【実施例1】
【0022】
図1は、本発明が適用された面発光型半導体発光素子すなわち点光源発光ダイオード10を示す平面図であり、
図2は、点光源発光ダイオード10の上面電極16の開口12の中心CPを通る垂直断面を示す
図1のII−II視断面図である。点光源発光ダイオード10は、チップ状の直方体であって、たとえば蒸着あるいはスパッタにより固着された、局所的に形成された略正方形の開口12およびボンディングパッド14を有する上面電極16とその開口12に囲まれた光取出面17とを、上面に備えている。この上面電極16はたとえばAuGeNi共晶体から構成される。この上面電極16の開口12内には、光を可及的に通過させつつ電流を均一化するための導電性格子18が上面電極16に接続した状態で設けられている。
図1の1点破線Xは点光源発光ダイオード10の長手(長辺)方向に平行であって開口12の中心CPを通る線であり、一点鎖線Yは点光源発光ダイオード10の短辺方向に平行であって開口12の中心CPを通る線である。
【0023】
点光源発光ダイオード10は、
図2に例示するように、たとえば数百μm程度の厚みを有するSi製の支持基板20の上に、たとえばAu/In、Pb/Sn、In/Sn、Au/Snなどの低融点金属(はんだ)から成る金属密着層22と、上面電極16の開口12に対応する位置に局部的に且つ相互に重なる状態でパターニングされた、たとえばチタンなどから成る拡散防止バリヤ層24、たとえばAg、Al、Au、Pt及びそれらのいずれかを含む合金(例えばAuZn)などから成る金属層26、および、たとえばAuZn、AuBe、ITOなどから成る複数個の中間電極28を貫通状態で有するたとえばSiO2などの非導電性物質から成る誘電体層30と、たとえばp−GaPなどのp型半導体から成る4μm程度の厚みを有する第1コンタクト層32と、たとえばp−Al0.53In0.47Pなどのp型半導体から成る0.5μm程度の厚みを有する下部クラッド層34と、たとえばGa0.51In0.49P/(Al0.5Ga0.5)0.51In0.49Pの多層体から構成された多重量子井戸からなる活性層36と、たとえばn−Al0.53In0.47Pなどの0.5μm程度の厚みを有するn型半導体から成る上部クラッド層38と、たとえばn−(Al0.5Ga0.5)0.51In0.49Pなどのn型半導体から成る2μm程度の厚みを有するブロック層40と、たとえばn−GaAsなどのn型半導体から成る50nm程度の厚みを有する第2コンタクト層42と、上面電極16とが、順次積層された構造を備えている。
【0024】
上記支持基板20の下面には、たとえばTi及びAuの積層構造からなる下面電極46が、たとえば蒸着あるいはスパッタにより固着されている。上面電極16および下面電極46は、点光源発光ダイオード10の製造プロセス中のエッチング工程などにおいて安定な貴金属或いはその合金等の金属材料が用いられる。そして、点光源発光ダイオード10の上面電極16直下から上部クラッド層38に到達するまでたとえば水素イオンH
+を注入させて著しく高抵抗化させることで電流を通過させない電流ブロック領域44が設けられている。この電流ブロック領域44は、上面電極16から支持基板20の下面に固着された下面電極46との間に流されて活性層36を通過する電流を狭窄し、活性層36のうちの開口12直下に対応する部位に集中させてそこで局所的に発光させる。これにより、点光源発光ダイオード10は、たとえば直径150μmφ程度の光取出面17直下の領域に電流を集中させて活性層36から局所的に発光させる電流狭窄機能を備えていることになる。
【0025】
点光源発光ダイオード10において、金属層26の誘電体層30側の界面は、誘電体層30が介在されていることにより支持基板20の熱圧着時の温度による第1コンタクト層32との反応すなわち拡散或いは合金化が防止されて乱反射や光吸収が抑制されているので、高い反射率RR1を有する金属反射面50が形成されている。この点で、上記誘電体層30は、合金阻止層として機能している。
【0026】
一方、支持基板20の熱圧着時の温度による、第1コンタクト層32と金属密着層22との反応すなわち拡散或いは合金化が行なわれることによって、第1コンタクト層32と金属密着層22との界面には、反射率が低減されおよび/又は光吸収率が増加されることで金属反射面50の反射率RR1よりも低い反射率RR2を有する光反射低減面52が生成される。金属反射面50の周囲に形成される、反射率RR2を有する合金層54は極めて薄い層であるが、理解を容易とするために
図2に破線で示されている。なお、金属反射面50の周囲における第1コンタクト層32と金属密着層22との間の境界面に、光反射低減面52を形成する光反射低減物質からなる層が積極的に設けられてもよい。光反射低減面52の反射率RR2は、金属層26に設けられた金属反射面50の反射率RR1に対して、RR2≦0.8RR1となるように、材質、温度が予め実験的に設定されている。また、金属反射面の反射率RR1は、活性層から出射される波長の光に対して、RR1≧70%の関係であることが好ましい。
【0027】
図2に示される上面電極16に局所的に形成された開口12の中心CPを通る縦断面において、誘電体層30および金属反射面50は、開口12と同様のパターンでそれと同心に配置されており、金属反射面50の径L2は、開口12の径L1に対して、0.2L1≦L2≦1.8L1(好ましくは0.6L1≦L2≦1.4L1)を満足する範囲の大きさを有するように、金属反射面50における開口12の端部からの垂線との交点とその金属反射面50の端部との距離をDとしたとき、
図2内の開口12の寸法L1に対して、0≦D≦0.4L1(好ましくは0≦D≦0.2L1)の関係を満たすように、金属反射面50の面積をA2、開口12の面積をA1としたとき、0.04A1≦A2≦3.24A1(好ましくは0.36A1≦A2≦1.96A1)の関係を満たすように、および/または、上面電極16の一の外周端部及び他の外周端部との距離L3は、上面電極16に局所的に形成された開口12の中心CPをとおる断面において、L2≦0.9L3の関係となるように、形成されている。それらの関係は、出力光の強度の維持とサイド光の抑制とを両立させ得て、出力光の強度を低下させることなく、よりサイド光の強度が抑制されるように、予め実験的に求められたものである。
【0028】
上記のように構成された点光源発光ダイオード10においては、結晶成長により互いに積層された上部クラッド層38、活性層36、および下部クラッド層34によってダブルへテロ構造が構成されており、上面電極16と下面電極46との間に、順方向の電流が流されると、活性層36のうちの開口12すなわち光取出面17直下の発光領域Pが局所的に発光させられる。この活性層36の発光領域Pから発生した光は、点光源発光ダイオード10の上面側、側面側、および下面側方向へ射出される。活性層36の発光領域Pから下面電極46側へ向けて射出された光のうち、金属反射面50により反射されて上面側へ向い、活性層36から開口12側へ向けて射出された光とともに、光取出面17から出力される。また、活性層36から下面電極46側へ向けて射出された光のうち、金属反射面50の周囲に存在する光反射低減面52に到達した光は、その光反射低減面52において吸収や乱反射されてその反射光の強度が低下させられる。
図2の1点鎖線で示す矢印はそれらの光を示している。
【0029】
これにより、点光源発光ダイオード10においては、角度依存性が高い多層膜反射鏡(DBR層)が設けられる場合に比較して高い光の取出し効率が得られると共に、
図1のA、B、Cに示す部位において点光源発光ダイオード10の端面から漏れ出るサイド光が好適に抑制される。
図3は、
図1の一点鎖線Yに沿って光強度を測定したときの相対的変化特性を示している。
図3において、開口12の真上位置で測定された光強度の最大値を100%としたとき、A、Bに示す部位において点光源発光ダイオード10の端面から漏れ出るサイド光は、それぞれ4〜5%程度であった。
【0030】
因みに、金属反射面50が上面電極16に平行なチップの横断面の全面に設けられた形式の点光源発光ダイオード100の構成例を
図4に示す。この点光源発光ダイオード100では、拡散防止バリヤ層24と、その上の金属層26と、金属層26と第1コンタクト層32との間の誘電体層30とが、上面電極16に平行なチップの横断面の全面に重ねて積層されている点で、点光源発光ダイオード10と相違し、他は同一の構成を有している。
【0031】
このように構成された点光源発光ダイオード100によれば、金属層26と誘電体層30との間の界面に形成された金属反射面50が、上面電極16に平行なチップの横断面の全面に設けられていることから、
図4の1点鎖線の矢印に示すように、活性層36の発光領域Pから下面電極46側へ向けて射出された光のうち、金属反射面50により反射されて上面側へ向い、活性層36から開口12側へ向けて射出された光とともに、光取出面17から出力される点は点光源発光ダイオード10と共通する。しかし、活性層36から下面電極46側へ向けて射出されて金属層26に到達した光は、その金属反射面50によりすべて反射されるため、その一部が点光源発光ダイオード100の端面から漏れ出るサイド光の強度が比較的高くなる。
図5は、
図4の一点鎖線Yに沿って光強度を測定したときの相対的変化特性を示している。
図5において、開口12の真上位置で測定された光強度の最大値を100%としたとき、A、Bに示す部位において点光源発光ダイオード10の端面から漏れ出るサイド光は、それぞれ20%程度と、比較的高い強度を示した。
【0032】
図6は、点光源発光ダイオード10の製造工程例の要部を説明する図であり、
図7は、製造工程中の中間製品の積層状態をそれぞれ説明する図である。
図6において、結晶成長工程P1では、切り分けられる前の成長基板60なわちGaAs単結晶の半導体ウエーハの上に、MOCVD法(有機金属気相成長法)やMBE法(分子線エピタキシー法)などによって、たとえばGa0.51In0.49Pなどの化合物半導体から成り0.2μm程度の厚みを有するエッチングストップ層56、第2コンタクト層42、ブロック層40、上部クラッド層38、活性層36、下部クラッド層34、第1コンタクト層32が、順次エピタキシャル成長させられる。
図7の(a)はこの状態を示している。
【0033】
ついで、誘電体層形成工程P2では、例えば第1コンタクト層32の支持基板20側の全面に、SiO2からなる誘電体材料を電子線蒸着或いはスパッタするかプラズマCVDを用いて固着させ、その後、ホトリソグラフィー手法により、開口12に対応する部分を残すように誘電体材料をパターニング(エッチング)することで誘電体層30が局所的に形成される。なお、SiO2からなる誘電体材料は、バッファードフッ酸を用いてパターニングすることができる。続く中間電極形成工程P3では、ホトリソグラフィー手法により、中間電極28が形成される。具体的には、例えば、活性層で発生した光を出射する開口に対応する部位のうち前記誘電体層30上にのみレジスト層を設け、AuBe、AuZn等の中間電極材料を蒸着或いはスパッタし、その後、当該レジスト層を除去することで中間電極28が局所的に形成される。続く金属層形成工程P4では、ホトリソグラフィー手法により、金属層26が形成される。具体的には、例えば、前記開口12に対応する部分以外にレジスト層を設け、Ag、Al、Au、Pt及びそれらのいずれかを含む合金等の金属材料を抵抗加熱又は電子線蒸着或いはスパッタし、その後、当該レジスト層を除去することで金属層26が局所的に形成される。続く拡散防止バリヤ層形成工程P5では、ホトリソグラフィー手法により、拡散防止バリヤ層24が形成される。具体的には、例えば、前記金属層26以外にレジスト層を設け、Ti等の拡散防止バリヤ材料を抵抗加熱又は電子線蒸着或いはスパッタし、その後、当該レジスト層を除去することで拡散防止バリヤ層24が局所的に形成される。そして、金属密着層22が形成される。
【0034】
支持基板接合工程P6では、
図7の(b)に示すように、上記第1コンタクト層32の誘電体層30、金属層26、拡散防止バリヤ層24が固着された支持基板20側の一面と、支持基板20の活性層36側の一面とに、Au/In、Pb/Sn、In/Sn、Au/Snなどの低融点金属が蒸着などによりそれぞれ固着された後、ウエーハ状の支持基板20の活性層36側の一面が上記第1コンタクト層32の支持基板20側の一面に押圧された状態で熱圧着される。続く、成長基板分離工程P7では、成長基板60及びエッチングストップ層56が分離される。例えば、GaAsからなる成長基板を過酸化水素/アンモニア混合液でエッチングする。その後、InGaPからなるエッチングストップ層56を塩酸系のエッチング液でエッチングする。
図7の(c)はこの状態を示している。
【0035】
続いて、電流狭窄構造形成工程P8では、上面電極16直下の光取出面17を除く領域であって、第2コンタクト層42の表面から少なくとも上部クラッド層38の厚みの中間までの範囲で、たとえばH
+イオンが注入されることにより、抵抗値が著しく高い不伝導領域を構成する電流ブロック領域44が形成される。この電流ブロック領域44は、厚み方向において第1コンタクト層32付近から第2コンタクト層42に至るまでの領域に形成されてもよい。そして、電極形成工程P9では、第2コンタクト層42の上面すなわち点光源発光ダイオード10の上面に上面電極16が蒸着あるいはスパッタにより形成される。また、点光源発光ダイオード10の裏面(下面)が研磨により鏡面加工されており、その鏡面加工された面において下面電極46が抵抗加熱又は電子線蒸着あるいはスパッタにより形成される。そして、ウエーハから個々の点光源発光ダイオード10に分割される。
図7の(d)はこの状態を示している。すなわち、
図1および
図2に示す点光源発光ダイオード10が製造される。
【0036】
上述のように、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、金属層26のうちの上面電極16に局所的に形成された開口12に対応する部位に局所的に設けられて活性層36で発生した光を開口12側へ反射する金属反射面50が設けられ、その金属反射面50の周囲には、金属反射面50よりも反射率が低い光反射低減面52が設けられていることから、活性層36の一部から支持基板20側へ向かう光のうちの一部は金属反射面50により反射され、他の一部の光は反射されず、光反射低減面52により吸収されるので、チップ状の点光源発光ダイオード10の端面から漏れ出るサイド光が好適に抑制される。
【0037】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、p型半導体層(第1導電型層)は第1コンタクト層32を含み、第1コンタクト層32の一部と接触する誘電体層30が金属層26上に設けられている。このため、金属層26上のうち第1コンタクト層32の一部と接触する誘電体層30により覆われた界面は、金属層26と第1コンタクト層32との間の反応すなわち拡散或いは合金化が阻止されて、乱反射や光吸収が防止されて金属層26の活性層側に反射率の高い金属反射面50が局所的に形成される。
【0038】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、誘電体層30は、第1コンタクト層32に対して開口12に対応する部位に局所的に設けられている。このため、金属層26上の面のうち開口12に対応する部位は、金属層26と第1コンタクト層32との間の反応すなわち拡散或いは合金化が阻止されて、乱反射や光吸収が防止されて金属層26の活性層36側に反射率の高い金属反射面50が局所的に形成される。
【0039】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、第1コンタクト層32と金属層26との間を導通させる複数個の中間電極28が誘電体層30を貫通して設けられている。このため、上面電極16と複数個の中間電極28との間で移動する電流は、上面電極16に局所的に形成された開口12に対応する部位に設けられた誘電体層30を貫通する中間電極28を通ることから、電流拡散することなく、活性層36のうち上面電極16の開口12の直下に対応する部位に集中させられるので、その活性層36のうち上面電極16の開口12の直下に対応する部位Pが局所的に発光させられる。これにより、サイド光の発生が一層抑制される。
【0040】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、金属層26は、第1コンタクト層32に対して、誘電体層30と同様のパターンでその隣接して局所的に積層されている。このため、少なくとも誘電体層30と金属層26とがパターニングされる必要があるが、金属層が第1コンタクト層に対して全面的に積層される場合は、誘電体層のみがパターニングされる。後者の、局所的な誘電体層を介して前記コンタクト層に対して前記金属層が全面的に積層される場合は、熱圧着時の温度によって、第1コンタクト層32と金属層26との間の境界面に、それらの合金化によって反射率が低減されおよび/又は光吸収率が増加された光反射低減面52が生成される。
【0041】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、支持基板20は、第1コンタクト層32に低融点金属から成る金属密着層22を介して熱圧着されたものであり、その金属密着層22と金属層26との間には拡散防止バリヤ層24が介在させられている。このため、金属密着層22の熱圧着における溶融時の温度による金属密着層22と金属層26との間の反応が抑制される。
【0042】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、金属反射面50の径L2は、
図2に示される上面電極16に局所的に形成された開口12の中心CPを通る縦断面において、開口12の径L1に対して、0.2L1≦L2≦1.8L1(好ましくは0.6L1≦L2≦1.4L1)の大きさを有するので、出力光の強度の維持とサイド光の抑制とを両立させ得て、出力光の強度を低下させることなくサイド光の強度を抑制することができる。
【0043】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、光反射低減面52の反射率RR2は、金属層26に設けられた金属反射面50の反射率RR1に対して、RR2≦0.8RR1であるので、出力光の強度の維持とサイド光の抑制とを両立させ、出力光の強度を低下させることなくサイド光の強度を抑制することができる。
【0044】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、
図2に示される開口12の中心CPを通る縦断面において、金属反射面50における開口12の端部からの垂線との交点とその金属反射面50の端部との距離をDとしたとき、
図2内の開口12の寸法L1に対して、0≦D≦0.4L1(好ましくは0≦D≦0.2L1)の関係を満たす。これにより、出力光の強度の維持とサイド光の抑制とを両立させ、出力光の強度を低下させることなくサイド光の強度を抑制することができる。
【0045】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、金属反射面50の面積をA2、開口12の面積をA1としたとき、0.04A1≦A2≦3.24A1(好ましくは0.36A1≦A2≦1.96A1)である。これにより、出力光の強度の維持とサイド光の抑制とを両立させ、出力光の強度を低下させることなくサイド光の強度を抑制することができる。
【0046】
また、本実施例の点光源発光ダイオード10によれば、前記上面電極16の一の外周端部及び他の外周端部との距離L3は、前記上面電極16に局所的に形成された開口12の中心をとおる断面において、L2≦0.9L3の関係である。このようにすれば、より効果的にサイド光の抑制を行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図9は、誘電体層30が開口12に対応する位置に局所的に設けられている点は共通するものの、金属層26および拡散防止バリヤ層24が上面電極16に平行なチップの横断面の全面に設けられた形式の点光源発光ダイオード700の構成例を
図8に示す。この点光源発光ダイオード70では、金属層26と第1コンタクト層32とは、誘電体層30の周囲において直接的に隣接しており、支持基板20の熱圧着時の温度によって相互に反応して、光反射低減面52を生成する。これにより、本実施例の点光源発光ダイオード70は、前述の点光源発光ダイオード10と同様の作用効果が得られる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0049】
たとえば、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70の活性層36は、Ga0.51In0.49P/(Al0.5Ga0.5)0.51In0.49Pの多層体から構成されたAlInGaP系の多重量子井戸構造を有するものであったが、たとえば、GaAs系の半導体やGaP系の半導体が用いられたものでもよい。
【0050】
たとえば、点光源発光ダイオード10、70は、Si−GaAs又はTe−GaAsから成る第2コンタクト層42と、Si−AlxIn1-xP又はTe−AlxIn1-xP(但し、0.47≦x≦0.53)から成る上部クラッド層38と、(AlxGa1-x)yIn1-yP(但し、0.47≦x≦0.53、0.47≦y≦0.53)から成る障壁層と(AlxGa1-x)yIn1-yP(但し、0≦x≦0.05、0.47≦y≦0.53)から成る量子井戸層とから成る活性層36と、Zn−AlxIn1-xP、Mg−AlxIn1-xP、又はC−AlxIn1-xP(但し、0.47≦x≦0.53)から成る下部クラッド層34と、Mg−GaP又はC−GaPから成る第1コンタクト層32とを有するものであってもよい。
【0051】
また、点光源発光ダイオード10、70は、SiNx、Al2O3、TiO2、又はTa2O3から成る誘電体層30と、AuZn、AuBe、又はITOから成る中間電極層28と、Pt、Ni、Cr、又はWから成る拡散防止バリヤ層24と、SiC、Cu、Mo、Al2O3、又はSiO2から成る支持基板20とのうちの少なくとも1つを有するものであってもよい。
【0052】
また、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70の活性層36は、多重量子井戸構造を有するものであったが、必ずしも多重量子井戸構造を有するものでなくてもよく、単層の量子井戸構造を有するものや、通常のpn接合構造を有するものであってもよい。
【0053】
また、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70では、誘電体層30にそれを貫通する中間電極28が複数個設けられていたが、1個であっても差し支えない。要するに、1又は2以上の中間電極28が誘電体層30に設けられていればよい。
【0054】
また、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70は、平面視が長方形状であったが、正方形状であってもよい。また、前述の実施例の開口12は、略4角形状であったが、円形であってもよい。
【0055】
また、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70の光取出面17には、光取り出し効率を高めるために必要仁応じて、湿式エッチング或いは気相エッチングによる粗面化処理(テクスチャリング処理)が施されることにより、0.4〜1.0μm程度の十分な高さを有し、高アスペクト比で急峻な多数の針山状の微小突起が設けられてもよい。また、点光源発光ダイオード10、70の光取出面17には、光の反射を防止するための反射防止膜が設けられてもよい。
【0056】
また、前述の実施例の点光源発光ダイオード10、70は、イオン注入により形成された電流ブロック領域44が上面電極16の開口12を除く直下に設けられた電流狭窄構造を備えていたが、不純物拡散により形成された電流ブロック領域44が上面電極16の開口12を除く直下に設けられた電流狭窄構造でもよいし、メサエッチングにより上記電流ブロック領域44が除去された電流狭窄構造であってもよい。
【0057】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。