時刻t0〜時刻t6の間は、監視状態を維持する。校正開始時刻の時刻t6になると、バイオ水質監視装置10−3は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を他のバイオ水質監視装置10−1、10−2に送信し、時刻t6〜t7の校正に要する時間Tmの間に校正処理が実行される。時刻t7に、校正処理が終了すると、バイオ水質監視装置10−3は、監視回復信号を他のバイオ水質監視装置10−1、10−2に送信し、監視中断状態から監視状態に移行し、その後、監視状態を維持し続ける。
【0058】
3つの校正開始時刻t1,t3,t6は、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の監視中断状態が重ならないように、通常、一定周期Tc(例えば、24時間)の3分の1の8時間程度ずらして設定される。そのため、通常、校正開始時刻の差の8時間から校正に要する時間Tm=2時間を減じた約6時間は、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3が全て監視状態となり、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3が同時に、監視中断状態になることはない。
【0059】
しかし、バイオ水質監視装置10−1が、メンテナンス期間で監視中断状態であり、かつ、バイオ水質監視装置10−2が障害修理により監視中断状態であって、バイオ水質監視装置10−3の校正開始時刻t6に、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2が同時に監視中断状態である場合も想定される。このような場合、2台のバイオ水質監視装置10−1,10−2の内のいずれか1台が送信した監視回復信号を受信した時刻t8に、バイオ水質監視装置10−3は、監視状態から監視中断状態に移行すると共に、監視中断信号を送信し、時刻t8〜t9の間に、校正処理を実行する。時刻t9に、バイオ水質監視装置10−3は、監視中断状態から監視状態に移行すると共に監視回復信号を送信し、その後、水質監視を継続する。
【0060】
図8(b)に示された例では、2台のバイオ水質監視装置10−1及び10−2の監視中断時間が異常に長引いたために、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の校正開始時刻の時間差のバランスが初期設定からずれている。図8(b)における一定周期Tc経過後の時刻t10のタイミングで、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の校正開始時刻の設定時刻を図8(a)に示されたような初期設定に戻すことが好ましい。また、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の全てが監視状態に回復している時刻t9のタイミングで、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の校正開始時刻を初期設定に戻すようにすれば、3台の校正開始時刻の時間差のバランスの崩れが速やかに、初期設定に復帰する。
【0061】
図7に示されたような、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3から構成されている水質監視システムにおいて、バイオ水質監視装置10−1の監視中断時間が長引き、2台のバイオ水質監視装置10−2,10−3が正常の場合、図(a)に示された例では、次回の校正時間までの時間が長いバイオ水質監視装置10−3の監視状態を継続し、次回の校正時間までの時間が短いバイオ水質監視装置10−は通常の設定通りに動作させるようにしてもよい。
【0062】
(実施形態3の効果)
本発明の実施形態3の水質監視システムによれば、3台のバイオ水質監視装置10−1,10−2,10−3の内の1台のバイオ水質監視装置10−3の校正開始時刻になったとき、その他のバイオ水質監視装置10−1,10−2の全てが監視中断状態であるときは、バイオ水質監視装置10−1,10−2のいずれか1台が送信する監視回復信号を受信した後に、バイオ水質監視装置10−3は、監視状態から監視中断状態に移行して校正処理を実行するようにしている。これにより、その他のバイオ水質監視装置10−1,10−2の全てが監視中断状態の間、バイオ水質監視装置10−3は監視状態を継続するので、その他の全てのバイオ水質監視装置10−1,10−2の通常の監視中断時間を超えて監視中断した場合にも、水質の安全性を連続監視することが可能となるという効果を奏する。
【0063】
(変形例)
本発明は、実施形態1〜3に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
【0064】
例えば、実施形態1〜3におけるバイオ水質監視装置10の説明では、微生物膜に硝化細菌を用いた例を説明したが、微生物膜は硝化細菌に限定されない。有害物質に極めて弱く、生存中に酸素を消費する他の微生物を用いたものであっても良い。
【0065】
また、実施形態2,3において、複数のバイオ水質監視装置10−1,10−2,・・の相互間を送受信可能に接続する通信回線50及び通信網60は、有線回線及び有線通信網に限定されない。一定の信頼性が確保できる通信回線及び通信網であれば、例えば、無線回線及び無線通信網であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10,10−1,10−2,10−3 バイオ水質監視装置
11 水質監視手段
12 校正時刻設定手段
13 通信手段
13a 送信手段
14b 受信手段
21 検出部
22 制御部
23 表示部
25,26 ポンプ
27 濾過器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8