(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態につき、
図1〜
図11を参照して説明する。第1実施形態は、作業工具の一例として電動式のハンマドリルを用いて説明する。
図1に示すように、ハンマドリル101は、本体部103と、ハンドル109と、を主体として構成されている。
図2に示すように、本体部103の先端領域(
図2の左側)には、ツールホルダ137が設けられており、ハンマビット119はツールホルダ137に取り外し可能に取付けられる。ハンドル109のグリップ部151は、本体部103の先端領域とは反対側の後方領域(
図2の右側)に設けられている。
【0024】
[駆動機構]
図2および
図3に示すように、本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、打撃要素115及び動力伝達機構117を収容したギアハウジング107を主体として構成されている。駆動モータ111は、本発明における「電動モータ」に対応する実施構成例である。
【0025】
駆動モータ111は、回転軸線がハンマビット119の長軸方向と平行になるように配置されている。駆動モータ111の前方には、冷却ファン112が駆動モータ111の回転軸に取り付けられている。駆動モータ111の回転出力は、駆動モータ111の前方に配置された運動変換機構113によって直線運動に変換されて打撃要素115に伝達され、ハンマビット119の長軸方向(
図2における左右方向)の衝撃力を発生させる。また、駆動モータ111の回転出力は、駆動モータ111の前方に配置された動力伝達機構117によって減速されてハンマビット119に伝達され、ハンマビット119を周方向に回転させる。駆動モータ111は、ハンドル109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。なお、説明の便宜上、ハンマビット119側をハンマドリル101の前側、ハンドル109側をハンマドリル101の後側という。
【0026】
運動変換機構113は、中間軸125と、揺動リング129と、筒状ピストン131を主体として構成されている。中間軸125は、駆動モータ111によって回転される。揺動リング129は、中間軸125の回転に伴い、回転体127を介してハンマビット119の長軸方向に揺動される。筒状ピストン131は、揺動リング129の揺動に伴い、ハンマビット119の長軸方向に直線状に往復移動される。
【0027】
動力伝達機構117は、複数のギアからなるギア減速機構を主体として構成されている。このギア減速機構は、中間軸125と一体に回転する小径ギア133、小径ギア133と噛み合い係合する大径ギア135を有する。動力伝達機構117は、駆動モータ111の回転をツールホルダ137に伝達する。これにより、ツールホルダ137が回転され、ツールホルダ137に保持されたハンマビット119が回転される。
【0028】
打撃要素115は、ストライカ143と、インパクトボルト145を主体として構成されている。ストライカ143は、筒状ピストン131内に摺動可能に配置された打撃子として構成されている。インパクトボルト145は、ツールホルダ137内に摺動可能に配置された中間子として構成されている。ストライカ143は、筒状ピストン131の摺動に伴う空気室131aの空気バネ(圧力変動)を介して駆動され、インパクトボルト145に衝突する。これにより、ハンマビット119が打撃力を発生する。
【0029】
駆動モータ111が通電駆動されると、駆動モータ111の回転が運動変換機構113を介して直線運動に変換された後、打撃要素115を介してハンマビット119に伝達される。これにより、ハンマビット119が打撃動作する。また、駆動モータ111の回転は、動力伝達機構117を介してハンマビット119に伝達される。これにより、ハンマビット119は、長軸方向の打撃動作と周方向の回転動作を行い、被加工材にハンマドリル作業を遂行する。
【0030】
[ハンドル]
図4に示すように、ハンドル109は、作業者がハンマドリル101を保持するための樹脂製のメインハンドルとして形成されており、ハンドル後側部分150とハンドル前側部分155を主体として構成されている。ハンドル後側部分150は、作業者が把持するグリップ部151と、グリップ部151の前方に配置された円筒状のハウジング部152と、グリップ部151の先端部(下端部)とハウジング部152をさらに連結する補強部151aを主体として構成されている。このハンドル109が、本発明における「ハンドル構成部」に対応する実施構成例である。
【0031】
グリップ部151は、ハウジング部152の後端部からハンマビット119の長軸方向に交差する下方に向かって延在するように設けられている。グリップ部151の先端部には、駆動モータ111に電気を供給するための電源ケーブルが設けられている。補強部151aは、グリップ部151の先端部とハウジング部152の後端部よりも前方の領域とを接続する。これにより、ハンドル後側部分151の強度が向上するともに、補強部151aがグリップ部151を補強する。なお、ハウジング部152には、前方に突出する係合凸部153が設けられている。このグリップ部151が、本発明における「ハンドル」に対応する実施構成例である。
【0032】
ハンドル前側部分155は、前側円筒部156、前側円筒部156の後方に配置された延在部157を主体として構成されている。前側円筒部156は、ギアハウジング107の先端領域を囲む環状部材として構成されている。また、延在部157には、係合凸部152と係合可能な係合凹部158が設けられている。延在部157は、
図9に示すように、ハンマドリル119の長軸方向に直交する断面に関して、略U字状の断面形状を有している。
【0033】
また、
図4に示すように、モータハウジング105には、複数の摺動ガイド106が設けられている。複数の摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、モータハウジング105(駆動モータ111)の外周の複数の位置に配置されている。また、摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向に関して、前方と後方の2箇所に配置されている。すなわち、前方の摺動ガイド106と後方の摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、モータハウジング105(駆動モータ111)の外周の複数の位置にそれぞれ配置されている。この摺動ガイド106は、モータハウジング105の表面に形成された樹脂製の凸部を覆う金属製のカバーで形成されている。この金属製のカバーは、炭素鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタンなどの金属で形成されている。さらに、モータハウジング105の外周には、複数のコイルスプリング160が配置されている。
【0034】
図5および
図6に示すように、ハウジング部152の内周面には、それぞれの摺動ガイド106に対応した複数の凹部154aと、それぞれのコイルスプリング160に対応した複数の押圧部154bが形成されている。この凹部154aは、ハウジング部152の一部として形成されており、凹部154a(ハウジング部152)は、PA6ナイロン等の樹脂材料で形成されている。また、
図2に示すように、凹部154aの後端部には、摺動ガイド106と当接可能な当接部154cが形成されている。さらに、前側円筒部156の前端部には、ギアハウジング107の前端部と当接可能なリブ156aが形成されている。
【0035】
以上のハンドル109は、
図1〜
図3に示すように、ハンドル後側部分150が本体部103に対して後方から移動され、ハンドル前側部分155が本体部130に対して前方から移動されて、係合凸部153と係合凹部158によって連結されることで、ハンドル109が、本体部103の外側に組み付けられる。すなわち、ハンドル109は、ハウジング部152が、モータハウジング105を覆うように配置され、延在部157が、ギアハウジング107に沿うように配置される。また、
図5および
図6に示すように、凹部154aが摺動ガイド106に係合し、押圧部154bがコイルスプリング160を押圧するように、ハウジング部152がモータハウジング105の外側に配置される。すなわち、コイルスプリング160は、一端がモータハウジング105に当接し、他端がハウジング部152の押圧部154bに当接して、ハンドル後側部分150を付勢した状態で支持される。ハンドル後側部分150はコイルスプリング160によって後方に向かって押圧されており、このとき前側円筒部156のリブ156aがギアハウジング107の前端部に当接する。これにより、ハンドル109の後方への移動が規制される。このコイルスプリング160が、本発明における「弾性部材」に対応する実施構成例である。
【0036】
ギアハウジング107とハンドル後側部分150の間には、蛇腹部材108が配置されている。この蛇腹部材108は、ギアハウジング107を囲むように配置された環状部材であり、ハンマビット119の長軸方向に伸縮可能に形成されている。これにより、ハンマビット119の長軸方向に関して、ギアハウジング107に対するハンドル109の相対移動が許容される。また、蛇腹部材108は、本体部103とハンドル109の間の隙間を塞ぐシール部材として機能する。
【0037】
[集塵装置取付部]
上記のハンマドリル101は、集塵装置200が取り外し可能に取り付けられるように構成されている。具体的には、ハンマドリル101に形成された集塵装置取付部は、
図1および
図2に示すように、ガイド溝161、本体側係合部162、係合溝163および雌型コネクタ164を主体として構成されている。ガイド溝161および本体側係合部162は、ハンドル109のハンドル前側部分155のうち、延在部157に設けられている。また、係合溝163および雌型コネクタ164は、ハンドル109のハンドル後側部分150のうち、補強部151aに設けられている。すなわち、集塵装置取付部は、ハンドル109に設けられており、これにより、集塵装置200は、ハンマドリル101のハンドル109に装着される。この集塵装置取付部が、本発明における「補機装着部」に対応する実施構成例である。
【0038】
図1および
図9に示すように、ガイド溝161は、延在部157の下方領域に形成された、左右一対の溝で構成されている。このガイド溝161は、ハンマビット119の長軸方向に平行に延在している。また、
図3に示すように、本体側係合部162は、ガイド溝161よりもハンマビット119側に形成された凹部で構成されている。また、係合溝163および雌型コネクタ164は、ハンドル109の補強部151aの前面(ハンマビット119側の面)に形成されている。
【0039】
[集塵装置]
次に、ハンマドリル101に取り付けられる集塵装置200について説明する。この集塵装置200は、集塵アタッチメントとも称し、ハンマドリル101に装着された状態でハンマドリル101とともに持ち運び可能な可搬式集塵アタッチメントとして構成されている。したがって、ハンマドリル101は、集塵装置200が取り付けられた状態で駆動することも可能であり、一方で集塵装置200が取り外された状態で駆動することも可能である。すなわち、ハンマドリル101は、集塵装置200が取り付けられた駆動モード(集塵装置装着モードともいう)、および集塵装置200が取り付けられていない駆動モード(集塵装置非装着モードともいう)のどちらかの駆動モードが選択されて駆動される。この集塵装置200が、本発明における「補機」に対応する実施構成例である。
【0040】
図7に示すように、集塵装置200は、本体部201、集塵部210、粉塵移送部215および装着機構250を主体として構成されている。本体部201は、集塵装置200の外郭を形成する本体ハウジング201Aを有している。この本体ハウジング201Aは、粉塵収容部220および駆動部230を収容している。
【0041】
集塵部210は、ハンマドリル101の穴あけ作業時に被加工材に当接するように構成されており、ハンマビット119が挿通される貫通孔として形成された開口部211を有している。
図8に示すように、開口部211は、集塵装置200がハンマドリル101に装着された状態において、ハンマビット119を囲むように配置される。
【0042】
図7に示すように、粉塵移送部215は、第1移送部215aおよび第2移送部215bで構成されている。第1移送部215aは、中空の樹脂製部材であり、集塵部210に連接されている。
図8に示すように、第1移送部215aは、集塵装置200がハンマドリル101に装着された状態において、ハンマビット119の長軸方向と交差する方向に延在する。一方、
図7に示すように、第2移送部215bは、第1移送部215aが延在する方向と交差する方向に延在する。すなわち、第2移送部215bは、ハンマビット119の長軸方向に平行に延在する。
【0043】
この粉塵移送部215は、集塵部210と共に、本体部201に形成された延在部218に対して摺動することで、本体部201に対してハンマビット119の長軸方向に相対移動する。すなわち、集塵装置200がハンマドリル101に装着された状態において、ハンマビット119の先端から集塵部210までの距離が可変である。なお、第2移送部215bの内部には、蛇腹状の移送ホース216が設けられており、粉塵移送部215の摺動に対応するように構成されている。
【0044】
図7に示すように、粉塵収容部220は、固定部221aおよび可動部221bを主体として構成されている。固定部221aは、本体ハウジング201Aの一部として形成されている。可動部221bは、本体ハウジング201Aに設けられた支点222を中心に回動可能である。この可動部221bは、ラッチ223を有しており、ラッチ223が固定部221aに係合することで、可動部221bが固定部221aに対して固定される。可動部221bには、収容部225が収容されており、移送された粉塵が収容部225に一時的に収容される。ラッチ223と固定部221aの係合を解除して可動部221bを回動させることで、収容部225にアクセス可能となり、これにより、収容部225に収容された粉塵が廃棄される。なお、収容部225の上方(駆動部230側)に形成された貫通孔には、フィルタ226が配置されている。
【0045】
図7に示すように、粉塵収容部220の上部の本体ハウジング201Aには、駆動部230が収容されている。駆動部230は、集塵モータ231、ファン232、雄型プラグ233、コントローラ234を主体として構成されている。集塵モータ231は、直流モータとして構成されており、回転軸が粉塵移送部215の第2移送部215bと概ね平行に配置されている。集塵モータ231の回転軸の前方側には、ファン232が取り付けられている。この駆動部230は、フィルタ226を介して収容部225と連通している。
【0046】
集塵モータ231の粉塵収容部220とは反対側の上方には、本体ハウジング201Aから後方に向かって突出する雄型プラグ233が配置されている。雄型プラグ233は、プラグ保持部233aに保持された4本のプラグ(
図10参照)で構成されている。プラグ保持部233aの雄型プラグ233とは反対側の前方側は、コイルスプリング233bに連結されている。また、コイルスプリング233bは、さらに本体ハウジング201に連結されている。これにより、プラグ保持部233aおよび雄型プラグ233は、コイルスプリング233bを介して、前後方向(ハンマビット119の長軸方向)に移動可能である。この雄型プラグ233は、コントローラ234に電気的に接続されている。コントローラ234は、駆動モータ231の側方に配置されており、集塵モータ231の駆動を制御する。
【0047】
[装着機構]
図7に示すように、集塵装置200は、当該集塵装置200をハンマドリル101に取り付けるための装着機構250を備えている。装着機構250は、本体ハウジング201Aの上面に当該本体ハウジング201Aと一体に形成されたガイドレール251と、プラグ保持部233aと一体に形成された係合凸部252と、本体ハウジング201上に設けられたラッチ253を主体として構成されている。
【0048】
図9に示すように、ガイドレール251は、互いに対向する一対の凸部で形成されている。
図7に示すように、係合凸部252は、雄型プラグ233と平行に集塵装置200の後方に向かって突出するように形成されている。なお、ラッチ253は、本体ハウジング201に対して当該ラッチ253の前端を支点として回動可能であり、ラッチ253の後端は本体ハウジング201Aからバネ要素(図示省略)によって上方(
図7の上方)に向かって付勢されている。
【0049】
[ハンマドリルに対する集塵装置の取付]
次に、ハンマドリル101に対する集塵装置200の取付について説明する。集塵装置200は、ハンマドリル101に対して、ハンマドリル101の前方側からハンマビット119の長軸方向に移動されて、
図8に示すように取り付けられる。具体的には、ハンマドリル101に設けられたガイド溝161と集塵装置200のガイドレール251が係合して、集塵装置200がハンマビット119側からハンドル109側に向かって摺動される。そして、ハンマドリル101の本体側係合部162と集塵装置200のラッチ253が係合するとともに、ハンマドリル101の係合溝163と集塵装置200の係合凸部252が係合する。すなわち、集塵装置200は、ハンマドリル101のハンドル109に係合する。これにより、集塵装置200がハンマドリル101に対して取り付けられる。
【0050】
集塵装置200がハンマドリル101に取り付けられると同時に、ハンマドリル101の雌型コネクタ164と集塵装置200の雄型プラグ233が機械的に連結される。具体的には、
図10に示すように、雌型コネクタ164は、コネクタ本体165、金属端子166、プラグ挿入部167、開口封止部168およびコイルスプリング170を主体として構成されている。
【0051】
コネクタ本体165には、4つの金属端子166が設けられている。それぞれの金属端子166は、1組の金属製板材で構成されており、金属製板材の弾性を利用して雄型プラグ233を挟持する。コネクタ本体165の前端には、プラグ挿入部167が設けられている。プラグ挿入部167には、雄型プラグ233が挿入される開口部167aが形成されている。なお、プラグ挿入部167には、4本の雄型プラグ233に対応して、4つの開口部167aが形成されている。開口封止部168は、コイルスプリング170によって前方に付勢されており、コネクタ本体165に対して相対移動可能である。この開口封止部168は、雄型プラグ233が雌型コネクタ164に係合していない状態では、コイルスプリング170に付勢されて、開口部167aを封止している。これにより、雌型コネクタ164の内部に粉塵等が混入することが防止される。
【0052】
雄型プラグ233が雌型コネクタ164に挿入される際には、雄型プラグ233がコイルスプリング170の付勢力に抗して開口封止部168を押圧し、開口封止部168を移動させる。雄型プラグ233が雌型コネクタ164に挿入される際に、開口封止部168は、雄型プラグ233が移動する方向(実質的には、ハンマビット119の長軸方向)に交差する方向(斜め後方)に移動する。これにより、
図10に示すように、雄型プラグ233が、開口封止部168に形成された第2開口部168aを通じて金属端子166と係合する。その結果、雄型プラグ233と金属端子166が電気的に接続される。
【0053】
集塵装置200がハンマドリル101に取り付けられると、集塵装置200のコントローラ234に、電気的に接続された雄型プラグ233および雌型コネクタ164を介して、ハンマドリル101の電源ケーブル190から給電される。換言すると、ハンマドリル101のハンドル109に装着された集塵装置200は、当該ハンドル109を介して給電される。したがって、ハンドル109は、作業者に把持されるだけでなく、集塵装置200が取り付けられ、当該集塵装置200に給電するための構成要素として機能する。
【0054】
[ハンマドリルおよび集塵装置の動作]
図8に示すように、作業者によってトリガ109aが操作されると、ハンマドリル101に、電源ケーブル190を介して外部電源から交流電流が駆動モータ111に供給されて駆動される。そして、駆動機構としての運動変換機構113、打撃要素115、動力伝達機構117が駆動モータ111によって駆動され、ハンマビット119が駆動される。これにより、作業者がハンマビット119を被加工材に押圧して所定の加工作業(ハンマドリル作業、ドリル作業)を行う。この加工作業時においては、ハンマビット119を囲む集塵部210もハンマビット119とともに被加工材に当接する。ハンマビット119は、被加工材内部に進入するが、集塵部210は、被加工材表面に当接したままとなる。したがって、加工作業の進行に伴って、蛇腹状の移送ホース216が収縮するとともに、集塵部210がハンマビット119に対して相対移動する。
【0055】
上記のハンマドリル101においては、駆動モータ111を駆動するためにトリガ109aが操作されると同時に、集塵装置200に対して交流電流が供給される。このとき、コントローラ234は、ハンマドリル101のハンドル109を介して給電された交流電流を直流電流に変換する。そして、コントローラ234は、集塵モータ231に直流電流を供給して、集塵モータ231の駆動を制御する。これにより、コントローラ234は、ファン232の回転を制御する。
【0056】
ファン232が回転されると、集塵部210の開口部211から空気が吸引される。吸引された空気は、移送ホース216、収容部225、フィルタ226、集塵モータ231を通過してファン232に到達し、集塵装置200の本体ハウジング201Aに形成された排気口(図示省略)から排出される。この空気の流れによって、ハンマビット119による被加工材の加工作業時に発生した粉塵が集塵部210の開口部211から吸い込まれ、収容部225に移送される。そして、吸引された空気がフィルタ226を通過する際に、粉塵がフィルタ226に捕捉され、収容部225に堆積される。また、この空気の流れによって、コントローラ243および駆動モータ231が冷却される。
【0057】
ハンマドリル101による加工作業時には、本体部103に、主としてハンマビット119の長軸方向の振動が発生する。一方、ハンドル109は、本体部103に対してハンマビット119の長軸方向に相対可能であるため、加工作業時に生じる振動に応じてハンドル109は、ハンマビット119の長軸方向に移動する。
【0058】
具体的には、
図8および
図11に示すように、本体部103とハンドル109は、ハンマビット119の長軸方向に関して互いに相対移動する。
図8には、本体部103に対してハンドル109が相対的に後方に位置したハンマドリル101が示される。また、
図11には、本体部103に対してハンドル109が相対的に前方に位置したハンマドリル101が示される。
【0059】
図8に示すように、ハンドル109は、コイルスプリング160(
図5、
図6参照)の後方への付勢力と、リブ156aとギアハウジング107の前端部の当接によって、本体部103とハウジング部152が距離Dだけ離れた後方位置に配置される。すなわち、蛇腹部材108が長さDで本体部103とハウジング部152の間に保持される。このとき、ハンドル109に集塵装置200が取り付けられているため、集塵装置200はハンドル109と共に後方位置に位置する。
【0060】
一方、加工作業時に生じる振動によって、
図11に示すように、ハンドル109は、コイルスプリング160に付勢された状態で、当該コイルスプリング160の付勢力に抗して前方位置に配置される。この前方位置においては、当接部154cと摺動ガイド106の後端部の当接によって、本体部103とハウジング部152は、距離Dよりも短い距離D1で保持される。すなわち、蛇腹部材108が長さD1で本体部103とハウジング部152の間に保持される。このとき、集塵装置200はハンドル109と共に前方位置に位置する。
【0061】
以上の第1実施形態によれば、集塵装置200は、ハンドル109に装着されている。これにより、加工作業時に、集塵装置200はハンドル109とともに、本体部103に対して相対移動する。換言すると、集塵装置200は、ハンドル109に対して相対移動しない。そのため、ハンドル109と集塵装置200が本体部103に対して摺動した場合であっても、雄型プラグ233と雌型コネクタ164の係合は安定的に保持される。これにより、雄型プラグ233と金属端子166の間にチャタリングの発生が抑制される。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図12〜
図14を参照して説明する。第2実施形態において、集塵装置200は第1実施形態と同形状であるが、ハンマドリル101のうち、主として、ハンドル109および集塵装置取付部の構成が異なる。ハンマドリル101のうち集塵装置取付部以外の構成は、第1実施形態と同様の構成であり、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
第2実施形態においては、
図12に示すように、ハンドル109のうち、ハンドル前側部材155Aの延在部157Aは、ギアハウジング107の下部領域を露出させるように形成されている。
【0064】
図12および
図13に示すように、ギアハウジング107の下部領域には、ガイド溝161および本体側係合部162が形成されている。したがって、第2実施形態において、集塵装置取付部は、ギアハウジング107に設けられたガイド溝161および本体側係合部162と、ハンドル109に設けられた係合溝163および雌型コネクタ164によって構成される。換言すると、集塵装置200は、本体部103のギアハウジング107とハンドル109に装着される。この集塵装置取付部が、本発明における「補機装着部」に対応する実施構成例である。
【0065】
集塵装置200は、本体側係合部162とラッチ253の係合によって、ギアハウジング107(本体部103)に固定状に装着される。一方で、集塵装置200は、雄型プラグ233および係合凸部252は、ギアハウジング107に対して相対移動可能なハンドル109に係合する。そのため、ハンドル109の相対移動に対応するために、雄型プラグ233および係合凸部252が連結されるプラグ保持部233aは、集塵装置200の本体部201に対して相対移動可能に構成されている。
【0066】
具体的には、プラグ保持部233aは、コイルスプリング233bを介して本体部201に連結されている。コイルスプリング233bは、ハンマビット119の長軸方向に平行に伸縮するように配置されている。これにより、プラグ保持部233aは、本体部201に対する相対移動が許容される。
【0067】
加工作業時において、ハンドル109が
図13に示す後方位置から
図14に示す前方位置に、ハンマドリル101の本体部103に対して移動すると、雄型プラグ233はハンドル109と共に前方位置に移動する。すなわち、集塵装置200の本体部201が、ハンマドリル101のギアハウジング107に固定状に装着されているため、雄型プラグ233(プラグ保持部233a)は、集塵装置200の本体部201に対して相対移動する。一方、ハンドル109が
図14に示す前方位置から
図13に示す後方位置に移動すると、雄型プラグ233は、コイルスプリング233bに付勢されてハンドル109と共に後方位置に移動する。
【0068】
以上の第2実施形態によれば、雄型プラグ233が集塵装置200の本体部201に対して相対移動可能であるため、雄型プラグ233が雌型コネクタ164に係合した状態において、雄型プラグ233と雌型コネクタ164の金属端子(第1実施形態の
図10参照)の距離が一定に保持される。すなわち、加工作業によってハンマドリル101に振動が生じてハンドル109が本体部103に対して相対移動する場合であっても、雄型プラグ233と雌型コネクタ164の金属端子の距離は常に一定に維持される。これにより、雄型プラグ233と金属端子間のチャタリングが防止される。
【0069】
また、以上の第1および第2実施形態によれば、集塵装置200がハンドル109に保持されている。すなわち、ハンドル109側の質量が増加し、ハンドル109を振動させるためには大きな運動エネルギが必要となる。したがって、集塵装置200が装着されたハンドル109の振動が低減される。
【0070】
また、第1および第2実施形態によれば、作業時に生じるハンマビット119の長軸方向の振動によって、ハンドル109は、コイルスプリング160に付勢された状態で、前方位置と後方位置の間を移動する。そのため、コイルスプリング160の伸縮によって、振動に起因する運動エネルギが吸収され、本体部103からハンドル109への振動の伝達が低減される。なお、ハンドル109が本体部103に対して摺動する際には、摺動ガイド106がハンドル109をハンマビット119の長軸方向にガイドする。したがって、主として長軸方向に振動が生じるハンマドリル101において、振動の方向とハンドル109の移動方向が一致するため、ハンドル109への振動伝達が効果的に抑制される。
【0071】
また、第1および第2実施形態によれば、本体部103のモータハウジング105に駆動モータ111が収容されているため、駆動モータ111が運動変換機構113や動力伝達機構117に対して相対移動しない。したがって、駆動モータ111の動力を運動変換機構113や動力伝達機構117に伝達するための特殊な伝達部材を設ける必要がない。
【0072】
なお、以上の第1および第2実施形態においては、ハンマドリル101は、作業モードを切替えるためのモード切替スイッチ(図示省略)を備えており、作業者がモード切替スイッチ110を操作することにより、作業モードとしてのハンマドリルモードとドリルモードが切り替えられるように構成されていてもよい。ハンマドリルモードにおいては、ハンマビット119が打撃動作と回転動作を行う。ドリルモードにおいては、ハンマビット119が回転動作のみを行う。
【0073】
また、以上の第1および第2実施形態においては、モータハウジング105とハンドル109の間に配置される付勢部材としてコイルスプリング160を設けたが、他の種類のバネやゴム等を設けてもよい。また、摺動ガイド160を樹脂で形成し、凹部154aを金属で形成してもよい。また、作業工具としては、ハンマドリル101に限られず、主として先端工具の長軸方向の振動が発生する作業工具であれば、ハンマやレシプロソーに本発明を適用してもよい。また、補機としては、集塵装置200に限られず、照明装置やディスプレイ等であってもよい。
【0074】
上記発明の趣旨に鑑み、本発明に係る作業工具に関しては、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
補機保持部は、長軸方向に延在するガイド部および/または補機本体部と係合する係合部を有する。
(態様2)
補機が作業工具に対して長軸方向に移動されることで、補機本体部が作業工具の補機保持部に係合するとともに、補機側端子が作業工具側端子に接続される。
(態様3)
付勢部材は、補機側端子を長軸方向に付勢する。
(態様4)
補機側端子が補機本体部に対して相対移動する方向は、補機が作業工具に取り付けられる際に、当該補機が作業工具に対して移動される方向と一致している。
【0075】
(本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下の通り示す。なお、本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものであり、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
ハンマドリル101が、本発明の「作業工具」に対応する構成の一例である。
駆動モータ111が、本発明の「電動モータ」に対応する構成の一例である。
本体部103が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
モータハウジング105が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
ギアハウジング107が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
ハンドル109が、本発明の「ハンドル構成部」に対応する構成の一例である。
グリップ部151が、本発明の「ハンドル」に対応する構成の一例である。
コイルスプリング160が、本発明の「弾性部材」に対応する構成の一例である。
ガイド溝161が、本発明の「補機装着部」に対応する構成の一例である。
本体側係合部162が、本発明の「補機装着部」に対応する構成の一例である。
係合溝163が、本発明の「補機装着部」に対応する構成の一例である。
雌型コネクタ164が、本発明の「補機装着部」に対応する構成の一例である。
本体側係合部162が、本発明の「補機保持部」に対応する構成の一例である。
雌型コネクタ164が、本発明の「作業工具側端子」に対応する構成の一例である。
集塵装置200が、本発明の「補機」に対応する構成の一例である。
雄型プラグ233が、本発明の「補機側端子」に対応する構成の一例である。
プラグ保持部233aが、本発明の「端子保持部」に対応する構成の一例である。
コイルスプリング233bが、本発明の「付勢部材」に対応する構成の一例である。