(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記平滑化層形成用組成物の固形分中における前記質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂の含有量は、50質量%以上である請求項1に記載のグリーンシート製造用剥離フィルム。
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のグリーンシート製造用剥離フィルム上に、セラミックス粉末と、バインダーを含むビヒクルとを含有するグリーンシート形成用材料を付与し、グリーンシート前駆体を形成するグリーンシート形成用材料付与工程と、
前記グリーンシート前駆体を固化する固化工程と、を有することを特徴とするグリーンシートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルム、グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法、グリーンシートの製造方法、およびグリーンシートについて好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
≪グリーンシート製造用剥離フィルム≫
まず、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムについて説明する。
【0023】
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、グリーンシートの製造に用いられるものである。そして、製造されたグリーンシートは、例えば、セラミックコンデンサー等の製造に用いられる。
【0024】
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、基材と平滑化層と剥離剤層とを備え、平滑化層が、質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂を主成分として含む平滑化層形成用組成物を加熱して硬化させることにより形成されており、剥離剤層が、メラミン樹脂を主成分として含み、かつ、ポリオルガノシロキサンとを含む剥離剤層形成用組成物を加熱して硬化させることにより形成されている。そして、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa
1が8nm以下であり、かつ、剥離剤層の外表面の最大突起高さRp
1が50nm以下である点に特徴を有している。
【0025】
このような特徴を有することにより、グリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の平滑性に優れるとともに、グリーンシート製造用剥離フィルム上に形成されたグリーンシートに対する剥離性に優れたものとなる。そのため、このグリーンシート製造用剥離フィルムを用いてグリーンシートを製造すれば、グリーンシートの表面にピンホールや部分的な厚みのばらつき等が発生するのを防止することができる。また、剥離フィルムからグリーンシートを剥離する際にグリーンシートが破損することを抑制または防止することができる。このようなことから、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムを用いれば、信頼性の高いグリーンシートを提供することができる。そして、得られたグリーンシートを積層してコンデンサを作製したときに、断線による不具合が発生することを防ぐことができる。
【0026】
以下、本実施形態のグリーンシート製造用剥離フィルム1について説明する。
図1は、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの横断面図である。なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0027】
図1に示すように、グリーンシート製造用剥離フィルム(以下、単に「剥離フィルム」ということもある。)1は、第1の面111と第2の面112とを有する基材11と、基材11の第1の面111上に設けられた平滑化層12と、平滑化層12の第3の面(基材11と反対の面)121上に設けられた剥離剤層13とを有している。すなわち、剥離フィルム1は、基材11と、平滑化層12と、剥離剤層13とがこの順に互いに接合するように積層された三層構造をなすものである。
【0028】
なお、剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造する場合には、グリーンシートは、例えば、剥離剤層13の外表面131上に溶解したセラミックスラリーを塗工することにより形成される。このようなグリーンシート製造用剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造する方法については後に詳述する。
【0029】
以下に、剥離フィルム1を構成する各層について順次説明する。
<基材11>
基材11は、グリーンシート製造用剥離フィルム1に、剛性、柔軟性等の物理的強度を付与する機能を有している。
【0030】
基材11は、
図1に示すように、第1の面111と第2の面112とを有する。
基材11としては、特に限定されず、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリカーボネートなどのプラスチック等を含む材料で形成されたフィルム等が挙げられ、単層フィルムであってもよいし、同種または異種の2層以上の多層フィルムであってもよい。
【0031】
これらの中でも特に、基材11としては、ポリエステルフィルムであるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのがより好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのがさらに好ましい。ポリエステルフィルムは、その加工時や使用時等において、埃等が発生しにくいものである。そのため、ポリエステルフィルムを用いた剥離フィルム1を使用してグリーンシートを製造すれば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を特に効果的に防止することができる。その結果、ピンホール等がより少ないグリーンシートを得ることができる。
【0032】
また、基材11には、前記のような材料に加え、フィラー等を含有させてもよい。フィラーとしては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなフィラーを含むことにより、基材11に機械的強度を付与することができるとともに、基材11の表裏面(第1の面111および第2の面112)の滑り性が向上し、ブロッキングを特に抑制することができる。
【0033】
また、基材11は、第1の面111の算術平均粗さRa
2が1〜100nmであり、かつ、第1の面111の最大突起高さRp
2が10〜800nmであるのが好ましい。
【0034】
特に、第1の面111の算術平均粗さRa
2は、5〜80nmであるのがより好ましく、10〜50nmであるのがさらに好ましい。また、第1の面111の最大突起高さRp
2は、20〜500nmであるのがより好ましく、30〜300nmであるのがさらに好ましい。
【0035】
第1の面111の算術平均粗さRa
2および最大突起高さRp
2が前記範囲内であると、後述する平滑化層12の膜厚が比較的薄いものであっても、平滑化層12によって基材11の第1の面111の凹凸をより好適に埋め込むことができ、平滑化層12の第3の面121をより平滑にすることができる。その結果、平滑化層12上に形成された剥離剤層13の外表面131に、基材11の第1の面111の凹凸が影響するのをさらに好適に防ぐことができる。また、第1の面111の算術平均粗さRa
2、および、その最大突起高さRp
2が前記範囲内である基材11は、比較的安価であるうえに入手が容易である。
【0036】
なお、第1の面111の算術平均粗さRa
2および最大突起高さRp
2は、例えば、光干渉式表面形状観察装置(商品名「WYKO−1100」、株式会社Veeco社製)を用い、PSIモード、50倍率、測定範囲:91.2×119.8μmにて測定することにより求めることができる。また、本明細書では、特に断りの無い限り、「算術平均粗さおよび最大突起高さ」とは、前記のようにして測定された値のことを指す。
【0037】
また、基材11は、第2の面(剥離フィルム1の裏面)112の算術平均粗さRa
3が1〜100nmであり、かつ、第2の面112の最大突起高さRp
3が10〜800nmであるのが好ましい。
【0038】
特に、第2の面112の算術平均粗さRa
3は、5〜80nmであるのがより好ましく、10〜50nmであるのがさらに好ましい。また、第2の面112の最大突起高さRp
3は、20〜500nmであるのがより好ましく、30〜300nmであるのがさらに好ましい。
【0039】
第2の面112の算術平均粗さRa
3およびその最大突起高さRp
3が前記範囲内であると、剥離フィルム1をロール状に巻き取る際に、巻きずれ等が生じるのを好適に防ぐことができる。具体的には、剥離フィルム1は、必要に応じて、紙製、プラスチック製または金属製等のコア材にロール状に巻き取り、保管することができる。この際に、第2の面112の算術平均粗さRa
3、および、その最大突起高さRp
3が前記範囲内であると、剥離フィルム1をロール状に巻き取る際に、空気抜けが良好になり、巻きずれを効果的に抑制することができる。そのため、剥離フィルム1を巻き取る際に、巻き取り張力を高める必要が無く、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形を抑制することが可能となる。
【0040】
また、第2の面112の算術平均粗さRa
3およびその最大突起高さRp
3が前記範囲内であると、剥離フィルム1をロール状に巻き取って保管した際に、剥離剤層13と基材11の第2の面112とが密着することで生じるブロッキングの発生をより効果的に防止することができる。そのため、ロール状の剥離フィルム1の繰り出しについても、容易に行うことができる。
【0041】
また、基材11の平均膜厚は、特に限定されないが、10〜300μmであるのが好ましく、15〜200μmであるのがより好ましい。これにより、剥離フィルム1の柔軟性を適度なものとしつつ、引裂きや破断等に対する耐性を特に優れたものとすることができる。
【0042】
<平滑化層12>
図1に示すように、基材11の第1の面111上には平滑化層12が設けられている。
【0043】
平滑化層12は、剥離剤層13の外表面131への、基材11の第1の面111の凹凸の影響を低減する機能を有している。
【0044】
この平滑化層12は、平滑化層形成用組成物を加熱して硬化させることにより得ることができる。かかる平滑化層形成用組成物は、質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂を主成分として含むものである。ここで、前記主成分とは、平滑化層形成用組成物の固形分中における含有率が50質量%を超える成分のことをいう。
【0045】
平滑化層形成用組成物は、質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂主成分としてを含むことにより、基材11の第1の面111に塗布して加熱する前の平滑化層形成用組成物の粘度を適度なものとすることができ、適度な流動性を有するものとなる。そのため、この平滑化層形成用組成物を用いて基材11の第1の面111上に平滑化層12を形成すれば、基材11の第1の面111の凹凸をより好適に埋め込むことができる。その結果、平滑化層12の第3の面(平滑化層12の基材と反対の面)121をより平滑にすることができ、よって、平滑化層12上に形成された剥離剤層13の外表面(剥離フィルム1の外表面)131を平滑にすることができる。
【0046】
このように、前記メラミン樹脂を含む平滑化層形成用組成物を用いれば、剥離フィルム1の外表面131に基材11の凹凸が影響してしまうことを抑制または防止することができる。
【0047】
特に、基材11の第1の面111の凹凸が比較的大きいものであっても、前記のような平滑化層形成用組成物を用いることで、基材11の第1の面111の凹凸を好適に埋め込むことができる。このため、基材11の第1の面111の凹凸が比較的大きいものを用いた場合であっても、剥離剤層13の外表面131の平滑性に優れた剥離フィルム1を得ることができる。
【0048】
また、質量平均分子量が前記範囲内のメラミン樹脂を含む平滑化層形成用組成物を用いれば、得られた平滑化層12は、耐薬品性に特に優れたものとなる。
【0049】
また、平滑化層形成用組成物は、前述したように、質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂を主成分として含むものであればよいが、特に、質量平均分子量が300〜700のメラミン樹脂を主成分として含むものが好ましく、質量平均分子量が350〜500のメラミン樹脂を主成分として含むものがより好ましい。これにより、前述した効果を顕著に発揮することができる。
【0050】
これに対して、メラミン樹脂の質量平均分子量が前記上限値を超えると、平滑化層形成用組成物の流動性が低下してしまい、平滑化層12によって基材11の第1の面111の凹凸を十分に埋め込むことができない可能性がある。その結果、平滑化層12の第3の面121は、基材11の第1の面の凹凸に追従した形状となってしまうおそれがある。
【0051】
質量平均分子量が前記範囲内のメラミン樹脂としては、例えば、モノメトキシメチル化メラミン樹脂、ジメトキシメチル化メラミン樹脂、トリメトキシメチル化メラミン樹脂、テトラメトキシメチル化メラミン樹脂、ペンタメトキシメチル化メラミン樹脂、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、モノメチロールメラミン樹脂、ジメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、テトラメチロールメラミン樹脂、ペンタメチロールメラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、イミノ基含有メトキシメチル化メラミン樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、反応性に優れているという点からも、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂であるのが好ましい。これにより、膜厚が比較的薄い平滑化層12を形成したとしても、基材11の第1の面111の凹凸をより容易かつ確実に埋めることができる。また、平滑化層12は、耐薬品性に優れたものとなる。これにより、平滑化層12上に溶剤を含む剥離剤層形成用組成物を塗布して剥離剤層13を設けた場合に、剥離剤層形成用組成物に含まれる溶剤により平滑化層12が膨潤することや、溶解して脱落することなどを回避することができる。
【0052】
また、平滑化層形成用組成物(固形分換算)中における前記メラミン樹脂の含有率は、前述したように、50質量%超であればよいが、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、基材11の第1の面111に塗布して加熱する前の平滑化層形成用組成物の粘度をより適度なものとすることができる。
【0053】
このような前記メラミン樹脂を含む平滑化層形成用組成物には、さらに、希釈剤(反応性希釈剤)として水酸基を有するものを含むことが好ましく、分子両末端に水酸基を有するものを含むことがより好ましく、グリコール系化合物を含むことがさらに好ましい。
【0054】
このような希釈剤は、平滑化層形成用組成物の粘度を低下させ、平滑化層形成用組成物が加熱されることで前記メラミン樹脂と結合(架橋)するものである。したがって、水酸基を有する希釈剤を含むことで、平滑化層形成用組成物の流動性をより好適なものとすることができる。このため、このような希釈剤を含む平滑化層形成用組成物を用いれば、基材11の第1の面111の凹凸をよりに好適に埋め込むことができる。
【0055】
特に、グリコール系化合物は、分子両末端に水酸基を有する化合物であり、比較的分子量が小さく、前記メラミン系樹脂に比べて粘度が低い化合物である。そのため、グリコール化合物を含むことにより、前記メラミン樹脂を含む平滑化層形成用組成物の粘度をより低下させることができ、よって、より適度な流動性を有する平滑化層形成用組成物を得ることができる。
【0056】
グリコール系化合物としては、具体的には、例えば、メタンジオール、エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、これらの中でも、2−メチル−1,3−プロパンジオールであるのが好ましい。これにより、平滑化層形成用組成物の粘度をより最適なものに設定することができ、基材11の第1の面111の凹凸をより効果的に埋め込むことができる。
【0057】
このような水酸基を有する希釈剤を含む場合には、平滑化層形成用組成物(固形分換算)中における水酸基を有する希釈剤の含有率は、10〜45質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0058】
水酸基を有する希釈剤の含有率が前記下限値未満であると、平滑化層形成用組成物中に含まれる材料の種類等によっては、平滑化層形成用組成物の粘度が非常に高くなるおそれがある。また、水酸基を有する希釈剤の含有率が前記上限値を超えても、水酸基を有する希釈剤を含むことによる効果をそれ以上高めことができず、また、平滑化層形成用組成物中に含まれる水酸基を有する希釈剤以外の材料の含有率が低下してしまう。
【0059】
また、平滑化層形成用組成物には、硬化触媒として酸性触媒が含まれていることが好ましい。酸性触媒は、前記メラミン樹脂の架橋反応を促進する架橋反応触媒として作用する。そのため、酸性触媒を含むことにより、平滑化層形成用組成物が加熱されたときに、メラミン樹脂の架橋反応を開始させたり、その架橋反応の反応速度を速めたりすることができる。このため、平滑化層形成用組成物の硬化反応をより効率よく進行させることができる。
【0060】
酸性触媒としては、特に限定されず、前述したような架橋反応触媒として機能するものであればいかなるものであってもよいが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機系の酸性触媒等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、酸性触媒としては、p−トルエンスルホン酸を含むことが好ましい。これにより、平滑化層形成用組成物の硬化反応をさらに効率よく進行させることができる。
【0061】
このような酸性触媒を含む場合には、平滑化層形成用組成物(固形分換算)中における酸性触媒の含有率は、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0062】
酸性触媒の含有率が前記下限値未満であると、平滑化層形成用組成物中に含まれる材料の種類等によっては、平滑化層形成用組成物が硬化する速度が非常に遅くなるおそれがある。また、酸性触媒の含有率が前記上限値を超えても、酸性触媒を含むことによる効果をそれ以上高めることができず、また、平滑化層形成用組成物中に含まれる酸性触媒以外の材料の含有率が低下してしまう。
【0063】
また、平滑化層形成用組成物は、必要に応じて、溶媒を含むものであってもよい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサンノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類等や、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0064】
また、平滑化層形成用組成物中における溶媒の含有率としては、特に限定されず、平滑化層形成用組成物を用いて平滑化層12を形成する際の粘度を適当な範囲にするよう、適宜選定すればよい。
【0065】
また、平滑化層形成用組成物には、必要に応じて、前述した材料(メラミン樹脂、水酸基を有する希釈剤、酸性触媒、および溶媒)以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、前記メラミン樹脂(質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂)以外の熱硬化性樹脂、水酸基を有する希釈剤以外の希釈剤、酸性触媒以外の硬化触媒、表面調整剤、染料、分散剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0066】
また、平滑化層12の第3の面(平滑化層12の基材と反対の面)121は、その算術平均粗さRa
4が30nm以下であり、かつ、その最大突起高さRp
4が300nm以下であることが好ましい。特に、第3の面121の算術平均粗さRa
4が10nm以下であるのが好ましい。また、第3の面121の最大突起高さRp
4が、200nm以下であることが好ましい。
【0067】
第3の面121の算術平均粗さRa
4および最大突起高さRp
4が前記範囲内であれば、基材11の第1の面111の凹凸が剥離剤層13の外表面131に影響することをより好適に防ぐことができる。
【0068】
これに対し、第3の面121の算術平均粗さRa
4が前記上限値を超えると、第1の面111の凹凸が外表面131に影響することを低減するために、平滑化層12の厚みを厚くするか、剥離剤層13と平滑化層12との間に、新たな平滑化層をさらに設ける必要が生じる場合がある。
【0069】
また、第3の面121の最大突起高さRp
4が前記上限値を超えると、第1の面111の凹凸が外表面131に影響することを低減するために、平滑化層12の厚みを厚くするか、剥離剤層13と平滑化層12との間に、新たな平滑化層をさらに設ける必要が生じる場合がある。
【0070】
また、平滑化層12の平均膜厚は、特に限定されないが、0.3〜2μmであるのが好ましく、0.4〜1μmであるのがより好ましい。これにより、基材11の第1の面111の凹凸をより的確に埋め込むことができ、外表面131の平滑性をより高いものとすることができる。
【0071】
これに対して、平滑化層12の平均膜厚が前記下限値未満であると、剥離剤層13の膜厚等によっては、外表面131の平滑性が不十分となり、グリーンシートを剥離剤層13上に形成したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。また、平滑化層12の平均膜厚が前記上限値を超えると、平滑化層形成用組成物を構成する成分等によっては、平滑化層12の硬化収縮により剥離フィルム1にカールが発生し易くなるおそれがある。
【0072】
<剥離剤層13>
図1に示すように、平滑化層12の第3の面121上には剥離剤層13が設けられている。
この剥離剤層13は、剥離フィルム1に剥離性を付与する機能を有している。
【0073】
この剥離剤層13は、剥離剤層形成用組成物を加熱して硬化させることにより得ることができる。かかる剥離剤層形成用組成物は、メラミン樹脂を主成分として含み、かつ、ポリオルガノシロキサンを含むものである。ここで、前記主成分とは、剥離剤層形成用組成物の固形分中における含有率が50質量%を超える成分のことをいう。
【0074】
このような剥離剤層形成用組成物を用いて形成された剥離剤層13は、外表面131付近にポリオルガノシロキサンに由来する成分が偏析した状態となっている。これは、剥離剤層形成用組成物中に含まれるメラミン樹脂と、ポリオルガノシロキサンとの相溶性が低いことによる。具体的には、剥離剤層形成用組成物を平滑化層12上に塗布して塗布層を形成し、この塗布層を加熱して硬化する間に、メラミン樹脂とポリオルガノシロキサンとの相溶性が低いために、ポリオルガノシロキサンに由来する成分が塗布層の表面付近に偏析し易くなるためである。
【0075】
このポリオルガノシロキサンは、グリーンシートに対する剥離性に優れた成分であるため、外表面131付近にポリオルガノシロキサンに由来する成分が偏析した状態となることで、剥離フィルム1は、グリーンシートに対する剥離性に優れたものとなる。これにより、剥離フィルム1の外表面131上にグリーンシートを形成し、そのグリーンシートを剥離フィルム1から剥離しようとするときに、グリーンシートが剥離フィルム1に必要以上に密着してしまうことを抑制または防止することができる。したがって、剥離フィルム1からグリーンシートを上手く剥がすことができず、グリーンシートが破損してしまうということを抑制または防止することができる。
【0076】
また、剥離剤層形成用組成物(固形分換算)中における前記メラミン樹脂の含有率は、前述したように、50質量%超であればよいが、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、平滑化層12の第3の面121に塗布して加熱する前の剥離剤層形成用組成物の粘度をより適度なものとすることができる。
【0077】
また、剥離剤層形成用組成物は、前述したように、メラミン樹脂を主成分として含むものであればよいが、質量平均分子量が950以下のメラミン樹脂を主成分として含むものであるのが好ましく、質量平均分子量が300〜700のメラミン樹脂を主成分として含むものであるのがより好ましく、質量平均分子量が350〜500のメラミン樹脂を主成分として含むものであるのがさらに好ましい。これにより、剥離剤層形成用組成物の粘度を適度なものとすることができ、剥離剤層形成用組成物は、適度な流動性を有するものとなる。そのため、この剥離剤層形成用組成物を用いて剥離剤層13を形成すると、平滑化層12によって埋め込みきれなかった基材11の凹凸をより的確に埋め込むことができる。また、質量平均分子量が前記範囲内である剥離剤層形成用組成物は、耐薬品性に優れたものとなる。これにより、平滑化層12上に溶剤を含む剥離剤層形成用組成物を塗布して剥離剤層13を形成した場合に、剥離剤層13が膨潤することや、溶解して脱落することなどを回避することができる。
【0078】
また、メラミン樹脂としては、具体的には、例えば、モノメトキシメチル化メラミン樹脂、ジメトキシメチル化メラミン樹脂、トリメトキシメチル化メラミン樹脂、テトラメトキシメチル化メラミン樹脂、ペンタメトキシメチル化メラミン樹脂、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、モノメチロールメラミン樹脂、ジメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、テトラメチロールメラミン樹脂、ペンタメチロールメラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、イミノ基含有メトキシメチル化メラミン樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、反応性に優れているという点から、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂であるのが好ましい。特に、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂を含む剥離剤層形成用組成物を用いて剥離剤層13を形成することで、平滑化層12によって埋めきれなかった基材11の第1の面111の凹凸があった場合でも、その凹凸をより的確に埋め込むことができる。
【0079】
また、剥離剤層形成用組成物に含まれるメラミン樹脂と平滑化層形成用組成物に含まれるメラミン樹脂とは、共に、同じものであることが好ましく、特に、ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂であるのが好ましい。これにより、剥離剤層13の平滑化層12への密着性をさらに高めることができ、平滑化層12から剥離剤層13が不本意に剥離することを防ぐことができ、耐薬品性に優れたものとなる。
【0080】
また、ポリオルガノシロキサンとしては、カルボキシル基、メトキシ基、水酸基等の反応性官能基を有するものが好ましく、特に、分子末端に水酸基を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサンであることが好ましい。
【0081】
このようにポリオルガノシロキサンが反応性官能基を有することで、ポリオルガノシロキサンにメラミン樹脂との反応性を持たせることができる。そのため、剥離剤層形成用組成物を加熱することにより硬化させるときに、ポリオルガノシロキサンが主骨格となるメラミン樹脂の架橋構造を形成することができる。よって、得られた剥離フィルム1上にグリーンシートを形成したときに、剥離剤層13のポリオルガノシロキサンに由来する成分がグリーンシートへ転着することを抑制することができる。
【0082】
特に、ポリオルガノシロキサンとして分子末端に水酸基を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサンを用いると、前述した効果を特に顕著に発揮することができる。
【0083】
剥離剤層形成用組成物(固形分換算)中におけるポリオルガノシロキサンの含有率は、3〜15質量%が好ましく、5〜12質量%であることが特に好ましい。
【0084】
ポリオルガノシロキサンの含有率が前記下限値未満であると、剥離剤層形成用組成物中に含まれるポリオルガノシロキサン以外の材料の種類やその含有量等によっては、剥離剤層13の剥離性が不十分となり、剥離フィルム1からグリーンシートを剥離する際に正常に剥離できないおそれがある。
【0085】
一方、ポリオルガノシロキサンの含有率が前記上限値を超えると、平滑化層12上に形成された塗布層(剥離剤層形成用組成物を塗布することで得られた層)の表面付近に偏析するポリオルガノシロキサンに由来する成分の偏析量が増大することで、塗布層の表面に斑が生じるおそれがある。また、得られた剥離フィルム1の外表面131上にセラミックスラリーを塗布する際に、セラミックスラリーの塗工性が悪化してセラミックスラリーの弾きが発生するおそれがある。その結果、グリーンシートにピンホールが発生し、グリーンシートの特性が悪化するおそれがある。
【0086】
このような前記メラミン樹脂を含む剥離剤層形成用組成物には、さらに、希釈剤(反応性希釈剤)として水酸基を有するものを含むことが好ましく、分子両末端に水酸基を有するものを含むことがより好ましく、グリコール系化合物を含むことがさらに好ましい。
【0087】
このような希釈剤は、剥離剤層形成用組成物の粘度を低下させるものであり、剥離剤層形成用組成物が加熱されることで前記メラミン樹脂と結合(架橋)する。したがって、このような希釈剤を含むことで、剥離剤層形成用組成物の流動性をより好適なものとすることができ、よって、平滑化層12によって、埋め込みきれなかった基材11の凹凸があった場合でも、その凹凸をより的確に埋め込むことができる。
【0088】
特に、グリコール系化合物は、分子両末端に水酸基を有する化合物であり、比較的分子量が小さく、前記メラミン系樹脂に比べて粘度が低い化合物である。そのため、グリコール化合物を含むことにより、剥離剤層形成用組成物の粘度をより低下させることができ、よって、より適度な流動性を有する剥離剤層形成用組成物を得ることができる。
【0089】
グリコール系化合物としては、例えば、メタンジオール、エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、これらの中でも、2−メチル−1,3−プロパンジオールであるのが好ましい。これにより、剥離剤層形成用組成物の粘度をより最適なものに設定することができ平滑化層12によって、埋め込みきれなかった基材11の凹凸があった場合でも、その凹凸をさらに的確に埋め込むことができる。
【0090】
このような水酸基を有する希釈剤を含む場合には、剥離剤層形成用組成物(固形分換算)中における水酸基を有する希釈剤の含有率は、10〜45質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0091】
水酸基を有する希釈剤の含有率が前記下限値未満であると、剥離剤層形成用組成物中に含まれる材料の種類等によっては、剥離剤層形成用組成物の粘度が非常に高くなるおそれがある。また、水酸基を有する希釈剤の含有率が前記上限値を超えても、水酸基を有する希釈剤を含むことによる効果をそれ以上高めことができず、また、剥離剤層形成用組成物中に含まれる水酸基を有する希釈剤以外の材料の含有率が低下してしまう。
【0092】
また、剥離剤層形成用組成物には、硬化触媒として酸性触媒が含まれていることが好ましい。メラミン樹脂の架橋反応を促進する架橋反応触媒として作用する。そのため、酸性触媒を含むことにより、剥離剤層形成用組成物の硬化反応をより効率よく進行させることができる。
【0093】
酸性触媒としては、特に限定されず、メラミン樹脂との架橋反応触媒として機能するものであればいかなるものであってもよいが、具体例には、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機系の酸性触媒等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。酸性触媒としては、これらの中でも特に、p−トルエンスルホン酸を含むことが好ましい。これにより、剥離剤層形成用組成物の硬化反応をさらに効率よく進行させることができる。
【0094】
このような酸性触媒を含む場合には、剥離剤層形成用組成物(固形分換算)中における酸性触媒の含有率は、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0095】
酸性触媒の含有率が前記下限値未満であると、剥離剤層形成用組成物中に含まれる材料の種類等によっては、剥離剤層形成用組成物が硬化する速度が非常に遅くなるおそれがある。また、酸性触媒の含有率が前記上限値を超えても、酸性触媒を含むことによる効果をそれ以上高めことができず、また、剥離剤層形成用組成物中に含まれる酸性触媒以外の材料の含有率が低下してしまう。
【0096】
また、剥離剤層形成用組成物は、必要に応じて、溶媒を含むものであってもよい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサンノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類等や、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0097】
また、剥離剤層形成用組成物中における溶媒の含有率としては、特に限定されず、剥離剤層形成用組成物を用いて平滑化層12を形成する際の粘度を適当な範囲にするよう、適宜選定すればよい。
【0098】
また、剥離剤層形成用組成物には、必要に応じて、前述した材料(メラミン樹脂、水酸基を有する希釈剤、酸性触媒、および溶媒)以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、前記メラミン樹以外の熱硬化性樹脂、水酸基を有する希釈剤以外の希釈剤、酸性触媒以外の硬化触媒、表面調整剤、染料、分散剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0099】
また、前述したように、剥離剤層13の外表面(剥離フィルム1の外表面)131は、算術平均粗さRa
1が8nm以下であり、かつ、外表面131の最大突起高さRp
1が50nm以下である。特に、外表面131の算術平均粗さRa
1が6nm以下であるのが好ましい。また、外表面131の最大突起高さRp
1が40nm以下であることが好ましい。
【0100】
剥離剤層13の外表面131の算術平均粗さRa
1および最大突起高さRp
1が前記範囲内であると、グリーンシートを形成する際に、外表面131の凹凸形状がグリーンシートに転写されることでグリーンシートの表面にピンホール等が発生するのをより好適に防ぐことができる。その結果、表面がより高平滑なグリーンシートを得ることができる。
【0101】
また、剥離剤層13は、平均膜厚が、0.3〜2μmであるのが好ましく、0.5〜1μmであるのがより好ましい。剥離剤層13の厚さが前記下限値未満であると、剥離剤層13を構成する材料等によっては、剥離剤層13の平滑性が不十分となり、グリーンシートを剥離フィルム1上に形成したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。一方、剥離剤層13の厚さが前記上限値を超えると 、剥離剤層13の硬化収縮により剥離フィルム1にカールが発生し易くなるおそれがある。
【0102】
≪グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法≫
次に、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法について説明する。
【0103】
以下、本実施形態のグリーンシートの製造方法について説明する。
本実施形態の剥離フィルム1の製造方法は、基材11を準備する基材準備工程と、基材11の第1の面111上に平滑化層形成用組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより平滑化層12を形成する平滑化層形成工程と、平滑化層12の第3の面121上に平滑化層形成用組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより剥離剤層13を形成する剥離剤層形成工程とを有している。
【0104】
以下、各工程について詳細に説明する。
<基材準備工程>
まず、基材11を準備する。
基材11としては、前述したような構成の基材11を用いることができる。
【0105】
また、基材11の第1の面111に、酸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。これにより、基材11と、基材11上に設けられる平滑化層12との密着性を向上させることができる。
【0106】
このような表面処理としては、基材11の種類等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理等が挙げられる。これらの中でも特に、平滑化層12との密着性に優れ、処理の操作が簡便である点から、コロナ放電処理を用いることがより好ましい。
【0107】
<平滑化層形成工程>
次に、基材11の第1の面111上に、平滑化層12を形成する。
【0108】
本工程では、まず、平滑化層形成用組成物を準備する。
平滑化層形成用組成物としては、前述したようなメラミン樹脂を単独のものを用いてもよいし、これに加え、必要に応じて前述したような水酸基を有する希釈剤、酸性触媒、溶媒、その他の成分を混合したものを用いてもよい。
【0109】
次に、基材11の第1の面111上に、液状をなす平滑化層形成用組成物を塗布して乾燥することにより、塗布層を得る。ここで、前述したように、平滑化層形成用組成物は、適度な流動性を有するものである。このため、基材11の第1の面111上に平滑化層形成用組成物を塗布して乾燥することで、基材11の第1の面111の凹凸を的確に埋め込み、外表面が平滑な塗布層を得ることができる。
【0110】
平滑化層形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、ダイコート法等が挙げられる。これらの中でも特に、グラビアコート法、バーコート法であるのがより好ましい。これにより、目的とする厚さの塗布層を容易に形成することができる。
【0111】
次に、得られた塗布層を、加熱して硬化させることにより平滑化層12を形成する。加熱することで、第1の面111の凹凸を的確に埋め込んだ状態の塗布層を、塗布層の外表面の平滑性を保持したまま硬化させる。これにより、第3の面121が十分に平滑である平滑化層12を得ることができる。
【0112】
ここで、平滑化層形成用組成物中に溶媒を含む場合には、塗布層を加熱して硬化させることにより塗布層(塗布された平滑化層形成用組成物)中の溶媒が除去される。この溶媒が除去されることで平滑化層12が得られる。
【0113】
加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥炉などで加熱する方法等が挙げられる。
【0114】
また、加熱条件としては、特に限定されないが、加熱温度は、120℃以上140°以下であるのが好ましく、加熱時間は30秒以上であるのが好ましい。これにより、熱収縮により平滑化層12の平滑性が低下するなど、平滑化層12が不本意に変質することを防ぐことができるとともに、平滑化層12を特に効率よく形成することができる。また、加熱温度が前記範囲のものであると、平滑化層形成用組成物が溶媒等を含むものである場合に、加熱時に溶媒等が蒸発することによって生じる平滑化層12の反りやひび等の発生を防ぐことができる。
【0115】
<剥離剤層形成工程>
次に、平滑化層12の第3の面121上に、剥離剤層13を形成する。
【0116】
本工程では、まず、剥離剤層形成用組成物を準備する。
剥離剤層形成用組成物としては、前述したようなメラミン樹脂、およびポリオルガノシロキサンのみを含むものを用いてもよいし、これらに加え、必要に応じて前述したような水酸基を有する希釈剤、酸性触媒、溶媒、その他の成分を混合したものを用いてもよい。
【0117】
次に、平滑化層12の第3の面121上に、液状をなす剥離剤層形成用組成物を塗布して乾燥することにより、塗布層を得る。
【0118】
剥離剤層形成用組成物を塗布する方法としては、前述した平滑化層形成用組成物を塗布する方法にて例示した方法を用いることができ、中でも特に、グラビアコート法、バーコート法であるのがより好ましい。これにより、目的とする厚さの塗布層を容易に形成することができる。
【0119】
次に、得られた塗布層を、加熱して硬化させることにより剥離剤層13を形成する。これにより、外表面131が十分に平滑な剥離剤層13を得ることができる。
【0120】
ここで、剥離剤層形成用組成物中に溶媒を含む場合には、塗布層を加熱して硬化させることにより塗布層(塗布された剥離剤層形成用組成物)中の溶媒が除去される。この溶媒が除去されることで剥離剤層13が得られる。
【0121】
加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥炉などで加熱する方法等が挙げられる。
【0122】
また、加熱条件としては、特に限定されないが、加熱温度は、120℃以上140°以下であるのが好ましく、加熱時間は30秒以上であるのが好ましい。これにより、熱収縮により剥離剤層13の平滑性が低下するなど、剥離剤層13が不本意に変質すること防ぐことができるとともに、剥離剤層13を特に効率よく形成することができる。また、加熱温度が前記範囲のものであると、剥離剤層形成用組成物が溶媒等を含むものである場合に、加熱時に溶媒等が蒸発することによって生じる剥離剤層13の反りやひび等の発生を特に防ぐことができる。
以上により、剥離フィルム1を得ることができる。
【0123】
以上のような工程によれば、平滑性に優れ、剥離性に優れた信頼性の高い剥離フィルム1を、容易かつ確実に製造することができる。
【0124】
また、このような剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造すれば、グリーンシートの表面にピンホール等が生じるのを防止することができる。
【0125】
≪グリーンシートの製造方法≫
次に、本発明のグリーンシートの製造方法について説明する。
【0126】
本発明のグリーンシートの製造方法は、前述したような本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムを用いてグリーンシートを製造する方法である。
【0127】
以下、本実施形態のグリーンシートの製造方法について説明する。
本実施形態のグリーンシートの製造方法は、剥離フィルム1上に、セラミックス粉末と、バインダーを含むビヒクルとを含有するセラミックスラリー(グリーンシート形成用材料)を付与してグリーンシート前駆体を形成するグリーンシート材料付与工程と、グリーンシート前駆体を固化する固化工程とを有する。
【0128】
<グリーンシート材料付与工程>
本工程では、まず、剥離フィルム1上にセラミックスラリーを付与にあたり、付与するセラミックスラリーを準備する。
【0129】
セラミックスラリーは、セラミックス粉末と、バインダーを含むビヒクルとを含有するものである。
【0130】
セラミックス粉末としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等を含む粉末が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でも、チタン酸バリウム(BaTiO
3)であるのが好ましい。チタン酸バリウムは、極めて高い比誘電率を持ち、得られたグリーンシートを用いてセラミックコンデンサーを形成するのに有効である。
【0131】
また、セラミックス粉末としては、上述した材料に加え、さらに副成分原料が含有されていてもよい。
【0132】
副成分原料としては、例えば、酸化物や、焼成により酸化物となる化合物等が挙げられる。焼成により酸化物となる化合物としては、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等が挙げらる。
【0133】
このようなセラミックス粉末の形状は、球状、楕円球、状鱗片状、円盤状、楕円盤状、円柱状、直方体状、針状等がいかなるものであってもよい。
【0134】
セラミックス粉末の形状が球状である場合、その平均粒径は、0.05〜3.0μmであることが好ましく、0.1〜0.7μmであることがより好ましい。
【0135】
また、セラミックス粉末の製造方法としては、特に限定されず、共沈法、ゾル・ゲル法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法、水熱合成法といった湿式法や、乾式法が挙げられる。
【0136】
例えば、チタン酸バリウムを含むセラミックス粉末は、水熱合成法によって合成されたチタン酸バリウムに、副成分原料を混合することによって得ることができる。また、チタン酸バリウムを含むセラミックス粉末は、炭酸バリウム(BaCO
3)と酸化チタン(TiO
2)と副成分原料とを混合した混合物を仮焼して固相反応させる乾式法によっても得ることができる。
【0137】
また、セラミックスラリー中におけるセラミックス粉末の含有量としては、特に限定されないが、20〜80質量%程度とされる。
【0138】
また、ビヒクルは、バインダーを有機溶媒中に溶解した有機ビヒクルであってもよく、水溶性のバインダーを水に溶解した水系ビヒクルであってもよい。
【0139】
バインダーとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述したバインダーのうち、エチルセルロース、ポリビニルブチラールは、有機ビヒクル中に含まれるバインダーとして用いることができ、また、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂は、水系ビヒクル中に含まれるバインダーとして用いることができる。
【0140】
また、セラミックスラリー中におけるバインダーの含有量としては、特に限定されないが、2〜10質量%程度とされる。
【0141】
また、有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、トルエン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0142】
また、セラミックスラリーには、必要に応じて、可塑剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0143】
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、フタル酸エステル、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、等が挙げられる。
【0144】
このような可塑剤を含む場合、セラミックスラリー中における可塑剤の含有量としては、特に限定されないが、0.1〜5質量%程度とされる。
【0145】
また、分散剤としては、例えば、オレイン酸、ロジン、グリセリン、オクタデシルアミン、オレイン酸エチル、メンセーデン油等が挙げられる。
【0146】
このような分散剤を含む場合、セラミックスラリー中における分散剤の含有量としては、特に限定されないが、0.1〜5質量%程度とされる。
【0147】
次いで、上述したような材料を含むセラミックスラリーを剥離フィルム1の外表面131側に付与する。
【0148】
セラミックスラリーの剥離フィルム1上への付与は、例えば巻いた状態で保管された剥離フィルム1の巻きから剥離フィルム1を繰り出し、繰り出された剥離フィルム1上にセラミックスラリーを塗工することにより行うことができる。
【0149】
セラミックスラリーの塗工は、例えば、ドクターブレード法、リップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等によって行うことができる。
【0150】
<固化工程>
次に、剥離フィルム1上に付与されたセラミックスラリーを固化させる。
【0151】
セラミックスラリーの固化は、例えば、加熱、減圧乾燥によって行うことができる。このセラミックスラリーの固化は、セラミックスラリーから溶媒等を除去することにより行うことができる。
これにより、グリーンシートが得られる。
【0152】
以上のようなグリーンシートの製造によれば、平滑性に優れた剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造しているため、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを抑制または防止することができる。
【0153】
また、上記グリーンシートの製造によれば、グリーンシートに対する剥離性に優れた剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造しているため、グリーンシートを形成した後に、グリーンシートを剥離フィルム1から剥離しようとするときに、グリーンシートが剥離フィルム1に必要以上に密着してしまうこと抑制または防止することができる。そのため、剥離フィルム1からグリーンシートを上手く剥がすことができず、グリーンシートが破損してしまうということを抑制または防止することができる。
【0154】
このようなことから、剥離フィルム1を用いてグリーンシートを製造する上記グリーンシートの製造方法によれば、信頼性の高いグリーンシートを容易かつ確実に得ることができる。
【0155】
≪グリーンシート≫
次に、本発明のグリーンシートについて説明する。
【0156】
本発明のグリーンシートは、前述したような本発明のグリーンシートの製造方法を用いて製造されたものである。
【0157】
本実施形態では、剥離フィルム1を用い、上記グリーンシートの製造方法によって、グリーンシートを得ることができる。
【0158】
このようにして得られたグリーンシートは、例えば、その表面にペースト状の内部電極が印刷され、所定サイズに切断後に剥離フィルム1から剥離され、積層された後、静水圧プレス、所定の形状、大きさに裁断される。その後、脱バインダー、外部電極を設けて焼成し、めっき処理をすることにより、セラミックコンデンサーとして用いることができる。
【0159】
この剥離フィルム1を用いて形成されたグリーンシートによりセラミックコンデンサーを形成すれば、断線による不具合の発生が防止された信頼性の高いセラミックコンデンサーを得ることができる。
【0160】
以上、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムや本発明のグリーンシートを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法や本発明のグリーンシートの製造方法は、前述した方法に限定されるものではなく、必要に応じて工程が追加されてもよい。
【0161】
例えば、前述した本実施形態では、基材は単層構造のものとして説明したが、これに限定されず、基材は、同種または異種の2層以上の多層構造のものであってもよい。また、平滑化層、剥離剤層についても同様に、単層構造のものとして説明したが、これに限定されず、平滑化層、剥離剤層についても、それぞれ、同種または異種の2層以上の多層構造をなすものであってもよい。
【0162】
また、例えば、前述した実施形態では、グリーンシート製造用剥離フィルムは、基材と、平滑化層と、剥離剤層とがこの順に互いに接合するように積層された三層構造をなすものとして説明したが、これに限定されず、基材と、平滑化層との間に中間層を設けてもよい。また、平滑化層と、剥離剤層との間に中間層を設けてもよい。このような中間層としては、基材と平滑化層との密着性や、平滑化層と剥離剤層との密着性を向上させるものであってもよく、また、グリーンシート形成前のグリーンシート製造用剥離フィルムを巻き取る際の帯電の発生をより抑制させるものであってもよい。
【実施例】
【0163】
次に、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0164】
[1]グリーンシート製造用剥離フィルムの作製
(実施例1)
まず、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa
2:23nm、第1の面の最大突起高さRp
2:415nm、第2の面の算術平均粗さRa
3:23nm、第2の面の最大突起高さRp
3:415nm]を用意した。
【0165】
次に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]:100質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。
【0166】
次いで、得られた平滑化層形成用組成物をバーコーターで基材11の第1の面111上に塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、平滑化層(厚み:0.55μm)を形成した。
【0167】
次に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%] :95質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :5質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0168】
次いで、得られた剥離剤層形成用組成物をバーコーターで平滑化層の第3の面(基材とは反対の面)上に塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、剥離剤層(厚み:0.50μm)を形成した。
【0169】
(実施例2)
下記のようにして得られた平滑化層形成用組成物と剥離剤層形成用組成物とを用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0170】
メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]:65質量部と、希釈剤としてのグリコール系化合物[2−メチル−1,3−プロパンジオール、東京化成工業社製、質量平均分子量90、固形分100%]:30質量部との混合物に、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。
【0171】
また、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]:65質量部と、希釈剤としてのグリコール系化合物[2−メチル−1,3−プロパンジオール、東京化成工業社製、質量平均分子量90、固形分100%]:30質量部との混合物と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%]:5質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0172】
(実施例3)
基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[厚み:31μm、第1の面の算術平均粗さRa
2:19nm、第1の面の最大突起高さRp
2:216nm、第2の面の算術平均粗さRa
3:19nm、第2の面の最大突起高さRp
3:216nm]を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0173】
(実施例4〜6)
各層(平滑化層や剥離剤層)の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0174】
(比較例1)
平滑化層を設けなかった以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0175】
(比較例2)
平滑化層の厚みを0.20μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0176】
(比較例3)
下記のようにして得られた剥離剤層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0177】
メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%] :99質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :1質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0178】
(比較例4)
下記のようにして得られた剥離剤層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0179】
メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%] :80質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :20質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0180】
(比較例5)
下記のようにして得られた平滑化層形成用組成物と剥離剤層形成用組成物とを用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0181】
ステアリル変性アルキド化合物とメチル化メラミン化合物との混合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン303」、質量平均分子量15000、固形分48質量%]:100質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:3質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。
【0182】
また、ステアリル変性アルキド化合物とメチル化メラミン化合物との混合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン303」、質量平均分子量15000、固形分48質量%]:100質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%]:2.53質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:3質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0183】
(比較例6)
下記のようにして得られた平滑化層形成用組成物と剥離剤層形成用組成物とを用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
【0184】
ポリエステル化合物[東洋紡績(株)製、商品名「バイロン20SS」、固形分30質量%、質量平均分子量3000]:80質量部と、架橋剤としてのメチル化メラミン化合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン200」、固形分80質量%]:20質量部の混合物:100質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:3質量部と、トルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(質量比率1/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。
【0185】
また、ポリエステル化合物[東洋紡績(株)製、商品名「バイロン20SS」、固形分30質量%、質量平均分子量3000]:80質量部と、架橋剤としてのメチル化メラミン化合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン200」、固形分80質量%]:20質量部の混合物:95質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%]:2.1質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸:3質量部と、トルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(質量比率1/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0186】
(比較例7)
下記のようにして得られた平滑化層形成用組成物と剥離剤層形成用組成物とを用いた以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート製造用剥離フィルムを作製した。
直鎖オクチル化メラミン樹脂[三羽研究所製、商品名「RP−30」、固形分濃度30質量%、質量平均分子量2000]100質量部、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸5質量部と、トルエン/メチルエチルケトンとの混合溶媒(質量比率1/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。
【0187】
また、直鎖オクチル化メラミンホルム樹脂[三羽研究所製、商品名「RP−30」、固形分濃度30質量%、質量平均分子量2000]100質量部、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :1.58質量部と、酸性触媒としてのp−トルエンスルホン酸5質量部と、トルエン/メチルエチルケトンとの混合溶媒(質量比率1/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。
【0188】
各実施例および各比較例のグリーンシート製造用剥離フィルムの構成等を表1にまとめて示した。
【0189】
なお、表中、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「サイメル303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]を「A1」、グリコール系化合物[2−メチル−1,3−プロパンジオール、東京化成工業社製、質量平均分子量90、固形分100%]を「A2」、ステアリル変性アルキド化合物とメチル化メラミン化合物との混合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン303」、質量平均分子量15000、固形分48質量%]を「A3」、ポリエステル化合物[東洋紡績(株)製、商品名「バイロン20SS」、固形分30質量%、質量平均分子量3000]80質量部と、架橋剤としてのメチル化メラミン化合物[日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスファイン200」、固形分80質量%]:20質量部の混合物を「A4」、直鎖オクチル化メラミン樹脂[三羽研究所製、商品名「RP−30」、固形分濃度30質量%、質量平均分子量2000]を「A5」と示した。
【0190】
また、各実施例および各比較例の基材、平滑化層および剥離剤層の平均膜厚は、それぞれ、反射式膜厚計「F20」[フィルメトリクス株式会社製]にて測定した。なお、前記平均膜厚は、前記反射式膜厚計を用いて、10mm×100mmに裁断した剥離フィルム中の任意の12箇所における膜厚を測定し、測定した12箇所の値のうち最大値および最小値を除いた10個所の値の平均値を算出することにより求めた値である。
【0191】
また、基材の第1の面の算術平均粗さRa
2および最大突起高さRp
2、基材の第2の面の算術平均粗さRa
3および最大突起高さRp
3、平滑化層の第3の面の算術平均粗さRa
4および最大突起高さRp
4、剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa
1および最大突起高さRp
1は、それぞれ、ガラス板に両面テープを貼付し、両面テープ上に測定する側の面の反対面がガラス板側になるようにして固定し、光干渉式表面形状観察装置(商品面「WYKO−1100」、株式会社Veeco社製)を用いて測定した。なお、上記測定条件は、PSIモード、50倍率にて、測定範囲:91.2×119.8μmとした。
【0192】
【表1】
【0193】
[2]評価
以上のようにして得られたグリーンシート製造用剥離フィルムに関して、以下のような評価を行った。
【0194】
[2.1]スラリー塗工性評価
チタン酸バリウム粉末[堺化学工業社製、商品名「BT−03」、BaTiO
3]:100質量部と、バインダーとしてのポリビニルブチラール[積水化学工業社製,商品名「エスレックB・K BM−2」]:8質量部と、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル[関東化学社製、商品名「フタル酸ジオクチル 鹿1級」]:4質量部との混合物に、トルエン/エタノール混合溶媒(質量比6/4):135質量部とを加え、これらをボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。
【0195】
次に、各実施例、および各比較例で得られた剥離フィルムの外表面(剥離剤層の外表面)に、上記セラミックスラリーをダイコーターにて、乾燥後の厚さが1μmになるように、幅250mm、長さ10mに渡り塗布し、これを80℃で1分間乾燥させた。これにより、外表面上にグリーンシートが形成された剥離フィルムを得た。
【0196】
その後、グリーンシートが形成された剥離フィルムについて、剥離フィルム側から蛍光灯にて光を照射して、グリーンシート面を目視で観察し、以下の判断基準でスラリーの塗工性を評価した。
【0197】
A:グリーンシートにピンホールが無かった。
B:グリーンシートに1〜5個のピンホールが見つかった。
C:グリーンシートに6個以上のピンホールが見つかった。
【0198】
[2.2]グリーンシート剥離性評価
前記[2.1]で形成したグリーンシートを、剥離フィルムから剥離し、以下の判断基準でグリーンシートの剥離性を評価した。
【0199】
A:グリーンシートが破れることなく、スムーズに剥離できた。また、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
【0200】
B:グリーンシートが破れることなく、ややスムーズさに欠けるものの剥離でき、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
【0201】
C:グリーンシートを剥離するときに、グリーンシートが破れるか、または剥離できなかった。
【0202】
[2.3]剥離剤層の欠陥評価(剥離剤層の凹部数評価)
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶媒(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、各実施例および比較例で得られた剥離フィルムの外表面(剥離剤層の外表面)に上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた。これにより、剥離フィルム上にポリビニルブチラール樹脂層を形成した。
【0203】
次いで、ポリビニルブチラール樹脂層の表面にポリエステル粘着テープ[日東電工(株)製、商品名:No.31B]を貼付した。
【0204】
次いで、剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、ポリビニルブチラール樹脂層をポリエステルテープに転写させた。
【0205】
次いで、剥離フィルムの剥離剤層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面について、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて観察した。PSIモード、50倍率にて、91.2×119.8μmでの範囲内に確認される剥離剤層の形状が転写された深さ150nm以上の凹部を数え、以下の判断基準で剥離剤層の凹部数を評価した。
【0206】
A:凹部の数が0個である。
B:凹部の数が1〜5個である。
C:凹部の数が6個以上である。
【0207】
なお、上記基準Cと評価されたグリーンシート製造用剥離フィルムを用いてグリーンシートを作製し、そのグリーンシートを用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
これらの結果を表2に示す。
【0208】
【表2】
【0209】
表2から明らかなように、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、セラミックスラリーの塗工性や、成膜されたグリーンシートの剥離性に優れていた。また、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、剥離剤層の凹部数の評価から、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを抑制させる効果があることが判った。これに対して、比較例では満足な結果が得られなかった。