特許第6208283号(P6208283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208283
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】アンテナシステム及び無線装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/28 20060101AFI20170925BHJP
   H01Q 21/20 20060101ALI20170925BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20170925BHJP
   H01Q 19/22 20060101ALI20170925BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20170925BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01Q21/28
   H01Q21/20
   H01Q19/10
   H01Q19/22
   H04B7/10 A
   H04B7/10 B
   H01Q21/24
【請求項の数】22
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-88672(P2016-88672)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-213830(P2016-213830A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】62/154,743
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】201610064706.3
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508024599
【氏名又は名称】▲啓▼碁科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】游 上賢
(72)【発明者】
【氏名】陶 宇
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 俊哲
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−188642(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0139806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00− 13/28
H01Q 21/00− 25/04
H04B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配置されたアンテナシステムであって、当該アンテナシステムは、
第1の無線カードに連結される第1のアンテナアレイであって、該第1のアンテナアレイは第1の周波数帯で動作する複数の水平偏波アンテナを含む、第1のアンテナアレイと、
第2の無線カードに連結される第2のアンテナアレイであって、該第2のアンテナアレイは前記第1の周波数帯及び第2の周波数帯で動作する複数のデュアルバンドアンテナを含む、第2のアンテナアレイと、
を含み、
前記複数のデュアルバンドアンテナのそれぞれは前記第1の周波数帯で動作する垂直偏波放射素子と、前記第2の周波数帯で動作する水平偏波放射素子とを含み、
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、前記第1のアンテナアレイにより形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と、前記第2のアンテナアレイにより形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように前記基板に配置されている、アンテナシステム。
【請求項2】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1の円形アレイ及び第2の円形アレイとしてそれぞれ配置され、前記第1のアンテナアレイの第1の対角線と前記第2のアンテナアレイの第2の対角線との間に角度があり、該角度は、前記第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と前記第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように設定される、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記複数の水平偏波アンテナは、前記基板の4つの頂部に隣接して配置され、前記複数のデュアルバンドアンテナは、前記基板の4つの端部に対応して配置されている、請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記角度は45°の倍数である、請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイはリニアアレイとして配置され、前記第1のアンテナアレイは前記基板の第1の端部に隣接して配置され、前記第2のアンテナアレイは前記基板の第2の端部に隣接して配置され、前記第2の端部は前記第1の端部の反対側にある、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1のニアアレイ及び第2のニアアレイとしてそれぞれ配置され、前記第2のアンテナアレイの第1のデュアルバンドアンテナは第1の角度で回転され、前記第2のアンテナアレイの第2のデュアルバンドアンテナは第2の角度で回転されている、請求項5に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1の曲線アレイ及び第2の曲線アレイとしてそれぞれ配置されている、請求項5に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記第1のアンテナアレイ内には、第1の水平偏波アンテナの第1の中心軸と、該第1の水平偏波アンテナに隣接する第2の水平偏波アンテナの第2の中心軸との間に第1の狭角があり、前記第2のアンテナアレイ内には、第1のデュアルバンドアンテナの第3の中心軸と、該第1のデュアルバンドアンテナに隣接する第2のデュアルバンドアンテナの第4の中心軸との間に第2の狭角ある、請求項7に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
第1の複数の反射器をさらに含み、該第1の複数の反射器のうちの第1の反射器は、前記複数の水平偏波アンテナのうちの1つの水平偏波アンテナに対応するとともに隣接している、請求項7に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
第2の複数の反射器をさらに含み、該第2の複数の反射器は第3の曲線アレイとして配置され、該第3の曲線アレイは、前記第2の曲線アレイに対して前記基板の内側に配置され、前記第2の複数の反射器は、前記複数のデュアルバンドアンテナの各デュアルバンドアンテナの2つの辺に隣接して配置されている、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記第2の複数の反射器はスイッチング回路に連結され、該スイッチング回路は、前記第2のアンテナ放射パターンが無指向性又は指向性になるように制御するように構成されている、請求項10に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
第1の無線カードと、
第2の無線カードと、
基板に配置されたアンテナシステムであって、該アンテナシステムは、
前記第1の無線カードに連結される第1のアンテナアレイであって、該第1のアンテナアレイは第1の周波数帯で動作する複数の水平偏波アンテナを含む、第1のアンテナアレイ、及び
前記第2の無線カードに連結される第2のアンテナアレイであって、該第2のアンテナアレイは前記第1の周波数帯及び第2の周波数帯で動作する複数のデュアルバンドアンテナを含む、第2のアンテナアレイを含み、
前記複数のデュアルバンドアンテナのそれぞれは前記第1の周波数帯で動作する垂直偏波放射素子と、前記第2の周波数帯で動作する水平偏波放射素子とを含み、
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、前記第1のアンテナアレイにより形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と、前記第2のアンテナアレイにより形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように配置されている、アンテナシステムと、
を含む無線装置。
【請求項13】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1の円形アレイ及び第2の円形アレイとしてそれぞれ配置され、前記第1のアンテナアレイの第1の対角線と前記第2のアンテナアレイの第2の対角線との間に角度があり、該角度は、前記第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と前記第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように設定される、請求項12に記載の無線装置。
【請求項14】
前記複数の水平偏波アンテナは、前記基板の4つの頂部に隣接して配置され、前記複数のデュアルバンドアンテナは、前記基板の4つの端部に対応して配置されている、請求項13に記載の無線装置。
【請求項15】
前記角度は45°の倍数である、請求項13に記載の無線装置。
【請求項16】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイはリニアアレイとして配置され、前記第1のアンテナアレイは前記基板の第1の端部に隣接して配置され、前記第2のアンテナアレイは前記基板の第2の端部に隣接して配置され、前記第2の端部は前記第1の端部の反対側にある、請求項12に記載の無線装置。
【請求項17】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1のニアアレイ及び第2のニアアレイとしてそれぞれ配置され、前記第2のアンテナアレイの第1のデュアルバンドアンテナは第1の角度で回転され、前記第2のアンテナアレイの第2のデュアルバンドアンテナは第2の角度で回転されている、請求項16に記載の無線装置。
【請求項18】
前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、第1の曲線アレイ及び第2の曲線アレイとしてそれぞれ配置されている、請求項16に記載の無線装置。
【請求項19】
前記第1のアンテナアレイ内には、第1の水平偏波アンテナの第1の中心軸と、該第1の水平偏波アンテナに隣接する第2の水平偏波アンテナの第2の中心軸との間に第1の狭角があり、前記第2のアンテナアレイ内には、第1のデュアルバンドアンテナの第3の中心軸と、該第1のデュアルバンドアンテナに隣接する第2のデュアルバンドアンテナの第4の中心軸との間に第2の狭角ある、請求項18に記載の無線装置。
【請求項20】
第1の複数の反射器をさらに含み、該第1の複数の反射器のうちの第1の反射器は、前記複数の水平偏波アンテナのうちの1つの水平偏波アンテナに対応するとともに隣接している、請求項18に記載の無線装置。
【請求項21】
第2の複数の反射器をさらに含み、該第2の複数の反射器は第3の曲線アレイとして配置され、該第3の曲線アレイは、前記第2の曲線アレイに対して前記基板の内側に配置され、前記第2の複数の反射器は、前記複数のデュアルバンドアンテナの各デュアルバンドアンテナの2つの辺に隣接して配置されている、請求項20に記載の無線装置。
【請求項22】
前記第2の複数の反射器はスイッチング回路に連結され、該スイッチング回路は、前記第2のアンテナ放射パターンが無指向性又は指向性になるように制御するように構成されている、請求項21に記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナシステム及び無線装置に関し、より具体的には、2組のアンテナ間のアイソレーションを効果的に高めることが可能なアンテナシステム及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術が発展するにつれて、無線ネットワークに対する需要が高まっている。次世代では、伝送速度を高めるためにMU−MIMO(multi-user multiple input multiple output)技術を活用するIEEE802.11ac規格が、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における通信機器のために業界により幅広く採用されている。
【0003】
無線ルーター、無線ベースステーション、無線アクセスポイント等のWLAN内にある無線装置にとって、より高速なデータ伝送速度及びより良質なサービス品質(QoS)を提供するには複数のアンテナに加えて2つ以上の無線カード(一般に2つの無線カード)が必要となる。即ち、第1の組のアンテナは第1の無線カードに連結され、第2の組のアンテナは第2の無線カードに連結される。しかしながら、全てのアンテナが同じ周波数帯で動作する場合、第1の無線カードに連結された第1の組のアンテナ及び第2の無線カードに連結された第2の組のアンテナの間で相互干渉が起こり、それによって第1の無線カードの第1の組のアンテナと第2の無線カードの第2の組のアンテナとの間のアイソレーションが低下し、無線装置のデータ転送速度が低下し、無線装置のQoSが悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当該技術分野では2組のアンテナ間のアイソレーションをどのように高めるかが大きな課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、2組のアンテナ間のアイソレーションを効果的に高めることが可能なアンテナシステム及び無線装置を提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明の一実施形態は、基板に配置されたアンテナシステムを開示する。当該アンテナシステムは、第1の無線カードに連結される第1のアンテナアレイであって、該第1のアンテナアレイは、前記基板に平行であるとともに第1の周波数帯で動作する複数の水平偏波アンテナを含む、第1のアンテナアレイと、第2の無線カードに連結される第2のアンテナアレイであって、該第2のアンテナアレイは前記第1の周波数帯及び第2の周波数帯で動作する複数のデュアルバンドアンテナを含む、第2のアンテナアレイとを含み、前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、前記第1のアンテナアレイにより形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と、前記第2のアンテナアレイにより形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように前記基板に配置されている。
【0007】
本発明の一実施形態は無線装置をさらに開示する。当該無線装置は、第1の無線カードと、第2の無線カードと、基板に配置されたアンテナシステムとを含む。該アンテナシステムは、前記第1の無線カードに連結される第1のアンテナアレイであって、該第1のアンテナアレイは第1の周波数帯で動作する複数の水平偏波アンテナを含む、第1のアンテナアレイ、及び前記第2の無線カードに連結される第2のアンテナアレイであって、該第2のアンテナアレイは前記第1の周波数帯及び第2の周波数帯で動作する複数のデュアルバンドアンテナを含む、第2のアンテナアレイを含み、前記第1のアンテナアレイ及び前記第2のアンテナアレイは、前記第1のアンテナアレイにより形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と、前記第2のアンテナアレイにより形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交するように配置されている。
【0008】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る無線装置の概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの概略図である。
図3A図3Aは、図2のデュアルバンドアンテナの概略等角図である。
図3B図3Bは、図2のデュアルバンドアンテナの概略上面図である。
図3C図3Cは、図2のデュアルバンドアンテナの概略側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線装置10の概略図である。無線装置10は、無線ルーター、無線ベースステーション、無線アクセスポイント等であり得る。無線装置10はアンテナシステム100及び無線カードRC_1、RC_2を含む。アンテナシステム100は、複数の水平偏波アンテナH_ANT及び複数のデュアルバンドアンテナD_ANTを含む。水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは基板102に配置されている。基板102に平行な水平偏波アンテナH_ANTは第1のアンテナアレイとして配置されるとともに、無線カードRC_1に連結されている。デュアルバンドアンテナD_ANTは第2のアンテナアレイとして配置されるとともに、無線カードRC_2に連結されている。第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイは、円形アレイ又はリニアアレイ等の特定種類のアンテナアレイであり得る。それに加えて、第1のアンテナアレイの水平偏波アンテナH_ANTは第1の周波数帯で動作し、第2のアンテナアレイのデュアルバンドアンテナD_ANTは第1の周波数帯及び第2の周波数帯で動作する。例えば、一実施形態では、水平偏波アンテナH_ANTは5GHzの周波数帯で動作し、デュアルバンドアンテナD_ANTは5GHzの周波数帯及び2GHzの周波数帯で動作する。第1の周波数帯における第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間の相互干渉が低減されるように、アンテナシステム100における第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイの種類が適切に選択される。それに加えて、第1のアンテナアレイによって形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向及び第2のアンテナアレイによって形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向が第1の周波数帯で相互に直交するとともに、第1の周波数帯における第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間の相互干渉が低減されるように基板102に対する第1のアンテナアレイの水平偏波アンテナH_ANT及び第2のアンテナアレイのデュアルバンドアンテナD_ANTが適切な位置に配置され、それにより第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間のアイソレーションが高められる。
【0011】
例えば、図2は本発明の一実施形態に係るアンテナシステム200の概略図である。アンテナシステム200は、基板202に配置された4つの水平偏波アンテナH_ANT及び4つのデュアルバンドアンテナD_ANTを含む。水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは、それぞれ円形アレイCA_1及び円形アレイCA_2として基板202に配置されている。即ち、円形アレイCA_1及び円形アレイCA_2は、それぞれ第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイを表す。アンテナシステム200は、無線装置10内に適用され得る。これは、円形アレイCA_1及び円形アレイCA_2が無線装置10の無線カードRC_1及び無線カードRC_2にそれぞれ連結されることを意味する。円形アレイCA_1は、円形アレイCA_2に対して角度θ1で回転されており、角度θ1は、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとが相互に直交する角度である。即ち、円形アレイCA_1の固有の対角線dg_1及び円形アレイCA_2の固有の対角線dg_2は、角度θ1として狭角(included angle)を有し、角度θ1は第1のアンテナ放射パターンの偏波方向と第2のアンテナ放射パターンの偏波方向とが相互に直交する角度である。例えば、アンテナシステム200では、4つの水平偏波アンテナH_ANTが基板202の4つの頂部(vertex)の近くに配置され、4つのデュアルバンドアンテナD_ANTが基板202の4つ端部に対応して配置されている。これは、対角線dg_1と対角線dg_2との間の角度θ1が45°であることを意味する。従って、円形アレイCA_1によって形成される第1のアンテナ放射パターンの偏波方向及び円形アレイCA_2によって形成される第2のアンテナ放射パターンの偏波方向、第1の周波数帯において相互に直交するとともに第1の周波数帯における円形アレイCA_1と円形アレイCA_2との間の相互干渉が低減され、それにより円形アレイCA_1と円形アレイCA_2との間のアイソレーションが高められる。
【0012】
それに加えて、第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間のアイソレーションをさらに高めるため、アンテナシステム200におけるデュアルバンドアンテナD_ANTの構造がアンテナの異なる偏波方向を利用するために適切に設計され得る。具体的には、水平偏波アンテナH_ANTが第1周波数帯で動作する水平偏波アンテナである場合、デュアルバンドアンテナD_ANTは垂直放射素子及び水平放射素子を含み得る。垂直放射素子は、垂直偏波放射素子であり、水平放射素子は水平偏波放射素子である。垂直放射素子は第1の周波数帯で動作し、水平放射素子は第2の周波数帯で動作する。とりわけ、第1の周波数帯では、水平偏波アンテナH_ANTの偏波方向とデュアルバンドアンテナD_ANTの垂直放射素子の偏波方向は互いに直交し、第1のアンテナアレイの水平偏波アンテナH_ANTと第2のアンテナアレイのデュアルバンドアンテナD_ANTとの間のアイソレーションをさらに高める。アンテナシステム200では、第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間で40dBのアイソレーションを実現できる。
【0013】
デュアルバンドアンテナD_ANTの構造は限定されない。例えば、図3A図3Cはデュアルバンドアンテナ30の概略等角図、概略上面図及び概略側面図をそれぞれ示す。アンテナシステム200のデュアルバンドアンテナD_ANTを実現するためにデュアルバンドアンテナ30が用いられている。図3A図3Cに示すように、デュアルバンドアンテナ30は水平放射素子300及び垂直放射素子302を含む。主に第1の周波数帯で動作する垂直放射素子302は基板202に垂直である。主に第2の周波数帯で動作する水平放射素子300は基板202と平行である。とりわけ、デュアルバンドアンテナD_ANTはデュアルバンドアンテナ30の構造に限定されず、デュアルバンドアンテナD_ANTを実施するために他の構造を用いてもよい。第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイがそれらの間のアイソレーションを高めるために特定の配列で配置されさえすれば、本発明の要件は満たされる。
【0014】
それに加えて、水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは円形アレイとして配置されることに限定されない。水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTをリニアアレイとして配置してもよい。例えば、図4は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステム400の概略図である。アンテナシステム400は、基板402に配置された4つの水平偏波アンテナH_ANT及び4つのデュアルバンドアンテナD_ANTを含む。基板402には第1の端部L1、第2の端部L2、第3の端部L3及び第4の端部L4が付されている。水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは、それぞれニアアレイ(straight linear array)LA_1及びニアアレイLA_2として基板402に配置されている。即ち、水平偏波アンテナH_ANTは直線的に基板402に配置されており、デュアルバンドアンテナD_ANTについても同様である。ニアアレイLA_1及びニアアレイLA_2は、それぞれアンテナシステム400の第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイを表す。ニアアレイLA_1は基板402の第1の端部L1の近くに配置され、ニアアレイLA_2は、第1の端部L1の反対側の基板402の第2の端部L2の近くに配置されている。アンテナシステム400は無線装置10内に適用され得る。これは、ニアアレイLA_1及びニアアレイLA_2が、無線装置10の無線カードRC_1及び無線カードRC_2にそれぞれ連結されることを意味する。良好なアイソレーションを得るために、アンテナシステム400の第3の端部L3に最も近いデュアルバンドアンテナD_ANTが第1の角度で反時計回りに回転され、アンテナシステム400の第4の端部L4に最も近いデュアルバンドアンテナD_ANTが第2の角度で時計回りに回転されている。第1の角度及び第2の角度は30〜60°であり得る。一部の実施形態では、第1の角度及び第2の角度は45°であり得る。従って、アンテナシステム400における第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間で40dBのアイソレーションを実現できる。
【0015】
それに加えて、水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTはニアアレイとして配置されることに限定されない。水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは曲線アレイ(curved linear array)として配置してもよい。例えば、図5は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステム500の概略図である。アンテナシステム400と同様に、アンテナシステム500は、基板502に配置された4つの水平偏波アンテナH_ANT及び4つのデュアルバンドアンテナD_ANTを含む。アンテナシステム500の基板502にも第1の端部L1、第2の端部L2、第3の端部L3及び第4の端部L4が付されている。水平偏波アンテナH_ANTにより形成される第1のアンテナアレイは、基板502の第1の端部L1の近くに配置され、デュアルバンドアンテナD_ANTにより形成される第2のアンテナアレイは基板502の第2の端部L2の近くに配置されている。アンテナシステム400とは異なり、アンテナシステム500では、水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTが、曲線アレイCV_1及び曲線アレイCV_2としてそれぞれ基板502に配置されている。即ち、水平偏波アンテナH_ANTは曲線的に基板502に配置されており、デュアルバンドアンテナD_ANTについても同様である。即ち、ある水平偏波アンテナH_ANTの中心軸ax_1と隣接する水平偏波アンテナH_ANTの中心軸ax_1とは第1の狭角φ1を有し、あるデュアルバンドアンテナD_ANTの中心軸ax_2と隣接するデュアルバンドアンテナD_ANTの中心軸ax_2とは第2の狭角φ2を有する。曲線アレイCV_1及び曲線アレイCV_2は、それぞれアンテナシステム500の第1のアンテナアレイ及び第2のアンテナアレイを表す。アンテナシステム500は無線装置10内に適用され得る。これは、曲線アレイCV_1及び曲線アレイCV_2が、無線装置10の無線カードRC_1及び無線カードRC_2にそれぞれ連結されることを意味する。それに加えて、アンテナシステム500は、第1の複数の反射器rf_1及び第2の複数の反射器rf_2をさらに含む。第1の反射器rf_1のそれぞれは、1つの水平偏波アンテナH_ANTに対応するともに隣接する。他方、第2の複数の反射器rf_2は曲線アレイCV_3として配置される。即ち、第2の反射器rf_2も曲線的に配置される。曲線アレイCV_3は、曲線アレイCV_2に対して基板502の内側にある。これは、曲線アレイCV_3が曲線アレイCV_1と曲線アレイCV_2との間に配置されていることを意味する。一般に、第2の反射器rf_2は、デュアルバンドアンテナD_ANTにより形成されるアンテナパターンが指向性パターンとなるように、アンテナシステム500の各デュアルバンドアンテナD_ANTの2つの端部の近くに配置されている。さらに、基板502の第3の端部L3及び第4の端部L4の近くの第2の反射器rf_2はサイドローブによってもたらされる効果を抑制するために用いられる。それに加えて、第1の反射器rf_1及び第2の反射器rf_2はスイッチング回路(図5に図示せず)に連結され得る。スイッチング回路が第1の状態に切り替えられた場合、第1のアンテナアレイによって形成される第1のアンテナ放射パターン及び第2アンテナアレイによって形成される第2のアンテナ放射パターンは無指向性である。他方、スイッチング回路が第2の状態に切り替えられた場合、第1のアンテナアレイによって形成される第1のアンテナ放射パターン及び第2アンテナアレイによって形成される第2のアンテナ放射パターンは指向性である。そのような状況では、アンテナシステム500における第1のアンテナアレイと第2のアンテナアレイとの間で50dBのアイソレーションを実現できる。それに加えて、第1の反射器rf_1又は第2の反射器rf_2はスイッチング回路に連結されず単に受動素子として構成してもよい。
【0016】
先行技術では、無線装置の無線カードが同じ周波数帯で動作する場合、無線カードのアンテナは互いに干渉し合い、無線装置の転送効率が悪化する。それとは対照的に、本発明では、異なる無線カードに連結されたアンテナアレイ間のアイソレーションを高め、アンテナアレイの相互干渉を低減し、無線装置の転送効率を高めるために、基板上の適切な位置にアンテナを配置し、デュアルバンドアンテナの適切な構造及び異なる偏波方向を用いる。
【0017】
とりわけ、前で説明した実施形態は、本発明の概念を説明するために利用されている。当業者であれば変更及び修正を加え得るため、前で説明した実施形態に限定されない。例えば、アンテナシステム200では、円形アレイCA_2が円形アレイCA_1の内側に配置されているが、そのような構成に限定されない。円形アレイCA_1が円形アレイCA_2の内側に配置されていてもよい。それに加えて、アンテナシステム400及びアンテナシステム500に含まれる水平偏波アンテナH_ANT及びデュアルバンドアンテナD_ANTは4つだけであるが、そのような構成に限定されない。アンテナシステムは4つよりも多い(又は少ない)水平偏波アンテナH_ANT及び4つよりも多い(又は少ない)デュアルバンドアンテナD_ANTを含んでもよく、そのような構成も本発明の範囲に含まれる。
【0018】
要約すると、本発明では、異なる無線カードに連結されたアンテナアレイ間のアイソレーションを高め、アンテナアレイの相互干渉を低減し、無線装置の転送効率を高めるために、基板上の適切な位置にアンテナを配置し、デュアルバンドアンテナの適切な構造及び異なる偏波方向を用いる。
【0019】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0020】
10 無線装置
30 デュアルバンドアンテナ
100 アンテナシステム
102 基板
200 アンテナシステム
202 基板
300 水平放射素子
302 垂直放射素子
400 アンテナシステム
402 基板
500 アンテナシステム
502 基板
H_ANT 水平偏波アンテナ
D_ANT デュアルバンドアンテナ
RC 無線カード
CA_1 円形アレイ
CA_2 円形アレイ
LA_1 ニアアレイ
LA_2 ニアアレイ
CV_1 曲線アレイ
CV_2 曲線アレイ
CV_3 曲線アレイ
rf_1 第1の反射器
rf_2 第2の反射器
L1 端部
L2 端部
L3 端部
L4 端部
dg_1 対角線
dg_2 対角線
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5