(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
===本実施の形態に係る建具10について===
本実施の形態に係る建具10について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、建具10の正面模式図である。
図2は、下部ヒンジ装置42の斜視模式図である。
【0017】
なお、以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具10を室外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。
【0018】
建具10は、ドア枠20とドア30(扉に相当)とを有している。
【0019】
ドア枠20は、上枠22と下枠24と左右の(二つの)縦枠26とを備えている。そして、ドア枠20は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口を形成している。上枠22と下枠24は、左右方向に延びた長尺状の部材であり、縦枠26は、上下方向に延びた長尺状の部材である。
【0020】
ドア30は、前記開口を閉塞するようにドア枠20に取り付けられており、ドア枠20に対して開閉可能となっている(つまり、ドア枠20に開閉可能に支持されている)。すなわち、ドア枠20の吊元側には、支軸50によってドア30を吊込むためのヒンジ装置40が設けられており、ドア30は、当該支軸50を中心として開閉可能(換言すれば、回転可能)となっている。
【0021】
具体的には、当該ヒンジ装置40として、所謂ピボットヒンジタイプの下方ヒンジ装置42及び上方ヒンジ装置44とが設けられている。
【0022】
下方ヒンジ装置42は、
図2に示すように、下枠24とドア30の下端部との間に位置しており、下枠24側に設けられ、上下方向に沿った支軸50(下部ヒンジ装置42の支軸50を、以下において、下部支軸52と呼ぶ)と、ドア30の下端部側に設けられた支軸受け60(下部ヒンジ装置42の支軸受け60を、以下において、下部支軸受け62と呼ぶ)を備えている。そして、下部支軸受け62は、回転可能な状態で、下部支軸52に係合している。換言すれば、下部支軸受け62に設けられた保持孔に下部支軸52が差し込まれた状態、下部支軸受け62が回転できるようになっている。
【0023】
また、詳細については次項において説明するが、上部ヒンジ装置44は、ドア30の上端部と上枠22との間に位置しており、ドア30の上端部側に設けられ、上下方向に沿った支軸50(上部ヒンジ装置44の支軸50を、以下において、上部支軸54と呼ぶ)と、上枠22側に設けられた支軸受け60(上部ヒンジ装置44の支軸受け60を、以下において、上部支軸受け64と呼ぶ)を備えている。そして、上部支軸54は、回転可能な状態で、上部支軸受け64に係合している。換言すれば、上部支軸54は、上部支軸受け64に設けられた後述する保持孔71bに、回転自在に保持されている。
【0024】
そして、下部支軸52の上下方向における延長線上に上部支軸54が位置しており、上部支軸54が上部支軸受け64に対して、また、下部支軸受け62が下部支軸52に対して回転する。そして、上部支軸54及び下部支軸受け62と一体的にドア30が回転(開閉)する。なお、ドア30の戸先側、かつ、室外側及び室内側には、取っ手32が設けられており、行為者が当該取っ手32を把持してドア30の開閉を容易に行えるようになっている。
【0025】
===上部ヒンジ装置44について===
次に、上部ヒンジ装置44についてさらに、詳しく説明する。本項では、先ず、本実施の形態に係る上部ヒンジ装置44の構成について説明する。
【0026】
また、本実施の形態においては、ドア枠20に対してドア30を吊込む(建て込む)吊込み作業が作業者によって実行される際に、前記上部支軸54が前記上部支軸受け64に係合され、上部ヒンジ装置44が最終的な形態(完成された形態)となる。つまり、当該吊込み作業が実行される間に、上部ヒンジ装置44の形態が変化することとなる。そのため、本項では、上部ヒンジ装置44の構成説明に引き続いて、当該吊込み作業を説明しながら上部ヒンジ装置44の当該形態変化について述べる。
【0027】
<本実施の形態に係る上部ヒンジ装置44の構成について>
ここでは、本実施の形態に係る上部ヒンジ装置44の構成について、
図3乃至
図7を用いて説明する。
図3は、上部ヒンジ装置44を示した図である。
図4は、ヒンジブラケット70の斜視図である。
図5は、固定金具82の斜視図である。
図6は、ヒンジブラケット70に固定金具82が取り付けられた様子を示した図である。
図7は、ヒンジブラケット70にヒンジカバー86が取り付けられた様子を示した図である。
【0028】
なお、
図3には、吊込み作業が完了した後の上部ヒンジ装置44、すなわち、上部ヒンジ装置44の最終的な形態(以下、吊込み作業が完了した後の当該最終的な形態を、便宜上、完成形態と呼ぶ)が示されている。しかしながら、
図3においては、図を見やすくするために、固定金具82とヒンジカバー86の記載を省略している。その代わりに、
図6に固定金具82が取り付けられている様子を、
図7にヒンジカバー86が取り付けられている様子を、それぞれ示している。
【0029】
なお、
図3の左図は、上部ヒンジ装置44を下方から見たときの(見上げたときの)図であり、右図は、上部ヒンジ装置44を吊元側から見たときの図である。また、
図6の上図は、固定金具82をヒンジブラケット70に取り付ける前の状態を、
図6の下図は、固定金具82をヒンジブラケット70に取り付けた後の状態を、それぞれ示した図である。また、
図5には、
図6の固定金具82を裏返した状態が示されている。
【0030】
前述したとおり、上部ヒンジ装置44は、上部支軸54と、上部支軸受け64と、を備えている。
【0031】
上部支軸54は、
図3に示すように、円柱形状の部材であり、ドア30に設けられている。すなわち、上部支軸54は、ドア30の上下方向における上端部(つまり、上端面30a)、かつ、ドア30の左右方向における吊元側の端部に、当該上部支軸54の軸方向(換言すれば、長手方向)が上端面30aの面外方向に沿うように固定されている。なお、前記完成形態において、当該上部支軸54の軸方向は、上下方向に沿っている。
【0032】
そして、当該上部支軸54は、上部支軸受け64のヒンジブラケット70に設けられた後述する保持孔71b内に保持され、当該保持孔71b内でヒンジブラケット70に対し回転することができるようになっている。
【0033】
上部支軸受け64は、ヒンジブラケット70と、中心軸の一例としての仮固定ビス80と、保持手段の一例としての固定金具82と、ヒンジカバー86と、を備えている。
【0034】
ヒンジブラケット70は、
図4に示すように、薄板状の金具部材であり、
図3に示すように、上枠22に設けられている。当該ヒンジブラケット70には、互いに機能が異なる三つの平面(便宜上、第一平面71乃至第三平面73と呼ぶ)と、これらの平面を繋ぐ三つの側面(便宜上、第一側面74乃至第三側面76と呼ぶ)と、が備えられている。なお、三つの側面は、ヒンジブラケット70の外周に位置しているので、外周面と呼ぶこともできる。
【0035】
第一平面71は、主として、上部支軸54の保持機能を備える面である。第一平面71は、
図4に示すように、該第一平面71の面外方向が第二平面72や第三平面73の面外方向に沿うように、形成されている(換言すれば、第一平面71は、第二平面72や第三平面73と平行になるように形成されている)が、第二平面72と第三平面73が同面に形成されているのに対し、第一平面71は第二平面72や第三平面73とは同面に形成されていない。そのため、第二平面72と第三平面73は、前記完成形態において、上枠22の下端面22aに接触するのに対し、第一平面71は、下端面22aに接触せず当該下端面22aよりも下方に位置している。
【0036】
また、第一平面71は、ヒンジブラケット70の長手方向において、第三平面73と隣接している。第一平面71と第三平面73との間には、第一側面74が、第一平面71(第三平面73)と交差するように設けられており、当該第一側面74が第一平面71と第三平面73とを繋げている。なお、第二側面75及び第三側面76は、第一平面71の短手方向における両端に位置しており、第一平面71を、第一側面74を介して第三平面73に繋げる役割を果たしている。
【0037】
そして、前記完成形態において、ヒンジブラケット70は、その長手方向が左右方向(吊元側から戸先側へ向かう方向)に沿うように、上枠22に設けられており、第一平面71は、第三平面73よりも吊元側に位置している。また、第一平面71の左右方向における位置は、第二平面72の左右方向における位置と重なっており、かつ、前述したとおり、第一平面71は、第二平面72よりも下方に位置している。
【0038】
第一平面71には、外周面(具体的には、第一側面74)に開口した挿入口71aと、当該挿入口71aに連通する保持孔71bと、が設けられている。
【0039】
挿入口71aは、第一平面71の長手方向における一端71cから後述する保持孔71bまでの間に当該長手方向に沿って設けられており、吊込み作業が実行される際に上部支軸54を保持孔71bまで案内する役割を果たす(
図11参照)。
【0040】
つまり、第一側面74には、開口74aが設けられ、この開口74aが一端71cで挿入口71aと繋がっている。そして、挿入口71aの開口74aとは反対側には保持孔71bが位置している。したがって、当該開口74aから挿入口71aへ挿入された上部支軸54は、挿入口71aによって案内されてスムーズに保持孔71bへ導かれるようになっている。この開口74aの入り口は挿入口71aの幅より広幅にテーパー状に形成されて、上部支軸54を挿入口71aへ導きやすくなっている。
【0041】
保持孔71bは、その内部に上部支軸54を保持するための円形状の穴である。この保持孔71bは、
図4に示すように、第一平面71の長手方向において、中央よりも第三平面73からやや遠い側に設けられている。つまり、
図3に示すように、前記完成形態において、保持孔71bは、左右方向において、第一平面71の長手方向における中央よりもやや吊元側に設けられている。
【0042】
図3の右図に示すように、保持孔71b内に上部支軸54が入った状態で、上部支軸54の先端は、上枠22の下端面22aや前述した第二平面72と接触しておらず、当該先端は第一平面71と下端面22a(第二平面72)の略中央に位置している。また、第一平面71も、ドア30の上端面30aに接触していない。
【0043】
第二平面72は、主として、ヒンジブラケット70の仮固定機能と回転機能を備える面であり、その面積は、第一平面71や第三平面73の面積よりもかなり小さくなっている。第二平面72は、
図4に示すように、該第二平面72の面外方向が第一平面71や第三平面73の面外方向に沿うように、形成されている(換言すれば、第二平面72は、第一平面71や第三平面73と平行になるように形成されている)が、第三平面73とは同面に形成されているのに対し、第一平面71とは同面に形成されていない。そのため、第二平面72は、第三平面73と共に、前記完成形態において、上枠22の下端面22aに接触する。
【0044】
そして、第二平面72は、前記完成形態において、第一平面71の真上に位置している。なお、第二平面72と第一平面71は、双方の面に交差するように設けられた第三側面76により繋がれている。
【0045】
第二平面72の中央には、ビス穴が設けられている。このビス穴には、仮固定ビス80が挿入されている(以下、当該ビス穴を仮固定ビス穴72aと呼ぶ)。尚、第二平面72は
図4では小面積の折り曲げ片であるが、仮固定ビス穴72aの位置が変わらなければ大面積の折り曲げ片としてもよい。
【0046】
この仮固定ビス80は、ヒンジブラケット70を上枠22の下端面22aに仮固定する役割を果たす。すなわち、詳細については「吊込み作業」の項で説明するが、吊込み作業の開始時には、この仮固定ビス80によりヒンジブラケット70が固定された状態となっているが、当該吊込み作業の過程で、ヒンジブラケット70を回転させるために(後述)、当該仮固定ビス80が緩められる。そして、前記完成形態においては、当該仮固定ビス80は緩められたままであり、ヒンジブラケット70の上枠22に対する固定は、別のビス(後述する本固定ビス88)により行われる。つまり、この仮固定ビス80は、ドア30を吊込む前の上枠22にヒンジブラケット70を予め付けておく役割を果たす。
【0047】
また、この仮固定ビス80は、別の役割、すなわち、ヒンジブラケット70を回転可能とする中心軸の役割も果たす。つまり、この仮固定ビス80が緩められると、ヒンジブラケット70は、仮固定ビス80を中心に(仮固定ビス80を中心軸として)、回転することができるようになる。そして、詳細については「吊込み作業」の項で説明するが、上部支軸54を保持孔71b内に保持するために挿入口71aへ挿入する際には(挿入する前には)、ヒンジブラケット70を回転させることにより、当該挿入口71a(つまり、当該挿入口71aの長手方向)が上枠22の面内方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面内方向)に位置する状態(
図8参照)から当該挿入口71aが上枠22の面外方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面外方向)に位置する状態(
図9参照)へ、ヒンジブラケット70を移行させる。このように、挿入口71aが上枠22の面内方向と面外方向に位置するようにヒンジブラケット70を回転可能とする中心軸(すなわち、仮固定ビス80)がヒンジブラケット70に設けられていることとなる。
【0048】
また、ヒンジブラケット70の長手方向における仮固定ビス穴72aの位置は、当該長手方向における保持孔71bの位置と一致し、また、ヒンジブラケット70の幅方向における仮固定ビス穴72aの位置は、当該幅方向における保持孔71bの位置と一致している。したがって、ヒンジブラケット70が上枠22に取り付けられている状態で、当該保持孔71bの上下方向における延長線上に仮固定ビス穴72aが位置することとなる。すなわち、保持孔71bの真上に仮固定ビス穴72aが位置する。
【0049】
そのため、仮固定ビス80は、平面視において保持孔71b内に位置し、保持孔71bに保持された上部支軸54の真上に位置することとなる。つまり、仮固定ビス80は、上部支軸54の上下方向における延長線上に位置することとなる。したがって、仮固定ビス80は、保持孔71b内に位置し、ドア枠20の吊元側にドア30を吊込んで保持したときの上部支軸54と、回転中心が一致している。
【0050】
第三平面73は、主として、ヒンジブラケット70の本固定機能を備える面である。第三平面73は、
図4に示すように、該第三平面73の面外方向が第一平面71や第二平面72の面外方向に沿うように、形成されている(換言すれば、第三平面73は、第一平面71や第二平面72と平行になるように形成されている)が、第二平面72とは同面に形成されているのに対し、第一平面71とは同面に形成されていない。そのため、
図3に示すように、第三平面73は、第二平面72と共に、前記完成形態において、上枠22の下端面22aに接触する。そして、前記完成形態において、第三平面73は、第一平面71や第二平面72よりも戸先側に位置している。
【0051】
第三平面73には、合計で7つのビス穴(第一本固定ビス穴73a、第二本固定ビス穴73b、第三本固定ビス穴73c)が設けられており、いずれも本固定用のビス穴である。第一本固定ビス穴73aは、
図4に示すように、ヒンジブラケット70の幅方向における両端部に設けられた4つのビス穴であり、第二本固定ビス穴73bは、当該幅方向における中央部に設けられ、かつ、長手方向において第一平面71に近い側に設けられた2つのビス穴であり、第三本固定ビス穴73cは、当該幅方向における中央部に設けられ、かつ、長手方向において第一平面71から遠い側に設けられた一つのビス穴である。
【0052】
第一本固定ビス穴73aは、ヒンジブラケット70を上枠22の下端面22aに本固定するためのものであり、本固定ビス88が当該第一本固定ビス穴73aに挿入されるようになっている。そして、前記完成形態においては、
図3に示すように、第一本固定ビス穴73aに挿入された本固定ビス88により、ヒンジブラケット70が上枠22に本固定されている。なお、第二本固定ビス穴73bと第三本固定ビス穴73cについては、後述する。
【0053】
固定金具82は、保持孔71bに上部支軸54を保持するための薄板状の部材である。すなわち、固定金具82は、上部支軸54が保持孔71bから抜けないようにする役割を果たす。この固定金具82は、
図5に示すように、第一平面83及び第二平面84と双方の平面を繋ぐ側面85を有している。
【0054】
固定金具82は、
図6に示すように、ヒンジブラケット70に被さるように(ヒンジブラケット70を下側から覆うように)設けられている。そして、第一平面83がヒンジブラケット70の第三平面73に接触した状態で、本固定ビス88によりヒンジブラケット70に固定されている。具体的には、第一平面83には、二つの本固定ビス穴83aが設けられており、本固定ビス88は、当該本固定ビス穴83aとヒンジブラケット70の前記第二本固定ビス穴73bを貫通している。そして、本固定ビス88により、固定金具82がヒンジブラケット70に固定されると同時に、固定金具82とヒンジブラケット70が上枠22に固定される。
【0055】
また、
図6に示すように、第二平面84は、ヒンジブラケット70の第一平面71に接触した状態で、上部支軸54を保持孔71bに保持している。すなわち、保持孔71b内に位置する上部支軸54については、その周囲が固定金具82の第二平面84とヒンジブラケット70の第一平面71とで囲まれ、上部支軸54は保持孔71bから抜けられないようになっている。つまり、固定金具82は、ヒンジブラケット70と協働して、上部支軸54を保持孔71bに保持する役割を果たしている。なお、上部支軸54が固定金具82及びヒンジブラケット70に囲まれた状態において、上部支軸54とこれらの部材との間には隙間を有する。そのため、上部支軸54は、かかる状態においても、軸回りに回転できるようになっている。
【0056】
ヒンジカバー86は、ヒンジブラケット70及び固定金具82をカバーするためのもので金属または樹脂製である。ヒンジカバー86は、
図7に示すように、ヒンジブラケット70及び固定金具82に被さるように(ヒンジブラケット70及び固定金具82を下側から覆うように)設けられている。
【0057】
ヒンジカバー86は、本固定ビス88によりヒンジブラケット70に固定されている。具体的には、ヒンジカバー86には、一つの本固定ビス穴86aが設けられており、本固定ビス88は、当該本固定ビス穴86aとヒンジブラケット70の前記第三本固定ビス穴73cを貫通している。そして、本固定ビス88により、ヒンジカバー86がヒンジブラケット70に固定されると同時に、ヒンジカバー86とヒンジブラケット70が上枠22に固定される。なお、ヒンジカバー86には、上部支軸54との干渉を避けるために、切り欠き86bが設けられている。
【0058】
<本実施の形態に係る吊込み作業について>
次に、本実施の形態に係る吊込み作業の手順について、
図8乃至
図12を用いて説明する。
図8は、吊込み作業が開始されるときの上部支軸受け64の様子を示した図である。
図9は、回転手順が実行されるときの上部支軸受け64の様子を示した図である。
図10は、下方差し込み手順が実行されるときの下部支軸52及び下部支軸受け62の様子を示した図である。
図11は、上方挿入手順が実行されるときの上部支軸54及び上部支軸受け64の様子を示した図である。
図12は、逆回転手順及び本固定手順が実行されるときの上部支軸54及び上部支軸受け64の様子を示した図である。
【0059】
図8に示すように、吊込み作業が開始される際に(開始される前に)、上部支軸受け64は上枠22に取り付けられている。具体的には、上部支軸受け64のうちのヒンジブラケット70のみが取り付けられ、固定金具82とヒンジカバー86は取り付けられていない。また、ヒンジブラケット70は、前述したとおり、仮固定ビス80により固定されている(仮固定ビス80は締められている)。なお、
図8に示すように、ヒンジブラケット70は、挿入口71a(つまり、挿入口71aの長手方向)が上枠22の面内方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面内方向)に位置する状態で、固定されている。つまり、ヒンジブラケット70は、その長手方向が左右方向(吊元側から戸先側へ向かう方向)に沿う状態、すなわち、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出さない状態(上枠22に収まった状態)で、固定されている。
【0060】
作業者は吊込み作業を以下の手順から開始する。すなわち、先ず、作業者は、
図9に示すように、仮固定ビス80を緩めて、ヒンジブラケット70を回転させる(便宜上、回転手順と呼ぶ)。すなわち、作業者は、ヒンジブラケット70を約90度回転させることにより、挿入口71a(つまり、当該挿入口71aの長手方向)が上枠22の面内方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面内方向)に位置する状態から当該挿入口71aが上枠22の面外方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面外方向)に位置する状態へ、ヒンジブラケット70を移行させる。つまり、作業者は、ヒンジブラケット70を、その長手方向が左右方向に沿う状態(すなわち、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出さない状態)から、その長手方向が見込み方向に沿う状態(すなわち、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出した状態)へ移行させる。このことにより、挿入口71aの長手方向(換言すれば、ドア30の挿入方向(
図11参照))が見込み方向に沿うようになる。
【0061】
回転手順が終了すると、作業者は、
図10に示すように、室外側に立ってドア30を持ち(抱えて)、下枠24に設けられた下部支軸52に、ドア30の下端部に設けられた下部支軸受け62を係合させる。つまり、作業者は、下部支軸52に下部支軸受け62の保持孔を差し込む(便宜上、下方差し込み手順と呼ぶ)。
【0062】
下方差し込み手順が終了すると、作業者は、
図11に示すように、上部支軸54を、挿入口71aに挿入し、最終的に、保持孔71bに保持させる。すなわち、作業者がヒンジブラケット70を回転させた後には、挿入口71aの入口(つまり、開口74a)が、室外側に立っている作業者に正対している。そのため、作業者は、見込み方向における室外側から室内側に向かって、上部支軸54を当該開口74aに近づける。
【0063】
そして、作業者は、上部支軸54を、開口74aから挿入口71aに挿入する。作業者が挿入口71aへの挿入を継続すると、上部支軸54は、挿入口71aに案内されながら挿入口71a内を移動し、やがて保持孔71bに到達する(便宜上、上方挿入手順と呼ぶ)。
【0064】
上方挿入手順が終了すると、作業者は、
図12に示すように、ヒンジブラケット70を逆回転させて、元の位置へ戻す(便宜上、逆回転手順と呼ぶ)。すなわち、作業者は、ヒンジブラケット70を約90度逆回転させることにより、挿入口71a(つまり、当該挿入口71aの長手方向)が上枠22の面外方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面外方向)に位置する状態から、当該挿入口71aが上枠22の面内方向(つまり、上枠22の見付け面22bの面内方向)に位置する状態へ、ヒンジブラケット70を移行させる。つまり、作業者は、ヒンジブラケット70を、その長手方向が見込み方向に沿う状態(すなわち、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出した状態)から、その長手方向が左右方向に沿う状態(すなわち、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出さない状態)へ移行させる。このことにより、ヒンジブラケット70は、上枠22の見付け面22bから手前側(室外側)へはみ出さず上枠22に収まった状態となる。なお、この逆回転手順においては、仮固定ビス80が既に緩んだ状態となっているので、仮固定ビス80を緩める操作を再度行うことはない。
【0065】
逆回転手順が終了すると、作業者は、
図12に示すように、ヒンジブラケット70を上枠22に本固定ビス88により本固定する。さらに、
図6に示すように、固定金具82をヒンジブラケット70に被さるように取り付けて、固定金具82をヒンジブラケット70(上枠22)に本固定ビス88により本固定する。さらに、
図7に示すように、ヒンジカバー86をヒンジブラケット70及び固定金具82に被さるように取り付けて、ヒンジカバー86をヒンジブラケット70(上枠22)に本固定ビス88により本固定する(便宜上、本固定手順と呼ぶ)。
【0066】
そして、このように、本固定手順が行われると、吊込み作業が完了する。なお、上述したとおり、当該本固定手順においては、本固定ビス88が締められるが、仮固定ビス80は吊込み作業が完了しても緩んだままである。
【0067】
===本実施の形態に係るヒンジ装置40の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係るヒンジ装置は、ドア枠20の吊元側に支軸50によってドア30を吊込むためのヒンジ装置40である。そして、ドア枠20の上枠22に設けられ、外周面に開口した挿入口71aと該挿入口71aに連通する保持孔71bを備えるヒンジブラケット70と、保持孔71bに支軸50(上方支軸54)を保持するための固定金具82と、を有し、ヒンジブラケット70には、挿入口71aが上枠22の面内方向と面外方向に位置するようにヒンジブラケット70を回転可能とする中心軸(仮固定ビス80)が、設けられている。そのため、建具10の品質低下を抑制することが可能となる。
【0068】
すなわち、上述したとおり、従来、作業者が、ドア枠の吊元側に支軸によってドアを吊込む際に、当該ドア(支軸やドア本体)がドア枠に接触してドア枠やドアに傷が付く場合があった。
【0069】
具体的には、以下の事例があった。すなわち、従来、ヒンジブラケットは、特許文献1に示したような状態で上枠に固定されており、回転不能であった。そして、作業者が、下方支軸と下方支軸受けが係合した状態でドアを吊込む際には、
図13に示すように、上方支軸を挿入口へ挿入させるために、上方支軸を戸先側から吊元側へ上枠の下端面に沿って動かさなければならなかった(横滑りさせなければならなかった)。そして、かかる場合には、上方支軸と上枠が擦れて上方支軸や上枠に傷が付く場合があった。また、上枠に気密材が設けられている場合には、上方支軸(やドア本体)と気密材が干渉し、気密材が切れる場合があった。そのため、干渉箇所の養生が必要となる場合があった。そして、これらの場合には、建具の品質低下を招くこととなっていた。
【0070】
また、作業者が、吊込み作業を行う際には、ドア枠(の開口)に正対することとなる(例えば、室外側に立ってドア枠に正対した状態で作業を行うこととなる)が、ヒンジブラケットが特許文献1に示したような状態で上枠に固定されている場合には、挿入口の入口が作業者に正対しておらず、当該挿入口の入口が見えにくい状態となっていた。そのため、吊込み作業が困難となっていた。
【0071】
これに対し、本実施の形態に係るヒンジ装置40には、挿入口71aが上枠22の面内方向と面外方向に位置するようにヒンジブラケット70を回転可能とする中心軸(仮固定ビス80)が備えられているため、作業者が中心軸(仮固定ビス80)を中心にヒンジブラケット70を回転させて、挿入口71aが上枠22の面内方向へ位置する状態(
図8の状態)から挿入口71aが上枠22の面外方向へ位置する状態(
図9の状態)へと移行させることができる。
【0072】
そのため、作業者が、下部支軸52と下部支軸受け62が係合した状態でドア30を吊込む際には、上部支軸54を挿入口71aへ挿入させるために、上部支軸54を戸先側から吊元側へ動かす必要はない。すなわち、作業者がヒンジブラケット70を回転させて
図9の状態へ移行させれば、挿入口71aの長手方向が見込み方向に沿うようになるので、
図11に示したように、上部支軸54を見込み方向へ動かすことによって挿入口71aへ挿入させることができる。そのために、前述した傷が付く問題や気密材との干渉の問題が解消され、建具10の品質低下を抑制することが可能となる。
【0073】
また、ヒンジブラケット70が
図9に示したような状態となっている場合には、挿入口71aの入口(つまり、開口74a)が、室外側に立っている作業者に正対している。そのため、挿入口71aの入口が見え易くなり、吊込み作業を簡便に行うことが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態において、中心軸(仮固定ビス80)は、保持孔71b内に位置し、ドア枠20の吊元側にドア30を吊込んで保持したときの支軸50(上部支軸54)と回転中心が一致していることとした。つまり、上部支軸54が正規位置である保持孔71b内に保持された際に(または、ドア30が吊込まれた際に)、ヒンジブラケット70が回転するときの回転軸とドア30(換言すれば、上部支軸54)が回転するときの回転軸が一致していることとした。
【0075】
仮に、保持孔71b内に上部支軸54が保持された状態(つまり、正規位置に上部支軸54が位置する状態)で、上部支軸54が回転するときの回転軸が、ヒンジブラケット70が回転するときの回転軸からずれている場合には、前述した逆回転手順(
図12)で作業者がヒンジブラケット70を逆回転させる際に、逆回転するヒンジブラケット70からの力が上部支軸54(ドア30)にかかり上部支軸54(ドア30)が動くことになる。
【0076】
これに対し、本実施の形態においては、保持孔71b内に上部支軸54が保持された状態(つまり、正規位置に上部支軸54が位置する状態)で、ヒンジブラケット70が回転するときの回転軸とドア30(換言すれば、上部支軸54)が回転するときの回転軸が一致しているため、逆回転手順(
図12)で作業者がヒンジブラケット70を逆回転させる際に、ドア30を動かさずヒンジブラケット70だけを逆回転させることができる。そのため、吊込み作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態においては、正規位置に上部支軸54が位置する状態でヒンジブラケット70が回転するときの回転軸とドア30(換言すれば、上部支軸54)が回転するときの回転軸が一致するようにしたため、非正規位置に上部支軸54が位置する場合(例えば、挿入した上部支軸54が保持孔71bまで至っておらず、挿入口71aに留まっている場合)には、ヒンジブラケット70が回転するときの回転軸とドア30(換言すれば、上部支軸54)が回転するときの回転軸とがずれることとなる。そのため、かかる場合には、逆回転手順(
図12)で作業者がヒンジブラケット70を逆回転させる際に、逆回転するヒンジブラケット70からの力が上部支軸54(ドア30)にかかり上部支軸54(ドア30)が動くことになる。したがって、作業者がヒンジブラケット70を操作する際に重い感覚を受け取る(重く感じる)こととなり、作業者は、上部支軸54が正規位置に位置していないことを知ることができる。このように、本実施の形態によれば、上部支軸54が保持孔71b内(正規位置)に適切に位置したか否かを判別することも可能となる。
【0078】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0079】
上記実施の形態においては、中心軸は、ヒンジブラケット70を上枠22に仮固定するビスであることとした。すなわち、中心軸として仮固定ビス80を例に挙げて説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、中心軸はリベットであってもよい。
【0080】
ただし、中心軸を、ねじ部を有するビスとしたことで、締緩作業を自由に行うことができるので、吊込み作業開始前の上枠22にヒンジブラケット70を予め付けておき、吊込み作業の途中で緩めてヒンジブラケット70を回転させることが可能となる。この点で、上記実施の形態の方が望ましい。
【0081】
また、上記実施の形態においては、ヒンジブラケット70の回転手順の後に下部支軸52と下部支軸受け62の下方差し込み手順を行うこととしたが、これに限定されるものではなく、下方差し込み手順の後に回転手順を行うこととしてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態においては、保持孔71bに上部支軸54を保持するための保持手段として、ヒンジブラケット70とは別の部材である固定金具82を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、上部支軸54が保持孔71b内に位置した際に、挿入口71aを閉じて上部支軸54を保持する機構を、ヒンジブラケット70自体に設けることとしてもよい。
【0083】
また、ドア下方は、本実施例では下枠24に設けられた下部支軸52に、ドア30の下端部に設けられた下部支軸受け62の保持孔を差し込んだが、これとは逆に、ドア30の下端部に下部支軸を設け、下枠に下部支軸受けの保持孔を設けるようにしても良い。なお、保持孔の形状は下部支軸をガイドしやすい円錐形の穴であることが好ましい。