特許第6208174号(P6208174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208174
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】クッション構造
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20170925BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20170925BHJP
   A47C 27/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A47D13/02
   A47C27/00 Q
   A47C27/12 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-143897(P2015-143897)
(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公開番号】特開2016-28685(P2016-28685A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-148461(P2014-148461)
(32)【優先日】2014年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503061197
【氏名又は名称】大杉 千里
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】大杉 千里
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−172685(JP,A)
【文献】 特開2012−011191(JP,A)
【文献】 特開2005−230137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 7/00−7/04,13/02
A47C 27/00−27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児用ベッド又は床ずれ防止マットに採用され得るクッション構造であって、
上面(21、121)と底面(23、123)とを有するカバー(20、120)と、該カバー(20、120)内に内蔵された合成樹脂製の発泡ビーズ(24、124)と、変形可能な面状をなし、上記カバー(20、120)内の上面(21、121)と発泡ビーズ(24、124)との間に位置して通気性を有するスペーサー(25、125)とから構成されており、
上記発泡ビーズ(24、124)が流動することによって上記上面(21、121)とスペーサー(25、125)が寝かされた身体の背中の形状に沿うように変形するとともに、寝かされた身体の背中を発泡ビーズ(24、124)から離間させる一方、
上記スペーサー(25、125)は、複数の熱可塑性樹脂製モノフィラメントがランダムなループ状に堆積されあるいは螺旋状に無秩序に絡ませられ部分的に熱接着させてなる網状構造体、又は織布から構成されていることを特徴とするクッション構造。
【請求項2】
上記発泡ビーズ(24)は上記カバー(20)の内面と上記スペーサー(25)とが形成する内部空間の容積に対して40容量%〜120容量%の範囲内の量が内蔵されている請求項1記載のクッション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳児用ベッドや床ずれ防止マットなどのクッション構造に関し、特に乳児用ベッドにおいて乳児の背骨の後湾を安定に保つことができるとともに夏期に乳児が背中に多量の汗をかき難いようにし、又床ずれ防止マットにおいて短い時間で安価に製造できるようにした構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳児用ベッドは寝返りをしたときに乳児がベッドから落ちないよう、周囲を枠で囲む一方、ベッド床上にマットを敷設したものが一般的であった(特許文献1)。しかし、この乳児用ベッドではマット上に布団やクッションを重ねて柔らかくしても、赤ちゃんが背中を反り返らせて泣くことが多いだけでなく、背骨が歪み、頭の形状が歪みや偏平になるおそれがある。
【0003】
ところで、赤ちゃんは母親の子宮内で丸くなって成長しており、新生児期から腰のすわる頃まで背骨の丸み(後湾)をしっかりと保つと、よちよち歩きを始める頃には腰椎の前湾ができ始めて背骨のS字湾曲が形成され、安定して歩けるようになることが分かってきた。
【0004】
そこで、ベッド面を複数の水袋で構成し、ベッド面を湾曲させ、背骨の丸みを保って乳児を寝かせるようにした乳児用ベッド(特許文献2)、ベッド枠にハンモックを吊り下げ、背骨の丸みを保って乳児を寝かせるようにした乳児用ベッド、が提案されている。
【0005】
しかし、水袋製のべッドでは乳児がベッド上で滑りやすくて姿勢が安定せず、又ハンモック式のベッドではハンモックを吊り下げる枠付きベッドが重いので、容易に持ち運びができない。
【0006】
これに対し、本願発明者は、乳児を寝かせることのできる大きさのベッド面と周囲の側面と側面の底面開口を塞ぐ底面とからなるカバーと、カバー内にカバー内容積に対して流動し得る量、例えば75容量%〜95容量%の範囲内の量が内蔵され、0.5mm〜3.0mmの範囲内の値の平均粒径を有する合成樹脂製の発泡ビーズとから構成され、発泡ビーズがカバー内で流動することによってベッド面が凹状に形成され、凹状のベッド面に乳児が寝かされたときに乳児の身体を背骨の後湾を保ったままベッド面に載せることができ、しかも容易に持ち運びができるようにした乳児用ベッドを開発し商品化するに至った(特許文献3)。
【0007】
また、弾力性のある熱可塑性エラストマーを主剤とする多数のモノフィラメントをランダムなループ状に堆積させて所要の厚さの板状に形成するとともに、その広面の一方に凹凸を設けてコイルマットを製作し、コイルマットに脱臭剤、防かび剤の被膜を形成し、身体とマットの接触面を小さくし、寝たきりの人などが褥瘡(床ずれ)を起こし難くした床ずれ防止マットが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−41629号公報
【特許文献2】特開平10−75850号公報
【特許文献3】特開2012−011191号公報
【特許文献4】実用新案登録第3073281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献3記載の乳児用べッドでは夏期に乳児をベッド面に寝かせると、下方が粒径の小さい発泡ビーズが詰まっているので、熱がこもりやすく、背中に多量の汗をかいて汗疹ができるおそれがあった。
【0010】
また、特許文献4記載の床ずれ防止マットではマットを所要の厚さに製造するには非常に多くのモノフィラメントを堆積する必要があって、製造に時間がかかるとともに、コスト高になっていた。
【0011】
本発明は、かかる問題点に鑑み、乳児用ベッドにおいて乳児の背骨の後湾を安定に保つことができ夏期に乳児が背中に多量の汗をかき難くし、又床ずれ防止マットにおいて短い時間で安価に製造できるようにしたクッション構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係るクッション構造は、上面と底面とを有するカバーと、該カバー内に内蔵された合成樹脂製の発泡ビーズと、変形可能な面状をなし、上記カバー内の上面と発泡ビーズとの間に設けられ、上面に寝かせた身体の背中を発泡ビーズから離間させるスペーサーとから構成されており、上記発泡ビーズが流動することによって上記上面及びスペーサーが寝かされた身体の背中の形状に沿うように変形され、寝かされた身体の背中を発泡ビーズから離間させるようになっていることを特徴とする。
【0013】
具体的には、乳児用ベッドにおいて、乳児を寝かせることのできる大きさのベッド面と底面とを有するカバーと、上記カバー内で流動し得る合成樹脂製の発泡ビーズと、変形可能な面状をなし、上記カバー内のベッド面と発泡ビーズとの間に設けられ、乳児の背中を発泡ビーズから離間させるスペーサーとから構成し、上記発泡ビーズが上記カバー内のスペーサーの下方で流動することによって上記ベッド面及びスペーサーを凹状に形成し、上記凹状のベッド面に乳児が寝かされたときに乳児の身体が背骨の後湾を保ったままかつ乳児の背中を発泡ビーズから離間させて上記ベッド面に載せられるように構成する。
【0014】
また、床ずれ防止マットにおいて、マット面と底面とを有するカバーと、上記カバー内で流動し得る合成樹脂製の発泡ビーズと、変形可能な面状をなし、上記カバー内のマット面と発泡ビーズとの間に設けられ、寝かされた人の背中を発泡ビーズから離間させるスペーサーとから構成し、上記発泡ビーズが上記カバー内のスペーサーの下方で流動することによって上記ベッド面及びスペーサーが寝かされた身体の背中の形状に沿うように変形され、背中を発泡ビーズから離間させるように構成する。
【0015】
本発明の第1の特徴はカバーの上面と発泡ビーズとの間に面状のスペーサーを介在させるようにした点にある。これにより、例えば上側のベッド面の乳児やマット面に寝かせた人を発泡ビーズから離間させることができ、夏期において背中の下側に熱気がこもることがなく、例えばベッド面やマット面に寝かせた乳児や人が多量の汗をかいて汗疹ができるおそれを解消できる。
【0016】
冬期には発汗のおそれが少ないので、カバーの上下をひっくり返して使用する、つまり底面側にスペーサーが、上面側に発泡ビーズが来るように使用することもできる。
【0017】
本発明の第2の特徴はカバー内に変形可能な面状スペーサーを内蔵し、その下側に発泡ビーズを流動し得るように内蔵した点にある。これにより、発泡ビーズの流動によってカバーのベッド面及び面状のスペーサーを乳児の背骨や寝かせた人の背中に沿う形状に形成することができる。
【0018】
また、本発明の第3の特徴はカバー内に発泡ビーズと面状のスペーサーを内蔵するようにした点にある。これにより、面状スペーサーに特許文献4記載のコイルマットを使用する場合にも発泡ビーズによって所要の厚みに製作することができ、コイルマットの厚みを薄くできるので、短時間のうちに、しかも安価に製造できる。
【0019】
乳児を凹状にベッド面に寝かせると、乳児の背骨の後湾を保ったまま、乳児をベッド面に載せることができ、更に発泡ビーズが乳児の重さを受けて適度に流動することによってベッド面によって抱かれたような姿勢になるので、姿勢が安定して安らかに睡眠する。
【0020】
また、発泡ビーズは軟らかく、流動することができるので、ベッド面は柔らかく、背骨に歪みが生じたり頭の形状が歪みや偏平になったりするのを防止できる。
【0021】
面状のスペーサーは例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を主原料とする複数のモノフィラメントをランダムなループ状に堆積させ、あるいは螺旋状に無秩序に絡ませ、部分的に熱接着させた網状構造体によって構成してもよく、バスタオルなどの織布で構成することもできる。
【0022】
カバーの上面は乳児を寝たきりの人を寝かせたときに乳児などが違和感を感じないような柔らかい素材であればよい。例えば、綿糸、ポリエステル糸及びポリウレタン糸を用いてパイル編みで編成したパイル編み生地、ポリウレタン弾性糸、ポリウレタン・ナイロン混紡糸あるいはナイロン巻きポリウレタン糸(カバリングヤーン)を用いて平編み、リブ編みあるいはパイル編みなどで編成した生地を用いることができる。
【0023】
カバーは上面と底面を含んでいればよいが、さらに側面を備えていてもよい。この側面はクッション類、例えば乳児用ベッドや床ずれ防止マットの立体的形状を保持するのに役立つが、あまり柔らかすぎると、乳児用ベッドや床ずれ防止マットの立体形状が崩れやすくなるので、上面に比較して少し硬めの生地を用いるのがよい。例えば、綿糸の平編み生地を用いると、上面の凹状を保つことができた。
【0024】
底面はフロアなどで滑らないような生地を用いるのがよい。例えば、綿糸のパイル編み生地や平編み生地などを用いることができる。また、樹脂材料を点状に固着して滑り止めを行なうようにしてもよい。
【0025】
また、発泡ビーズにはポリエステルやポリスチレンなどの合成樹脂材料の発泡ビーズを用いるのがよい。発泡ビーズは流動できる大きさであればよいが、平均粒度は0.5mm以上20.0mm以下の大きさから選択されるのがよい。0.5mm未満では細かくなりすぎて取り扱いが煩雑となるからである。なお、スペーサーによって乳児や寝たきりの人の背中が発泡ビーズから離間されているので、発泡ビーズは大きくてもよいが、20.0mmを超えると乳児や寝たきりの人がゴツゴツした印象を受けるおそれがあるので、20.0mmを上限とするのが好ましい。また、発泡ビーズは必要に応じてネット状の内袋に入れてカバーに内蔵するようにしてもよい。
【0026】
発泡ビーズは流動できる量であればよく、例えばカバー内面と面状スペーサーとが形成する内部空間の容積に対して40容量%〜95容量%の範囲内の量が内蔵されるのがよいが、100容量%以上、例えば110容量%や120容量%であってもベッド面を押さえることによって上面を凹状にすることができるので、95容量%以下に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
【0027】
ベッド面やマット面は乳児や寝たきりの人を寝かせることができれば、その形状は特に限定されないが、例えばベッド面やマット面及び底面を円形、楕円形、正方形や長方形に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るクッション構造の好ましい実施形態を乳児用ベッドに適用した例を示す一部切欠き概略斜視図である。
図2】上記実施形態における使用例を示す一部切欠き概略斜視図である。
図3】第2の実施形態を床ずれ防止マットに適用した例を示す一部切欠き概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて説明する。図1及び図2は本発明に係るクッション構造の好ましい実施形態を示し、これは乳児用ベッドに適用した例である。図において、乳児用ベッド10はカバー20内部に発泡ビーズ24を内蔵して構成されている。なお、発泡ビーズ24は直接内蔵するようにしているが、内袋に入れてからカバー20に内蔵してもよい。
【0030】
カバー20はベッド面21、側面22及び底面23から構成され、ベッド面(上面)21と底面23は縦60cm〜70cm、横40cm〜50cm程度の長方形状に形成され、側面22は10cm〜35cmの範囲内の幅の帯状に形成されている。なお、カバー20は必ずしも上述の大きさに限定されるものではない。また、ベッド面21の凹状に保持できれば必ずしも側面22は設ける必要はなく、ベッド面21と底面23の側縁を相互に縫合するようにしてもよい。
【0031】
ベッド面21及び底面23には綿糸70%、ポリエステル糸25%、ポリウレタン糸5%を用いてパイル編みで編成した伸縮性のあるパイル編み生地が用いられている。
【0032】
また、側面22には綿糸を用いて平編みで編成した生地が用いられ、側面22の生地はベッド面21及び底面23に比較して少し硬くなっているが、側面22の周縁とベッド面21及び底面23の周縁を少し硬く縫合すると、周縁の縫合によってベッド面21を凹状に保持できるので、側面22を軟らかくしてもよい。
【0033】
カバー20内のベッド面21の下側にはスペーサー25が内蔵されている。このスペーサー25はベッド面21と同等か又は少し小さい大きさで、厚さ1cm〜15cmの範囲内の寸法の面状をなし、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を主原料とする複数本のモノフィラメントをランダムなループ状に堆積させ、あるいは螺旋状にかつ無秩序に絡ませ、部分的に熱接着した網目構造体を内袋に入れることによって製作されており、ベッド面21の形状に応じた形状に変形されるようになっている。
【0034】
発泡ビーズ24には例えばポリエチレンやポリスチレンなどの合成樹脂材料を発泡させた平均粒径0.5mm(粒度分布0.4mm〜0.6mm)の大きさの発泡ビーズが用いられているが、0.5mm〜20.0mmの範囲内から選択される値の平均粒径(平均粒度を中央値として適度な粒度分布を有する)であればよい。
【0035】
また、発泡ビーズ24はカバー20内のスペーサー25下側の内容積に対して85容量%の量が内蔵されている。なお、発泡ビーズ24の量はスペーサー25の厚みによっても異なるが、40容量%〜95容量%の範囲から選ばれた量であれば、乳児20の背骨の後湾姿勢を適切に保持することができる。なお、100容量%以上であっても、ベッド面21を押さえることによってベッド面21を凹状にできるので、例えば110容量%や120容量%とすることもできる。
【0036】
乳児30を寝かせる場合、図2に示すように、底面23を下にしてベッド10を例えばフロアなどに置き、ベッド面21の中央を押さえると、発泡ビーズ24がカバー20内のスペーサー25下側で流動してベッド面21及びスペーサー25が凹状となる。
【0037】
そこで、ベッド面21に乳児30を載せると、乳児30の背骨の後湾を保ったまま乳児30の身体がベッド面21に載せられ、更に乳児30の体重を受けて発泡ビーズ24が適度に流動し、乳児30は背骨の後湾を保ったまま、柔らかいベッド面21によって抱かれたような姿勢になる。
【0038】
この姿勢は乳児30が母親の子宮内でとっていた姿勢であるので、乳児30は安らかに睡眠し、又ベッド面21が柔らかいので、背骨が歪んだり乳児30の頭の形状が歪みや偏平になったりするのを防止できる。
【0039】
このとき、乳児30の背中は面状スペーサー25によって発泡ビーズ24から離間されているので、例えば夏期において乳児30の下側に熱気がこもることは少なく、乳児30が多量の汗をかいて汗疹ができるおそれを解消できる。
【0040】
なお、上記の例ではスペーサー25を常にカバー20内に内蔵するようにしたが、ベッド面21の側縁にファスナーを設け、厚さの異なるスペーサー25と交換し、あるいはスペーサー25をカバー20から取り外すことができるようにしてもよい。
【0041】
また、スペーサー25は乳児30を発泡ビーズ24から離間できればよいので、例えば厚手のバスタオルを用いることもできる。
【0042】
また、図3は第2の実施形態を示し、これは床ずれ防止マットに適用した例である。本例では床ずれ防止マットはカバー120内部に発泡ビーズ124を内蔵して構成されている。なお、発泡ビーズ124は直接内蔵するようにしているが、ネット状内袋に入れてからカバー120に内蔵してもよい。
【0043】
カバー120はマット面(上面)121及び底面123から構成され、マット面121と底面123は縦180cm〜210cm、横90cm〜120cm程度の長方形状に形成され、又カバー120の厚さは5cm〜8cmに製作されている。なお、カバー120は必ずしも上述の大きさに限定されるものではない。
【0044】
マット面21及び底面23には綿糸70%、ポリエステル糸25%、ポリウレタン糸5%を用いてパイル編みで編成した伸縮性のあるパイル編み生地が用いられている。
【0045】
カバー120内の底面123の上側にはスペーサー125が内蔵されている。このスペーサー125は底面123と同等か又は少し小さい大きさで、厚さ3cm〜5cmの範囲内の寸法の面状をなし、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を主原料とする複数本のモノフィラメントをランダムなループ状に堆積させ、あるいは螺旋状にかつ無秩序に絡ませ、部分的に熱接着した網目構造体によって製作されており、底面123を上側にしたときの底面123に応じた形状に変形されるようになっている。
【0046】
発泡ビーズ124には第1の実施形態と同様のビーズが使用され、又発泡ビーズ124はカバー20内のスペーサー125上側の内容積に対して例えば110容量%の量が内蔵されているが、110容量%以下の量であってもよい。
【0047】
寝たきりの人を寝かせる場合、底面123を下にして床ずれ防止マットを例えばフロアなどに置き、マット面121に寝たきりの人を載せると、発泡ビーズ124によって受けられ、柔らかいマット面121によって抱かれたような姿勢になり、寝返りなどができずに長時間一定の寝姿であっても床ずれが起き難い。
【0048】
また、夏期には背中に多量の汗をかいて汗疹ができやすくなる。かかる場合には図3に示される床ずれ防止マットの上下を逆にして底面123を上側にし、底面123上に寝たきりの人を寝かせると、スペーサー125に通気性があるので、身体の下側に熱気がこもることは少なく、多量の汗をかいて汗疹ができるおそれを解消でき、これによっても床ずれが起きるのを抑制できる。
【0049】
なお、上記の例では乳児用ベッド及び床ずれ防止マットについて説明したが、本発明に係るクッション構造を枕に適用すると、軟らかく、夏期には涼しく快適な枕を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 乳児用ベッド
20 カバー
21 ベッド面
22 側面
23 底面
24 発泡ビーズ
25 スペーサー
30 乳児
120 カバー
121 ベッド面
123 底面
124 発泡ビーズ
125 スペーサー
図1
図2
図3