【実施例1】
【0016】
この発明の実施例1を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、シートクッション2とシートバック3とを備えた乗物用シート1に着座する着座者を保護するためのシートベルト装置は、巻取装置10と、アンカ20と、ベルト案内部材(スルーアンカ、スリップジョイント等と呼ばれることもある)11と、タングプレート30と、バックル40と、ベルト体50と、を備えている。
【0017】
巻取装置10及びアンカ20は、乗物用シート1の車外側の側方に位置する車体のピラー部の下部近傍にそれぞれ配設されている。なお、巻取装置10は乗物用シート1のシートバック3内に配設され、アンカ20はシートクッション2のサイドフレーム部の車外側に配設されることもある。
また、バックル40は、シートクッション2のクッションフレームのサイドフレーム部の車内側に配設されている。
【0018】
ベルト案内部材11は、ベルト体50の引出し経路上に装着されるものであり、車体側部材(例えば、車体のピラー部の上部近傍、又はシートバック3の肩部上面近傍)に配設される。
この実施例1において、
図1〜
図3に示すように、ベルト案内部材11は、その上部に形成された取付部12の取付孔13に段付きボルト等よりなる取付軸19が挿通され、この取付軸19が車体側部材としての車体のピラー部の上部近傍にねじ込まれることで、取付軸19を中心として揺動可能(回動可能)に装着されている。
ベルト案内部材11の下部には、ベルト体50が挿通案内される横長四角形状の挿通孔14が形成されている。
【0019】
図1と
図2に示すように、ベルト体50は、その一端部が巻取装置10に引出し可能に巻き取られる。
ベルト体50は、ベルト案内部材12の挿通孔14を通し、その他端部がアンカ20に固定されている。
また、タングプレート30は、その挿通孔31においてベルト体50に移動可能に挿通されている。
【0020】
図4と
図5に示すように、ベルト体50は、長尺で幅広の帯状体51と、この幅広の帯状体51の幅方向両縁部の長手方向に沿って配設されたファスナ60とを備えている。
この実施例1において、シートベルト装置の使用状態において、ベルト体50の着座者の胸部及びその近傍を支承する部分に対し、ファスナ60の一対のテープ61がミシン縫い等によって縫い合わされて配設され、その他の部分においては、幅広の帯状体51の幅方向両縁部がミシン縫い等によって縫い合わされてチューブ状をなしている。なお、一対のテープ61には相互に噛み合うエレメント62がそれぞれ配設されている。
【0021】
図1〜
図3に示すように、ベルト案内部材11の挿通孔14よりもベルト巻取側に位置する部分には、ファスナ60の両エレメント62を噛み合わせたり、あるいは解放してファスナ60を開閉するスライダ63が装着されるスライダ支持体70が配設されている。
【0022】
この実施例1において、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11とは別個に形成されて、車体側部材としてのピラー部の上部近傍に取り付けられている。
また、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11と共通の取付軸19によって、車体側部材に取り付けられ、ベルト案内部材11とは相対的に回動可能である。
すなわち、
図2と
図3に示すように、スライダ支持体70は、取付軸19が挿通される取付孔を有するボス部71と、このボス部71から下向きに延出された支持部72とを一体に有している。
さらに、支持部72の先端部(下端部)には、スライダ63が、その胴体部64から突出された柱部65において一体状に装着されている。
そして、ベルト体50の引出し時には、スライダ63によってファスナ60が開かれた後、ベルト案内部材11の挿通孔14に挿通されて引き出し案内される。
また、ベルト体50の巻取り時には、ベルト案内部材11の挿通孔14に挿通されて巻き取り案内された後、スライダ63によってファスナ60が閉じられることで幅狭のチューブ状をなし、巻取装置10に巻き取られるようになっている。
【0023】
この実施例1に係るシートベルト装置は上述したように構成される。
したがって、ベルト体50を引き出して使用する場合、巻取装置10側に位置するベルト体50がファスナ60のスライダ63を通過する際、スライダ63によってファスナ60が開かれた後、ベルト案内部材11の挿通孔14を経て引き出される。すると、ベルト体50は、自身の復元力によって幅広に展開される。
このため、乗物用シートに着座している着座者は、幅広に展開されたベルト体50によって保護される。
【0024】
ベルト体50を巻き取って格納する場合、幅広に展開されたベルト体50がベルト案内部材11の挿通孔14を経てファスナ60のスライダ63を通過する際、スライダ63によってファスナ60が閉じられ、幅狭のチューブ状をなす。このため、ベルト体50を巻取装置10によって巻き取り不良なく良好に巻き取ることができる。
また、ベルト体50は、幅狭のチューブ状をなすため、幅広のベルト体50の幅寸法に対応して巻取装置10を大型化する必要もない。
【0025】
また、この実施例1において、例えば、
図7と
図8に示すように、着座者によるベルト体50の引出方向が、斜めとなって引き出された場合、ベルト体50の引出方向に追従してベルト案内部材11が取付軸19を中心としてベルト体50の引出方向に沿って回動する。
【0026】
一方、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11とは別個に形成されてベルト案内部材11の挿通孔14よりもベルト巻取側に位置する部分に配設される。
このため、ベルト案内部材11が取付軸19を中心としてベルト体50の引出方向に沿って回動したとしても、スライダ支持体70と共にスライダ63が、ベルト巻取側のベルト体50のファスナ60(閉じ状態にある)の方向に常時、正常な状態で指向する。
この結果、スライダ63のスライド抵抗が増大されることを抑制することができ、スライダ63のスライド性が良好に保たれ、ファスナ63が円滑に開かれる。
【0027】
また、この実施例1において、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11と共通の取付軸19によって車体側部材に取り付けられる。このため、スライダ支持体70専用の取付部材が不要となり、この分だけ部品点数や組付工数を削減することができる。
【0028】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施例1において、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11と共通の取付軸19によって、車体側部材に取り付けられる場合を例示したが、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11とは別の取付部材によって車体側部材に取り付けられてもよい。
また、スライダ支持体70は、ベルト案内部材11に対し相対回動可能に取り付けることも可能である。