【文献】
PFANNSCHMIDT, C. et al.,"Superhelix organization by DNA curvature as measured through site-specific labeling.",J. MOL. BIOL.,1998年 1月30日,Vol.275, No.4,P.601-611
【文献】
PLOS BIOLOGY,米国,2006年 7月 1日,Vol.4, No.7,P1115-1121,e204
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の方法において、前記標識化する工程は、(a)前記二本鎖DNAの少なくとも一部に対して、少なくとも1つの相補的プローブを結合させる工程であって、前記プローブは1若しくはそれ以上のタグを有するものである、前記結合させる工程、(b)1若しくはそれ以上のタグを有する1若しくはそれ以上のヌクレオチドを有する前記第二のDNA鎖の対応する領域に沿って前記第一のDNA鎖を伸長させる工程、または(a)及び(b)の組み合わせによって達成される、方法。
請求項4記載の方法において、前記標識化する工程は、フルオロフォア、量子ドット、デンドリマー、ナノワイヤー、ビーズ、ペプチド、タンパク質、磁気ビーズ、メチル基、メチルトランスフェラーゼ、非切断制限酵素、亜鉛フィンガータンパク質、抗体、転写因子、DNA結合タンパク質、ヘアピンポリアミド、三重鎖形成オリゴデオキシヌクレオチド、ペプチド核酸、またはそれらの任意の組み合わせを有するタグを付着させる工程を有する、方法。
請求項4記載の方法であって、さらに、1若しくはそれ以上のタグからの1若しくはそれ以上のシグナルを検出する工程を有し、前記シグナルは蛍光シグナル、化学発光シグナル、電磁気シグナル、電気シグナル、電位差、物理的なサイズの差、またはそれらの任意の組み合わせを有する、方法。
【背景技術】
【0003】
高分子は、お互いに結合した多くの化学ユニットから成る長いポリマー鎖である。ポリヌクレオチドは、例えばDNA及びRNAを含む高分子のクラスである。
【0004】
ヌクレオチドの配列は、生物のゲノム及びポストゲノム遺伝子発現情報に直接的に関連している。配列領域、モチーフ及びオープンリーディングフレーム(ORFs)、非翻訳領域(UTRs)、エクソン、イントロン、タンパク質因子結合部位、CpGクラスターなどのエピゲノミクス部位、マイクロRNA部位、低分子干渉RNA(siRNA)部位、大型介在性非コードRNA(lincRNA)部位及び他の機能ユニットなどの機能ユニットの直接シークエンシング及びマッピングは、個人のゲノム組成を評価するのに全て重要である。
【0005】
多くの場合において、個人の寿命の間での挿入、欠損、逆位及び転座などのこれらヌクレオチドの配列の複雑な再配列は、遺伝子異常或いは細胞悪性腫瘍などの病態を導く。他の場合において、個人間のコピー数多型(CNVs)などの配列差異は、集団の遺伝子組立の多様性、及び環境刺激及び薬物治療などのシグナルに対する彼らの反応差を反映する。さらなる他の場合において、DNAメチル化、ヒストン修飾、クロマチンフォールディング、若しくはDNA或いはDNA−タンパク質相互作用を修飾する他の変化などの過程は、遺伝子調節、発現、及び最終的には細胞機能に影響を与え、その結果疾患や癌を生じる。
【0006】
ゲノム構造多型(SVs)は健康な個人間でさえ、以前考えられていたよりもより広範で存在することが見出された。従って、ヒトの健康及び一般的な遺伝性疾患に対する構造多型情報を有するゲノム配列を理解することの重要性は、段々明らかになってきた。
【0007】
さらに、特にヒトなどの多倍数性生物における生物システムの表現型多型或いは病態は、母系及び父系系譜から遺伝した2つの一倍体ゲノム間の相互関係の結果である。特に、癌はしばしば、二倍体染色体領域間の異型接合体の欠損の結果である。
【0008】
核型分析、FISH(蛍光インサイツハイブリダイゼーション法)などの従来の細胞遺伝学的方法は、わずか1つの細胞からゲノム組成の全体的な見解を提供し、それらは異数性などのゲノムの肉眼的変化、数千数万の塩基対の大型断片の獲得、欠損或いは再配列を明らかにするのに有用である。しかしながら、これらの方法は、中程度から小さい配列モチーフ或いは領域を検出する場合に比較的低い感度及び解像度に悩まされる。さらにその方法は面倒でもあり、スピード及び不一致を制限する。
【0009】
aCGH(アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション)、ファイバーFISH或いは広範囲ペア−エンドシークエンシングなどの、配列領域、目的の配列モチーフ及びSVsを検出するためのより最近の方法は、解像度及び処理量の観点から改善されていた。それにも関わらず、これらの方法は、間接的で面倒で高価で、既存の参照データベースに頼っている。さらに、これらの方法は、制限固定解像度であり、再構築に対する参照ゲノムによるマッピングに頼っている推定位置的情報、或いは比較強度割合情報を提供するものである。従ってそのような方法は、逆位或いは転座などの平衡病変イベントを明らかにすることはできない。
【0010】
現在のシークエンシング解析アプローチは、利用可能な技術によって制限されており、非常に制限されたハプロタイプ情報を有する平均的な多倍数性ゲノム物質に由来するサンプルに大部分は基づいている。前工程のサンプル調合法は現在、前記物質をより小さな断片へと有効に剪断した不均一細胞集団からの混合二倍体ゲノム物質を抽出する方法を利用しており、これによって二倍体ゲノムの非常に重要な未変性の構造情報の破壊を生じる。
【0011】
より最近開発された第二世代の方法は、改善された処理量を有するにも関わらず、より短いシークエンシング解読からの難しい構築が原因で、複雑なゲノム情報の描写をより困難にする。
【0012】
一般に、短い解読は複雑なゲノム内で独自に整列させることがより困難であり、線状の短い標的領域を解読するためには付加的な配列情報が必要となる。
【0013】
シークエンシング被覆度を25倍改善するには、従来のBAC及びいわゆるショットガンサンガーシークエンス法(Wendl MC,Wilson RK Aspects of coverage in medical DNA sequencing,BMC Bioinformatics,16 May 2008;9:239)で必要とされる8〜10倍の被覆度の代わりに、同様な構築信頼度に到達する必要がある。この数倍の配列被覆度は、シークエンシングコストを1000ドル以下に抑えなくてはならい領域における重要な目標を事実上挫折させるような、高いコストを必要とする。
【0014】
従って、大きい無傷ゲノム分子の単一分子レベル解析は、クローニング過程或いは複製なしで、in situでの配列モチーフの優れたマッピングによって正確な自然ゲノム構造を保存する可能性を提供する。ゲノム断片が大きくなればなるほど、ゲノムサンプルにおけるより単純なサンプル集団、例えば、理想的なシナリオでは46染色体長の断片のみが単一分子レベルで解析するのに必要とされ、全体の正常二倍体ヒトゲノムをカバーし、そのようなアプローチに由来する配列は、生来無傷のハプロタイプ情報を有するものである。さらに、メガベース−スケールのゲノム断片は、細胞から抽出され、直接解析のために保存され、これは複雑なアルゴリズム及び構築を劇的に減少させ、個人細胞表現型に対してより直接的に本来の前後関係におけるゲノム及び/若しくはエピゲノム情報とも関連するものである。
【0015】
ゲノミクスに加えて、エピゲノミクスの領域は、過去20年間で、若しくは癌などのヒト疾患におけるその役割に対して非常に重要であると次第に認識されていた。ゲノミクス及びエピゲノミクス両者における知識の蓄積に伴って、主な挑戦は、ヒト疾患及び悪性腫瘍において遺伝子多型或いは病態生理学的状態を発症するのに、直接的に或いは間接的にゲノミクス及びエピゲノミクス因子がどのように関連するかを理解することになった。完全ゲノム解析コンセプトは、ゲノムシークエンシング、エピジェネティクスメチル化解析及び機能的ゲノミクスの領域の大部分が独立して研究されていた区分化アプローチから、より多面的な全体論的アプローチへと発展した。DNAシークエンシング、構造多型マッピング、CpG島メチル化パターン、ヒストン修飾、ヌクレオソームリモデリング、マイクロRNA機能、及び転写プロファイリングは、系統的なやり方でより詳細に観察されたが、細胞の分子状態の上記観点のそれぞれを検討する技術はしばしば、独立しており、退屈で適合性がなく、これは干渉性実験データ結果を有する全体論的な解析を大きく回避するものである。
【0016】
従って、大きな無傷で未変性の生物学的サンプルの単一分子レベル解析を可能にし、標的サンプルのゲノム及びエピゲノミクス情報の決定を可能にするような方法及び装置に対する本分野でのニーズが存在する。そのような方法及び装置は、研究者及び臨床医などに対して非常に強力なツールを提供するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、添付の図及び実施例と関連させて、本開示の一部を形成する以下の詳細な記載を参照することによってより容易に理解される。本発明は、本明細書に記載及び/若しくは示された特定の装置、方法、適用、状態或いはパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用された用語は、実施例の方法によって特定の実施形態を記載することのみを目的としており、請求された本発明を制限することを意図するものではないことが理解される。さらに、添付された請求項を含む本明細書において用いられたように、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形も含み、特定の数値の参照は、文脈で明らかに他を指示しない限り、少なくとも特定の値を含むものである。本明細書で用いられたように、「大多数」という用語は、2以上を意味する。値の範囲が示された場合、別の実施形態では、1つの特定の値から及び/若しくは他の特定の値までを含むものである。同様に、先行詞の「約」の使用によって値が近似として表現された場合、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。全ての範囲は包括的で組み合わせることができる。
【0026】
明確にするために別々の実施形態の文章で本明細書に記載されている本発明の特定の特徴はさらに、単一の実施形態の組み合わせでも提供される。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文章で記載された本発明の様々な特徴はさらに、別々に或いはサブコンビネーションでも提供される。さらに、範囲で示された値を参照する場合には、その範囲内の各及び全ての値を含むものである。
【0027】
第一の観点において、本発明は、第一のDNA鎖の非ハイブリダイズフラップ及び第二のDNA鎖上の対応する領域を形成させるために、第一のDNA鎖及び第二のDNA鎖を有する二本鎖DNAをプロセシングする工程であって、非ハイブリダイズフラップは約1〜約1000塩基を有するものである、工程;第二のDNA鎖の対応する領域に沿って第一のDNA鎖を伸長させる工程;及び、非ハイブリダイズフラップの少なくとも一部、伸長された第一のDNA鎖の一部、或いはその両者を標識する工程を有する、DNAを特徴付けする方法を提供する。
【0028】
フラップは、約1〜約1000塩基長が適切である。フラップは、約20〜約100塩基長、更には約30〜約50塩基の範囲であることが適切である。
【0029】
前記方法はさらに、(フラップがピーリングされたところから)第一のDNA鎖を伸長し、フラップの形成によって残ったギャップ(すなわち、第二のDNAの現在−対応している領域)を埋めて取り除くために、二本鎖DNAの第一鎖へ1若しくはそれ以上の置換塩基を取り込む工程も含む。利用者は、1若しくはそれ以上のタグを有するプロセシングされた二本鎖DNA(第一のDNA鎖、第二のDNA鎖、フラップ、或いはそれらのあらゆる組み合わせ)の少なくとも一部を標識化する。フラップによって残った埋められたギャップは、1若しくはそれ以上の標識化部位を含むことができる。いくつかの実施形態において(示していない)、前記フラップは、その中に取り込まれた1若しくはそれ以上のヌクレオチドを持つdsDNAを残すように、フラップ除去酵素を用いて切除される。
【0030】
プロセシングする工程は、二本鎖DNAの第一の鎖をニッキングする工程によって達成される。このニッキングする工程は、ランダム或いは非特異的位置を含む1若しくはそれ以上の非特異的位置で達成されるが、このニッキングする工程は1若しくはそれ以上の配列−特異的位置で適切に達成される。
【0031】
ニッキングする工程は、ニッキングエンドヌクレアーゼ、或いはニッカーゼ(nickase)に二本鎖DNAポリマーを曝露する工程によって適切に達成される。ニッカーゼは、適切で高度に配列−特異性であり、これはそれらが高度な特異度を有する塩基(モチーフ)の特異的配列に結合することを意味している。ニッカーゼは、例えばNew England BioLabs(www.neb.com)から入手可能である。
【0032】
ニッキングする工程はさらに、DNAの鎖を破壊する或いは切断する他の酵素によっても達成される。そのような破壊或いはニックはさらに、電磁放射線(例えばUVライト)、1若しくはそれ以上のフリーラジカル、及びそれらと同様のものに曝露することによっても達成され得る。ニックは、1若しくはそれ以上のそれらの技術によって達成される。
【0033】
二本鎖DNAの第一の鎖(すなわちニック鎖)への適切な置換塩基の取り込みは、ポリメラーゼ、1若しくはそれ以上のヌクレオチド、リガーゼ、或いはそれらのあらゆる組み合わせにDNAを接触させる工程を有するものである。フラップ中に存在する「ピーリングアウェイ(はがしとられた)」された塩基を置換するための他の方法はさらに、本分野の当業者にとって既知である。第一のDNA鎖は、第二のDNAの対応する領域に沿って適切に伸長され、その領域はフラップの形成によって残される/曝露されるものである。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、フラップを生じるニッカーゼと同時に作用するものである。
【0034】
これら置換塩基の取り込みは、フラップの形成及び「ピーリングアップ(はがし上げる)」することによって残った埋められたギャップとして概念化され得る。ギャップを埋めることによって、フラップによって以前占められていた位置は、フラップ中に位置していた塩基と同じ配列を適切に有する塩基のセットによって占められる。埋める工程は、フラップが以前結合していたDNAの第二の鎖へのフラップの再ハイブリダイゼーションを阻止することができる。
【0035】
標識化する工程は、(a)フラップの少なくとも一部に対して少なくとも1つの相補的プローブを結合する工程であって、前記プローブは1若しくはそれ以上のタグを有するものである、工程、(b)第二のDNA鎖の対応する領域に沿って伸長された第一のDNA鎖の一部である置換塩基として、1若しくはそれ以上のタグを有するヌクレオチドを利用する工程、若しくは(a)及び(b)のあらゆる組み合わせによって適切に達成されるものである。このやり方において、フラップ、ギャップに埋められた塩基或いはその両者は標識化されるものである。
【0036】
プローブは、本明細書の他の所に記載されたような、タグを含む適切な核酸(単一或いは複数)である。プローブはランダムに産生されるが、プローブは配列特異的(例えば、AGGCTA或いは他の特異的塩基配列)である。本明細書の他の所で記載されたように、プローブは、利用者の要求に基づいて選択される或いは作成され、そのプローブは目的の配列に結合する、若しくは代替として、配列から上流或いは下流に位置する配列、或いは特異的DNAポリマー(すなわち、目的の領域に隣接する或いは取り付けられるように結合したプローブ)に結合する。プローブはフラップと同じ長さ(すなわち、1000塩基以下)である。プローブは、適切には約1〜約100塩基長、或いは約3〜約50塩基長、さらには約5〜約20塩基長の範囲である。
【0037】
これらの方法の概略図は、
図1に示した。この図において、フラップ、及び結果生じるギャップの埋め戻し(back−filling)の作成が示してある。埋め戻しは、いわゆる「ホット」或いは標識化塩基で行われ、前記フラップは、前記フラップの少なくとも一部と相補的な1若しくはそれ以上のプローブと接触させるものである。配列特異的ニッキングエンドヌクレアーゼ或いはニッカーゼは、二本鎖DNA上に一本鎖切断ギャップを作り、ポリメラーゼはそのニック部位に結合し、置換鎖或いはいわゆる「ピーリングされたフラップ」を同時に形成しながら、鎖伸長を開始する。ピーリングされたフラップは次に、検出可能で同定可能なシグナルを作成するために、標識化プローブとの特異的なハイブリダイゼーションをシークエンシングするために利用可能な領域(すなわち、非ハイブリダイズされた、核酸ポリマーの第二のDNA上の対応する領域)を作る。
【0038】
図1bは、ナノチャネル内で直線的に折り畳まれていない標識化された大きいゲノムDNAを示したものである。図の下部に示したように、蛍光で標識化されたフラップによって、利用者は、高分子の大きな構成内のプローブの位置を可視化することが可能となった。示されたように、ニック−標識化高分子は、ナノチャネル内で直線化される。タグからのシグナル間の空間的距離は一致しており、その後定量化され、解析下でその領域についての特異的ゲノム配列情報を反映する独特の「バーコード」サインパターンを順に提供する。ラムダdsDNA(48.5kbp全長)上の複数のニック部位は、これに限定されるものではないが、Nb.BbvCI;Nb.BsmI;Nb.BsrDI;Nb.BtsI;Nt.AlwI;Nt.BbvCI;Nt.BspQI;Nt.BstNBI;Nt.CviPII及び上記のいずれかの組み合わせ消化を含む、特異的酵素によって作成された実施例として示された。
【0039】
直線化された単一ラムダDNA画像は、予想されるニッカーゼ作成位置にハイブリダイズした蛍光標識化オリゴヌクレオチドプローブを示すことが含まれる。長いバイオポリマーに沿ったそのような記録された実際のバーコードは、観察されたバーコードとして本明細書の他の所に記載されている。
【0040】
標識化フラップ、標識化ギャップ或いはその両者を持つ高分子を直線化することによって、利用者は、お互いに対する標識の相対的な位置を決定することができる。本明細書の他の所で記載されたように、そのような相対的な距離情報は、診断適用において、及び核酸ポリマーの特徴付けにおいて有用である。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記方法はさらに、二本鎖DNAの第一のDNA鎖へ取り込まれた1若しくはそれ以上の置換塩基、フラップへ結合した1若しくはそれ以上のプローブ、或いはその両者に由来する配列情報を得る工程が含まれる。この情報は、様々な方法で得られる。
【0042】
1実施例において、特異的な塩基配列に相補的な標識化プローブは、フラップへ導入され、利用者は、配列特異的プローブがそのフラップに結合するかどうかを決定する。この過程は、異なる配列特異性を持つプローブを用いて数回繰り返され、これによって最終的に利用者はフラップに属する塩基の配列を決定することが可能となる。
【0043】
別の実施例において、情報は、フラップから残されたギャップを埋める塩基の配列を決定する工程によって得られる。これは、同じ或いは異なる標識で1若しくはそれ以上の塩基を標識化する工程、及びそれらがギャップに取り込まれている時或いはそれらがギャップに取り込まれた後、塩基によって発せられたシグナルをアッセイする工程によって達成される。他の実施形態において、利用者は、塩基の配列を決定するようにギャップ内に塩基を取り込んだ、ポリメラーゼから伸展した1若しくはそれ以上のシグナルをモニタリングする。情報の決定は、単一DNAポリマーの高分解能解析を可能にするように、自由溶液中で実行され得る、若しくはナノチャネル中で実行され得る。フラップはさらに、適切な酵素を介して切除され、次に切除されたフラップ自身も配列決定され得る。
【0044】
情報は、単一フラップ、単一ギャップ或いはその両者から得られる。しかしながら、いくつかの実施形態において、情報は、2若しくはそれ以上のフラップ或いはギャップから得られ、従って所定の標的のより速いシークエンシングを可能にする。シークエンシング情報はさらに、配列−特異的プローブを用いて、そのようなプローブが核酸ポリマーの一部に結合する場所(及び結合するかどうか)を決定することによって、決定され得る。
【0045】
図4は、比較的長いゲノム領域に沿ってシークエンシングする工程を図示したものである。その図において、一本鎖フラップは、「親」核酸ポリマーが配列特異的ニックエンドヌクレアーゼによって消化され、ポリマーの第一の鎖におけるポリメラーゼ伸長した後、生成される。この構造は、フラップが第一の鎖(矢印で示した)に連結した所を切断する、ニックエンドヌクレアーゼ及びフラップエンドヌクレアーゼによって再び消化され、その結果生じたdsDNAは、ニック部位及びフラップエンドヌクレアーゼ切断部位にまたがる一本鎖化されたギャップを生成するように、適切な条件下で変性され得る。次にこのギャップは、ポリメラーゼ伸長或いはハイブリダイゼーション、及び特異的プロープ及び酵素でのライゲーションを用いたシークエンシング反応へ曝露され得る。
【0046】
図4bは、複数のニック部位、一本鎖化されたフラップ部位、及び長鎖dsDNAに沿って作られた一本鎖化されたギャップ部位を示した概略図を図示したものである。シークエンシング反応は次に、ポリメラーゼ伸長によって達成されたシークエンシング若しくはハイブリダイゼーション或いはライゲーションによるシークエンシングによって、1若しくはそれ以上のニック、フラップ配列部位、或いは一本鎖化されたギャップ部位で開始される。
【0047】
様々な種は本発明の方法に対するタグとして役立つことができる。タグは、例えば、フルオロフォア、量子ドット、デンドリマー、ナノワイヤー、ビーズ、ペプチド、タンパク質、磁気ビーズ、メチル基、メチルトランスフェラーゼ、非切断制限酵素、亜鉛フィンガータンパク質、抗体、転写因子、DNA結合タンパク質、ヘアピンポリアミド、三本鎖−形成オリゴデオキシヌクレオチド、ペプチド核酸、及びそれらと同等物を含むことができる。本方法は、2若しくはそれ以上の異なるタグの使用を含み、従って単一分子は複数のタグを含むものである。
【0048】
本方法はさらに、1若しくはそれ以上のタグからの1若しくはそれ以上のシグナルを決定する工程も含む。そのようなシグナルは、蛍光シグナル、化学発光シグナル、電磁気シグナル、電気シグナル、電位差、及びそれらと同等物を含むことができる。シグナルは、例えば、DNA標的に付着したビーズが、断面積がビーズよりも小さい狭窄内に捕捉された場合に発するシグナルである、シグナル2つの物質間の物理的なサイズ差に関連する。蛍光シグナルは、蛍光分子が塩基、プローブ或いはその両者に付着する実施形態において特に適していると考えられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、シグナルは、フラップに残されたプローブ上の2若しくはそれ以上のタグ間の蛍光共鳴エネルギー転移による、若しくはそれらのあらゆる組み合わせによる、置換塩基上のタグ及びフラップに残されたプローブ上のタグ間を転移したエネルギー(例えば蛍光エネルギー転移「FRET」)に由来するものである。
【0050】
図2は、請求された本発明に従って調合された核酸ポリマー上の標識及びプローブに対する例示的位置を図示したものである。その図は、フラップに配置されたプローブ(A及びBとして示した)、及びフラップの形成及びピーリングによって残されたギャップを埋めるように伸長したDNA鎖に沿ったプローブ(Cとして示した)を図示している。
【0051】
プローブは、例えば、有機フルオロフォア、量子ドット、デンドリマー、ナノワイヤー、ビーズ、金ビーズ、常磁性ビーズ、磁性ビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリエチレンビーズ、ペプチド、タンパク質、ハプテン、抗体、抗原、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、ビオチン、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、設計された制限酵素などの配列特異的結合因子、メチルトランスフェラーゼ、亜鉛フィンガー結合タンパク質、及びそれらと同等物を含む。示されたように、2つ以上のプローブがフラップ上に配置される。いくつかの実施形態において、ギャップ内のタグ(或いはタグ群)は、励起放射によって励起される。励起されたギャップ−タグは次に、それ自身がフラップ上に配置されたプローブ上に配置されたタグへエネルギーを転移する。
【0052】
ギャップ−タグ及びフラップ−タグの1つ或いは両者は、利用者によって検出可能なシグナルを発する。いくつかの実施形態において、ギャップタグ、第一のフラップタグ、或いはその両者は、第二のフラップタグを励起する。この方法において、利用者は、特異的な波長或いは放射線のタイプによってのみ励起するタグを選択し、それにより利用者によって検出されるタグが1若しくはそれ以上の前駆体タグが適切な位置にある場合にのみ励起されるようなシステムを作ることによって、利用者は高度に特異的な検出システムを設定する。従って、共局在イベントは、結合イベントアッセイの特異性を増強する、2若しくはそれ以上の標識間のエネルギー転移によって検出(例えば可視化)され得る。
【0053】
フラップ領域は、いくつかの場合において、フラップ、ギャップ或いはその両者は二本鎖DNA上の目的の特異的の少なくとも一部を含むため、選択される。そのような目的の配列は、例えば、特定のタンパク質或いは特定の条件をコード化すると知られている配列を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、フラップ、ギャップ或いはその両者は、二本鎖DNA上の目的の配列に隣接する二本鎖DNAの少なくとも一部を含む。これは、例えば、利用者がその領域を強調するように特定の遺伝子の位置或いは目的の他の領域をまとめるために、DNA上の領域を標識化しようとする場合に有用である。
【0055】
請求された方法はさらに、少なくとも1つのフラップ、1つのギャップ或いはその両者を有する二本鎖DNAの少なくとも一部を少なくとも部分的に直線化する(例えば、ほどく)工程も含む。利用者はさらに、少なくとも2つのフラップ、2つのギャップ、或いはそれらのあらゆる組み合わせを有する二本鎖DNAの少なくとも一部も少なくとも部分的に直線化する。そのような直線化は、例えば、チャネル、若しくは、DNAがチャネル或いは他の構造内の物理的制限を手段として直線化されるそのような次元の他の構造を通じて、DNAを転座させる工程によって達成される。
【0056】
いくつかの実施形態において、利用者はさらに、2つのフラップ間の、2若しくはそれ以上のフラップに隣接して配置された2若しくはそれ以上のタグ間の、2若しくはそれ以上のギャップ内に配置された2若しくはそれ以上のタグ間、或いはそれらの組み合わせの距離も測定する。この距離は、構造、構築、遺伝的或いは細胞遺伝学的マップ、メチル化パターン、cpG島の位置、エピゲノムパターン、生理学的特徴、或いはDNAのそれらのあらゆる組み合わせに適切に相関する。本発明は、構造の検討、及び他のエピゲノム因子(例えば、メチル化パターン、cpG島の位置及びそれらと同等物)の検討を可能にするので、利用者は、完全なゲノム像に到達するために構造及びエピゲノムパターンに関連した結果を重ね合わせることができる。
【0057】
本発明の1観点は、核酸或いは他の遺伝物質に関するゲノム(配列)及びエピゲノム(超−配列(supra−sequence))情報の両者を提供するその能力である。より具体的には、本発明によって、利用者は、特定の遺伝子が存在するかどうかをシークエンシングによって、さらにその遺伝子の活性を、エピゲノム情報を得ることによって決定することが可能となる。
【0058】
制限されない1実施例において、利用者は、特定の遺伝子が存在するかどうかなどの、核酸ポリマーに関するゲノム情報を(本明細書の他の所で記載された標識化方法を介して)得る。利用者はさらに、核酸ポリマーに沿ったメチル基の位置を同定するように、例えば標識化されたメチル基−結合タンパク質を使うことによって、核酸ポリマーのメチル化パターン(メチル化に近接して位置しているそれら遺伝子座の活性の指標である)に関するエピゲノム情報も得る。そのようなメチル基は、シトシン上に及びいわゆるcpG島クラスター内に属しており、これは機能的遺伝子座の調節に相関している。他の結合分子(転写因子結合部位及びそれと同等物に結合する分子など)はさらに、エピゲノム情報を得るためにも適している。
【0059】
従って、利用者は、いくつかの実施形態において同時に、1若しくはそれ以上の機能的遺伝子の存在、及びメチル基−ベースエピゲノム情報を介して、そのような遺伝子が活性かどうかを決定することができる。1実施例において、利用者は、第一の色の標識を有する遺伝子の配列情報を標識化し、第二の色の標識でメチル化領域を標識化し、従って遺伝子位置/配列及び遺伝子活性(すなわちメチル化パターン)の観察が同時に可能となる。エピゲノム情報にはさらに、転写酵素が結合できる或いはできない位置も含まれる。
【0060】
エピゲノム情報の有用性は明らかである。本明細書の他の所に記載したように、ゲノム情報の有用性は、オリゴマー−ベースプローブ(或いはバーコードを有するプローブのセット)が研究下で核酸ポリマーの配列に関連した「静的な」情報を提供することである。エピゲノム情報(例えば、メチル化或いは転写因子結合に関する情報)は、遺伝子に関するオン/オフ情報を効果的に提供する、遺伝子配列に関する動的な情報を提供する。従って本発明は、ゲノム及びエピゲノム情報の両者を同時に回収することを可能とする。
【0061】
実例で制限されない1実施例として、利用者は、第一の患者からのDNA上の位置(すなわちフラップ、埋められたギャップ、或いはその2つのいくつかの組み合わせ)を標識化し、その位置はそれらがDNA上の特定の遺伝子、例えば乳癌遺伝子の位置から上流及び下流(すなわち隣接する)に存在するように選択されるものである。標識化DNAを直線化する工程の後、利用者は、乳癌遺伝子の「適切な」数のコピーを持つと知られているコントロール対象からのDNA上の対応する標識間の距離に対するこれらの標識間の距離を比較する。第一の患者に対する標識間の距離がコントロール対象に対する標識間の距離よりも大きい場合、それは、その患者は乳癌遺伝子の付加的な或いは余分なコピーを持っており、治療レジメはそれに従って設計され得るということが知られている。
【0062】
その技術は、「コントロール」或いは単一患者内のコピー数バリエーション(すなわち異なる2回で採取されたDNAを比較する工程によって)ではない、2若しくはそれ以上の個人間のコピー数バリエーションを決定するのにも使用され得る。この方法において、本発明は、単一対象からの或いは大集団区分からのDNA或いは他の高分子の素早い解析及び特徴付けを容易にする。
【0063】
利用者はさらに、フラップに隣接して配置された少なくとも1つのタグ、ギャップ内に配置されたタグ、或いはその両者からの少なくとも1つのシグナルの強度も測定する。利用者は次に、本明細書の他の所に記載された配列構築、ゲノム或いは細胞遺伝学的マップ、生理学的特徴、或いは他の特徴(例えば、エピゲノムパターン)に対する少なくとも1つのシグナルの強度を相関させる。これによって、利用者は、核酸ポリマーの供給源の病態生理学的状態の完全な像を明らかにすることが可能となる。
【0064】
これは、制限されない
図5cによって示されている。その図では、ゲノム領域に沿って目的の1若しくはそれ以上のエピゲノム部位を位置付け、エピゲノムバーコードパターンを作成するための抗−メチル基−抗体或いはメチル基−結合タンパク質(MBP)などの標識化結合因子(BF)の使用が図式的に示されている。示されたように、利用者はさらに、いくつかの場合において同時に、ゲノム領域の構造を決定するためにいくつかの領域を「バーコード化する」(例えば配列−特異的プローブを用いて)ための開示された方法も使用する。ゲノムプローブは、異なる波長で、若しくは、エピゲノム解析に関連したあらゆる標識と識別可能なシグナルと共に、発する或いは励起する。1実施形態において、エピゲノムバーコードは、(これに限定されるものではないが)転写因子結合部位、若しくはsiRNA或いはLincRNA結合部位に由来するパターンを含む。これは、リアルタイムに、単一分子レベルでの直接画像化と同じ視野で、動的調節及び機能的情報を同時に有する静的ゲノム配列及び構造情報に相関させるための請求された本発明の能力を示すものである。
【0065】
別の制限されない実施例の通り、利用者は、目的の遺伝子(例えば乳癌)内に存在する第一の患者からのDNAの領域に対応する1若しくはそれ以上のフラップ(或いは埋められたギャップ)を標識化する。次に利用者は、これらの標識から発せられた1若しくはそれ以上のシグナルの強度を測定する。次に利用者は、「コントロール」或いは第二の対象からのDNA上の対応する標識から発せられた1若しくはそれ以上のシグナルの強度を測定する。第一の患者からのシグナル(群)の強度がコントロールからのシグナル(群)の強度と異なる場合、利用者は、2つの対象が遺伝子の異なるコピー数を持っているといういくつかの指標を持つであろう。強度シグナルはさらに、所定のポリマーにおける単一塩基或いは塩基の特定配列の保有率にも相関する。シグナルの強度はさらに、シグナルを発する標識を有するプローブに相補的な配列の空間的密度に関する情報も提供する。
【0066】
図7は、請求された本発明に従った核酸ポリマーで実行された画像化解析を図示したものである。より具体的には、図は、抽出されリアルタイムで測定された端々(end−to−end)輪郭長及び強度情報を有する、捕獲された「生」DNA画像を示している。サイズ分布のヒストグラムは、DNAの不均一混合物に起因する解読を実証するように示されている。
【0067】
請求された本発明はさらに、複数のDNAを特徴付けする方法も提供する。これらの方法には、第一の二本鎖DNAに対する、第一のDNA上の2若しくはそれ以上の位置(配列−特異的、ランダム或いはその両者)を標識化する工程;第二の二本鎖DNAに対する、第二のDNA上の2若しくはそれ以上の対応する配列−特異的位置を標識化する工程;第一の二本鎖DNAの少なくとも一部を直線化する工程;第一の二本鎖DNAの少なくとも一部を直線化する工程;及び、第二の直線化された二本鎖DNA上の対応する標識間の距離に対して、第一の直線化された二本鎖DNA上の2若しくはそれ以上の標識間の距離を比較する工程が含まれる。
【0068】
いくつかの実施形態において、標識化する工程は、本発明の他のところで記載されたように、(a)二本鎖DNAから分離された第一の鎖のフラップ及び(b)ニッキングの部位によって及び二本鎖DNAの第一の鎖とのフラップの接合部の部位によって規定された二本鎖DNAの第一の鎖におけるギャップを生じるように、二本鎖DNAの第一の鎖をニッキング(切断)する工程によって達成される。
【0069】
この方法にはさらに、プローブの少なくとも一部と相補的な標識化されたプローブへフラップを曝露する工程、1若しくはそれ以上の標識化された塩基をギャップへ挿入する工程、若しくはその両者が含まれる。他の所で記載されたように、標識化する工程は、非切断制限酵素、メチルトランスフェラーゼ、亜鉛−フィンガータンパク質、抗体、転写因子、DNA結合タンパク質、ヘアピンポリアミド、三重鎖−形成オリゴデオキシヌクレオチド、ペプチド核酸、及びそれらと同等物へ、第一及び第二の二本鎖DNAを曝露する工程によって達成される。非切断制限酵素にはタグが含まれる。本明細書の他の所に記載したように、距離は、DNAの構造、配列構築、遺伝的或いは細胞遺伝学的マップ、メチル化パターン、生理学的特徴、cpG島の位置、エピゲノムパターン、或いはそれらのあらゆる組み合わせに適切に相関している。
【0070】
これらの方法の1実施形態は、
図5に示しており、これは平行シークエンシング及び空間的構築を同時に示している概略図である。長いゲノム領域に沿った多くのシークエンシング開始部位は、この場合、配列モチーフ特異的様式であるGCTGAxxx中に作成され、これらの部位の物理的位置は、物理学的マップ上に検出され記録される。その後の解読は、ポリメラーゼ伸長若しくは特異的プローブとのハイブリダイゼーション及びライゲーションによるシークエンシングである、シークエンシング化学によって記録される。
【0071】
シークエンシング解読に加えて、対応する直線オーダー、及びこれらの複数シークエンシング解読の空間的距離及び位置は、同時に記録され物理的マップへ構築される。そのようなマップ−ベースシークエンシングスキームは最終的に、既存の方法を超えたよりよい構築精度、有効性、及びコスト軽減を提供する。
【0072】
図5bは、制限酵素の結合ドメインのみを保持するがそのような酵素のDNA切断機能を欠いた遺伝子操作された非機能的制限酵素を含む、DNA結合因子(BF)の使用を示した概略図である。他の酵素、亜鉛フィンガータンパク質、配列モチーフ特異的にDNAへ結合する転写因子、メチル化特異的部位に結合するメチル結合タンパク質或いは抗−メチル基抗体、他のDNA関連因子特異的(二次結合)様式がそうであるように、配列特異的様式でDNAを認識し結合するDNAメチルトランスフェラーゼも有用である。例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ(MTase)には、これに限定されるものではないが、M.BseCI(5’−ATCGAT−3’配列内のN6でのアデニンをメチル化する)、M.TaqI(5’−TCGA−3’配列内のN6でのアデニンをメチル化する)、及びM.HhaI(5’−GCGC−3’配列内のC5でのアデニンをメチル化する)が含まれる。
【0073】
一般的に、適切な結合体のこのリストには、同じdsDNAを切断することなく、二本鎖DNAへ結合する(例えば配列−特異的様式で)結合体が含まれる。図において、様々な星は、QD(量子ドット)、蛍光標識及びそれらと同等物などの異なる標識化タグを示している。これらのタグ間の空間的距離、及びこれら「ドット或いは線」バーコードパターンの強度は、活性転写部位、ORFs(オープンリーディングフレーム)、低−及び高度−メチル化部位、及びそれらと同等なものなどの他の生物学的機能を研究するために使用され得る。
【0074】
別の観点において、請求された本発明は、DNAからの構造情報を得る方法を提供する。これらの方法には、第一の二本鎖DNAに対して、第一のDNA上の1若しくはそれ以上の配列−特異的位置を標識化する工程が含まれる。その方法にはさらに、第二の二本鎖DNAに対して、第二の二本鎖DNA上の対応する1若しくはそれ以上の配列−特異的位置を標識化する工程;第一の二本鎖DNAの少なくとも一部を直線化する工程、第一の二本鎖DNAの少なくとも一部を直線化する工程;及び、第二の直線化された二本鎖DNAの少なくとも1つの標識のシグナルの強度と、第一の直線化された二本鎖DNAの少なくとも1つの標識のシグナルの強度とを比較する工程、が含まれる。
【0075】
本明細書の他のところに記載されたように、標識化する工程は、(a)二本鎖DNAから分離された第一の鎖のフラップ、及び(b)フラップに対応する二本鎖DNAの第一の鎖におけるギャップであって、そのギャップはニッキングの部位によって及び二本鎖DNAの第一の鎖とのフラップの接合部の部位によって定義されるものである、を生じるように、二本鎖DNAの第一の鎖をニッキング(切断)する工程によって達成される。フラップは、第二のDNA鎖の対応する領域に沿って第一の鎖を伸長するように、プローブの少なくとも一部に相補的な標識化されたプローブに適切に曝露され、1若しくはそれ以上の標識化された塩基をギャップに挿入され、若しくはその両者である。次にシグナル強度は、核酸ポリマーのドナーの少なくとも1つの生理学的特徴と相関している。強度はさらに、核酸ポリマー、エピゲノムパターン、或いはその両者の構造的特徴とも関連している。
【0076】
本発明は、利用者に、所定のポリマーからの構造的情報及びエピゲノム情報の両者を得て解析するための能力を提供する。本明細書の他の所に記載されたように、請求された本発明は、核酸ポリマーの領域に独特の特徴を与える、「バーコード化」技術を提供する。このバーコードは、構造(例えば配列特異的モチーフを有する標識によって;第一のバーコード)、及びエピゲノムパターン(メチル化部位、cpG島及びそれらと同等物などのエピゲノム指標に特異的な標識によって;第二のバーコード)に関する情報を提供するために(本明細書の他の所に記載されたように)適用され得る。第一及び第二のバーコードから収集された情報を利用することによって、利用者は、所定の核酸ポリマーに関する構造的情報及びエピゲノム情報を得ることができる。
【0077】
さらに、二本鎖DNAなどの高分子からの構造的情報を得る方法も提供される。これらの方法には、その中に配置された少なくとも1つの狭窄を持つチャネルに沿ってそこから伸長した、少なくとも1つのフラップを有する高分子を転座させる工程;及び、チャネルの少なくとも1つの狭窄を通過した、高分子の少なくとも1つのフラップの継代(passage)と一致する少なくとも1つのシグナルを検出する工程が含まれる。いくつかの実施形態においてフラップは標識化されているが、他の実施形態では標識化されておらず、シグナルは狭窄を通過した「裸」フラップの継代に関連している。
【0078】
適切なチャネルは、例えば、米国出願第10/484,293号(その全体はこの参照によって本明細書に組込まれる)に記載されたチャネルなど本分野では既知である。いくつかの実施形態において、フラップ、或いはフラップに隣接する高分子の領域は、標識を有する。いくつかの実施形態において、標識は、本明細書の他の所で記載されたように、フラップが形成された場合、埋められたギャップ内に配置される。
【0079】
シグナルは、適切には光学シグナル、電気シグナル、電磁気シグナル、或いはそれらのいくつかの組み合わせである。シグナルは、狭窄を通過したフラップの継代に関連している、若しくは狭窄を通過した標識の継代に関連している。フラップは、二回以上狭窄を通過して転座される。
【0080】
これらの方法の例示的な制限されない実施形態は、
図8に示してある。その図の一番目(
図8a)は、光学的及び非光学的検出法を利用する、核酸ポリマーからの標識化されたバーコード情報を得るためのシステムを図示したものである。
【0081】
示したように、標識化された長い核酸ポリマーは、1若しくはそれ以上の狭い狭窄ポイント(ナノゲート或いはナノノズルとして知られている;米国出願第12/374,141号を参照のこと、この全体はこの参照によって本明細書に組込まれる)を持つナノチャネル内に伸長され直線化されて示されている。
【0082】
いくつかの実施形態において、DNA移動及び電流測定は、流体装置及び外部貯蔵装置に連結した電気回路によって調節される。バーコードパターンの光学的画像化及び標識の非光学的記録(すなわち均一ポリマーに沿った物理的「隆起」の電気的記録)は、
図8b及び
図8cに模式的に示した。光学的及び非光学的結果は、より良いデータ精度でお互い相関させる或いは比較される。
【0083】
図8dは、ナノゲート−所有流体装置を図示したものである。以前記載された方法で作成された一連の「フラップ」がここに示されており、フラップは付加的な標識化タグを含むものである。フラップ、それらのタグ或いはその両者は、ナノゲートを通過した継代の間、フラップ、タグ或いはその両者が、標的ゲノム領域を反映したイオン電流特徴などの検出可能な電気的シグナルを産生する間、直接検出される。標識化された塩基はさらに、本明細書の他の所に記載されたように、フラップによって分離された領域における核酸ポリマー中にも存在する。そのような塩基はさらに、ナノゲートを通過する際も検出される。
【0084】
さらに、高分子から構造的情報を得る方法も提供される。これらの方法には、高分子の少なくとも一部を標識化する工程;高分子を固定化する工程;高分子の少なくとも一部がチャネル内に直線化されるように、チャネル内に高分子の少なくとも一部を配置する工程;及び、高分子の標識化された部分に関連した少なくとも1つのシグナルを検出する工程が含まれる。
【0085】
図9は、配列画像化解析に対して基質の表面上でナノチャネル或いはナノトラックの内部に一端或いは両端で繋留された核酸を図示したものである。図に示したように、核酸ポリマーの領域は、複数の位置で標識化される或いは解析される配列(R2)を持つ核酸ポリマーを繋留することを可能にするように修飾される。
【0086】
制限されない実施例では、R2は、特定の疾患に対する遺伝子内に属することが知られており、ポリマー内の複数のR2配列の存在は、その配列のコピーの異常(或いは正常)数を示すものである。ポリマーは、1つの貯蔵装置から別の貯蔵装置へチャネルに沿って転座され、その転座パスに沿ったあらゆるポイントで停止する或いは固定化される。
【0087】
固定化は、様々な様式で達成される。1実施形態において、
図10aに示したように、高分子は、少なくとも1つのビーズに結合し、その分子は、断面積がビーズより小さい狭窄によって捕捉された少なくとも1つのビーズによって固定化されるものである。固定化はさらに、表面への高分子の化学的繋留によって、高分子の磁力的な固定化によって、高分子の光学的な捕捉によって、或いはそれらのあらゆる組み合わせによっても達成される。
【0088】
ビーズを含む実施形態において、ビーズは、その有効な直径が少なくとも1つのナノチャネルの断面次元よりも大きくなるように選択される。修飾された核酸分子がナノチャネルへ流される際、修飾されたビーズがナノチャネルの少なくとも一部よりも大きいので、その流れは妨げられる。核酸分子の未修飾の部分は次に直線化され、配列解析に利用可能となる。ビーズは、重合体性、磁性、半導体性、誘導性、金属性或いはそれらのあらゆる組み合わせであり、核酸分子の修飾は、タンパク質相互作用を含む共有結合或いは非共有結合相互作用に基づくものであり、中間連鎖に関与するものである。繋留或いは固定化の全てのモードにおいて、適用された流動場或いは勾配磁場は、繋留を可能にする或いは離脱させるように修飾される。
【0089】
繋留に対する修飾種は、ナノチャネル内の核酸分子の結合の特性が磁性、電気的、光学的、化学的、摩擦、流動−ベース、物理学的閉塞、或いはそれらのあらゆる組み合わせとなるように選択され得る。
【0090】
別の実施形態において、核酸分子は、制限されない
図10bに示したように、分子の一端で或いはその近くで化学的に修飾される。化学的修飾は、共有結合或いは非共有結合相互作用が修飾種、及び、核酸分子を繋留しナノチャネルを通じたその流れを阻止するのに十分な強さのナノチャネル分子の間に生じるように選択される。
【0091】
化学的修飾因子の例としては、チオール基、シラン基、カルボキシ基、アミン基、アルキル鎖、リン酸基、光切断可能(photocleavable)な基、タンパク質、ビオチン、アミノ酸残基、金属基、或いはそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。いくつかの場合において、ナノチャネル表面には、修飾種との相互作用を促進するためのいくつかの化学的修飾が含まれる。
【0092】
別の実施形態において、核酸分子は、
図11aに示したように、分子の一端で或いはその近くで磁力的に修飾される。磁性修飾は、磁性ビーズ、常磁性粒子、超常磁性粒子、或いは配列解析の持続時間に磁性双極子を維持することが可能な他の部分であり得る。そのような場合において、磁力は、ナノチャネル装置へ或いはその近くに組込まれ得る、或いは代わりに、
図11aに示したように、外部に適用した磁場の結果となり得る。
【0093】
別の実施形態において、核酸は、光学ピンセットの存在下で誘電力勾配に反応することができる粒子或いは部分を用いて、分子の一端で或いはその近くで修飾される。これは、制限されない
図11bに示されている。
【0094】
示したように、光学ピンセットは、粒子がナノチャネルを通じて流れ、付着した核酸分子がナノチャネル内で直線化することが可能となる場合、ビームの範囲内の粒子を捕捉するために使用される。光学ピンセットは、標的を固定化することと同様に標的を動かすために使用され得る。
【0095】
別の実施形態において、複数の力は、DNAを固定化する或いは繋留するために使用される。例えば、対立する流体及び電場は、同時に解析の領域内で分子を伸長させ定常に保つために使用され得る。
【0096】
直線化は、高分子の直線化を達成するように適切な大きさにされたチャネルによって適切に、物理的−エントロピ閉じ込めによって適切に達成される。
【0097】
さらに、解析システムも提供される。請求された本発明に従ったシステムには、約1〜約500ナノメートルの範囲の幅を持つ少なくとも1つのチャネルを有する基質が含まれ;その基質は少なくとも1つの固定化領域を有するものである。チャネルは、約10〜約200nm、或いは約20〜約100nmの範囲の幅、さらには約50nmの幅を適切に持つものである。チャネルの深さは同じ範囲であるが、粒子チャネルの幅及び深さは同じである必要はない。チャネルは、10nm〜センチメートルまで、実質的にあらゆる長さであり得る。そのようなチャネルは、ミリメートル範囲の長さを適切に持つが、所定の適応に対して最適な長さは、本分野の当業者の利用者には明らかであろう。
【0098】
固定化領域は、高分子を固定化することができる。高分子は、1若しくはそれ以上の修飾を含み、それはフラップ、ビーズ、誘電性修飾、磁性粒子、及びそれらと同等物を含むことができる。システム及び高分子修飾は、一致して、お互いの親和性に基づいて選択される。例示的な固定化領域には、
図10及び
図11に示したように、磁性領域、化学的な活性領域、狭窄、及びそれらと同等物が含まれる。
【0099】
いくつかの実施形態において、
図10及び
図11に示したように、ポリマーは固定化され、勾配は、チャネルにおけるポリマーの少なくとも一部を配置するように適用される。この様式において、本明細書の他の所で記載されたように、標識化され得るポリマーは、直線化され、チャネル内のその閉じ込めに基づいて、直線形態で保持される。
【0100】
図には示していないが、本発明にはさらに、ポリマー上に配置された1若しくはそれ以上の標識(或いはフラップ)が検出され、ポリマーの特徴と相関され得るために、標識化されたポリマーが固定化される或いは繋留され、その後勾配(圧力、電気的及びそれらと同等物)の適用によって直線化されるような実施形態も含まれる。ポリマーは、勾配の持続適用によって、或いは勾配によって一度直線化された基質へ接着される(すなわち、ポリマーは直線化され次にその直線化された形態で基質へ接着される)ことによって、直線形態で維持され得る。
【0101】
核酸ポリマーを特徴付けする方法も提供される。これらの方法には、1若しくはそれ以上の配列−特異的モチーフ標識で核酸ポリマーの1若しくはそれ以上の領域を標識化する工程;核酸ポリマーの1若しくはそれ以上の配列−特異的モチーフ標識の位置に対して、1若しくはそれ以上の配列−特異的モチーフ標識からの1若しくはそれ以上のシグナルを相関させる工程;核酸ポリマーの1若しくはそれ以上のセグメントをシークエンシングする工程であって、1若しくはそれ以上のセグメントには核酸ポリマーの1若しくはそれ以上の配列特異的モチーフ標識が含まれるものである、工程;及び、核酸ポリマー内の相対的位置を明らかにするように、2若しくはそれ以上のシークエンシングされたセグメントの標識化された核酸ポリマーの1若しくはそれ以上の対応するシグナルと、1若しくはそれ以上のシークエンシングされたセグメントの1若しくはそれ以上のシグナルとを比較する工程が含まれる。
【0102】
請求された方法の標識化する工程の観点は、本明細書の他の所に記載された標識化する方法、すなわち、核酸ポリマーにおいてフラップを形成する工程、及びフラップ、フラップによって分離された領域或いはそれらのあらゆる組み合わせを標識化する工程によって達成される。適切な標識及びタグは、本明細書の他の所に記載されている。
【0103】
適切に相関させる工程は、核酸ポリマーの少なくとも1つの標識化された部分を直線化する工程を必要とする。直線化は、適切な大きさにしたナノチャネルにおけるポリマーの標識化された部分を直線化する工程によって、ポリマーに勾配(例えば流体、電気)を適用する工程によって、及びそれらと同等なことによって達成される。他の実施形態において、ポリマーは繋留される或いは固定化され、勾配(圧力、電気及びそれらと同等物)の適用によって直線化される。セグメントは、ランダムに、或いは核酸ポリマーの配列−特異的切断によって産生される。
【0104】
相関させる工程には、例えば、2若しくはそれ以上の標識間の距離を決定する工程、2若しくはそれ以上の標識から発せられたシグナルの強度を比較する工程、及びそれらと同等なことが含まれる。ポリマーのセグメントのシークエンシングは、いくつかの場合において「コンティグ」として知られており、本分野の多くの技術によって達成される。これらの技術には、例えば、サンガーシークエンス法、マクサム−ギルバートシークエンス法、色素転写終結シークエンス法、in vitroクローン複製、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング法、及びそれらと同等な方法が含まれる。セグメントは適切には、長さが30kbまで、或いは50kbであり、適切にはkb長の範囲である。
【0105】
標識化された核酸ポリマーの対応するシグナルと、標識化されたセグメントのシグナル或いはシグナル群とを比較する工程は、例えば、標識化されシークエンシングされたセグメントの配列−特異的モチーフ標識が標識化された核酸ポリマーの対応する配列−特異的モチーフ標識と一致して置かれるように、標識化された核酸ポリマーに対して1若しくはそれ以上の標識化されシークエンシングされたセグメントを整列される工程によって達成される。これによって、利用者は個々のセグメントの同定を可能にする「バーコード」としてセグメント上の標識を効果的に利用することが可能になる。従って、「親」核酸ポリマー上の対応するバーコードに対してバーコード化されたコンティグをマッチングさせる工程によって、利用者は、「親」核酸ポリマー内のバーコード化されたコンティグの位置(及び配向)を決定する。
【0106】
この様式において、「母」ポリマー上の対応する標識と共にセグメント上の標識からの1若しくはそれ以上のシグナルを整列させる工程によって、利用者は、セグメントの適当な整列を決定することができる。複数のセグメントに対してこの過程を繰り返すことによって、利用者は次に、セグメントの適当な順番及び配向を決定することができ、これによって核酸ポリマーの大量な平行シークエンシングが可能となる。
【0107】
この過程はさらに
図6に図示されており、これは核酸ポリマーからゲノム足場(例えば配列)構築情報を得る請求された方法を図示したものである。
【0108】
図に示したように、利用者は、ポリマーから比較的長いゲノムDNA分子(1kb〜100mbまで、或いはそれ以上)を抽出し、例えば、直線化された長いポリマーに沿って検出され記録される配列特異的シグナルを生じるような本明細書の他の所に記載された標識化する方法に従って分子を標識化し、分子ゲノム(その分子はゲノムを示すことができる)の特定の領域を示す特徴「観察されたバーコード」(「観察されたバーコードの生画像」として示した)を産生する。個々の分子からの観察されたバーコードは次に、比較的長い足場へと構築され、この足場は無傷ゲノムの大きさまでになり得る。
【0109】
別々のセグメント(いくつかの実施形態における「コンティグ」;約5〜約30kb)は、現代のシークエンシング技術によって産生された部分的に重複する短い塩基解読に基づいて、計算的に構築される。そのようなコンティグは、ランダムである、或いは配列特異性に基づいて産生され得る。
図6に示したように、ゲノムは、例えば、50bp〜1000bpまでのコンティグへ断片化される。利用者は次に、約35〜約850bpsのたくさん(数百)の短い解読を産生させる。
【0110】
1若しくはそれ以上のコンティグは、一連のバーコードを産生するための「親」核酸ポリマーを標識するために使用された配列特異的モチーフと同一の、配列特異的モチーフ(Nb.BbvCI部位、GCTGAGGなど)で適切に標識化される。コンティグが実質的に標識化された場合、バーコードはインシリコ(in silico)のバーコードと考えられる。
【0111】
次に利用者は、実験的に構築された足場の対応する観察されたバーコードに対して、コンティグ(セグメント)のバーコードを整列させ、次にこの整列によって、利用者には足場内のコンティグの適当な配向と共に、足場内のコンティグの物理的位置が提供される。同様に、これは、足場内の配列のコピー数、構造情報(例えば転座)、及びそれらと同等物などの、足場(及び対応するゲノム)に関する情報をもたらす。従って、個々のコンティグは、解析下で、特異的ポリマーの真に正確なゲノム配列情報を産生するように、ゲノムへ正確にマッピングされる。
【0112】
これらの方法は、コピー数に関する情報を提供する能力、及びお互いに関連した適当な位置/順番にコンティグを配置する能力を含む、既存のシークエンシング技術を超える多数の利点を有している。これは真のシークエンシング情報を提供する;本明細書に記載したバーコード化技術なしに、特に比較するための先行する参照データベースがない(新規(de novo)シークエンシング)場合、解析されたゲノムに沿ったコンティグの線状順序は知られていない。コピー数多型(CNVs)及び構造多型(SVs)を持つ大きなゲノムの高度な複雑性が原因で、特に新規シークエンシング或いは高度に組換えられた癌ゲノムに対して、ランダムのより短い解読からの直接的な構築は、次第に困難となり、エラーを生じやすい。
【0113】
制限されない1実施例として、(既知配列の)第一のセグメントは、バーコードA、B及びCを含み、それぞれは標識上の配列−特異的標識の位置、配列−特異的標識の強度、及びその両者に一致してバーコード化されている。従って、標識化されたセグメントは、A、B及びCバーコードに基づいた独特な特性を示している。(既知配列の)第二の標識化されたセグメントは、バーコードC、D及びEを含む。セグメントが切断された「親」ポリマーに対して第一及び第二のセグメントを整列させることによって、利用者は、バーコードCで重複した2つのセグメントが、2つのセグメントの配列を組み合わせる(バーコードCに一致する配列を二重に計数することなく)ことによって、2つのセグメントが起因する「親」ポリマーの配列を決定することができる。同時に複数のセグメントに対処しようとしてこの過程をスケーリングすることによって、本方法は長い核酸ポリマーに対する配列情報の決定が可能となる。
【0114】
同様な1実施形態は
図3に示した。この図は、ラムダDNAを用いた実施例を図示したものであり、ニッカーゼNb.BbvCIによる予測されたニッキング部位は、配列モチーフ中に示し、長いDNA分子に沿って矢印で示した。未変性(native)T塩基は置換され交換されているので、ニッキング部位は、ニッキング部位(緑色で示した)で取り込まれた蛍光(Alexa)ヌクレオチドTで標識化した。
【0115】
このモデルシステムにおいて、標識化の観察された特徴「バーコード」パターンは、
図3bに示したように、インシリコでのニッキング酵素消化で産生され、インシリコバーコードとして指定され、低塩条件下で80nm幅のチャネルによって80nm以内に100%伸長されたラムダDNAに基づいた、ゲノムの予測された配列モチーフマップと一致する。17の標識化された部位(蛍光色)を超える;完全な伸長(170Kbpまで)を有する直線化されたヒトBACクローンDNAs上に示された同様のバーコード結果も示した。
【0116】
付加的な実施例及び実施形態
付加的な実施形態
本明細書の他の所で記載したように、請求された本発明は、とりわけ、長いゲノムDNAを産生する方法、配列特異的タグ化の方法、及び、個々のDNAの直接的画像化及びナノチャネル(直径<500nm)内部の単一DNA分子上の複数配列モチーフ或いは多型部位の局在化に基づいた及びDNAバーコード化戦略を含む、DNAマッピング及びシークエンシングに関連した方法を提供する。その方法はさらに、DNAマップの構成内の、塩基配列情報による連続塩基も提供する。先行する方法と比較して、DNAマッピングの請求された方法は、改善された標識化効率、より安定な標識化、高感度、及びより良い解像度を提供し;DNAシークエンシングの本発明者らの方法は、長い鋳型構成における塩基解読、構築の容易さ、及び他のシークエンシング技術では利用できない、ハプロタイプや構造多型などの情報を提供する。
【0117】
DNAマッピング適用において、個々のゲノムDNA分子或いは長距離PCR断片は、特異的配列モチーフで蛍光色素を用いて標識化される。標識化されたDNA分子は、(本明細書の他の所に記載された)ナノチャネル内部に直線形態で伸長され、蛍光顕微鏡を用いて画像化される。DNA骨格に関連した蛍光標識の位置、及び、いくつかの実施形態において、その色を決定することによって、配列モチーフの分布は、パッケージ上のバーコードと同種の正確性を達成し得る。このDNAバーコード化方法は、ラムダファージDNA分子の同定、及びヒトbac−クローンに適用される。
【0118】
dsDNA上の特異的配列部位でのニックを利用した1実施形態は、以下の工程:
a)特異的配列モチーフでニックを導入するために、1若しくはそれ以上のニッキングエンドヌクレアーゼを用いて、長い(例えば2kb以上)の二本鎖ゲノムDNAの一本鎖にニッキングする工程;
b)DNAポリメラーゼを用いて、ニックにて蛍光色素−標識化ヌクレオチドを取り込ませる工程;
c)ナノチャネル内部に直線形態で標識化されたDNAを伸長させる工程であって、チャネルを通じて流れるその分子或いはその分子の一部はDNAの一端が次にチャネル内に配置されるように固定化されるものである、工程;
d)DNAのマップ或いはバーコードを得るために、蛍光顕微鏡を用いて、DNA骨格に関連した蛍光標識の位置を決定する工程、を有している。
【0119】
配列特異的ニッキング部位にてフラップ配列を有する別の実施形態は、以下の工程:
a)特異的配列モチーフにニックを導入するために、ニッキングエンドヌクレアーゼで、長い(>2Kb)二本鎖ゲノムDNA分子の1本鎖をニッキングする工程、
b)フラップ配列を産生するために下流鎖を置換するように、DNAポリメラーゼを用いて、蛍光色素−標識化ヌクレオチド或いは非蛍光色素−標識化ヌクレオチドをニックで取り込む工程、
c)標識化されたヌクレオチドのポリメラーゼ取り込み;或いは蛍光プローブの直接的ハイブリダイゼーション;或いはリガーゼを用いた蛍光プローブのライゲーションによってフラップ配列を標識化する工程、
d)本明細書の他の所に記載されたように、直線形態へ標識化されたDNA分子を伸長させる工程;
e)DNAのマップ或いはバーコードを得るために、蛍光顕微鏡を用いて、DNA骨格に関連した蛍光標識の位置を決定する工程、を有するものである。
【0120】
配列特異的ニッキング部位でssDNAギャップを利用する別の実施形態は、以下の工程:
a)特異的配列モチーフでニックを導入するために、ニッキングエンドヌクレアーゼを用いて、長い(>2Kb)二本鎖ゲノムDNA分子の一本鎖をニッキングする工程、
b)1若しくはそれ以上のフラップ配列を産生するために下流鎖を置換するように、DNAポリメラーゼを用いて、蛍光色素−標識化ヌクレオチドプローブ、或いは非蛍光色素−標識化ヌクレオチドをニックで取り込む工程、
c)新たに伸長した鎖にニックを入れ、新たに形成されたフラップ配列をフラップエンドヌクレアーゼで切断するために、ニッキングエンドヌクレアーゼを利用する工程、(脱離したssDNAは、それらの結合を遊離させるように例えば温度を上げるなどによって除去され得るものである。)
d)標識化されたヌクレオチドの取り込み;或いは蛍光プローブの直接的ハイブリダイゼーション;若しくはリガーゼを用いた蛍光プローブのライゲーションを介して(ニッキング及びそれに続くフラップの形成によって発展した)ssDNAギャップを標識化する工程、
e)本明細書の他の所に記載されたように、直線形態へ標識化されたDNA分子を伸長させる工程、
f)DNAのマップ或いはバーコードを得るために、蛍光顕微鏡を用いてDNA骨格に関連した蛍光標識の位置を決定する工程、を有するものである。
【0121】
他のDNAシークエンシング適用において、個々のゲノムDNA分子或いは長距離PCR断片は、特異的配列モチーフで蛍光色素を用いて標識化される。標識化されたDNA分子は次に、ナノチャネル内で直線化され、蛍光顕微鏡を用いて画像化される。DNA骨格に関連した蛍光標識の位置及び色を決定することによって、バーコードを解読するのと同様なやり方で、配列モチーフの分布が正確に確立され得る。単一或いは複数塩基情報は、DNAマップの構成で得られた。
【0122】
ゲノムDNAに適用可能なこのシークエンシング法の1実施形態は、以下の工程:
a)特異的配列モチーフでニックを導入するために、ニッキングエンドヌクレアーゼを用いて、長い(>2Kb)二本鎖ゲノムDNA分子の一本鎖にニッキングする工程、
b)ニック−取り込み;フラップ標識化、ssDNA標識化、或いはそれらのいくつかの組み合わせを通じて、蛍光色素分子によってニッキング部位をタグ化する工程、
c)本明細書の他の所に記載したように、直線形態へ標識化DNA分子を伸長させる工程、
d)DNAのマップ或いはバーコードを得るために、蛍光顕微鏡を用いて、DNA骨格に関連した蛍光標識の位置を決定する工程、
e)シークエンシング反応の初期化ポイントとしてニッキング部位を使用する工程、を有するものである。これに限定されるものではないが以下のものを含む、異なるDNA構造は、DNAシークエンシングに有用である。
【0123】
1つのシークエンシング実施形態において、配列情報を得るために各ニッキング部位にて連続して取り込まれた標識を検出するように、ポリメラーゼは、ニッキング部位の3’末端で蛍光ヌクレオチドを取り込む。この過程は、多くの塩基に対する「解読」を連続的に得るように繰り返される/循環させる。
【0124】
別の実施形態において、シークエンシングプライマーは、フラップ配列へハイブリダイズさせ、蛍光ヌクレオチドを取り込むためにポリメラーゼを用いて伸長させる。これらの様々な取り込まれた蛍光ヌクレオチドの色を解読することによって、配列情報が推測される。この過程は、多くの塩基解読を連続的に得るように繰り返される/循環させる。
【0125】
別の実施形態において、1つの短い蛍光オリゴヌクレオチドは、フラップ配列へ直接的にハイブリダイズされ、配列情報は、ハイブリダイズしたオリゴの存在から推測され得る。この過程は、多くの塩基解読を連続的に得るように繰り返される/循環させる。
【0126】
別の実施形態において、2つの短いオリゴヌクレオチドは、隣同士にフラップ配列へハイブリダイズさせ、例えばリガーゼなどと共に連結させる。配列情報は、ライゲーション産物から推測される。この過程は、多くの塩基解読を連続的に得るように繰り返される/循環させる。
【0127】
別の実施形態において、1つの短い蛍光オリゴヌクレオチドは、ニッキング部位の3’末端の隣に直接的にハイブリダイズされ、連結される。配列情報は、連結されたオリゴヌクレオチドの存在から推測される。この過程は、多くの塩基解読を連続的に得るように繰り返される/循環させる。
【0128】
その方法は、ナノチャネルアレイと共に実行される。そのようなアレイは、表面の物質に複数のチャネルを適切に持っており、そのチャネルは約500ナノメートル未満の溝の幅、及び500ナノメートル未満の溝の深さを持っているものである。少なくともいくつかのチャネルは、そのチャネルを少なくとも実質的に封入させるように、物質を密封することによって適切に載せられている。
【0129】
いくつかの実施形態において、請求された本発明には、カートリッジ或いは他のモジュラー装置が含まれる。そのようなカートリッジには、例えば、本発明に従ったナノ流体チップが含まれ、これは本明細書にも開示されている。そのようなカートリッジは、挿入され、使用され、除去されることができる。本発明のシステム以外の解析システムに有用なカートリッジも、本発明の観点内である。
【0130】
いくつかの実施形態において、ナノチャネルはその長さを超えた高分子を輸送することができる。請求された本発明の装置には、高分子輸送を達成するのに有用な1若しくはそれ以上の構成要素が含まれ、この輸送は、チャネル、電気浸透、及び電気運動を越えて圧力或いは真空勾配によって達成されるものである。
【0131】
ナノチャネルの表面物質は、伝導性物質、半導体物質、或いは非伝導性物質などの、ほぼあらゆる基質物質から形成され得る。伝導性物質の例としては、アルミニウム、金、銀及びクロムなどの金属が含まれる。半導体物質の例としては、ドープ二酸化ケイ素及びガリウムヒ素が含まれる。非伝導性物質の例としては、融解シリカ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、セラミック、及び合成ポリマーが含まれる。前述したものは例示しただけである。
【0132】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、一端で或いはその近くで修飾され、ナノチャネル或いはナノトラック(疎水性境界などの液体通過を制限する境界によって定義された領域)へ配置される。その修飾によって、ナノチャネルの入口で或いはナノチャネル内の核酸の繋留が適切に可能となる。
【0133】
核酸は次に、ナノチャネルが原因となって、直線形態をとるように閉じ込められる。核酸は適切には例えばdsDNAなどのDNA或いはRNAである。ナノチャネルは、2000塩基以上の直線化された核酸を提供することができるように、好ましくは<500nm、より好ましくは<300nm、及び最も好ましくは<150nmの長さである。
【0134】
以下の実施形態はさらに、化学的に或いは形態的に予め定義された表面パターンに基づいて定義された直線領域である、ナノトラックへも応用される。
【0135】
システムによって解析され得る液体には、哺乳類(例えば、DNA、細胞、血液、生検組織など)、ポリマーなどの合成高分子、及び天然に見出される物質(例えば、植物、動物及び他の生命体に由来する物質など)からの液体が含まれる。そのような液体は、本発明の自動化或いは手動負荷を用いて管理され、負荷され、注入され得る。
【実施例1】
【0137】
二本鎖DNA分子上に一本鎖DNAフラップを産生する工程
ゲノムDNAサンプルは、ニッキング反応において使用するために、50ngに希釈した。10μLのラムダDNA(50ng/μL)を0.2mL PCR遠心管へ添加し、その後2μLの10X NEバッファー#2、及びこれに限定されるものではないが、Nb.BbvCI;Nb.BsmI;Nb.BsrDI;Nb.BtsI;Nt.AlwI;Nt.BbvCI;Nt.BspQI;Nt.BstNBI;Nt.CviPIIを含む、3μLのニッキングエンドヌクレアーゼを添加した。混合物は1時間37℃でインキュベーションした。
【0138】
ニッキング反応が完了した後、実験では、3’下流鎖を置換し一本鎖フラップを形成するために、ニッキング部位で制限ポリメラーゼ伸長を進めた。フラップ産生反応混合物は、10μlのニッキング産物、及び2μlの10Xバッファー、これに限定されるものではないがvent(エクソン−)、Bst及びPhi29ポリメラーゼを含む0.5μlのポリメラーゼ、及び1μM〜1mMの様々な濃度の1μlヌクレオチドから成るものであった。フラップ産生反応混合物は、55℃でインキュベーションした。フラップの長さは、インキュベーション時間、使用したポリメラーゼ、及び使用したヌクレオチドの量によって調節した。
【実施例2】
【0139】
二本鎖DNA分子上に一本鎖DNAギャップを産生する工程
フラップ産生後、オリジナルニッキングエンドヌクレアーゼは、充填された二本鎖DNAに切れ目を入れるために使用し、これに限定されるものではないがFEN1を含むフラップエンドヌクレアーゼは、フラップ配列を切断するために使用した。温度が上昇するにつれて、切れ目を入れられた一本鎖DNA分子は二本鎖DNA分子から除去されて、二本鎖DNA分子上に一本鎖DNAギャップを産生した。
【実施例3】
【0140】
長い一本鎖DNA分子を産生する工程
ニッキング反応が完了後、実験では、3’下流鎖を置換し一本鎖DNA分子を産生するために、ニッキング部位での、これに限定されるものではないがBstポリメラーゼであるPhi29を含む完全なポリメラーゼ伸長を進めた。
【実施例4】
【0141】
二本鎖DNA分子上の配列特異的ニックを蛍光的に標識する方法
ゲノムDNAサンプルは、ニッキング反応において使用するために50ngに希釈した。10μLのラムダDNA(50ng/μL)を0.2mL PCR遠心管へ添加し、その後2μLの10X NEバッファー#2(New England BioLabs,www.neb.com)、及びこれに限定されるものではないが、Nb.BbvCI;Nb.BsmI;Nb.BsrDI;Nb.BtsI;Nt.AlwI;Nt.BbvCI;Nt.BspQI;Nt.BstNBI;Nt.CviPIIを含む、3μLのニッキングエンドヌクレアーゼを添加した。混合物は、1時間37℃でインキュベーションした。
【0142】
ニッキング反応が完了後、実験では、ニッキング部位へ色素ヌクレオチドを取り込むためにポリメラーゼ伸長を進めた。別の実施形態においては、複数蛍光ヌクレオチドを取り込ませた。
【0143】
取り込み混合物は、15μlのニッキング産物、及び2μlの10Xバッファー、これに限定されるものではないがvent(エクソン−)を含む0.5μlのポリメラーゼ、これに限定されるものではないがalexa標識化されたヌクレオチドであるcy3を含む1μlの蛍光色素ヌクレオチド或いはヌクレオチド終結剤を含有する、5μlの取り込み混合物から成るものであった。取り込み混合物は、約30分間55℃でインキュベーションした。
【実施例5】
【0144】
二本鎖DNA分子上の一本鎖DNAフラップを配列特異的に標識化する方法
フラップ配列が産生された時点で、そのフラップは、これに限定されるものではないが、以下の方法、プローブのハイブリダイゼーション、ポリメラーゼによる蛍光ヌクレオチドの取り込み、及び蛍光プローブのライゲーションを含む方法によって、蛍光色素分子で標識化され得る。
【実施例6】
【0145】
二本鎖DNA分子上の一本鎖DNAギャップを配列特異的に標識化する方法
500nm或いはそれ以下の幅、深さ或いはその両者を持つナノ流体チップを、染色されたゲノムDNAを含有するバッファー溶液によって毛細管現象を利用して満たし、電場を用いてチャネルへとDNA高分子を引き寄せた。バクテリアファージDNA分子ラムダ(48.5kb)及びヒトBACクローン(170kb)は、色素YOYO−1で染色した。染色されたDNAのこの溶液は、抗酸化剤として使用される0.1Mジチオスレイトール及び抗固着剤として使用される0.1%の直鎖状アクリルアミドを含有する0.5X TBE中へと0.5μg/mLになるように希釈した。
【0146】
100X(N.A.1.35)オイル液浸対物レンズを有するオリンパスIx−71倒立顕微鏡は、異なる励起波長(例えば、YOYO−1色素は473nm)を持つことができる、固体レーザー(例えば、ダイオード励起固体レーザー)と共に使用した。(例えば、Alexaシリーズの色素、Cy3、Cy5などに対する)他のレーザーには、532nm DPSSレーザー、635レーザーダイオードレーザー、543nmガスレーザー、591nm DPSSレーザー、及び633nmガスレーザーが含まれた。512X512ピクセルアレイ及び16ビットデジタル出力を有するANDOR冷却−EMCCDカメラは、分子を画像化するために使用した。デジタル画像は、J−image及び他の解析ソフトウェアによるデータプロセッサを用いて解析した。
【実施例7】
【0147】
検出スキーム
検出スキームの1実施例において、流動モードにおけるDNA移動のビデオ画像は、時間遅延積分方式(TDI)カメラによって捉えた。そのような実施形態において、DNAの移動はTDIを用いて同期化した。
【0148】
検出スキームの別の実施例において、流動モードにおけるDNA移動のビデオ画像は、CCD或いはCMOSカメラによって捉え、そのフレームはソフトウェア或いはハードウェアによって統合し、DNAの画像を同定し再構築した。
【0149】
検出スキームの別の実施例において、DNAのビデオ画像は、別々のセットのセンサーに対する異なる波長を同時に捉えることによって回収した。これは、1つのカメラ、及び二重或いは多視点スプリッターを用いることによって、若しくはフィルター及び複数カメラを用いることによって達成した。カメラは、TDI、CCD或いはCMOS検出システムであった。
【0150】
同時複数波長ビデオ検出を用いる別の実施例において、骨格色素は、独特なDNA断片を同定するために使用し、標識はDNA移動を追跡するためのマーカーとして使用した。これは、DNAの長さがカメラの視野以上の場合において有用であり、マーカーは、DNAの再構築画像でマッピングするのを助けるのに役立った。