(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クリーニングローラに隣接して、前記弾性変形部材をクリーニングローラの回転軸方向においてクリーニングローラの端部から離隔する方向へ押圧する押圧装置を設けている請求項1に記載のクリーニングローラ機構。
前記弾性変形部材は円環状板体であり、当該円環状板体は、円筒状領域の半径方向外方で且つ回転軸方向で端部に近接する側へ斜め方向に延在する第1の部分と、第1の部分と一体的に連続しており且つ円筒状領域の回転軸方向で端部から離隔する側に湾曲している第2の部分を有している請求項1に記載のクリーニングローラ機構。
【背景技術】
【0002】
転写ドラムを用いて円形断面容器の表面に文字や図形を印刷する技術は、従来から知られている(例えば特許文献1)。
図16を参照して、転写ドラムを用いて円形断面容器の表面に文字や図形を印刷する態様について説明する。
図16で示す印刷装置では、コンベアCB上を複数の円形断面容器(例えば、飲料用容器:図示を省略)が矢印DF方向に流れ、コンベアに接する位置に転写ドラム1が配置されている。
図16において、転写ドラム1は反時計方向(矢印DR方向)に回転し、インク供給装置2において、文字や図形を印刷するためのインクが、印刷するべき内容を反転した状態で、転写ドラム1の表面上に配置される。
【0003】
印刷用のインクが配置された状態で転写ドラム1が矢印DR方向に回転すると、コンベアCB上の転写部3において、コンベアCB上を移動する円形断面容器が一回転する際に、転写ドラム表面1fに配置されているインクが、当該容器の表面に転写される。
転写ドラム1の円周方向において、転写部3の後方(下流側)にはクリーニングローラ4Jが配置されている。クリーニングローラ4Jは、転写後に転写ドラム表面1fに残存しているインクをクリーニングローラ4Jの表面に移動し、以って、転写ドラム表面1fに残存するインクを除去する機能を奏している。
図16の例では、転写ドラム1に残存したインクを確実に除去するため、3個のクリーニングローラ4Jが設けられている。
クリーニングローラ4Jを用いることにより、転写ドラム表面1f上に傷をつけることなく、そして転写ドラム1の回転を妨げることなく、転写ドラム表面1fに残存したインクを除去することが出来る。
【0004】
発明者の実験によれば、
図3で示すように、転写ドラム1の表面1fからクリーニングローラ(の回収ロール44)に移動したインクは、クリーニングローラ(4)の転写ドラム1と接触する領域(回収ロール44)の上下両端部近傍に堆積する性状を示すことが分かった。
そして、前記領域の上下両端部近傍に堆積したインクα1、α2は、クリーニングローラ(4)の回転による遠心力の作用により、回収ロール44表面のインクから千切れて、周囲に飛散してしまうことが多く、クリーニングローラ4周囲の環境を汚してしまう。食品や飲料品の容器に印刷を施す装置を使用するに際しては、汚れた環境で行うことは好ましくない。
さらに、当該千切れたインクが転写ドラム1に飛び散ってしまうと、回転体容器に対する印刷が正確に行われないという問題も生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、転写ドラムから移動したインクがクリーニングローラの周囲に飛散してしまうことを防止することができるクリーニングローラ機構の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のクリーニングローラ機構は、印刷装置の転写ドラム円周方向において転写部(3)の後方に配置されて転写ドラム表面(1f)に残存したインクを転写ドラム表面(1f)から除去するクリーニングローラ(4、4A)を有し、
当該クリーニングローラ(4、4A)は転写ドラム表面(1f)と接触する円筒状領域(44、44A)を有し、当該円筒状領域(44、44A)の回転軸方向両端部の円周方向全域に亘って弾性変形部材(49)を配置していることを特徴としている。
【0008】
本発明において、前記クリーニングローラ(4、4A)に隣接して、前記弾性変形部材(例えば、円筒状領域44の上下両端部に配置されたO−リング49)をクリーニングローラ(4、4A)の回転軸方向においてクリーニングローラ(円筒状領域44、44A)の端部から離隔する方向へ押圧する押圧装置を設けていることが好ましい。
【0009】
そして、前記弾性変形部材はOリングであるのが好ましい。
また、前記弾性変形部材は円筒状領域の半径方向外方に延在する円環状板体(49A)であるのが好ましい。
あるいは、前記弾性変形部材は円環状板体(49B)であり、当該円環状板体(49B)は、円筒状領域の半径方向外方で且つ回転軸方向で端部に近接する側へ斜め方向に延在する第1の部分(49Ba)と、第1の部分(49Ba)と一体的に連続しており且つ円筒状領域(44、44A)の回転軸方向で端部から離隔する側に湾曲している第2の部分(49Bb)を有しているのが好ましい。
ここで、前記弾性変形部材(49C)が、円筒状領域(44、44A)の半径方向外方に延在する円環状板体(49A)、あるいは、第1及び第2の部分を有する円環状板体(49B)である場合には、前記円環状板体(49A、49B)と円筒状領域(44、44A)は弾性体製継手部材(49c)を介して接合されているのが好ましい。
【0010】
本発明のクリーニングローラ機構において、前記クリーニングローラ(4、4A)は、
転写ドラム表面(1f)と接触する円筒状領域(回収ロール44、44A)に複数の開口部(44o、44oA)を形成しているのが好ましい。
【0011】
そして、当該開口部(44o、44oA)から半径方向内方に侵入したインクが流過する流路(インク流路IG、IGA等)と、
当該流路(IG、IGA等)を流過したインクを貯留する貯留部(インク貯留部41、41A)を有することが好ましい。
【0012】
ここで、前記複数の開口部(44o)は円形であるのが好ましい。
また、前記複数の開口部(44Ao)は長円形であるのが好ましい。
あるいは、前記複数の開口部(44Bo)は溝であるのが好ましい。
さらに、転写ドラム表面と接触する円筒状領域は網状部材で構成されており、前記開口部(44Co)は網状部材の網目であるのが好ましい。
【0013】
本発明の印刷機は、上述したクリーニングローラ機構を有することを特徴としている。
【0014】
本明細書において、転写ドラム(1)に残存したインク、クリーニングローラ(4、4A)により転写ドラム(1)から除去したインク、あるいはクリーニングローラ(4、4A)により除去されたインクを、「インクカス」という文言で表現する場合がある。
【発明の効果】
【0015】
上述の構成を具備する本発明によれば、クリーニングローラ(4、4A)が転写ドラム表面(1f)と接触する円筒状領域(44、44A:本明細書において、「回収ロール」という場合がある)において、回転軸方向両端部の円周方向全域に亘って弾性変形部材(例えばO−リング49)を配置しているので、クリーニングローラ(4、4A)の転写ドラム(1)と接触する領域(回収ロール44、44A)の上下両端部近傍に堆積しようとするインク(α1、α2)は、弾性変形部材(例えばO−リング49)によって、前記領域(回収ロール44、44A)の上下両端部から離隔する方向へ折り返される。
上下両端部から離れる様に折り返されたインク(α1、α2)は、転写ドラム(1)にクリーニングローラ(4、4A)が押圧されることにより、クリーニングローラ(4、4A)の半径方向内方への押圧力(Ri)が作用するので、前記領域(回収ロール44、44A)の周囲に飛散することが防止される。
【0016】
ここで、前記弾性変形部材(49)によって、前記領域(回収ロール44、44A)の上下両端部近傍に堆積しようとするインク(α1、α2)が、前記領域(回収ロール44、44A)の上下両端部から離隔する方向へ折り返される際に、当該インク(α1、α2)により、前記弾性変形部材(49)には、前記領域(回収ロール44、44A)の上下両端部に向かって移動する力が作用してしまう。
これに対して、本発明において押圧装置(50、50A)を設け、その押圧装置(50、50A)により前記弾性変形部材(49)を前記領域(回収ロール44、44A)の上下両端部から離隔する方向へ押圧すれば、前記弾性変形部材(49)の上下両端部に向かう移動を防止することが出来る。
【0017】
従来のクリーニングローラ(4J)では、転写ドラム表面(1f)からクリーニングローラ表面(4Jf)に移動したインク(転写ドラム表面から除去されたインク:インクカス)を、回転しているクリーニングローラ(4J)の表面(4Jf)から自動的に除去することは出来なかった。
そのため従来のクリーニングローラ(4J)では、比較的短時間(例えば10〜15分間)の運転時間毎に、
図16の印刷装置から取り外して、転写ドラム表面(1f)からクリーニングローラ表面(4Jf)に移動したインクカスを取り除く必要があり、短時間(例えば10〜15分間)毎にクリーニングローラ(4J)を取り外さなければならなかった。そのため、従来のクリーニングローラ(4J)では、長時間に亘る連続運転が不可能であり、転写ドラム表面(1f)に残存したインクを除去する作業の効率が悪い、という問題点がある。
【0018】
本発明において、転写ドラム(1)と接触する領域(回収ロール44、44A)に複数の開口部(44o)を形成すれば、レギュレータ(図示せず)によりクリーニングローラ(4、4A)が転写ドラム(1)に所定の圧力で押圧されることにより、転写ドラム(1)の表面上に残存したインクはクリーニングローラ(4、4A)側に押圧され、前記領域(回収ロール44、44A)に形成された開口部(44o、44oA)を介して、クリーニングローラ(4、4A)内部に侵入する。
そのため、転写ドラム(1)の表面(1f)から取り除いたインクはクリーニングローラ(4、4A)の表面に残存せず、クリーニングローラ(4、4A)内部に貯留することが可能となるので、従来のクリーニングローラ(4J)に比較して大量のインクをクリーニングローラ(4、4A)側で貯留(保持)することが可能である。
これにより、クリーニングローラ(4、4A)により転写ドラム(1)に残存したインクを除去する作業を長時間に亘って連続して行うことが出来る。
【0019】
ここで、当該開口部(44o、44oA)から半径方向内方に侵入したインクが流過する流路(インク流路IG、IGA等)と、当該流路(IG、IGA)を流過したインクを貯留する貯留部(インク貯留部41、41A等)を有する様に構成すれば、クリーニングローラ(4、4A)の表面から半径方向内方に移動したインクカス(転写ドラム1の表面から取り除いたインク)は、貯留部(インク貯留部41、41A)で貯留することが出来る。
従って、当該貯留部(41、41A)を適宜設定すれば、クリーニングローラ(4、4A)内部に大量のインクカスを貯留することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るクリーニングローラ機構について説明する。
図1において、本発明の実施形態に係るクリーニングローラ機構はクリーニングローラ4を備え、クリーニングローラ4は、インク貯留部41と、ジョイント部材42と、軸受ケーシング43と、回収ロール(円筒状領域)44を有している。
図1において、符号45は回転軸を示している。
【0022】
インク貯留部41は、上方が開口した円筒状の貯留部本体411と、貯留部本体411の開口部を覆うキャップ412と、複数のインク排出管413と、筒状体414を備えている。
複数のインク排出管413は、貯留部本体411の底面411bの共通のピッチ円(直径Dの仮想円)上で、等間隔で固設されている。
【0023】
キャップ412の中心部には貫通孔412hが形成され、貫通孔412にはボルト5が挿通させている。貯留部本体411における底部411bの中心にも、ボルト5が挿通する貫通孔411hが形成されている。
筒状体414はインク貯留部41が
図1の上下方向に圧縮変形してしまうことを防止する機能を有しており、その中心孔414hの径は貫通孔411h、412hと概略同径である。
キャップ412には空気抜き孔412bが複数設けられている。ただし、空気抜き孔412bは1箇所でもよい。
【0024】
ジョイント
部材42は、下方が開口した円筒部421と、天蓋部422を有し、円筒部421外周の下端には段部423が形成されている。
天蓋部422の中心にはボルト5挿通用の貫通孔422hが形成されている。
天蓋部422の裏面中央には嵌合穴424が形成されており、嵌合穴424には軸受ケーシング43の先端部が嵌合している。
嵌合穴42の半径方向外方には、インクカス吐出孔425が複数形成されている。インクカス吐出孔425の数、内径及び配置は、インク貯留部41におけるインク排出管413の数、内径及び配置と一致している。
【0025】
軸受ケーシング43は、
図1の上端部が閉塞した(閉塞部に符号431mを付す)ベース円筒部431と、
図1の下端部拡径部432と、円環座面部433と、テーパー部434と、段部435と、第1のベアリング嵌合穴436と、第2のベアリング嵌合穴437を有している。
ベース円筒部431の
図1における上端部は符号431mで示されている。上端部431mの中心には、ボルト5の雄ねじと螺合する雌ねじ431sが形成されている。
【0026】
テーパー部434は、ベース円筒部431の下端と円環座面部433の内縁と一体的に連続している。
軸受ケーシング43の第1のベアリング嵌合穴436(
図1における上方のベアリング嵌合穴)には、円盤状のリテーナ48を介して第1のベアリング46(
図1における上方のベアリング)のアウターレースが嵌合している。
軸受ケーシング43の第2のベアリング嵌合穴437(
図1における下方のベアリング嵌合穴)には、第2のベアリング47(
図1における下方のベアリング)のアウターレースが嵌合している。
【0027】
ジョイント部材42の外径寸法と軸受ケーシング43の拡径部(最大径部:
図1では下端部)432の外径寸法は等しい。
ジョイント部材42の段差部423と軸受ケーシング43の段部435の双方に係合するように、回収ロール44が取り付けられている。
【0028】
キャップ412、筒状体414、貯留部本体411(の底部411b)、ジョイント部材42は、ばね座金6、平座金7を介して、ボルト5を軸受ケーシング43の雌ねじ431sと螺合させることにより、一体に組み立てられている。
上述した様に、ボルト5は、貫通孔412h、414h、411h、422hに挿通されている。
【0029】
図示はされていないが、インク貯留部41及びジョイント部材42は、一体に成形することができる。一体に成形した場合には、例えば、ジョイント部材42に相当の嵌合穴には雌ねじを形成し、軸受ケーシング43の上端外周部には雄ねじを形成し、上記雌ねじと当該雄ねじを螺合させるように構成することができる。
その様に構成すれば、ボルト5、ばね座金6、平座金7、インク貯留部41の筒状体414を省略することが可能であり、大幅な部品点数の削減が可能となる。
【0030】
また、インク貯留部41、ジョイント部材42、軸受ケーシング43についても一体で成形することが可能である。
その場合、回収ロール(円筒状領域)44は、いわゆる「半割り」形態で2分割し、それぞれをビスによって取り付けることが可能である。
【0031】
回収ロール44は、
図2で示すように、転写ドラム1(
図1及び
図16参照)と接触する領域44oに、多数の開口(円形の小孔C)が形成されている。
回収ロール44の材質は、転写ドラム表面1fに残存したインクを押圧できる程度の剛性と、インクにより劣化しない程度の耐溶剤性を具備している材料であれば良い。
【0032】
図1において、クリーニングローラ4は図示しないレギュレータにより、転写ドラム1に対して、所定の圧力で押圧されている。その圧力(図示しないレギュレータにより、クリーニングローラ4を転写ドラム1に押圧する圧力)により、転写ドラム1の表面1f上に残存したインクはクリーニングローラ側に押圧され、クリーニングローラ4の回収ロール44に多数形成された開口部44oを介して、クリーニングローラ4内部に侵入する。
ここで、インクの粘度は高いので、クリーニングローラ4が回転して内部に侵入したインクに遠心力が作用しても、当該インクが回収ロール44の開口部44oから半径方向外方に逆流して、クリーニングローラ4の表面に戻ってしまうことはない。
【0033】
図1において、回収ロール44における開口44oからクリーニングローラ4の内部に侵入したインクの流れが、矢印Fiで示されている。
図1において、回収ロール44、軸受ケーシング43、ジョイント部材42によって、断面円環形状のインク流路IGが形成されている。流路IGは、複数のインク排出管413を経由して、貯留部本体411に連通している。インク排出管413は前記インク流路IGの延長線上に配置されており、貯留部本体411の内部空間を上方に向って突出して配置されている。
クリーニングローラ4の内部に侵入したインク(インクカス)が
図1の下方に移動したとしても、クリーニングローラ4は転写ドラム1に対して所定の圧力で押圧されていることから、テーパー部434のテーパー面により、
図1の上方に向って円滑に移動する。
【0034】
その結果、転写後に転写ドラム1の表面(転写面)1fに残ったインクカスが開口部44oを介してクリーニングローラ4内に侵入すると、円環のインク流路IGを流過(上昇)して、インク排出管413を介して、貯留部本体411まで移動する(押圧される)。
なお、インク貯留部41のキャップ412には、空気抜き孔412bが設けてあるため、インクカスが貯留部本体411まで移動しても、貯留部本体411内が昇圧してしまうことはなく、インクカスは貯留部本体411内に円滑に貯蔵される。
【0035】
インク排出管413が貯留部本体411の内部空間内に(上方へ)突出している。
インク或いはインクカスの粘度が低い場合には、インクカスは貯留部本体411の下方から貯留される。しかし、インク排出管413が貯留部本体411の内部空間内に(上方へ)突出しているので、インク排出管413の上端部に到達するまで、貯留部本体411に貯留したインクカスがインク排出管413を閉塞してしまうことがない。
そのため、貯留部本体411の内部空間を有効利用することが出来る。
【0036】
図1において、インク排出管413の高さ(インク貯留部内に突出している寸法)に対して所定の寸法以上にインクカスが貯留部本体411に溜まったならば、クリーニングローラ4を取り外し、貯留部本体411内のインクカスを空気抜き孔412bより排出する。或いは、キャップ412を取り外して、インクカスを取り出す。
当該所定の寸法は、インク排出管413よりも上方に貯留されたインクカスの重力及びインクの粘度等に起因する背圧により、転写ドラム1からクリーニングローラ4内にインクカスが侵入することが妨げられないように設定される。
【0037】
図1〜
図3で説明した実施形態によれば、転写ドラム1と接触する回収ロール44に複数の開口部44o、44Ao、44Bo、44Coを形成したので、図示しないレギュレータによりクリーニングローラ4が転写ドラム1に所定の圧力で押圧されることにより、転写ドラム1の表面上に残存したインクは、当該開口部44o、44Ao、44Bo、44Coを介して、クリーニングローラ4内部に侵入する。
転写ドラムの表面1fから取り除いたインクがクリーニングローラ4の表面に残存せず、クリーニングローラ4内部に貯留することが出来るので、従来のクリーニングローラに比較して大量のインクをクリーニングローラ4側で貯留(保持)することが可能である。そのため、クリーニングローラ4により転写ドラム1に残存したインクを除去する作業を長時間に亘って連続して行うことが出来る。
【0038】
図1において、図示の実施形態では、回収ロール44の回転軸方向(
図1の上下方向)の両端部近傍にO−リング(弾性変形部材)49が設けられている。
回収ロール44にO−リング49が存在しない場合における問題点について、
図3を参照して詳細に説明する。
図3で示すように回収ロール44にO−リング49が存在しなければ、回収ロール44の上下端部44eu、44ed近傍において、転写ドラム1(
図1参照)から移動したインクが符号α1、α2で示すように堆積してしまうことが、発明者の実験により明らかになった。
【0039】
そして回収ロール44の上下端部44eu、44ed近傍において堆積したインクα1、α2は、クリーニングローラ4の回転による遠心力の作用により、回収ロール表面44fのインク(符号αで示す)から千切れてしまい、周囲に飛散してしまう。
堆積したインクα1、α2が回収ロール表面44fから周囲に飛散してしまうと、クリーニングローラ周辺の環境が汚れてしまう。クリーニングローラは食品や飲料品の製造現場で使用されることが多く、食品や飲料品の製造現場においてインクが飛散して環境が汚れてしまうことは好ましくはない。
また、堆積したインクα1、α2から飛び散って転写ドラム1に付着してしまうと、後続の容器に対する印刷が正確に行われなくなってしまうという問題も発生する。
【0040】
これに対して、
図4で示すように、回収ロール44の上下両端44eu(上端部)、44ed(下端部)近傍にO−リング49を設ければ、回収ロール44の上下端部44eu、44ed近傍で堆積しようとするインクα1、α2は、O−リング49により、上下両端部44eu、44edから離隔する様に折り返される。上下両端部44eu、44edから離隔する様に折り返されたインクは、
図4で符号α1、α2により示されている。
当該折り返されたインクα1、α2は、図示しないレギュレータによりクリーニングローラ4が転写ドラム1に押圧され、符号Riで示す半径方向内方への押圧力が作用するので、回収ロール44の周囲に飛散することが防止される。
【0041】
図4で示すように、O−リング49により上下両端部44eu、44edから離れる様に折り返される際に、当該堆積しようとするインクα1、α2により、上端部44eu近傍のO−リング49には上方に向う力(矢印FU)が作用し、下端部44ed近傍のO−リング49には下方に向う力(矢印FD)が作用する。
この力により、上下両端部44eu、44ed近傍のO−リング49が移動して、回収ロール44から外れてしまう恐れがある。
【0042】
これに対して、図示の実施形態では
図5、
図6で示す押圧装置50を設けており、回収ロール44上端部44eu近傍のO−リング49が上方に移動することを防止し、且つ、回収ロール下端部44ed近傍のO−リング49が下方に移動することを防止している。
以下、
図5、
図6を参照して押圧装置50について説明する。
【0043】
図5において、押圧装置50は、第1の支持部材51、第2の支持部材52、1対の押圧ローラ53、53、1対のローラホルダ54、54、1対の蝶ねじ55、55、1対の角度調整ビス56、56、1対のナット57、57を有している。
第1の支持部材51は、クリーニングローラ4の回転軸45の下端に、公知の手段によって取り付けられている。
第2の支持部材52は、公知の技術(図示せず)によって、第1の支持部材51に対して、
図5、
図6の左右方向にスライド可能に取り付けられている。
【0044】
図6において、第2の支持部材52の垂直中心軸Lv上には2箇所の長孔521、521が形成されており、長孔521の長軸は垂直中心軸Lvと一致している。
押圧ローラ53は、ボールベアリング(図示せず)を内蔵したローラ531と、ローラ531を回転自在に軸支する円筒状の支持部532を有している。
ローラホルダ54は、押圧ローラ53の支持部532を保持している。ローラホルダ54には貫通孔541が形成されており、貫通孔541には蝶ねじ55のねじ部が挿通している。
【0045】
押圧ローラ53を第2の支持部材52に固定するに際しては、例えば、上方の押圧ローラ53をローラホルダ54の所定の位置で保持する。
そして、押圧ローラ53を保持したローラホルダ54の貫通孔541に、蝶ねじ55のねじ部を挿通させ、さらに、当該ねじ部の先端を第2の支持部材52の長孔521に挿通させ、ナット57(
図5参照)で仮止めする。それから、同じ作業を残りの押圧ローラ53(例えば、下方の押圧ローラ53)に対して行う。
【0046】
蝶ねじ55の長孔521内の上下方向位置と、その時の押圧ローラ53の支持部532の垂直中心軸Lvに対する傾斜角度θにより、押圧ローラ53がO−リング49を押圧する力(押圧力)が決定する。
押圧ローラ53を最適な押圧力でO−リング49に当接させるための蝶ねじ55の上下方向位置および傾斜角度θを予め設定し、当該予め設定された蝶ねじ55の上下方向位置および傾斜角度θで蝶ねじ55を締め込み、押圧ローラ53を固定する。この作業を上方及び下方の押圧ローラ53、53の各々について行う。
図6において、2箇所の長孔521、521の中間点を通過する水平線(仮想線)を符号Lhで示す。下方の押圧ローラ53は、当該水平線Lhに対して上方の押圧ローラ53とは対称の配置となる。
【0047】
ビス56は支持部532の固定用のビスであり、ビス56のねじ先端は押圧ローラ53の支持部532の側部に当接している。傾斜角θを調節するに際しては、蝶ねじ55を調整して行う。
換言すれば、蝶ねじ55を調整することにより、最適な傾斜角θとすることが可能である。
【0048】
図5を参照して上述した様に、押圧装置50において、押圧ローラ53を最適な押圧力でO−リング49に当接させて、上方のO−リング49が回収ロール44の上方へ移動することを防止し、且つ、下方のO−リング49が回収ロール44の下方へ移動することを防止することが出来る。
その結果、O−リング49が回収ロール44から外れてしまい、回収ロール44の上下端部44eu、44ed近傍で堆積したインクα1、α2が飛散してしまうことが防止される。
【0049】
ここで、弾性変形可能な部材であれば、O−リング49と同様に、
図4で示すように、回収ロール44の上下端部44eu、44edで堆積しようとするインクα1、α2を、回収ロール44の上下両端部44eu、44edから離隔する様に折り返すことが出来る。
例えば、O−リング49に代えて、
図7で示すように、回収ロール44の半径方向外方に延在し、断面形状が矩形で弾性を有する素材からなる円環状板体49Aを採用することが可能である。
ここで、円環状板体49Aは回収ロール44に固定されているので、前記押圧装置50を省略することが出来る。
【0050】
また、O−リングに代えて、
図8で示す円環状板体49Bを採用することが出来る。
この円環状板体49Bは弾性を有する素材から構成されており、回収ロール44の半径方向外方で且つ回転軸方向で端部44eに近接する側へ斜め方向に延在する第1の部分49Baと、第1の部分49Baと一体的に連続しており且つ端部から離隔する側(
図8では上端44eから離隔する側:下方)に湾曲している第2の部分(折り返し部)49Bbを有している。
円環状板体49Bにおいても、前記押圧装置50を省略することが出来る。
【0051】
ここで、
図7、
図8で示す様な部材を用いる場合には、
図9で示すように、円環状板体49B(
図8参照)と、回収ロール44とを、弾性体(例えばゴム)49cを介して接合する(49C)ことが可能である。
なお、
図9では円環状板体49Bと弾性体49cを組み合わせた状態が示されているが、
図7の円環状板体49Aと弾性体49cを組み合わせることも出来る。何れの場合においても、押圧装置50を省略することが可能である。
図7〜
図9の変形例のその他の構成及び作用効果は、
図1〜
図6、
図10〜
図12の第1実施形態と同様である。
【0052】
図2では、開口部44oの孔Cの形状は円形であるが、これに限定されるものではない。
例えば、
図10の第1変形例のように、回収ロール44Aの開口部44Aoの孔OCを、長円形(或いは楕円形)にすることができる。
図10では開口部44Aoの孔OCの長径は回転軸(図示を省略)と平行である。図示はしないが、開口部の孔の短径を回転軸と平行な形状にすることも可能であり、開口部の孔の長径が回転軸に対して斜め方向に延在するように配置しても良い。
【0053】
また、
図11の第2変形例(回収ロール44B)のように、複数の溝GRにより開口部44Boを構成しても良い。溝GRの形状は、回収ロール44の開口部形成領域の上端と下端を連通する形状であれば良く、その形状は特に限定されない。例えば、溝GRの形状を、長方形、長円形等にすることができる。
図11では溝GRは回転軸と平行に延在しているが、溝の延在する方向が回転軸と直交していても良く(図示せず)、回転軸に対して斜めに延在していても良い(図示せず)。
【0054】
図12の第3変形例では、クリーニングローラ4の回収ロール44Cが転写ドラム1に当接される領域44Coは、メッシュ状の部材で構成している。この場合、
図2における開口部44oはメッシュの網目によって構成されることになる。
開口部の形状、間隔、配置等は、使用するインクの種類、量、粘度、クリーニングローラの転写ドラムに対する圧力、転写ドラム、クリーニングローラの回転速度等の各種パラメータに基づいて、適宜決定される。
【0055】
次に
図13〜
図15を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。以下において、主として
図1〜
図12の第1実施形態とは異なる部分を説明する。
図13において、全体を符号4Aで示すクリーニングローラは、インク貯留部41Aと、ジョイント部材42Aと、回収ロール44Aと、回転軸45Aを備えている。
【0056】
インク貯留部41Aは貯留部本体411Aと、底部の仕切板411bAを有している。仕切板411bAの半径方向内方には、貫通孔411Ahが形成されている。貫通孔411Ahは、貯留部本体411Aの半径方向中心部に設けられた筒状体414Aに隣接しており、貯留部本体411A内の空間において、最も半径方向内方の位置に形成されている。
貯留部本体411Aの下方部材417Aはジョイント部材42Aと接続しており、下方部材417Aには半径方向に延在する流路418Aが形成され、流路418Aは貫通孔411Ahに連通している。
ジョイント部材42Aは円筒部421Aを有し、インクカス吐出孔425Aが形成されている。インクカス吐出孔425Aは、貯留部本体411Aの下方部材417Aに形成された流路418Aと連通している。
流路418Aが形成された下方部材417Aは貯留部本体411Aと一体に構成されており、貫通孔411Ahが形成された仕切板411bAと同時に取り外し可能に構成されている。
【0057】
回収ロール44Aは、転写ドラム1(
図1及び
図16参照)と接触する領域44oAに、多数の開口(例えば、円形の小孔)が形成されている。回収ロール44Aの内側には、回転軸45A方向に延在するインク流路IGAが形成されている。
インク流路IGAは、ジョイント部材42Aの円筒部421Aに形成されたインクカス吐出孔425Aに連通している。換言すれば、インク流路IGAは、インクカス吐出孔425A、流路418A、貫通孔411Ahを介して、インク貯留部41Aの貯留部本体411A内に連通している。
【0058】
クリーニングローラ4Aに侵入したインクカスが貯留部本体411Aまで到達する経路は、
図13において点線の矢印で表示されている。
クリーニングローラ4Aは図示しないレギュレータにより、転写ドラム1に対して、所定の圧力で押圧されているので、転写ドラム1の表面上に残存したインクはクリーニングローラ4A側に押圧され、クリーニングローラ4Aの領域44oA上に多数形成された開口を介して、クリーニングローラ4A内部に侵入し、インク流路IGAに押し込まれる。
そして、レギュレータにより所定の圧力で押圧され続けることにより、インク流路IGAに押し込まれたインクカスは、インクカス吐出孔425A、流路418A、貫通孔411Ahを介して、インク貯留部41Aの貯留部本体411A内に貯留される。
【0059】
図1〜
図12で説明した第1実施形態ではインク排出管413が貯留部本体411の内部空間内に(上方へ)突出しているが、
図13では、そのようなインク排出管413は設けられていない。
その理由について、
図14、
図15を参照して説明する。
上述した通り、粘度の低いインクであれば、
図1〜
図12で説明した第1実施形態を好適に用いることが出来る。それに対して、粘度の高いインクを用いた場合には、インクの粘度等に起因する背圧による影響とクリーニングローラ4の回転による遠心力により、インク排出管413から排出された粘度の高いインクは半径方向外方に移動して、貯留部本体411の内壁に付着する。ここでインクカスの粘度が高いため、貯留部本体411の内壁に付着したインクカスは、下方に移動せずに半径方向外方の位置に停滞する。そして最終的には、インク排出管413よりも半径方向外方の領域WI(
図14において、ハッチングを付した領域)のみに貯留され、インク排出管413よりも半径方向内方の領域NF(
図14において、ハッチングを付していない領域)にはインクカスが貯留されない。
そのため、領域NFについては、貯留部本体411内部空間が有効利用されない。
【0060】
それに対して、
図13で示す第2実施形態では、貫通孔411Ahは貯留部本体411A内の空間において、最も半径方向内方の位置に形成されている。
そのため、クリーニングローラ4Aによるインクカス回収において、最終的には、
図15で示すように、ハッチングを付した領域WIにインクが貯留され、インクが貯留されない領域NF(ハッチングを付していない領域)の体積は、
図14に比較してはるかに小さくなる。
すなわち、インク(或いはインクカス)の粘度が高く、貯留部本体411Aの下方に移動せずに半径方向外方の位置に停滞する傾向がある場合において、第2実施形態に係るクリーニングローラ4Aであれば、貯留部本体411Aの内部空間を有効利用した状態で、インクカスを貯留することが出来る。
【0061】
さらに、貯留部本体411の内部空間内に(上方へ)突出しているインク排出管413を具備していないため、その様なインク排出管413を具備する場合に比較して、インク貯留部41Aの清掃作業が極めて容易である。
それに加えて、
図13を参照して説明した通り、下方部材417Aは貯留部本体411Aと一体であり、仕切板411bAと同時に取り外し可能に構成されているため、メンテナンス作業時には、貯留部本体411A、下方部材417A、仕切板411bAを同時に取り外して洗浄することが出来る。そのため、メンテナンス作業、洗浄作業の作業効率が向上する。
【0062】
図13において、クリーニングローラ4Aに隣接して押圧装置50Aを設けており、回収ロール44A上端部近傍のO−リング49が上方に移動することを防止し、且つ、回収ロール下端部近傍のO−リング49が下方に移動することを防止している。
押圧装置50は、第1の支持部材51、第2の支持部材52、1対の押圧ローラ53、53、1対のローラホルダ54、54、1対の蝶ねじ55、55、1対の角度調整ビス56、56を有し、1対の位置決め用ストッパ60、60を有している。位置決め用ストッパ60、60は、ローラホルダ54、54の位置を調整し、1対の押圧ローラ53、53の位置を固定し、以って、O−リング49、49の位置を固定するために設けられている。
位置決め用ストッパ60、60が、転写ドラム1(
図1、
図16参照)とクリーニングローラ4Aから離隔した側(
図13では左側)に配置されているので、押圧ローラ53、53をO−リング49、49から離隔させる操作が容易になり、メンテナンス時及び清掃時の作業性が向上する。
【0063】
これに加えて第2実施形態では、
図13において、下側の軸受445Bを支持する支持部材445はボルト447により取り付けられている。この下側軸受支持部材445の形状が、
図5で示す形状とは異なっている。
図5(符号445、445B、447は
図5では図示せず)と
図13を比較すれば明らかなように、
図13で示す下側軸受支持部材445は下側に延在しておらず、上下方向寸法が短く構成されている。軽量化を図るためである。
図13〜
図15を参照して説明した第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、
図1〜
図12の第1実施形態と同様である。
【0064】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では押圧装置50を用いてO−リング49の移動を制限しているが、O−リング49を回収ロール44に固定することも可能である。