(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステントが、内部コアを取り囲む外部シェルを有するコア−シェル構造を含み、そして前記内部コアが中空であり、外部シェルが0.0010インチ以下の厚みを有する前記コバルト基合金で構成される、請求項1記載のステント。
前記ステントが、内部コアを取り囲む外部シェルを有するコア−シェル構造を含み、そして前記内部コアが中空であり、前記外部シェルが0.0010インチ以下の厚みを有する前記コバルト基合金で構成される、請求項14記載のステント。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、機械的特性といったような他の特性を保持するかまたは改良しながら、放射線不透過性強化を達成するための本発明のコバルト基合金に関する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、コバルト基合金は、市販のコバルト基合金中の他の金属元素より大きい密度および/または原子番号を有する少なくとも1つの金属元素を含み得る。市販のコバルト基合金の例としては、MP35N、MP35N LT、L−605、Haynes 188および/または当該技術分野で既知のその他のコバルト含有合金が挙げられる。例えば、MP35Nは一般的に、約35重量%Ni、約35重量%Co、約20重量%Crおよび約10重量%Mo(35Co−35Ni−20Cr−10Mo)の典型的組成を有することが既知である;MP35N LTは、ASTM F562に従って測定した場合に、33〜37重量%Ni、19〜21重量%Cr、9〜10.5重量%Moおよび全量を100とする量のコバルトの典型的組成を有し得る;そしてL−605は、約9〜11重量%Ni、19〜21重量%Cr、14〜16重量%Wおよび全量を100とする量のコバルトの典型的組成を有し得る。ある程度、MP35N LTは、MP35Nの代替物とみなされ得る。これらの合金はともにほぼ同一組成(35Co−35Ni−20Cr−10Mo)を有するが、しかしMP35Nは約1重量%チタンを含有し、一方、MP35N LT(低チタン)組成物は0.01重量%チタンを含有するに過ぎない。チタン含量の低減は、包含物サイズおよび分布低減、より良好な表面仕上げ、ならびに高度に改良された疲労寿命を生じ得る。
【0013】
上記のように、本発明の実施形態によれば、市販のコバルト基合金、例えば上記のコバルト基合金中のその他の金属元素より大きい密度および/または原子番号を有する少なくとも1つの金属元素は、約12g/cm
3以上の密度を有し得る。便宜のために、「高密度金属成員」または「元素高密度金属」という用語は、このような元素を記載するために用いられ、例としてプラチナ(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、高密度金属成員は、PtまたはPt含有合金、例えばPtIrであり得る。他の実施形態では、高密度金属成員は、Pt以外の元素高密度金属(単数または複数)により構成され得る。
【0014】
現行の、または慣用的なコバルト基合金と比較して、本発明の実施形態によるコバルト基合金は、ニッケル(Ni)および/またはその他の金属の含量低減を示し、一方、現行のコバルト基合金中の残りの金属(単数または複数)の含量は低減されることもされないこともある。一実施形態では、現行のコバルト基合金中のNiおよび/またはその他の金属は、開示される高密度金属成員および/またはそれらの合金に少なくとも部分的に取り替えられ得る。一実施形態では、開示されるコバルト基合金は、高密度金属成員(単数または複数)を現行のコバルト基合金で埋め合わせることにより構成され得るが、この場合、現行コバルト基合金中の金属間の材料比は保持される。
【0015】
一具体例では、Niは、現行コバルト基合金から完全に除去され、一方、より高い密度を有するPtがコバルト基合金中に含まれ得る。PtおよびNiはともに、最終合金の特性または特質に影響を及ぼすことなく延性を提供すること、そしてオーステナイト安定化剤であることが既知の面心立方(FCC)構造を有する遷移金属である。別の例では、Ptは、MP35Nの耐食性に影響を及ぼすことなく、MP35NまたはMP35N LTに付加され、例えば融解され得る。
【0016】
第一の例示的実施形態では、ステントを形成するために用いられるコバルト基合金は、以下のものを含み得るが、これらに限定されない:
10〜35重量%、例えば10〜35、20〜35または約35重量%の高密度金属成員;
16〜21重量%、例えば19〜21重量%のクロム(Cr);
9〜12重量%、例えば9〜10.5重量%のモリブデン(Mo);
0〜25重量%、例えば10〜18重量%のニッケル(Ni);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0017】
一実施形態では、コバルト基合金は、鉄(Fe)、ホウ素(B)、炭素(C)、マンガン(Mn)、リン(P)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、イオウ(S)および/またはその組合せのうちの1つ以上をさらに含み得る:
0〜3.0重量%または0〜1.0重量%または約1重量%の鉄(Fe);
0〜0.015重量%または約0.010または0.015重量%のホウ素(B);
0〜0.15重量%または0〜0.025重量%または約0.025重量%の炭素(C);
0〜1.5重量%または0〜0.15重量%または約0.15重量%のマンガン(Mn);
0〜0.04重量%または0〜0.015重量%または約0.015重量%のリン(P);
0〜1.0重量%または0〜0.15重量%または約0.15重量%のケイ素(Si);
0〜1重量%または0〜1重量%または約0.01重量%のチタン(Ti);および
0〜0.03重量%または0〜0.01重量%または約0.01重量%のイオウ(S)。
【0018】
第二の例示的実施形態では、ステントを形成するために用いられるコバルト基合金はニッケル(Ni)を含有し得ない。例えば、開示されるコバルト基合金は、以下のものを含み得るが、これらに限定されない:
10〜35重量%、例えば10〜35、20〜35または約35重量%の高密度金属成員;
16〜21重量%、例えば19〜21重量%のクロム(Cr);
0〜12重量%、例えば9〜12重量%または9〜10.5重量%のモリブデン(Mo);
0〜3重量%の鉄(Fe);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0019】
一実施形態では、コバルト基合金は、以下のうちの1つ以上をさらに含み得る:
0〜0.15重量%の炭素(C);
0〜1.5重量%のマンガン(Mn);
0〜0.04重量%のリン(P);
0〜1.0重量%のケイ素(Si);
0〜1重量%のチタン(Ti);および
0〜0.03重量%のイオウ(S)。
【0020】
一実施形態では、ニッケル(Ni)を含有しないコバルト基合金は、さらに、モリブデン(Mo)、ホウ素(B)、チタン(Ti)および/またはそれらの組合せを含有しない。この実施形態では、コバルト基合金は、例えば以下のもので構成され得る:
約15重量%のタングステン(W)および10〜12重量%のプラチナ(Pt);
約20重量%のクロム(Cr);
0〜0.15重量%の炭素(C);
0〜3重量%の鉄(Fe);
約1.5重量%のマンガン(Mn);
0〜0.04重量%のリン(P);
0〜1.0重量%のケイ素(Si);
0〜0.03重量%のイオウ(S);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0021】
第三の例示的実施形態では、ステントを形成するために用いられるコバルト基合金は、以下のものを含み得るが、これらに限定されない:
10〜35重量%の高密度金属成員;
16〜21重量%のクロム(Cr);
0〜12重量%のモリブデン(Mo);
0〜25重量%のニッケル(Ni);
0〜3重量%の鉄(Fe);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0022】
第四の例示的実施形態では、ステントを形成するために用いられるコバルト基合金は、以下のものを含み得るが、これらに限定されない:
プラチナ(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)およびその組合せからなる群から選択される10〜35重量%の金属成員;
20〜24重量%のクロム(Cr);
0〜12重量%のニッケル(Ni);
0〜3重量%の鉄(Fe);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0023】
一実施形態では、コバルト基合金はモリブデン(Mo)を含有せず、そして以下のもので構成され得る:
約14重量%のタングステン(W)および10〜14重量%のプラチナ(Pt);
約22重量%のクロム(Cr);
8〜12重量%のニッケル(Ni);
0〜0.15重量%の炭素(C);
0〜3重量%の鉄(Fe);
約1.5重量%のマンガン(Mn);
0〜1.0重量%のケイ素(Si);
0〜0.03重量%のランタン(La);および
全量を100とする量のコバルト(Co)。
【0024】
本明細書中に開示されるコバルト基合金はワイヤ、シートおよび管を形成するために用いられ、これらから、本明細書中に記載されるように、所望の特性を有するステントが生成され得る。
【0025】
一実施形態では、ステントは、内部コアを実質的に取り囲む外部シェルを有するコア−シェル構造を含むワイヤから形成され得る。外部シェルおよび内部コアのうちの1つまたは両方がコバルト基合金で構成され得る。例えば、外部シェルおよび内部コアの一方はコバルト基合金で構成され、その他方は金属成員で構成され得る。金属成員は、所望されるような付加的特性を提供するための任意の金属であり得るし、および/または改良された放射線不透過性および/または機械的特性を提供するための高密度金属成員であり得る。一実施形態では、内部コアは中空であり得るが、一方、外部シェルは開示されるコバルト基合金で構成され得るし、そして薄く、所望の特性を有し得る。開示されるコバルト基合金の使用のため、最小反跳を有する薄い支柱も達成され得る。
【0026】
コア−シェル構造を含むワイヤによりステントが形成される例示的実施形態では、本発明の実施形態によるコバルト基合金で構成される少なくとも一端を有するステントを提供するために、ワイヤの外部シェルおよび内部コアの少なくとも一方は、少なくとも1つの高密度金属成員を含む材料で構成され得る。
【0027】
図1は、複数の支柱112および複数の円頂部または折返し部114を含み、各円頂部または折返し部114が一組の隣接支柱112と連結する本発明の種々の実施形態による支柱および円頂部を有するステント100を示す。ステント100は、当該技術分野で既知の方法を用いて、管またはワイヤから形成され、ステント100を形成するために用いられる管またはワイヤは、本発明の実施形態による材料から製造され得る。例えば、管がステントを形成するために用いられる場合、管は、レーザーで切断されるか、または既知の方法によりステントの模様で食刻され得る。ワイヤがステントの形成に用いられる場合、ワイヤは、一般的にS字状波型に形成され、心棒またはロッドの周囲に巻きつけられ得る。選ばれた隣接円頂部は一緒に融合され、ワイヤの末端がレーザーにより切断されて、そこでステントは終結する。
【0028】
図2Aおよび2Bは、本発明の実施形態による、それぞれステント200A、200Bの支柱の横断面を示す。
【0029】
図2Aでは、本明細書中に開示されるようなコバルト基合金212は、所望の放射線不透過性、機械的特性および/またはその他の特性を有するステント200Aの支柱を形成するために用いられるワイヤを構成するために用いられ得る。
【0030】
図2Bでは、ステント200Bの支柱は、開示されるコバルト基合金212で構成される外部シェルを含むワイヤから形成され得る。外部シェルは、内部コアを実質的に取り囲み得るが、この実施形態では内部コアは中空内部コア205であって、開放管腔を形成する。実施形態において、外部シェルは、所望の放射線不透過性および/または機械的特性を十分に提供するために、開示されるコバルト基合金212を用いるため、薄く、約0.0010インチ以下、または約0.0005〜約0.0020インチの範囲の厚みを有し得る。
【0031】
図2Cおよび2Dは、本発明の実施形態による、それぞれステント200C、200Dの複合支柱の横断面を示す。複合支柱/ステントは、それらの全体的性能を改良するために個々の材料の異なる性能特質を利用し得る。
【0032】
図2Cでは、ステント200Cの例示的支柱は、金属成員220により構成される内部コアを実質的に取り囲むコバルト基合金212で構成される外部シェルを含むよう形成され得る。金属成員220は、所望の特性を提供するよう選択され得る。金属成員は、少なくとも1つの金属を含み得るし、金属合金であり得る。コバルト基合金212により取り囲まれる金属成員220は、高密度金属成員であり得るし、そうでないこともある。しかしながら、高密度金属成員が金属成員220のために用いられる場合、
図2Cにおけるステント200Cの支柱は、本明細書中に開示されるような他の特性を保持(または改良)しながら、さらに強化された放射線不透過性を有し得る。
【0033】
図2Dでは、金属成員220、例えば高密度金属成員は、選択され、用いられる材料によって、所望の放射線不透過性およびその他の特性を有するステント200Dの支柱を構成するために、開示されるコバルト基合金212の内部コアを実質的に取り囲む外部シェルとして用いられ得る。
【0034】
図2Eおよび2Fは、本発明の種々の実施形態によるステント200E、200Fの支柱を形成するために用いられるワイヤの横断面および末端202を示す。例えば、外部シェルと内部コアの材料の組合せが、ワイヤ/管の一端または両端で本発明の実施形態による高密度金属成員を有するコバルト基合金を構成するよう、例示的支柱/ステントは、内部コアを実質的に取り囲む外部シェルを有するワイヤおよび/または管により形成され得る。
【0035】
図2Eでは、外部シェルは、高密度金属成員222で構成される内部コアを実質的に取り囲む任意のコバルト基合金230で構成され得る。高密度金属成員222は、本明細書中に開示されるような少なくとも1つの高密度金属で構成され得る。コバルト基合金230は、当該技術分野で既知のような任意のコバルト基合金であり得るし、および/または本発明の実施形態による少なくとも1つの高密度金属を含有するコバルト基合金であり得る。
【0036】
例えば、MP35Nの外部シェルおよびPtIrの内部コアを有する複合ワイヤは、固体MP35Nに匹敵する機械的性能すべてを少なくとも保持するために、そしてさらに、コア材料からの改良された放射線不透過性の利益を付加するために、利用され得る。具体的には、製造中、ステントが終結するワイヤの末端を切断するためにレーザーを用いる場合、レーザーはMP35Nおよびコア材料の両方を通して融解し、融解は、平滑先細末端をワイヤに残す。外部シェルおよび内部コアの両材料を通して融解することにより、本発明の実施形態によるコバルト基合金212はワイヤの先細末端を提供し得る。
【0037】
図2Fでは、複合ワイヤは、ステントを形成するために所望の特性を有するワイヤの一端を提供するために内部コアとしてコバルト基合金230を実質的に取り囲む高密度金属成員222で構成される外部シェルを含み得る。
【0038】
実施形態において、高密度金属成員222は、
図2Eおよび2Fで示されているように、高密度金属成員222およびコバルト基合金230を含む総ワイヤの約20重量%〜約45重量%であり得る。例えば一実施形態では、
図2Eの高密度金属成員222はプラチナ(Pt)およびイリジウム(Ir)の合金であり、コバルト基合金230はMP35Nであり得るし、PtIrのコアの直径はワイヤの直径の約10〜25%であり得る。一実施形態では、
図2Eの高密度金属成員222はタンタル(Ta)であり、コバルト基合金230はMP35Nであり得るし、Taのコアの直径はワイヤの直径の約10〜30%であり得る。
【0039】
一実施形態では、例示的ステント200E、200Fは、本発明の実施形態による少なくともコバルト基合金で構成されるワイヤ/ステントの所望の末端(
図2Eおよび2F参照)を有する
図2A〜2Dで示された支柱をさらに含み得る。
【0040】
図2A〜2Fで示された横断面は図示目的のために円形であるが、しかし、規則的なまたは不規則な、三角形、正方形、長方形、多角形、卵形等を含めた他の考え得る横断面が、開示される合金/ワイヤ/管/支柱/ステントのために用いられ得る、と当業者は理解する。さらに、
図2B〜2Fに示されたコア−シェル構造は、同軸的または非同軸的に形成され得るが、一方、外部シェルおよび内部コアは、同一のまたは異なる横断面形状を有し得る。
【0041】
以下の実施例は本発明の実施形態の例証であって、本発明を限定するものではない。
【0042】
実施例
本明細書中に開示されるような種々の例示的組成を有するコバルト基合金を、スプール上に約0.0034インチ(0.086mm)に縮小して、分析のために融解した。融解分析を、エネルギー分散(ED)−XRF分光計で実行したが、これは、例えばX線発生器、X線管、HV供給源、真空系、パルス処理装置、Si(Li)検出器、標的、PC、MCA、印刷機等を包含して、コバルト基合金試料中の各元素の濃度測定を提供する。測定する場合、シグナルの強度が高いほど、コバルト基合金試料中の元素の濃度は高い。予備評価は、慣用的に利用されるステンレススチール合金、コバルト基合金または他の合金と比較して、所望の機械的強度および延性を明示した。
【0043】
実施例1
表Iは、実施例1におけるコバルト基合金に関する合金組成物(重量%)を列挙する:
【0045】
実施例2
表IIは、実施例2におけるコバルト基合金に関する合金組成物(重量%)を列挙する:
【0046】
表II:Niを含まないコバルト基合金
【0047】
実施例3
表IIIは、実施例3におけるコバルト基合金に関する合金組成物(重量%)を列挙する:
【0049】
実施例4
表IVは、実施例4におけるコバルト基合金に関する合金組成物(重量%)を列挙する:
【0050】
表IV:Moを含まないコバルト基合金
【0051】
実施例5
表Vは、例示的コバルト基合金M1a、M1b、M2aおよびM2b、ならびに市販の合金MP35N LTの各々に関する合金組成物(重量%)を列挙する:
【0053】
具体的には、表Vは、ステントの支柱を形成するためのワイヤとして用いられる場合、コバルト基合金試料M1aおよびM1bを比較し、そしてステントの支柱を形成するためのワイヤを構成するための例示的タンタル(Ta)内部コアを実質的に取り囲む外部シェルを形成するために用いられる場合、コバルト基合金試料M2aおよびM2bを比較する。表Vは、ASTM F562により測定される各元素の重量濃度を有する市販の合金MP35N LTも包含する。上記の例示的合金組成物はすべて、元素の粉末を混合し、混合粉末を融解することにより処方した。
【0054】
機械的特性
図3および4は、表Vにおける試料M1bおよびM2bを用いたワイヤに関する機械的特性、高度(HV)および極限引張り強さ(UTS)対冷間加工%(転位強化)を示し、この場合、M1bは全ワイヤを構成し、M2bは複合ワイヤを形成するためのタンタル(Ta)のコア周囲の外部シェルとして用いられる。
図5は、ワイヤのUTSを、約20.1重量%Ptを有する試料合金M1bを用いたワイヤ(
図3も参照);19.5重量%Ptを有する試料合金M2bの外部シェルを有する複合ワイヤ(
図4も参照);および合金試料M1bおよびM2bと比較した場合に高密度金属成員Ptを有さないが、しかし他の同様の金属元素を有する市販のMP35N LT合金とで比較する。
【0055】
図3〜5に示したように、合金M1bおよび合金M2b/Taを含むワイヤは、意外にも、慣用的MP35N LT合金を含むワイヤと比較して、類似の極限引張り強さ(UTS)機械特性を有する。
図5にさらに示されているように、「最終ワイヤ」データは、最終材料における所望の冷間加工%およびUTSを示す。
【0056】
表VIは、表Vに列挙した合金組成物を有する試料合金M1bおよびM2bの寸法、機械的特性をさらに列挙する。
【0057】
表VI:Niを含むコバルト基合金を有するワイヤ
【0058】
放射線不透過特性
概して、放射線写真術は、材料間の画像コントラストを提供するために画像化されている材料の密度の差に頼っている。これは、相対的に高密度の材料が、低密度材料より多量の放射線を吸収するためである。放射線の経路と直角をなす各材料の相対的厚みも、吸収される放射線の量に影響を及ぼす。より小さい血管腔中にステントを配置するためには、相対的に薄い横断面または壁厚を有するステントを用いることが望ましく、これが今度は、既知の材料のステントを低放射線不透過性にして、体腔中に配置することを難しくする。この理由のため、開示されるコバルト基合金は、改良された放射線不透過特性を少なくとも提供するために所望される。
【0059】
合金の放射線不透過特性を、合金材料の質量吸収係数を算定することにより特性化した。算定質量吸収係数が高いほど、放射線不透過性は良好である。例えば、理論的合金密度は、以下の方程式:
により算定され得るが、一方、理論的質量吸収係数は、以下の方程式:
により算定され得る(式中、w
iは、第i番目の合金元素の重量%であり;μは、材料の線吸収係数であり;μ/ρは、質量吸収係数であり;そして(μ/ρ)
iは、純粋状態での第i番目の合金元素に関する質量吸収係数である。質量吸収係数μ/ρは、所定の材料および入射放射線のエネルギーに関して一定である。
【0060】
上記の方程式によれば、表VIIは、80keVおよび100keVでの表Vに示した組成物を有する合金試料M1bおよび慣用的合金MP35Nの算定および実密度、ならびに算定質量吸収係数を列挙する(これらは、心臓学に関する最新Cアーム設備の領域である)。
【0062】
表VIIに示したように、80keVおよび100keVの両方で、高密度金属成員Ptを含有する試料合金M1bは、対応する市販合金MP35Nより高い算定質量吸収係数を有する。試料合金M1bは、MP35Nを上回るより良好な放射線不透過特性を提供する。
【0063】
実施例6
約0.0032インチの外径を有する複合ワイヤで、ステントを加工した。複合ワイヤは、市販のMP35Nで構成される外部シェルと、一方で、(1)約25重量%Ta、(2)約41重量%Ta、(3)約25重量%Pt
20Irおよび(4)約41重量%Pt
20Ir(これらすべてを、固体MP35N合金から製造される対照群と比較する)を有する内部コアを伴うコア−シェル構造を有した。複合ワイヤを、ステントの末端で融解するかまたは合金にした。
【0064】
上記の4つの例示的ワイヤに関して、腐食試験を実施した。材料間を合金にする効果、ならびに外部シェルおよび内部コアのために用いられるそれらのパーセンテージを、ステントの耐食性に関して調べた。ステントの表面化学を不動態化するかまたは変更するためのさらなる加工処理は実行しなかった。
【0065】
結果として、PtIrコアは、ステントの末端で融解される場合、対照群と比較して、用いられるパーセンテージにかかわらず、自己不動態化するステントの能力に及ぼす作用(例えば、保持する)を有さなかった。言い換えれば、MP35N/35NLTおよびPt
20Irからの構成成分からなるコバルト基合金は、市販のMP35Nと少なくとも等価の耐食性材料を生じる。他方で、両タンタル(Ta)群は、対照試料と比較して、再不動態化の欠如を示した。タンタル(Ta)のパーセンテージも、41%Taコア群により例証される効果を有したが、これは、完全に再不動態化されたわけではなかった。
【0066】
実施例7
MP35N LTから構成される0.0032インチ(試料A)、0.0034インチ(試料B)および0.0036インチ(試料C)を含めた3つの異なる厚みを有するワイヤから、同一ステントを作製した。さらに、本発明の実施形態に従って、約35.2重量%Co、約20.1重量%Pt、約16.8重量%Cr、約17.2重量%Niおよび約11.1重量%Moを含む合金から形成される0.0036インチの厚みを有するワイヤ(試料D)、約37重量%Fe、約30.8重量%Pt、約18.4重量%Cr、約9.5重量%Niおよび約1.5重量%Moを含む合金から形成される0.0034インチの厚みを有するワイヤ(試料E)、ならびに約37.1重量%Ni、約21重量%Pt、約17.7重量%Cr、約13.3重量%W、約4.9重量%Co、約4.4重量%Feおよび約2.2重量%Moを含む合金から形成される0.0033インチの厚みを有するワイヤ(試料F)を含めたワイヤから、ステントを作製した。ステントをトレイ中に入れて、病院カテーテル実験室で用いられる標準Cアーム/蛍光顕微鏡下に置いた。一層の鉛遮蔽体をトレイの上に置いて、バックグラウンドノイズを付加し、
図6に示したように、材料間の放射線不透過性差を例証した。図のように、試料D、EおよびF(すべて、プラチナ(Pt)を含む)は、試料A、BおよびC(市販のMP35N LTから構成され、プラチナを含まない)より高レベルの放射線不透過特性を示した。
【0067】
さらに具体的には、約35.2重量%Co、約20.1重量%Pt、約16.8重量%Cr、約17.2重量%Niおよび約11.1重量%Moを含む合金から形成された0.0036インチの厚みを有するワイヤである試料Dは、市販のMP35N LT合金から形成された同一厚みのワイヤより高い放射線不透過特性を示した。実施例5に関して上記したように、約35.2重量%Co、約20.1重量%Pt、約16.8重量%Cr、約17.2重量%Niおよび約11.1重量%Moを含む合金から形成されたワイヤは、意外にも、市販のMP35N LT合金から形成されたワイヤと比較して、類似のUTSを有した。実施例5および7で提供された結果は、プラチナを有する新規のコバルト基合金は、市販のコバルト基合金、例えばMP35N LTと比較して、ステントの機械的特性を保持しながら、ステントの放射線不透過特性の改良を生じる、ということを示している。
【0068】
実施例8
ステント材料がその寿命中に(すなわち、クリンプ化、展開および装填中)、ステント材料が蒙る歪みの量にかんがみて、ステントの製造に一般に用いられる合金であるMP35Nと比較して、本発明の実施形態による材料は、当該材料における適切な延性/伸びを保持し得る、ということを示すことが妥当であった。さらに、強度と平衡を保ちながら、材料の延性を最大にするために焼きなましの適切なレベルを決定することが妥当であった。この実施例では、0.091mm(0.0036インチ)の直径を有する表Vに列挙されたM1b試料から作製されるワイヤを、異なる温度(850℃、950℃、1000℃および1050℃)で、異なる時間(6秒、12秒、24秒、30秒、36秒および42秒間)、焼きなまし後、機械的特性に関して試験し、同一温度(850℃、950℃、1000℃および1050℃)で、異なる時間(6秒、12秒、24秒および30秒間)、焼きなまし後、ASTM F562に従って、MP35Nから作製されたワイヤと比較した。
【0069】
図7Aは、焼きなまし温度および焼きなまし時間の一関数としての、MP35N合金から作製されるワイヤに関して測定された伸びパーセントを示し、
図7Bは、焼きなまし温度および焼きなまし時間の一関数としての、M1b合金試料から作製されるワイヤに関して測定された伸びパーセントを示す。
図8Aは、焼きなまし温度および焼きなまし時間の一関数としての、
図7Aのワイヤに関して測定された極限引張り強さ(kpsiで)を示し、
図8Bは、焼きなまし温度および焼きなまし時間の一関数としての、
図8Bのワイヤに関して測定された極限引張り強さ(kpsiで)を示す。
図9Aおよび9Bは、焼きなまし温度および焼きなまし時間の一関数としての、それぞれ
図7Aおよび7Bのワイヤに関して測定された降伏強度(kpsiで)を示す。
【0070】
図示したように、M1b合金は、〜30%伸びを達成し得たが、これは、材料が1050℃で焼きなまし後、ステントの寿命の間にステント材料に関連した歪みを蒙るために十分な延性を有するはずである、ということを示す。比較すると、MP35N合金は、〜35%伸びを達成した。さらに、M1b合金の極限引張り強さは、一般的に、
図8Aおよび8Bにより示されるように、匹敵する焼きなまし温度および時間に関して、MP35N合金の極限引張り強さより高かった。同様の結果は、
図9Aおよび9Bに示されているように、降伏強度に関しても見出された。試験結果は、M1b合金の延性はMP35N合金の延性より低かったが、しかしM1b合金は一般的に、ワイヤ試料に関して測定された極限引張り強さおよび降伏強度により立証されるように、より強力な材料であり、ステントを製造するのに適している、ということを示している。
【0071】
10秒間100gの試験負荷でのビッカース硬度に関しても、M1b合金およびMP35Nのワイヤ試料を試験した。焼きなましを伴わないM1b合金試料を測定し、602のビッカース硬度を得た。表VIIIは、焼きなまし温度および時間の一関数としての、ビッカース硬度試験(HVでの硬度値)の結果を列挙する。
【0073】
表VIIIに示したように、M1b合金を試験し、匹敵する焼きなまし温度および時間に関して、MP35N合金よりわずかに硬いことが判明した。
【0074】
ステントを本明細書中で記載しているが、しかし、本発明の実施形態による合金は任意数の埋め込み可能な医療器具のために用いられ得る。
【0075】
本発明の具体的実施形態を上記で説明してきたが、本発明は記載されたものとは別様に実行され得る、と理解されるであろう。例えば、表IおよびIIは、詳細に記載されていないが、しかし依然として本発明の範囲内であり、以下で特許請求される付加的実施例を含む。上記の記述は例証であって、本発明を限定するものではない。例えば、合金はステントを作製するために用いられるものとして記載されているが、しかし、他の医療器具も本発明の実施形態によるこのような合金を用いて加工され得る、と理解されるべきである。したがって、以下に記述される特許請求の範囲を逸脱しない限り、本発明に対する修正がなされ得る、ということは当業者には明らかである。