【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウレタンポリマーベースコーティングがエアバッグ上の唯一のコーティングとしてある場合、このベースコーティングの表面特性により、ブロッキング(保管の際および自動車にエアバッグを密に詰めた際、特に高い環境温度で、ウレタンポリマーコーティングされた表面が互いに付着する現象)およびエアバッグ膨張時の非常に高いストレスを生ずることがあり、これらは、膨張時の裂けまたは織物からのウレタンポリマーベースコーティングの剥離によるバッグの不具合につながることがある。ウレタンポリマー表面間のブロッキングはまた、ウレタンポリマーでコーティングされた織物をロール状に保管する場合、エアバッグ製造の際にも問題となる。
【0009】
米国特許第5945185号明細書には、シロキサン含有量が5−40重量%であるシリコーン変性熱可塑性ポリウレタン樹脂から製造されたエアバッグが記載されている。このようなエアバッグは、ブロッキングの危険性が低減されたことが主張されているが、乗り物の製造業者はコーティングされた織物エアバッグを使用することを好む。
【0010】
米国特許第6239046号明細書は、編物、織物または不織の繊維基材を、粘着性ポリウレタン層でコーティングし、次いでエラストマー性ポリシロキサン層でコーティングすることを記載している。次いで、優れた空気保持性と優れた耐熱性を有するエアカーテンまたはエアバッグが、コーティングされた繊維基材から形成される。
【0011】
米国特許第6177365号および第6177366号明細書には、少なくとも2つの異なる層を有するエアバッグコーティングが記載されている。エアバッグ表面と接触する第1層目(ベースコーティング)は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアミド、ブチルゴム、水素化ニトリルゴムまたはエチレン酢酸ビニル共重合体の非シリコーン組成物を含む。第2層目(トップコーティング)は、シリコーン材料である。
【0012】
さらに、ある有機樹脂ベースコーティング上に、特にウレタンポリマーベースコーティングまたはアミノ樹脂で硬化したベースコーティング上に、硬化性液体シリコーンゴムのトップコーティングを適用することで、不快な悪臭が放出されることが見出された。
【0013】
本発明の1つの態様によると、有機樹脂でコーティングされたエアバッグは、有機ポリマーバインダーに分散した少なくとも1つの固体潤滑剤を含む、ブロッキング防止コーティングでトップコーティングされている。
【0014】
本発明の他の態様によると、エアバッグまたはエアバッグ織物が有機樹脂でコーティングされたエアバッグまたはエアバッグ織物をコーティングするプロセスは、エアバッグが、少なくとも1つの分散した固体潤滑剤の水性分散液を含む、ブロッキング防止コーティング組成物でトップコーティングされることを特徴とする。
【0015】
ブロッキング防止コーティングに存在する固体潤滑剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマー、ポリオレフィンワックス等の固体炭化水素ワックス(例えば微粉化されたポリプロピレンワックス)またはPTFEおよびワックスの混合物を含んでいてもよい。固体潤滑剤は、付加的にまたは代替的に、タルク等の無機系潤滑剤を含んでいてもよく、無機系潤滑剤としては、タルクミクロスフィア、モンモリロナイト、二硫化モリブデン、黒鉛、硫化亜鉛またはリン酸三カルシウムまたはこれらの2以上の混合物の形態が使用できる。タルクおよびモンモリロナイトなどの無機系潤滑剤は、エアバッグ表面でのブロッキングを減少するのに効果的であり、固体潤滑剤としてのPTFEを部分的にまたは全体的に置換するために使用することができる。
【0016】
我々は、フッ素ポリマーおよびタルクの組み合わせが、コーティングされたエアバッグ表面のブロッキングを減少させるために特に効果的であることを見出した。
【0017】
固体潤滑剤ブロッキング防止コーティング組成物は、水性分散液からの有機樹脂を含む組成物で前もってコーティングされたエアバッグまたはエアバッグ織物に、それぞれ、好適に適用される。コーティング組成物は、通常、固体潤滑剤のエアバッグ織物への接着性を高めるためのバインダーを要する。バインダーは、例えば有機ポリマーバインダーとすることができる。有機ポリマーバインダーの好適例としては、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、ビニル樹脂(例えばポリビニルブチラール)およびポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリウレタンの好適例としては、ポリエステルポリオールと芳香族ジイソシアネートまたは脂肪族ジイソシアネートとの共重合体が挙げられる。フェノール樹脂の好適例としては、フェノールとホルムアルデヒドとの共重合体およびフェノールと、ホルムアルデヒドとクレゾールとの共重合体が挙げられる。エポキシ樹脂の好適例は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの共重合体である。したがって、エアバッグ織物の表面に存在するコーティングは、有機ポリマーバインダーに分散した固体潤滑剤を含む。有機ポリマーバインダーのレベルは、例えばブロッキング防止コーティング組成物(乾燥コーティング重量基準)の2または3重量%〜50重量%、即ち、乾燥コーティング重量基準で減摩性コーティング組成物の2〜50重量%、或いは3〜50重量%である。有機ポリマーバインダーのレベルは、例えばコーティング組成物(乾燥コーティング重量基準)の5または10重量%〜35重量%、即ち5〜35重量%、或いは10〜35重量%が通常好適である。組成物の総重量%は、常に合計して100%とする。乾燥コーティング重量基準での組成物の範囲についての言及は、水および共溶媒の重量を除いて算出された重量を意味する。
【0018】
本発明の好ましい一態様において、有機樹脂を含む組成物で前もってコーティングされたエアバッグ織物に適用されるブロッキング防止コーティング組成物は、有機ポリマーバインダーの分散液中のフッ素ポリマーおよび/またはタルクまたはモンモリロナイトなどの固体潤滑剤の水性分散液を含む。有機ポリマーバインダーの分散液は、水性溶液(必要に応じて任意に水混和性の有機共溶媒を含む)でもよく、または、水性エマルション若しくは懸濁液であってもよい。このようなエマルションまたは懸濁液は、通常、少なくとも1つの界面活性剤で安定化され、界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤ならびにこれらの2つ以上の混合物から選択することができる。好ましい非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルエトキシレート(エトキシレート脂肪アルコール)または(t−オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノールなどのアラルキルエトキシレートが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0019】
ブロッキング防止コーティングは、固体潤滑剤を有機ポリマーバインダー分散液中に分散させるか、固体潤滑剤の分散液を有機ポリマーバインダー分散液と混合するか、または固体潤滑剤の分散液中に有機ポリマーバインダーを分散させることにより、調製することができる。これらの方法を組み合わせて用いてもよく、例えばフッ素ポリマー固体潤滑剤の分散液を、有機ポリマーバインダー分散液と混合し、そしてタルクなどの無機系固体潤滑剤を、その生じた分散液に混合することができる。
【0020】
ブロッキング防止コーティング組成物は、乾燥重量基準で、好ましくは3または5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、90重量%以下、より好ましくは80重量%以下の固体潤滑剤を含み、例えば、3〜90重量%、3〜80重量%、5〜90重量%、5〜80重量%、10〜90重量%、或いは10〜80重量%の固体潤滑剤を含む。例としては、組成物は、乾燥重量基準で、50%または60%の固体潤滑剤を含む。最も好ましくは、織物上のブロッキング防止コーティングは、20または30重量%以上、75または85重量%以下の固体潤滑剤を含む。コーティングは、例えば乾燥重量基準で3〜50重量%の有機ポリマーバインダーを含むことができる。組成物の総重量を100%とする。
【0021】
タルクなどの固体無機系潤滑剤の量は、保管の際、実質的にタルクが沈降を生じないように、あまり多くしないことが好ましい。PTFE固体潤滑剤を含有するまたは含有しないコーティングに存在するタルクの量は、PTFE固体潤滑剤と共に存在する場合、乾燥重量基準でコーティングの好ましくは5または10重量%〜30または40重量%、例えば5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、10重量%〜30重量%、或いは10重量%〜40重量%であり、PTFE固体潤滑剤が存在しない場合、乾燥重量基準でコーティングの80または90重量%以下、例えば5重量%〜90重量%、5重量%〜80重量%、10重量%〜90重量%、或いは10重量%〜80重量%である。本発明によるブロッキング防止コーティング中のタルクの使用は、ブロッキングを阻害するためにエアバッグに粉末としてタルクを適用する場合、ダスト・コントロールに伴う課題を回避する。
【0022】
ブロッキング防止コーティング組成物は、硬化した有機樹脂ベースコーティングへのコーティングの接着性を改良するために接着促進剤を含んでもよい。好ましい接着促進剤としては、エポキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシアルキルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(アルク)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシランまたは(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、N−フェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−メチルアミノメチル−ジメトキシメチルシラン、N−エチルアミノメチルジメトキシ−メチルシラン、N−プロピルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−ブチルアミノメチルジメトキシメチルシランなどのアミノシラン、(メタクリロイル−オキシメチル)−ジメトキシメチルシラン、N−(ジメトキシメチル−シリルメチル)−O−メチルカルバメート、アミノメチルジメトキシメチルシランをマイケル受容体、例えばマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホン酸アリールエステル、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1−ニトロエチレンと反応させたマイケル様付加反応の生成物、クネーファナーゲル縮合の生成物であって、例えばマロン酸ジエステルおよびホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒド等のアルデヒドを含む。エポキシおよびアルコキシ官能基を有する有機ケイ素化合物、例えば米国特許第3,455,877号明細書(参照して援用する)に記載されているものを使用してもよい。アルコキシ基は、同一であっても異なっていてもよく、通常、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択され、例えばメトキシまたはエトキシがある。存在する場合、任意の他の置換基は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基から好ましくは選択される。適切なシランとしては、例えば9−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシランが挙げられる。接着促進剤は、好ましくはコーティング組成物中に、5重量%以下の配合で存在し、例えば0.2重量%または0.5重量%から1重量%までである。
【0023】
ブロッキング防止コーティング組成物は、硬化した有機樹脂ベースコーティング上にコーティングが確実に広がるように、湿潤剤を含有してもよい。好ましい湿潤剤の1つのタイプは、シロキサンポリエーテルであり、特にポリエーテル基がヒドロキシルで終端されているポリオキシエチレンシロキサン、他にはシリコーングリコールとして既知のものが挙げられる。このような湿潤剤としては、アルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基とアルキルシロキサン基を含むシロキサン化合物であって、前記アルキル基は1−6個の炭素原子を含むシロキサン化合物が挙げられる。これらは好ましくは低分子量の化合物であり、好ましくは2〜8個のケイ素原子を含む。例えば、湿潤剤は、1〜3個のアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(i)および1〜4個のアルキル−シロキサン基(ii)を含んでもよい。或いは、湿潤剤は、1個のアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(i)および2個のアルキル(典型的にはメチル−および/またはエチル)−シロキサン基(ii)を含有するトリシロキサンでもよい。好ましくはアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(ii)中のエチレンオキシ(EO)単位の平均数は、5〜12である。好ましくはアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(ii)の末端単位は、アセトキシ、ヒドロキシルまたはアルコキシ単位(例えばメトキシ)である。例えば、下式の構造の化合物である。
【化1】
(式中、n=3〜20、R=H,CH
3,CH
3CH
2,CH
3CO)
【0024】
他のR基を使用してもよく、Si原子とEO鎖の間のアルキル鎖の長さは1〜12個の炭素原子であってもよく、例えば3個の炭素原子の場合、それによりSi原子とEO鎖の間にはプロピル結合が形成される。好ましい例としては、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ポリエトキシプロピル−トリシロキサンが挙げられるが、これに限定されるものではない。湿潤剤は、好ましくはコーティング組成物に10重量%以下の配合で、例えば0.5重量%または1重量%〜3重量%で存在する。
【0025】
ブロッキング防止コーティング組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。エアバッグは、燃焼を支持しないことが重要であり、エアバッグに適用される厳しい可燃性試験を通過するため、特にベースコーティングがシリコーンでなく有機樹脂の場合、通常、エアバッグは、難燃剤の添加を必要とする。難燃剤は、トップコーティングにある場合が最も効果的である。好ましい難燃剤の例は、アルミナ三水和物であり、好ましくは表面処理されていないものである。ブロッキング防止コーティング組成物は、例えば5〜40重量%のアルミナ三水和物を含んでいてもよい。織物上のコーティングは、例えば乾燥コーティング重量基準で5〜55%のアルミナ三水和物を含んでいてもよい。
【0026】
ブロッキング防止コーティング組成物がタルクなどの無機潤滑剤を含む場合、それはタルクの沈降を阻害するために増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、例えばヒュームド・シリカ、ベントナイト粘土またはポリビニルアルコール等のポリマー増粘剤が挙げられる。増粘剤は、好ましくはコーティング組成物中に乾燥コーティング重量基準で5重量%以下の配合で、例えば0.2重量%または0.5重量%〜1重量%で存在する。
【0027】
ブロッキング防止コーティングを、グラビア印刷、オフセット印刷、キス・ロール等のロール塗布によって、またはカーテン塗布によって、エア・アシステッドスプレー若しくはエアレス・スプレー等のスプレーによって、またはロール式ナイフ塗布によって、コーティングされたエアバッグまたはコーティングされたエアバッグ織物に塗布することができる。通常、ロール塗布が、均一に、低いコーティング重量でコーティングするのに効果的な方法として好ましい。グラビア印刷における織物に塗布されるコーティング組成物の量は、ロール上への圧力および/またはエッチング部分の表面からの深さの関数である。ブロッキング防止コーティングは、硬化した有機樹脂ベースコーティング上に好ましくは乾燥コーティング重量基準で、1g/m
2〜10または15g/m
2のコーティング重量で適用される。我々は、1または2g/m
2ほどの低いコーティング重量が、ブロッキングの防止に有効であることを見出した。
【0028】
ブロッキング防止コーティング組成物中の水性希釈剤(水と、水と混合した任意の共溶媒)の量は、コーティングに求められる粘度およびコーティング重量にしたがって調整することができる。通常、コーティング組成物は、20〜75重量%の固形分と、80〜25重量%の水性希釈剤とを有し、総量が100%となる。
【0029】
エアバッグまたはエアバッグ織物にベースコーティングとして適用される有機樹脂組成物は、通常、上述した特許に記載された有機樹脂ベースコーティングのいずれかである。有機樹脂の1つの好ましいタイプは、ポリウレタンである。ポリウレタンベースコーティングは、例えばイソシアネート基とヒドロキシル基またはアミン基との反応により織物上で硬化する反応性ポリウレタンであってもよく、または熱可塑性ポリウレタンであってもよい。硬化性または熱可塑性のいずれであっても、ポリウレタンは、通常、ポリオールとポリイソシアネートの反応生成物である。ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコールジオール、ポリエステル−ポリエーテルジオール、ポリカーボネート−ポリエーテルジオール、シリコーン−ポリエーテルジオールまたはペンダントヒドロキシル基を有するポリアクリレートなどのポリエーテルジオールでもよい。ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートでもよいが、好ましくは脂肪族または脂環式ジイソシアネートである。有機樹脂ベースコーティングは、米国特許第7543843号明細書に記載されているような、アクリレート、ビニルおよび/またはシリコーンと混合されたポリウレタンを含むハイブリッドウレタン樹脂であってもよい。このような有機樹脂ベースコーティングは、様々なトップコーティングでコーティングした場合、臭気問題を生じるが、我々は、本発明によるブロッキング防止コーティングで、臭気問題がなく、コーティングできることを見出した。
【0030】
或いは、ベースコーティングは、ポリアクリレート、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂によって硬化可能なペンダントヒドロキシル基を有する硬化性ポリアクリレート、またはエチレン酢酸ビニル共重合体を含んでいてもよい。ベースコーティングは、有機樹脂の混合物でもよく、例えばポリウレタンとポリアクリレートとの混合物またはポリウレタンとエチレン酢酸ビニル共重合体との混合物でもよい。
【0031】
有機樹脂ベースコーティングが硬化性の場合、それは通常、ブロッキング防止コーティングの適用前に硬化されるが、別のプロセスにおいては、ブロッキング防止コーティング組成物は、硬化していない有機樹脂ベースコーティングに適用され、有機樹脂ベースコーティング組成物とブロッキング防止コーティング組成物との組み合わせを熱硬化してもよい。
【0032】
ブロッキング防止コーティングが硬化した有機樹脂ベースコーティングに適用される場合、減摩性コーティングは環境温度で硬化させてもよく、または高温、例えば50〜200℃、特に100〜150℃で、より素早く硬化させてもよい。高温で硬化させる方法の一つは、ブロッキング防止コーティング組成物を、加熱された基材に、例えば有機樹脂ベースコーティングの加熱硬化直後に、コーティングされたエアバッグまたはエアバッグ織物に適用することを含む。
【0033】
本発明のブロッキング防止コーティングは、コーティングされた織物表面のブロッキング、即ち保管の際または自動車のエアバッグ区画にエアバッグを密に詰めた際、コーティングされた表面が、互いに付着することを阻害する。このようなブロッキングは、エアバッグが膨張するとき、非常に高いストレスを生ずることがあり、裂けまたは織物からのシリコーンベースコーティングの剥離によるバッグの不具合を生ずることがある。ブロッキング防止コーティングは、コーティングされたエアバッグ表面での摩擦を減少させることがあり、乗り物の使用時に動いたときに、エアバッグの摩耗を減少させることがあり、そのような摩耗は、エアバッグの減少した圧力保持につながることがある。
【0034】
エアバッグトップコーティングとしての本発明のブロッキング防止コーティングの使用は、不快な臭いを生じることがない。我々は、本発明のブロッキング防止コーティングを、例えば米国特許第7543843号明細書に記載されているような、アクリレート、ビニルおよび/またはシリコーンと混合されたウレタンポリマーを含むハイブリッドウレタン樹脂などのウレタンポリマーベースコーティング上に適用したとき、悪臭またはアンモニア臭が放出されないことを見出した。
【0035】
本発明のブロッキング防止コーティングは、エアバッグの透過性または外観に有害な影響もなく、ブロッキングを阻害し、不快な臭いを防ぐ。ブロッキング防止コーティングは、空気圧を失うことに対するエアバッグのシーリングの上昇にいくらか効果があることがあり、特にブロッキング防止コーティングのコーティング重量が5g/m
2より多い場合、効果がある。ブロッキング防止コーティングは、ベースコーティングとの作用による色変化を生じない。
【0036】
好ましくは、本明細書に記載されたエアバッグは、エアバッグ用途において特に有用であり、エアバッグ用途では、特に自動車産業用のサイド・カーテン・エアバッグにおいては、加圧ガスを織物の外皮内に比較的長時間、例えば5秒より長い時間、保持する必要がある。これらのサイド・カーテン・エアバッグは、従来のエアバッグと同様に、衝突時に膨張することが意図されている。サイド・カーテンは、開いて、クッション性のあるカーテンを、乗客と車体の側面、例えば窓との間に形成する。従来の運転手用および乗客用エアバッグの場合のような単に衝突そのものの衝撃に対するクッション性だけでなく、例えば車が横転した場合などに乗客を保護することが意図されており、サイド・カーテン・エアバッグは、そのような横転の間、十分に加圧されていることが重要である。従来の運転手用および乗客用エアバッグは、単にほんの一瞬、圧力を維持する必要があるのに対し、サイド・カーテン・エアバッグは、数秒間、適度な圧力を保持することが望ましい。一定のガス圧力を比較的長期間保持するため加圧された織物構造が望ましい、例えば航空機用の緊急避難用シュートまたはゴムボートなどで同様の用途が存在する。したがって、シリコーンゴムコーティングにより与えられる少ないコーティング重量で、柔軟性および高温耐性を有しながら、しかし改良された気密性を有するコーティングされた織物の要望がある。