特許第6208223号(P6208223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208223
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】新規化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20170925BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C07D471/04 113
   C07D471/04CSP
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   C07D471/04 120
   A61K31/4985
   A61K31/4375
   A61K31/5377
   A61K45/00
【請求項の数】34
【全頁数】130
(21)【出願番号】特願2015-514588(P2015-514588)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2015-518040(P2015-518040A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】GB2013051428
(87)【国際公開番号】WO2013179034
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】1209609.5
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/653,140
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/782,210
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504162110
【氏名又は名称】アステックス、セラピューティックス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、レネ、アンギボー
(72)【発明者】
【氏名】イザベル、ノエル、コンスタンス、ピラット
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、アレクシス、ジョルジュ、ケロル
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526794(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/135376(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/064250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D471/00−471/22
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I−A)または(I−B)で示される、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物:
【化1】
[(I−A)に関しては、
はNであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか;または
はCR3dであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか;または
はCR3dであり、XはCR3dであり、かつ、XはNであり;
(I−B)に関しては、
はNまたはCR3dであり;
各Rは独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ヒドロキシハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル(ここで、各C1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−R13で置換されたC1−4アルキル、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、−NRで置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−4アルキル、−NRで置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−NRで置換されたC1−4アルコキシ、−NRおよび−C(=O)−NRから選択され;あるいは2個のR基が、隣接する炭素原子と結合している場合は、それらは一緒に式:
−O−(C(R17−O−;
−X−CH=CH−;または
−X−CH=N−
(式中、R17は水素またはフッ素を表し、pは1または2を表し、かつXはOまたはSを表す)
の基を形成していてもよく;
Dは、3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよく;
は、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR、−C(=O)−C1−6アルキル−NR、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表し;
3aは、−NR1011、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、−NR1011で置換されたC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換されており、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルでさらに置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表し;ただし、式(I−B)の化合物に関しては、R3aは−NR1011を表さなくてもよく;
3bは、水素またはヒドロキシルを表し;ただし、R3aが−NR1011を表す場合には、R3bは水素を表し;あるいは
式(I−A)の化合物に関しては、R3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、=NR10を形成するか、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピルを形成するか、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成するか、または
【化2】
{式中、環Aは、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を含有する単環式5〜7員飽和複素環であり、前記ヘテロ原子は二重結合のα位には位置せず、環Aは、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、HN−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)N−C1−4アルキル、(ハロC1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、−C(=O)−NH、−C(=O)−NH(C1−4アルキル)、−C(=O)−N(C1−4アルキル)で置換されていてもよい}
を形成し;
3cは、水素、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、R、−NR1011、−C(=O)−NR1415、シアノ、−C(=O)−C1−6アルキル、または−CH(OH)−C1−6アルキルを表し;
3dは、水素、塩素、ヒドロキシル、またはC1−6アルコキシを表し;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−C(=O)−NR1415、−C(=O)−O−C1−6アルキル、−C(=O)−R13、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13またはR13で置換されたC1−6アルキルを表し;
は、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員単環式ヘテロシクリルを表し;前記C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、4〜7員単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、シアノ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキル−O−C(=O)−、−NR1415、−C(=O)−NR1415、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、または−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキルから選択され;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、またはC1−6アルコキシC1−6アルキルを表し;
は、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、前記C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、または3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルはそれぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、=O、C1−4アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノ、シアノC1−4アルキル、C1−4アルキル−O−C(=O)−、C1−4アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−4アルキル、C1−4アルキル−C(=O)−、C1−4アルコキシC1−4アルキル(ここで、各C1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルキル、−NR1415、−C(=O)−NR1415、−NR1415で置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−S(=O)−C1−4アルキル、−S(=O)−ハロC1−4アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−C1−4アルキルで置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−4アルキルで置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、R13、−C(=O)−R13、R13で置換されたC1−4アルキル、R16で置換されていてもよいフェニル、フェニルC1−6アルキル(ここで、前記フェニルはR16で置換されていてもよい)、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはR16で置換されていてもよい)から選択され;
あるいはRの置換基のうち2つが同じ原子と結合している場合には、それらは一緒に、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和単環式ヘテロシクリルを形成していてもよく;
10およびR11はそれぞれ独立に、水素、カルボキシル、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R、−C(=O)−C1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシC1−6アルキル、−C(=O)−ハロC1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシハロC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、または−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキルを表し;
12は、水素、またはC1−4アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキルを表し;
13は、C3−8シクロアルキル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和4〜6員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記C3−8シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立にハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、=O、シアノ、−C(=O)−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−NR1415から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく;
14およびR15はそれぞれ独立に、水素、またはハロC1−4アルキル、またはヒドロキシル、C1−4アルコキシ、アミノ、もしくはモノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノから選択される置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し;
16は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−NR1415または−C(=O)−NR1415を表し;
nは独立に、0、1、2、3または4に等しい整数を表す。]。
【請求項2】
式(I−A)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がNであり、XがNであり、かつ、XがCHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がCR3dであり、XがNであり、かつ、XがCHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
がCR3dであり、XがCR3dであり、かつ、XがNである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
式(I−B)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がCR3dである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がNである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
Dが置換されていてもよいピラゾリルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
がヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、NRで置換されたC1−4アルキル、NRで置換されたC1−4アルコキシ、−NRまたは−C(=O)−NRから独立に選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
がC1−4アルコキシを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
3aがヒドロキシル、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC1−6アルキルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
3bが水素またはヒドロキシルを表す、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
3aおよびR3bが一緒に=Oを形成するか、またはR3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成する、請求項1〜5および9〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
3bがヒドロキシルを表し、かつ、R3aがヒドロキシC1−6アルキルを表す、請求項6〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
nが1または2に等しい整数を表し;かつ、各RがヒドロキシルまたはC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aがヒドロキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表すか;またはR3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、もしくはR3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成し;R3cがヒドロキシル、シアノまたは−C(=O)−NR1415を表し;R3bが水素またはヒドロキシルを表し;R3dが水素を表し;Dが、C1−6アルキルで置換されたモルホリニルまたはピラゾリルを表し;Rが、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルを表し;R14およびR15がそれぞれ独立に水素またはC1−4アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
nが2に等しい整数を表し;かつ、各RがC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aがヒドロキシC1−6アルキルを表し;R3bがヒドロキシルを表し;R3dが水素を表し;Dが、C1−6アルキルで置換されたピラゾリルを表す、式(I−B)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の式(I−A)または(I−B)の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項20】
FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療ための、請求項19に記載の医薬組成物
【請求項21】
癌の予防または治療ための、請求項19に記載の医薬組成物
【請求項22】
前立腺癌、膀胱癌、NSCLCなどの肺癌、乳癌、胃癌、および肝臓癌から選択される癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項23】
多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、および口腔扁平上皮癌から選択される癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項24】
肺癌、特にNSCLC、扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、および前立腺癌から選択される癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項25】
多発性骨髄腫である癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項26】
t(4;14)転座陽性多発性骨髄腫である癌の治療ための、請求項25に記載の医薬組成物
【請求項27】
膀胱癌である癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項28】
FGFR3染色体転座を有する膀胱癌である癌の治療ための、請求項27に記載の医薬組成物
【請求項29】
FGFR3点突然変異を有する膀胱癌である癌の治療ための、請求項27に記載の医薬組成物
【請求項30】
FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の突然変異を有する腫瘍である癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項31】
FGFR2またはFGFR3の機能獲得型突然変異を有する腫瘍である癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項32】
FGFR1の過剰発現を有する腫瘍である癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項33】
前記化合物が1以上の抗癌剤と組み合わせて使用される、癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項34】
前記化合物が、キナーゼ阻害剤を含んでなる1以上の抗癌剤と組み合わせて使用される、癌の治療ための、請求項21に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なピリドピラジンおよびナフチリジン誘導体化合物、前記化合物を含んでなる医薬組成物、前記化合物の製造方法、および疾患、例えば癌の治療における前記化合物の使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の第一の側面によれば、式(I−A)または(I−B):
【化1】
(I−A)に関しては、
はNであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか;または
はCR3dであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか;または
はCR3dであり、XはCR3dであり、かつ、XはNであり;
(I−B)に関しては、
はNまたはCR3dであり;
各Rは独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ヒドロキシハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル(ここで、各C1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−R13で置換されたC1−4アルキル、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、−NRで置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−4アルキル、−NRで置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−NRで置換されたC1−4アルコキシ、−NRおよび−C(=O)−NRから選択され;あるいは2個のR基が、隣接する炭素原子と結合している場合は、それらは一緒に式:
−O−(C(R17−O−;
−X−CH=CH−;または
−X−CH=N−
(式中、R17は水素またはフッ素を表し、pは1または2を表し、かつXはOまたはSを表す)
の基を形成してもよく;
Dは、3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよく;
は、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR、−C(=O)−C1−6アルキル−NR、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表し;
3aは、−NR1011、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、−NR1011で置換されたC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換されており、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルでさらに置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表し;ただし、式(I−B)の化合物に関しては、R3aは−NR1011を表さなくてもよく;
3bは、水素またはヒドロキシルを表し;ただし、R3aが−NR1011を表す場合には、R3bは水素を表し;あるいは
式(I−A)の化合物に関しては、R3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、=NR10を形成するか、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピルを形成するか、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成するか、または
【化2】
{式中、環Aは、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を含有する単環式5〜7員飽和複素環であり、前記ヘテロ原子は二重結合のα位には位置せず、環Aは、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、HN−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)N−C1−4アルキル、(ハロC1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、−C(=O)−NH、−C(=O)−NH(C1−4アルキル)、−C(=O)−N(C1−4アルキル)で置換されていてもよい}
を形成し;
3cは、水素、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、R、−NR1011、−C(=O)−NR1415、シアノ、−C(=O)−C1−6アルキル、または−CH(OH)−C1−6アルキルを表し;
3dは、水素、塩素、ヒドロキシル、またはC1−6アルコキシを表し;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−C(=O)−NR1415、−C(=O)−O−C1−6アルキル、−C(=O)−R13、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13またはR13で置換されたC1−6アルキルを表し;
は、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員単環式ヘテロシクリルを表し;前記C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、4〜7員単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、シアノ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキル−O−C(=O)−、−NR1415、−C(=O)−NR1415、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、または−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキルから選択され;
およびRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、またはC1−6アルコキシC1−6アルキルを表し;
は、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、前記C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、または3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルはそれぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、=O、C1−4アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノ、シアノC1−4アルキル、C1−4アルキル−O−C(=O)−、C1−4アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−4アルキル、C1−4アルキル−C(=O)−、C1−4アルコキシC1−4アルキル(ここで、各C1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ハロゲン、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルキル、−NR1415、−C(=O)−NR1415、−NR1415で置換されたC1−4アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−S(=O)−C1−4アルキル、−S(=O)−ハロC1−4アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−C1−4アルキルで置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−4アルキルで置換されたC1−4アルキル、−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−4アルキル、R13、−C(=O)−R13、R13で置換されたC1−4アルキル、R16で置換されていてもよいフェニル、フェニルC1−6アルキル(ここで、前記フェニルはR16で置換されていてもよい)、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはR16で置換されていてもよい)から選択され;
あるいはRの置換基のうち2つが同じ原子と結合している場合には、それらは一緒に、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和単環式ヘテロシクリルを形成してもよく;
10およびR11はそれぞれ独立に、水素、カルボキシル、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R、−C(=O)−C1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシC1−6アルキル、−C(=O)−ハロC1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシハロC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、または−NH−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキルを表し;
12は、水素、またはC1−4アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキルを表し;
13は、C3−8シクロアルキル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和4〜6員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記C3−8シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立にハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、=O、シアノ、−C(=O)−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−NR1415から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく;
14およびR15はそれぞれ独立に、水素、またはハロC1−4アルキル、またはヒドロキシル、C1−4アルコキシ、アミノ、もしくはモノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノから選択される置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し;
16は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−NR1415または−C(=O)−NR1415を表し;
nは独立に、0、1、2、3または4に等しい整数を表す]
で示される、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0003】
それぞれ一連のヘテロシクリル誘導体を開示するWO1999/17759、WO2006/092430、WO2008/003702、WO01/68047、WO2005/007099、WO2004/098494、WO2009/141386、WO2004/030635、WO2008/141065、WO2011/026579、WO2011/028947、WO00/42026、WO2008/138878、WO2004/104003、WO2004/104002、WO2007/079999、WO2007/054556、WO2010/084152、US2005/0272736、US2005/0272728、US2007/0123494、WO2011/135376、WO2012/073017、WO2013/061074、WO2013/061081、WO2013/061077およびWO2013/061080。
【発明の具体的説明】
【0004】
文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書の総ての節において(本発明の使用、方法および他の側面を含む)式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総ての部分式(例えば、I−A、I−B、I−C、I−D、I−E、I−F、I−G)、サブグループ、選択肢、実施態様および例に対する言及を含む。
【0005】
本明細書において接頭辞「Cx−y」(ここで、xおよびyは整数である)は、所与の基における炭素原子の数を意味する。従って、C1−6アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、C3−6シクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含み、C1−4アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含むなどである。
【0006】
本明細書において用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0007】
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルキル」、または「C1−6アルキル」は、1〜4個または1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐型飽和炭化水素基を意味する。このような基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルなどが挙げられる。
【0008】
本明細書において基または基の一部としての用語「C2−4アルケニル」または「C2−6アルケニル」とは、2〜4個または2〜6個の炭素原子を含有し、かつ、炭素炭素二重結合を含有する直鎖または分岐型炭化水素基を意味する。
【0009】
本明細書において基または基の一部としての用語「C2−4アルキニル」または「C2−6アルキニル」とは、2〜4個または2〜6個の炭素原子を有し、かつ、炭素炭素三重結合を含有する直鎖または分岐型炭化水素基を意味する。
【0010】
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルコキシ」または「C1−6アルコキシ」とは、−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味し、ここで、C1−4アルキルおよびC1−6アルキルは本明細書に定義される通りである。このような基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
【0011】
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルコキシC1−4アルキル」または「C1−6アルコキシC1−6アルキル」とは、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基またはC1−6アルキル−O−C1−6アルキル基を意味し、ここで、C1−4アルキルおよびC1−6アルキルは本明細書に定義される通りである。このような基の例としては、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシメチル、ブトキシプロピルなどが挙げられる。
【0012】
本明細書において用語「C3−8シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を意味する。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどが挙げられる。
【0013】
本明細書において用語「C3−8シクロアルケニル」とは、炭素炭素二重結合を有する3〜8個の炭素原子の単環式炭化水素環を意味する。
【0014】
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシC1−4アルキル」または「ヒドロキシC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシC1−4アルキル」または「ヒドロキシC1−6アルキル」は、モノヒドロキシC1−4アルキル、モノヒドロキシC1−6アルキル、また、ポリヒドロキシC1−4アルキルおよびポリヒドロキシC1−6アルキルを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換されてよく、従って、ヒドロキシC1−4アルキルまたはヒドロキシC1−6アルキルは1、2、3またはそれを超えるヒドロキシル基を有し得る。このような基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0015】
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルキル」または「ハロC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルキル」または「ハロC1−6アルキル」は、モノハロC1−4アルキル、モノハロC1−6アルキル、また、ポリハロC1−4アルキルおよびポリハロC1−6アルキルを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されてよく、従って、ハロC1−4アルキルまたはハロC1−6アルキルは1、2、3またはそれを超えるハロゲンを有し得る。このような基の例としては、フルオロエチル、フルオロメチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0016】
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシハロC1−4アルキル」または「ヒドロキシハロC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルキル」または「ヒドロキシハロC1−6アルキル」は、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。
【0017】
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシC1−4アルコキシ」または「ヒドロキシC1−6アルコキシ」とは、C1−4アルキルおよびC1−6アルキル基が上記に定義される通りであり、C1−4アルキルまたはC1−6アルキル基の1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されている−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシC1−4アルコキシ」または「ヒドロキシC1−6アルコキシ」は、モノヒドロキシC1−4アルコキシ、モノヒドロキシC1−6アルコキシ、また、ポリヒドロキシC1−4アルコキシおよびポリヒドロキシC1−6アルコキシを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換されてよく、従って、ヒドロキシC1−4アルコキシまたはヒドロキシC1−6アルコキシは1、2、3またはそれを超えるヒドロキシル基を有し得る。このような基の例としては、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシプロポキシなどが挙げられる。
【0018】
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルコキシ」または「ハロC1−6アルコキシ」とは、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義される−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルコキシ」または「ハロC1−6アルコキシ」は、モノハロC1−4アルコキシ、モノハロC1−6アルコキシ、また、ポリハロC1−4アルコキシおよびポリハロC1−6アルコキシを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されてよく、従って、ハロC1−4アルコキシまたはハロC1−6アルコキシは1、2、3またはそれを超えるハロゲンを有し得る。このような基の例としては、フルオロエチルオキシ、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0019】
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシ」とは、C1−4アルキル基が本明細書に定義される通りであり、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシ」は、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されている−O−C1−4アルキル基を意味する。
【0020】
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りであり、かつ、一方または両方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、一方または両方のC1−4アルキル基において、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換され、かつ、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りである、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。好ましくは、一方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換される。好ましくは、ハロC1−4アルコキシC1−4アルキルは、ハロC1−4アルコキシで置換されたC1−4アルキルを意味する。
【0021】
本明細書において用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りであり、一方または両方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、一方または両方のC1−4アルキル基において、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換され、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りである、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。
【0022】
本明細書において用語「ヒドロキシC2−6アルケニル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、C2−6アルケニルが本明細書に定義される通りである、C2−6アルケニル基を意味する。
【0023】
本明細書において用語「ヒドロキシC2−6アルキニル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、C2−6アルキニルが本明細書に定義される通りである、C2−6アルキニル基を意味する。
【0024】
本明細書において用語フェニルC1−6アルキルとは、1個のフェニル基で置換された、本明細書に定義されるC1−6アルキル基を意味する。
【0025】
本明細書において用語シアノC1−4アルキルまたはシアノC1−6アルキルとは、1個のシアノ基で置換された、本明細書に定義される、C1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。
【0026】
本明細書において用語「ヘテロシクリル」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香環系と非芳香環系の両方を含むものとする。従って、例えば、用語「ヘテロシクリル基」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和ヘテロシクリル環系を含む。一般に、文脈がそうではないことを示さない限り、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より通常には5〜10環員を含み得る。4〜7環員という場合には、その環に4、5、6または7原子を含み、4〜6環員という場合には、その環に4、5、または6原子を含む。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より通常には3〜7、好ましくは5、6または7環員、より好ましくは5または6環員を含有する基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より通常には9または10環員を含有するものがある。本明細書においてヘテロシクリル基が参照される場合、ヘテロシクリル環は、文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書に述べられている1以上の置換基で置換されていてもよい(すなわち、置換されていなくても置換されていてもよい)。
【0027】
ヘテロシクリル基は、5〜12環員、より通常には5〜10環員を有するヘテロアリール基であり得る。用語「ヘテロアリール」は、本明細書において芳香性を有するヘテロシクリル基を表して用いられる。用語「ヘテロアリール」は、1以上の環が非芳香族である(ただし、少なくとも1つの環は芳香族である)多環式(例えば、二環式)環系を包含する。このような多環式系では、この基は芳香環と結合していても非芳香環と結合していてもよい。
【0028】
ヘテロアリール基の例としては、5〜12環員、より通常には5〜10環員を含有する単環式基および二環式基がある。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員の単環式環、または5員環と6員環の縮合環、もしくは2つの6員環の縮合環、もしくは2つの5員環の縮合環から形成される二環式構造であり得る。各環は、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される最大約5個のヘテロ原子を含み得る。一般に、ヘテロアリール環は、最大4個のヘテロ原子、より一般には最大3個のヘテロ原子、より通常には最大2個、例えば、1個のヘテロ原子を含む。一つの実施態様では、ヘテロアリール環は少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールもしくはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、またはインドールもしくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、その環のアミノ置換基を含めて5個未満である。
【0029】
5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基が挙げられる。
【0030】
6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンが挙げられる。
【0031】
二環式ヘテロアリール基は、例えば、
a)ベンゼン環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
b)ピリジン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
c)ピリミジン環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
d)ピロール環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
e)ピラゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
f)イミダゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
g)オキサゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
h)イソキサゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
i)チアゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
j)イソチアゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
k)チオフェン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
l)フラン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
m)シクロヘキシル環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;および
n)シクロペンチル環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環
から選択される基であり得る。
【0032】
5員環と別の5員環との縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1−b]チアゾール)およびイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2−a]イミダゾール)が挙げられる。
【0033】
6員環と5員環との縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、イソベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジン(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン)、ベンゾジオキソール、イミダゾピリジンおよびピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン)基が挙げられる。
【0034】
2つの6員環の縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンズオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基が挙げられる。
【0035】
芳香環および非芳香環を含有する多環式ヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンズフラン、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン、テトラヒドロトリアゾロピラジン(例えば、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン)、インドリンおよびインダン基が挙げられる。
【0036】
窒素含有ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含まなければならない。
各環は、さらに、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される最大約4個の他のヘテロ原子を含んでもよい。一般に、ヘテロアリール環は、最大3個のヘテロ原子、例えば、1、2または3個、より通常には最大2個の窒素、例えば、1個の窒素を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールもしくはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、またはインドールもしくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、その環のアミノ置換基を含めて5個未満である。
【0037】
窒素含有ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル(例えば、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリルおよびベンズイソチアゾール、インドリル、3H−インドリル、イソインドリル、インドリジニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン[6−アミノプリン]、グアニン[2−アミノ−6−ヒドロキシプリン])、インダゾリル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルが挙げられる。
【0038】
芳香環および非芳香環を含む窒素含有多環式ヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、およびインドリニルが挙げられる。
【0039】
用語「非芳香族基」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香性を持たない不飽和環系、部分飽和および完全飽和ヘテロシクリル環系を包含する。用語「不飽和」および「部分飽和」とは、環構造が2価以上の結合を共有する原子を含む、すなわち、環が少なくとも1個の多重結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む環を意味する。用語「完全飽和」とは、環原子間に多重結合が存在しない環を意味する。飽和ヘテロシクリル基としては、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンが挙げられる。部分飽和ヘテロシクリル基としては、ピラゾリン、例えば、2−ピラゾリンおよび3−ピラゾリンが挙げられる。
【0040】
非芳香族ヘテロシクリル基の例としては、3〜12環員、より通常には5〜10環員を有する基がある。このような基は単環式または二環式であり得、例えば、一般に、通常には窒素、酸素および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子環員(より通常には、1、2、3または4個のヘテロ原子環員)を有する。ヘテロシクリル基は、例えば、環式エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環式チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環式アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環式アミド部分(例えば、ピロリドンの場合)、環式チオアミド、環式チオエステル、環式尿素(例えば、イミダゾリジン−2−オンの場合)環式エステル部分(例えば、ブチロラクトンの場合)、環式スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンの場合)、環式スルホキシド、環式スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。
【0041】
特定の例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、アゼチジン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジンが挙げられる。一般に、好ましい非芳香族ヘテロシクリル基としては、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、モルホリン、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジンなどの飽和基が挙げられる。
【0042】
窒素含有非芳香族ヘテロシクリル環では、環は少なくとも1個の環窒素原子を含まなければならない。複素環式基(heterocylic groups)は、例えば、環式アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環式アミド(例えば、ピロリジノン、ピペリドンまたはカプロラクタム)、環式スルホンアミド(例えば、イソチアゾリジン1,1−ジオキシド、[1,2]チアジナン1,1−ジオキシドまたは[1,2]チアゼパン1,1−ジオキシド)およびそれらの組合せを含み得る。窒素含有非芳香族ヘテロシクリル基の特定の例としては、アジリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、ジヒドロチアゾール、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、6H−1,2,5−チアジアジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジンが挙げられる。
【0043】
ヘテロシクリル基は、多環式縮合環系または架橋環系、例えば、ビシクロアルカン、トリシクロアルカンのオキサ類似体およびアザ類似体(例えば、アダマンタンおよびオキサ−アダマンタン)であり得る。縮合環系と架橋環系の間の識別に関する説明としては、Advanced Organic Chemistry, Jerry March, 第4版, Wiley Interscience, 131-133頁, 1992を参照。
【0044】
ヘテロシクリル基は、それぞれ非置換型であっても、1以上の置換基で置換されていてもよい。例えば、ヘテロシクリル基は非置換型であっても、1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクリル基が単環式または二環式である場合、一般に、そのヘテロシクリル基は非置換型であるか、または1、2もしくは3個の置換基を有する。
【0045】
本明細書において用語「カルボシクリル」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香環系と非芳香環系の両方を含むものとする。従って、例えば、用語「カルボシクリル基」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和カルボシクリル環系を含む。一般に、文脈がそうではないことを示さない限り、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より通常には5〜10環員を含み得る。4〜7環員という場合には、その環に4、5、6または7原子を含み、4〜6環員という場合には、その環に4、5、または6原子を含む。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より通常には3〜7、好ましくは5、6または7環員、より好ましくは5または6環員を含有する基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より通常には9または10環員を含有するものがある。本明細書においてカルボシクリル基が参照される場合、カルボシクリル環は、文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書に述べられている1以上の置換基で置換されていてもよい(すなわち、置換されていなくても置換されていてもよい)。
【0046】
用語カルボシクリルは、アリール、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニルを含んでなる。
【0047】
本明細書において用語「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基を含む、カルボシクリル芳香族基を意味する。
【0048】
以上または以下に用いる場合には常に、置換基は、多数の定義の一覧外からそれぞれ独立に選択することができ、化学的に可能なあらゆる組合せが意図される。以上または以下に用いる場合には常に、特定の置換基は、例えば、ヒドロキシハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルコキシのように、2以上の基でさらに置換され、化学的に可能なあらゆる組合せが意図される。
【0049】
一つの実施態様では、本発明は、式(I−A)の化合物に関する。
【0050】
一つの実施態様では、本発明は、式(I−B)の化合物の関する。
【0051】
一つの実施態様では、本発明は、XがNであり、XがNであり、かつ、XがCHである、式(I−A)の化合物に関する。
【0052】
一つの実施態様では、本発明は、XがCR3dであり、XがNであり、かつ、XがCHである、式(I−A)の化合物に関する。
【0053】
一つの実施態様では、本発明は、XがCR3dであり、XがCR3dであり、かつ、XがNである、式(I−A)の化合物に関する。
【0054】
一つの実施態様では、本発明は、XがCR3dである、式(I−B)の化合物に関する。
【0055】
一つの実施態様では、本発明は、XがNである、式(I−B)の化合物に関する。
【0056】
一つの実施態様では、Dは、5〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0057】
一つの実施態様では、Dは、芳香族3〜12環員、特に、芳香族5〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族3〜12環員、特に、芳香族5〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0058】
一つの実施態様では、Dは、芳香族3〜12(例えば、5〜10)環員単環式または二環式カルボシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルは、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0059】
一つの実施態様では、Dは、フェニルまたはナフチルを表し、ここで、前記フェニルまたはナフチルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0060】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式または二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0061】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族5〜12環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリル基はそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0062】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5または6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0063】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族5または6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0064】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0065】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0066】
一つの実施態様では、Dは、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−4イル)を表し、ここで、前記ピラゾリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0067】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0068】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0069】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式完全飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0070】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0071】
一つの実施態様では、Dは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよい。
【0072】
一つの実施態様では、Dは、
【化3】
を表し、ここで、Rは、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表し;かつ、各R1aは独立に、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、アミノまたはモノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノまたは−NH(C3−8シクロアルキル)で置換されたC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、および1以上のフルオロ原子で置換されたC1−4アルキルから選択される。一つの実施態様では、R1aは独立に水素およびC1−4アルキルから選択される。一つの実施態様では、R1aは水素である。
【0073】
一つの実施態様では、Dは、
【化4】
を表し、ここで、Rは、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表す。
【0074】
一つの実施態様では、Dはピラゾリル以外であり、特に、Dは、ピリジニル、フェニル、ピロリル、ピリミジニルであり、前記環は置換されていてもよい。前記任意選択の置換基は、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、−NR、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR、−C(=O)−C1−6アルキル−NR、R、Rで置換されたC1−6アルキルを表し得る。
【0075】
一つの実施態様では、Dは、置換されていてもよい4−ピラゾリルである。一つの実施態様では、Dは、1位においてC1−6アルキル、例えば、メチルで置換された4−ピラゾリルである。
【0076】
一つの実施態様では、Dは、1−ピラゾリルまたは2−ピラゾリルであり、両方とも置換されていてもよい。
【0077】
一つの実施態様では、Dは、置換されていてもよいピラゾリルである。
【0078】
一つの実施態様では、Dは、モルホリニルである。
【0079】
一つの実施態様では、Rは、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表す。
【0080】
一つの実施態様では、Rは、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NRで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NRで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたヒドロキシC1−6アルキル、または−Si(CHで置換されたC1−6アルキルを表す。
【0081】
一つの実施態様では、Rは水素を表す。
【0082】
一つの実施態様では、Rは、C1−6アルキルを表す。一つの実施態様では、Rは、メチルを表す。
【0083】
一つの実施態様では、各Rは独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、NRで置換されたC1−4アルキル、NRで置換されたC1−4アルコキシ、−NRおよび−C(=O)−NRから選択され;または2個のR基が隣接する炭素原子と結合している場合には、それらは一緒に式−O−(C(R17−O−(式中、R17は水素またはフッ素を表し、かつ、pは1または2を表す)の基を形成していてもよい。
【0084】
一つの実施態様では、各Rは独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、NRで置換されたC1−4アルキル、NRで置換されたC1−4アルコキシ、−NRまたは−C(=O)−NRから選択される。
【0085】
一つの実施態様では、1以上のRが、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−、またはハロゲン、例えば、フルオロを表す。
【0086】
一つの実施態様では、1以上のRがC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表す。
【0087】
一つの実施態様では、nは0に等しい。一つの実施態様では、nは1に等しい。一つの実施態様では、nは2に等しい。一つの実施態様では、nは3に等しい。一つの実施態様では、nは4に等しい。
【0088】
一つの実施態様では、nは2、3または4に等しい。
【0089】
一つの実施態様では、nは2に等しく、一方のRは3位に位置し、他方は5位に位置する。
【0090】
一つの実施態様では、nは2に等しく、一方のRは3位に位置し、他方は5位に位置し、かつ、各RはC1−4アルコキシを表し、例えば、各RはCHO−を表す。
【0091】
一つの実施態様では、nは3に等しく、一つのRは2位に位置し、一つのRは3位に位置し、一つのRは5位に位置する。
【0092】
一つの実施態様では、nは3に等しく、かつ、一つのRは3位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;一つのRは5位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;一つのRは2位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表す。
【0093】
一つの実施態様では、nは4に等しく、一つのRは2位に位置し、一つのRは3位に位置し、一つのRは5位に位置し、一つのRは6位に位置する。
【0094】
一つの実施態様では、nは4に等しく、一つのRは3位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;一つのRは5位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;一つのRは2位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表し、一つのRは6位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表す。
【0095】
一つの実施態様では、R3aは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1個もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表す。
【0096】
一つの実施態様では、R3aは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1もしくは2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルであり、この化合物は式(I−B)の化合物である。
【0097】
一つの実施態様では、式(I−A)の化合物に関しては、R3aは、−NR1011、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、−NR1011で置換されたC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各、C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換された1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルであり;また、式(I−B)の化合物に関しては、R3aは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルケニル、C1−6アルコキシで置換されたC2−6アルキニル、Rで置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC2−6アルケニル、Rで置換されたC2−6アルキニル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC2−6アルケニル、−NR1011で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、 −NR12−S(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、R13、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルである。
【0098】
一つの実施態様では、R3aは、−NR1011、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキルオキシ、ヒドロキシハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、Rで置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C−NR12−S(=O)−NR1415で置換された1−6アルキル、ヒドロキシルとRで置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−Rで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、R13、またはC1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキルである。
【0099】
一つの実施態様では、R3aは、−NR1011、C1−6アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキルオキシ、シアノC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、Rで置換されたC1−6アルキル、−NR1011で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR1011で置換されたC1−6アルキル、または−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキルである。
【0100】
一つの実施態様では、R3aは、ヒドロキシル;C1−6アルキル;ヒドロキシC1−6アルキル;ヒドロキシC1−6アルコキシ;−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル;Rで置換されたC1−6アルキル、特に、置換されていてもよいイミダゾリルで、特に、置換されていてもよいイミダゾール−2−イルで、置換されたC1−6アルキルである。特に、式(I−A)の化合物の場合。
【0101】
一つの実施態様では、R3aは、ヒドロキシC1−6アルキルである。特に、式(I−B)の化合物の場合。
【0102】
一つの実施態様では、R3aはヒドロキシエチルである。
【0103】
一つの実施態様では、R3aはヒドロキシルを表す。
【0104】
一つの実施態様では、R3bは水素を表す。
【0105】
一つの実施態様では、R3bはヒドロキシルを表す。
【0106】
一つの実施態様では、R3aはヒドロキシルを表し、R3bは水素を表す。
【0107】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、=NR10を形成するか、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピルを形成するか、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成するか、または
【化5】
{式中、環Aは、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を含有する単環式5〜7員飽和複素環であり、前記ヘテロ原子は二重結合のα位には位置せず、環Aは、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、HN−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、(C1−4アルキル)N−C1−4アルキル、(ハロC1−4アルキル)NH−C1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、−C(=O)−NH、−C(=O)−NH(C1−4アルキル)、−C(=O)−N(C1−4アルキル)で置換されていてもよい}
を形成する。
【0108】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピルを形成するか、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成するか、または
【化6】
(式中、環Aは、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を含有する単環式5〜7員飽和複素環であり、前記ヘテロ原子は二重結合のα位には位置しない)
を形成する。
【0109】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に=Oを形成する。
【0110】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピルを形成する。
【0111】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成する。
【0112】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成し、ここで、R3cはシアノを表す。
【0113】
一つの実施態様では、R3cは水素を表す。
【0114】
一つの実施態様では、R3cは、ヒドロキシル、C1−6アルコキシ、R、−NR1011、−C(=O)−NR1415、シアノ、−C(=O)−C1−6アルキルまたは−CH(OH)−C1−6アルキルを表す。
【0115】
一つの実施態様では、R3cは、ヒドロキシル、−C(=O)−NR1415、−NR1011、シアノ、または−C(=O)−C1−6アルキルを表す。
【0116】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、R3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成し、ここで、R3cは、ヒドロキシルまたは−C(=O)−NR1415を表す。
【0117】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、Z配置の=CH−C1−4アルキルを形成する。
【0118】
一つの実施態様では、R3aおよびR3bは一緒に、E配置の=CH−C1−4アルキルを形成する。
【0119】
一つの実施態様では、本発明は、R3bがヒドロキシルを表し、R3aがヒドロキシC1−6アルキルを表す式(I−B)の化合物に関する。
【0120】
一つの実施態様では、R3dは水素を表す。
【0121】
一つの実施態様では、Rは、
置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、
置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
置換されていてもよい飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1または2個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和または芳香族3、4、5員または6員単環式ヘテロシクリル、
1個の酸素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4員ヘテロシクリル、
1または2個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族6員単環式複素環、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい部分飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい飽和4員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1、2または3個のヘテロ原子を含有する5員または6員環と縮合したベンゼン環を含有する二環式ヘテロシクリル、
同じ原子と結合し、かつ、一緒に、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和単環式ヘテロシクリルを形成する、2個の置換基で置換された4、5員または6員単環式飽和複素環、
1個の硫黄ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の硫黄および1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
2個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
4個の窒素ヘテロ原子を含有する芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の酸素および2個の窒素ヘテロ原子を含有する芳香族5員単環式ヘテロシクリル、 2個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
3個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の硫黄ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
2個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和7員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和7員単環式ヘテロシクリル、および
フェニルまたはナフチル、特に、フェニル
から選択される。
【0122】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい5員芳香族複素環(例えば、イミダゾリル)、または置換されていてもよい6員芳香族複素環(例えば、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニル)を表す。任意選択の置換基は、C1−4アルコキシまたは−S(=O)−NR1415を表し得る。
【0123】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルを表す。任意選択の置換基は、−S(=O)−NR1415を表し得る。
【0124】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい6員芳香族複素環、例えば、ピリジニルまたはピリミジニルを表す。任意選択の置換基は、C1−4アルコキシを表し得る。
【0125】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい5員芳香族または飽和複素環、例えば、イミダゾリル、ピロリジニル、オキサゾリジニルを表す。任意選択の置換基は、=O、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはR16で置換されていてもよい);または−S(=O)−NR1415を表し得る。
【0126】
一つの実施態様では、Rは、C3−6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)、3員飽和ヘテロシクリル(例えば、オキシラニル)、置換されていてもよい5員飽和複素環(例えば、ピロリジノニル)、置換されていてもよい6員芳香族または飽和複素環(例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、またはモルホリニル)、置換されていてもよい二環式複素環(例えば、1H−イソインドール−1,3−ジオン)を表す。任意選択の置換基は、=O、C1−4アルコキシ、−NR1415で置換されたC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、またはC1−4アルキル−C(=O)−を表し得る。
【0127】
一つの実施態様では、R10は、水素またはC1−6アルキルを表す。
【0128】
一つの実施態様では、R10は水素である。
【0129】
一つの実施態様では、R11は、水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)−NR1415、ヒドロキシC1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシハロC1−6アルキル、−C(=O)−R、シアノC1−6アルキル、R、−C(=O)−R、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−ハロC1−6アルキル、−Si(CHで置換されたC1−6アルキル、−NR1415で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR1415で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシハロC1−6アルキル、カルボキシル、またはC1−6アルコキシC1−6アルキルを表す。
【0130】
一つの実施態様では、R10およびR11は、水素またはC1−6アルキルを表す。
【0131】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい6員単環式飽和ヘテロシクリルを表す。例えば、ハロゲン、C1−6アルキル、またはC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されていてもよい、ピペラジニルもしくはモルホリニルもしくはテトラヒドロピラニル。
【0132】
一つの実施態様では、Rは、置換されていてもよい6員単環式芳香族ヘテロシクリルを表す。例えば、ハロゲン、C1−6アルキル、またはC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されていてもよいピリジニル。
【0133】
一つの実施態様では、R12は、水素、またはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキルを表す。
【0134】
一つの実施態様では、R13は、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和4〜6員単環式ヘテロシクリルを表す。
【0135】
一つの実施態様では、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキルを表す。
【0136】
本発明の一つの実施態様では、nは、2に等しい整数を表し;かつ、各Rは、C1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aは、ヒドロキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表すか;あるいはR3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、またはR3cで置換された=CH−C0−4アルキルを形成し;R3cは、ヒドロキシルまたは−C(=O)−NR1415を表し;R3bは、水素またはヒドロキシルを表し;R3dは、水素を表し;Dは、C1−6アルキルで置換されたピラゾリルを表し;Rは、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルを表し、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキルを表す。
【0137】
本発明の一つの実施態様では、nは、1または2に等しい整数を表し;かつ、各Rは、ヒドロキシルまたはC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aは、ヒドロキシル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、Rで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表すか;あるいはR3aおよびR3bは一緒に=Oを形成するか、またはR3cで置換された=CH−C0−4アルキルであり;R3cは、ヒドロキシル、シアノまたは−C(=O)−NR1415を表し;R3bは、水素またはヒドロキシルを表し;R3dは、水素を表し;Dは、C1−6アルキルで置換されたモルホリニルまたはピラゾリルを表し;Rは、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルを表し、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキルを表す。
【0138】
本発明の一つの実施態様では、化合物は、nが2に等しい整数を表し;かつ、各RがC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aがヒドロキシル;ヒドロキシC1−6アルキル、例えば、−CH−CH−OH;ヒドロキシC1−6アルコキシ、例えば、−O−CH−CH−OH;C1−6アルキル、例えば、CH−;R、例えば、イミダゾリルまたは置換イミダゾリルで置換された、C1−6アルキル、例えば、−CH;−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、例えば、−CH−C(=O)−O−CHを表すか;あるいはR3aおよびR3bが一緒に=Oを形成するか、またはR3cで置換された=CH−C0−4アルキル、例えば、=CH−CH−を形成し;R3cがヒドロキシルまたは−C(=O)−NR1415を表し;R3bが水素またはヒドロキシルを表し;R3dが水素を表し;Dが、C1−6アルキル、例えば、−CHで置換されたピラゾリルを表し;Rが、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、例えば、−S(=O)−N(CHで置換されていてもよいイミダゾリルを表し;R14およびR15がそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキル、例えば、CH−を表す、式(I−A)の化合物である。特に、式(I−A)の化合物では、XはNであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか、またはXはCR3dであり、XはNであり、かつ、XはCHである。
【0139】
本発明の一つの実施態様では、化合物は、nが1または2に等しい整数を表し;かつ、各RがヒドロキシルまたはC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aがヒドロキシル;ヒドロキシC1−6アルキル、例えば、−CH−CH−OH;ヒドロキシC1−6アルコキシ、例えば、−O−CH−CH−OH;C1−6アルキル、例えば、CH−;R、例えば、イミダゾリルまたは置換イミダゾリルで置換された、C1−6アルキル、例えば、−CH;−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、例えば、−CH−C(=O)−O−CHまたは−CH−C(=O)−O−CHCHを表すか;あるいはR3aおよびR3bが一緒に=Oを形成するか、またはR3cで置換された、=CH−C0−4アルキル、例えば、=CH−もしくは=CH−CH−を形成し;R3cがヒドロキシル、シアノまたは−C(=O)−NR1415を表し;R3bが水素またはヒドロキシルを表し;R3dが水素を表し;Dが、C1−6アルキル、例えば、−CHで置換されたモルホリニルまたはピラゾリルを表し;Rが、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、例えば−S(=O)−N(CHで置換されていてもよいイミダゾリルを表し;R14およびR15がそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキル、例えば、CH−を表す、式(I−A)の化合物である。特に、式(I−A)の化合物では、XはNであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか、またはXはCR3dであり、XはNであり、かつ、XはCHであるか、またはXはCR3dであり、XはCHであり、かつ、XはNである。
【0140】
本発明の一つの実施態様では、化合物は、nが2に等しい整数を表し;かつ、各RがC1−4アルコキシ、例えば、CHO−を表し;R3aがヒドロキシC1−6アルキルを表し;R3bがヒドロキシルを表し;R3dが水素を表し;DがC1−6アルキルで置換されたピラゾリルを表す、式(I−B)の化合物である。特に、式(I−B)の化合物では、XはNである。
【0141】
一つの実施態様では、Dは、5員単環式芳香族ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルは、1個以上(例えば、1、2または3個)のR基で置換されていてもよく、下記のうちの1以上が当てはまる:
nが2であること;
がC1−6アルキルオキシであること;
が3位および5位に位置すること。
【0142】
一つの実施態様では、Dは、ピリジニル、フェニル、ピロリル、ピリミジニルであり、前記環は置換されていてもよく、より詳しくは、Dは、ピリジニル、フェニル、ピロリルであり、前記環は置換されていてもよく、かつ、nは2であり;さらにより詳しくは、Dは、ピリジニル、フェニル、ピロリル、ピリミジニルであり、前記環は置換されていてもよく;nは2であり;RはC1−6アルキルオキシであり;いっそうさらに詳しくは、Dは、ピリジニル、フェニル、ピロリルであり、前記環は置換されていてもよく;nは2であり;RはC1−6アルキルオキシであり、かつ、前記Rは3位および5位に位置する。
【0143】
一つの実施態様では、式
【化7】
(式中、n、R、R3a、R3bおよびR3dは本明細書に定義される通りである)
で示される、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0144】
一つの実施態様では、
がC1−4アルコキシ(例えば、CHO−)またはハロゲン(例えば、フルオロ);特に、C1−4アルコキシ(例えば、CHO−)を表し;かつ
3aが、ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、−CHCHOH)、R(例えば、ここで、Rは、置換されていてもよい芳香族5員または6員単環式ヘテロシクリル、例えば、置換されていてもよいイミダゾリル、ピリミジニル、またはピラジニルを表す)で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)、−NR1011(ここで、R10およびR11は、水素、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキル(例えば、水素、イソ−プロピルまたは−CHCF)から独立に選択される)で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)を表す、
式(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)、または(I−G)の、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0145】
一つの実施態様では、
がC1−4アルコキシ(例えば、CHO−)またはハロゲン(例えば、フルオロを表し);かつ
3aがヒドロキシC1−6アルキル(例えば、−CHCHOHまたは−CHCHCHOH)、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)(例えば、−CHCHOHCHOCH)、ヒドロキシハロC1−6アルキル(例えば、−CHCHOHCF)、R(例えば、ここで、Rは、置換されていてもよい芳香族5員または6員単環式ヘテロシクリル、例えば、非置換イミダゾリル(例えば、イミダゾール−2−イル)、非置換ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル)、非置換ピラジニル、または−S(O)−N(CHで置換されたイミダゾリルを表す)で置換されたC1−4アルキル(例えば、メチル)、−NR1011(ここで、R10およびR11の一方は水素を表し、他方はC1−6アルキル、例えば、−CHまたは−CH(CHを表す)で置換されたC1−4アルキル(例えば、−CHCH−)を表す(例えば、Rは、−CHCHNHCHまたは−CHCHNHCH(CHを表す)、
式(I−C)または式(I−D)の、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0146】
一つの実施態様では、
がC1−4アルコキシ(例えば、CHO−)またはハロゲン(例えば、フルオロ)を表し;かつ
3aが、ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、−CHCHOHまたは−CHCHCHOH)、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)(例えば、−CHCHOHCHOCH)、ヒドロキシハロC1−6アルキル(例えば、−CHCHOHCF)、R(例えば、ここで、Rは、置換されていてもよい芳香族5員または6員単環式ヘテロシクリル、例えば、置換されていてもよいイミダゾリル、ピリミジニル、またはピラジニルを表す)で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)、−NR1011(ここで、R10およびR11は、水素、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキル(例えば、水素、イソ−プロピルまたは−CHCF)から独立に選択される)で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)を表す、
式(I−C)の、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0147】
一つの実施態様では、
がC1−4アルコキシ(例えば、CHO−)またはハロゲン(例えば、フルオロ)を表し;かつ
3aが、−NR1011(ここで、R10およびR11は、水素、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキル(例えば、水素、イソ−プロピルまたは−CHCF)から独立に選択される)で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)を表す(例えば、R3aは、−CHCHNHCHまたは−CHCHNHCH(CHを表す)、
式(I−D)の、その任意の互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0148】
一つの実施態様では、化合物は、式(I−C):
【化8】
(式中、n、R、R、R3aおよびR3bは、本明細書で定義される通りである)
の化合物である。
【0149】
一つの実施態様では、本発明は、下記化合物
【化9】
のいずれか1つ、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物に関する。
【0150】
一つの実施態様では、本発明は、下記化合物
【化10】
のいずれか1つ、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物に関する。
【0151】
疑念を避けるため、1つの置換基の一般的かつ具体的選択肢、実施態様および例のそれぞれは、可能であれば、本明細書に定義される1以上の、好ましくは、総ての他の置換基の一般的かつ具体的選択肢、実施態様および例のそれぞれと組み合わせることができ、また、このような実施態様は総て本出願に包含されると理解すべきである。
【0152】
以上または以下で式(I)の化合物という場合には、それは式(I−A)または(I−B)の化合物を意味する。
【0153】
式(I)の化合物の製造方法
本出願の他の総ての節と同様にこの節でも、文脈がそうではないことを示さない限り、式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総てのそのサブグループおよび例も含む。
【0154】
一般に、式(I−A)または(I−B)の化合物は、下記反応スキーム1に従って製造することができる。
【化11】
【0155】
スキーム1では、下記の反応条件が当てはまる:
1:適切なメチル化剤(例えば、MeMgBr、トリメチルボロキシンまたはnBuSnMe);適切な触媒(例えば、Pd(PPhまたはPdCl(dppf).CHCl);適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジオキサンおよび水);場合により適切な塩基(例えば、KCO)の存在下;ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロゲン、例えば、クロロである;
2:適切な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン);および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下、ここで、式(IV)の中間体のZは、−CH−Brまたは−CH(=O)である;
3:適切な触媒(例えば、Pd(Ph)、適切な塩基(例えば、NaCO)および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび水)の存在下;
4:CsCO、適切な触媒(例えば、Pd(3,5,3’5’−OMe−dba))、適切な配位子(例えば、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下、ここで、式(VI)の中間体のWは、適切な脱離基、例えば、ハロゲン、例えば、ブロモである;
5:適切な塩基(例えば、ブチルリチウム)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下、ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、クロロなどを表す;
6:適切な塩基(例えば、ブチルリチウム)、および適切な溶媒(例えば、−THF)の存在下、ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表し、かつ、R3’は、置換されていてもよいC1−6アルキルを表す。この反応はまた、反応体の保護形態、すなわち、W−R3’−P(ここで、Pは、適切な保護基、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基である)を用いて行い、その後、適切な試薬(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム)または適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下などの適切な脱保護反応を行うことができる。
【0156】
式(I−A)の化合物はまた、下記反応スキーム2に従って製造することもできる。
【化12】
【0157】
スキーム2では、下記の反応条件が当てはまる:
1:CO雰囲気下、適切な溶媒(例えば、適切なアルコール、例えば、メタノール)の存在下、ここで、パラジウム触媒は、例えば、Pd(OAc)またはPdCl(dppf).CHClであり、適切な配位子は、例えば、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンである、場合により適切な塩基(例えば、酢酸カリウムまたはトリエチルアミン)の存在下;
2:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
3:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
4:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
5:適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン)の存在下;
6:適切な触媒(例えば、Pd(PPh)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下;
7:適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下;
8:適切な触媒(例えば、Pd(PPh)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下、およびさらに適切な酸(例えば、塩酸水溶液)の存在下;
9:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下。
【0158】
式(I−A)の化合物はまた、下記反応スキーム3に従って製造することもできる。
【化13】
【0159】
スキーム3では、下記の反応条件が当てはまる:
1:適切なルイス酸(例えば、トリメチルアルミニウム)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下;
2:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン)の存在下;
3:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)、およびアルコール(例えば、メタノールなど)の存在下;
4:適切なルイス酸(例えば、トリメチルアルミニウム)、および適切な溶媒(例えば、トルエンなど)の存在下;ここで、Pは適切な保護基、例えば、−C(=O)−OC(CHを表す;
5:適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下;
6:Mgおよび適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)または適切なアルコール(例えば、メタノール)の存在下;またはHおよび適切な触媒(例えば、パラジウム/炭素)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
7:適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下。
【0160】
式(I−A)の化合物はまた、下記反応スキーム4に従って製造することもできる。
【化14】
【0161】
スキーム4では、下記の反応条件が当てはまる:
1:Mgおよび適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)もしくは適切なアルコール(例えば、メタノール)の存在下;またはHおよび適切な触媒(例えば、パラジウム炭素)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
2:適切な還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウムまたは水素化リチウムアルミニウム)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
3:適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエタンアミンまたはN,N−ジメチル−4−アミノピリジン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)の存在下;
4−5−6:場合により適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは水素化ナトリウム)、および場合により適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下、ここで、Pは、適切な保護基、例えば、−C(=O)−OC(CHを表す{工程4では、
【化15】
は、Rの定義の範囲内の(非置換型または置換型の)適切な窒素含有環を表す。工程4の反応はまた、
【化16】
の適切な塩を用いて行うこともできる};
7:適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下。
【0162】
式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、下記反応スキーム5に従って製造することもできる。
【化17】
【0163】
スキーム5では、下記の反応条件が当てはまる:
1:適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
2:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下;
3:適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン)の存在下、ここで、RおよびRはC1−4アルキルを表し、かつ、RはC1−4アルキルまたはフェニルを表し、例えば、RおよびRはCHを表し、かつ、RはC(CHまたはフェニルを表し、かつ、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモを表す;
4:適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下。
【0164】
式(II−a)の中間体はまた、下記反応スキーム6に従って製造することができる。
【化18】
【0165】
スキーム6では、下記の反応条件が当てはまる:
1:適切な触媒(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、適切な配位子(例えば、トリ−tert−ブチル−ホスホニウムテトラフルオロボレート)、適切な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下、ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモを表す;
2:ブロミジックアシッド(bromidic acid)および適切な溶媒(例えば、酢酸)の存在下;
3:適切な触媒(例えば、Pd(PPh)、適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテルおよび水)の存在下;
4:適切な塩素化剤(例えば、POCl)および適切な溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンおよびN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下;
5:適切な塩素化剤(例えば、POCl)、および適切な溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタンおよびN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下;
6:適切な触媒(例えば、Pd(PPh)、適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテルおよび水)の存在下;
7:適切な塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下、ここで、Wは、上記で定義される通りである。
【0166】
式(II−b)の中間体は、下記反応スキーム7に従って製造することができる。
【化19】
【0167】
スキーム7では、下記の反応条件が当てはまる:
1:メルドラム酸およびオルトギ酸トリエチル、ならびに適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下;
2:ジフェニルエーテルまたはダウサムAの存在下;
3:N−ブロモ−スクシンイミド、および酢酸の存在下;
4:塩化ホスホリル、および適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下;
5:a)
【化20】
、適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、適切な触媒(例えば、PdCl(dppf).CHCl)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび水)の存在下;または
b)代わりに、式(IV)の中間体は、ブロモ誘導体とDを、適切な溶媒(例えば、トルエン)中、適切な塩基(例えば、炭酸セシウム)、配位子(例えば、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(BINAP))、および触媒(例えば、Pd(OAc))の存在下で反応させることによって製造してもよい;
6:
a)適切な触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール、およびテトラヒドロフラン)の存在下;または
b)適切な触媒(例えば、PdCl(dppf).CHCl)、および適切な金属水酸化物(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)の触媒的加水分解による水素生成の存在下、二座配位子(例えば、1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン)の存在下、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン中。好ましくは、この反応は、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)下で行われる;
7:適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
8:適切な脱離基導入剤(例えば、塩化ホスホリル)、および場合により適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下。
【0168】
式(II−c)の中間体は、下記反応スキーム8に従って製造することができる。
【化21】
【0169】
スキーム8では、下記の反応条件が当てはまる:
1:二炭酸ジ−tert−ブチル、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
2:N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、およびBuLiの存在下で塩基として使用されるテトラメチレンジアミンの存在下;
3:適切な溶媒(例えば、トルエン)中、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドの存在下;
4:適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下;
5:N−ブロモスクシンイミド、および適切な酸(例えば、酢酸)の存在下;
6:POClおよび適切な溶媒(例えば、CHCl)の存在下;
7:適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、適切な触媒(例えば、PdCl(pddf).CHCl、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび水)の存在下;
8:触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール、およびテトラヒドロフラン)の存在下;
9:AlCl、および適切な溶媒(例えば、ジクロロエタン)の存在下;
10:脱離基導入剤(例えば、フェニルトリフルイミド)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下;または適切な溶媒または溶媒混合物(例えば、ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミドの混合物)中、フェニルトリフルイミド、および適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下。
【0170】
前記中間体のいくつかは、R. Morgentin et al., Tetrahedron 64 (2008) 2772-2782に記載されている。
【0171】
(I−A)の化合物に関して上記した反応のうちどれが式(I−B)の化合物にも適用可能であるかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0172】
どの条件で、また、分子のどの部分に保護基が適当であり得るかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。例えば、R置換基もしくはD部分上の保護基、またはR3a置換基もしくはR置換基上の保護基、またはそれらの組合せ。当業者ならばまた、例えば、−C(=O)−O−C1−4アルキルまたは
【化22】
または−Si(CH(C(CH)または−CH−O−CHCH−O−CHなど、実現可能性の最も高い保護基を認識することができると考えられる。当業者はまた、例えば、適切な酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、または適切な塩、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムなど、実現可能性の最も高い脱保護反応条件を認識することができると考えられる。
【0173】
当業者はまた、RがC(=O)−モルホリニルを表す場合には、前記Rは−C(=O)−NH−CH−CH−O−CH−CH−O−SO−4−メチルフェニルから、水素化ナトリウム、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で製造され得ることを認識することができると考えられる。または、Rが−NH−C(=O)−モルホリニルを表す場合には、前記Rは−NH−C(=O)−O−C(CHから、モルホリン、および適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下で製造され得る。または、RがヒドロキシルC1−6アルキル、例えば、−CH−CH−OHを表す場合には、前記Rは対応するアルコキシカルボニル中間体、例えば、−CH−C(=O)−O−CH−CHから、ヘキサン中、Dibal−H 1M、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で製造され得る。
【0174】
本発明はまた、重水素化化合物も含んでなる。これらの重水素化化合物は、合成工程中に適当な重水素化中間体を用いることによって製造することができる。例えば、下記の式(VI):
【化23】
の中間体は、適切な塩基(例えば、炭酸セシウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下でヨードメタン−D3と反応させることによって、下記の式(VI):
【化24】
の中間体に変換することができる。
【0175】
本発明の化合物はまた、当技術分野で公知の反応または官能基変換によって互いに変換することもできる。
【0176】
例えば、Rがテトラヒドロピラニルを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジオキサン、またはアルコール、例えば、メタノール、イソプロパノールなど)の存在下で、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)と反応させることによって、Rが水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0177】
またはR3aがモノハロアルキルを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、場合により適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはKCOまたは水素化ナトリウム)の存在下、および場合により適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下で適切な環部分と反応させることによって、RまたはR3aが、上記で定義され、かつ、窒素原子によりC1−6アルキル部分に連結されている環部分で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0178】
またはR3aがC1−6アルキル−OHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下および触媒量のアルコール(例えば、エタノール)の存在下で三フッ化ジエチルアミノ硫黄と反応させることによって、RまたはR3aがC1−6アルキル−Fを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。同様に、RまたはR3aが、RまたはR(ここで、前記RまたはRはOHで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で三フッ化ジエチルアミノ硫黄と反応させることによって、RまたはR3aが、RまたはR(ここで、前記RまたはRはFで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0179】
またはR3aが、RまたはR(ここで、前記RまたはRは−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で適切な還元剤(例えば、LiAlH)と反応させることによって、RまたはR3aが、RまたはR(ここで、前記RまたはRは−CH−OHで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0180】
3aが、1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下でヒドラジン一水和物と反応させることによって、R3aが、アミノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0181】
またはR3aが、アミノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でCl−S(=O)−C1−6アルキルと反応させることによって、RまたはR3aが、−NH−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0182】
またはR3aが、ハロで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、アミノを大過剰で使用するかまたは適切な塩基(例えば、KCO)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−ピロリジノン)の存在下で、NHRまたはNHR1011と反応させることによって、RまたはR3aが、NRまたはNR1011で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0183】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはKCOまたはトリエチルアミンまたは4−ジメチルアミノ−ピリジンまたはジイソプロピルアミン)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルまたはジクロロメタン)の存在下で、ポリハロC1−6アルキル−WまたはポリヒドロキシC1−6アルキル−WまたはC1−6アルキル−WまたはW−S(=O)−NR1415またはW−S(=O)−C1−6アルキル(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表す)と反応させることによって、RがポリハロC1−6アルキルまたはポリヒドロキシC1−6アルキルまたはC1−6アルキルまたは−S(=O)−NR1415または−S(=O)−C1−6アルキルを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0184】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でW−C1−6アルキル−O−Si(CH(C(CH)と反応させることによって、RがC1−6アルキル−OHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することもできる。当業者ならば、この工程の後に、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中での適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)との反応、または適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でのフッ化テトラブチルアンモニウムとの反応を実現することができる。
【0185】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下でC1−6アルキル−ビニルスルホンと反応させることによるか、あるいは適切な脱プロトン化剤(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、ジメチホルムアミド(dimethyformamide)の存在下でC1−6アルキル−2−ブロモエチルスルホンと反応させることによって、Rが、−S(=O)−C1−6アルキルで置換されたエチルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0186】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で
【化25】
と反応させることによって、R
【化26】
を表す式(I)の化合物に変換することもできる
(ここで、
【化27】
は、Rの定義の範囲内の適切な窒素含有環を表す)。
【0187】
が、R(ここで、前記Rは−C(=O)−O−C1−6アルキルまたは−S(=O)−NR1415で置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはRが、R(ここで、前記Rは−C(=O)−O−C1−6アルキルまたは−S(=O)−NR1415で置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン、アセトニトリル、またはアルコール、例えば、イソプロピルアルコール)と反応させることによって、RまたはRが非置換型である式(I)の化合物に変換することができる。Rが、R(ここで、前記Rは、−CH−OHで置換された、窒素原子を含んでなる環部分である)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3aが、R(前記Rは、−CH−OHで置換された、窒素原子を含んでなる環部分である)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で水酸化ナトリウムと反応させることによって、RまたはRが非置換型である式(I)の化合物に変換することができる。
【0188】
が、Rで置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3aが、Rで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物(ここで、前記Rまたは前記Rは非置換型である)は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、W−C1−6アルキル(ここで、Wは上記に定義される通り)と反応させることによって、前記Rまたは前記RがC1−6アルキルで置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0189】
またはR3aがヒドロキシC1−6アルキルを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で、デス−マーチン−ペルヨージナンと反応させることによって、対応するカルボニル化合物に変換することができる。
【0190】
が、Rで置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3aが、Rで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物(ここで、前記Rまたは前記Rは、C1−6アルキル−ハロで置換されている)は、適切な溶媒(例えば、水またはアルコール、例えば、エタノール)の存在下でシアン化ナトリウムと反応させることによって、前記Rまたは前記RがC1−6アルキル−CNで置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0191】
が、R(ここで、前記Rは非置換型である)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3aが、R(ここで、前記Rは非置換型である)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、またはアルコール、例えば、メタノール)の存在下で、ホルムアルデヒドまたはアセトンおよびNaBHCNと反応させることによって、RまたはRが−CHまたは−CH(CHで置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0192】
が、OHで置換されたR置換基を含有するか、またはR3aが、OHで置換されたR置換基を含有する、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でW−C1−6アルキルと反応させることによって、RまたはR置換基がC1−6アルキルオキシで置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0193】
が、C1−6アルキルオキシで置換されたR置換基を含有するか、またはR3aが、C1−6アルキルオキシで置換されたR置換基を含有する、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な酸(例えば、塩酸)と反応させることによって、RまたはR置換基が−OHで置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
【0194】
が、ハロで置換されたR置換基を含有するか、またはR3aが、ハロで置換されたR置換基を含有する、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(sovent)(例えば、1−メチル−ピロリジノン)中でNHR1415と反応させることによって、RまたはR置換基が−NR1415で置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0195】
3aが、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でLiOHと反応させることによって、R3aが、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。R3aが、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHClおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でNH(Si(CHまたはMeNHClまたはNHR1011と反応させることによって、R3aが、−C(=O)−NHまたは−C(=O)−NHCHまたは−C(=O)−NR1011で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。R3aが、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、N下、適切な溶媒(例えば、トルエンおよびヘプタン)の存在下でエチレンジアミンおよびトリメチルアルミニウムと反応させることによって、R3aが、4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することもできる。R3aが、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、カルボニルジイミダゾールおよび適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でジメチルヒドロキシルアミンと反応させることによって、R3aが、−C(=O)−N(CH)(OCH)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することもできる。
【0196】
3aが、
【化28】
で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたは水)と反応させることによって、R3aが、2個のOHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。R3aが、
【化29】
で置換されたC1−6アルキルを表す、これらの式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、場合により適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはNaCOまたはトリエチルアミン)、適切な添加剤(例えば、KI)の存在下、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、またはアルコール、例えば、1−ブタノールまたはエタノール)の存在下で、場合により塩の形態のNH1011(例えば、NHR1011+Cl)と反応させることによって、R3aが、OHとNR1011で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することもできる。
【0197】
3aが、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−3アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)の存在下でヨードメタンおよびMg粉末と反応させることによって、Rが、−C(CH−OHで置換されたC1−3アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0198】
3aが、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で適切な還元剤(例えば、LiAlH)と反応させることによって、Rが、−OHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0199】
3aが、OHで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でCl−C(=O)−C1−6アルキルと反応させることによって、R3aが、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0200】
3aが−CH−CH=CHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、過マンガン酸カリウム、および適切な溶媒(例えば、アセトンまたは水)と反応させることによって、R3aが−CH−CHOH−CH−OHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0201】
3aが、−C(=O)−C1−4アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、ピリジン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、ヒドロキシルアミンと反応させることによって、R3aが、−C(C1−4アルキル)=N−OHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0202】
3aが、NHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノ)プロピル)カルボジイミド)の存在下、場合により適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、対応するCOOH類似体、例えば、R−COOHまたはCF−C(CH)(OH)−COOHなどと反応させることによって、R3aが、−NH−C(=O)−Rで、または−NH−C(=O)−C1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリヒドロキシC1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリハロC1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリヒドロキシポリハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。R3aが、NHで置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で無水トリフルオロ酢酸と反応させることによって、R3aが、NH−C(=O)−CFで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することもできる。R3aが、NHで置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I−A)または(I−B)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、KCO)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジオキサン)の存在下で、ポリハロC1−6アルキル−W(ここで、Wは上記に定義される通り、例えば、ヨード−2−フルオロエタン)と反応させることによって、Rが、−NH−ポリハロC1−6アルキル、例えば、−NH−CH−CH−Fで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。
【0203】
3aが、シアノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、アジ化ナトリウムおよびNHClと反応させることによって、Rが、テトラゾリルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
【0204】
が−CH−C≡CHを表す式(I)の化合物は、CuIおよび適切な塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(tetraydrofuran))の存在下でアジド酢酸エチルと反応させることによって、R3a
【化30】
を表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0205】
3aが−CH−C≡CHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な触媒(例えば、CuSOおよびLアスコルビン酸ナトリウム)、適切な酸(例えば、酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下でアジ化ナトリウムおよびホルムアルデヒドと反応させることによって、R3a
【化31】
を表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0206】
3aがC2−6アルキニルを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、適切な補助触媒(例えば、CuI)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)の存在下で、W−R(ここで、Wは上記に定義される通り)と反応させることによって、R3aが、Rで置換されたC2−6アルキニルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0207】
3aが、ハロで置換されたRを含んでなる、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下でNHR1415と反応させることによって、R3aが、−NR1415で置換されたRを含んでなる、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0208】
3aがC2−6アルキニルを含んでなる式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な触媒(例えば、パラジウム炭素、および適切な溶媒(例えば、酢酸エチル)の存在下で水素化して、R3aがC2−6アルキルを含んでなる式(I−A)または(I−B)の化合物とすることができる。
【0209】
3aがC2−6アルキニルを含んでなる式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な触媒(例えば、リンドラー(Lindlar)触媒)、および適切な溶媒(例えば、酢酸エチル)の存在下で水素化して、R3aがC2−6アルケニルを含んでなる式(I−A)または(I−B)の化合物とすることができる。
【0210】
3aが、−P(=O)(OC1−6アルキル)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でブロモトリメチルシランと反応させることによって、R3aが、−P(=O)(OH)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0211】
置換基が=Oで置換されている式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で適切な還元剤(例えば、LiAlH)と反応させることによって、対応する還元型のR置換基に変換することができる。
【0212】
3aが−NHR10を含んでなる式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で対応するW−(C=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、クロロなどを表す)と反応させることによって、R3aが、−NR10−(C=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキルを含んでなる、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0213】
3aが、NR10(ベンジル)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でクロロギ酸1−クロロエチルと反応させることによって、R3aが、NHR10で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0214】
が非置換ピペリジンを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下でヨードメタンと反応させることによって、Rが1−メチル−ピペリジンを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0215】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で、置換されていてもよいC1−6アルキル−W(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表す)と反応させることによって、Rが、置換されていてもよいC1−6アルキルを表す、式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0216】
がハロ、例えば、ブロモを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な触媒(例えば、Pd(dba))および適切な配位子(例えば、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)の存在下、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、シアン化亜鉛と反応させることによって、Rがシアノを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0217】
前記R置換基がシアノである場合、NHおよびニッケルの存在下で水素化することによって−CH−NHに変換することができる。
【0218】
が−OCHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で三臭化ホウ素と反応させることによって、Rが−OHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0219】
が−OHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でメチルヨウ素(methyl iodine)と反応させることによって、Rが−OCHを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0220】
が水素を表す式(I−A)または(I−B)の化合物は、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミケタールと反応させることによって、Rが−CHOH−CFを表す式(I−A)または(I−B)の化合物に変換することができる。
【0221】
3aおよびR3bが一緒に=Oを形成する式(I−A)の化合物は、例えば、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)の存在下、適切な溶媒または溶媒混合物(例えば、メタノール/ジクロロメタンの混合物)の存在下で、当業者に知られている適切な任意の還元反応を用いることによって、対応するアルコールへと還元することができる。好ましくは、この反応は、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)下、0℃で行われる。
【0222】
3aおよびR3bが一緒に=Oを形成する式(I−A)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中、適切なシアン化物源(例えば、シアノホスホン酸ジエチル)、および適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下で、R3aおよびR3bが一緒に=CH−CNを形成する式(I−A)の化合物に変換することができる。好ましくは、この反応は、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気)下、0℃で行われる。
【0223】
本発明のさらなる側面は、本明細書に定義される式(I−A)または(I−B)の化合物を製造するための方法であり、その方法は、
(i)式:
【化32】
の中間体とW−R3’(ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表し、R3’は、置換されていてもよいC1−6アルキルを表す)を、適切な塩基(例えば、ブチルリチウム)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(tetyrhydrofuran))の存在下で反応させること;
(ii)式:
【化33】
の中間体とR−C1−6アルキル−W(ここで、Wは、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表す)を、適切な塩基(例えば、ブチルリチウム)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(tetyrhydrofuran))の存在下で反応させること;
(iii)式:
【化34】
の中間体と式(XI):
【化35】
の中間体を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(iv)式:
【化36】
の中間体と式:
【化37】
の中間体を、適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下で反応させること;
(v)式:
【化38】
の中間体と式:
【化39】
の中間体を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(vi)式:
【化40】
の中間体とNHR1415を、適切なルイス酸(例えば、トリメチルアルミニウム)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下で反応させること;
(vii)式:
【化41】
(式中、Pは、適切な保護基、例えば、−C(=O)−OC(CHを表す)の中間体を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下で脱保護すること;
(viii)式:
【化42】
の中間体を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下で脱保護すること;
(ix)式:
【化43】
の化合物を、適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン)中、適切な還元剤(例えば、BH.MeまたはNaBH)で変換すること;
(x)式:
【化44】
の化合物を、適切な還元剤(例えば、Mg)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)または適切なアルコール(例えば、メタノール)で変換すること;
(xi)式:
【化45】
の中間体を、Mgおよび適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)もしくは適切なアルコール(例えば、メタノール)の存在下;またはHおよび適切な触媒(例えば、パラジウム炭素)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(xii)式:
【化46】
の化合物を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下、適切な還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム)で変換すること;
(xiii)式:
【化47】
の中間体と式:
【化48】
の適切な塩基またはNHR1011を、場合により適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは水素化ナトリウム)、および場合により適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させること、この反応はまた、
【化49】
〔Rの定義の範囲内の適切な窒素含有環(非置換または置換)〕の適切な塩を用いて行うこともできる;
(xiv)式:
【化50】
(式中、Pは、適切な保護基、例えば、−C(=O)−OC(CHを表す)の中間体を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはジクロロメタン)の存在下で脱保護すること;
(xv)式:
【化51】
の中間体と式:
【化52】
の中間体を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(xvi)式(XX)または(XXI):
【化53】
(式中、RおよびRはC1−4アルキルを表し、かつ、RはC1−4アルキルまたはフェニルを表し、例えば、RおよびRはCHを表し、かつ、RはC(CHまたはフェニルを表す)の中間体とフッ化テトラブチルアンモニウムを、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること
(ここで、前記の変数は本明細書に定義される通り);および場合により、その後に式(I−A)または(I−B)のある化合物を式(I−A)または(I−B)の別の化合物に変換すること
を含んでなる。
【0224】
その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物または誘導体
本出願の他の総ての節と同様にこの節でも、文脈がそうではないことを示さない限り、式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総てのそのサブグループ、選択肢、実施態様および例も含む。
【0225】
特に断りのない限り、特定の化合物をさす場合には、例えば後述されるような、そのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態、好ましくは、そのイオン形態または塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、そのイオン形態または塩または互変異性体または溶媒和物または保護形態、いっそうより好ましくは、その塩または互変異性体または溶媒和物も含む。式(I)の多くの化合物は、塩、例えば、酸付加塩、またはある特定の場合には、有機塩基および無機塩基の塩、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩の形態で存在し得る。このような塩は総て、本発明の範囲内にあり、式(I)の化合物という場合には、それらの化合物の塩形態も含む。「誘導体」という場合には、そのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態も含むと考えられる。
【0226】
本発明の一つの側面によれば、本明細書に定義される化合物またはその塩、互変異性体、N−オキシドまたは溶媒和物が提供される。本発明のさらなる側面によれば、本明細書に定義される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。本明細書に定義される式(I)の化合物およびそのサブループという場合には、それらの化合物の塩または溶媒和物または互変異性体またはN−オキシドもそれらの範囲内に含む。
【0227】
本発明の化合物の塩形態は一般に薬学的に許容可能な塩であり、薬学的に許容可能な塩の例はBerge et al. (1977) "Pharmaceutically Acceptable Salts," J.Pharm. Sci., Vol. 66, 1-19頁に記載されている。しかしながら、薬学的に許容可能なものではない塩が中間体形態として製造されてもよく、これらの中間体形態はその後、薬学的に許容可能な塩に変換することができる。例えば、本発明の化合物の精製または分離に有用であり得るこのような薬学的に許容可能なものではない塩形態も、本発明の一部をなす。
【0228】
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (編), Camille G. Wermuth (編), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載されている方法などの通常の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中で適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。本発明の化合物は、塩が形成される酸のpKaに応じて一塩または二塩として存在し得る。
【0229】
酸付加塩は、無機および有機双方の多様な酸で形成できる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−二スルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−二スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸からなる群から選択される酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成される塩が挙げられる。
【0230】
塩の1つの特定の群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸から形成される塩からなる。酸付加塩の別の群としては、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸から形成される塩を含む。
【0231】
化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COOとなり得る)を有する場合には、塩は、適切な陽イオンを伴って形成できる。適切な無機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、NaおよびKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類金属陽イオン、ならびにAl3+などの他の陽イオンが挙げられる。適切な有機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)が挙げられる。
【0232】
いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸に由来するものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CHが挙げられる。
【0233】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物も式(I)の範囲内にある。また、アミン官能基を含む式(I)の化合物はN−オキシドを形成し得る。本明細書においてアミン官能基を含む式(I)の化合物という場合には、N−オキシドも含む。化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1以上の窒素原子を酸化して、N−オキシドを形成し得る。N−オキシドの特定の例として、窒素含有複素環の第三級アミンまたは窒素原子のN−オキシドがある。N−オキシドは、対応するアミンを過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)などの酸化剤で処理することにより形成することができる(例えば、Advanced Organic Chemistry, Jerry March, 第4版, Wiley Interscience, pages.参照)。より具体的には、N−オキシドは、L.W.Deady (Syn. Comm. 1977, 7, 509-514)の方法により製造することができ、この方法では、アミン化合物を、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
【0234】
本発明の化合物は、例えば水との溶媒和物(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成し得る。本明細書において、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば1以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれた場合に単離可能となる。用語「溶媒和物」には、液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含するものとする。適切な溶媒和物の限定されない例としては、本発明の化合物と水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンなどの組合せが挙げられる。本発明の化合物は、溶液中にある場合にそれらの生物学的効果を示し得る。
【0235】
溶媒和物は製薬化学において周知である。溶媒和物は物質の製造方法(例えば、それらの精製、その物質の貯蔵(例えば、その安定性)およびその物質の取り扱いの容易さ)にとって重要となり得、化学合成の単離または精製工程の一部として形成される場合が多い。当業者ならば、ある化合物を製造するために使用される単離条件または精製条件によって水和物が形成されたか他の溶媒和物が形成されたかを、標準的かつ長く使用されている技術によって決定することができる。このような技術の例としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶学(例えば、単結晶X線結晶学またはX線粉末回折)および固体NMR(SS−NMR、Magic Angle Spinning NMRまたはMAS−NMRとしても知られる)が挙げられる。このような技術は、NMR、IR、HPLCおよびMSと同様に、熟練の化学者の標準点分析ツールキットの一部となっている。あるいは、当業者ならば、特定の溶媒和物に必要とされる溶媒の量を含む結晶化条件を用いて、溶媒和物を計画的に形成することができる。その後、上記の標準的方法を用いて、どの溶媒和物が形成されたか確認することができる。式(I)にはまた、これらの化合物の任意の錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体もしくは包接体、または金属との錯体)が包含される。
【0236】
さらに、本発明の化合物は、1以上の多型(結晶性)または非晶質形態を持つ場合があり、それら自体、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0237】
式の(I)の化合物は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在することができ、式(I)の化合物には、このような形態を全て含む。疑念を避けるため、化合物は、いくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在することができ、1つのみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり式(I)に含まれる。互変異性型の他の例としては、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エタミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/エネジアミン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ−ニトロなどの場合のように、例えば、ケト型、エノール型、およびエノレート型が挙げられる。
【化54】
【0238】
式(I)の化合物が1以上のキラル中心を含み、かつ、2以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物には、特に断りのない限り、その総ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、または2以上の光学異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物)のいずれかとして含む。これらの光学異性体はそれらの光学活性(すなわち、+および−異性体、またはdおよびl異性体として)特徴付けおよび同定することができるか、あるいは、それらの絶対的立体化学から、Cahn, Ingold and Prelog(Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 第4版, John Wiley & Sons, New York, 1992, 109-114頁参照、また、Cahn, Ingold & Prelog (1966) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 5, 385-415も参照)によって開発された「RおよびS」命名法を用いて特徴付けることができる。光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)を含むいくつかの技術によって分離することができ、このような技術は当業者に周知のものである。キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−カンファースルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離することができる。
【0239】
式(I)の化合物が2以上の光学異性型として存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。従って、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体のうち1つのみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有し、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。一般的な一つの実施態様では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在することができる。具体的な異性型が特定される場合(例えば、S配置、またはE異性体)、これは前記の異性型が他の異性体を実質的に含まないこと、すなわち、前記の異性型が、本発明の化合物の総量の少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれを超える割合で存在する(例えば、実質的に全部である)ことを意味する。
【0240】
以上または以下で、いくつかの化合物は下記の結合:
【化55】
を含む。これは、その化合物が、未知の立体配置を有する単一の立体異性体または立体異性体の混合物であることを示す。
【0241】
本発明の化合物は、1以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の総ての同位体を含む。例えば、水素の場合、その範囲内にH、H(D)、およびH(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cと、16Oおよび18Oを含む。これらの同位体は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一つの実施態様では、これらの化合物は非放射性同位体を含む。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、別の実施態様では、これらの化合物は1以上の放射性同位体を含んでもよい。このような放射性同位体を含む化合物は診断の場合に有用であり得る。
【0242】
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステル、例えば、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルも、式(I)に包含される。本発明の一つの実施態様では、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含む。本発明の別の実施態様では、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含まない。エステルの例としては、基−C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−6アルキル基、ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−6アルキル基である)を含む化合物が挙げられる。エステル基の特定の例としては、限定されるものではないが、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CHおよび−C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、−OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の特定の例としては、限定されるものではないが、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CHPhが挙げられる。
【0243】
例えば、いくつかのプロドラッグは、有効化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝上不安定なエステル)である。「プロドラッグ」とは、例えば、in vivoで式(I)の生物学的に活性な化合物に変換される化合物を意味する。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)は開裂して有効薬物を生じる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成でき、適当であれば、親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護し、その後、必要に応じて脱保護する。
【0244】
このような代謝上不安定なエステルの例としては、式−C(=O)ORのものが挙げられ、ここで、Rは、C1−6アルキル(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);C1−6アミノアルキル[例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル)];およびアシルオキシ−C1−7アルキル[例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)]である。また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて有効化合物を生じるか、またはさらなる化学反応の際に有効化合物を生じる化合物(例えば、抗原指向性酵素プロドラッグ療法(antigen-directed enzyme pro-drug therapy)(ADEPT)、遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法(gene-directed enzyme pro-drug therapy)(GDEPT)、およびリガンド指向性酵素プロドラッグ療法(ligand-directed enzyme pro-drug therapy)(LIDEPT)などの場合)。例えば、プロドラッグは、糖誘導体もしくは他の配糖体であってよく、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0245】
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)
本明細書に記載される本発明の化合物は、特定のチロシンキナーゼの活性を阻害または調節するものであり、従って、これらの化合物は、これらのチロシンキナーゼ、特にFGFRにより媒介される疾患状態もしくは病態の治療または予防、特に治療に有用である。
【0246】
FGFR
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、有糸分裂誘発、創傷治癒、細胞分化、および血管新生を含む多様な一連の生理学的機能、ならびに発育を調節する。正常細胞および悪性細胞の両方の成長ならびに増殖は、オートクリンならびにパラクリン因子として作用する細胞外シグナル伝達分子であるFGFの局部的濃度の変化によって影響を受ける。オートクリンFGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性癌のホルモン非依存性状態への進行において特に重要であり得る。FGFおよびそれらの受容体はいくつかの組織および細胞株において高レベルで発現され、過剰発現が悪性表現型に寄与していると考えられている。さらに、いくつかの癌遺伝子は、増殖因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌においてFGF依存性シグナル伝達を異常に活性化する可能性がある(Knights et al., Pharmacology and Therapeutics 2010 125:1 (105-117); Korc M. et al Current Cancer Drug Targets 2009 9:5 (639-651))。
【0247】
2つの原型メンバーは、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF1)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)であり、これまでのところ、少なくとも20の異なるFGFファミリーメンバーが同定されている。FGFに対する細胞応答は、1〜4(FGFR1〜FGFR4)の番号が付けられた4種類の高親和性トランスメンブランタンパク質チロシンキナーゼ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)を介して伝達される。
【0248】
FGFR1経路の破壊は、腫瘍細胞の増殖に影響を与えるはずであり、これはこのキナーゼが内皮細胞を増殖させることに加えて多くの腫瘍種において活性化されるからである。腫瘍関連血管構造におけるFGFR1の過剰発現および活性化は、腫瘍血管新生におけるこれらの分子の役割を示唆している。
【0249】
最近の研究から、古典的小葉癌(Classic Lobular Carcinomas)(CLC)におけるFGFR1発現と腫瘍原性との間の関連が示されている。CLCは、全乳癌の10〜15%を占め、一般に、p53およびHer2の発現が欠損しているが、エストロゲン受容体の発現は保持している。8p12−p11.2の遺伝子増幅がCLC症例の約50%で示され、これはFGFR1の発現増強と関連していることが示された。FGFR1に対して向けられたsiRNAまたは前記受容体の小分子阻害剤を用いた予備研究から、この増幅を有する細胞株がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を持つことが示された。最も一般的な小児軟部組織肉腫である横紋筋肉腫(RMS)は、骨格筋形成の過程での異常な増殖および分化に起因している可能性がある。FGFR1は、原発性横紋筋肉腫の腫瘍で過剰発現され、5’CpG島の低メチル化、ならびにAKT1、NOG、およびBMP4遺伝子の異常発現に関連している。FGFR1はまた、扁平上皮肺癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、子宮癌とも関連づけられている。
【0250】
線維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性および/または塩基性線維芽細胞増殖因子、ならびにケラチノサイト増殖因子リガンドに高い親和性を有する。線維芽細胞増殖因子受容体2はまた、骨芽細胞の成長および分化の際にFGFの強力な造骨作用を伝達する。複雑な機能的変化をもたらす線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異は、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)を誘発することが示されており、膜内骨形成におけるFGFRシグナル伝達の主要な役割を暗示している。例えば、早期頭蓋縫合骨化を特徴とするアペール(AP)症候群では、ほとんどの場合が、機能獲得を生じる線維芽細胞増殖因子受容体2における点突然変異に関連している。さらに、症候性頭蓋癒合患者における突然変異スクリーニングでは、いくつかの反復FGFR2突然変異が重症型のプファイファー症候群を説明することが示されている。FGFR2の特定の突然変異としては、FGFR2のW290C、D321A、Y340C、C342R、C342S、C342W、N549H、K641Rが含まれる。
【0251】
アペール症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達におけるいくつかの重篤な異常が、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異の発生に関連している。総てではなくともほとんどの場合、プファイファー症候群(PS)の症例は線維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子のde novo突然変異によっても起こり、最近、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異が、リガンド特異性を支配する基本規則のうちの1つを破ることが示された。すなわち、線維芽細胞増殖因子受容体の2つの突然変異スプライス型FGFR2cおよびFGFR2bは、非定型FGFリガンドと結合し、それにより活性化される能力を獲得していた。このリガンド特異性の欠損は異常なシグナル伝達をもたらし、これらの疾病症候群の重篤な表現型が異所性リガンドに依存する、線維芽細胞増殖因子受容体2の活性化によるものであることを示唆する。
【0252】
FGFR3受容体チロシンキナーゼの、染色体転座または点突然変異などの遺伝子異常は、異所発現されるかまたは調節解除された構成的に活性なFGFR3受容体をもたらす。このような異常は多発性骨髄腫の一部および膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌および子宮頚癌に関連している。従って、FGFR3阻害剤は多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頚癌の治療に有用となる。FGFR3はまた、膀胱癌、特に、浸潤性膀胱癌においても過剰発現される。FGFR3は、尿路上皮癌(UC)における突然変異により頻繁に活性化される。発現の増強は突然変異に関連していた(突然変異腫瘍の85%が高レベルの発現を示した)が、多くの筋肉浸潤性腫瘍を含め、検出可能な突然変異を持っていない、腫瘍の42%も過剰発現を示した。FGFR3はまた、子宮内膜癌および甲状腺癌にも関連している。
【0253】
FGFR4の過剰発現は、前立腺癌および甲状腺癌の両方において予後の悪さと関連付けられている。さらに、生殖細胞系多型(Gly388Arg)が、肺癌、乳癌、結腸癌、肝臓癌(HCC)および前立腺癌の高い罹患率と関連している。また、末端切断型FGFR4(キナーゼドメインを含む)が、下垂体腫瘍の40%に存在するが、正常組織には存在しないことが判明している。FGFR4過剰発現は、肝臓、結腸および肺の腫瘍で見出されている。FGFR4は、結腸直腸癌および肝臓癌に関連が見出されており、このような癌ではリガンドFGF19の発現が高まっている場合が多い。FGFR4はまた、星状細胞腫、横紋筋肉腫にも関連している。
【0254】
線維症の病態は、線維組織の異常または過剰な沈着に起因する大きな医学的問題である。これは、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチを含む多くの疾患、ならびに創傷治癒の自然プロセスにおいて発生する。病的線維化機序は完全には理解されていないが、線維芽細胞の成長および細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲンおよびフィブロネクチンを含む)の沈着に関与する様々なサイトカイン(腫瘍壊死因子(TNF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、および形質転換増殖因子β(TGFβ)を含む)の作用に起因していると考えられる。これは組織構造および機能の変化、ならびにそれに続く病変をもたらす。
【0255】
いくつかの前臨床研究では、肺線維症の前臨床モデルにおいて線維芽細胞増殖因子のアップレギュレーションが示されている。TGFβ1およびPDGFは、線維形成プロセスに関与していることが報告され、さらに公開された研究から、FGFの上昇、およびその結果としての線維芽細胞の成長の増大は、TGFβ1の上昇に応答したものであり得ることが示唆されている。特発性肺線維症(IPF)などの病態においてこの線維化機序を標的とすることの治療的利益の可能性が、報告されている抗線維症薬ピルフェニドンの臨床効果によって示唆されている。特発性肺線維症(原因不明線維性肺胞炎とも呼ばれる)は、肺の瘢痕化を伴う進行性の病態である。肺の気嚢が徐々に線維組織によって置き換えられ、それが厚みを増し、酸素を血流へ運搬する組織の能力の不可逆的喪失が引き起こされる。この病態の症状としては、息切れ、慢性乾性咳、疲労、胸痛、および急な体重減少をもたらす食欲不振が挙げられる。この病態は極めて重篤であり、5年後死亡率がおよそ50%である。
【0256】
従って、FGFRを阻害する化合物は、特に血管新生を阻害することにより腫瘍の成長を妨げ、アポトーシスを誘発する手段を提供するのに有用となる。よって、これらの化合物は、癌などの増殖性障害を治療または予防するのに有用であることが分かるであろう。
特に、受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異または受容体チロシンキナーゼのアップレギュレーションを伴う腫瘍は、これらの阻害剤に特に感受性を持つ可能性がある。本明細書に述べられている特定のRTKのアイソフォームのいずれかの活性化突然変異を伴う患者でも、RTK阻害剤による治療が特に有益であることが分かるであろう。
【0257】
血管内皮増殖因子(VEGFR)
慢性増殖性疾患は、多くの場合、重大な血管新生を伴い、この血管新生は炎症および/もしくは増殖状態に寄与するかまたはこれを維持し、または血管の浸潤性増殖によって組織破壊をもたらし得る。
【0258】
血管新生とは、一般に、新血管または交換血管の発生、または新生血管形成を表すために用いられる。血管新生は、それによって血管構造が胚で確立される、必要かつ生理的な正常プロセスである。血管新生は、一般に、ほとんどの正常成人組織では起こらない(例外として、排卵、月経および創傷治癒の部位がある)。しかしながら、多くの疾患は、持続的で制御を欠いた血管新生を特徴とする。例えば、関節炎では、新しい毛細血管が関節に侵入し、軟骨を破壊する。糖尿病(および多くの種々の眼疾患)では、新血管は、黄斑または網膜またはその他の眼構造に侵入し、失明を引き起こす場合がある。アテローム性動脈硬化症のプロセスも血管新生に関連付けられている。腫瘍の成長および転移が、血管新生に依存することが見出されている。
【0259】
主要な疾患に血管新生が関与しているという認識は、血管新生の阻害剤を特定および開発するための研究に伴うものであった。これらの阻害剤は一般に、血管新生シグナルによる内皮細胞の活性化;分解性酵素の合成および放出;内皮細胞遊走;内皮細胞の増殖;および毛細血管の形成などの血管新生カスケードにおける個々の標的に応じて分類される。
従って、血管新生は多段階で起こり、これらの様々な段階で血管新生を遮断する働きをする化合物を発見および開発する試みが進行中である。
【0260】
多様な機序で作用する血管新生の阻害剤が、癌および転移、眼疾患、関節炎および血管腫などの疾患に有益であることを教示する刊行物が存在する。
【0261】
ポリペプチドである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、in vitroでは内皮細胞に対する有糸分裂促進性であり、in vivoでは血管新生応答を刺激する。VEGFは、不適切な血管新生とも関連付けられている。VEGFRは、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)である。PTKは、細胞機能に関与するタンパク質内の特定のチロシン残基のリン酸化を触媒し、それによって細胞の成長、生存、および分化を制御する。
【0262】
VEGFに対する3つのPTK受容体、すなわち、VEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(Flk−1またはKDR)、およびVEGFR−3(Flt−4)が同定されている。これらの受容体は、血管新生に関与し、シグナル伝達に関わっている。特に注目されるのはVEGFR−2であり、これは、主として内皮細胞で発現されるトランスメンブラン受容体PTKである。VEGFによるVEGFR−2の活性化は、腫瘍血管新生を開始するシグナル伝達経路において極めて重要な段階である。VEGF発現は、腫瘍細胞では構成的である場合もあるし、特定の刺激に応答してアップレギュレーションされる場合もある。このような刺激の1つは低酸素であり、この場合、VEGF発現は、腫瘍および関連する宿主組織の両方でアップレギュレーションされる。VEGFリガンドは、その細胞外VEGF結合部位と結合することにより、VEGFR−2を活性化する。これは、VEGFRの受容体二量体化、およびVEGFR−2の細胞内キナーゼドメインにおけるチロシン残基の自己リン酸化をもたらす。キナーゼドメインは、ATPからチロシン残基へリン酸を転移する働きをし、このようにしてVEGFR−2の下流にシグナル伝達タンパク質のための結合部位を提供し、最終的には血管新生を開始させる。
【0263】
VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位における阻害は、チロシン残基のリン酸化を遮断し、血管新生の開始を妨害する働きをする。
【0264】
血管新生は、血管新生因子と称される様々なサイトカインによって媒介される新血管形成の生理学的プロセスである。固形腫瘍におけるその潜在的な病態生理学的役割が30年以上にわたり広く研究されてきたが、最近になって、慢性リンパ性白血病(CLL)およびその他の悪性造血系障害における血管新生の増大が認識されてきた。血管新生レベルの上昇は、CLL患者の骨髄およびリンパ節の両方において、様々な実験的方法により報告されている。この疾患の病態生理学における血管新生の役割は完全には解明されていないが、実験データから、いくつかの血管新生因子が疾患の進行に役割を果たしていることが示唆される。血管新生の生物学的マーカーは、CLLの予後と関連することも示された。
このことは、VEGFR阻害剤が、CLLなどの白血病の患者にも有益であり得ることを示している。
【0265】
腫瘍塊が限界サイズを超えるには、それに付随する血管構造を発達させる必要がある。
腫瘍血管構造を標的とすることは、腫瘍の拡大を制限し、有用な癌治療となり得ると提案されている。腫瘍成長の観察によれば、小腫瘍塊は、腫瘍特異的血管構造を持たない組織において存続可能であることが示されている。血管構造のない腫瘍の成長停止は、腫瘍の中央部における低酸素の効果によるものであった。より最近では、様々な血管新生促進因子および血管新生抑制因子が同定され、腫瘍塊における血管新生の刺激と阻害剤の正常比の乱れが自律的血管新生を可能とするプロセス、「血管新生スイッチ(angiogenic switch)」の概念が導かれた。血管新生スイッチは、悪性化を駆動するものと同じ遺伝子変化、すなわち、癌遺伝子の活性化、および腫瘍抑制遺伝子の喪失により支配されると思われる。いくつかの増殖因子が、血管新生の正の調節因子として作用する。これらの中で最も重要なものが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、およびアンギオゲニンである。トロンボスポンジン(Tsp−1)、アンジオスタチン、およびエンドスタチンなどのタンパク質は、血管新生の負の調節因子として機能する。
【0266】
VEGFR1とは異なり、VEGFR2の阻害は、マウスモデルにおいて、血管新生スイッチ、持続的血管新生、および初期腫瘍成長を著しく妨害する。後期の腫瘍では、治療過程では、初期の成長抑制期間の後に腫瘍が再成長するにつれ、VEGFR2遮断に対する表現型耐性が現れた。VEGF遮断に対するこの耐性は、VEGFとは独立に、FGFファミリーのメンバーを含むその他の血管新生促進因子の、低酸素が媒介する誘発と関連する腫瘍血管新生の再活性化を伴う。このようなその他の血管新生促進シグナルは、VEGF阻害の状態にあってもFGF遮断が進行を低下させるので、機能的には、回避期における腫瘍の再血管形成および再成長に関係付けられる。
【0267】
第2相治験でpan−VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤AZD2171で処置された患者において、膠芽腫血管の正常化の証拠がある。血管正常化に関するMRI検査と循環バイオマーカーの組合せは、抗血管新生薬に対する応答を評価するための有効な手段を提供する。
【0268】
PDGFR
悪性腫瘍は、制御を欠いた細胞増殖の産物である。細胞成長は、成長促進因子と成長阻害因子との間の微妙なバランスにより制御されている。正常組織では、これらの因子の産生および活性は、臓器の正常な完全性および機能性を維持する制御および調節された様式で成長する分化細胞をもたらす。悪性細胞はこの制御を回避しており、自然バランスが(様々な機構を介して)乱され、調節を欠いた異常な細胞成長が起こる。腫瘍発生において重要な増殖因子は、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を介してシグナルを伝達し、成長、増殖および分化を含む様々な細胞機能を刺激するペプチド増殖因子のファミリーを含んでなる血小板由来増殖因子(PDGF)である。
【0269】
選択的阻害剤の利点
差別化された選択性の特性を有するFGFRキナーゼ阻害剤の開発は、その疾患がFGFRの調節解除によって駆動されるものである患者のサブグループにおいてこれらの標的化剤を用いる新たな機会を提供する。付加的キナーゼ、特にVEGFR2およびPDGFR−βに対して阻害作用の低下を示す化合物は、差別化された副作用または毒性プロフィールを有する機会を提供し、従って、これら適応症のより効果的な治療が可能となる。VEGFR2およびPDGFR−βの阻害剤は、それぞれ、高血圧または浮腫などの毒性に関連する。VEGFR2阻害剤の場合、この高血圧作用は、多くの場合、用量制限的であり、特定の患者集団で禁忌となり得るものであり、臨床管理を要する。
【0270】
生物活性および治療用途
本発明の化合物およびそのサブグループは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害もしくは調節活性、および/または血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)阻害もしくは調節活性、および/または血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害もしくは調節活性を有し、本明細書に記載の疾患状態または病態の予防または治療に有用となる。
加えて、本発明の化合物およびそのサブグループは、キナーゼにより媒介される疾患または病態の予防または治療に有用となる。癌などの疾患状態または病態の回避または予防または治療という場合には、それらの範囲内に、癌の緩和またはその罹患率の軽減が含まれる。
【0271】
本明細書において、キナーゼの活性に適用される用語「調節」は、タンパク質キナーゼの生物活性のレベルにおける変化を定義することを意図している。従って、調節には、関連するタンパク質キナーゼ活性の増強または低下を果たす生理学的変化が包含される。後者の場合、調節は、「阻害」と記載することができる。調節は、直接的に起こっても間接的に起こってもよく、任意の機構により、例えば、遺伝子発現のレベル(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾を含む)、キナーゼ活性のレベルで直接的または間接的に作用する調節エレメントをコードする遺伝子の発現レベルを含む、任意の生理学的レベルで媒介されてよい。従って、調節は、遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)を含むキナーゼの発現の上昇/抑制、または過剰発現もしくは過少発現、および/または転写作用による発現の増強または低下、ならびに突然変異によるタンパク質キナーゼの過剰(もしくは過少)活性および(非)活性化((非)活性化を含む)を意味する場合がある。
用語「調節された」、「調節している」、および「調節する」も、相応に解釈されるべきである。
【0272】
本明細書において、例えば本明細書に記載されるキナーゼと組み合わせて用いられる(および、例えば様々な生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、治療または介入に適用される)、用語「媒介される」とは、この用語が適用される様々なプロセス、疾患、状態、病態、治療および介入が、キナーゼが生物学的役割を果たすものである場合に限定して用いられることを意図している。この用語が、疾患、状態または病態に適用される場合、キナーゼが果たす生物学的役割は、直接的であってもまたは間接的であってもよく、その疾患、状態または病態の症状の顕在化(またはその病因もしくは進行)に必要および/または十分なものであり得る。従って、キナーゼ活性(特に、異常なレベルのキナーゼ活性、例えばキナーゼ過剰発現)は必ずしも疾患、状態または病態の基本的な原因である必要はなく、むしろ、キナーゼにより媒介される疾患、状態または病態には、問題のキナーゼが部分的に関与するだけである多因子性の病因および複雑な進行を有するものを含むことが意図される。この用語が、治療、予防または介入に適用される場合、キナーゼが果たす役割は、直接的であってもまたは間接的であってもよく、治療、予防の実施、または介入の転帰に必要および/または十分なものであり得る。従って、キナーゼにより媒介される疾患状態または病態には、任意の特定の抗癌剤または治療に対する耐性の発達を含む。
【0273】
従って、例えば、本発明の化合物は、癌の緩和またはその罹患率の軽減に有用であり得る。
【0274】
より詳細には、式(I)の化合物およびそのサブグループは、FGFRの阻害剤である。例えば、本発明の化合物は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、および/またはFGFR4、特に、FGFR1、FGFR2およびFGFR3から選択されるFGFRに対して活性を有し、あるいは特に式(I)の化合物およびそのサブグループは、FGFR4の阻害剤である。
【0275】
好ましい化合物は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4から選択される1以上のFGFRを阻害する化合物である。本発明の好ましい化合物は、0.1μM未満のIC50値を有するものである。
【0276】
本発明の化合物はまた、VEGFRに対しても活性を有する。
【0277】
さらに、本発明の化合物の多くは、VEGFR(特にVEGFR2)および/またはPDGFRと比較して、FGFR1、2、および/または3、および/または4に対する選択性を示し、このような化合物は、本発明の1つの好ましい実施態様を表す。特に、本化合物は、VEGFR2を超える選択性を示す。例えば、本発明の多くの化合物は、FGFR1、2、および/または3、および/または4に対するIC50値が、VEGFR(特にVEGFR2)および/またはPDGFR Bに対するIC50の10分の1〜100分の1の間である。特に、本発明の好ましい化合物は、FGFR、特に、FGFR1、FGFR2、FGFR3および/またはFGFR4に対する活性または阻害が、VEGFR2よりも、少なくとも10倍大きい。より好ましくは、本発明の化合物は、FGFR、特に、FGFR1、FGFR2、FGFR3および/またはFGFR4に対する活性または阻害が、VEGFR2よりも少なくとも100倍大きい。これは本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。
【0278】
FGFR、および/またはVEGFRキナーゼを調節または阻害するその活性の結果として、本化合物は、特に血管新生を阻害することによって、新生物の成長を妨げるかまたはアポトーシスを誘発する手段を提供する上で有用となる。従って、本化合物は、癌などの増殖性障害の治療または予防に有用となると考えられる。さらに、本発明の化合物は、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾患の治療に有用となり得る。
【0279】
特に、VEGFRの活性化変異体またはVEGFRのアップレギュレーションを有する腫瘍、および血清乳酸デヒドロゲナーゼレベルが高い患者は、本発明の化合物に特に感受性があり得る。本明細書に述べた特定のRTKのアイソフォームのいずれかの活性化変異体を有する患者にも、本発明の化合物による治療が特に有益であり得る。例えば、クローン前駆細胞がVEGFRを発現し得る急性白血病細胞におけるVEGFRの過剰発現。また、FGFR1、FGFR2、またはFGFR3、またはFGFR4などのFGFRのアイソフォームのいずれかの活性化変異体またはアップレギュレーションもしくは過剰発現を有する特定の腫瘍も、本発明の化合物に特に感受性があり得、従って、このような特定の腫瘍を有する本明細書に述べた患者にも、本発明の化合物による治療が特に有益であり得る。治療は、本明細書に述べたものなどの受容体チロシンキナーゼの1つの変異型に関するか、またはそれに向けたものであることが好ましいと考えられる。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなど、当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて実施することができる。
【0280】
治療(または阻害)され得る癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、尿路上皮癌、子宮癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌)、食道癌、頭頚部癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、膵外分泌癌)、胃癌(stomach)(消化管癌(胃癌(gastric)としても知られる)(例えば、消化管間質腫瘍)、子宮頚癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、前立腺癌、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌または隆起性皮膚線維肉腫);下垂体癌;リンパ細胞系列の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫;骨髄細胞系列の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄増殖性障害、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、または前骨髄球性白血病;多発性骨髄腫;甲状腺濾胞癌;間葉系由来腫瘍(例えば、ユーイング肉腫)、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢または末梢神経系腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫(例えば、多形性膠芽腫)またはシュワン腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。特に、扁平上皮肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、子宮癌、胃癌、肝細胞癌、子宮頚癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮内膜癌、尿路上皮癌、結腸癌、横紋筋肉腫、下垂体癌。
【0281】
特定の癌は、特定の薬物による治療に対して耐性を有する。これは、腫瘍の種類に起因する場合もあり、または化合物による治療に起因して生じる場合もある。この点において、多発性骨髄腫という場合には、ボルテゾミブ感受性多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫が含まれる。同様に、慢性骨髄性白血病という場合には、イミタニブ感受性慢性骨髄性白血病および不応性慢性骨髄性白血病が含まれる。慢性骨髄性白血病は、慢性骨髄球性白血病、慢性顆粒球性白血病、またはCMLとしても知られる。同様に、急性骨髄性白血病は、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ球性白血病、またはAMLとも称される。
【0282】
本発明の化合物はまた、骨髄増殖性疾患など、前悪性であっても安定型であっても、異常細胞増殖の造血系疾患の治療にも用いることができる。骨髄増殖性疾患(「MPD」)とは、細胞が過剰に産生される骨髄の疾患群である。それらは、骨髄異形成症候群と関連しており、それへ進行する場合がある。骨髄増殖性疾患としては、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、および原発性骨髄線維症が挙げられる。さらなる血液性障害としては、好酸球増加症候群がある。T細胞リンパ増殖性疾患としては、ナチュラルキラー細胞に由来するものが含まれる。
【0283】
加えて、本発明の化合物は、消化管癌(胃癌としても知られる)、例えば、消化管間質腫瘍に使用することもできる。消化管癌は、食道、胃、肝臓、胆管系、膵臓、腸、および肛門を含む消化管の悪性病態を意味する。
【0284】
従って、異常な細胞成長を含む疾患または病態を治療するための本発明の医薬組成物、使用、または方法において、一つの実施態様では、異常な細胞成長を含む疾患または病態は癌である。
【0285】
癌の特定のサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮頚癌、前立腺癌、および甲状腺癌、肺癌、乳癌、および結腸癌が含まれる。
【0286】
癌のさらなるサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌、および子宮頚癌が含まれる。
【0287】
FGFR1などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、乳癌、特に古典的小葉癌(CLC)の治療または予防に特に有用であり得る。
【0288】
本発明の化合物はFGFR4活性を有するので、それらは前立腺癌または下垂体癌の治療にも有用であり、それらは乳癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌(HCC)または肺癌の治療に有用である。
【0289】
特に、FGFR阻害剤としての本発明の化合物は、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、および口腔扁平上皮癌の治療に有用である。
【0290】
癌のさらなるサブセットは、多発性骨髄腫、子宮内膜癌、膀胱癌、子宮頚癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、および甲状腺癌である。
【0291】
特に、本発明の化合物は、多発性骨髄腫(特に、t(4;14)転座を有するかまたはFGFR3を過剰発現する多発性骨髄腫)、前立腺癌(ホルモン不応性前立腺癌)、子宮内膜癌(特に、FGFR2における活性化突然変異を有する子宮内膜腫瘍)、および乳癌(特に、小葉乳癌)の治療に有用である。
【0292】
特に、本化合物は、CLC(古典的小葉癌)などの小葉癌の治療に有用である。
【0293】
本化合物はFGFR3に対して活性を有するので、それらは、多発性骨髄腫および膀胱癌の治療に有用である。
【0294】
特に、本化合物は、t(4;14)転座陽性多発性骨髄腫の治療に有用である。
【0295】
一つの実施態様では、本化合物は肉腫の治療に有用であり得る。一つの実施態様では、本化合物は、肺癌、例えば、扁平上皮癌の治療に有用であり得る。
【0296】
本化合物は、FGFR2に対して活性を有するので、それらは、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、子宮癌、子宮頚癌および結腸直腸癌の治療に有用である。FGFR2はまた、上皮卵巣癌でも過剰発現されるので、本発明の化合物は、上皮卵巣癌などの卵巣癌の治療に特に有用であり得る。
【0297】
一つの実施態様では、本化合物は、肺癌、特に、NSCLC、扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌の治療に有用であり得る。
【0298】
本発明の化合物はまた、VEGFR2阻害剤またはVEGFR2抗体(例えば、アバスチン)で前処置された腫瘍の治療にも有用であり得る。
【0299】
特に、本発明の化合物は、VEGFR2耐性腫瘍の治療に有用であり得る。VEGFR2阻害剤および抗体は、甲状腺癌および腎細胞癌の治療に用いられ、従って、本発明の化合物は、VEGFR2耐性甲状腺癌および腎細胞癌の治療に有用であり得る。
【0300】
癌は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4から選択されるいずれか1以上のFGFR、例えば、FGFR1、FGFR2またはFGFR3から選択される1以上のFGFRの阻害に感受性のある癌であり得る。
【0301】
特定の癌がFGFRまたはVEGFRシグナル伝達の阻害に感受性があるものかどうかは、下記で示す細胞成長アッセイによって、または「診断方法」の表題の節で示す方法によって判断することができる。
【0302】
本発明の化合物、および特にFGFRまたはPDGFR阻害活性を有する化合物は、高レベルのFGFRまたはVEGFRの存在と関連するか、またはそれを特徴とするタイプの癌、例えば、この意味において本出願の導入の節に挙げた癌、の治療または予防に特に有用であり得る。
【0303】
本発明の化合物は成人集団の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、小児集団の治療にも有用であり得る。
【0304】
一部のFGFR阻害剤は、その他の抗癌剤と組み合わせて使用することができることが見出された。例えば、アポトーシスを誘発する阻害剤を、異なる機構によって細胞成長を調節する働きをする別の薬剤と組み合わせ、それによって癌の発達に特徴的な特性のうちの2つを治療することが有益であり得る。このような組合せの例を以下に示す。
【0305】
本発明の化合物は、II型または非インスリン依存性真性糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、癲癇、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症およびピック病)、例えば、自己免疫疾患および神経変性疾患などの増殖の障害に起因するその他の病態の治療に有用であり得る。
【0306】
本発明の化合物が有用であり得る疾患状態および病態の1つのサブグループは、炎症性疾患、心血管疾患および創傷治癒からなる。
【0307】
FGFRおよびVEGFRはまた、アポトーシス、血管新生、増殖、分化、および転写において役割を果たしていることも知られており、従って、本発明の化合物はまた、癌以外の下記疾患:慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性真性糖尿病、湿疹性過敏反応、喘息、COPD、鼻炎、および上気道疾患;心血管疾患、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、エイズ関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症、および小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、脳卒中、および再潅流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性またはアルコール関連肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症および関節炎;アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患、ならびに癌性疼痛の治療にも有用であり得る。
【0308】
加えて、FGFR2の突然変異は、ヒト骨格発達におけるいくつかの重度な異常と関連しており、従って、本発明の化合物は、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)、アぺール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達における異常の治療に有用であり得る。
【0309】
FGFR2またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、骨格疾患の治療または予防に特に有用であり得る。特定の骨格疾患としては、軟骨形成不全または致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)がある。
【0310】
FGFR1、FGFR2、またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、進行性線維症が症状である病態における治療または予防に特に有用であり得る。本発明の化合物が治療に有用であり得る線維症の病態としては、線維組織の異常なまたは過剰な沈着を示す疾患、例えば、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、ならびに創傷治癒の自然プロセスが挙げられる。特に、本発明の化合物は、肺線維症、特に、特発性肺線維症の治療にも有用であり得る。
【0311】
腫瘍関連血管構造におけるFGFRおよびVEGFRの過剰発現および活性化はまた、腫瘍血管新生の開始を予防および妨害する上での本発明の化合物の役割も示唆している。
特に、本発明の化合物は、癌、転移、CLLなどの白血病、加齢性黄斑変性、特に、滲出型の加齢性黄斑変性などの眼疾患、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症などの虚血性増殖性網膜症、関節リウマチ、ならびに血管腫の治療に有用であり得る。
【0312】
FGFR1〜4、VEGFR、および/またはPDGFR A/Bの阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下の実施例で示すアッセイを用いて測定することができ、所定の化合物によって示される活性のレベルは、IC50値として定義することができる。本発明の好ましい化合物は、IC50値が1μM未満、より好ましくは0.1μM未満である化合物である。
【0313】
本発明は、FGFR阻害または調節活性を有し、FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療に有用であり得る化合物を提供する。
【0314】
一つの実施態様では、治療に使用される、薬として使用される本明細書に定義される化合物が提供される。さらなる実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療、特に治療、に使用される本明細書に定義される化合物が提供される。
【0315】
従って、例えば、本発明の化合物は、癌の緩和またはその罹患率の軽減に有用であり得る。従って、さらなる実施態様では、癌の予防または治療、特に治療に使用される本明細書に定義される化合物が提供される。一つの実施態様では、本明細書に定義される化合物は、FGFR非依存性癌の予防または治療において使用するためのものである。一つの実施態様では、本明細書に定義される化合物は、FGFRキナーゼにより媒介される癌予防または治療において使用するためのものである。
【0316】
従って、本発明は、とりわけ、下記のものを提供する。
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0317】
・本明細書に記載される疾患状態または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0318】
・癌の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0319】
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態を緩和する、またはその罹患率を軽減するための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0320】
・FGFRキナーゼを阻害する方法であって、該キナーゼを本明細書に定義される式(I)のキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる方法。
【0321】
・本明細書に定義される式(I)の化合物を用いてFGFRキナーゼの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
【0322】
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)のモジュレーターとして使用するための本明細書に定義される式(I)の化合物。
【0323】
・癌の予防または治療、特に、癌の治療において使用するための、本明細書に定義される式(I)の化合物。
【0324】
・FGFRのモジュレーター(例えば、阻害剤)として使用するための、本明細書に定義される式(I)の化合物。
【0325】
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用(該化合物は本明細書に定義される式(I)を有する)。
【0326】
・本明細書に記載される疾患状態または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0327】
・癌の予防または治療、特に、治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0328】
・FGFRの活性を調節する(例えば、阻害する)ことを目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0329】
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節するための薬剤の製造における、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0330】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0331】
・癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用(該癌はFGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とするものである)。
【0332】
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する部分集団から選択される患者における癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0333】
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する部分集団の一部を形成すると診断された患者における癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
【0334】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療のための方法であって、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0335】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態を緩和する、またはその罹患率を軽減するための方法であって、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0336】
・癌に罹患している、または罹患が疑われる患者における癌の予防または治療(またはその緩和もしくはその罹患率の軽減)のための方法であって、(i)患者に対して、その患者がFGFR3遺伝子の遺伝子異常を有するかどうかを判定するための診断試験を行うこと;および(ii)前記患者が前記変異体を有する場合に、その後、前記患者に、FGFR3キナーゼ阻害活性を有する本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0337】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患状態または病態の予防または治療(またはその緩和もしくはその罹患率の軽減)のための方法であって、(i)患者に対して、FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行うこと、および(ii)前記診断試験がFGFRキナーゼのアップレギュレーションを示す場合に、その後、前記患者に、FGFRキナーゼ阻害活性を有する本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
【0338】
一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、腫瘍学関連疾患(例えば、癌)である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、非腫瘍学関連疾患(例えば、癌以外の本明細書で開示されるいずれかの疾患)である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載される病態である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載される骨格の病態である。ヒトの骨格発達における特定の異常としては、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)、アぺール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群、軟骨形成不全および致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)が挙げられる。
【0339】
変異型キナーゼ
薬剤耐性キナーゼ突然変異が、キナーゼ阻害剤で治療された患者集団で発生する場合がある。これらは、一部、療法で用いられた特定の阻害剤と結合または相互作用するタンパク質の領域で発生する。このような突然変異は、問題のキナーゼと結合し、これを阻害する阻害剤の能力を低下または増大させる。これは、阻害剤と相互作用するか、または標的への前記阻害剤の結合を補助するのに重要なアミノ酸残基のいずれにおいても発生し得る。変異型アミノ酸残基との相互作用を必要とせずに標的キナーゼと結合する阻害剤は、突然変異によって影響を受けない可能性が高く、その酵素の効果的な阻害剤のままで維持されることになる。
【0340】
胃癌患者のサンプルの研究によれば、FGFR2に2つの突然変異、すなわち、エキソンIIIaにおけるSer167ProおよびエキソンIIIcにおけるスプライス部位変異940−2A−Gが存在することが示された。これらの突然変異は、頭蓋骨癒合症候群を引き起こす生殖細胞系列活性化突然変異と同一であり、供試原発性胃癌組織の13%で観察された。さらに、FGFR3における活性化突然変異は、供試患者サンプルの5%で観察され、FGFRの過剰発現は、この患者群における予後不良との相関が見られた。
【0341】
さらに、機能獲得型、過剰発現型、または構成的に活性な生物学的状態を生じる、FGFRで観察された染色体転座または点突然変異が存在する。
【0342】
従って、本発明の化合物は、FGFRなどの変異型分子標的を発現する癌に関して適用が見出せる。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなどの当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて実施することができる。
【0343】
FGFRのATP結合部位における、保存されているスレオニン残基の突然変異は、阻害剤耐性をもたらすことが示唆されている。FGFR1において、アミノ酸バリン561はメチオニンに変異しているが、これは、選択的阻害剤に対する耐性を付与することが示されているAbl(T315)およびEGFR(T766)で見られる、これまでに報告された突然変異に相当する。FGFR1 V561Mに関するアッセイデータによれば、この突然変異が、野生型の場合と比較してチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を付与したことが示された。
【0344】
診断方法
式(I)の化合物の投与前に、患者が罹患している、または罹患している可能性のある疾患または病態が、FGFRおよび/またはVEGFRに対して活性を有する化合物での治療に感受性があるものかどうかを判定するために患者をスクリーニングすることができる。
【0345】
例えば、患者から採取した生体サンプルを分析し、その患者が罹患している、または罹患している可能性のある癌などの病態または疾患が、FGFRおよび/またはVEGFRのレベルまたは活性のアップレギュレーション、あるいは正常なFGFRおよび/もしくはVEGFR活性へ向かう経路の増感、あるいは増殖因子リガンドレベルまたは増殖因子リガンド活性などの、これらの増殖因子シグナル伝達経路のアップレギュレーション、あるいはFGFRおよび/またはVEGFR活性化の下流の生化学経路のアップレギュレーションをもたらす、遺伝子異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうかを判定することができる。
【0346】
FGFRおよび/またはVEGFRシグナルの活性化または増感をもたらすこのような異常の例としては、アポトーシス経路の欠損もしくは阻害、受容体もしくはリガンドのアップレギュレーション、または受容体もしくはリガンドの突然変異体、例えば、PTK変異体の存在が挙げられる。FGFR1、FGFR2もしくはFGFR3もしくはFGFR4の突然変異体、またはFGFR1のアップレギュレーション、特に、過剰発現、またはFGFR2もしくはFGFR3の機能獲得型突然変異体を有する腫瘍は、FGFR阻害剤に対して特に感受性があり得る。
【0347】
例えば、機能獲得を生じるFGFR2における点突然変異がいくつかの病態で同定されている。特に、FGFR2における活性化突然変異は、子宮内膜腫瘍の10%で同定されている。
【0348】
さらに、異所発現されるかまたは調節解除された構成的に活性なFGFR3受容体をもたらす染色体転座または点突然変異などのFGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝子異常が同定され、多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頚癌のサブセットに関連づけられている。PDGF受容体の特定の突然変異T674Iが、イマチニブ処置患者で同定されている。さらに、8p12−p11.2の遺伝子増幅が小葉乳癌(CLC)症例の約50%で示され、これはFGFR1の発現の増強と関連していることが示された。FGFR1に対して向けられたsiRNAまたは前記受容体の小分子阻害剤を用いた予備研究から、この増幅を有する細胞株がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を持つことが示された。
【0349】
あるいは、患者から採取した生体サンプルを、FGFRまたはVEGFRの負のレギュレーターまたはサプレッサーが欠損しているかどうか分析してもよい。これに関して、用語「欠損」とは、レギュレーターまたはサプレッサーをコードする遺伝子の欠失、その遺伝子の末端切断(例えば、突然変異による)、その遺伝子の転写産物の末端切断、またはその転写産物の不活性化(例えば、点突然変異による)または別の遺伝子産物による隔離を包含する。
【0350】
用語アップレギュレーションには、発現増強または過剰発現(遺伝子増幅(すなわち、多重遺伝子コピー)および転写効果による発現増強を含む)、ならびに活性亢進および活性化(突然変異による活性化を含む)が含まれる。よって、患者に、FGFRおよび/またはVEGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行ってもよい。診断という用語にはスクリーニングを含む。マーカーには、例えば、DNA組成の評価を含め、FGFRおよび/またはVEGFRの突然変異を同定するための遺伝子マーカーを含めるものとする。マーカーという用語にはまた、酵素活性、酵素レベル、酵素状態(例えば、リン酸化されているかいないか)および前述のタンパク質のmRNAレベルを含め、FGFRおよび/またはVEGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーも含む。
【0351】
診断試験およびスクリーニングは一般に、例えば、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(解離させた腫瘍細胞の単離および富化)、糞便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹腔液、頬側スミア(buccal spear)、生検または尿から選択される生体サンプルに対して行う。
【0352】
タンパク質の突然変異およびアップレギュレーションに関する同定および分析方法は当業者に公知である。スクリーニング方法としては、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)のようなin−situハイブリダイゼーションなどの標準的方法が挙げられる。
【0353】
FGFRおよび/またはVEGFRに突然変異を有する個体が特定されるということは、その患者がFGFRおよび/またはVEGFR阻害剤による治療に特に好適であることを意味し得る。優先的には、腫瘍を、治療前にFGFRおよび/またはVEGFR変異体の存在に関してスクリーニングすることができる。このスクリーニング方法は一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、または変異体特異的抗体を含む。さらに、このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RT−PCRおよびFISHなど、当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて行うことができる。
【0354】
さらに、例えば、FGFRまたはVEGFR2の変異型は、PCRおよび上述のようにPCR産物の直接的配列決定を行う方法を用いた、例えば腫瘍生検の直接配列決定により同定することもできる。当業者ならば、上述のタンパク質の過剰発現、活性化または突然変異の検出のための、このような周知の技術が総て本場合に適用可能であることが認識できるであろう。
【0355】
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、そのmRNAのcDNAコピーを作出した後、そのcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、Ausubel, F. M. et al.編(2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc.、またはInnis, M. A. et al.編(1990) PCR Protocols: a guide to methods and applications, Academic Press, San Diegoに記載のような標準的な方法により行う。核酸技術を含む反応および操作はまた、Sambrook et al.,(2001),第3版, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。あるいは、RT−PCR用の市販キット(例えば、Roche Molecular biochemicals)、または米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書;同第5,272,057号明細書;同第5,882,864号明細書および同第6,218,529号明細書に示されている方法が使用でき、これらは引用することにより本明細書の一部とされる。mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の一例は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)(Angerer (1987) Meth. Enzymol., 152: 649)であろう。
【0356】
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、また、非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような適用で用いるプローブは一般に、例えば放射性同位体または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸と特異的ハイブリダイゼーションが可能となるように十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド〜約1000またはそれを超えるヌクレオチドである。FISHを行うための標準的な方法は、Ausubel, F. M. et al.編(2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 第2版; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series :Methods in Molecular Medicineに記載されている。
【0357】
遺伝子発現プロファイリング法は、DePrimo et al.(2003), BMC Cancer, 3:3に記載されている。簡単に述べると、このプロトコールは次の通りである:第一鎖cDNA合成を誘導するための(dT)24オリゴマーを用い、全RNAから二本鎖cDNAを合成した後、ランダムヘキサマープライマーを用い、第二鎖cDNAを合成する。この二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いるcRNAのin vitro転写の鋳型として用いる。Affymetrix(Santa Clara,CA,USA)が記載しているプロトコールに従い、cRNAを化学的にフラグメント化した後、ヒトゲノムアレイに一晩ハイブリダイズさせる。
【0358】
あるいは、これらのmRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット法、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法によりアッセイしてもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、FGFRおよび/もしくはVEGFRのアップレギュレーションの検出、またはFGFRおよび/もしくはVEGFR変異体もしくは突然変異体の検出のための、このような周知の技術が総て本場合に適用可能であることが認識できるであろう。
【0359】
FGFRまたはVEGFRなどのタンパク質の異常なレベルは、標準的な酵素アッセイ、例えば、本明細書に記載されるアッセイを用いて測定することができる。また、活性化または過剰発現は、組織サンプル、例えば腫瘍組織において、Chemicon Internationalから入手できるものなどのアッセイを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによって検出することもできる。目的のチロシンキナーゼをサンプル溶解液から免疫沈降させ、その活性を測定する。
【0360】
そのアイソフォームを含めてFGFRまたはVEGFRの過剰発現または活性化を測定するための別法としては、微細血管密度の測定を含む。これは例えば、Orre and Rogers (Int J Cancer (1999), 84(2) 101-8)が記載している方法を用いて測定することができる。アッセイ法にはマーカーの使用も含み、例えば、VEGFRの場合には、これらにはCD31、CD34およびCD105が含まれる。
【0361】
よって、これらの技術は総て、本発明の化合物による治療に特に適切な腫瘍を同定するためにも使用可能である。
【0362】
本発明の化合物は、変異型FGFRを有する患者の治療に特に有用である。FGFR3におけるG697C突然変異は、口腔扁平上皮癌の62%に見られ、このキナーゼ活性の構成的活性化を引き起こす。FGFR3の活性化突然変異は膀胱癌の場合にも同定されている。これらの突然変異は、R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Qという、様々な存在度の6種類であった。さらに、FGFR4におけるGly388Arg多型が、前立腺癌、結腸癌、肺癌、肝臓癌(HCC)および乳癌の罹患率の上昇および急速進行性と関連していることも判明している。
【0363】
よって、さらなる側面において、本発明は、スクリーニングを受け、かつ、FGFRに対して活性を有する化合物による治療に感受性があると考えられる疾患または病態に罹患している、または罹患のリスクがあると判定された患者における、疾患状態または病態の治療または予防を目的とする薬剤の製造のための、本発明による化合物の使用を含む。
【0364】
患者がスクリーニングされる特定の突然変異としては、FGFR3におけるG697C、R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Q突然変異、ならびにFGFR4におけるGly388Arg多型を含む。
【0365】
別の側面では、本発明は、FGFR遺伝子の変異体(例えば、FGFR3におけるG697C突然変異、およびFGFR4におけるGly388Arg多型)を有する部分集団から選択される患者において、本発明の予防または治療において使用するための化合物を含む。
【0366】
血管正常化のMRI測定(例えば、MRIグラジェントエコー、スピンエコー、ならびに血液容量、相対的血管サイズ、および血管透過性を評価するための造影)と循環バイオマーカー(循環前駆細胞(CPC)、CEC、SDF1、およびFGF2)の組合せを用い、本発明の化合物による治療に関するVEGFR2耐性腫瘍を同定することもできる。
【0367】
医薬組成物および組合せ
対象化合物は、それらの有用な薬理特性を考慮して、投与目的の種々の医薬形態に処方することができる。
【0368】
一つの実施態様では、医薬組成物(例えば、処方物)は、少なくとも1種類の本発明の有効化合物を、1種類以上の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の材料、および場合により他の治療薬または予防薬とともに含んでなる。
【0369】
本発明の医薬組成物を調製するためには、有効成分としての有効量の本発明の化合物を、薬学的に許容可能な担体と緊密に混合して組み合わせるが、担体は投与に望ましい製剤の形態に応じて多様な形態をとってよい。本医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、眼内投与、耳内投与、直腸投与、膣内投与、または経皮投与に適切な任意の形態であり得る。これらの医薬組成物は、好ましくは経口投与、直腸投与、経皮投与、または非経口注射に適切な単位投与形であることが望ましい。例えば、本組成物を経口投与形で調製する場合、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤および溶液などの経口液体製の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなど;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固体担体といった、通常の製薬媒体のいずれを用いてもよい。
【0370】
投与が容易なために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位となるが、この場合には、明らかに固体製薬担体が使用される。非経口組成物の場合、例えば溶解性を助けるために他の成分を含んでもよいが、担体は通常、少なくとも大部分が無菌水を含んでなる。例えば、注射溶液を調製してもよく、この場合には、担体は生理食塩水、グルコース溶液または生理食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注射懸濁液も調製可能であり、この場合には、適当な液体担体、沈殿防止剤などを使用してよい。経皮投与に適切な組成物では、担体は場合により、浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を、場合により、微量の適切な任意の天然添加物(このような添加物は皮膚に著しく有害な作用を及ぼさない)とともに含んでもよい。前記の添加物は皮膚への投与を助長し、かつ/または所望の組成物の調製を助け得る。これらの組成物は、例えば、経皮パッチとして、滴下剤として、軟膏としてなど、種々の方法で投与することができる。上述の医薬組成物は、投与の容易さと用量の均一性のために単位投与形で処方することが特に有利である。本明細書で使用され、ここで特許請求される単位投与形は、各単位が所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を必要とされる製薬担体とともに含有する、単位用量として適切な物理的に別個の単位を意味する。このような単位投与形の例は、錠剤(割線入り錠剤またはコーティング錠剤)、カプセル剤、丸剤、パウダーパケット、ウエハース、注射溶液または懸濁液、ティースプーン1さじ、テーブルスプーン1さじなど、およびそれらの別個の複数物である。
【0371】
上述の医薬組成物は、投与の容易さと用量の均一性のために単位投与形で処方することが特に有利である。本明細書で使用され、ここで特許請求される単位投与形は、各単位が所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を必要とされる製薬担体とともに含有する、単位用量として適切な物理的に別個の単位を意味する。このような単位投与形の例は、錠剤(割線入り錠剤またはコーティング錠剤)、カプセル剤、丸剤、パウダーパケット、ウエハース、注射溶液または懸濁液、ティースプーン1さじ、テーブルスプーン1さじなど、およびそれらの別個の複数物である。
【0372】
本発明の化合物は、その抗腫瘍活性を発揮するに十分な量で投与される。
【0373】
当業者ならば、以下に示す試験結果から有効量を容易に決定することができる。一般に、治療上有効な量は0.005mg/kg〜100mg/kg体重、特に、0.005mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。必要な用量を1回、または1日のうちに適当な間隔をおいて2回、3回、4回またはそれを超える分割用量で投与することが適当であり得る。前記の分割用量は、例えば、単位投与形当たりに0.5〜500mg、特に1mg〜500mg、さらに特には10mg〜500mgの有効成分を含有する単位投与形として処方することができる。
【0374】
投与様式に応じて、本医薬組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、いっそうより好ましくは0.1〜50重量%の本発明の化合物と、1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、いっそうより好ましくは50〜99.9重量%の薬学的に許容可能な担体とを含んでなる(パーセンテージは総て、組成物の総重量に基づくものである)。
【0375】
本発明の別の側面として、特に医薬として使用するための、より具体的には、癌または関連の疾患の治療に使用するための、本発明の化合物と別の抗癌剤との組合せが意図される。
【0376】
上記病態の治療のため、本発明の化合物は、1以上の他の医薬剤、より詳しくは、他の抗癌剤または癌治療におけるアジュバントと組み合わせて使用することが有利であり得る。
【0377】
抗癌剤またはアジュバント(療法における補助薬剤)の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
・白金錯体化合物、例えば、シスプラチン(場合によりアミフォスチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンと組み合わせてもよい);
・タキサン化合物、例えば、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(アブラキサン(商標))またはドセタキセル;
・トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、カンプトテシン化合物、例えば、イリノテカン、SN−38、トポテカン、トポテカンhcl;
・トポイソメラーゼII阻害剤、例えば、抗腫瘍エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えば、エトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド;
・抗腫瘍ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン;
・抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、ゲムシタビンhcl、カペシタビン、クラドリビン、フルダラビン、ネララビン;
・アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素、例えば、シクロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、チオテパ、メファラン(メルファラン)、ロムスチン、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、イフォスファミド(場合によりメスナと組み合わせてもよい)、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テロゾロミド、ウラシル;
・抗腫瘍アントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(場合によりデクスラゾキサンと組み合わせてもよい)、ドキシル、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、エピルビシンhcl、バルルビシン;
・IGF−1受容体を標的とする分子、例えば、ピクロポドフィリン;
・テトラカルシン(tetracarcin)誘導体、例えば、テトラカルシン(tetracarcin)A;
・グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン;
・抗体、例えば、トラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲムツズマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、セツキシマブ、ペルツズマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ、エクリズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、ノフェツモマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、CNTO328;
・エストロゲン受容体拮抗薬または選択的エストロゲン受容体調節薬またはエストロゲン合成阻害剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、ファスロデックス、ラロキシフェンまたはレトロゾール;
・アロマターゼ阻害剤、例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール、テストラクトンおよびボロゾール;
・分化剤、例えば、レチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)、例えば、アキュテイン;
・DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジンまたはデシタビン;
・葉酸拮抗剤、例えば、プレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム;
・抗生物質、例えば、アンチノマイシン(antinomycin)D、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミゾール、プリカマイシン、ミトラマイシン;
・代謝拮抗物質、例えば、クロファラビン、アミノプテリン、シトシンアラビノシドまたはメトトレキサート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン;
・アポトーシス誘発剤および抗血管新生剤、例えば、Bcl−2阻害剤、例えば、YC 137、BH 312、ABT 737、ゴシポール、HA 14−1、TW 37またはデカン酸;
・チューブリン結合剤、例えば、コンブレスタチン、コルヒチンまたはノコダゾール;
・キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR(上皮増殖因子受容体)阻害剤、MTKI(マルチターゲットキナーゼ阻害剤)、mTOR阻害剤)、例えば、フラボペリドール(flavoperidol)、メシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、二トシル酸ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、テムシロリムス;
・ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブ;
・ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、例えば、酪酸ナトリウム、ヒドロキサミン酸サブエロイルアニリド(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、NVP−LAQ824、R306465、JNJ−26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット;
・ユビキチン−プロテアソーム経路阻害剤、例えば、PS−341、MLN.41またはボルテゾミブ;
・ヨンデリス;
・テロメラーゼ阻害剤、例えば、テロメスタチン;
・マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、マリマスタット、プリノスタットまたはメタスタット;
・組換えインターロイキン、例えば、アルデスロイキン、デニロイキンディフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、ペグインターフェロンα2b;
・MAPK阻害剤;
・レチノイド、例えば、アリトレチノイン、ベキサロテン、トレチノイン;
・三酸化ヒ素;
・アスパラギナーゼ;
・ステロイド、例えば、プロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドロロン(デカン酸、フェンプロピオン酸)、デキサメタゾン;
・ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬または作用薬、例えば、アバレリクス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸ロイプロリド;
・サリドマイド、レナリドマイド;
・メルカプトプリン、ミトタン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ラスブリカーゼ;
・BH3模倣薬、例えば、ABT−737;
・MEK阻害剤、例えば、PD98059、AZD6244、CI−1040;
・コロニー刺激因子類似体、例えば、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム;エリスロポエチンまたはその類似体(例えば、ダルベポエチンα);インターロイキン11;オプレルベキン;ゾレドロネート、ゾレンドロン酸;フェンタニル;ビスホスホネート;パリフェルミン;
・ステロイド系シトクロムP450 17α−ヒドロキシラーゼ−17,20−リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えば、アビラテロン、酢酸アビラテロン。
【0378】
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞を放射線療法および化学療法に増感させる上での治療適用も持つ。
【0379】
従って、本発明の化合物は、「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」として使用可能であるか、または別の「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」と組み合わせて投与することもできる。
【0380】
本明細書において用語「放射線増感剤」は、電磁放射線に対する細胞の感受性を高めるため、かつ/または電磁放射線で治療可能な疾患の治療を促進するために、治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
【0381】
本明細書において用語「化学療法増感剤」は、化学療法に対する細胞の感受性を高めるため、かつ/または化学療法薬で治療可能な疾患の治療を促進するために、治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
【0382】
放射線増感剤の作用様式についていくつかの機構が文献で提案されており、これには下記のものが含まれる:低酸素細胞放射線増感剤(例えば、2−ニトロイミダゾール化合物、およびベンゾトリアジンジオキシド化合物)は、酸素を模倣するか、あるいはまた低酸素症下で生物還元剤のように振る舞う;非低酸素細胞放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)は、DNA塩基の類似体であり得、癌細胞のDNAに優先的に組み込まれ、それにより、放射線により誘発されるDNA分子の破断を促進し、かつ/または正常なDNA修復機構を妨げる;疾患の治療における放射線増感剤に関して、他の種々の可能性のある作用機構が仮定されている。
【0383】
現行の多くの癌治療プロトコールが、X線照射とともに放射線増感剤を使用している。X線活性化放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、以下のもの:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9、RB 6145、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5−ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
【0384】
癌の光線力学療法(PDT)では、増感剤の放射線活性化因子として可視光を用いる。光力学的放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが以下のもの:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、スズエチオポルフィリン、フェオボルビド−a、バクテリアクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
【0385】
放射線増感剤は、限定されるものではないが、標的細胞への放射線増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流入を制御する化合物;さらなる放射線を伴って、または伴わずに腫瘍で働く化学療法薬;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の他の1以上の化合物とともに投与することができる。
【0386】
化学療法増感剤は、限定されるものではないが、標的細胞への化学療法増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流入を制御する化合物;腫瘍で働く化学療法薬;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の他の1以上の化合物とともに投与することができる。カルシウム拮抗薬、例えば、ベラパミルは、受け取られた化学療法薬に対して耐性のある腫瘍細胞において化学療法感受性を確立するため、また、薬物感受性悪性腫瘍においてこのような化合物の有効性を増強するために、抗悪性腫瘍薬と組み合わせると有用であることが分かっている。
【0387】
本発明による組合せの成分、すなわち、1以上の他の医薬剤と本発明による化合物は、それらの有用な薬理特性を考慮して、投与目的の種々の医薬形態に処方することができる。これらの成分は、個々の医薬組成物として個別に処方してもよいし、または総ての成分を含有する単一医薬組成物として処方してもよい。
【0388】
従って、本発明はまた、1以上の他の医薬剤および本発明による化合物を製薬担体とともに含んでなる医薬組成物に関する。
【0389】
本発明はさらに、腫瘍細胞の成長を阻害するための医薬組成物の製造における、本発明による組合せの使用に関する。
【0390】
本発明はさらに、第一の有効成分としての本発明による化合物、およびさらなる有効成分としての1以上の抗癌剤を含有する、癌に罹患している患者の治療において同時使用、個別使用または逐次使用するための組合せ製剤としての製品に関する。
【0391】
これら1以上の他の医薬剤と本発明による化合物は、同時に(例えば、別個の組成物または単一の組成物として)投与してもよいし、またはいずれかの順序で逐次投与してもよい。後者の場合、2種類以上の化合物が、有利な作用または相乗作用が達せられるように十分な期間内に、十分な量および様式で投与される。組合せの各成分の好ましい投与方法および投与順序、ならびに個々の用量および投与計画は、投与する特定の他の医薬剤および本発明の化合物、それらの投与経路、治療する特定の腫瘍および治療する特定の宿主によって異なる。最適な投与方法および投与順序、ならびに用量および投与計画は、当業者ならば、従来の方法を用い、本明細書に示されている情報を考慮して容易に決定することができる。
【0392】
組合せとして与える場合の、本発明による化合物と1以上の他の抗癌剤の重量比は、当業者により決定可能である。前記の比および厳密な用量および投与頻度は、当業者には周知であるように、本発明による特定の化合物および使用する他の抗癌剤、治療する特定の病態、治療する病態の重篤度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間および健康状態、投与様式、ならびにその個体が受けている可能性のある他の投薬によって異なる。さらに、この有効一日量は、治療を受けた被験体の応答に応じて、かつ/または本発明の化合物を指示する医師の評価に応じて、引き下げても引き上げてもよいということは明らかである。式(I)の本化合物と別の抗癌剤の特定の重量比は、1/10〜10/1、より特には1/5〜5/1、いっそうより特には1/3〜3/1の範囲であり得る。
【0393】
白金錯体化合物は有利には、1治療クールにつき、1〜500mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、50〜400mg/mの用量、特に、シスプラチンでは約75mg/m、カルボプラチンでは約300mg/mの用量で投与する。
【0394】
タキサン化合物は有利には、1治療クールにつき、50〜400mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、75〜250mg/mの用量、特に、パクリタキセルでは約175〜250mg/m、ドセタキセルでは約75〜150mg/mの用量で投与する。
【0395】
カンプトテシン化合物は有利には、1治療クールにつき、0.1〜400mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、1〜300mg/mの用量、特にイリノテカンでは約100〜350mg/m、トポテカンでは約1〜2mg/mの用量で投与する。
【0396】
抗腫瘍ポドフィルトキシン誘導体は有利には、1治療クールにつき、30〜300mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、50〜250mg/mの用量で、特に、エトポシドでは約35〜100mg/m、テニポシドでは約50〜250mg/mの用量で投与する。
【0397】
抗腫瘍ビンカアルカロイドは有利には、1治療クールにつき、2〜30mg/平方メートル(mg/m)体表面積の用量で、特に、ビンブラスチンでは約3〜12mg/mの用量、ビンクリスチンでは約1〜2mg/mの用量、ビノレルビンでは約10〜30mg/mの用量で投与する。
【0398】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は有利には、1治療クールにつき、200〜2500mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、700〜1500mg/mの用量で、特に、5−FUでは200〜500mg/mの用量、ゲムシタビンでは約800〜1200mg/mの用量、カペシタビンでは約1000〜2500mg/mの用量で投与する。
【0399】
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素などのアルキル化剤は有利には、1治療クールにつき、100〜500mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、120〜200mg/mの用量で、特に、シクロホスファミドでは約100〜500mg/mの用量、クロラムブシルでは約0.1〜0.2mg/kgの用量、カルムスチンでは約150〜200mg/mの用量、ロムスチンでは約100〜150mg/mの用量で投与する。
【0400】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有利には、1治療クールにつき、10〜75mg/平方メートル(mg/m)体表面積、例えば、15〜60mg/mの用量で、特に、ドキソルビシンでは約40〜75mg/mの用量、ダウノルビシンでは約25〜45mg/mの用量、イダルビシンでは約10〜15mg/mの用量で投与する。
【0401】
抗エストロゲン作用薬は有利には、特定の薬剤および治療する病態に応じて1日約1〜100mgの用量で投与する。タモキシフェンは有利には、1日2回、5〜50mg、好ましくは10〜20mgの用量で経口投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な期間治療を継続する。トレミフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な期間治療を継続する。アナストロゾールは有利には、1日1回、約1mgの用量で経口投与する。ドロロキシフェンは有利には、1日1回、約20〜100mgの用量で経口投与する。ラロキシフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与する。エキセメスタンは有利には、1日1回、約25mgの用量で経口投与する。
【0402】
抗体は有利には、約1〜5mg/平方メートル(mg/m)体表面積の用量で、異なる場合には当技術分野で公知のように投与する。トラスツズマブは有利には、1治療クールにつき、1〜5mg/平方メートル(mg/m)体表面積、特に、2〜4mg/mの用量で投与する。これらの用量は1治療クールにつき、例えば、1回、2回またはそれを超える回数投与してもよく、これを例えば7日、14日、21日または28日ごとに繰り返すことができる。
【0403】
式(I)の化合物、薬学的に許容可能な付加塩、特に、薬学的に許容可能な酸付加塩、およびその立体異性形は、標識化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素または受容体との間の複合体の形成を検出または同定するために使用可能であるという点で、有用な診断特性を持ち得る。
【0404】
これらの検出または同定方法は、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質などの標識剤で標識された化合物を使用することができる。放射性同位体の例としては、125I、131I、Hおよび14Cが挙げられる。酵素は通常、適当な基質とコンジュゲートし、これにより検出可能な反応を触媒することで検出可能となる。その例としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ペルオキシダーゼおよびリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、好ましくは、セイヨウワサビペルオキシダーゼが挙げられる。発光基質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリンおよびルシフェラーゼが挙げられる。
【0405】
生体サンプルは身体組織または体液と定義することができる。体液の例は、脳脊髄液、血液、血漿、血清、尿、痰、唾液などである。
【実施例】
【0406】
一般合成経路
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単に例に過ぎず、特許請求の範囲を何ら限定するものではない。
【0407】
以下、用語「ブライン」は飽和塩化ナトリウム水溶液を意味し、「CHCN」はアセトニトリルを意味し、「CHCl」はクロロホルムを意味し、「CO」は一酸化炭素を意味し、「CsCO」は炭酸セシウムを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「DiPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DME」はエチレングリコールジメチルエーテルを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtO」はジエチルエーテルを意味し、「EtN」はトリエチルアミンを意味し、「HCl」は塩酸を意味し、「i−PrOH」は2−プロパノールを意味し、「KOAc」は酢酸カリウムを意味し、「KCO」は炭酸カリウムを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「MgSO」は硫酸マグネシウムを意味し、「MP」は融点を意味し、「MnO」は酸化マンガン(IV)を意味し、「NaCl」は塩化ナトリウムを意味し、「NaOH」は水酸化ナトリウムを意味し、「NaCO」は炭酸ナトリウムを意味し、「NaSO」は硫酸ナトリウムを意味し、「NaH」は水素化ナトリウムを意味し、「NHOH」は水酸化アンモニウムを意味し、「NHCl」は塩化アンモニウムを意味し、「N」は窒素を意味し、「SiO」または「SiOH」はシリカを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「Pd(PPh」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを意味し、「Pd(OAc)」は酢酸パラジウム(II)(47%Pd)を意味し、「PdCl(dppf).CHCl」は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン複合体を意味し、「Pd(3,5,3’5’−OMe−dba)」はビス(3,5,3’,5’−ジメトキシジベンジリデンアセトン)パラジウムを意味し、「PPhO」は酸化トリフェニルホスフィンを意味し、「POCl」はオキシ塩化リンを意味し、「r.t.」は保持時間を意味し、「M.P.」は融点を意味し、「H」は水素を意味し、「atm」は気圧を意味し、「tlc」は薄層クロマトグラフィーを意味し、「Pd/C」はパラジウム炭素を意味し、「BINAP」は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレンを意味し、「min」は分を意味する。
【0408】
A.中間体化合物の製造
実施例A1
a)中間体1の製造
【化56】
2−アミノ−3−ブロモ−6−クロロピラジン(212779−21−0)(39.78g;191mmol)を乾燥ジオキサン(400mL)およびDiPEA(53.3mL;305mmol)で希釈した。この溶液をNで脱気した。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(3.50g;3.82mmol)、トリ−tert−ブチル−ホスホニウムテトラフルオロボラート(2.77g;9.54mmol)およびアクリル酸メチル(34.23mL;382mmol)を加えた。この混合物を120℃で5時間30分加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO水溶液およびEtOAcを加えた後、この混合物をデカントした。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。残渣をジイソプロピルエーテルに取った。沈殿を濾別し、35.67g(87%、褐色固体)の中間体1を得た。
【0409】
b)中間体2の製造
【化57】
丸底フラスコ中、中間体1(35.69g;167.07mmol)を、酢酸中ブロミジックアシッド(bromidic acid)の33%溶液(240mL)で希釈した。この混合物を40〜50℃で2時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、ジイソプロピルエーテルを加えた。沈殿を濾別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて43.59g(85%、褐色固体)の中間体2を得、これをそれ以上精製せずに次の工程で用いた。
【0410】
c)中間体3の製造
【化58】
流下、DME(40mL)および水(10mL)中、中間体2(1.7g;7.4mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(1.7g;8.1mmol)、炭酸ナトリウム(1.6g;14.7mmol)の混合物に、Pd(PPh(0.9g;0.75mmol)を加えた。この混合物を100℃で一晩加熱した。溶媒を蒸発させた後、残渣をメチル−tert−ブチルエーテルで摩砕し、濾過し、乾燥させて1.45g(87%)の中間体3を得、これをそれ以上精製せずに次の工程で用いた。
【0411】
d)中間体4の製造
【化59】
80℃にて、1,2−ジクロロエタン(75mL)中、中間体3(3.9g;17.16mmol)およびDMF(2.66mL;34.33mmol)の懸濁液に、POCl(6.4mL;68.65mmol)を10分かけて滴下した。この反応混合物を80℃で3時間加熱し、室温まで冷却した。反応混合物を10%KCO水溶液にゆっくり注ぎ、DCM/MeOHで抽出した。有機層をデカントし、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、乾燥乾固させて3.1g(73%)の中間体4を得た。
【0412】
この中間体4はまた、別法として、下記の手順を用いて製造した。
CHCN(280mL)中、6−クロロピリジン−2,3−ジアミン(CAS 40851−95−4)(10g;69.65mmol)、2−ブロモ−1−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタン−1−オン(CAS 706819−66−1)(14.1g;69.65mmol)およびDiPEA(24mL;139.3mmol)の混合物を90℃で18時間加熱した。加熱を止め、MnO(18.2g;208.95mmol)を少量ずつ加え(注意深く)、この反応混合物を室温で15分間撹拌した。MnOをセライトパッド(登録商標)で濾去し、濾液を濃縮した。沈殿を濾過し、EtOで洗浄し、乾燥させて10.4g(61%)の中間体4を得た。
【0413】
この中間体4はまた、別法として、下記の手順を用いて製造した。
a)中間体4aの製造
【化60】
80℃に予熱した1,2−ジクロロエタン(300mL)中、中間体2(10g;32.6mmol)およびDMF(5mL;65.16mmol)の懸濁液に、POCl(12mL;130.3mmol)を滴下した。この反応混合物を80℃で3時間加熱し、室温まで冷却した。この反応混合物を飽和NaHCO水溶液にゆっくり注いだ。DCM/MeOH(9/1)を加え、2層に分けた。水層をCHCl/MeOH(9/1)で抽出した。有機層をデカントし、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて6.36g(黒色固体)の中間体4aを得、これをそれ以上精製せずにそのまま次の工程で用いた。
【0414】
b)DME(798mL)中、中間体4a(20g;81.81mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(13.6g;65.45mmol)、NaCO 2M(205mL)の溶液をN下で脱気した。Pd(PPh(4.73g;4.09mmol)を加え、この反応混合物を還流下で2時間加熱した。この混合物を氷に注ぎ、EtOAcで抽出した。この混合物をセライト(登録商標)で濾過し、セライト(登録商標)をCHClで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をCHCNに取り、濾過し、乾燥させて15.32g(76%)の中間体4を得た。
【0415】
e)中間体5の製造
【化61】
トルエン(60mL)中、中間体4(1g;4.07mmol)、トリブチル(1−エトキシニニル)スズ(1.7mL;5.09mmol)およびPd(PPh(0.14g;0.12mmol)の混合物を110℃で3時間加熱した。次に、この混合物を室温まで冷却し、2N HCl水溶液(60mL)を加え、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物を氷水に注ぎ、KCO粉末で中和した。EtOAcを加え、この溶液をセライト(登録商標)パッドで濾過した。濾液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣(2.65g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、50g:移動相:98%DCM、2%MeOH、0.1%NHOH)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、蒸発させた。残渣(0.6g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(irregular 15〜40μm 30g;移動相:0.1%NHOH、99%DCM、1%iPrOHから0.1%NHOH、97%DCM、3%iPrOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、164mgの中間体4、28mgの混合物および105mg(10%)の中間体5を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ9.51 (s, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.62 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.23 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 2.80 (s, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 1.96) 254 (100) [M+H]+ 方法A1
M.P.: 202℃(Kofler)。
【0416】
実施例A2
中間体6の製造
【化62】
反応は2バッチの中間体4(3g;12.21mmol)および(2g;8.14mmol)で行った:
中間体4(3g;12.21mmol)、Pd(OAc)(0.58g;1.22mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.51g;1.22mmol)、KOAc(2.40g;24.42mmol)、およびMeOH(150mL)を、オートクレーブ内、120℃でCOガス(5バール)雰囲気下にて3時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、氷水および飽和NaCl溶液に注いだ。DCMを加え、混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過した。濾液をDCMで抽出した(2回)。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残渣をEtOから結晶化させた。
【0417】
この反応はまた、2g(8.14mmol)の中間体4でも行った。
得られた2バッチを精製のために合わせた。得られた残渣(6g+1.2g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(Irregular SiOH 20〜45μm 450g、移動相:0.1%NHOH、97%DCM、3%MeOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、2.6g(総収率68%)の中間体6を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.50 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.64 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.30 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 3.94 - 4.00 (m, 6H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 1.81) 270 (100) [M+H]+ 方法A1
M.P.: 224℃(Kofler)。
【0418】
実施例A3
a)中間体7の製造
【化63】
DMF(200mL)中、中間体4(5g;20.35mmol)、トリ−n−ブチルメチルスズ(11.4mL;40.71mmol)およびPd(PPh(1.18g;1.02mmol)の混合物を80℃で一晩加熱した。次に、さらなるトリ−n−ブチルメチルスズ(5.7mL;20.36mmol)およびPd(PPh(0.59g;0.51mmol)を追加し、この溶液を48時間加熱した。この混合物を冷却し、氷水に注ぎ、EtOAcを加えた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、濾液をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。この残渣(19g)にEtOを加えた。沈殿を濾過し(PPhO)、濾液を蒸発させた。残渣(13g)をフラッシュシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、80g:98%DCM、2%MeOH、0.1%NHOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、3g(65%)の中間体7を得た。
【0419】
中間体7はまた、別法として、下記の手順を用いて製造した:
CHCN(25mL)中、6−メチルピリジン−2,3−ジアミン(CAS 33259−72−2)(804mg;6.53mmol)、2−ブロモ−1−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−エタノン(CAS 706819−66−1)(1.32g;6.53mmol)およびDiPEA(2.3mL;13.06mmol)の混合物を90℃で18時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、DCMおよび水で希釈した。有機層をデカントし、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(1.55 g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(irregular SiOH 15〜40μm、300g、移動相:0.4%NHOH、96%DCM、4%iPrOH)により精製した。純粋な画分を回収し、蒸発乾固させ、820mg(56%)の中間体7を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ9.09 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 7.92 - 8.22 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.20 Hz, 1H), 3.74 (s, 3H), 2.50 (s, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 1.68) 226 (100) [M+H]+ ; 方法A1
M.P.: 179℃, Kofler。
【0420】
b)中間体8の製造
【化64】
ジオキサン(30mL)中、中間体7(0.42g;1.87mmol)および二酸化セレン(0.2g;1.87mmol)の混合物を80℃で2時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、DCMを加えた。有機層をセライト(登録商標)パッドで濾過した。濾液を蒸発させ、440mg(99%)の中間体8を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ10.16 (s, 1H), 9.53 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.67 (d, J = 8.20 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.18 (d, J = 8.20 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (tr 2.55) 240 (100) [M+H]+ 方法B1。
【0421】
c)中間体18の製造
【化65】
ジオキサン(29mL)中、中間体7(366mg;1.63mmol)、1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン(0.35g;1.63mmol)、CsCO(1.06g;3.25mmol)、Pd(3,5,3’5’−OMe−dba)(0.13g;0.16mmol)および9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(94mg;0.16mmol)の混合物を100℃で4時間加熱した。この溶液を冷却し、混合物を冷水に注いだ。この混合物をDCMで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(1.1g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、50g;移動相:99%DCM、1%MeOH、0.1%NHOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(574mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(シリカ5μm 150×30.0mm;移動相;0.2%NHOH、98%DCM、2%MeOHから1%NHOH、90%DCM、10%MeOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、181mg(31%)の中間体18を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.33 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.36 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.67 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 2.02 Hz, 2H), 6.37 (t, J = 2.02 Hz, 1H), 4.25 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.70 (s, 6H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 1.51) 362 (100) [M+H]+, 723 (25) [2M+H]+ 方法A1。
【0422】
実施例A4
中間体9の製造
【化66】
下、0℃にて、DMF(100mL)中、NaH(0.232g;5.79mmol)の懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル(0.92mL;4.64mmol)を滴下しながら加えた。30分後、0℃で化合物1(1.45g;3.86mmol)を加え、この混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を飽和NaCl溶液で処理し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣(2.3g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(15〜40μm:50g;移動相:98%DCM、2%MeOH)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、2画分の中間体9:940mg(55%)および490mg(29%)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d 9.43 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.47 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.65 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.59 (s, 1H), 6.49 (d, J = 1.89 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.92 (q, J = 7.09 Hz, 2H), 3.72 (s, 6H), 0.94 (t, J = 7.09 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 1.60) 446 (100) [M+H]+, 892 (75) [2M+H]+ 方法C1。
【0423】
実施例A5
中間体10および11の製造
【化67】
流下、DMF(4mL)中、化合物2(0.22g;0.58mmol)の溶液に、室温でNaH(70mg;1.75mmol)を加えた。この混合物を30分間撹拌した。(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(0.25mL;1.17mmol)を加えた。この混合物を室温で2日間撹拌した。この溶液を冷水に注ぎ、生成物をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて中間体10と中間体11の混合物315mgを得、これをそれ以上精製せずに次の工程で用いた。
【0424】
実施例A6
a)中間体12の製造
【化68】
CHCl(213mL)中、3−ブロモ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−オール(1075259−68−5)(58.2g;228mmol)の混合物に、POCl(213mL;2.28mol)を加えた。この溶液を3時間還流し、乾固するまで濃縮し、真空下で乾燥させた。残った固体を1M NaOH水溶液(300mL)で注意深く塩基性化し、水(300mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(6×500mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して54.0g(87%)の中間体12を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
【0425】
b)中間体13の製造
【化69】
1,4−ジオキサン(400mL)と水(120mL)の混合物中、中間体12(31.4g;115mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(25.1g;121mmol)、炭酸ナトリウム(36.5g;344mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを充填した(操作を3回繰り返した)。PdCl(dppf).CHCl(4.68g;5.74mmol)を加え、得られた混合物を脱気し、アルゴンを充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で16時間撹拌した。室温まで冷却した後、この反応混合物にEtOAc(500mL)および水(500mL)を加えた。層に分け、水層をEtOAcで抽出した(2×400mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣にEtO(500mL)中で音波処理を施し、ガラスフリットで濾過し、EtOで洗浄し(2×200mL)、真空下で乾燥させ、29.2g(93%)の中間体13を得た。
【0426】
c)中間体14の製造
【化70】
触媒量のラネーニッケル(水中50%スラリー、1.68g;28.6mmol)をEtOHで2回洗浄し、デカンテーション後に回収した。この触媒量を、EtOH(700mL)、THF(500mL)およびNaOH 1M(114mL;114mmol)の混合物中、中間体13(26.2g;95.4mmol)の溶液に加えた。この混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で16時間撹拌した。追加量のラネーニッケル(水中50%スラリー、1.68g;28.6mmol)を加え、この反応混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で24時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)パッドで濾過し、THF(500mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をEtO(500mL)中で摩砕し、沈殿を濾別し、EtO(100mL)で洗浄した。得られた生成物をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相;96%DCM、4%MeOHから94%DCM、6%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、9.05g(39%)の中間体14を得た。
【0427】
d)中間体15の製造
【化71】
1,4−ジオキサン(200mL)中、中間体14(9.0g;37.6mmol)の溶液に、6M HCl水溶液(94mL;564mmol)を加えた。この混合物を80℃で3時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮した。残渣を水、DCM/MeOH(300mL;3/2/1)の混合物に懸濁させた。この混合物を3N NaOH水溶液でpH=9まで塩基性化し、得られた溶液を濃縮して13.7g(定量的)の中間体15を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
【0428】
e)中間体16の製造
【化72】
反応はアルゴン下で行った。
CHCl(200mL)中、中間体15(13.7g;37.6mmol)の懸濁液に、POCl(200mL;2.15mol)を加えた。この反応混合物を16時間還流させ、室温まで冷却し、濃縮した。残った固体をDCM/MeOH 95/5混合物(300mL)に取り、0℃にて3M水酸化ナトリウム水溶液(60mL)でゆっくり塩基性化し、水(100mL)で希釈した。水層をDCM/MeOH 95/5混合物で抽出した(2×150mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残渣をDCM/MeOH 3/1混合物(400mL)に溶かし、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(移動相;97%DCM、3%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて6.15g(67%)の中間体16を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
【0429】
f)中間体17の製造
【化73】
反応は2バッチの中間体16(500mg;2.04mmol)および(30mg;0.12mmol)から行った:
ジオキサン(8mL)および水(0.8mL)中、中間体16(0.500g;2.04mmol)、トリメチルボロキシン(0.343mL;2.45mmol)およびKCO(0.846g;6.12mmol)の混合物に、PdCl(dppf).CHCl(0.167g;0.20mmol)を加えた。この反応混合物を105℃で一晩加熱した。この混合物を室温まで冷却し、30mgの中間体16から得られた他のバッチを加えた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、EtOAcで洗浄し、濃縮した。残渣(640mg、褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 99/1から96/4)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた固体をEtO中で摩砕し、濾別し、真空下で乾燥させ、290mg(59%、灰白色固体)の中間体17を得た、M.P.:149℃(DSC)。
【0430】
実施例A7
中間体19の製造
【化74】
下、THF(25mL)中、2−(ヒドロキシメチル)−N,N−ジメチル−1H−イミダゾール−1−スルホンアミド(CAS 935862−80−9)(1g;4.87mmol)の溶液に、EtN(1.4mL;9.7mmol)を加えた。この反応混合物を5℃まで冷却し、塩化メタンスルホニル(0.45mL;5.85mmol)、次いで臭化リチウム(1.27g;14.62mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣(1.43g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、24g;移動相:99%CHCl、1%CHOH)により精製した。純粋な画分を回収し、蒸発させ、0.92g(70%)の中間体19を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ7.66 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 4.82 (s, 2H), 2.91 (s, 6H)。
【0431】
実施例A8
中間体20の製造
【化75】
反応は2バッチの中間体16(1g;4.09mmol)および(50mg;0.20mmol)で行った:
DMF(14mL)中、中間体16(1g;4.09mmol)およびシアン化亜鉛(0.480g;4.09mmol)の混合物に、Pd(PPh(0.473g;0.41mmol)を加え、この混合物を100℃で1.5時間加熱した。中間体16(50mg)から得られた他のバッチを、後処理のため、この反応混合物と合わせた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、EtOAc(400mL)ですすいだ。濾液を水(200mL)とブライン(200mL)の混合物で洗浄した。水層をEtOAcで抽出した(2×150mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(2.29g、褐色油状物)をEtO中で摩砕した(4×50mL)。沈殿を濾過し、真空下で乾燥させた。得られた残渣(0.272g、褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 99/1から97/3)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、2画分の中間体20:226mg(23%、黄色固体)を得た。M.P.:260℃(DSC)。
【0432】
実施例A9
a)中間体21の製造
【化76】
反応は2バッチの中間体16(1g;4.09mmol)および(100mg;0.41mmol)から行った:
MeOH(40mL)中、中間体16(1g;4.09mmol)、EtN(2.85mL;20.5mmol)およびPdCl(dppf).CHCl(0.334g;0.41mmol)の混合物をCO(ガス)でパージし(3回)、混合物をCO雰囲気(1バール)下で一晩、加熱還流した。EtN(2.85mL;20.5mmol)およびPdCl(dppf).CHCl(0.334g;0.41mmol)を加えた。この混合物をCO(ガス)でパージした(3回)。この混合物をCO雰囲気(1バール)下で一晩、加熱還流した。他のバッチ(100mgから)を、後処理のため、この反応混合物と合わせた。水(400mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×300mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(3.2g、褐色固体)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm;移動相:99%EtOAc、1%MeOHから97%EtOAc、3%MeOHへ)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、600mg(淡褐色固体)の6−メトキシ−3−(1−メチル−ピラゾリル)−1,5−ナフチリジンおよび587mg(淡褐色固体)の中間体21の中間体画分を得、これをDCM(10mL)に溶かした。EtO(100mL)を加え、音波処理後に得られた固体を濾別し、EtO(10mL)で洗浄し、真空下、80℃で3時間乾燥させ、500mg(総収率41%、ベージュ固体)の中間体21を得た、M.P.:194℃(DSC)。
【0433】
b)中間体22の製造
【化77】
THF(1.9mL)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.166g;1.70mmol)の懸濁液に、ヘプタン中2Mのトリメチルアルミニウム溶液(0.452mL;0.90mmol)を滴下した。この溶液を、ガスの発生が収まるまで0℃で、さらに室温で30分間撹拌した。この溶液を、0℃にて、THF(4.8mL)中、中間体21(0.302g;1.13mmol)の懸濁液に滴下した。この混合物を0℃で15分間、さらに室温で5時間撹拌した。変換が完了していなかったので、THF(1.9mL)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.166g;1.70mmol)の懸濁液に、ヘプタン中2Mのトリメチルアルミニウム溶液(0.452mL;0.90mmol)を滴下した。この溶液を、ガスの発生が収まるまで0℃で、さらに室温で30分間撹拌した。この溶液を0℃で反応混合物に滴下した。この混合物を0℃で15分間、さらに室温で一晩撹拌した。この混合物を0℃まで冷却し、ブライン(100mL)、次いで飽和NaCO溶液(10mL)をゆっくり加えた(pH=12)。この混合物をEtOAcで抽出し(3×50mL)、濾過し、濃縮し、EtOとともに共蒸発させ、0.322g(96%、灰白色固体)の中間体22を得た。
【0434】
実施例A10
a)中間体23、23a、23bの製造
【化78】
THF(4mL)中、NaH(0.122g;3.06mmol)の懸濁液に、0℃で、ホスホノ酢酸トリエチル(0.607mL;3.06mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で2時間、さらに室温で1時間撹拌した。次に、THF(12mL)中、化合物8(0.382g;1.02mmol)の溶液を0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、2時間還流させた。水(150mL)を加え、この混合物をDCMで抽出した(3×80mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.800g、褐色固体)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、移動相:99%DCM、1%MeOHから97%DCM、3%MeOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させた。各画分をEtOで摩砕し、真空下で乾燥させ、以下を得た:
56mg(12%、白色固体)の中間体23b;
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ9.13 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.25 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.38 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 6.54 (s, 1H), 6.46 (s, 2H), 4.13 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 3.80 (s, 6H), 1.17 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 13.05) 445 [M+H]+ 方法D1。
M.P.: 134℃ (DSC)。
101mg(白色泡沫)のZ/E混合物、中間体23。
222mg(49%、黄色泡沫)の中間体23a;
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ9.12 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.46 (s, 3H), 3.96 - 4.03 (m, 5H), 3.72 (s, 6H), 1.02 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 12.34) 445 [M+H]+方法D1。
M.P.: 139-141℃ (Buchi M-560, 1℃/分)。
【0435】
実施例A11
中間体24の製造
【化79】
反応は2バッチの中間体17(230mg;1.03mmol)および(30mg;0.13mmol)から行った:
ジオキサン(5mL)中、酸化セレン(0.149g;1.34mmol)の懸濁液を、60℃で加熱し、中間体17(0.230g;1.03mmol)を加えた。この混合物を80℃で2時間加熱した。他のバッチ(30mgから)を、後処理のため、反応混合物と合わせた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、ジオキサン(200mL)で洗浄し、濃縮した。残渣(0.295g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相:100%EtOAc)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.167g(60%、黄色固体)の中間体24を得た、M.P.:206℃(DSC)。
【0436】
実施例A12
中間体25aおよび25bの製造
【化80】
0℃にて、DMF(5.5mL)中、化合物10(0.270g;0.72mmol)の懸濁液に、NaH(0.043g;1.08mmol)を加えた。この混合物を0℃で40分間撹拌した後、0℃にて、2−(ブロモエトキシ)−tert−ブチル−ジメチルシラン(CAS 86864−60−0)(0.23mL;1.08mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間、さらに室温で120時間撹拌した。水(100mL)およびブライン(50mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×70mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、0.910g(黄色油状物)の、中間体25aと中間体25bの6/4混合物を得た。この画分を精製せずに次の工程で用いた。
【0437】
実施例A13
中間体25bの製造
【化81】
0℃にて、THF(0.6mL)中、化合物10(0.030g;0.08mmol)の懸濁液に、THF中1Mのカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.12mL;0.12mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間撹拌した後、0℃で、2−(ブロモエトキシ)−tert−ブチル−ジメチルシラン(CAS 86864−60−0)(0.026mL;0.12mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間、さらに室温で一晩撹拌した。ブライン(50mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×25mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、0.082gの中間体25bを得た。
【0438】
実施例A14
a)中間体26の製造
【化82】
反応は2バッチの中間体12(3g;11.0mmol、および100mg;0.366mmol)で行った:
アルゴン雰囲気下、トルエン(90mL)中、中間体12(3g;11.0mmol)の溶液に、炭酸セシウム(10.8g;33mmol)およびBINAP(1.37g;2.20mmol)を加えた。この混合物をアルゴンで3回パージし、Pd(OAc)(0.247g;1.1mmol)を加えた。この混合物を再びアルゴンで3回パージし、モルホリン(1.05ml;12.1mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で16時間加熱し、室温まで冷却した。中間体12(100mg)から得られた他方のバッチを合わせ、得られた混合物を濃縮乾固させた。
【0439】
得られた残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM、1%MeOHから98%DCM、2%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させて3.5gの黄色固体を得、これを再びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:50%シクロヘキサン、50%EtOAcから0%シクロヘキサン、100%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、3.04g(99%;黄色固体)の中間体26を得た、M.P.:161℃(DSC)。
【0440】
b)中間体27の製造
【化83】
反応は2バッチの中間体26(1.6g;5.72mmol、および500mg;1.79mmol)で行った:
アルゴン雰囲気下、THF(55mL)中、中間体26(1.6g、5.72mmol)、1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン(1.46mL;9.72mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.368g;9.72mmol)の溶液に、PdCl(dppf).CHCl(187mg;0.23mmol)を加えた。得られた混合物を50℃で72時間加熱した。次に、3Åモレキュラーシーブス(約100mg)およびさらなる1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン(2.58mL;17.2mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(0.651g;17.2mmol)およびPdCl(dppf).CHCl(280mg;0.343mmol)を加え、この混合物を50℃でさらに16時間加熱した。
【0441】
次に、中間体26(500mg)から得られた他のバッチを合わせ、飽和NaCl水溶液(400mL)を加えた。水層をEtOAc/MeOHの95/5混合物で抽出した(3×200mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0442】
得られた残渣(3.16g;褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから98%DCM、2%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.33g(72%)の中間体27を得た、M.P.:169℃(DSC)。
【0443】
c)中間体28の製造
【化84】
ジオキサン(26mL)中、中間体27(1.3g;5.30mmol)の溶液に、6M HCl水溶液(17.7mL;106mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で16時間撹拌した後、室温まで冷却し、濃縮した。残渣を水、DCMおよびMeOHの混合物(3/2/1;100mL)に懸濁させた。得られた混合物を3N NaOH(50mL)でpH12まで塩基性化した。次に、この混合物をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:85%DCM、15%MeOH)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.22g(99%)の中間体28を得た。
【0444】
d)中間体29の製造
【化85】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、中間体28(1.22g;5.28mmol)に、POCl(39.3mL;422mmol)を加えた。次に、この反応混合物を16時間還流させ、溶媒を濃縮した。得られた残渣をDCM/MeOHの混合物(9/1;100mL)に溶かし、この溶液を0℃にて3M NaOH(100mL)でゆっくり塩基性化した。水(200mL)を加え、層に分けた。水層をDCM/MeOH混合物(9/1;3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0445】
残渣(1.5g;黒色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM、1%MeOH)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.19g(90%)の中間体29を得た。
【0446】
e)中間体30の製造
【化86】
反応は2バッチの中間体29(1.19g;4.77mmol、および176mg;0.705mmol)で行った:
MeOH(45mL)中、中間体29(1.19g;4.77mmol)、トリエチルアミン(3.33mL;23.9mmol)およびPdCl(dppf).CHCl(390mg;0.477mmol)の混合物をCOで3回パージし、この反応物をCO雰囲気(1バール)下で72時間還流させた。この混合物を濃縮し、中間体29(176mg)から得られた第2バッチと合わせた。得られた残渣をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%EtOAcから0%DCM、100%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させて1.30gの黄色固体を得、これをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:50%シクロヘキサン、50%EtOAcから0%シクロヘキサン、100%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.08g(72%、褐色固体)の中間体30を得た。
【0447】
f)中間体31の製造
【化87】
アルゴン雰囲気下、THF(6mL)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.552g;5.66mmol)の懸濁液に、0℃にて、ヘプタン(1.89mL;3.77mmol)中、2Mのトリメチルアルミニウム溶液を滴下した。得られた溶液を0℃にて、ガスの発生が収まるまで撹拌した後、室温で30分間撹拌した。次に、0℃にて、この溶液を、THF(12mL)中、中間体30(1.03g;3.77mmol)の懸濁液に滴下した。得られた混合物を0℃で30分間、室温で16時間撹拌した後、再び0℃に冷却した。飽和NaCl水溶液(200mL)および飽和NaCO水溶液(50mL)をpH12となるまでゆっくり加えた。水層をEtOAcで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0448】
残渣(1.5g;褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、992mg(87%;褐色固体)の中間体31を得た、M.P.:119℃(DSC)。
【0449】
実施例A15
中間体32の製造
【化88】
THF(10mL)中、水素化ナトリウム(253mg;6.33mmol;鉱油中60%)の懸濁液に、0℃にて、ホスホノ酢酸トリエチル(1.26mL;6.33mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で30分間、さらに室温で30分間撹拌した。次に、THF(26mL)中、化合物20(800mg;2.11mmol)の溶液を0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、16時間還流させ、室温まで冷却した。水(200mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)を加えた。この混合物をEtOAcで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSO乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0450】
残渣(2.1g;褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:50%シクロヘキサン、50%EtOAcから0%シクロヘキサン、100%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、未同定のE/Z混合物として1.48gの中間体32を得、これをそのまま次の工程で用いた。
【0451】
実施例A16
a)中間体33の製造
【化89】
6−メトキシ−1,7−ナフチリジン−4(1H)−オン(CAS 952059−64−2;Morgentin, R. et al. Tetrahedron. 2008, 64, 2772-2782)(19.2g;66.2mmol)を酢酸(300mL)中で加熱することにより可溶化し、N−ブロモスクシンイミド(17.7g;99.2mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。得られた黄色沈殿を濾別し、酢酸(2×100mL)およびEtO(2×200mL)で順次洗浄し、16.3g(96%、淡黄色固体)の中間体33を得、これをそのまま次の工程で用いた。
【0452】
b)中間体34の製造
【化90】
反応は2バッチの中間体33(16.3g;63.9mmol)および(10.1g;39.6mmol)で行った:
クロロホルム(160mL)中、中間体33(16.3g;63.9mmol)の混合物に、POCl(160mL;1.72mol)を加えた。この溶液を還流下で2時間撹拌し、濃縮し、真空下で乾燥させた。残った固体をEtOAc(300mL)に取り、0℃まで冷却し、3M NaOH水溶液(250mL)で注意深く塩基性化した。次に、得られた混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(3×400mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、他のバッチ(10.1gの中間体33から)と合わせ、濃縮し、26.5g(総収率94%、淡黄色固体)の中間体34を得、これをそのまま次の工程で用いた。
【0453】
c)中間体35の製造
【化91】
反応は2バッチの中間体34(21.5g;78.6mmol)および(9.8g;358mmol)で行った:
ジオキサン(510mL)と水(210mL)の混合物中、中間体34(21.5g;78.6mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(17.2g;82.5mmol)、NaCO(25g;236mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを再充填した(操作を3回繰り返した)。PdCl(dppf).CHCl(3.21g;3.93mmol)を加え、得られた混合物を脱気し、アルゴンを再充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、溶液を濃縮した後、残渣を他のバッチ(9.8gの中間体34から)と合わせた。EtOAc(800mL)とMeOH(100mL)の混合物を加えた。有機層を飽和NaHCO水溶液(500mL)および水(300mL)で洗浄した。層に分け、水層をEtOAcとMeOHの混合物(9/1;3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた固体をEtO(500mL)中で摩砕し、濾別し、EtO(200mL)ですすぎ、29.3g(総収率93%、赤褐色固体)の中間体35を得た、M.P.:180℃(DSC)。
【0454】
d)中間体36の製造
【化92】
触媒量のラネーニッケル、水中50%スラリー(1.88g;32.0mmol)をEtOHで2回洗浄し、デカンテーション後に回収した。この触媒量を、EtOH(500mL)、THF(500mL)および1N NaOH(112mL;112mmol)の混合物中、中間体35(29.3g;107mmol)の溶液に加えた。この混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で65時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)パッドで濾過し、これをTHFとEtOHの混合物(1/1;400mL)で洗浄し、濃縮した。残渣(褐色固体)をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:98%DCM、2%MeOHから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた固体(16.5g、橙色固体)をEtO(300mL)中で摩砕し、濾別し、EtO(100mL)で洗浄し、13.15g(51%、ベージュ固体)の中間体36を得た、M.P.:161℃(DSC)。
【0455】
e)中間体37の製造
【化93】
室温で、1,2−ジクロロエタン(300mL)中、中間体36(5g;20.8mmol)の溶液に、AlCl(16.6g;125mmol)を一度に加えた。この反応混合物を還流下で1時間撹拌し、再び室温まで冷却した。MeOH(500mL)を加えた。この混合物を減圧下で濃縮し、MeOHとDCMの混合物(8/2;1L)に取り、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:95%DCM、5%MeOHから80%DCM、20%MeOHへ)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させて13.8g(褐色固体)の中間体37を得、これをそのまま次の工程で用いた。
【0456】
f)中間体38の製造
【化94】
室温にて、DCM(400mL)とDMF(100mL)の混合物中、中間体37(13.8g;20.8mmol)およびEtN(43.5mL;312mmol)の懸濁液に、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(14.9g;41.6mmol)を少量ずつ加えた。この反応混合物を室温で65時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(500mL)とブライン(500mL)の混合物に取り、セライト(登録商標)パッドで濾過し、これをEtOAc(200mL)およびブライン(200mL)ですすいだ。層に分け、水層をEtOAcで抽出した(2×200mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(25.2g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCMから96%DCM、4%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣(3.5g、淡褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCMから98%DCM、2%MeOHへ)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.02g(中間体36から2工程で14%、ベージュ固体)の中間体38を得た。
【0457】
g)中間体39の製造
【化95】
MeOH(60mL)中、中間体38(2.18g;6.08mmol)、トリエチルアミン(4.24mL;30.4mmol)およびPdCl(dppf).CHCl(497mg;0.608mmol)の混合物をCOで3回パージした。この混合物をCO雰囲気(1バール)下で16時間還流させ、室温まで冷却し、濃縮した。残渣をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから97%DCM、3%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中で摩砕した後、2つの中間生成物画分を得た。両画分を混合し、DCM(200mL)に溶かし、水(200mL)および飽和NaCl溶液(50mL)により順次洗浄した。水層をDCMで抽出した(2×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、1.59g(98%;褐色固体)の中間体39を得た。
【0458】
h)中間体40の製造
【化96】
反応は2バッチの中間体39(1.59g;5.93mmol、および522mg;1.95mmol)で行った。
アルゴン雰囲気下、THF(10mL)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.868g;8.9mmol)の懸濁液に、0℃で、ヘプタン中2Mのトリメチルアルミニウム溶液(2.97mL;5.93mmol)を滴下した。この溶液をガスの発生が収まるまで0℃で、さらに室温で30分間撹拌した。この溶液を、0℃で、THF(20mL)中、中間体39(1.59g;5.93mmol)の懸濁液に滴下した。得られた混合物を0℃で15分間、さらに室温で16時間撹拌した後、0℃に冷却した。飽和NaCl溶液(400mL)、次いで飽和NaCO溶液をpH12となるまでゆっくり加えた。この混合物をEtOAcで抽出した(3×150mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣(1.76g;褐色固体)を得、これを中間体39(522mg)から得られた他のバッチと合わせた。
【0459】
得られた粗物質をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中で摩砕し濾過した後、1.80g(77%)の中間体40を得た、M.P.:171℃(DSC)。
【0460】
実施例A17
中間体41および中間体41aおよび中間体41bの製造:
【化97】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(8mL)中、NaH(238mg;5.94mmol;鉱油中60%)の懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル(trietyl phosphonoacetate)(1.18mL;5.94mmol)を加えた。次に、化合物23(740mg;1.98mmol)の溶液を0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、16時間還流させた。水(300mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)を加え、この混合物をDCMで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0461】
残渣(1.9g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中での摩砕、沈殿の濾過、および乾燥の後に、3つのサンプルを得た。
サンプルA:122mgの中間体41a(E)
サンプルB:439mgの中間体41(EおよびZの混合物(E/Z))
サンプルC:260mgの中間体41b(Z)
【0462】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【化98】
下、−78℃にて、THF(100mL)中、中間体6(2.6g;9.6mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(23mL;11.6mmol)を滴下した。この溶液を−78℃で2.5時間撹拌し、温度を2時間かけて5℃まで上昇させた。この溶液を冷却した飽和NHCl溶液に注いだ。化合物をDCMおよび少量のMeOHで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(5.4g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(Irregular SiOH 20〜45μm、450g;移動相:0.1%NHOH、98%DCM、2%MeOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.65gの中間体6および1.45g(40%)の化合物1を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ9.52 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.68 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.21 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 1.9 Hz, 2H), 6.89 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.81 (s, 6H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.64) 376 (100) [M+H]+, 751 (55) [2M+H]+ 方法A1。
M.P.: 228℃ (Kofler)。
【0463】
実施例B2
化合物2の製造
【化99】
下、−78℃にて、THF(20mL)中、中間体8(0.44g;1.84mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(4.8mL;2.39mmol)を滴下した。この溶液を−78℃で1時間撹拌し、1時間30分でゆっくり室温まで上昇させた。この溶液を冷却した飽和NHCl溶液に注いだ。生成物をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(800mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(シリカ5μm 150×30.0mm;移動相:0.2%NHOH、98%DCM、2%MeOHから1%NHOH、90%DCM、10%MeOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.22g(32%)の化合物2を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ9.35 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.42 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.91 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.36 Hz, 2H), 6.43 (d, J = 4.10 Hz, 1H), 6.36 (t, J = 2.36 Hz, 1H), 5.84 (d, J = 4.10 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.70 (s, 6H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.22) 378 (100) [M+H]+, 755 (5) [2M+H]+ 方法A1。
【0464】
実施例B3
化合物3の製造
【化100】
下、−78℃にて、THF(20mL)中、中間体5(0.345g;1.36mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(3mL;1.50mmol)を滴下した。この溶液を−78℃で2時間撹拌した。この溶液を冷却した飽和NHCl溶液に注いだ。生成物をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(0.55g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(irregular 15〜40μm 30g、移動相:7%MeOH、40%ヘプタン、53%EtOAc)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、80mgの中間体5および190mg(36%)の化合物3を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ9.36 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.25 - 8.45 (m, 2H), 7.93 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 1.89 Hz, 2H), 6.34 (t, J = 1.89 Hz, 1H), 6.27 (s, 1H),3.96 (s, 3H), 3.68 (s, 6H), 1.98 (s, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.38) 392 (100) [M+H]+, 783 (5) [2M+H]+ 方法A1
M.P.: 228℃ (Kofler)。
【0465】
実施例B4
化合物4の製造
【化101】
室温にて、THF(10mL)およびMeOH(2mL)中、中間体9(490mg;1.1mmol)の懸濁液に、マグネシウム切削屑(294mg;12.10mmol)を一度に加えた。この混合物を室温で5時間撹拌した。MeOH(8mL)を加え、この溶液を室温で一晩撹拌した。氷および10%NHCl水溶液を加えた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過した。生成物をDCMとMeOHの混合物で抽出し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣(680mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(15〜40μm、40g、移動相:0.1%NHOH、99%DCM、1%MeOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、260mg(55%)の化合物4を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d 9.35 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.33 (d, J = 8.5 Hz), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.55 (d, J = 2.21 Hz, 2H), 6.35 (t, J = 2.21 Hz, 1H), 4.80 (dd, J = 6.0, 9.14 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.68 (s, 6H), 3.61 (dd, J = 9.14, 16.55 Hz, 1H), 3.53 (s, 3H), 3.06 (dd, J = 6.0, 16.55 Hz, 1H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.57) 434 (100) [M+H]+, 867 (30) [2M+H]+ 方法A1。
【0466】
実施例B5
化合物5の製造
【化102】
10℃にて、THF(10mL)中、中間体10と中間体11の混合物(0.315g;0.59mmol)を含有する溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(2.6mL;8.82mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。この溶液を冷水に注ぎ、生成物をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(0.54g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(irregular 15〜40μm 50g;移動相:0.1%NHOH、97%DCM、3%MeOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、26mg(11%)の化合物5をE異性体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ9.36 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.33 - 8.40 (m, 2H), 7.93 (d, J = 8.83 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.21 Hz, 2H), 6.33 (t, J = 2.21 Hz, 1H), 6.23 (s, 1H), 4.58 (t, J = 4.89 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.68 (s, 6H), 3.40 - 3.51 (m, 2H), 2.68 - 2.78 (m, 1H), 2.58 - 2.68 (m, 1H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.16) 422 (100) [M+H]+, 843 (5) [2M+H]+ 方法A1。
【0467】
実施例B6
化合物6および7の製造
【化103】
0℃でN下、トルエン(15mL)中、塩酸メチルアミン(0.21g;6.82mmol)の溶液に、トルエン中2Mのトリメチルアルミニウム溶液(3.4mL;6.82mmol)を加えた。この溶液を室温で1時間撹拌した。トルエン(20mL)中、中間体9(0.76g;1.71mmol)の溶液を室温で滴下した。この溶液を100℃で3時間加熱した。溶液を冷却し、氷水に注ぎ、KCOで塩基性化し、EtOAcを加えた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過した。有機層を洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させた。残渣(620mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、24g;移動相:95%DCM、5%MeOH、0.1%NHOH)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣(310mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(シリカ5μm、150×30.0mm;移動相:0.2%NHOH、98%DCM、2%MeOHから1%NHOH、90%DCM、10%MeOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、25mg(3%)の化合物6および12mg(2%)の化合物7を得た。
化合物6: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.38 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.40 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 8.35 (s, 1H), 8.15 - 8.24 (m, 1H), 7.41 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.54 (t, J = 2.02 Hz, 1H), 6.39 (d, J = 2.02 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.74 (s, 6H), 2.58 (d, J = 4.55 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.20) 431 (100) [M+H]+, 861 (100) [2M+H]+ 方法A1
化合物7: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.39 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.38 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.15 (q, J = 4.55 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.55 (br.s, 1H), 6.39 (d, J = 2.02 Hz, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.70 (s, 6H), 2.54 (d, J = 4.55 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.20) 431 (100) [M+H]+, 861 (50) [2M+H]+ 方法A1。
【0468】
実施例B7
化合物8の製造
【化104】
反応は2バッチの中間体20(103mg;0.44mmol)および(50mg;0.21mmol):から行った。
0℃にて、トルエン(1.2mL)中、中間体20(0.100g;0.44mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(1.47mL;0.87mmol)を滴下した。この反応混合物を0℃で2時間、さらに室温で一晩撹拌した。後処理のため、他のバッチ(50mgの中間体20から得られたもの)を反応混合物と合わせた。この混合物を0℃に冷却し、飽和NHCl溶液(150mL)で急冷し、EtOAcで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.21g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(移動相:100%DCMから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.222g、黄色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(15〜40μm、移動相:99%EtOAc、1%MeOH)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtO中で摩砕し、真空下で乾燥させ、78mg(32%、ベージュ固体)の化合物8を得た、M.P.:178℃(DSC)。
【0469】
化合物8はまた、別法として、下記の手順を用いて製造した:
反応は2バッチの中間体22(322mg;1.08mmol)および(77mg;0.26mmol)から行った:
0℃にて、THF(10mL)中、中間体22(0.322g;1.08mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(2.19mL;1.30mmol)を滴下した。この反応混合物を0℃で3時間、さらに室温で72時間撹拌した。飽和NHCl溶液(100mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×70mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。精製のため、他のバッチ(77mgの中間体22から得られたもの)を反応混合物と合わせた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相:100%EtOAc)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、382mg(総収率:76%、黄色固体)の化合物8を得た。
【0470】
実施例B8
化合物9の製造
【化105】
アルゴン下、THF(2mL)中、中間体23(0.191mg;0.43mmol、E/Z混合物)の溶液に、10%Pd/C(0.046mg;0.04mmol)を加えた。この混合物をHでパージし(3回)、室温で72時間撹拌した。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、THF(200mL)で洗浄し、濃縮乾固させた。残渣(0.255g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相:99%DCM、1%MeOHから98%DCM、2%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた画分をEtOで摩砕し、真空下で乾燥させ、0.112g(58%、ベージュ固体)の化合物9を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.07 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 8.19 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.48 (s, 2H), 6.33 (s, 1H), 4.73 - 4.82 (m, 1H), 4.09 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.75 (s, 6H), 3.64 (dd, J = 16.4 Hz, J = 9.6 Hz, 1H), 3.00 (dd, J = 16.4 Hz, J = 5.6 Hz, 1H), 1.18 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 12.27) 447 [M+H]+ 方法D1。
M.P.: 124℃ (DSC)。
【0471】
実施例B9
化合物10の製造
【化106】
反応は2バッチの中間体24(111mg;0.47mmol)および(30mg;0.13mmol)から行った:
0℃にて、THF(2.5mL)中、中間体24(0.111g;0.47mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(1.57mL;0.93mmol)を滴下した。この反応混合物を0℃で3時間、さらに室温で一晩撹拌した。後処理のため、他のバッチ(30mgの中間体24から得られたもの)を反応混合物と合わせた。この混合物を0℃に冷却し、飽和NHCl溶液(100mL)で急冷し、EtOAcで抽出した(3×50mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.11g、黄色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(移動相:100%EtOAc)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、118mg(53%、黄色固体)の化合物10を得た、M.P.:169℃(DSC)から分解開始。
【0472】
実施例B10
化合物15の製造
【化107】
下、−70℃にて、THF(3mL)中、ジイソプロピルアミン(0.211mL;1.50mmol)の溶液に、ヘキサン中1.6Mのブチルリチウム(0.803mL;1.29mmol)を加えた。この溶液を−70℃で30分間撹拌した。このリチウムジイソプロピルアミド溶液を、−70℃にて、THF(10mL)中、中間体18(387mg;1.07mmol)の溶液に滴下した。この混合物を−70℃で2時間撹拌した。THF(3mL)中、中間体19(359mg;1.34mmol)の溶液を滴下した後、この溶液を−78℃で2時間撹拌した。この反応混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。この混合物を冷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣(700)mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm、30g;移動相:96%DCM、4%MeOH、0.1%NHOH)により精製した。得られた残渣(40mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(5μm 150×30.0mm;移動相:0%NHOH、100%DCM、0%MeOHから0.8%NHOH、92%DCM、8%MeOHへの勾配)により精製した。得られた残渣(15mg)を(CYANO 6μm 150×21.2mm;移動相:0.3%イソプロピルアミン、87%CO、13%MeOH)でのキラル超臨界流体クロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、9mg(2%)の化合物15を得た。
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) d 9.32(s, 1H), 8.68(s, 1H), 8.24 - 8.35(m, 2H), 7.78(d, J = 8.51 Hz, 1H), 7.40(d, J = 1.58 Hz, 1H), 6.81(d, J = 1.58 Hz, 1H), 6.57(d, J = 2.21 Hz, 2H), 6.35(t, J = 2.21 Hz, 1H), 5.19(dd, J = 5.04, 10.09 Hz, 1H), 4.24(dd, J = 10.09, 16.71 Hz, 1H), 3.96(s, 3H), 3.69(s, 6H), 3.43(dd, J = 5.04, 16.71 Hz, 1H), 3.00(s, 6H);
MS(ESI+) m/z(%)(r.t. 2.66) 549(100) [M+H]+ 方法A1。
【0473】
実施例B11
化合物11の製造
【化108】
THF(3.5mL)中、中間体25aと25bの混合物(実施例A12)(0.91g;0.72mmol)の溶液に、THF中1Mのフッ化テトラブチルアンモニウム(2.15mL;2.15mmol)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌した。氷水(50mL)および飽和KCO水溶液(50mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×50mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.400g、黄色油状物)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤:100%EtOAcから95%EtOAc、5%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。各画分をEtO中で摩砕し、真空下で乾燥させ、
57mg(ベージュ固体)の化合物11
35mg(ベージュ固体)の化合物11(2工程で総収率31%)
を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.11 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.32 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.67 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.67 (s, 2H), 6.38 (s, 1H), 5.67 (s, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.80 - 3.96 (m, 3H), 3.78 (s, 6H), 3.67 - 3.74 (m, 1H), 2.98 -3.12 (m 1H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 10.24) 421 [M+H]+ 方法D1。
M.P.: 139℃ (DSC)。
【0474】
実施例B12
化合物12の製造
【化109】
THF(1mL)中、中間体25b(0.082g;0.15mmol)の溶液に、THF中1Mのフッ化テトラブチルアンモニウム(0.133mL;0.46mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。氷水(20mL)および飽和KCO水溶液(20mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×15mL)。合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をEtO中で摩砕し、真空下で乾燥させた。残渣(0.31g、褐色固体)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(15〜40μm;溶出剤:97%DCM、3%MeOHから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.020g、淡褐色固体)をEtO中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.013g(2工程で39%、ベージュ固体)の化合物12を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.26 (s, 1H), 8.55 (s, 2H), 8.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.68 (s, 2H), 6.33 (s, 1H), 6.18 (s, 1H), 4.55 (br s, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.68 (s, 6H), 3.38-3.53 (m, 2H), 2.60-2.75 (m, 2H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 10.07) 421 [M+H]+ 方法D1。
M.P.: 198℃ (DSC)。
【0475】
実施例B13
化合物16の製造
【化110】
アルゴン雰囲気下、0℃、丸底フラスコで、THF(17mL)中、中間体22(0.5g;1.68mmol)の溶液に、(3−メトキシフェニル)マグネシウムブロミド(11mL;2.15mmol;THF中0.69M)を滴下し、この反応混合物を0℃で1時間撹拌した。飽和NHCl水溶液を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0476】
粗物質(0.618g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%EtOAc)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中での摩砕および沈殿の濾過の後に、2サンプルの化合物16を得た:
134mgの化合物16(1H NMRにより評価した場合、9重量%のEtOを含有)
474mg(82%)の化合物16。この画分のNMRデータを下記に報告する。
1H NMR (CHLOROFORM-d ,400MHz):δ= 9.25 (br. s, 1 H), 8.57 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 8.51 (s, 1 H), 8.25 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 7.99 (s, 1 H), 7.88 (s, 1 H), 7.77 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.74 (br. s., 1H), 7.45 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.04 (s, 3 H), 3.90 ppm (s, 3 H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 12.47) 345 [M+H]+(方法D1);
MP = 173℃ (DSC)
【0477】
実施例B14
化合物20の製造
【化111】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(30mL)中、中間体31(0.96g;3.18mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(5.89mL;3.5mmol;THF中0.59M)を滴下した。得られた混合物を0℃で30分間、さらに室温で16時間撹拌した。次に、飽和NHCl水溶液(200mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×100mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0478】
残渣(1.4g;黄色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:50%シクロヘキサン、50%EtOAcから0%シクロヘキサン、100%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中での摩砕および濾過の後、837mg(69%;黄色固体)の化合物20を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.13 (s, 1H), 8.48 (br. s., 1H), 7.98 (br. s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.15 (s., 2H), 6.84 (s, 1H), 3.91-3.72 (m, 10H), 3.51-3.39 (m, 4H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 12.42) 380 [M+H]+(方法D1);
MP: 159℃ (DSC)
【0479】
実施例B15
化合物21の製造
【化112】
THF(12mL)およびEtOH(4mL)中、中間体32(1.48g;2.11mmol)の溶液に、10%含量のPd/C(90mg;0.084mmol)を加えた。この混合物をHで3回パージし、1気圧のH下、室温で72時間撹拌した。この反応混合物をセライトパッドで濾過し、これをEtOHで洗浄した。濾液を濃縮乾固させた。
【0480】
残渣(1.48g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:50%シクロヘキサン、50%EtOAcから90%EtOAc、10%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、837mgの黄色固体を得、これをEtOに取った。得られた沈殿を濾過し、乾燥後に183mg(2工程で収率19%)の化合物21を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ8.91 (s, 1H), 8.11 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.48 (s., 1H), 7.41 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.50 (s, 2H), 6.33 (s, 1H), 4.63 - 4.71 (m, 1H), 3.97 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.76 - 3.87 (m, 4H), 3.68 (s, 6H), 3.46 (dd, J = 9.8, 16.7 Hz, 1H), 3.34 - 3.41 (m, 4H), 2.99 (dd, J = 5.9, 16.7. Hz, 1H), 1.06 (t, J = 7.1 Hz, 3H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 11.82) 452 [M+H]+(方法D1);
M.P.: 166℃ (DSC)
【0481】
実施例B16
化合物23の製造
【化113】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(90mL)中、中間体40(1.67g;6.62mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド(CAS 322640−05−1)(10.4mL;6.18mmol;THF中0.59M)を滴下した。この反応混合物を0℃で1時間、次いで室温で16時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(500mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(3×500mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0482】
残渣(2.8g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM、1%MeOHから97%DCM、3%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEtO中で摩砕し、濾過後に、1.5g(71%)の化合物23を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.49 (s, 1H), 9.41 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.12 (s, 2H), 6.83 (s, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.80 (s, 6H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 12.04) 375 [M+H]+(方法D1);
MP: 189℃ (DSC)
【0483】
実施例B17
化合物24の製造
【化114】
アルゴン下、THF(12mL)中、中間体41(662mg;2.42mg)の溶液に、Pd/C(100mg;含量10%)を加えた。次いで、この混合物をHでパージし(3回)、室温で48時間撹拌した。EtOH(4mL)を加えた。この反応混合物をHでパージし(3回)、H雰囲気(1気圧)下で16時間撹拌した後、セライトパッドで濾過し、これをTHF(200mL)で洗浄した。沈殿を濃縮し、残渣(772mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM、1%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOに取り、沈殿を濾過し、乾燥後に346mg(32%;白色固体)の化合物24を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.31-9.23 (m, 2H), 8.48 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 6.57 (s, 2H), 6.34 (s, 1H), 4.72-4.64 (m, 1H), 3.98 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.70 (s, 6H), 3.42 (dd, J = 8.6, 15.6 Hz, 1H), 3.06 (dd, J = 6.6, 15.6 Hz, 1H), 1.05 (t, J = 7.2 Hz, 3H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 11.66) 447 [M+H]+(方法D1);
M.P.: 138℃ (DSC)
【0484】
実施例B18
化合物26の製造
【化115】
アルゴン雰囲気下、0℃、丸底フラスコにて、THF(6mL)中、中間体40(0.1g;0.336mmol)の溶液に、(3−メトキシフェニル)マグネシウムブロミド(0.487mL;0.336mmol;THF中0.69M)を加えた。この反応混合物を0℃で1時間、さらに室温で16時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(50mL)を加え、この混合物をEtOAcで抽出した(325mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0485】
残渣(121mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%EtOAc)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた固体をEtOに取った。沈殿を濾過し、乾燥させ、75mg(65%;白色固体)の化合物26を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ9.50 (s, 1H), 9.42 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.58 (d, J = 7.50 Hz, 1H), 7.54 (br. s., 1H), 7.50 (t, J = 7.50 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.50 Hz, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.83 (s, 3H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 11.70) 345 [M+H]+(方法D1);
M.P.: 198℃ (DSC)
【0486】
変換反応
実施例C1
化合物14の製造
【化116】
窒素下、0〜5℃にて、THF(4mL)中、化合物4(130mg;0.3mmol)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(45.5mg;1.2mmol)を加えた。この混合物を1時間0〜5℃で撹拌した。EtOAc、次いで水を注意深く加えた。この混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過した。濾液をデカントした。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣(158mg)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(5μm 150×30.0mm;移動相:0.2%NHOH、98%DCM、2%MeOHから1.2%NHOH、88%DCM、12%MeOHへの勾配)により精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させ、13mg(11%)の化合物14を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.34 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.32 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 8.51 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 2.21 Hz, 2H), 6.34 (t, J = 2.21 Hz, 1H), 4.53 (t, J = 5.04 Hz, 1H), 4.46 (t, J = 7.57 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.69 (s, 6H), 3.34 - 3.40 (m, 2H), 2.52 - 2.57 (m, 1H), 2.17 - 2.26 (m, 1H);
MS (ESI+) m/z (%) (tr 2.25) 406 (100) [M+H]+ 方法A1
【0487】
実施例C2
化合物13の製造
【化117】
0℃にて、THF(2.5mL)中、化合物9(0.112g;0.25mmol)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(0.029g;0.75mmol)を少量ずつ加えた。この反応混合物を0℃で1時間撹拌した。水(0.5mL)を0℃でゆっくり加えた。次に、この反応混合物を飽和NHCl水溶液(5mL)、水(10mL)で希釈し、DCM/MeOHの混合物(2×30mL:9/1)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.103g、橙色泡沫)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:97%DCM、3%MeOHから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.082g)をEtO(5mL)中で音波処理した。この固体を濾別し、EtO(2mL)ですすぎ、真空下、80℃で乾燥させた。この固体(0.071g、白色固体)をRP−C18でのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99.5%DCM、0.5%MeOHから98%DCM、2%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtO(5mL)中で音波処理した。固体を濾別し、EtO(2mL)ですすぎ、真空下、80℃で65時間乾燥燥させて37mg(36%、白色固体)の化合物13を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.13 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.29 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.49 (s, 2H), 6.36 (s, 1H), 4.62 (br s, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.68-3.85 (m, 8H), 2.42-2.64 (m, 2H);
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 10.10) 405 (100) [M+H]+ 方法D1。
M.P.: 153℃ (DSC)。
【0488】
実施例C3
化合物17の製造
【化118】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、メタノール(3mL)およびDCM(3mL)中に希釈した化合物16(0.134mg;0.389mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(22mg;0.584mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で2時間、さらに室温で2時間撹拌した。次いで、この混合物を濃縮乾固させた。残渣をEtOAc(30mL)に溶かし、有機層をHO(30mL)で洗浄した。水層をEtOAcで抽出した(3×10mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0489】
残渣(153mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM 1%MeOHから97%DCM 3%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtO中での摩砕および濾過の後、103mg(76%)の化合物17を得た。
1H NMR (DMSO-d6 ,400MHz): δ = 9.25 (s, 1 H), 8.47 - 8.59 (m, 2 H), 8.33 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 8.22 (s, 1 H), 7.83 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.22 (t, J=8.0 Hz, 1 H), 7.06 (br. s., 1 H), 7.01 (d, J=8.0 Hz, 1 H), 6.79 (d, J=8.0 Hz, 1 H), 6.39 (s, 1 H), 5.87 (s, 1 H), 3.91 (s, 3 H), 3.72 ppm (s, 3 H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 10.33) 347 [M+H]+(方法D1);
M.P.: 176℃ (DSC)
【0490】
実施例C4
化合物18の製造
【化119】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、DCM(10mL)中、化合物16(264mg;0.767mmol)の溶液に、DCM中1Mの三臭化ホウ素(3.84mL;3.84mmol)を滴下した。この反応混合物を0℃で1時間、さらに室温で16時間撹拌した。次に、1N HCl水溶液(150mL)、次いで飽和NaHCO水溶液を加えた。水層をDCM/MeOH 95/5混合物で抽出した(3200mL)。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮し、134mgの中間体残渣Aを得た。
【0491】
水層中の沈殿を濾過し、水で洗浄して398mgの中間体残渣Bを得た。
【0492】
中間体残渣AおよびBを合わせ、3M NaOH水溶液(100mL)中で一晩撹拌した。次に、3M HCl水溶液をpH1となるまで加えた後、飽和NaHCO水溶液(50mL)をpH8となるまで加えた。得られた沈殿を濾過し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:99%DCM、1%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEtO(300mL)中で摩砕し、濾別し、EtO(100mL)で洗浄し、乾燥後、196mg(77%、緑色固体)の化合物18を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.90 (br. s., 1H), 9.45 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.60 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 8.14 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.41 (br s., 1H) 7.38 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.92 (s; 3H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 11.44) 331 [M+H]+ (方法D1);
M.P.: 218℃ (DSC)。
【0493】
実施例C5
化合物19の製造
【化120】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(40mL)中、水素化ナトリウム(1.25g;31.2mmol;鉱油中60%分散物)の懸濁液に、シアノホスホン酸ジエチル(5.05mL;31.2mmol)を加えた。次に、化合物8(3.90g;10.4mmol)の溶液を0℃で滴下した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、16時間還流させた。水(200mL)および飽和NaCl溶液(300mL)を加え、得られた混合物をEtOAcで抽出した(4×300mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0494】
残渣(6.4g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%EtOAc)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、4g(97%、緑色固体)の化合物19を異性体E(約80%)と異性体Z(約20%)の混合物として得た。
【0495】
実施例C6
化合物22の製造
【化121】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(3.5mL)中、化合物21(0.157g;0.348mmol)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(0.013g;0.348mmol)を加え、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。EtOAc(20mL)、次いで水(20mL)を0℃で滴下した。この混合物をセライトパッドで濾過し、これをDCM/MeOHの混合物(9/1;50mL)で洗浄した。濾液を飽和NaCl溶液(50mL)で洗浄し、水層をDCM/MeOHの混合物(9/1;2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0496】
残渣(117mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%EtOAc、0%MeOHから95%EtOAc、5%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、EtOとの共蒸発後、2サンプルを得た:
不純物が混入した(tlcによる)21mgの化合物22
68mg(48%;黄色固体)の化合物22。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.91 (s, 1H), 8.12 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.44 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.53 (s, 2H), 6.32 (s, 1H), 4.50 (br. s., 1H), 4.27 - 4.41 (m, 1H), 3.88-3.75 (m, 4H), 3.69 (s, 6H), 3.36 - 3.44 (m, 6H, 一部水ピークに隠れる), 2.50 - 2.38 (m, 1H, hidden by DMSO), 2.11 - 2.26 (m, 1H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 9.78) 410 [M+H]+ (方法D1);
M.P.: 170℃ (DSC)
【0497】
実施例C7
化合物25の製造
【化122】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF 8mL中、化合物24(298mg;0.667mmol)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(50mg;1.33mmol)を加え、この反応混合物を0℃で16時間撹拌した。次に、EtOAc(50mL)を0℃で滴下した。この混合物をセライトパッドで濾過し、これをDCM/MeOHの混合物(9/1;100ml)で洗浄した。濾液を飽和NaCl水溶液(100ml)で洗浄し、水層をDCM/MeOH(9/1;2100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0498】
残渣(318mg)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:95%DCM、5%MeOHから90%DCM、10%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させ、2つのサンプルを得た:
サンプルA:113mgの化合物25(十分な純度でない)
サンプルB:190mgの化合物25(十分な純度でない)。
サンプルAをシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤:95%DCM、5%MeOHから90%DCM、10%MeOHへ)により再び精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOに取り、沈殿を濾過し、濾過後に55mg(20%;白色固体)の化合物25を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.40-9.16 (m, 2H), 8.39 - 8.53 (m, 2H), 8.16 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 6.57 (s, 2H), 6.32 (s, 1H), 4.50 (br. s., 1H), 4.40-4.28 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.70 (s, 6H), 3.45 - 3.20 (m, 2H, hidden by water peak), 2.60 - 2.39 (m, 1H, hidden by DMSO peak), 2.06 - 2.27 (m, 1H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 9.85) 405 [M+H]+ (方法D1);
M.P.: 116℃ (DSC)
【0499】
実施例C8
化合物27、化合物27aおよび化合物27bの製造
【化123】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、THF(8mL)中、NaH(238mg;5.94mmol;鉱油中60%)の懸濁液に、シアノメチルホスホン酸ジエチル(959mL;5.94mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で30分間、さらに室温で1時間撹拌した。次に、0℃にて、THF(24mL)中、化合物23(0.740mg;1.98mmol)の溶液を滴下した。この混合物を0℃で30分間撹拌し、16時間還流させた。水(300mL)および飽和NaCl水溶液(100mL)を加えた。この混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0500】
残渣(1.30g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCM、0%MeOHから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOに取り、沈殿を濾過し、乾燥後に489mg(62%)の化合物27をE異性体とZ異性体の混合物(E/Z)として得た。
【0501】
化合物27をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Spherical SiOH、溶出剤:71%ヘプタン、1%MeOH(+10%NHOH)、28%AcOEtから0%ヘプタン、20%MeOH(+10%NHOH)、80%EtOAcへの勾配)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEtOに取り、沈殿を濾過し、乾燥後に、以下のものを得た。
【0502】
157mgの化合物27a(E)
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ9.38 (s, 1H), 9.37 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.61 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.72 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 2.2 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.81 (s, 6H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.75) 398 [M+H]+ (方法A1);
M.P.: 252℃ (kofler)
【0503】
40mgの化合物27b(Z)
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ9.43 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 9.41 (s, 1H), 8.65 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 6.65 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 6.50 (s, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.74 (s, 6H)
MS (ESI+) m/z (%) (r.t. 2.61) 398 [M+H]+ (方法A1);
M.P.: 180℃ (kofler)
【0504】
当業者に理解されるように、示されたようなプロトコールを用いて合成された化合物は溶媒和物、例えば、水和物として存在してもよく、かつ/または残留溶媒もしくは微量の不純物を含有し得る。塩形態として単離される化合物は、整数の化学量、すなわち、一塩もしくは二塩、または中間的な化学量であり得る。
【0505】
分析の部
LC/GC/NMR
報告したLC/GCデータは、次のように測定した。
【0506】
一般手順A
LC測定は、脱気装置を備えた二連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは40℃で保持する)を含んでなるUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)Acquity(Waters)システムを用いて行った。カラムからの流出はMS検出器に引き込んだ。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源とともに構成されていた。Quattro(Waters製の三連四重極式質量分析計)においてキャピラリーニードル電圧は3kVとし、イオン源温度は130℃に維持した。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行った。
【0507】
方法A1
一般手順Aに加えて:Waters Acquity BEH(架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)にて、流速0.343ml/分で逆相UPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:95%7mM酢酸アンモニウム/5%アセトニトリル;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、84.2%Aおよび15.8%B(0.49分間保持)から、2.18分で10.5%Aおよび89.5%Bへ、1.94分間保持、また、0.73分で最初の条件に戻して0.73分間保持という勾配条件とした。2μlの注入容量を用いた。コーン電圧は、陽イオン化モードおよび陰イオンモードで20Vとした。質量スペクトルは、スキャン間隔0.1秒を用い、0.2秒に100〜1000スキャンを行うことにより取得した。
【0508】
一般手順B
HPLC測定は、脱気装置を備えた四連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは30℃で保持する)を含んでなるAlliance HT 2795(Waters)システムを用いて行った。カラムからの流出はMS分光計に引き込んだ。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源とともに構成されていた。ZQ(商標)(Waters製のシンプル四重極Zspray(simple quadrupole Zspray)(商標)においてキャピラリーニードル電圧は3.15kVとし、イオン源温度は110℃に維持した。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行った。
【0509】
方法B1
一般手順Bに加えて:X−Bridge C18カラム(3.5μm、4.6×100mm)にて、流速0.8ml/分で逆相HPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:100%7mM酢酸アンモニウム;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、80%A、20%B(0.5分間保持)から、4.5分で10%A、90%Bへ、10%Aおよび90%Bで4分間保持という勾配条件とし、最初の条件で3分間、再平衡化した。10μlの注入容量を用いた。コーン電圧は、陽イオン化モードおよび陰イオンモードで20Vとした。質量スペクトルは、スキャン間隔0.3秒を用い、0.4秒に100〜1000スキャンを行うことにより取得した。
【0510】
一般手順C
LC測定は、脱気装置を備えた四連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは40℃で保持する)を含んでなるUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)H−Class(Waters)システムを用いて行った。カラムからの流出はMS検出器に引き込んだ。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源とともに構成されていた。SQD2(Waters製のシンプル四重極質量分析計(simple quadrupole mass spectrometer))においてキャピラリーニードル電圧は3.kVとし、イオン源温度は130℃に維持した。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行った。
【0511】
方法C1
一般手順Cに加えて:Macherey Nagel製のNucleoshell RP18カラム(2.7μm、3×50mm)にて、流速0.6ml/分で逆相UPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:95%7mM酢酸アンモニウム/5%アセトニトリル;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、95%Aおよび5%B(0.25分間保持)から、0.75分で5%Aおよび95%Bへ、1.9分間保持、また、0.33分で最初の条件に戻すという勾配条件とした。0.7μlの注入容量を用いた。コーン電圧は、陽イオン化モードおよび陰イオンモードで30Vとした。質量スペクトルは、スキャン間隔0.05秒を用い、0.15秒に100〜1000スキャンを行うことにより取得した。
【0512】
一般手順D
HPLC測定は、脱気装置を備えた四連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは室温で保持する)を含んでなるHPLC 1100/1200(Agilent)システムを用いて行った。MS検出器(MS−Agilentシンプル四重極(simple quadripole))は、エレクトロスプレー−APCIイオン化源とともに構成された。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はChemstationデータシステムを用いて行った。
【0513】
方法D1
一般手順Dに加えて:Agilent Eclipse C18カラム(5μm、4.6×150mm)にて、流速1ml/分で逆相HPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:水TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、98%A3分間から、12分で100%Bへ、100%Bで5分間保持、次いで、2分で98%Aへ戻すという勾配条件とし、98%Aで6分間、再平衡化した。2μlの注入容量を用いた。キャピラリー電圧は2kVとし、コロナ放電は1μAで保持し、イオン化源温度は250℃に維持した。フラグメンターには可変電圧を用いた。質量スペクトルは、ポジティブモードでエレクトロスプレーイオン化およびAPCIにて、80〜1000amuのスキャンを行うことにより取得した。
【0514】
DSC:
いくつかの化合物では、融点(m.p.)は、DSC1(Mettler−Toledo)を用いて測定した。融点は5または10℃/分の温度勾配で測定した。最大温度は350℃であった。値はピーク値である。
【0515】
いくつかの化合物では、融点は、直線的温度勾配を持つ加熱プレート、スライドポインターおよび摂氏度の温度スケールからなるKoflerホットベンチを用いて取得した。
【0516】
NMRデータ
NMR実験は、内部重水素ロックを用い、500MHz用のリバース三重共鳴(H、13C、15N TXI)プローブヘッドおよび400MHz用のリバース二重共鳴(H、13C、SEI)プローブヘッドを備えたBruker Avance III 500およびBruker Avance DRX 400分光計を用い、周囲温度にて行った。また、周囲温度で、内部重水素ロックを用い、二重共鳴(H、13C)BroadBand Observe(BBO)プローブヘッドを備えたBruker Avance 400分光計も用いた。化学シフト(δ)は100万分の1(ppm)で報告する。
【0517】
薬理学の部
生物学的アッセイA
FGFR1(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR1(h)(25ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl、1mM DTT、0.1mM NaVO、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および5μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0518】
FGFR2(酵素アッセイ)
最終反応量30μLにおいて、FGFR2(h)(150ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl、1mM DTT、0.1mM NaVO、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および0.4μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0519】
FGFR3(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR3(h)(40ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl、1mM DTT、0.1mM NaVO、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および25μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0520】
FGFR4(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR4(h)(60ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl、1mM DTT、0.1mM NaVO、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および5μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0521】
KDR(VEGFR2)(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、KDR(h)(150ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl、1mM DTT、0.1mM NaVO、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および3μM ATPとともにインキュベートした。室温で120分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0522】
Ba/F3−FGFR1(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR1トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%COのインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM KFe(CN)、0.5mM KFe(CN)、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
【0523】
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0524】
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
【0525】
Ba/F3−FGFR3(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR3トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%COのインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM KFe(CN)、0.5mM KFe(CN)、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
【0526】
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0527】
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
【0528】
Ba/F3−KDR(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−KDRトランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%COのインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM KFe(CN)、0.5mM KFe(CN)、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
【0529】
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0530】
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
【0531】
Ba/F3−FGFR4(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR4トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%COのインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM KFe(CN)、0.5mM KFe(CN)、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
【0532】
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
【0533】
上記のアッセイにおける本発明の化合物のデータを表A1に示す。
【0534】
【表1】