特許第6208316号(P6208316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6208316
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】金属ナノ粒子担持方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20170925BHJP
   C23C 14/00 20060101ALI20170925BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20170925BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20170925BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20170925BHJP
【FI】
   B01J37/02 101C
   C23C14/00 A
   C23C14/14 D
   C23C26/00 K
   B82Y40/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-228384(P2016-228384)
(22)【出願日】2016年11月24日
【審査請求日】2017年1月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192383
【氏名又は名称】アドバンス理工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】阿川 義昭
(72)【発明者】
【氏名】松山 清
(72)【発明者】
【氏名】畠山 義清
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−017055(JP,A)
【文献】 特開2012−158785(JP,A)
【文献】 特開2000−017442(JP,A)
【文献】 特開2006−247524(JP,A)
【文献】 特開2003−176108(JP,A)
【文献】 特開2004−189563(JP,A)
【文献】 加藤淳一,他,スパッタ注入法による低分子量ポリエチレングリコール中への金ナノ粒子合成:添加チオール濃度効果と温度効果,日本化学会第92春季年会(2012)講演予稿集III,2012年 3月 9日,p.935,2 H3-31
【文献】 畠山義清,他,スパッタによるポリエチレングリコール中への金ナノ粒子調整におけるチオール化ポリエチレングリコール添加効果,ナノ学会第11回大会講演予稿集,2013年 6月 6日,p.61
【文献】 松山清,他,超臨界二酸化炭素を用いた多孔性配位高分子への金属ナノ粒子の含浸,化学工学会第80年会研究発表講演プログラム集,2015年 3月19日,V318
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C23C 14/00−14/58
C23C 26/00
B82Y 40/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオールにより官能化されたポリオール溶液中にスパッタあるいはアークプラズマにより、金属ナノ粒子を分散させる第1の工程と、
前記第1の工程で、前記金属ナノ粒子が分散されたポリオール溶液を液体溶媒で希釈する第2の工程と、
前記第2の工程で得た溶液内に多孔質体を入れる第3の工程と、
前記第3の工程で前記多孔質体を入れた溶液に超臨界二酸化炭素を導入する第4の工程と、
前記第4の工程の後に、前記多孔質体が入れられた溶液の温度と圧力を低下させて前記多孔質体に前記金属ナノ粒子を担持させる第5の工程と
を有する金属ナノ粒子担持方法。
【請求項2】
前記第4の工程は、前記超臨界二酸化炭素を8〜50MPaで導入する
請求項1に記載の金属ナノ粒子担持方法。
【請求項3】
前記第4の工程で導入される前記超臨界二酸化炭素の温度は、35〜100℃である
請求項1又は請求項2に記載の金属ナノ粒子担持方法。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子は、金、白金、銀、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、パラジウム、ニッケルである
請求項1〜3のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持方法。
【請求項5】
前記液体溶媒はエタノールである
請求項1〜4のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノ粒子を多孔質体に担持する金属ナノ粒子担持方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属などのナノ粒子を多孔質体に担持した触媒担持体は、触媒等の用途として用いられている。多孔質体の細孔内部に金属ナノ粒子を担持および固定化する方法として、金属ナノ粒子の前駆体を液相担持法等により、多孔質体の細孔内部に含浸させ、還元処理等により金属ナノ粒子を担持および固定化した触媒担持体を得ていた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−17442号公報
【特許文献2】特開2000−15112号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山口有朋、阿部正彦、湯浅真、表面、Vol.41、No.9、317-323(2003)
【非特許文献2】松本高利,浦川清,R. Justin JOSEYPHUS,田路和幸,Balachandran JEYADEVAN, 電気化学および工業物理化学, Vol.75,No.12, 969-975(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の液相担持法では高粘性、低拡散性のため、多孔質体の細孔内部までに金属ナノ粒子前駆体を導入することは困難であった。これらの問題を解決するために、低粘性で高拡散性を有する超臨界二酸化炭素に金属ナノ粒子の前駆体を溶解させ、多孔質の細孔内部に前駆体を含浸させた後、還元処理により細孔内部に金属ナノ粒子を形成させる手法(特許文献1)が提案されている。また、光触媒の前駆体成分を超臨界流体に溶解させ、多孔質体の細孔表面に前駆体をコートした後、加熱処理により、光触媒特性を有する多孔質体を製造する手法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、これらの手法では前駆体によっては十分な還元処理が達成できず、生成された触媒担持体は触媒の特性としての反応性を十分に発揮できないという問題点があった。
【0007】
また、還元処理を必要としない金属ナノ粒子は、一般に表面が親水的であることから超臨界二酸化炭素中で十分に分散させることは困難であり、金属ナノ粒子が分散している超臨界二酸化炭素を用いて、多孔質体の細孔内部に金属ナノ粒子を含浸させることは困難であった。
【0008】
また、ポリエチレングリコールやポリオールを用いたポリオール法は、ポリオールを還元剤および保護材として用いるナノ粒子の合成であるが、ポリオールが有する粘性などの問題から、ポリオール中のナノ粒子を多孔質体の細孔内部に含浸させることは困難であった(非特許文献2)。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒活性の高い金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部にまで十分に導入して、触媒特性の優れた触媒担体を得ることを可能にする金属ナノ粒子担持方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の金属ナノ粒子担持方法は、チオールにより官能化されたポリオール溶液中にスパッタあるいはアークプラズマにより、金属ナノ粒子を分散させる第1の工程と、前記第1の工程で、前記金属ナノ粒子が分散されたポリオール溶液を液体溶媒で希釈する第2の工程と、前記第2の工程で得た溶液内に多孔質体を入れる第3の工程と、前記第3の工程で前記多孔質体を入れた溶液に超臨界二酸化炭素を導入する第4の工程と、前記第4の工程の後に、前記多孔質体が入れられた溶液の温度と圧力を低下させ前記多孔質体に前記金属ナノ粒子を担持させる第5の工程とを有する。
【0012】
好適には、前記第4の工程は、前記超臨界二酸化炭素を8〜50MPaで導入する。
【0013】
好適には、前記第4の工程で導入される前記超臨界二酸化炭素の温度は、35〜100℃である。
【0014】
好適には、前記金属ナノ粒子は、金、白金、銀、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、パラジウム、ニッケルである。
【0015】
好適には、前記液体溶媒はエタノールである。
【0018】
アークプラズマおよびスパッタ法により調製したポリオール中の金属ナノ粒子を微細な細孔径を有する多孔質体の細孔の内部にまで十分に含浸させる。具体的には、超臨界二酸化炭素と液体溶媒からなる混合流体を用いて、ポリオール中の金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部にまで含浸する。得られた貴金属ナノ粒子が含浸された多孔質体は、触媒特性の優れた触媒担持体として利用可能である。
【0019】
アークプラズマおよびスパッタ法により、ポリエチレングリコールなどのポリオール中で形成される金属ナノ粒子(金、白金、銀など)は、ポリオールの末端にチオール基を有するポリエチレングリコール等を用いることで、金属ナノ粒子の結晶成長(粒子径の成長)を抑制できるだけではなく、金属ナノ粒子の親和性を制御可能であり、超臨界二酸化炭素と液体溶媒からなる流体中で金属ナノ粒子を安定的に分散させることが可能である。金属ナノ粒子が安定に分散した超臨界二酸化炭素と液体溶媒の混合流体を含浸溶媒として用いることで、多孔質体の細孔内部まで十分に金属ナノ粒子を担持および固定化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、触媒活性の高い金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部にまで十分に導入して、触媒特性の優れた触媒担体を得ることを可能にする金属ナノ粒子担持方法及びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る金属ナノ粒子担持装置(含浸装置)の100の構成図である。
図2図2は、超臨界二酸化炭素を添加前のエタノールの混合溶媒中での金ナノ粒子の分散状態を説明するための図である。
図3図3は、超臨界二酸化炭素を添加後のエタノールの混合溶媒中での金ナノ粒子の分散状態を説明するための図である。
図4図4は、物質の状態図である。
図5図5は、図1に示す金属ナノ粒子担持装置を用いて行う金属ナノ粒子担持方法を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施例の含浸処理後のシリカゲルの表面写真である。
図7図7は、本比較例の処理を施したシリカゲルのTEM像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、アークプラズマおよびスパッタ法により調製したポリオール中の金属ナノ粒子を微細な細孔径を有する多孔質体の細孔の内部にまで十分に含浸させる。具体的には、超臨界二酸化炭素と液体溶媒からなる混合流体を用いて、ポリオール中の金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部にまで含浸する。得られた貴金属ナノ粒子が含浸された多孔質体は、触媒特性の優れた触媒担持体として利用可能である。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る金属ナノ粒子担持装置(含浸装置)の100の構成図である。
図1に示すように、金属ナノ粒子担持装置の100は、例えば、炭酸ガスボンベ11、乾燥缶12、フィルター13、冷却ユニット14、ポンプ15、圧力計16、安全弁17、予熱管8、逆止弁9、圧力計20、安全弁21、高圧容器22、観察窓23、撹拌子24、CCDカメラ25、撹拌装置26、水恒温槽27、背圧弁V1、ストップバルブV2,V3を有する。
【0024】
炭酸ガスボンベ11から二酸化炭素が、乾燥缶12、フィルター13、背圧弁V1、ストップバルブV2、予熱管8及び逆止弁9を介して、高圧容器22内に超臨界二酸化炭素として導入される。
当該導入過程で、炭酸ガスボンベ11からの二酸化炭素は、冷却ユニット14によって温度調整され、温度35〜100℃に設定される。また、当該二酸化炭素は、圧力8〜50MPaに設定される。より好ましくは、温度は40〜70℃であり、圧力は8〜50MPaである。
【0025】
上記導入過程の温度の下限を35℃にしたのは、35℃未満であると、二酸化炭素の臨界温度31.1℃に近づき、二酸化炭素とエタノールの均一相の形成が困難であるという不都合が確認されたためである。また、温度の上限を100℃にしたのは、100℃を超えると、二酸化炭素とエタノールの均一相を形成するために、より高い加圧が必要という不都合が確認されためである。
【0026】
高圧容器22内で、金属ナノ粒子が多孔質体内に入った後に、多孔質体を乾燥し、圧力及び温度を下げて、金属ナノ粒子が担持された多孔質体を得る。当該下げた後の圧力は、常圧であり、温度は室温〜60℃である。
本実施形態では、高圧容器22内の温度は、水恒温槽27内の温度を調整することで設定される。
【0027】
温度の上限を60℃としたのは、60℃を超えるとエタノールの大気圧下における沸点に78.4℃に近づき、エタノールが急激に揮発するという不都合が確認されためである。
【0028】
高圧容器22内の圧力は、圧力計20によって監視され、ストップバルブV3の開閉によって所定の圧力に設定される。
高圧容器22には、観察窓23が設けられ、CCDカメラ25によって内部が撮像されている。
高圧容器22内の溶液は、撹拌装置26による撹拌子24の回転によって攪拌される。
【0029】
本実施形態では、アークプラズマおよびスパッタにより調製したポリエチレングリコールPEG(ポリオール)中に分散した金属ナノ粒子(金、白金、銀等)を、超臨界二酸化炭素と液体溶媒からなる混合流体中で分散させ、この流体に微細な細孔径を有する多孔質体を浸漬させることで、多孔質体の細孔内部にまで金属ナノ粒子を含浸する。本手法により、多孔質体の細孔内部に含浸される金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部に固定化することができる。
【0030】
チオール化PEGにより表面修飾した金属ナノ粒子は、上記混合流体中において、超臨界二酸化炭素を導入(添加)前は図2に示す分散状態になり、添加後は図3に示す分散状態になる。
【0031】
図2は、超臨界二酸化炭素を添加前のエタノールの混合溶媒中での金ナノ粒子の分散状態を説明するための図である。
図3は、超臨界二酸化炭素を添加後のエタノールの混合溶媒中での金ナノ粒子の分散状態を説明するための図である。
【0032】
図4は、物質の状態図である。
図4に示すように、二酸化炭素は、温度及び圧力の条件により、個体、気体、液体及び超臨界流体となる。すなわち、臨界点(臨界温度Tc、臨界圧力Pc)を超えた状態で超臨界状態となる。
【0033】
図5は、図1に示す金属ナノ粒子担持装置の100を用いて行う金属ナノ粒子担持方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
チオールにより官能化されたポリエチレングリコール(PEG)溶液を準備する。
【0034】
ステップST2:
ステップST1で準備したポリエチレングリコール溶液中にスパッタあるいはアークプラズマにより、金属ナノ粒子を分散させる。
【0035】
ステップST3:
ステップST2で金属ナノ粒子が分散されたポリエチレングリコール溶液を液体溶媒(例えば、エタノール)で希釈する。
【0036】
ステップST4:
ステップST3で得た溶液と、多孔質体(シリカゲル)とを図1に示す高圧容器22内に入れる。
【0037】
ステップST5:
図1に示す炭酸ガスボンベ11からの二酸化炭素を、温度と圧力を調整して超臨界二酸化炭素として、逆止弁9を介して高圧容器22内に導入する含浸処理を行う。
そして、その状態を一定時間保持して、金属ナノ粒子を多孔質体で被覆する。
【0038】
ステップST6:
高圧容器22内の圧力及び温度を下げる。その後、多孔質体を乾燥し、金属ナノ粒子が担持された多孔質体を得る。
【実施例】
【0039】
ポリエチレングリコール(PEG)600にチオール化PEG(20mM)を添加した2mLの混合溶液をシャーレに入れて、サンユー電子製のスパッター(SC-704内)に導入した。PEGの溶液は、チラーにより30℃に制御し、1000V、2mA、50分の条件にて放電操作を実施し、PEG溶液中に分散した金ナノ粒子の分散溶液を得た。
【0040】
上記の金ナノ粒子が分散したポリエチレングリコール溶液2mLを18mLのエタノールで希釈した溶液を準備した。
図1に示す高圧容器22、シリカゲル(Sigma-Aldrich製)0.2g、上記のエタノールで希釈した金ナノ粒子分散のポリエチレングリコール溶液20mLを添加した。
【0041】
その後、高圧容器22に超臨界二酸化炭素を導入し、高圧容器内を20MPa、50℃とした。その状態を48時間保持することにより、シリカゲルを金ナノ粒子で被覆した。
【0042】
その後、高圧容器22内の超臨界二酸化炭素を減圧、除去した後に、沈降したシリカゲルを回収した。沈降したシリカゲルは、エタノールにより洗浄、減圧乾燥した後、金ナノ粒子が担持されたシリカゲルを得た。透過型電子顕微鏡(日立H-7600)によりシリカゲルに担持された金ナノ粒子を観察し、シリカゲルへの金ナノ担持状態を評価した。
【0043】
図6は、本実施例の処理を施したシリカゲルのTEM像の図である。
【0044】
図6に示すように、本実施例では、シリカゲルの細孔内に金属ナノ粒子が含浸されることが確認できた。
【0045】
以下、上述した実施例の比較例を示す。
当該比較例では、超臨界二酸化炭素を用いない場合を説明する。
【0046】
シリカゲル(Sigma-Aldrich製)0.2g、上記のエタノールで希釈した金ナノ粒子分散のポリエチレングリコール溶液20mLを混合し、その状態を48時間保持することにより、シリカゲルを金ナノ粒子で被覆した。これにより、金ナノ粒子が担持された比較例のシリカゲルを得た。
【0047】
比較例では、図7に示すように、シリカゲルには金属ナノ粒子が含浸されないことが確認できた。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、アークプラズマおよびスパッタ法により、ポリエチレングリコールなどのポリオール中で形成される金属ナノ粒子(金、白金、銀など)は、ポリオールの末端にチオール基を有するポリエチレングリコール等を用いることで、金属ナノ粒子の結晶成長(粒子径の成長)を抑制できるだけではなく、金属ナノ粒子の親和性を制御可能であり、超臨界二酸化炭素と液体溶媒からなる流体中で金属ナノ粒子を安定的に分散させることが可能である。金属ナノ粒子が安定に分散した超臨界二酸化炭素と液体溶媒の混合流体を含浸溶媒として用いることで、多孔質体の細孔内部まで十分に金属ナノ粒子を担持および固定化することができる。
【0049】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0050】
本発明の金属ナノ粒子は、スパッタのターゲットとして利用でき、なおかつチオール基と相互作用を有するものであれば特に限定されない。
【0051】
本発明の多孔質体は、シリカゲル以外に、活性炭、ゼオライト、MOF/PCP等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、多孔質体に金属ナノ粒子を含浸させるシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
11…炭酸ガスボンベ
12…乾燥缶
13…フィルター
14…冷却ユニット
15…ポンプ
16…圧力計
17…安全弁
8…予熱管
9…逆止弁
20…圧力計
21…安全弁
22…高圧容器
23…観察窓
24…撹拌子
25…CCDカメラ
26…撹拌装置
100…金属ナノ粒子担持装置
27…水恒温槽
V1…背圧弁
V2,V3…ストップバルブ
【要約】
【課題】 触媒活性の高い金属ナノ粒子を多孔質体の細孔内部にまで十分に導入して、触媒特性の優れた触媒担体を得ることを可能にする金属ナノ粒子担持方法を提供する。
【解決手段】 ポリエチレングリコール溶液中にスパッタあるいはアークプラズマにより、金属ナノ粒子を分散させ、エタノール)で希釈する。そして、シリカゲルを入れる。超臨界二酸化炭素を導入し、金属ナノ粒子を多孔質体で被覆する。その後、圧力及び温度を下げる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7