(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、重心を下げて耐震性を向上させるためには、機械室を可能な範囲で下側に配置することが望まれる。しかしながら、機械室を下側に配置しようとする場合、荷を回収するホッパーなどの回収部と干渉するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、耐震性を向上できる橋形荷役装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る橋形荷役装置は、所定方向へ走行可能な脚部と、所定方向と直交する方向である前後方向へ延伸すると共に、脚部から前方へ向かって突出するガーダーと、ガーダーに沿って横行可能な荷役部と、荷役部を動作させるワイヤロープの巻取り及び送出可能なドラムと、ドラムを内部に収容する機械室と、荷役部で搬送された荷を回収する回収部と、を備える橋形荷役装置であって、機械室は、脚部に設けられると共に、脚部において回収部よりも後側に設けられる。
【0007】
本発明に係る橋形荷役装置は、ドラムを内部に収容する機械室が脚部に設けられている。また、機械室は、脚部において、荷役部で搬送された荷を回収する回収部よりも後側に設けられる。このように、機械室が回収部より後側に設けられることによって、回収部と機械室とが干渉することなく、上下方向における機械室の位置を低くすることができる。また、機械室が回収部より後側に設けられることによって、荷役部が荷を回収部へ搬送する際に、荷役部は機械室付近を通過しない構成とすることができる。従って、機械室に対する荷の落下などの影響を抑制しつつ、重心を下げることができる。以上により、橋形荷役装置の耐震性を向上できる。
【0008】
本発明に係る橋形荷役装置は、ドラムを回転させるためのモータの制御を行う制御部を内部に収容する電気室を更に備え、脚部は、互いに所定方向に対向して離間する一対の柱部を備え、機械室及び電気室は、一対の柱の間に設けられる。このような構成により、機械室及び電気室を脚部に設ける場合であっても、脚部の大型化を抑制できる。
【0009】
本発明に係る橋形荷役装置は、電気室内の制御部から機械室のモータへ供給される電力の電圧を変化させる変圧器を更に備え、機械室、電気室、及び変圧器は、コ字状に配置されてよい。このような構成により、電気室、変圧器、及び機械室間の配線距離を短くすることが可能となり、脚部の大型化を抑制できる。
【0010】
本発明に係る橋形荷役装置は、ガーダーに設けられ、ドラムから延びるワイヤロープが架け渡されるシーブを更に備えてよい。例えば、機械室がガーダーに設けられていた場合は、機械室内のドラムのドラム溝からのワイヤロープの外れないように、ガーダー後端のシーブとドラムとの距離を長くする必要がある。一方、ガーダーに設けられ、ドラムから延びるワイヤロープが架け渡されるシーブを備える場合、ドラム溝からのワイヤロープの外れの心配が無くなるため、シーブとガーダーの後側のシーブとの間の距離を短くすることができ、その結果、ガーダーの後側の突出長さを短くすることができる。
【0011】
本発明に係る橋形荷役装置において、脚部は、前後方向に対向するように配置される一対の走行部と、一対の走行部間に架け渡されるフレーム部と、を備え、回収部、及び機械室は、フレーム部上に載置されてよい。このような構成により、フレーム部に対して予め回収部及び機械室を載置したものをユニットとして製造することができるため、工期を短縮することができる。
【0012】
本発明に係る橋形荷役装置において、回収部の下部には、回収部によって回収された荷を搬送するコンベアが配置され、コンベアは、機械室を迂回して後方へ向かってよい。このような構成により、機械室と干渉することなく、回収部で回収した荷を搬送することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、橋形荷役装置の耐震性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示すように、橋形荷役装置1は、例えば岸壁に配置され、船舶の荷を回収する装置である。本実施形態では、橋形荷役装置1として、橋形式アンローダを例示している。ただし、橋形式アンローダに限定されず、橋形のクレーンに本発明を適用してもよい。なお、以下の説明においては、橋形荷役装置1が走行する方向を「走行方向D1(所定方向)」と称する。また、荷を搬送する方向を「前後方向D2」と称すると共に、回収される荷を積載する船舶が配置されている側を「前側」と称し、船舶からの荷の搬送先を「後側」と称する。前後方向D2は、水平方向であって走行方向D1と直交する方向である。また、鉛直方向を「上下方向D3」と称する。
図1に示すように、橋形荷役装置1は、脚部2と、ガーダー3と、荷役部4と、回収部6と、機械室7と、変圧器8と、電気室9と、を備える。
【0017】
脚部2は、岸壁に配置されたレール50A,50Bに沿って走行方向D1へ走行可能な構造物である。脚部2は、互いに前後方向D2に対向して離間配置される前側走行部11A及び後側走行部11Bと、前側走行部11A及び後側走行部11B間に架け渡されるフレーム部12と、前側走行部11Aから上方へ向かって延びる一対の前側柱部13A,14Aと、後側走行部11Bから上方へ向かって延びる一対の後側柱部13B,14Bと、を備える。
【0018】
前側走行部11Aは、脚部2の前側に配置され、後側走行部11Bは、脚部2の後側に配置される。前側走行部11Aは、走行方向D1に互いに離間するように配置されてレール50A上を走行する一対の走行装置16A,16Aと、走行方向D1に沿って略水平に延びて一対の走行装置16A,16A間に架け渡される連結部材17Aと、を備えている。後側走行部11Bは、走行方向D1に互いに離間するように配置されてレール50B上を走行する一対の走行装置16B,16Bと、走行方向D1に沿って略水平に延びて一対の走行装置16B,16B間に架け渡される連結部材17Bと、を備えている。走行装置16A,16Bは、図示されないモータによって駆動される車輪を有しており、レール50A,50Bでガイドされた状態で走行する。
【0019】
前側柱部13A,14Aは、互いに走行方向D1に対向して離間している。前側柱部13A,14Aの下端部は前側走行部11Aの連結部材17Aに接続されている。前側柱部13A,14Aの上端部は、走行方向D1に延びる連結部材18Aに接続されている。また、前側柱部13A,14Aは、上方に向かうに従って互いに近接するように傾斜している。このような構成により、前側柱部13A,14A間には、脚部2の上側の領域に比して、下側の領域の方が広いスペースが確保される。後側柱部13B,14Bは、互いに走行方向D1に対向して離間している。後側柱部13B,14Bの下端部は後側走行部11Bの連結部材17Bに接続されている。後側柱部13B,14Bの上端部は、走行方向D1に延びる連結部材18Bに接続されている。また、後側柱部13B,14Bは、上方に向かうに従って互いに近接するように傾斜している。このような構成により、後側柱部13B,14B間には、脚部2の上側の領域に比して、下側の領域の方が広いスペースが確保される。
【0020】
フレーム部12は、前側走行部11A及び後側走行部11Bのうち、走行方向D1における略中央位置に架け渡される。すなわち、フレーム部12は、連結部材17A,17Bのうち、走行方向D1における略中央位置に架け渡される。
図2に示すように、フレーム部12は、全体として矩形枠状の形状を有している。
【0021】
具体的には、
図2に示すように、フレーム部12は、走行方向D1に対向すると共に前後方向D2に延びる一対の横架材31,32と、横架材31,32同士の間で走行方向D1に延びて当該横架材31,32同士を連結する連結部材33,34,35と、を備える。横架材31,32の前側の端部は、前側走行部11Aの連結部材17A上に配置されている。また、横架材31,32の前側の端部は、連結部材33で連結されている。横架材31,32は、後側走行部11Bよりも後方まで突出している。従って、横架材31,32の後側の端部は、後側走行部11Bの連結部材17Bよりも後方に配置されている。また、横架材31,32の後側の端部は、連結部材35で連結されている。横架材31,32の前後方向における略中央位置には、連結部材34が架け渡されている。
【0022】
連結部材34の走行方向D1における両端部は、横架材31,32よりも外側へ突出することによって延長部34a,34bとして構成される。連結部材35の走行方向D1における両端部は、横架材31,32よりも外側へ突出することによって延長部35a,35bとして構成される。延長部34aと延長部35aとの間には、横架材31から突出する補助部材36が設けられている。延長部34bと延長部35bとの間には、補助部材37が設けられている。
【0023】
図1に示すように、ガーダー3は、前後方向D2へ延伸すると共に、脚部2から前方へ向かって突出する橋形の部材である。なお、
図1に示す本実施形態では、ガーダー3は、前後方向D2と完全に一致するように延伸しているが、前後方向D2に対して傾斜していてもよく、ガーダー3の延伸方向に前後方向D2の方向成分が含まれていればよい。ガーダー3は、前側柱部13A,14Aを連結する連結部材18Aと、後側柱部13B,14Aを連結する連結部材18Bと、連結部材18A,18Bに支持されるビーム21,21と、を備えている。ビーム21,21は、互いに走行方向D1に対向すると共に前後方向D2に延びる。ビーム21,21は、連結部材18A,18B間で延伸すると共に、連結部材18Aよりも前方へ突出している。ガーダー3のうち、連結部材18Aよりも前方へ突出する突出部3Aは、連結部材18A付近を回転中心として、起伏することができる(例えば、
図1において矢印Rに示す方向に起伏する)。なお、ガーダー3は、連結部材18Bよりも後方へも突出しているが、突出量は、突出部3Aよりも小さい。なお、連結部材18Aの上側では、前側柱部13A,14Aの延長部が設けられ、上端部が連結部材19Aで接続されている。
【0024】
荷役部4は、ガーダー3に沿って横行可能な装置であり、荷を回収するバケット22と、バケット22を吊り下げて移動させるトロリ23と、を備える装置である。トロリ23は、ワイヤロープを介してバケット22を吊り下げている。トロリ23は、ガーダー3に沿って前後方向に横行することによって、バケット22を前後方向に移動させることができる。また、トロリ23は、バケット22の吊長さを変更することによって、バケット22を上下方向に移動させる。なお、荷役部4の動作は、機械室7のモータによるワイヤロープの巻取りと送出によって制御される。ワイヤロープの這い回しに関しては、後述する。
【0025】
機械室7は、ワイヤロープの巻取り及び送出可能なドラムを内部に収容する。本実施形態では、機械室7は、第1の機械室7A及び第2の機械室7Bに分割されている。第1の機械室7Aは、荷役部4を動作させるためのワイヤロープの巻取り及び送出可能なドラム41A,41B,41C,41D及びそれらを駆動させるモータ42A,42B,42C,42Dを収容しており、第2の機械室7Bは、ガーダー3の突出部3Aを起伏動作させるためのワイヤロープの巻取り及び送出可能なドラム43A,43B及びそれらを駆動させるモータ44を収容している(
図5参照)。
【0026】
機械室7(第1の機械室7A及び第2の機械室7B)は、脚部2に設けられている。また、機械室7は、脚部2の下端側における、後側の領域に設けられる。第1の機械室7Aは、後側柱部13B,14Bの間において、フレーム部12に設けられる。第2の機械室7Bは、後側柱部13Bよりも走行方向D1における外側の位置において、後側走行部11Bの連結部材17Bに設けられる。具体的には、第1の機械室7Aは、フレーム部12の後側の領域であって後側柱部13B寄りの位置に設けられる。第1の機械室7Aは、横架材31の後端側の部分、延長部34a,35a、及び補助部材36によって支持される(
図2参照)。
【0027】
電気室9は、ドラム41A,41B,41C,41D,43A,43Bを回転させるためのモータ42A,42B,42C,42D,44の制御を行う制御部を収容している。電気室9は、電気的な計算処理を実行する部品が収容されるため、埃等が入り込むことを確実に防止するために、内部の圧力が陽圧に設定されていてもよい。
【0028】
電気室9は、脚部2に設けられている。また、電気室9は、脚部2の下端側における、後側の領域に設けられる。電気室9は、後側柱部13B,14Bの間において、フレーム部12に設けられる。具体的には、電気室9は、フレーム部12の後側の領域であって機械室7と変圧器8との間の位置に設けられる。電気室9は、横架材31,32との間の領域において、連結部材35によって支持される(
図2参照)。
【0029】
変圧器8は、電気室9内の制御部から機械室7のモータへ供給される電力の電圧を変化させる。変圧器8は、脚部2に設けられている。また、変圧器8は、脚部2の下端側における、後側の領域に設けられる。変圧器8は、後側柱部13B,14Bの間において、フレーム部12に設けられる。具体的には、変圧器8は、フレーム部12の後側の領域であって後側柱部14B寄りの位置に設けられる。変圧器8は、横架材31の後端側の部分、延長部34b,35b、及び補助部材37によって支持される(
図2参照)。
【0030】
第1の機械室7A及び変圧器8は、走行方向D1に沿って互いに離間するように配置されている。第1の機械室7A及び変圧器8は、前後方向D2に延びる直方体の形状を有している。変圧器8は、第1の機械室7Aの後端部と変圧器8の後端部との間に配置されている。従って、第1の機械室7A、電気室9、及び変圧器8は、コ字状に配置される。第1の機械室7Aと電気室9と変圧器8との間にはスペースSPが設けられる(
図5においてハッチングを付した領域)。このスペースSPには、バケット22を交換する際に、交換用のバケット22を載置することができる。
【0031】
回収部6は、荷役部4で搬送された荷を回収する装置である。本実施形態では、回収部6はホッパーによって構成されている。回収部6は、脚部2に設けられている。回収部6は、脚部2の下端側における、前側の領域に設けられる。従って、回収部6は、脚部2において機械室7、電気室9、及び変圧器8より前側に設けられる。すなわち、脚部2において機械室7、電気室9、及び変圧器8は、回収部6より後側に設けられる。回収部6は、前後方向D2において、機械室7、電気室9、及び変圧器8と対向するように配置されている。具体的には、回収部6は、フレーム部12における前側の領域に配置されている。回収部6は、フレーム部12の横架材31,32の前端側の一部、及び前端側の連結部材33によって支持される(
図2参照)。
【0032】
図6(a)に示すように、回収部6の下部には、回収部6によって回収された荷を搬送するコンベア39が配置されている。コンベア39は、第1の機械室7A、電気室9、及び変圧器8を迂回して後方へ向かう。具体的には、回収部6の下部に配置されているコンベア39は、回収部6の横側へ向かって延びて、機械室7A、電気室9、及び変圧器8よりも外側へ延びた部分で屈曲し、後方へ延びる。
【0033】
次に、
図3、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る橋形荷役装置1におけるワイヤロープの引き出し構造について説明する。橋形荷役装置1は、ガーダー3に設けられ、ドラム41A,41B,41C,41D,43A,43Bから延びるワイヤロープが架け渡されるシーブを更に備える。ただし、以下の例は引き出し構造の一例にすぎず、当該構造に限定されるものではない。
【0034】
図5では、機械室7のカバーを外し、内部構造を示している。
図5に示すように、第1の機械室7Aでは、ドラム41A,41Bが対となって後側に配置され、ドラム41C,41Dが対となって前側に配置される。各ドラムからは上方へ向かってワイヤロープ46A,46B,46C,46Dが延びている。第2の機械室7Bでは、ドラム43Aが後側に配置され、ドラム43Bが前側に配置される。各ドラムからは上方へ向かってワイヤロープ47A,47Bが延びている。
【0035】
図3及び
図4に示すように、橋形荷役装置1は、下方から延びてきたワイヤロープ46A,46Bをガーダー3に沿って前方のトロリ23へ向かって延ばすように方向転換するために、第1のシーブ61A,61Bと、第2のシーブ62A,62Bと、第3のシーブ63A,63Bと、第4のシーブ64A,64Bと、を備える。第1のシーブ61A,61Bは、前後方向D2に延びる回転軸を有する。第2のシーブ62A,62Bは、上下方向D3に延びる回転軸を有する。第3のシーブ63A,63Bは、第2のシーブ62A,62Bと隣り合う位置に設けられると共に走行方向D1に延びる回転軸を有する。第4のシーブ64A,64Bは、走行方向D1に延びる回転軸を有する。ワイヤロープ46A,46Bは、この順で各シーブに架け渡される。
【0036】
第1のシーブ61A,61Bは、連結部材18Bと後側柱部13Bとの連結部における、連結部材18Bの後面18Ba側に設けられる。第2のシーブ62A,62B及び第3のシーブ63A,63Bは、連結部材18Bの略中央位置における、後面18Ba側に設けられる。第4のシーブ64A,64Bは、ガーダー3の後端部3aに設けられる。ワイヤロープ46A,46Bは、第4のシーブ64A,64Bにて後方から前方へ向かって延びるように方向転換がなされる。
【0037】
図3及び
図4に示すように、橋形荷役装置1は、下方から延びてきたワイヤロープ46C,46Dをガーダー3に沿って前方のトロリ23へ向かって延ばすように方向転換するために、第1のシーブ61C,61Dと、第2のシーブ62C,62Dと、第3のシーブ63C,63Dと、を備える。第1のシーブ61C,61Dは、前後方向D2に延びる回転軸を有する。第2のシーブ62C,62Dは、上下方向D3に延びる回転軸を有する。第3のシーブ63C,63Dは、第2のシーブ62C,62Dと隣り合う位置に設けられると共に走行方向D1に延びる回転軸を有する。ワイヤロープ46A,46Bは、この順で各シーブに架け渡される。
【0038】
第1のシーブ61C,61Dは、連結部材18Bと後側柱部13Bとの連結部における、連結部材18Bの前面18Bb側に設けられる。第2のシーブ62C,62D及び第3のシーブ63C,63Dは、連結部材18Bの略中央位置における、前面18Bb側に設けられる。ワイヤロープ46C,46Dは、第3のシーブ64C,64Dにて前方へ向かって延びるように方向転換がなされる。
【0039】
以上のような構成により、第1の機械室7Aから引き出されたワイヤロープ46A,46B,46C,46Dは、トロリ23及びバケット22に接続される。なお、橋形荷役装置1は、公知の方法を用いることによって、四本のワイヤロープ46A,46B,46C,46Dでトロリ23の横行動作、バケット22の昇降動作、バケット22の開閉動作の三つの動作を制御することが出来る。
【0040】
図3及び
図4に示すように、橋形荷役装置1は、下方から延びてきたワイヤロープ47A,47Bを連結部材19Aを介してガーダー3の前端部へ向かって延ばすように方向転換するために、第1のシーブ66A,66Bと、第2のシーブ67A(ワイヤロープ47Bに対する第2のシーブは不図示)と、第3のシーブ68A,68Bと、第4のシーブ69A,69Bと、を備える。第1のシーブ66A,66Bは、前後方向D2に延びる回転軸を有する。第2のシーブ67Aは、前後方向D2に延びる回転軸を有する。第3のシーブ68A,68Bは、走行方向D1に延びる回転軸を有する。第4のシーブ69A,69Bは、走行方向D1に延びる回転軸を有する。ワイヤロープ46A,46Bは、この順で各シーブに架け渡される。
【0041】
第1のシーブ66A,66Bは、連結部材18Bと後側柱部13Bとの連結部における、連結部材18Bの後面18Ba及び前面18Bb側にそれぞれ設けられる。第2のシーブ67Aは、連結部材18Bの略中央位置における、後面18Ba側に設けられる(なお、ワイヤロープ47Bに対する第2のシーブは、前面18Bb側に設けられる)。第3のシーブ68A,68Bは、連結部材18Bの上面18Bc側に設けられる。第4のシーブ69A,69Bは、連結部材19Aに設けられる。
【0042】
以上のような構成により、第2の機械室7Bから引き出されたワイヤロープ47A,47Bは、ガーダー3の前端部に接続される。これによって、橋形荷役装置1は、ワイヤロープ47A,47Bを介してガーダー3の突出部3Aの起伏を制御することができる。
【0043】
なお、
図7(a)に示すように、シーブ63,64は、厚さ方向における中央位置が小径となっていることにより、当該部分に巻き付けられたワイヤロープの外れ止めがなされている。上述した他の各シーブも、外れ止め構造を備えていてよい。
【0044】
次に、上述のように構成された橋形荷役装置1の施工手順について説明する。まず、
図2に示すように、脚部2のうち、走行部11A,11B及びフレーム部12を組み立てる。次に、フレーム部12上に回収部6を設置するためのフレーム(ホッパフレーム)を設ける。次に、フレーム部12上に回収部6、機械室7、電気室9、及び変圧器8を設ける。ここまでの施工手順は工場内で独立して実施可能である。従って、当該構造を工場で予め作成しておくことで、現場での作業を減らすことができる。当該構造を現場へ搬送し、柱部13A,14A,13B,14B及びガーダー3を組み立てる。また、各シーブにワイヤロープを架け渡す。以上によって、橋形荷役装置1が完成する。
【0045】
次に、本実施形態に係る橋形荷役装置1の作用・効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る橋形荷役装置1は、ドラム41A,41B,41C,41Dを内部に収容する機械室7が脚部2に設けられている。また、機械室7は、荷役部4で搬送された荷を回収する回収部6より後側に設けられる。このように、機械室7が回収部6よりも後側に設けられることによって、回収部6と機械室7とが干渉することなく、上下方向における機械室7の位置を低くすることができる。また、機械室7が回収部6よりも後側に設けられることによって、荷役部4が荷を回収部6へ搬送する際に、荷役部4は機械室7付近を通過しない構成とすることができる。従って、機械室7に対する荷の落下や埃などの影響を抑制しつつ、重心を下げることができる。以上により、橋形荷役装置1の耐震性を向上できる。
【0047】
本実施形態に係る橋形荷役装置1は、ドラム41A,41B,41C,41Dを回転させるためのモータ42A,42B,42C,42Dの制御を行う制御部を内部に収容する電気室9を更に備える。また、脚部2は、互いに走行方向D1に対向して離間する一対の柱部13B,14Bを備え、機械室7及び電気室9は、一対の柱部13B,14Bの間に設けられる。このような構成により、機械室7及び電気室9を脚部2に設ける場合であっても、脚部2の大型化を抑制できる。
【0048】
本実施形態に係る橋形荷役装置1において、機械室7及び変圧器8は、走行方向D1に沿って配置されて、機械室7と変圧器8との間にはスペースSPが設けられている。このような構成により、機械室7と変圧器8との間のスペースSPに交換用のバケットを配置することが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る橋形荷役装置1は、電気室9内の制御部から機械室7のモータへ供給される電力の電圧を変化させる変圧器8を更に備える。機械室7、電気室9、及び変圧器8は、コ字状に配置されている。このような構成により、電気室9、変圧器8、及び機械室7間の配線距離を短くすることが可能となり、脚部2の大型化を抑制できる。
【0050】
本実施形態に係る橋形荷役装置1は、ガーダー3に設けられ、ドラムから延びるワイヤロープが架け渡されるシーブを更に備えている。このような構成により、ワイヤロープが外れることを抑制できる。
【0051】
ここで、
図8に示すような従来の橋形荷役装置100では、機械室107がガーダー103の後端側の領域に配置されていた。従って、機械室107から引き出されたワイヤロープはガーダー後端のシーブを介して、前方へ向かう。従来の橋形荷役装置100は、
図7(b)に示すように、ドラム溝141aからワイヤロープが外れてしまうことを防ぐために、ドラム141とシーブ164との距離を長くする必要があった。これに対し、本実施形態に係る橋形荷役装置1の場合、
図7(a)に示すように、ガーダー3上にはシーブ63が設けられており、このようなシーブ63であれば従来のようなドラム溝141aからのワイヤロープの外れの心配が無くなるため、シーブ63とシーブ64との距離を短くすることができ、その結果、ガーダー3の後側の突出長さを短くすることができる。
【0052】
本実施形態に係る橋形荷役装置1において、脚部2は、前後方向D2に対向するように配置される一対の走行部11A,11Bと、一対の走行部11A,11B間に架け渡されるフレーム部12と、を備える。また、回収部6、及び機械室7は、フレーム部12上に載置されている。このような構成により、フレーム部12に対して予め回収部6及び機械室7を載置したものをユニットとして製造することができるため、工期を短縮することができる。
【0053】
本実施形態に係る橋形荷役装置1において、回収部6の下部には、回収部6によって回収された荷を搬送するコンベア39が配置され、コンベア39は、機械室7を迂回して後方へ向かっている。このような構成により、機械室7と干渉することなく、回収部6で回収した荷を搬送することができる。例えば、
図6(b)に示すように、コンベア39を直ちに後方へ延ばす場合は、機械室7と干渉する。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、機械室7、電気室9、変圧器8の配置は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、走行方向D1において、上述の実施形態に係る配置と左右対称となるように構成してもよい。また、機械室7は分割されていなくともよく、第1の機械室7A及び第2の機械室7Bが一体化していてもよい。また、第1の機械室7Aが更に二つに分割されて走行方向D1における両側に設けられると共に、それに対応して電気室9及び変圧器8も分割されて走行方向D1における両側に設けられてもよい。
【0056】
また、少なくとも機械室7が回収部6の後側に配置されていればよく、電気室9、変圧器8の配置は特に限定されない。例えば、機械室7、電気室9、及び変圧器8がいずれも後側柱部13B,14Bよりも走行方向D1における外側に配置されていてよい。
【0057】
また、機械室7、電気室9、変圧器8はフレーム部12に設けられていなくてもよく、脚部2であればどこに設けられてもよい。例えば走行部11A,11Bに設けられてもよい。