(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208041
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】固液分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/00 20060101AFI20170925BHJP
C02F 11/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
B01D33/00 B
C02F11/12 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-33579(P2014-33579)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-157256(P2015-157256A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(72)【発明者】
【氏名】千賀 達也
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−206517(JP,A)
【文献】
特開平05−228695(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/057928(WO,A1)
【文献】
特開2014−057928(JP,A)
【文献】
特開2007−289839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00−33/82
C02F11/00−11/20
B30B9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液供給口と固分排出口および濾液排水口を有し、懸濁汚水に含まれる固分と液分に分離濾過する固液分離装置において、各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具を該濾片の表裏面に凸子として一体的に樹脂成型した各凸子濾片を積層状に定着させ、該凸子濾片の凸子端面の凸設高さが一方の面を他方の面より高く構成するか、または表裏両面とも同一の高さに構成するとともに、前記各濾過溝内に揺動可能に濾過プレートを遊嵌して形成された各細隙を濾水流出溝として形成された積層濾体によって、懸濁汚水に含まれる懸濁微粒子の固分回収排出と懸濁微粒子の少ない液分排水とに効率よく分離濾過するように構成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置において、前記凸子濾片の表裏面の三箇所以上に凸子を一体的に樹脂成型して凸設するよう構成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項2に記載の固液分離装置において、前記凸子濾片の凸子端面を環状に凸設するよう、表裏両面または一方の面の凸子端面の中央部に窪みが形成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の固液分離装置において、前記濾片と一体成型された凸子によって各濾片間に揺動可能に遊嵌収容される小径濾過プレートと、該小径濾過プレートの外縁と対向配設される他方積層濾体の濾過溝の外縁より突出する揺動可能に濾過溝内に遊嵌収容された大径濾過プレートの2種類の濾過プレートと、前記凸子濾片を、隣接対向する他方積層濾体の積層順位構成により対向する互いの濾過プレートの外縁同士が干渉しない積層順位で積層された、複数の積層濾体が懸濁汚水を受入れて固分と液分に分離濾過しながら固分排出口に移送するように、各積層濾体の中心に設けられた回転軸により駆動回転させながら、上下2段に分けて隣接対向配列された各積層濾体により、効率よく分離濾過するように構成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固液分離装置であって、前記積層濾体において、凸子濾片と大径濾過プレートには濾液孔および小径濾過プレートには濾液切欠孔をそれぞれ同心状に穿設し、該濾液孔および濾液切欠孔は積層後の上記両積層濾体内に濾液路を形成し、該濾液路の送液終端開口部は前記固液分離装置側壁の外側に付設された濾液室内に導通され、該濾液室下壁に濾液室排水口を開設するように構成したことを特徴とする固液分離装置。
【請求項6】
請求項1または2のいずれか一項に記載の固液分離装置において、前記積層濾体の始端開口部を懸濁汚水の原液供給口とし、終端開口部を固分排出口として、スクリューブレードの外径が濾過プレートの内径よりも大きく凸子濾片または濾片の内径より小さく形成されたスクリューコンベアを前記積層濾体の中心孔に嵌装するように構成されていることを特徴とする固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、下水処理場、し尿処理場、畜産農業、食料品製造業、化学工業などの汚泥を含む排水の処理施設において発生する、液体中に含まれている汚泥の固形物、特に懸濁固形物(SS)を分離した固分と液分を各別に取り出すための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、下水処理場、し尿処理場、畜産農業、食料品製造業、化学工業などの排水の処理場において発生する汚泥を含む排水即ち懸濁汚水は環境破壊の問題から、そのままでは排水することが出来ないことは周知のことであり、懸濁汚水に含まれる懸濁固形物(SS)を可能な限り除去した状態で処理することが課題となっている。
【0003】
そのために、大と小および間隙保持用の直径の異なる各濾片を一組として、それら複数組を回転軸に挿嵌固定された積層濾体を排出方向へ向かって等間隔に複数配列させて、該積層濾体を同一方向に回転させて、相隣接する積層濾体の一方における送り濾片の外周縁が他方の積層濾体における間隙濾片の外周縁に接近した態様とし、この積層濾体の、送り濾片は前後に隣接する間隙濾片と向き合うように組み合わされており、各積層濾体の回転により、送り濾片は間隙濾片の細い隙間に食い込む形で回転することにより、濾過面の目詰りを防止している懸濁液を濾過する装置は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別に背景技術として、ボルトとナットを用いてスペーサを取付けた固定リングを複数枚積層させて液体ガイド溝を構成し、その内周に遊動リングを配置し、スクリューコンベアを駆動させて遊動リングを偏心回転させることで汚泥水を固形分と水分に分離を行う装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−31807号公報
【特許文献2】特開平5−228695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の懸濁液を濾過する装置においては、小径円板状濾片の細い隙間は食い込む形で回転する大径円板状濾片の厚さより僅かでも広くならなければならないが、大径円板状濾片が回転軸に完全固定されており同一軌道を回転するため、本来掻きださなければならない濾過脱水物のケーキが細い隙間で大径円板状濾片の厚みを除く領域が付着固形化し、濾過面の目詰りが発生することで懸濁液の固液分離ができなくなり、また、大・小径円板状濾片は0.2mm〜1mm程度の極く薄いものであるので、そのプレス加工やレーザー加工の際に加工歪や熱歪が生じるため、歪取りが必要であり、円板状濾片の径を大きくすると、歪の影響が顕著となり相隣接する小径円板状濾片の細かい隙間を構成する大径円板状濾片の両側面が接触干渉されて、積層濾体の回転軸トルクが増大することに加えて、大・小円板状濾片の摩耗が早まることとなり、更に、大径および小径円板状濾片を積層固定することで濾過溝を形成していることから、濾過溝の幅と位置の精度は両濾片の厚みと平坦度の精度および積層組立時の締付加減等に大きく影響されるので、組立時には細心の注意と調整が必要とされることから、組立には多くの労力と熟練が必要とされるという欠点があった。
【0007】
また、特許文献2記載の固液分離装置においては、スクリューコンベアが汚泥水を流入口から排出口まで押し出すように分離を行う構成であるため、汚泥水の流入口側のスペーサが磨耗しやすく、都度部品交換を要するという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明は前記問題点を鑑み、樹脂成型時に濾片に生じる歪みを抑制し、各濾片の組み立てを容易にすることが可能な固液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明では、原液供給口と固分排出口および濾液排水口を有する懸濁汚水に含まれる固分と液分に分離濾過する固液分離装置において、各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具を該濾片の表裏面に凸子として一体的に樹脂成型し
た各
凸子濾片を積層状に定着させ、
該凸子濾片の凸子端面の凸設高さが一方の面を他方の面より高く構成するか、または表裏両面とも同一の高さに構成するとともに、前記各濾過溝内に揺動可能に濾過プレートを遊嵌して形成された各細隙を濾水流出溝として形成された積層濾体によって、懸濁汚水に含まれる懸濁微粒子の固分回収排出と懸濁微粒子の少ない液分排水とに効率よく分離濾過するように構成されていることを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明の請求項1に記載の固液分離装置において、本発明の請求項2に係る発明は、前記
凸子濾片の表裏面
の三箇所以上
に凸子を一体的に樹脂成型し
て凸設するよう構成されている。
【0011】
本発明の請求項2に記載の固液分離装置において、本発明の請求項3に係る発明は、前記凸子濾片の凸子端面を環状に凸設するよう、表裏両面または一方の面の凸子端面の中央部に窪みが形成されている。
【0012】
本発明の請求項1ないし3のいずれか一項に記載の固液分離装置において、本発明の請求項4に係る発明は、前記濾片と一体成型された凸子
によって各濾片間に揺動可能に遊嵌収容される小径濾過プレートと、該小径濾過プレートの外縁と対向配設される他方積層濾体の濾過溝の外縁より突出する揺動可能に濾過溝内に遊嵌収容された大径濾過プレートの2種類の濾過プレートと、前記凸子濾片
を、隣接対向する他方積層濾体の積層順位構成により対向する互いの濾過プレートの外縁同士が干渉しない積層順位で積層された、複数の積層濾体が懸濁汚水を受入れて固分と液分に分離濾過しながら固分排出口に移送するように、各積層濾体の中心に設けられた回転軸により駆動回転させながら、上下2段に分けて隣接対向配列された各積層濾体により、効率よく分離濾過するように構成されている。
【0013】
本発明の請求項4に記載の固液分離装置において、本発明の請求項5に係る発明は、前記積層濾体において、凸子濾片と大径濾過プレートには濾液孔および小径濾過プレートには濾液切欠孔をそれぞれ同心状に穿設し、該濾液孔および濾液切欠孔は積層後の上記両積層濾体内に濾液路を形成し、該濾液路の送液終端開口部は前記固液分離装置側壁の外側に付設された濾液室内に導通され、該濾液室下壁に濾液室排水口を開設するように構成されている。
【0014】
本発明の請求項1または2のいずれか一項に記載の固液分離装置において、本発明の請求項6に係る発明は、前記積層濾体の始端開口部を懸濁汚水の原液供給口とし、終端開口部を固分排出口として、スクリューブレードの外径が濾過プレートの内径よりも大きく凸子濾片または濾片の内径より小さく形成されたスクリューコンベアを前記積層濾体の中心孔に嵌装するように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1の発明に係る固液分離装置によれば、固液分離装置において、各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具を該濾片の表裏面に凸子として一体的に樹脂成型することで、濾片の金型を調整するのみで精度よく積層可能な濾片を構成することが可能とな
る。
【0016】
また、本発明の請求項1に基づいた請求項2の発明に係る固液分離装置によれば、前記濾片の表裏面の三箇所以上に凸子を一体的に樹脂成型した濾片を凸子濾片として構成されているので、多数枚の濾片を安定して積層可能となるとともに、凸子を形成することで、他方の凸子濾片との当接面積を小さくすることが可能となり、樹脂成型時における冷却時間の差異によって凸子濾片の各部位が収縮することにより生じる歪みを凸子で吸収し、管理する事ができるので、凸子を形成することで濾片全体の歪みを抑制する事が可能となり、さらに、凸子濾片の凸子端面の凸設高さが表裏両面とも同一に構成されているならば、凸子の高さが均一化されることで樹脂成型時における冷却時間が凸子の表裏両面とも同じとなり、冷却時に濾片が収縮することにより生じる応力により表面側の凸子が曲がろうとするが、同様に裏面側の凸子も曲がろうとするので、凸子の表面、裏面で互いに曲がりが相殺され、濾片に生じる歪みをより抑制する事が可能となり、かつ組み立て時において、凸子濾片の表面、裏面の向きに関係無く回転軸へ挿嵌することが可能となり、例えば固液分離装置を駆動させる事で凸子濾片の表面側の凸子が磨耗したとしても、凸子濾片を裏返して裏面の凸子を利用する事が可能となる効果を有している。
【0017】
さらに、本発明の請求項2に基づいた請求項3の発明に係る固液分離装置によれば、凸子濾片の凸子端面を環状に凸設するよう、表裏両面または一方の面の凸子端面の中央部に窪みが形成されているので、凸子の当接面積が小さくなり、樹脂成型時において窪みの内側と外側を均等に冷却されるので、凸子部分も含め凸子濾片全体の冷却時間が均一化され、凸子濾片の各部位の冷却時間の差異によって生じる歪みの発生をより効果的に防止することが可能となる効果を有している。
【0018】
また、本発明の請求項1ないし3のいずれか一項に基づいた請求項4の発明に係る固液分離装置によれば、前記濾片と一体成型された凸子或いは濾片間の回転軸に嵌装された別体のスペーサによって各濾片間に揺動可能に遊嵌収容される小径濾過プレートと、該小径濾過プレートの外縁と対向配設される他方積層濾体の濾過溝の外縁より突出する揺動可能に濾過溝内に遊嵌収容された大径濾過プレートの2種類の濾過プレートと、前記凸子濾片或いはスペーサを介装させた各濾片を、隣接対向する他方積層濾体の積層順位構成により対向する互いの濾過プレートの外縁同士が干渉しない積層順位で積層された、複数の積層濾体が懸濁汚水を受入れて固分と液分に分離濾過しながら固分排出口に移送するように、各積層濾体の中心に設けられた回転軸により駆動回転させながら、上下2段に分けて隣接対向配列された各積層濾体により、効率よく分離濾過するように構成されているので、凸子濾片の固液分離装置を駆動させることで凸子濾片の交換が必要となった場合でも、凸子濾片に形成された凸子の高さが凸子濾片の表面、裏面ともに同一であれば表裏の向きに関係なく凸子濾片の交換が容易に可能であり、作業性を向上させることが可能となる。
【0019】
本発明の請求項4に基づいた請求項5の発明に係る固液分離装置によれば、凸子濾片と大径濾過プレートには濾液孔および小径濾過プレートには濾液切欠孔をそれぞれ同心状に穿設し、該濾液孔および濾液切欠孔は積層後の上記両積層濾体内に濾液路を形成し、該濾液路の送液終端開口部は前記固液分離装置側壁の外側に付設された濾液室内に導通され、該濾液室下壁に濾液室排水口を開設するように構成されているので、濾液路のない積層濾体の場合よりも、濾液路経由の濾液室下壁の濾液室排水口からの排水が加わることから、濾過溝内で揺動回転する大径および小径濾過プレートの濾液分離能力が向上されることで、濾液分離機能の向上と含水率の低い濾過脱水物のケーキが回収し得るという効果を有している。
【0020】
請求項1または2のいずれか一項に基づいた請求項6の発明に係る固液分離装置によれば、前記積層濾体の始端開口部を懸濁汚水の原液供給口とし、終端開口部を固分排出口として、スクリューブレードの外径が濾過プレートの内径よりも大きく凸子濾片の内径より小さく形成されたスクリューコンベアを前記積層濾体の中心孔に嵌装するように構成されているので、懸濁汚水は始端開口部から終端開口部へ押し出されることとなり、始端開口部側の凸子が非常に磨耗しやすくなるが、凸子濾片に形成された凸子の高さが凸子濾片の表面、裏面ともに同一に構成されているならば、凸子濾片を裏返して取り付けて使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1における多重円板式の固液分離装置の縦断面図である。
【
図3】本発明の実施例1の積層濾体の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図4】本発明の実施例1の複数の積層濾体の、隣接態様を示した要部拡大側面図である。
【
図5】本発明の実施例1の積層濾体を構成する大径濾過プレートの、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図6】本発明の実施例1の積層濾体を構成する小径濾過プレートの、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図7】本発明の実施例1の積層濾体を構成する凸子濾片の、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断側面図で凸子の凸設高さを表裏面で同一にしたもので、(c)は(a)の縦断側面図で凸子の凸設高さを一方の面を他方の面より高く構成したものである。
【
図8】本発明の実施例1の別実施形態における複数の積層濾体の、隣接態様を示した要部拡大側面図である。
【
図9】本発明の実施例1を基にした実施例2における固液分離装置の縦断面図である。
【
図11】本発明の実施例2の積層濾体の、(a)は正面図、(b)はそのA−A断面図である。
【
図12】本発明の実施例2の複数の積層濾体の、隣接態様を示した要部拡大側面図である。
【
図13】本発明の実施例2の積層濾体を構成する大径濾過プレートの、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図14】本発明の実施例2の積層濾体を構成する小径濾過プレートの、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図15】本発明の実施例2の積層濾体を構成する凸子濾片の、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図で凸子5tの凸設高さを表裏面で同一にしたもので、(c)は(a)のA−A断面図で凸子5Tの凸設高さを一方の面を他方の面より高く構成したものである。
【
図16】本発明の実施例3におけるスクリュー式の固液分離装置の縦断側面図である。
【
図18】本発明の実施例3のスクリューコンベアの回転により濾過プレートが偏心回転する状態を例示した要部縦断側面図である。
【
図19】本発明の実施例3の別実施形態におけるスクリューコンベアの回転により濾過プレートが偏心回転する状態を例示した要部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の懸濁汚水に含まれる固分と液分に分離濾過する固液分離装置において、各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具を該濾片の表裏面に凸子として一体的に樹脂成型するか、或いは別体のスペーサとして各濾片間に介装させながら各濾片を積層状に定着させ、前記各濾過溝内に揺動可能に濾過プレートを遊嵌して形成された各細隙を濾水流出溝として形成された積層濾体によって、懸濁汚水に含まれる懸濁微粒子の固分回収排出と懸濁微粒子の少ない液分排水とに効率よく分離濾過するように構成される実施形態として、以下の如く本願発明の実施例に基づき、図面を参照して詳細に説明するが、この実施例の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1の多重円板式の固液分離装置10Tについて、
図1ないし
図7を用いて説明すると、固液分離装置10Tの上部に懸濁汚水の原液を供給する原液供給口11を開設すると共に、下部には固液分離された濾液を固液分離装置10Tの外に排水する濾液排水口13を開設し、固液分離装置10Tの側面部には固液分離された固分の濾過脱水物のケーキを固液分離装置10Tの外に排出回収する固分排出口12が開設されており、前記原液供給口11と固分排出口12との間に、
図1に示すように該固分排出口12の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列された複数の積層濾体1が配設されており、
図3および
図5ないし
図7に示すように該積層濾体1を構成する複数の凸子濾片5の表裏面の3箇所以上に、中央に窪みRが設けられた凸子5tを一体的に樹脂成型し、該凸子5tは一方の面側の凸子を他方の面側の凸子より高く凸設することも可能であるが、望ましくは同じ高さで凸設され、凸子5t端面を当接させて濾過溝Sを形成させながら、各濾過溝S内を交互に大径濾過プレート2と小径濾過プレート3を軸方向に移動可能なように介装させ、凸子濾片5と、大径濾過プレート2あるいは小径濾過プレート3の細隙を濾水流出溝Gとし、具体的には円形の一部を平面状にカットしたDカットあるいはキー(図示せず)等の係止機能を有した、
図2に示されるように固液分離装置10Tの正面側側壁10fおよび背面側側壁10rの外側に設けられた軸受9によって軸支されると共に、該正面側側壁10fの外側に設けられた駆動伝達具8(例えばウォームギヤー等)によって回転駆動される回転軸4と同調回転するように、該回転軸4の係止形状に嵌るように中心に軸孔が穿設された直径の異なる凸子濾片5、大径濾過プレート2、小径濾過プレート3を、例えば(ア)先ず回転軸4外周に凸子濾片5を挿入させて、(イ)次に先に挿入した凸子濾片5の凸子5tが大径濾過プレート2の凸子遊嵌孔2hに嵌るように該大径濾過プレート2を回転軸4に挿入させ、(ウ)次に凸子濾片5を回転軸4に挿入させて凸子濾片5の裏面側の凸子5t端面と、先の凸子濾片5の表面側の凸子5t端面同士を衝合させて濾過溝Sを形成し、先に挿入した大径濾過プレート2を保持し、(エ)次に小径濾過プレート3の凸子切欠孔3hを凸子5tに嵌るように該小径濾過プレート3を回転軸4に挿入させて、(オ)次の凸子濾片5を回転軸4に挿入させて凸子5t端面と、先の凸子5t端面同士を当接させて濾過溝Sを形成させて、小径濾過プレート3を保持し、上記(ア)から(オ)の手順を繰返すことで形成された複数の積層濾体1を、
図4に示すように相隣接する積層濾体1の一方の積層濾体1における大径濾過プレート2の外周縁を他方の積層濾体1の濾過溝S内に突入させて他方の凸子濾片5の凸子5tと小径濾過プレート3の外周縁に接近した態様とし、処理液中に含まれる回収微粒子を効率よく回収するように固液分離装置10Tの供給側側壁10sと排出側側壁10dに付設されたシール部材7の要部外縁を、該固分排出口12側終端の上下2段と原液供給口11側始端の下段の積層濾体1の凸子濾片5外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向し、望ましくは該シール部材7の外縁部に摺動抵抗の少ないブラシを付設することでより一層シール機能を向上し得ると共に回転軸4のトルク増加を抑制し、大径濾過プレート2および小径濾過プレート3は、該濾過溝S内を軸方向に揺動しながら該回転軸4と同調回転できるように構成されている。
【0024】
また、
図8に示すように凸子5tを凸子濾片5に一体的に樹脂成型するのではなく、例えば濾片6の次に別体のスペーサ6sを回転軸に挿入し、スペーサ6sの外周部分に位置するように大径濾過プレート2もしくは小径濾過プレート3を挿嵌して構成することも可能であり、また濾片6の平面状に複数個スペーサを取り付けて各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具として構成することも可能である。
【実施例2】
【0025】
前記実施例1に基づいて、例えば
図9ないし
図15を用いて説明すると、前記積層濾体1において、
図12ないし
図14に示すように凸子濾片5と大径濾過プレート2には濾液孔15および小径濾過プレート3には濾液切欠孔16をそれぞれ同心状に穿設し、
図9ないし
図11に示すように該濾液孔15および濾液切欠孔16は積層後の上記積層濾体1内に濾液路14を形成し、該濾液路6の送液終端開口部は前記固液分離装置10Tの背面側側壁10rの外側に付設された濾液室17内に導通され、該濾液室17下壁に濾液室排水口18を開設するように構成されている。
【実施例3】
【0026】
本発明の実施例3のスクリュー式の固液分離装置10Sについて、
図16ないし
図18を用いて説明すると、原動機23によって駆動されることで回転するスクリューコンベア22が積層濾体1の中心孔21に嵌装されており、スクリューコンベア22の回転に伴い、外径が凸子濾片5・・5の内径より小さく、濾過プレート19・・19の内径より大きく構成されたスクリューブレード22Bが回転することで、凸子濾片5・・5の外側に形成された座部20・・20の表裏面の3箇所以上に、望ましくは同じ高さで一体的に樹脂成型されて凸設される凸子5t同士が当接されて構成される凸子濾片5・・5の各積層間に遊嵌される濾過プレート19・・19の内周部にスクリューブレード22Bの外縁が摺接して偏心回転させ、原液供給口11から筒状の積層濾体1内へ送り込まれた懸濁汚水の原液は、スクリューブレード22Bに沿って旋回しながら軸方向へ前進し、凸子濾片5・・5の各積層間と濾過プレート19・・19により形成された濾水流出溝Gから濾過された濾水を流出し、脱水されて含水比の低くなった固分は前方の吐出圧調整弁24を押し出すことで固分排出口12から順次排出されるよう構成されている。
【0027】
また、
図19に示すように凸子5tを凸子濾片5に一体的に樹脂成型するのではなく、例えば濾片6の座部20・・20にそれぞれ別体のスペーサ6sを設け、ボルト等によりスペーサ6sを固定することで、各濾片間を所要間隔の濾過溝に保持するための間隔保持具として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 積層濾体
2 小径濾過プレート
3 大径濾過プレート
5 凸子濾片
5t 凸子
6 濾片
6s スペーサ
10T 固液分離装置(多重円板式)
10S 固液分離装置(スクリュー式)
11 原液供給口
12 固分排出口
13 濾液排水口
14 濾液路
15 濾液孔
16 濾液切欠孔
17 濾液室
18 濾液室排水口
19 濾過プレート
21 中心孔
22 スクリューコンベア
22B スクリューブレード
G 濾水流出溝
R 窪み
S 濾過溝