特許第6208057号(P6208057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208057
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】建物の屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 11/00 20060101AFI20170925BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20170925BHJP
   E04B 7/02 20060101ALI20170925BHJP
   E04D 13/15 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   E04D11/00 Q
   E04B1/348 L
   E04B1/348 T
   E04B7/02 501
   E04D13/15 301Z
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-54626(P2014-54626)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-175210(P2015-175210A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】木和田 康聖
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−001710(JP,A)
【文献】 特開2008−121329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/02
E04D 13/15
E04F 11/18
E04B 1/348
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物ユニットを組み合わせて構築されたユニット式の建物に適用され、
陸屋根部と傾斜屋根部とが隣接して配置された建物の屋根構造において、
前記陸屋根部の周縁部のうち前記傾斜屋根部との境界部まで延びるようにして設けられた第1壁部と、
前記傾斜屋根部の周縁部のうち前記陸屋根部との境界部から傾斜方向に延びるようにして設けられた第2壁部と、
前記第1壁部と前記第2壁部との境界部を上方から覆う笠木部と、
を備え
前記複数の建物ユニットには、前記第1壁部を有する第1ユニットと、該第1ユニットに横並びに隣り合い且つ前記第2壁部を有する第2ユニットとが含まれており、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部が、平面視で前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部に交差するように又は該境界部に沿って延びるように配置されており、
前記第1壁部は、互いに対向する一対の第1壁面材の間に設けられ且つそれら各第1壁面材が取り付けられた第1壁下地を有しており、
前記第2壁部は、互いに対向する一対の第2壁面材の間に設けられ且つそれら各第2壁面材が取り付けられた第2壁下地を有しており、
前記第1壁下地と前記第2壁下地とを連結する連結下地が、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの境界部を跨いだ状態で設けられていることを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項2】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部を跨いだ状態でそれぞれのユニット躯体の上面に重ねられた連結プレートにより連結されており、
前記連結下地は、前記連結プレートの上に設けられ、該連結プレートの上面に固定されていることを特徴とする請求項に記載の建物の屋根構造。
【請求項3】
前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第ユニットが前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨ぐ位置に配置され、前記第ユニットが前記陸屋根部側において該陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨がない位置に配置されていることで、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部が平面視で前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部に交差するように配置されており、
前記連結プレートは、前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨がない位置において、前記陸屋根部において前記第1ユニットと前記第2ユニットとに掛け渡されていることを特徴とする請求項に記載の建物の屋根構造。
【請求項4】
前記連結下地は、
前記第2ユニット側において前記連結プレートの上に立設された脚部と、
前記脚部の上端部から前記第1ユニット側に向けて延び、前記第2ユニットと前記第1ユニットとの境界部を跨いだ状態で前記第1壁下地に接続された腕部と、
を有しており、
前記一対の第1壁面材のうち前記第1壁下地の内側に設けられた内側第1壁面材は、前記第2ユニットと前記第1ユニットとの境界部を跨いだ状態で前記脚部及び前記腕部の両方に対して固定されており、
前記一対の第2壁面材のうち前記第2壁下地の内側に設けられた内側第2壁面材は、前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨いだ状態で前記脚部に対して固定されていることを特徴とする請求項に記載の建物の屋根構造。
【請求項5】
前記建物の外周面は、横並びに設けられた複数の壁面材により形成されており、
前記複数の壁面材には、前記第1壁部の壁面を形成する前記第1壁面材と、前記第2壁部の壁面を形成する前記第2壁面材とが含まれており、
前記第1壁部と前記第2壁部との境界部には、それら第1壁面材及び第2壁面材の間に形成された縦目地が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の建物の屋根構造。
【請求項6】
前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記建物の外壁部の上に設けられており、
前記建物の外周面を形成する前記第1壁面材及び前記第2壁面材は、前記第1壁部及び前記第2壁部の各壁面に加えて、前記外壁部の外壁面を形成する外壁面材であることを特徴とする請求項に記載の建物の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、屋根部が陸屋根とされ、陸屋根の周縁にパラペット等の起立壁が設けられている場合がある。起立壁の上端には笠木が設けられ、雨水が壁内に浸入するのを防止している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−311820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、屋根のバリエーションは豊富であり、例えば、建物本体の上に、陸屋根に加えてその陸屋根から斜め下方に向けて延びている傾斜屋根が設けられる場合もある。しかしながら、陸屋根と傾斜屋根との境界部、特に周縁部分において防水性を確保するための処理は複雑なものとなり、作業負担が大きい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、陸屋根部と傾斜屋根部とが組み合わされた屋根について、防水処理を行う際の作業負担を低減することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
第1の発明の建物の屋根構造は、陸屋根部(陸屋根部13a)と傾斜屋根部(傾斜屋根部13b)とが隣接して配置された建物の屋根構造において、前記陸屋根部の周縁部のうち前記傾斜屋根部との境界部まで延びるようにして設けられた第1壁部(陸側本体部47)と、前記傾斜屋根部の周縁部のうち前記陸屋根部との境界部から傾斜方向に延びるようにして設けられた第2壁部(傾斜側本体部48)と、前記第1壁部と前記第2壁部との境界部を上方から覆う笠木部(笠木44)と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、陸屋根部の第1壁部に加え、傾斜屋根部にも第2壁部を設けることにより、陸屋根部と傾斜屋根部との境界部を笠木部によって覆うことができる。そのため、境界部からの雨水の浸入を容易に防止することができる。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記建物は、建物ユニット(建物ユニット20)を複数組み合わせて構築されたユニット式建物であり、前記複数の建物ユニットには、前記第1壁部を有する第1ユニット(横並びユニット20B)と、該第1ユニットに横並びに隣り合い且つ前記第2壁部を有する第2ユニット(跨ぎユニット20A)とが含まれており、前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部が、平面視で前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部に交差するように又は該境界部に沿って延びるように配置されている。
【0010】
ユニット式建物については、建物ユニットを用いることにより工業化を実現できるが、建物ユニット同士の境界部に対する防水処理は建築現場で行わざるを得ないため、この防水処理が複雑な作業であるほど防水性が低下することが懸念される。
【0011】
これに対して、第2の発明によれば、建物の外周面においては、第1壁部と第2壁部との境界部が第1ユニットと第2ユニットとの境界部に重なっているため、これら境界部に対しては第1壁部及び第2壁部に笠木部を取り付けるという容易な作業により、防水処理を施すことができる。したがって、笠木部により、陸屋根部と傾斜屋根部との境界部からの雨水の浸入に加えて、第1ユニットと第2ユニットとの境界部からの雨水の浸入を容易に防止することができる。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記第1壁部は、互いに対向する一対の第1壁面材(第1パネル32aの外側パラペット面材62、内側パラペット面材63)と、前記一対の第1壁面材の間に設けられ且つ該第1壁面材が取り付けられた第1壁下地(陸側フレーム部65a)とを有しており、前記第2壁部は、互いに対向する一対の第2壁面材(第2パネル32bの外側パラペット面材62、内側パラペット面材63)と、前記一対の第2壁面材の間に設けられ且つ該第2壁面材が取り付けられた第2壁下地(傾斜側フレーム部65b)とを有しており、前記第1壁下地と前記第2壁下地とを連結する連結下地(連結フレーム部65c)が、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの境界部を跨いだ状態で設けられている。
【0013】
第3の発明によれば、第1壁下地と第2壁下地とを連結している連結下地が、第1ユニットと第2ユニットとに掛け渡されているため、第1壁下地と第2壁下地とを強固に接続することができる。この場合、第1壁面材に対する第2壁面材の相対的な移動が連結下地により阻止されるため、第1壁部と第2壁部との境界部において防水性が低下することを抑制できる。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、前記第1ユニットと前記第2ユニットとは、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部を跨いだ状態でそれぞれのユニット躯体(ユニット躯体31)の上面に重ねられた連結プレート(連結プレート39)により連結されており、前記連結下地は、前記連結プレートの上に設けられ、該連結プレートの上面に固定されている。
【0015】
第4の発明によれば、連結下地が連結プレートに固定されているため、これら連結下地と連結プレートとを一体化して例えば連結ユニットを製作しておくことが可能となる。この場合、連結ユニットを用いて建物ユニット同士の連結作業を行うことが、連結下地を建物ユニット同士の境界部を跨ぐ位置に配置することになるため、連結プレートと連結下地とを別々に取り付ける場合に比べて、第1壁部及び第2壁部の構築作業を容易化できる。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第1ユニットが前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨ぐ位置に配置され、前記第2ユニットが前記陸屋根部側において該陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨がない位置に配置されていることで、これら第1ユニットと第2ユニットとの境界部が平面視で前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部に交差するように配置されており、前記連結プレートは、前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨がない位置において、前記陸屋根部において前記第1ユニットと前記第2ユニットとに掛け渡されている。
【0017】
第5の発明によれば、第2ユニットに対して第1ユニットが陸屋根部側にオフセットした位置に配置されているため、陸屋根部側においては、第1ユニットと第2ユニットの各ユニット躯体の上面同士を面一に配置できる。したがって、これら上面に連結プレートを容易に掛け渡すことができる。この場合、例えば、隣り合う建物ユニットの柱同士を連結するドッキングプレートを連結プレートとしてそのまま使用することが可能であるため、コスト負担を低減できる。
【0018】
第6の発明では、第5の発明において、前記連結下地は、前記第2ユニット側において前記連結プレートの上に立設された脚部(脚部71)と、前記脚部の上端部から前記第1ユニット側に向けて延び、前記第2ユニットと前記第1ユニットとの境界部を跨いだ状態で前記第1壁下地に接続された腕部(腕部72)と、を有しており、前記一対の第1壁面材のうち前記第1壁下地の内側に設けられた内側第1壁面材(第2パネル32bの外側パラペット面材62)は、前記第2ユニットと前記第1ユニットとの境界部を跨いだ状態で前記脚部及び前記腕部の両方に対して固定されており、前記一対の第2壁面材のうち前記第2壁下地の内側に設けられた内側第2壁面材(第1パネル32aの外側パラペット面材62)は、前記陸屋根部と前記傾斜屋根部との境界部を跨いだ状態で前記脚部に対して固定されている。
【0019】
第6の発明によれば、連結ユニットにより、第2ユニットと第1ユニットとを連結すること、及び第1壁下地と第2壁下地とを連結することに加えて、屋根のコーナー部分において内側第1壁面材及び内側第2壁面材の取付下地を形成することが可能となる。したがって、第1壁部及び第2壁部の構築に際して建築現場での作業工数を更に低減することができる。
【0020】
第7の発明では、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記第1壁部と前記第2壁部とは、それぞれの上端部が互いに接続されている。
【0021】
第7の発明によれば、陸屋根部と傾斜屋根部との境界部において、第1壁部の上端面と第2壁部の上端面との間に段差が形成されていないため、例えば第1壁部と第2壁部との間に段差が生じている構成に比べて、第1壁部と第2壁部との境界部を壁幅方向に跨いだ状態で笠木を設置することが容易になる。
【0022】
なお、第1壁部の上端面と前記第2壁部の上端面とが同一平面を形成していることが好ましい。この構成によれば、笠木において第1壁部と第2壁部との境界部に重なる部分を、上下方向に折り曲がった形状にする必要がないため、汎用品を笠木として使用することができる。したがって、笠木の設置に関してコスト負担を低減できる。
【0023】
第8の発明では、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記建物の外周面は、横並びに設けられた複数の壁面材(外壁面材36)により形成されており、前記複数の壁面材には、前記第1壁部の壁面を形成する第1壁面材(第1パネル32aの外壁面材36)と、前記第2壁部の壁面を形成する第2壁面材(第2パネル32bの外壁面材36)とが含まれており、前記第1壁部と前記第2壁部との境界部には、前記第1壁面材と前記第2壁面材との間に形成された縦目地(入隅目地19a、中間目地19b)が設けられている。
【0024】
隣り合う壁面材の間に縦目地が形成されている構成では、縦目地の上端面に対する防水処理が複雑になることや、その防水処理が熟練性を必要とするものになることが懸念される。
【0025】
これに対して、第8の発明によれば、笠木部を設置するという容易な作業により、縦目地の上端面に対して防水処理を施すことができる。したがって、縦目地からの雨水の浸入を容易に防止することができる。
【0026】
第9の発明では、第8の発明において、前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記建物の外壁部(外壁部16)の上に設けられており、前記第1壁面材及び前記第2壁面材は、前記第1壁部及び前記第2壁部の各壁面に加えて、前記外壁部の外壁面を形成する外壁面材である。
【0027】
第9の発明によれば、第1壁面材及び第2壁面材が外壁部と屋根との境界部を上下に跨いだ状態で設けられているため、縦目地には、外壁部と屋根とに掛け渡すようにガスケット等の防水部材を取り付けることができる。この場合、防水部材を用いることで外壁部と屋根とで縦目地に対する防水処理をまとめて施すことができるため、笠木部による防水性が外壁部の上端にも付与されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】建物の概略構成を示す図
図2】第2ユニット及び横並びユニットの構成を示す斜視図
図3】パラペットの入隅部分周辺においての内部構造を示す斜視図
図4】パラペットの入隅部分周辺の横断面図
図5】陸屋根部と傾斜屋根部との境界部周辺の斜視図
図6】パラペット周辺の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の屋根構造を、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てのユニット式建物において具体化している。まず、ユニット式建物の構成について、図1図2を参照しつつ説明する。図1は建物10の概略構成を示す図、図2は跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bの構成を示す斜視図である。なお、図1においては、(a)に建物10の斜視図を示し、(b)に傾斜屋根部13b周辺の分解斜視図を示し、(c)に傾斜屋根部13b周辺の斜視図を示す。
【0030】
図1(a)に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上に設けられた屋根13とを有している。建物本体12は、一階部分14及び二階部分15を有している。また、建物本体12の外周面は外壁部16により形成されている。
【0031】
建物10は、側方に向けて張り出した張出部17を有している。張出部17は、基礎11から上方に向けて延びた状態で一階部分14、二階部分15及び屋根13のそれぞれを構成している。張出部17は、平面視において建物10の一側面が部分的に張り出したものであり、別の見方をすれば、建物10の一側面が屋内側に向けて部分的に凹むことで張出部17が形成されているとも言える。この場合、凹んだ部分により入隅部分17aが形成されており、入隅部分17aは、張出部17の幅方向において張出部17の両端側のうち一端側にだけ設けられ、他端側には設けられていない。
【0032】
建物10の外周面には、入隅部分17aにおいて互いに交差している第1側面18a及び第2側面18bと、張出部17を挟んで入隅部分17aとは反対側に配置された第3側面18c(図5(b)参照)とが含まれている。第2側面18b及び第3側面18cは、張出部17の張り出し方向に延びており、第1側面18aは、その張り出し方向に交差する方向に延び且つ第2側面18bに接続されている。第3側面18cは、張出部17の張り出し方向においてその張出部17の付け根部分を壁幅方向に跨いだ状態になっている。
【0033】
入隅部分17aにおいて、第1側面18aと第2側面18bとの境界部には、上下方向に延びた入隅目地19aが形成されている。第3側面18cにおいて、壁幅方向の中間位置には、上下方向に延びた中間目地19b(図5(b)参照)が形成されている。入隅目地19a及び中間目地19bは、いずれも張出部17の付け根部分に設けられており、その張出部17の幅方向に沿って横並びに配置されている。
【0034】
屋根13は、陸屋根を形成している陸屋根部13aと、その陸屋根部13aから斜め下方に向けて延びていることで傾斜屋根を形成している傾斜屋根部13bと、建物本体12の外周面に沿って延びているパラペット13cとを有している。陸屋根部13a及び傾斜屋根部13bの各上面は屋根面を形成しており、陸屋根部13aの屋根面は所定の水勾配を有し、傾斜屋根部13bの屋根面は陸屋根部13aの水勾配より大きい傾斜角度を有している。
【0035】
張出部17の上には、傾斜屋根部13bが設けられている一方で、陸屋根部13aは設けられておらず、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部は、張出部17の付け根部分に沿って延びている。傾斜屋根部13bは、張出部17の張り出し方向において陸屋根部13aから斜め下方に向けて延びている。この場合、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部は、入隅目地19aと中間目地19bとの並び方向に沿って延びていることになる。
【0036】
パラペット13cは、外壁部16の上方位置に設けられており、屋根13の周縁部に沿って延びていることで外壁部16と共に建物10の外周面を形成している。パラペット13cは、屋根13の周縁部の全てに配置されているわけではなく、屋根13の周縁部のうち、陸屋根部13aの周縁部に含まれる部分に配置されている一方で、傾斜屋根部13bの周縁部に含まれる部分にはその一部にだけ配置されている。傾斜屋根部13bにおいては、傾斜している傾斜辺の上端側にだけパラペット13cが配置されており、その傾斜辺の中央部分や下端側にはパラペット13cが配置されていない。
【0037】
屋根13においては、パラペット13cが陸屋根部13aの上方空間を四方から囲んだ状態になっている一方で、その上方空間が傾斜屋根部13b(張出部17)側に向けて開放された状態になっている。この場合、屋根13の周縁部に沿って延びているパラペット13cは2つの端部を有しており、これら端部はいずれも張出部17に含まれ、張出部17の幅方向に沿って並べられている。パラペット13cにおいて、張出部17の付け根部分を跨いだ位置には、その外周面に入隅目地19a及び中間目地19bが形成されている。パラペット13cにおいては、張出部17の張り出しに合わせて折れ曲がったコーナー部分を有しており、そのコーナー部分の入隅側に入隅目地19aが設けられている。
【0038】
建物10は、複数の建物ユニット20が組み合わされることで構築されており、建物本体12は、一階部分14及び二階部分15のそれぞれにおいて複数の建物ユニット20を有している。各建物ユニット20は、全体として直方体状に形成されている。
【0039】
図1(a)〜(c)に示すように、二階部分15に配置された各建物ユニット20には、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部を跨いだ状態で設けられた跨ぎユニット20Aと、その境界線が延びる方向において跨ぎユニット20Aに横並びに設けられた横並びユニット20Bとが含まれている。横並びユニット20Bは、陸屋根部13a側において、この陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部を跨がない位置に配置されている。横並びユニット20Bが第1ユニットに相当し、跨ぎユニット20Aが第2ユニットに相当する。
【0040】
跨ぎユニット20Aは、上面の一部が傾斜しているカットユニットとされている。跨ぎユニット20Aにおいては、上面が水平方向に延びている水平部分30aと、上面が水平方向に対して傾斜している傾斜部分30bとが、跨ぎユニット20Aの短手方向に横並びに配置されている。この場合、水平部分30aが陸屋根部13aを形成し、傾斜部分30bが傾斜屋根部13bを形成している。
【0041】
建物10においては、横並びユニット20Bが跨ぎユニット20Aに対して陸屋根部13a側にオフセットした位置に配置されており、跨ぎユニット20Aの傾斜部分30bが、横並びユニット20Bより側方に突出していることで張出部17を形成している。また、横並びユニット20Bの長辺部の側面と跨ぎユニット20Aの短辺部の側面とが交差した部分により入隅部分17aが形成されている。
【0042】
横並びユニット20Bにおいては、その長手寸法が跨ぎユニット20Aの長手寸法と同じにされている一方で、その短手寸法が跨ぎユニット20Aの水平部分30aの短手寸法と同じにされている。この場合、横並びユニット20Bの短手寸法が跨ぎユニット20Aの短手寸法の1/2とされており、横並びユニット20Bをハーフユニットと称することができる。
【0043】
図2に示すように、横並びユニット20Bは、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
【0044】
横並びユニット20Bにおいて長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。なお、天井小梁25によって天井面材が支持され、床小梁26によって床面材が支持されている。
【0045】
横並びユニット20Bにおいては、柱21、天井大梁22及び床大梁23により形成された骨格がユニット躯体31とされており、このユニット躯体31が建物躯体を構成している。
【0046】
跨ぎユニット20Aは、基本的に横並びユニット20Bと同じ構成とされているが、ユニット躯体31の構成などが横並びユニット20Bとは異なっている。ここでは、跨ぎユニット20Aについて、横並びユニット20Bとの相違点を中心に説明する。
【0047】
跨ぎユニット20Aにおいては、短手方向に延びる一対の天井大梁22が、水平部分30aに含まれる水平梁部22aと、傾斜部分30bに含まれる傾斜梁部22bとを有している。水平梁部22aは陸屋根部13aに沿って延びており、傾斜梁部22bは傾斜屋根部13bに沿って延びている。水平梁部22a及び傾斜梁部22bは、いずれも断面コ字状の溝形鋼により形成されており、水平梁部22aの一端に傾斜梁部22bの上端が接続されている。水平梁部22aと傾斜梁部22bとは、張出部17の付け根部分において接続されている。
【0048】
なお、跨ぎユニット20Aにおいて短手方向に隣り合う柱21のうち、傾斜梁部22bが接続された柱21は、水平梁部22aが接続された柱21より高さ寸法が小さくされている。また、長手方向に延びる一対の天井大梁22のうち、傾斜梁部22b側に配置された方の天井大梁22は、水平梁部22a側に配置された方の天井大梁22より低い位置に配置されている。
【0049】
跨ぎユニット20Aは、短手方向に延びる一対の天井大梁22の中間位置に接続された中間梁24を有している。中間梁24は、断面コ字状の溝形鋼により形成されており、張出部17の幅方向に延びている。中間梁24は、張出部17に含まれた位置において、一対の天井大梁22の水平梁部22aの端部同士を連結している。
【0050】
跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bは、短辺部同士が平行に延びる向きで配置されており、横並びユニット20Bは、跨ぎユニット20Aの水平梁部22a(水平部分30a)に対向している。この場合、横並びユニット20Bにおいて短手方向に隣り合う柱21のうち一方の柱21は、跨ぎユニット20Aの柱21に隣接している一方で、他方の柱21は、跨ぎユニット20Aの水平梁部22aに隣接している。
【0051】
次に、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部周辺の構成について、図1図6を参照しつつ説明する。図3はパラペット13cの入隅部分17a周辺において屋根13の内部構造を示す斜視図、図4はパラペット13cの入隅部分17a周辺の横断面図、図5は陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部周辺の斜視図、図6はパラペット13c周辺の縦断面図である。なお、図3には、パラペット13cを陸屋根部13a側から見た図を示しており、屋根防水シート41や内側パラペット面材63などの図示を省略している。図5においては、(a)に入隅目地19aを示し、(b)に中間目地19bを示す。図6においては、(a)に図4のA−A線断面図として陸側フレーム部65a周辺の縦断面図を示し、(b)に図4のB−B線断面図として連結フレーム部65c周辺の縦断面図を示す。
【0052】
図3に示すように、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bは、ユニット躯体31に加えて、そのユニット躯体31に取り付けられた外壁パネル32及び屋根パネル33をそれぞれ有している。
【0053】
外壁パネル32は、建物10において壁幅方向に沿って横並びに複数設けられており、ユニット躯体31の外周側に配置されている。外壁パネル32は、ユニット躯体31に取り付けられた外壁下地35と、外壁下地35に取り付けられた外壁面材36とを有している。外壁面材36は、サイディングボード等の外装材により形成されている。跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bを含む二階部分15の建物ユニット20においては、外壁パネル32がユニット躯体31より上方に突出しており、その突出した部分がパラペット13cに含まれ、その突出部分より下の部分が外壁部16に含まれている。
【0054】
屋根パネル33は、複数の天井大梁22に掛け渡された状態でユニット躯体31の上に設けられている。ただし、屋根パネル33の角部には、内側に向けて凹んだ凹部33aが設けられており、その凹部33aにより、柱21の上には屋根パネル33が存在しないようになっている。特に、跨ぎユニット20Aにおいては、屋根パネル33が水平梁部22aと中間梁24とに掛け渡された部分を有しており、その部分にも凹部33aが形成されている。この場合、凹部33aにより、水平梁部22aに固定されたスペーサ部材39aの上に屋根パネル33が存在しないようになっている。
【0055】
なお、図3での図示は省略しているが、屋根パネル33は、傾斜梁部22bと中間梁24とに掛け渡された部分も有している。
【0056】
屋根パネル33は、ユニット躯体31の上に設けられた野地板37と、野地板37の上に設けられた屋根断熱部38とを有している(図6参照)。野地板37は、木材により形成されており、スペーサ等を挟んでユニット躯体31の上に載せられている。屋根断熱部38は、ウレタンフォーム等の発泡系断熱材により板状に形成されており、野地板37の上面に重ねられている。
【0057】
跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとは、連結プレート39を介してユニット躯体31同士で連結されている。連結プレート39は、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bの柱21同士を連結可能なドッキングプレートとされており、跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとの境界部に沿って延びるドッキングラインDL(図4参照)を跨いだ状態で、これらユニット20A,20Bの各ユニット躯体31の上面に固定されている。
【0058】
横並びユニット20Bの柱21と跨ぎユニット20Aの水平梁部22aとが隣接している部分においては、これら柱21と水平梁部22aとが連結プレート39により連結されている。連結プレート39は、柱21の上端面と水平梁部22aの上面とのそれぞれに重ねられた状態で、それら柱21及び水平梁部22aにボルト等により固定されている。ここで、水平梁部22aの上面は、柱21の上端面より僅かに低い位置に配置されている。このため、連結プレート39は板状のスペーサ部材39aを介して水平梁部22aの上に載せられている。スペーサ部材39aは、水平梁部22aの上面に重ねられた状態で溶接等により水平梁部22aに固定されており、その上面が柱21の上端面と同じ高さに配置されている。
【0059】
なお、横並びユニット20Bと跨ぎユニット20Aとで柱21同士が隣接している部分においては、連結プレート39が、各柱21の上端面に重ねられた状態で柱21のそれぞれにボルト等で固定されていることで、これら柱21を連結している。
【0060】
図4図6に示すように、パラペット13cは、そのパラペット13cの側面を形成するパラペット本体43と、パラペット本体43の上端面を覆っている笠木部としての笠木44とを有している。笠木44は、壁幅方向に沿って延びており、パラペット本体43に取り付けられた笠木ホルダ45により支持されている。笠木ホルダ45は、パラペット本体43の上端面に載せられた状態で、その上端面に対してビス等により固定されている。
【0061】
笠木44は、断面コ字状に形成されており、下方に向けて開放された溝部を有している。笠木44は、その溝部内にパラペット本体43の上端部を入り込ませた状態で設けられており、パラペット13cの壁厚み方向において、笠木44の溝部の幅寸法はパラペット本体43の厚み方向より大きくされている。ここで、笠木44は、パラペット本体43の上端面に沿って延びている上面部44aと、上面部44aから下方に向けて延びている一対の側面部44bとを有しており、側面部44bは、壁厚み方向においてパラペット本体43の側面から離間した位置に配置されている。
【0062】
パラペット本体43は、陸屋根部13aの周縁部に沿って延びている陸側本体部47と、傾斜屋根部13bの周縁部に沿って延びている傾斜側本体部48とを有している。傾斜側本体部48は、パラペット13cの両端部のそれぞれに配置されており、陸側本体部47は、パラペット13cの中間位置に配置されている。各傾斜側本体部48は、陸側本体部47から傾斜屋根部13bの延出方向(張出部17の張り出し方向)に沿って側方に向けて延びており、その延出寸法は、傾斜屋根部13bの延出寸法の1/2より小さくされている。陸側本体部47と傾斜側本体部48との境界部は、張出部17の付け根部分に沿って延びている。
【0063】
パラペット本体43において陸側本体部47と傾斜側本体部48との境界部を示すパラペット境界線Xには、張出部17の付け根部分や、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部が重なっている。
【0064】
図5(a)に示すように、各傾斜側本体部48のうち一方の傾斜側本体部48と陸側本体部47との境界部には、入隅目地19aが形成されており、この傾斜側本体部48は、陸側本体部47の側面から張出部17の張り出し方向に延びていることで、パラペット本体43のコーナー部分を形成している。入隅部分17aにおいては、傾斜側本体部48の外側面が第2側面18bに含まれており、陸側本体部47の外側面が第1側面18aに含まれている。
【0065】
入隅部分17aについて、第1側面18a及び第2側面18bは、外壁部16及びパラペット本体43により形成されており、入隅目地19aは、外壁部16に形成された外壁入隅目地51と、パラペット13cに形成されたパラペット入隅目地52とを有している。パラペット入隅目地52は、外壁入隅目地51から上方に向けて延びており、笠木44の溝部内に下方から入り込んだ状態になっている。なお、入隅目地19aが縦目地に相当する。
【0066】
建物10において、横並びに配置された複数の外壁パネル32には、第1側面18aを形成する第1パネル32aと、第2側面18bを形成する第2パネル32bとが含まれている。第1パネル32aと第2パネル32bとは互いに接続されており、これらパネル32a,32bの間の隙間が入隅目地19aとされている。第1パネル32a及び第2パネル32bは、外壁部16及びパラペット13cの両方に含まれ、外壁面及びパラペット壁面の両方を形成している。なお、横並びユニット20Bが第1パネル32aを有しており、跨ぎユニット20Aが第2パネル32bを有している。
【0067】
図3図4に示すように、入隅部分17aにおいては、横並びユニット20Bの第1パネル32aがドッキングラインDLを跨がない状態で設けられていることに起因して、第1パネル32aの外壁面材36の側端面が、跨ぎユニット20Aの第2パネル32bの屋外側面に対向しており、それらの面の間の隙間が入隅目地19aとされている。入隅目地19aには、防水部材としてのガスケット53が設けられている。ガスケット53は、合成樹脂材料やゴム材料等により長尺状に形成されており、入隅目地19aにおいて第1パネル32a及び第2パネル32bの各外壁面材36に密着した状態で設けられている。ガスケット53は、そのガスケット53を長手方向に貫通する長孔を有しており、それによって、外壁面材36の板面や端面に密着しやすい構成になっている。
【0068】
図5(b)に示すように、張出部17を挟んで入隅部分17aとは反対側において、傾斜側本体部48と陸側本体部47との境界部には、中間目地19bが形成されており、この傾斜側本体部48は、陸側本体部47の端面から張出部17の張り出し方向に延びていることで、パラペット本体43のストレート部分を形成している。張出部17を挟んで入隅部分17aの反対側においては、陸側本体部47及び傾斜側本体部48の各外側面が第3側面18cに含まれている。
【0069】
張出部17を挟んで入隅部分17aとは反対側について、第3側面18cは、第1側面18a及び第2側面18bと同様に、外壁部16及びパラペット本体43により形成されており、中間目地19bは、外壁部16に形成された外壁中間目地55と、パラペット13cに形成されたパラペット中間目地56とを有している。パラペット中間目地56は、外壁中間目地55から上方に向けて延びており、笠木44の溝部内に下方から入り込んだ状態になっている。なお、中間目地19bが縦目地に相当する。
【0070】
建物10において、横並びに配置された複数の外壁パネル32には、第3側面18cを形成する2つの第3パネル32cが含まれている。各第3パネル32cは互いに接続されており、これら第3パネル32cの間の隙間が中間目地19bとされている。第3パネル32cは、外壁部16及びパラペット13cの両方に含まれ、外壁面及びパラペット壁面の両方を形成している。各第3パネル32cは、いずれも跨ぎユニット20Aに含まれている。
【0071】
張出部17を挟んで入隅部分17aとは反対側においては、隣り合う第3パネル32cの外壁面材36の側端面同士が対向しており、それら側端面の間の隙間が中間目地19bとされている。中間目地19bには、入隅目地19aと同様に、ガスケット53が設けられている。
【0072】
第1パネル32a〜第3パネル32cは、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bにおいて、いずれも天井大梁22と床大梁23とに掛け渡されており、これら大梁22,23の屋外側面に重ねられた状態でビス等により固定されている。第1パネル32a〜第3パネル32cの各外壁下地35は、いずれも枠状の外壁フレームとされており、外壁下地35は、壁高さ方向に延びている縦フレーム材58と、縦フレーム材58の上端部に接続されている横フレーム材59とを有している。縦フレーム材58及び横フレーム材59は、いずれも軽量溝形鋼により形成されており、接続金具や溶接等により互いに接続されている。縦フレーム材58は、その溝部を隣の縦フレーム材58に向けて設けられており、横フレーム材59は、その溝部を下方に向けて設けられている。
【0073】
第2パネル32b及び第3パネル32cには、傾斜屋根部13bの傾斜角度やパラペット13cの傾斜側本体部48の位置に合わせて、上端部が下方に向けて凹んだ凹み部が形成されている。これにより、第2パネル32b及び第3パネル32cにおいては、外壁面材36の上端部が傾斜屋根部13bの「けらば」及びパラペット13cの傾斜側本体部48の上端部に沿って延びている。また、第2パネル32b及び第3パネル32cにおいては、外壁部16より上方に突出した部分(傾斜側本体部48に含まれる部分)の幅寸法が、外壁部16に含まれる部分の幅寸法より小さくされている。
【0074】
この場合、パラペット本体43の側端部(傾斜側本体部48においてパラペット境界線Xとは反対側の側端部)が、第2パネル32bや第3パネル32cの幅方向の中間位置から上方に向けて延びた状態になっており、この側端部に上下に重なる位置には外壁部16及びパラペット13cのいずれにおいても目地が形成されていない。このように、複数の外壁面材36を横並びに張ることで形成される目地が、パラペット本体43の側端部に上下に連続しない位置に形成されていることで、パラペット本体43の側端部に上下に重なる位置において外壁部16の目地の上端部に対して行う防水処理が煩雑になるということを回避できる。
【0075】
跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bにおいては、壁厚み方向において、天井大梁22及び床大梁23の各屋外側面が、柱21の屋外側面より屋内側に配置されている。このため、第1パネル32a〜第3パネル32cの外壁下地35は、天井大梁22及び床大梁23の各屋外側面に重ねられていることで、隣り合う柱21の間に配置されている。外壁下地35においては、横フレーム材59が天井大梁22より高い位置に配置されており、縦フレーム材58が天井大梁22の屋外側面に当接した状態でその天井大梁22に固定されている。この場合、縦フレーム材58は、壁厚み方向において柱21の屋外側面より屋外側に突出していることで、柱21の屋外側面を壁厚み方向に跨いだ状態になっている。
【0076】
なお、天井大梁22が上梁に相当し、床大梁23が下梁に相当する。
【0077】
図6に示すように、パラペット本体43は、ユニット躯体31(建物躯体)に対して固定されたパラペット下地61と、そのパラペット下地61を挟んで対向している一対のパラペット面材62,63と、これらパラペット下地61及びパラペット面材62,63を上方から覆っているパラペット防水シート64とを有している。パラペット面材62,63は、いずれもパラペット13cの壁面を形成する外装材とされている。
【0078】
一対のパラペット面材62,63のうち、パラペット下地61の外側(建物10の外周側)に設けられた外側パラペット面材62は、外壁面材36におけるユニット躯体31(外壁部16)より上方に突出した部分であり、陸屋根部13a側に設けられた内側パラペット面材63は、鋼材に耐水皮膜が付与された防水板とされている。内側パラペット面材63は、パラペット下地61の側面を形成している部分に加えて、屋根防水シート41の下側に入り込んだ状態で屋根パネル33の上面に重ねられた部分を有している。この場合、内側パラペット面材63は、屋根パネル33とパラペット下地61とに掛け渡された状態で設けられており、それによって、屋根パネル33とパラペット下地61との境界部からの雨水等の浸入が抑制される。
【0079】
パラペット防水シート64は、パラペット下地61及びパラペット面材62,63を壁厚み方向に跨いだ状態で、外側パラペット面材62の仕上面と内側パラペット面材63の仕上面とに重ねられている。この場合、パラペット防水シート64がパラペット本体43の上端面を形成しており、笠木ホルダ45はパラペット防水シート64の上に載せられている。
【0080】
パラペット下地61は、壁幅方向に沿って横並びに設けられた複数のフレーム部65と、それらフレーム部65と内側パラペット面材63との間に設けられた下地板66とを有している。下地板66は合板により形成されており、隣り合うフレーム部65に掛け渡された状態で、それらフレーム部65のそれぞれに対してビス等により固定されている。内側パラペット面材63は、陸屋根部13a側から下地板66に重ねられており、その下地板66に対してビス等により固定されている。
【0081】
図3図4に示すように、張出部17の入隅部分17a側において、パラペット本体43の複数のフレーム部65には、陸側本体部47に含まれた陸側フレーム部65aと、傾斜側本体部48に含まれた傾斜側フレーム部65bと、これら陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとを連結する連結フレーム部65cとが含まれている。陸側フレーム部65aは、第1パネル32aの外壁下地35が外壁部16(ユニット躯体31)より上方に突出した部分であり、傾斜側フレーム部65bは、第1パネル32aの外壁下地35が外壁部16より上方に突出した部分である。
【0082】
なお、陸側本体部47が第1壁部に相当し、傾斜側本体部48が第2壁部に相当する。また、陸側フレーム部65aが第1壁下地に相当し、傾斜側フレーム部65bが第2壁下地に相当し、連結フレーム部65cが連結下地に相当する。陸側本体部47においては、第1パネル32aの外側パラペット面材62と内側パラペット面材63とが一対の第1壁面材に相当し、特に内側パラペット面材63が内側第1壁面材に相当する。傾斜側本体部48においては、第2パネル32bの外側パラペット面材62と内側パラペット面材63とが一対の第2壁面材に相当し、特に内側パラペット面材63が内側第2壁面材に相当する。
【0083】
連結フレーム部65cは、跨ぎユニット20Aと横並びユニット20BとのドッキングラインDLを跨いだ状態で、それらユニット20A,20Bの各ユニット躯体31の上に設けられている。この場合、連結フレーム部65cは、パラペット境界線Xが延びる方向において陸側フレーム部65aに横並びに配置され、且つドッキングラインDLが延びる方向において傾斜側フレーム部65bに横並びに配置されている。
【0084】
連結フレーム部65cは、連結プレート39の上に設けられており、その連結プレート39の上面に対して固定されている。この場合、連結フレーム部65cと連結プレート39とが一体的にユニット化されていることで、連結ユニット68が形成されている。このため、連結ユニット68の取り付け作業を行うことで、連結プレート39を用いて跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとを連結する作業と、連結フレーム部65cを跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bの各ユニット躯体31に対して固定する作業の両方を行うことになる。
【0085】
連結フレーム部65cは、連結プレート39の上に立設された脚部71と、その脚部71から陸側フレーム部65aに向けて延びている腕部72とを有しており、全体として略L字状に形成されている。脚部71及び腕部72は、いずれも軽量溝形鋼により形成されており、接続金具や溶接等により互いに接続されている。脚部71は、溝部を陸側フレーム部65a側に向けて設けられ、腕部72は、溝部を下方に向けて設けられている。脚部71は、跨ぎユニット20Aの水平梁部22aの上方に配置されていることで、ドッキングラインDLの跨ぎユニット20A側においてパラペット境界線Xの陸屋根部13a側に配置されている。腕部72は、パラペット境界線Xの陸屋根部13a側に配置され、ドッキングラインDLを跨いだ状態になっている。
【0086】
連結フレーム部65cにおいては、腕部72の先端部が陸側フレーム部65aの横フレーム材59及び縦フレーム材58に接続されている。また、脚部71及び腕部72の側面部が傾斜側フレーム部65bの横フレーム材59及び縦フレーム材58に接続されている。
【0087】
第1パネル32aにおいては、第1側面18aを形成する外壁面材36が陸側フレーム部65aと連結フレーム部65cとに掛け渡された状態で設けられており、この外壁面材36は、陸側フレーム部65a及び連結フレーム部65cの両方にビス等により固定されている。この場合、ドッキングラインDLが延びる方向において、連結フレーム部65cの厚み寸法は、陸側フレーム部65aの厚み寸法と同じにされており、連結フレーム部65cには外壁面材36(外側パラペット面材62)及び内側パラペット面材63の両方がビス等により固定されている。具体的には、連結フレーム部65cにおいて、腕部72には外側パラペット面材62及び内側パラペット面材63が固定されている一方で、脚部71には、内側パラペット面材63が固定されている。
【0088】
なお、陸側フレーム部65aに固定された内側パラペット面材63は、連結フレーム部65cと陸側フレーム部65aとの境界部を跨いだ状態で設けられており、連結フレーム部65cにもビス等により固定されている。また、傾斜側フレーム部65bに固定された内側パラペット面材63は、連結フレーム部65cと傾斜側フレーム部65bとの境界部を跨いだ状態で設けられており、連結フレーム部65cにもビス等により固定されている。
【0089】
連結フレーム部65cの腕部72の上面、及び傾斜側フレーム部65bの横フレーム材59の上面は、陸側フレーム部65aの横フレーム材59の上面と同じ高さ位置に配置されており、これら上面はいずれも水平方向に延びている。この場合、パラペット本体43において、陸側本体部47の上端面と傾斜側本体部48の上端面とが同一平面を形成しているため、これら上端面と笠木44との離間距離が同じになる。このため、陸側本体部47と傾斜側本体部48とで仕様の異なる笠木ホルダ45を使い分けなくても、これら陸側本体部47及び傾斜側本体部48に対して同一の仕様の笠木ホルダ45を用いることで、笠木44を陸側本体部47及び傾斜側本体部48のそれぞれに固定することが可能になる。
【0090】
張出部17を挟んで入隅部分17aとは反対側においては、入隅部分17a側と同様に、複数のフレーム部65に陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとが含まれている一方で、連結フレーム部65cは含まれておらず、陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとが連結フレーム部65cを介さずに直接的に接続されている。陸側フレーム部65a及び傾斜側フレーム部65bは、いずれも第3パネル32cの外壁下地35が外壁部16より上方に突出した部分である。
【0091】
また、中間目地19b側においても、傾斜側フレーム部65bの横フレーム材59の上面は、陸側フレーム部65aの横フレーム材59の上面と同じ高さ位置に配置されており、これら上面はいずれも水平方向に延びている。この場合、入隅目地19a側と同様に、中間目地19bの上端部を覆う笠木44を、同一の仕様の笠木ホルダ45を介して陸側本体部47の上端面及び傾斜側本体部48の上端面のそれぞれに固定することが可能となる。
【0092】
次に、建物10の構築手順について説明する。まず、工場において建物ユニット20を製造する工程を行う。この工程では、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bのそれぞれについて、ユニット躯体31に外壁パネル32及び屋根パネル33を工場にて取り付ける。この場合、外壁パネル32を取り付けることで、第1パネル32a〜第3パネル32cも取り付けることになる。ここで、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bにおいては、連結フレーム部65cや屋根防水シート41などが取り付けられていないことで、柱21の上端部が上方に露出した状態になっている。なお、跨ぎユニット20Aについては、水平梁部22aの上にスペーサ部材39aを取り付けておく。また、跨ぎユニット20Aにおいては、ユニット躯体31に外壁パネル32を取り付けることで中間目地19bを形成することになり、その中間目地19bにはガスケット53を押し込んで取り付けておく。
【0093】
その後、外壁パネル32及び屋根パネル33が取り付けられた状態の跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bを工場から建築現場に運搬する。跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bを建築現場に運搬した後、それらユニット20A,20Bをクレーン等の重機を用いて吊り上げることで、一階部分14の建物ユニット20の上に設置する工程を行う。ここで、横並びユニット20Bの柱21の上端部には、横並びユニット20Bを吊り上げる際に吊り上げ具のフック等を引っ掛けるための引っ掛け孔が設けられている。この引っ掛け孔は、柱21の上端面において、連結ユニット68が設置される位置に設けられており、屋根13が構築された状態では、連結ユニット68の連結プレート39により上方から覆われている。
【0094】
跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bを一階部分14の上に設置した後、連結ユニット68の連結プレート39を跨ぎユニット20Aのスペーサ部材39aと横並びユニット20Bの柱21とに固定することで、これら跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとを連結する。そして、連結ユニット68の連結フレーム部65cを、跨ぎユニット20Aの第2パネル32bの傾斜側フレーム部65bと横並びユニット20Bの第1パネル32aの陸側フレーム部65aとのそれぞれに接続する。その後、入隅目地19aにガスケット53を押し込んで取り付ける。
【0095】
なお、別の連結プレート39を用いて、これらユニット20A,20Bの柱21同士も連結する。
【0096】
その後、連結フレーム部65c、陸側フレーム部65a及び傾斜側フレーム部65bに、下地板66や内側パラペット面材63、パラペット防水シート64などを取り付けることでパラペット下地61を構築し、そのパラペット下地61に笠木ホルダ45や笠木44を取り付けることでパラペット13cを構築する。これにより、工場であらかじめ形成した中間目地19bに加えて、建築現場で形成した入隅部分17aの上端部を笠木44で上方から覆うことができる。
【0097】
また、屋根パネル33の上に屋根防水シート41を敷設することで陸屋根部13aを構築する。
【0098】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0099】
陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部を跨がない状態で外壁面材36(外側パラペット面材62)が配置されているため、パラペット13cにおいて陸側本体部47と傾斜側本体部48とを異なる工程で製作することが可能になる。このため、横並びユニット20Bに設置された陸側本体部47と、跨ぎユニット20Aに設置された傾斜側本体部48とが接続されたパラペット本体43を構築する場合に、ユニット躯体31に対する外壁面材36の取り付け作業を横並びユニット20Bと跨ぎユニット20Aとで別々に行うことができる。したがって、外壁部16及びパラペット13cを構築する際の施工手順に関して自由度を高めることができ、その結果、建築現場での作業負担を低減することが可能となる。
【0100】
パラペット本体43が陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部を跨いだ状態で設けられているため、外壁入隅目地51や外壁中間目地55の上方にパラペット入隅目地52やパラペット中間目地56を配置することができる。したがって、パラペット入隅目地52の上端部やパラペット中間目地56の上端部を笠木44で覆うことにより、外壁入隅目地51の上端部や外壁中間目地55の上端部に防水性を付与することができる。
【0101】
例えば、パラペット本体43が傾斜屋根部13b側に設けられていない構成では、外壁入隅目地51の上端部や外壁中間目地55の上端部が陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部において上方に露出することになる。この場合、ガスケット53の長孔が上方に向けて開放された状態になるため、ガスケット53の長孔を塞ぐ処理を外壁入隅目地51や外壁中間目地55の上端部に対して施すという専用の防水処理を行う必要が生じ、屋根13に対する防水処理の作業負担が増加してしまう。これに対して、本実施形態では、屋根13に対する防水処理を行う際の作業負担を低減できる。
【0102】
外壁面材36が外壁部16及びパラペット13cの両方に含まれているため、2つの外壁面材36を横並びに取り付けるという容易な作業により、外壁入隅目地51の上にパラペット入隅目地52を形成することや、外壁中間目地55の上にパラペット中間目地56を形成することができる。
【0103】
パラペット13cが外壁入隅目地51を跨いだ状態で設けられているため、入隅部分17aにおいて第1パネル32a及び第2パネル32bを設置するという必須の作業により、外壁入隅目地51の上方にパラペット入隅目地52を形成することができる。
【0104】
入隅目地19aは、跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとの境界部に配置されているため、外壁入隅目地51に対するパラペット入隅目地52の位置合わせなど特別な作業を行わなくても、跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bを設置するというユニット式建物を構築するために必須の作業により、外壁入隅目地51の上にパラペット入隅目地52を配置することができる。
【0105】
連結フレーム部65cにより陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとが連結されているため、陸側フレーム部65a及び傾斜側フレーム部65bに固定された各外側パラペット面材62が相対的に移動することを抑制できる。このため、入隅目地19aや中間目地19bにおいて、外壁面材36とガスケット53との密着性が低下するということを抑制できる。
【0106】
連結ユニット68においては、連結フレーム部65cと連結プレート39とが一体化されているため、跨ぎユニット20Aと横並びユニット20Bとの連結作業、及び陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとの連結作業、建物躯体に対する連結フレーム部65cの固定作業について、作業工数を低減できる。しかも、連結プレート39を跨ぎユニット20A及び横並びユニット20Bの各ユニット躯体31に固定することで、連結フレーム部65cの位置合わせを行うことができる。
【0107】
跨ぎユニット20Aにおいて、連結プレート39が水平梁部22aの上に重ねられているため、例えば傾斜梁部22bの上に重ねられた構成とは異なり、連結プレート39やスペーサ部材39aを傾斜梁部22bの傾斜角度に合わせて特殊な形状に加工するという必要がない。このため、連結ユニット68において連結プレート39と連結フレーム部65cとが一体化されていても、連結プレート39が特殊な形状になっている構成に比べて、連結プレート39の固定に際して連結フレーム部65cが支障になることを抑制できる。
【0108】
パラペット13cにおいては、連結フレーム部65cに内側パラペット面材63が固定されているため、連結フレーム部65cとは別に専用の下地を構築する構成に比べて、内側パラペット面材63の固定作業を容易化できる。
【0109】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0110】
(1)上記実施形態では、第2パネル32bの傾斜側フレーム部65bと第1パネル32aの陸側フレーム部65aとが連結フレーム部65cを介して連結されていたが、これら傾斜側フレーム部65bと陸側フレーム部65aとは、2つの第3パネル32cが隣り合う部分(中間目地19b)のように、連結フレーム部65cを介さずに直接的に連結されていてもよい。この場合でも、第1パネル32aの外壁面材36と第2パネル32bの外壁面材36との間には入隅目地19aが形成されることになる。
【0111】
また、2つの第3パネル32cが隣り合う部分においても、第1パネル32aと第2パネル32bとが隣り合う部分(入隅目地19a)のように、陸側フレーム部65aと傾斜側フレーム部65bとが連結フレーム部65cにより連結されていてもよい。
【0112】
(2)上記実施形態では、パラペット本体43において、傾斜側本体部48の上面と陸側本体部47の上面とが同一平面上に配置されていたが、傾斜側本体部48の上面は、陸側本体部47の上面とは異なる高さ位置に配置されていてもよく、陸側本体部47の上面に対して傾斜していてもよい。この場合でも、笠木44が傾斜側本体部48と陸側本体部47とに掛け渡されていることで、入隅目地19aや中間目地19bの上端部が笠木44の溝部内に入り込んだ構成を実現できる。
【0113】
(3)上記実施形態では、複数の建物ユニット20に、水平部分30a及び傾斜部分30bの両方を有する跨ぎユニット20Aを含まれていたが、跨ぎユニット20Aは含まれていなくてもよい。例えば、隣り合う建物ユニット20のうち、一方が傾斜部分30bを有する傾斜ユニットとされ、これら建物ユニット20の境界部が陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの境界部にされた構成とする。この構成では、ドッキングラインDLをパラペット境界線Xとが一致することになり、中間目地19bが隣り合う建物ユニット20の境界部に配置されることになる。また、この構成では、陸屋根部13aと傾斜屋根部13bとの並び方向において、傾斜ユニットの隣に配置された建物ユニット20のユニット躯体31の上に連結フレーム部65cが設置されることになる。
【0114】
(4)上記実施形態では、隣り合う2つの建物ユニット20(跨ぎユニット20A及び横並びユニット20B)により入隅部分17aが形成されていたが、入隅部分17aは、1つの建物ユニット20において形成されていてもよい。この場合、1つの建物ユニット20が、第1パネル32a及び第2パネル32bの両方を有していることになる。
【0115】
(5)上記実施形態では、陸側フレーム部65a及び傾斜側フレーム部65bが外壁パネル32の外壁下地35により形成されていたが、これら陸側フレーム部65aや傾斜側フレーム部65bは、外壁パネル32の外壁下地35とは別の独立したフレーム部として設けられていてもよい。この構成としては、陸側フレーム部65aや傾斜側フレーム部65bが外壁パネル32の外壁下地35の上方位置に設けられた構成や、陸側フレーム部65aや傾斜側フレーム部65bがユニット躯体31(天井大梁22や柱21)の上に設置された構成が挙げられる。
【0116】
(6)上記実施形態では、外壁部16に含まれる外壁面材36が外側パラペット面材62を形成していたが、外側パラペット面材62は、外壁面材36とは異なる外装材により形成されていてもよい。つまり、建物10の外周面が、外壁部16とパラペット13cとで別々の壁面材により形成されていてもよい。例えば、外壁部16とパラペット13cとの境界部に、壁幅方向に延びる横目地が形成された構成とする。この構成でも、外壁入隅目地51や外壁中間目地55からパラペット入隅目地52やパラペット中間目地56が上方に延びていれば、パラペット入隅目地52及びパラペット中間目地56の上端部を覆う笠木44により、外壁入隅目地51や外壁中間目地55の各上端部にも防水性を付与できる。
【0117】
(7)上記実施形態では、第1パネル32aの外側パラペット面材62が連結フレーム部65cに固定されていたが、連結フレーム部65cには、第1パネル32aの外側パラペット面材62とは別の外側パラペット面材が取り付けられていてもよい。この場合でも、連結フレーム部65cに取り付けられた外側パラペット面材62と第2パネル32bの外側パラペット面材62との境界部に入隅目地19aが形成されることになる。
【0118】
(8)本実施形態では、第1壁部としての陸側本体部47と、第2壁部としての傾斜側本体部48とを含んでパラペット13cが構成されていたが、これら陸側本体部47と傾斜側本体部48とを含んで屋根13や屋上の手摺壁や腰壁が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10…建物、12…建物本体、13…屋根、13a…陸屋根部、13b…傾斜屋根部、16…外壁部、17a…入隅部分、19a…縦目地としての入隅目地、20…建物ユニット、20A…第2ユニットとしての跨ぎユニット、20B…第1ユニットとしての横並びユニット、31…ユニット躯体、36…壁面材としての外壁面材、39…連結プレート、44…笠木部としての笠木、47…第1壁部としての陸側本体部、48…第2壁部としての傾斜側本体部、63…内側第1壁面材及び内側第2壁面材としての内側パラペット面材、65a…第1壁下地としての陸側フレーム部、65b…第2壁下地としての傾斜側フレーム部、65c…連結下地としての連結フレーム部、71…脚部、72…腕部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6