(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取り付けステープルが、ワイヤーを備え、前記ワイヤーが直径を有し、前記取り付けステープルアパーチャが、幅を有し、前記ワイヤーの前記直径が、前記取り付けステープルアパーチャの前記幅より大きい、請求項1または2に記載の装置。
前記取り付けステープルが、ワイヤーを備え、前記ワイヤーが直径を有し、前記取り付けステープルアパーチャが幅を有し、前記ワイヤーの前記直径が、前記取り付けステープルアパーチャの前記幅と実質的に等しい、請求項1または2に記載の装置。
前記ステープルカートリッジが、内部に配置された複数のステープルと複数のステープルドライバと、を更に備え、前記上部デッキが、複数のステープルアパーチャを備え、前記複数のステープルのうちの各ステープルが、前記複数のステープルドライバのうちのそれぞれのステープルドライバと連通する、請求項1または2に記載の装置。
前記複数のステープルドライバのうちの前記少なくとも1つのステープルドライバが、前記複数の取り付けステープルのうちの少なくとも1つの取り付けステープルの前記弾力的に付勢されるレッグを選択的に係合する、請求項14に記載の装置。
1つ又は2つ以上の取り付け部材を用いて手術用器具のステープルカートリッジにバットレス材料を選択的に連結させる方法であって、前記手術用器具が、前記ステープルカートリッジを受け取るように構成されたエンドエフェクタを備え、前記エンドエフェクタが、前記ステープルカートリッジが内部に挿入されるとき、組織の一部分を切断しかつ組織の一部分をステープル留めするように操作可能であり、前記ステープルカートリッジが、複数のステープルアパーチャを有する上部デッキとステープルドライバとを備え、前記方法が、
(a)前記バットレス材料を前記上部デッキの少なくとも一部分上に置くことと、
(b)前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を前記バットレス材料を通して前記複数のステープルアパーチャのうちの少なくとも1つのステープルアパーチャに挿入することと、を含み、
前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を挿入することで、前記バットレス材料を前記ステープルカートリッジに選択的に連結させ、前記ステープルドライバが、前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を選択的に前記ステープルカートリッジから連結解除させるように操作可能であり、
前記1つ又は2つ以上の取り付け部材のうちの各取り付け部材が、1対の弾力的に付勢されるレッグを備える、方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点が以下の説明から当業者には明らかとなろう。以下の説明は、実例として、本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである。明らかなように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の様々な明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明文は、例示的な性質のものであって限定的なものと見なすべきではない。
【0007】
I.例示の手術用ステープラー
図1〜
図6は、外科手技を行うために、
図1Aに示すような非関節動作状態でトロカールカニューレ通路を通って患者の体内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示的な手術用ステープル留め及び切断器具(10)を図示している。手術用ステープル留め及び切断器具(10)は、実施部分(22)に接続されたハンドル部分(20)を含み、実施部分は、関節動作機構(11)の遠位に終端するシャフト(23)と、遠位に取り付けられたエンドエフェクタ(12)と、を更に備える。関節動作機構(11)及びエンドエフェクタ(12)がトロカールのカニューレ通路を通して挿入された後、
図1Bに図示されているように、関節動作制御(13)によって関節動作機構(11)を遠隔的に関節動作を行うことができる。そのようにして、エンドエフェクタ(12)は、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達する若しくは組織に近づくことができる。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位のハンドル部分(20)に対して遠位である。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語を図面に対して使用する点も更に認識されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び配置において使用され、これらの用語は、制限的及び絶対的であることが意図されない。
【0008】
本発明の実施例のエンドエフェクタ(12)は下部つかみ具(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。ハンドル部分(20)はピストル把持部(24)を含み、臨床医がピストル把持部(24)に向かって閉鎖トリガー(26)を枢動して引くことにより、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)に向かってアンビル(18)のクランプすなわち閉鎖が引き起こされる。そのようなアンビル(18)の閉鎖は、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する最も外側の閉鎖スリーブ(32)を通してもたらされる。閉鎖スリーブ(32)の遠位の閉鎖リング(33)は、実施部分(22)のフレーム(34)によって間接的に支持される。関節動作機構(11)にて、閉鎖スリープ(32)の近位側の閉鎖管(35)は遠位の閉鎖リング(33)と連通している。フレーム(34)は、関節動作機構(11)を介して下部つかみ具(16)に偏向可能に取り付けられて、単一の平面での関節動作を可能にする。フレーム(34)はまた、発射トリガー(28)からの発射運動を発射バー(14)に伝えるためにシャフト(23)を通して延在する発射駆動部材(図示せず)を長手方向に摺動可能に支持する。発射トリガー(28)は、閉鎖トリガー(26)より更に外側寄りにあり、以下に詳細に説明するように、これが臨床医によって枢動式に引かれると、エンドエフェクタ(12)にクランプされている組織にステープルが打ち込まれ、組織が切断される。その後、解放ボタン(30)を押してエンドエフェクタ(12)から組織を解放する。
【0009】
図2〜
図5は、数多くの機能を実行するために電子ビーム発射バー(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を図示している。
図3A〜3Bに最もわかりやすく図示されているように、発射バー(14)は横断方向に配向された上方のピン(38)と、発射バーキャップ(44)と、横断方向に配向された中央ピン(46)と、遠位に提供された切断エッジ(48)と、を含む。上方のピン(38)は、アンビル(18)のアンビルポケット(40)の内部に位置付けられており、移動可能である。発射バーキャップ(44)は、下部つかみ具(16)を通して形成されたチャネルスロット(45)(
図3Bに図示)を通して延在する発射バー(14)を有することによって、下部つかみ具(16)の下側表面と摺動可能に係合する。中央ピン(46)は、発射バーキャップ(44)協働動作する下部つかみ具(16)の上面と摺動可能に係合する。そのようにして、発射バー(14)は、発射中にエンドエフェクタ(12)の間隔を確実に維持して、クランプされる組織の量が最低限の状態でのアンビル(18)と下部つかみ具(16)の間に生じ得るピンチングを克服し、かつクランプされた組織の量が多過ぎる状態でのステープルの奇形を克服する。
【0010】
図2は、近位に位置付けられた発射バー(14)、及び、未使用のステープルカートリッジ(37)を下部つかみ具(16)のチャネルの中に着脱可能に搭載できるように、開放位置まで旋回しているアンビル(18)を示す。
図4〜5に最もわかりやすく示されているように、本実施例のステープルカートリッジ(37)はカートリッジ本体(70)を含み、カートリッジ本体は上部デッキ(72)を提供し、下方のカートリッジトレイ(74)と連結されている。
図2に最もわかりやすく示されているように、ステープルカートリッジ(37)の部分を通して垂直スロット(49)が形成されている。また、
図2に最もわかりやすく示されているように、垂直スロット(49)の一方の側に上部デッキ(72)を通して3列のステープルアパーチャ(51)が形成され、垂直スロット(49)の他方の側に上部デッキ(72)を通して3列のステープルアパーチャ(51)が形成されている。再び
図3〜5を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)がカートリッジ本体(70)とトレイ(74)との間に捉えられており、ステープルドライバ(43)に対して近位に楔形スレッド(41)が位置している。楔形スレッド(41)はステープルカートリッジ(37)の内部で長手方向に移動可能であり、一方、ステープルドライバ(43)はステープルカートリッジ(37)の内部で垂直方向に移動可能である。ステープル(47)もまたカートリッジ本体(70)の内部に、対応するステープルドライバ(43)の上に位置付けられる。具体的には、それぞれのステープル(47)はステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)の内部で垂直方向に駆動されて、関連付けられたステープルアパーチャ(51)を通してステープル(47)を外へと駆動する。
図3A〜3B及び
図5に最もよく図示されているように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通して遠位に駆動されるにつれてステープルドライバ(43)を上方に付勢するように傾斜カム表面を生じさせる。
【0011】
図3Aのようにエンドエフェクタ(12)が閉じられている状態で、上方のピン(38)を長手方向のアンビルスロット(42)に入れることによって、発射バー(14)がアンビル(18)と係合して前進する。押しブロック(80)は、発射バー(14)の遠位端に位置して、発射バー(14)がステープルカートリッジ(37)を通して遠位に前進するにつれて押しブロック(80)が楔形スレッド(41)を遠位に押すように、楔形スレッド(41)と係合するように構成される。そのような発射中に、発射バー(14)の切断エッジ(48)がステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。
図3A〜3Bに示すように、ステープルカートリッジ(37)内の発射スロット(49)に入ることで、中央ピン(46)及び押しブロック(80)が共にステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)をステープルドライバ(43)との上向きのカム接触(camming contact)へと駆動させ、その結果、ステープル(47)がステープルアパーチャ(51)を通して押し出され、アンビル(18)の内面のステープル形成ポケット(53)と接触を形成する。
図3Bは、組織を切断しステープルが打ち込まれた後に完全に遠位に移動した発射バー(14)を図示する。
【0012】
図6は、組織(90)を貫通する1回のストロークを介して作動されたエンドエフェクタ(12)を示す。切断エッジ(48)が組織(90)を貫通して切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断エッジ(48)が作り出している切断線のそれぞれの側で、組織(90)を通してステープル(47)の3本の交互の列を駆動している。この実施例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は任意の好適な配向で位置付けられ得ることを理解されたい。本発明の実施例では、最初のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから後退し、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換し、その後に、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通して挿入して、ステープル留めする部位に到達し、更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(47)が提供されるまでこのプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通した挿入及び後退を容易にするためにアンビル(18)を閉じる必要があり得る、そしてステープルカートリッジ(37)の交換を容易にするためにアンビル(18)を開く必要があり得る。
【0013】
それぞれの作動ストローク中に、ステープル(47)が組織を通して駆動されるのとほぼ同時に切断エッジ(48)が組織を切断することができることを理解されたい。本発明の実施例では、切断エッジ(48)はステープル(47)の駆動にごくわずかに遅れて進むので、ステープル(47)は、切断エッジ(48)が組織の同じ区域を通過する直前に組織を通して打ち込まれるが、この順序を逆にすることができること、又は、切断エッジ(48)が隣接するステープルと直接同期されてもよいことを理解されたい。
図6は、2層(92、94)の組織(90)で作動されているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は単層の組織(90)を通して、又は2層(92、94)以上の組織を通して作動されてもよいことを理解されたい。また、切断エッジ(48)が作り出した切断線に隣接するステープル(47)の形成及び位置付けが、切断線で組織を実質的に封着することができ、したがってその切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減若しくは予防することができることも理解されたい。器具(10)が使用され得る他の好適な設定は、本明細書の教示を考慮して、当業者には明らかとなろう。
【0014】
米国特許第4,805,823号、米国特許第5,415,334号、米国特許第5,465,895号、米国特許第5,597,107号、米国特許第5,632,432号、米国特許第5,673,840号、米国特許第5,704,534号、米国特許第5,814,055号、米国特許第6,978,921号、米国特許第7,000,818号、米国特許第7,143,923号、米国特許第7,303,108号、米国特許第7,367,485号、米国特許第7,380,695号、米国特許第7,380,696号、米国特許第7,404,508号、米国特許第7,434,715、及び/又は米国特許第7,721,930号の教示のいずれかによって器具(10)が構成され得る及び動作可能であり得ることを理解されたい。
【0015】
上述のように、それらの特許のそれぞれの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。器具(10)に提供することができる更に他の例示的な修正例は、後でより詳しく述べられる。以下の教示が器具(10)に採用される種々の適切な方法は、当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用された特許の様々な教示と組み合わせることができる種々の適切な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示が、本明細書で引用された特許に教示された器具(10)又は装置に限定されないことを理解されたい。以下の教示は、手術用ステープラーとして分類されない器具を含む様々な他の種類の器具に容易に適用することができる。以下の教示を適用することができる種々の他の適切な装置及び環境は、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう。
【0016】
II.ステープルカートリッジに連結された例示的なバットレス材料
いくつかの例示的なバージョンでは、ステープルカートリッジ(37)は、例えば、
図7〜9に示すようなバットレス材料(100)と併用されてもよい。組織を切断する間、及び/又は組織をステープル留めする間、切断領域の支持及び治癒の補助をするために、バットレス材料(100)を利用することが望ましい場合がある。本発明の実施例では、バットレス材料(100)は、手術部位が切断されステープルで留められるとき、手術部位を支えるのに作用可能な凝固剤を含む。例えば、バットレス材料(100)は、フィブリン及びトロンビンを含んでもよく、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう任意の好適な凝固剤を使用してもよい。更に、バットレス材料(100)は、止血剤、任意の好適な接着剤材料、無細胞組織(例えば、同種の又は異種の)、コラーゲン、ゼラチン、酸化再生セルロース(ORC)、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール、ポリクプロ酸等の分解性の織布及び不織布合成材料、又は本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう任意の他の好適な材料を含んでもよい。いくつかの例示的なバージョンでは、バットレス材料(100)はフィブリンパッドを含んでもよい。更に、バットレス材料(100)は、様々な好適な材料の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0017】
図7は、上部デッキ(70)に置かれ、上部デッキ(70)の長さに沿って実質的に延在するバットレス材料(100)を図示する。バットレス材料(100)は、ステープルカートリッジ(37)に連結された概して均一な厚さのパッドであるが、バットレス材料(100)は上部デッキ(70)上の別々の部分に分配されてもよいことが理解されるであろう。例えば、バットレス材料(100)細片が単一パッドの代わりに使用されてもよい。そのような細片としては、長手方向細片、横方向細片、対角線細片等が挙げられる。あるいは、より大きな量又はより少ない量のバットレス材料(100)が、上部デッキ(70)の遠位端及び/又は近位端に位置付けされてもよいが、これは単に任意選択である。本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう上部デッキ(70)に沿ったバットレス材料(100)の任意の好適な分配を使用してもよいことを理解されたい。以下に説明するようにバットレス材料(100)がステープルカートリッジ(37)から連結を解除したとき、平たい、長方形の形状を一般に維持することができるように、本発明の実施例のバットレス材料(100)は半剛構造及び/又は剛構造を含む。
【0018】
図8A〜8Bに示す1つ又は2つ以上のステープルドライバ(43)は内部に挿入されたステープル(47)を有しないように、本発明の実施例のカートリッジ(37)は変更されている。その代わりに、取り付けステープル(110)がバットレス材料(100)を通ってステープル(47)なしのステープルドライバ(43)に対応するステープルアパーチャ(51)に挿入される。
図7に示す実施例では、6つの取り付けステープル(110)がバットレス材料(100)を通ってステープルアパーチャ(51)に挿入され、バットレス材料(100)をステープルカートリッジ(37)の上部デッキ(70)に実質的に固定する。バットレス材料(100)をステープルカートリッジ(37)に連結するために、任意の数の取り付けステープル(110)を使用してもよいことを理解されたい。取り付けステープル(110)はそれぞれ、取り付けステープル(110)の主部から外方向に付勢される1対の弾力的なレッグ(112)を含む。したがって、取り付けステープル(110)がバットレス材料(100)を通ってステープルアパーチャ(51)に挿入されるとき、弾力的に付勢されるレッグ(112)がステープルアパーチャ(51)の側壁に当接し選択的に係合し、ステープルアパーチャ(51)の内部から外れることを摩擦で阻止する。
図3A〜3Bに示すように、ステープルカートリッジ(37)が楔形スレッド(41)の作動によってステープル(47)を配備するために使用されるとき、
図8A〜8Bを参照して以下でより詳細に説明するように、取り付けステープルが(110)が連結を解除しそれぞれのステープルアパーチャ(51)から押し出されるように、取り付けステープル(110)の下に位置したそれぞれのステープルドライバ(43)が弾力的に付勢されるレッグ(112)をステープルアパーチャ(51)の側壁から移動させる。当業者には明らかであるように、取り付けステープル(110)の上部デッキ(70)及び組織に対する配向は、ステープル(47)がステープルカートリッジ(37)から配備されるとき、取り付けステープル(110)が組織を貫通しないような配向である。例えば、取り付けステープル(110)は、バットレス材料(100)に固定されたままであってもよく、手術部位に自由に落下してもよく、アンビル(18)の特徴によって保持されてもよい。
【0019】
ステープルアパーチャ(51)から選択的に連結、脱連結するための取り付けステープル(110)の他の好適な構成又は他の構成要素は、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう。例えば、いつくかのバージョンでは、取り付けステープル(110)はステープル(47)に使用されたワイヤーより大きい直径のワイヤーを含んでもよい。したがって、弾力的に付勢されるレッグ(112)も、ステープルアパーチャ(51)内のより大きい直径のワイヤーの締りばめによりステープルアパーチャ(51)に選択的に固定されてもよい。更なるバージョンでは、取り付けステープル(110)は、ステープルアパーチャ(51)の材料に食い込んで取り除きに抵抗するように構成されたバーブ(114)を含んでもよい。あるいは、長方形の挿入可能な部材(図示せず)が取り付けステープル(110)の代わりに使用されてもよい。そのような挿入可能な部材は取り除きに抵抗するバーブ(114)を含んでもよい。あるいは、バットレス材料(100)を上部デッキ(70)に更に固定する、又は代わりに固定するために、上部デッキ(70)とバットレス材料(100)との間に接着剤が含まれてもよい。
【0020】
図8Aは、取り付けステープル(110)によって上部デッキ(70)に連結されたバットレス材料(100)を有するステープルカートリッジ(37)を図示する。複数のステープル(47)もステープルドライバ(43)の上に配備していない状態で示される。
図8Bは、ステープル(47)とともに配備されかつ組織(90)に連結されたバットレス材料(100)を図示する。
図8Aに示すように、ステープル(47)は、最初ステープルカートリッジ(37)のステープルアパーチャ(51)に装填され、かつステープルドライバ(43)の上に配備していない状態で位置付けされる。図示された実施例では、1つのステープルアパーチャ(51)は内部でステープル(47)を受け取らない。その代わりに、バットレス材料(100)が上部デッキ(70)の上に置かれると、取り付けステープル(110)はステープルアパーチャ(51)内に挿入され、選択的に固定される。単一の取り付けステープル(110)が示されるが、1つ又は2つ以上の取り付けステープル(110)が使用されてもよいことを理解されたい。単なる実施例として、バットレス材料(100)を固定するためにステープルカートリッジ(37)の片側当たり3つの取り付けステープル(110)が使用されてもよい。
図8Aに示すように、バットレス材料(100)が連結されたステープルカートリッジ(37)は、配備していない状態で組織をステープル留めするために使用する準備が整っている。
【0021】
組織(90)が切断されステープル留めされるためにステープルカートリッジ(37)の上に位置付けされると、次に、使用者は閉鎖トリガー(26)を作動させ、組織(90)をアンビル(18)とバットレス材料(100)との間に固定させる。次に、使用者は発射トリガー(28)を作動させ発射バー(14)がステープルカートリッジ(37)を遠位に通って作動させる。前述したように、発射バー(14)の切断エッジ(48)はステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間に固定された組織を切断する。ステープルカートリッジ(37)内の発射スロットに入ることで、中央ピン(46)及び押しブロック(80)が共にステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)をステープルドライバ(43)との上向きのカム接触へと駆動させ、その結果、ステープル(47)がステープルアパーチャ(51)を通って押し出され、バットレス材料(100)を通って、組織(90)を通って、アンビル(18)の内面のステープル形成ポケット(53)と接触を形成する。楔形スレッド(41)もそれぞれのステープルドライバ(43)を取り付けステープル(110)に打ち込み、それによって弾力的に付勢されるレッグ(112)が押し動かされ、
図8Bに示すように取り付けステープル(110)がステープルアパーチャ(51)から出射する。したがって、ステープル(47)は、ステープルカートリッジ(37)から配備したとき、組織(90)にステープルを打ち込むこととバットレス材料(100)を組織(90)に固定させる両方を行う。本発明の実施例では、取り付けステープル(110)はステープルカートリッジ(37)から押し動かされるだけで、組織(90)に連結されないことを理解すべきである。いくつかのバージョンでは、弾力的に付勢されるレッグ(112)は鈍い先端を含んでもよい。
【0022】
当然のことながら、他の形状の取り付けステープル(110)及び/又はステープルカートリッジ(37)は、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう。例えば、
図9に示すように、取り付けステープル(110)が挿入されるそれぞれのステープルアパーチャ(51)において、例示的な取り付けステープルドライバー(150)がステープルカートリッジ(37)に含まれてもよい。本発明の実施例の取り付けステープルドライバー(150)は、ドライバー本体(152)及びドライバー本体(152)の表面に形成されたステープル形成ポケット(154)を含む。本発明の実施例のステープル形成ポケット(154)は、弾力的に付勢されるレッグ(112)を係合しかつ曲げて渦巻状のステープルレッグにするように構成される。したがって、バットレス材料(100)、ステープル(47)、及び取り付けステープル(110)が身体内の組織(90)に連結されるとき、他の組織が弾力的に付勢されるレッグ(112)に巻き込まれないように、渦巻状の弾力的に付勢されるレッグ(112)は滑らかな表面を形成してもよい。当然のことながら、他のバージョン及び形状のステープルカートリッジ(37)及び/又はバットレス材料(100)も本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう。単なる実施例として、ステープルカートリッジ(37)及び/又はバットレス材料(100)は、2011年9月15日出願の「Surgical Instrument and Buttress Material、」という名称の米国特許出願第13/233,664号の教示の少なくともいくつかによって構築されてもよく、当該出願の開示内容は参照によって本願に組み込まれる。
【0023】
例示的な手術用器具の特定の構成が説明されているが、手術用器具を構成することができる様々な他の方法が、本明細書の教示を考慮することで、当業者には明らかとなるであろう。単なる実施例として、本明細書で述べた手術用器具は米国特許第4,805,823号、米国特許第5,415,334号、米国特許第5,465,895号、米国特許第5,597,107号、米国特許第5,632,432号、米国特許第5,673,840号、米国特許第5,704,534号、米国特許第5,814,055号、米国特許第6,978,921号、米国特許第7,000,818号、米国特許第7,143,923号、米国特許第7,303,108号、米国特許第7,367,485号、米国特許第7,380,695号、米国特許第7,380,696号、米国特許第7,404,508号、米国特許第7,434,715号、及び米国特許第7,721,930号の教示の少なくともいくつかによって構築されてもよい。
【0024】
本明細書に援用されると言われるいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、その全体又は一部において、援用文献が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲で本明細書に援用するものであることが認識されるべきである。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0025】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡及び開腹手術用器具、並びにロボット支援手術における応用が可能である。例えば、当業者は、本明細書の様々な教示が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された2004年8月31日公開の米国特許第6,783,524号の様々な教示と容易に組み合わせ得ることを理解するであろう。
【0026】
本明細書で開示される装置の実施形態は、少なくとも1回の使用の後に、再使用のために再調整することができる。再調整することは、装置を分解すること、それに続いて特定の部品を洗浄及び交換すること、並びにその後の再組み立てすることの任意の組み合わせを含んでよい。具体的には、本明細書で開示される装置の実施形態は、分解することができ、本装置の、任意数の特定部片又は部品を、任意の組み合わせで、選択的に交換するか若しくは取り外すことができる。特定部品の洗浄及び/又は交換の際、本装置の実施形態は、その後の使用のために、再調整用の施設で、又は外科手技の直前に外科チームによって、再組み立てすることができる。装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることが、当業者には理解されよう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0027】
一例に過ぎないが、本明細書で説明した実施形態は、手術前に処理されてもよい。まず、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。器具は次いで、滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖かつ密封された容器に器具を入れる。次いで、容器及び器具は、γ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線場に置かれてもよい。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次いで、滅菌された器具は、滅菌容器内で保管されてもよい。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含めて、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0028】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改作が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そうした可能な改変例の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、以上に考察した実施例、実施形態、幾何学的図形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において考慮されるべきであり、本明細書及び図面において示し、説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0029】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)手術用器具であって、組織の一部分を切断しステープル留めするように操作可能であり、遠位端を含み、前記遠位端にエンドエフェクタを備える、手術用器具と、
(b)ステープルカートリッジであって、前記エンドエフェクタに選択的に挿入可能であり、
i.上部デッキと、
ii.前記上部デッキと連通するバットレス材料と、
iii.取り付けステープルドライバと、を備え、
前記バットレス材料は1つ又は2つ以上のファスナーによって前記ステープルカートリッジに選択的に連結され、
前記取り付けステープルドライバは、前記1つ又は2つ以上のファスナーを係合するように操作可能であり、前記取り付けステープルドライバは、前記1つ又は2つ以上のファスナーを脱連結させるように操作可能である、ステープルカートリッジと、を備える、装置。
(2) 前記1つ又は2つ以上のファスナーが、前記バットレス材料を前記上部デッキに選択的に連結させる取り付けステープル、を備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記上部デッキが、前記取り付けステープルが挿入される取り付けステープルアパーチャ、を備える、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記取り付けステープルが、ワイヤーを備え、前記ワイヤーが直径を有し、前記取り付けステープルアパーチャが、幅を有し、前記ワイヤーの前記直径が、前記取り付けステープルアパーチャの前記幅より大きい、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記取り付けステープルが、ワイヤーを備え、前記ワイヤーが直径を有し、前記取り付けステープルアパーチャが幅を有し、前記ワイヤーの前記直径が、前記取り付けステープルアパーチャの前記幅と実質的に等しい、実施態様3に記載の装置。
【0030】
(6) 前記ステープルカートリッジが、内部に配置された複数のステープルと複数のステープルドライバと、を更に備え、前記上部デッキが、複数のステープルアパーチャを備え、前記複数のステープルのうちの各ステープルが、前記複数のステープルドライバのうちのそれぞれのステープルドライバと連通する、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記取り付けステープルアパーチャが、前記ステープルアパーチャのうちの1つ又は2つ以上と長手方向に位置合わせされる、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記複数のステープルドライバが、前記複数のステープルを前記バットレス材料を通して打ち込むように操作可能である、実施態様6に記載の装置。
(9) 前記取り付けステープルドライバが、前記取り付けステープルアパーチャと連通する、実施態様3に記載の装置。
(10) 前記取り付けステープルドライバが、前記上部デッキに対して垂直方向に並進運動可能である、実施態様9に記載の装置。
【0031】
(11) 前記取り付けステープルドライバが、ステープル形成ポケット、を備える、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記取り付けステープルが、1対の弾力的に付勢されるレッグを備える、実施態様2に記載の装置。
(13) 前記弾力的に付勢されるレッグが、外向きに付勢される、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記弾力的に付勢されるレッグが、かかりを備える、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記バットレス材料が、
止血剤、
トロンビン、又は
フィブリンからなる群から選択される、実施態様1に記載の装置。
【0032】
(16) 装置であって、
(a)アンビルと、下部つかみ具と、切断エッジを有する発射バーと、を備える、手術用器具であって、前記アンビル及び前記下部つかみ具が、それらの間で組織の一部分を固定させるように操作可能であり、前記発射バーが、前記組織の一部分を切断するために前記アンビル及び前記下部つかみ具に対して遠位に前進するように操作可能である、手術用器具と、
(b)前記下部つかみ具に選択的に挿入可能であるステープルカートリッジであって、
i.カートリッジ本体と、
ii.内部を貫通して形成された複数のステープルアパーチャを有する上部デッキと、
iii.前記複数のステープルアパーチャのうちのそれぞれのステープルアパーチャとそれぞれ連通する複数のステープルドライバと、
iv.前記複数のステープルドライバのうちの1つ又は2つ以上のステープルドライバと連通する、前記カートリッジ本体に配置された1つ又は2つ以上のステープルと、
v.前記上部デッキと連通するバットレス材料と、を備える、ステープルカートリッジと、を備え、
前記バットレス材料が、少なくとも1本のファスナーによって前記ステープルカートリッジに選択的に連結され、
前記複数のステープルドライバのうちの少なくとも1つのステープルドライバが、前記バットレス材料を前記ステープルカートリッジから選択的に連結解除させるように操作可能である、装置。
(17) 前記少なくとも1本のファスナーが、複数の取り付けステープルを備え、前記複数の取り付けステープルのうちの各取り付けステープルが、ステープルアパーチャに挿入される、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記複数の取り付けステープルのうちの各取り付けステープルが、1対の弾力的に付勢されるレッグを備える、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記複数のステープルドライバのうちの前記少なくとも1つのステープルドライバが、前記複数の取り付けステープルのうちの少なくとも1つの取り付けステープルの前記弾力的に付勢されるレッグを選択的に係合する、実施態様18に記載の装置。
(20) 1つ又は2つ以上の取り付け部材を用いて手術用器具のステープルカートリッジにバットレス材料を選択的に連結させる方法であって、前記手術用器具が、前記ステープルカートリッジを受け取るように構成されたエンドエフェクタを備え、前記エンドエフェクタが、前記ステープルカートリッジが内部に挿入されるとき、組織の一部分を切断しかつ組織の一部分をステープル留めするように操作可能であり、前記ステープルカートリッジが、複数のステープルアパーチャを有する上部デッキとステープルドライバとを備え、前記方法が、
(a)前記バットレス材料を前記上部デッキの少なくとも一部分上に置くことと、
(b)前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を前記バットレス材料を通して前記複数のステープルアパーチャのうちの少なくとも1つのステープルアパーチャに挿入することと、を含み、
前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を挿入することで、前記バットレス材料を前記ステープルカートリッジに選択的に連結させ、前記ステープルドライバが、前記1つ又は2つ以上の取り付け部材を選択的に連結解除させるように操作可能である、方法。